説明

軌道短絡器具

【課題】軌道間を確実に短絡させることが可能で、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができる軌道短絡器具を提供する。
【解決手段】本発明は、第1軌道接触部材100と、前記第1軌道接触部材100と異なる第2軌道接触部材200と、前記第1軌道接触部材100と前記第2軌道接触部材200との間を導通する短絡導通コード300と、を有し、前記第1軌道接触部材100と前記第2軌道接触部材200とが、互いに並行して敷設された軌道に接触することによって軌道間を短絡する軌道短絡器具10であって、前記第1軌道接触部材100と前記第2軌道接触部材200とは共に、互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子と、円筒状外周面に凹凸が設けられた把持部と、前記複数の接触子の略中央部に配されたマグネットと、前記マグネットを前記接触子が突出する方向と逆の方向に付勢する弾性部材と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに並行して敷設された軌道に接触することによって軌道間を短絡する軌道短絡器具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道においては、同一線路上で2つ以上の列車が運転される場合に、追突や衝突等の事故を防止するため、線路を複数の区間(以下、「閉そく区間」という。)に分割し、1つの列車が1つの閉そく区間を完全に通過し終るまでは、続行走行列車や対向走行列車をその閉そく区間内に進入させないように規制する運転保安方式(以下、「閉そく方式」という。)を採用する場合がある。
【0003】
このような閉そく方式においては、閉そく区間の2本のレールを相互に電気的接続して細長い長方形状の電気回路(以下、「軌道回路」という。)を構成するとともに、隣り合う前後の閉そく区間とは電気的に絶縁し、2本のレールが列車の車軸で電気的に短絡されたことを検知することにより、その閉そく区間内に列車が存在することを検知する。
【0004】
従来から、列車運行の保安装置として、上記のような軌道回路を利用して列車が在線するか否かを検知する列車検知装置が実用化されている。この列車検知装置は、軌道回路内に車両が進入した際に、当該車両の車輪及び車軸によって左右のレール間が短絡されることにより、軌道回路の送端側から送信された信号の軌道回路の受端側での受信レベルが小さくなることを利用して、軌道回路内に車両が在線していることを検知する。
【0005】
ところで、軌道等に関連する保守を行う際、列車を運行させることなく、上記した列車検知装置が規定通り動作するか否かを確認する作業を行うことがある。このために、列車の車輪や車軸によることなく、互いに並行して敷設された軌道間を短絡するための器具が必要となる。
【0006】
例えば、特許文献1(特開平6−239236号公報)には、レール1a、1bに着脱可能に接続するための、金属性のクリップなどから構成される接続具4a、4bを両端に備えたレール短絡部材3が開示されている。
【特許文献1】特開平6−239236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の短絡用の器具では、例えば、長い時間列車が通過しておらず、錆などの絶縁膜が形成された軌道間を確実に短絡させることが困難で、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業が難航する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、第1軌道接触部材と、前記第1軌道接触部材と異なる第2軌道接触部材と、前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材との間を導通する短絡導通コードと、を有し、前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材とが、互いに並行して敷設された軌道に接触することによって軌道間を短絡する軌道短絡器具であって、前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材とは共に、互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子と、円筒状外周面に凹凸が設けられた把持部と、前記複数の接触子の略中央部に配されたマグネットと、前記マグネットを前記接触子が突出する方向と逆の方向に付勢する弾性部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の軌道短絡器具において、前記把持部に蓄光塗料が塗布されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の軌道短絡器具によれば、軌道接触部材における、互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子が、軌道上に形成された絶縁間を除去しつつ、軌道に接触するようになっているので、軌道間を確実に短絡させることが可能となり、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る軌道短絡器具10の概略構成を斜視的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の分解図である。
【図4】本発明の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の着脱を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の分解図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の着脱を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る軌道短絡器具10の概略構成を斜視的に示す図である。本発明に係る軌道短絡器具10は、列車検知装置が規定通り動作するか否かを確認する作業のために用いるものであり、概略、一方の軌道と電気接触する第1軌道接触部材100と、先の軌道と並行して敷設された他の軌道に電気接触する第2軌道接触部材200と、第1軌道接触部材100と第2軌道接触部材200との間を導通させる短絡導通コード300とから構成されている。短絡導通コード300としては、電気抵抗が低いもので、かつ、並行する2本の軌道間の距離より長いものが用いられる。
【0013】
第1軌道接触部材100と第2軌道接触部材200は共に同様の構成であるので、以下、第1軌道接触部材100を例にとり、軌道接触部材の詳細な構造・動作等について説明する。図2は本発明の実施の形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の斜視図であり、図3は本発明の実施の形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の分解図である。
【0014】
図2及び図3において、100は第1軌道接触部材、110は把持部、111は円筒状外周面、112は貫通穴部、115はネジ、118はネジ留め用穴部、120はシャフト部材、121はヘッド部、122はスリーブ部、123は固着用凸部、125は弾性部材、129は電気接続用リング部材、160は接触部材、161は接触子、162は内空壁部、163は貫通穴部、164は上端面、165は下端面、166はネジ留め用穴部、180はマグネットホルダー、181はマグネット、182はマグネット装着空洞部、183は固着用凹部をそれぞれ示している。
【0015】
本発明に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100には、軌道と直接的に接触する接触子161が複数あり、それぞれの接触子161が略同一の円周上に配されている。また、第1軌道接触部材100における把持部110の円筒状外周面111には、図2に示すような凹凸が設けられ、把持部110はグリップ性がありハンドリングしやすい構成となっている。円筒状外周面111の中心線は、先の円周の中心を略通るように構成されており、第1軌道接触部材100の接触子161を軌道に接触させつつ、凹凸が設けられた把持部110を持ってこれを回転させると、略同一円周上において接触子161が軌道上の絶縁膜を削り落とすような状況となり、接触子161と軌道との電気接続を確実に行い得るようになっている。
【0016】
また、複数の接触子161の略中央部には、マグネット181が設けられており、このマグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっている。なお、接触子161が突出する方向とは、接触子161が軌道に当たりにいく方向である。上記のようなマグネット181が設けられることによって、軌道短絡器具10の接触子161を軌道に近づけるだけで、マグネット181が軌道に吸着し、これに伴い、接触子161も軌道に固定されることとなる。
【0017】
本発明に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100は、上記のようなマグネット181によって接触子161を固定させる力を発生させることができること、及び、複数の接触子161が略同一の円周上に配置されていること、及び、凹凸形状のグリップ性がある把持部110を利用し回転力を加えやすい構成となっていることで、複数の接触子161を略同一の円周上で移動させて確実に軌道上の絶縁膜を除去し、第1軌道接触部材100が接触する軌道と第2軌道接触部材200が接触する軌道とを確実に短絡させることができるようになっている。すなわち、本発明に係る軌道短絡器具10によれば、軌道間を確実に短絡させることが可能となり、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができる。
【0018】
また、把持部110には蓄光塗料が塗布されるており、軌道短絡器具10を軌道上に置き忘れたりすることを防止している。列車検知装置が規定通り動作するか否かを確認する作業は、一般的に、夜間に行われることが多いために、このような夜光性の塗料を把持部110に塗布しておくことは非常に重要なポイントとなる。
【0019】
次に、第1軌道接触部材100の詳細な構造について説明する。本発明に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100は、第1軌道接触部材100を軌道に固定したり、軌道から取り外したりする際に利用する合成樹脂製の把持部110を有している。この把持部110の円筒状外周面111には、図2に示すような凹凸形状部が設けられており、これによりグリップ性を持たせることができ、ハンドリングしやすいようになっている。
【0020】
把持部110の中央部には、貫通穴部112が設けられており、この貫通穴部112から、シャフト部材120のヘッド部121が露出するようになっている。また、把持部110の略同一円周上には、ネジ留め用穴部118が3つ設けられている。これらネジ留め用穴部118を介して、接触部材160のネジ留め用穴部166とネジ115とを螺着することで、把持部110、接触部材160とを一体化することができるようになっている。
【0021】
接触部材160における一方の端部には、略同一円周上に配された複数の接触子161が設けられ、他方端部には、ネジ留め用穴部118と対応するネジ留め用穴部166が3つ設けられている。また、接触部材160の略中央付近には、貫通穴部163が形成された内空壁部162が設けられている。このような接触部材160は、タングステンを含有する合金で構成されたホルソーを用いて構成することができる。
【0022】
接触部材160の周囲には電気接続用リング部材129が配され、この電気接続用リング部材129を介して、接触部材160と短絡導通コード300とが電気接続されるようになっている。
【0023】
シャフト部材120は、ヘッド部121とこのヘッド部121から延在するスリーブ部122を有する部材である。また、スリーブ部122の先端部には、マグネットホルダー180と連結するために用いられる固着用凸部123が設けられている。
【0024】
マグネットホルダー180は、マグネット181を内嵌するための空洞部であるマグネット装着空洞部182と、シャフト部材120との連結に用いられる固着用凹部183とを有している。マグネット181には、ネオジム磁石を用いると、軌道と接触子161との固定などの観点から好ましい。
【0025】
シャフト部材120のスリーブ部122にコイルバネである弾性部材125を挿通した上で、スリーブ部122を貫通穴部163に通して、シャフト部材120の固着用凸部123とマグネットホルダー180の固着用凹部183とを固着させる。これにより、弾性部材125の一方端はヘッド部121に当接し、他方端は接触部材160の上端面164に当接した状態となる。また、マグネットホルダー180の上端面は、接触部材160の下端面165と当接する状態となり、この状態で弾性部材125が蓄勢される状況となる。これに伴い、マグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっている。
【0026】
以上のような構造を有する第1軌道接触部材100が軌道に固定される時の動作、及び軌道から取り外されるときの動作について説明する。図4は本発明の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の着脱を説明する図である。
【0027】
図4(A)は軌道に対して第1軌道接触部材100が固定したときの状態を示しており、図4(B)は軌道から第1軌道接触部材100を取り外すときの状態を示している。
【0028】
第1軌道接触部材100は、把持部110を把持して、接触子161を軌道に近づけるだけで、マグネット181が軌道に吸着することによって、接触子161も軌道に固定されることとなる。これまで説明したように、マグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっており、このような弾性部材125の弾性力を介して接触子161と軌道とが固定されるようになっている。(図4(A)参照。)
上記のように、軌道に固定された第1軌道接触部材100を取り外そうとする際には、図4(B)に示すように、ヘッド部121を押圧すると、弾性部材125の全長が短くなり、これに伴い、接触子161と軌道と間に離間部が生じやすくなる。いったん離間部が生じると、マグネット181を中心に構成されていた磁気回路の一部が断ち切られることとなり、第1軌道接触部材100と軌道との間の吸着力が急減する。本実施形態に係る軌道短絡器具10は、マグネット181として比較的強力なものを用いたとしても、以上のような構成により、第1軌道接触部材100の取り外し性は良好なものとなる。
【0029】
以上、本発明の軌道短絡器具10によれば、第1軌道接触部材100における、互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子161が、軌道上に形成された絶縁間を除去しつつ、軌道に接触するようになっているので、軌道間を確実に短絡させることが可能となり、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができるのである。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本発明の他の実施形態は、先の実施形態と軌道接触部材の構成が異なるのみであるので、軌道接触部材この構成について説明する。また、先の実施形態と同じように、他の実施形態においても、第1軌道接触部材100と第2軌道接触部材200は共に同様の構成であるので、以下、第1軌道接触部材100を例にとり、軌道接触部材の詳細な構造・動作等ついて説明する。
図5は本発明の他の実施の形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の斜視図であり、図6は本発明の他の実施の形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の分解図である。
【0031】
図5及び図6において、100は第1軌道接触部材、110は把持部、111は円筒状外周面、112は貫通穴部、115はネジ、118はネジ留め用穴部、120はシャフト部材、121はヘッド部、122はスリーブ部、123は固着用凸部、125は弾性部材、129は電気接続用リング部材、130は中継部材、131は貫通穴部、132は上端面、133は下端面、137は立設部、138はネジ留め用穴部、139はネジ留め用穴部、160は接触部材、161は接触子、162は内空壁部、163は貫通穴部、164は上端面、165は下端面、166はネジ留め用穴部、167は立設部、168はネジ留め用穴部、169は電気接続用穴部、180はマグネットホルダー、181はマグネット、182はマグネット装着空洞部、183は固着用凹部、をそれぞれ示している。
【0032】
本実施形態に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100には、軌道と直接的に接触する突起状の接触子161が3つあり、それぞれの接触子161が略同一の円周上に配されている。また、第1軌道接触部材100における把持部110の円筒状外周面111には、図5に示すような凹凸が設けられ、把持部110はグリップ性がありハンドリングしやすい構成となっている。円筒状外周面111の中心線は、先の円周の中心を略通るように構成されており、第1軌道接触部材100の接触子161を軌道に接触させつつ、凹凸が設けられた把持部110を持ってこれを回転させると、略同一円周上において接触子161が軌道上の絶縁膜を削り落とすような状況となり、接触子161と軌道との電気接続を確実に行い得るようになっている。なお、本実施形態においては、突起状の接触子161を3つ設けるようにしたが、これより多い数の突起状の接触子161を設けるようにしてもよい。」
複数の接触子161の略中央部には、マグネット181が設けられており、このマグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっている。なお、接触子161が突出する方向とは、接触子161が軌道に当たりにいく方向である。上記のようなマグネット181が設けられることによって、軌道短絡器具10の接触子161を軌道に近づけるだけで、マグネット181が軌道に吸着し、これに伴い、接触子161も軌道に固定されることとなる。
【0033】
本実施形態に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100は、上記のようなマグネット181によって突起状接触子161を固定させる力を発生させることができることと、及び、複数の突起状接触子161が略同一の円周上に配置されていること、及び、凹凸形状のグリップ性がある把持部110を利用し回転力を加えやすい構成となっていることで、複数の突起状の接触子161を略同一の円周上で移動させて確実に軌道上の絶縁膜を除去し、第1軌道接触部材100が接触する軌道と第2軌道接触部材200が接触する軌道とを確実に短絡させることができるようになっている。すなわち、本実施形態に係る軌道短絡器具10によれば、軌道間を確実に短絡させることが可能となり、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができる。
【0034】
また、把持部110には蓄光塗料が塗布されるており、軌道短絡器具10を軌道上に置き忘れたりすることを防止している。列車検知装置が規定通り動作するか否かを確認する作業は、一般的に、夜間に行われることが多いために、このような夜光性の塗料を把持部
110に塗布しておくことは非常に重要なポイントとなる。
【0035】
次に、第1軌道接触部材100の詳細な構造について説明する。本実施形態に係る軌道短絡器具10の第1軌道接触部材100は、第1軌道接触部材100を軌道に固定したり、軌道から取り外したりする際に利用する合成樹脂製の把持部110を有している。この把持部110の円筒状外周面111には、図5に示すような凹凸形状部が設けられており、これによりグリップ性を持たせることができ、ハンドリングしやすいようになっている。
【0036】
把持部110の円筒状外周面111の3箇所には、ネジ留め用穴部118が設けられており、このネジ留め用穴部118と、中継部材130のネジ留め用穴部138を利用しボルトナット(不図示)留めを行うことで、把持部110と中継部材130とを固着することができるようになっている。
【0037】
中継部材130は、把持部110と接触部材160との間に配される構成であり、底面に貫通穴部131を有しており、さらに三方に立設する立設部137とを有している。3つの立設部137には、それぞれ2つのネジ留め用穴部138、ネジ留め用穴部139が設けられている。
【0038】
中継部材130のネジ留め用穴部139を利用して、ボルトナット(不図示)留めを行うことで、中継部材130と接触部材160とを固着することができるようになっている。
【0039】
接触部材160における底面部には、略同一円周上に配された複数の突起状接触子161が3つ設けられている。また、接触部材160は、底面に貫通穴部163を有しており、さらに三方に立設する立設部167を有している。3つの立設部167には、それぞれネジ留め用穴部168、電気接続用穴部169が設けられている。接触部材160のネジ留め用穴部168を利用して、ボルトナット(不図示)留めを行うことで、中継部材130と接触部材160とを固着することができるようになっている。また、電気接続用穴部169を利用して、接触部材160と短絡導通コード300とが電気接続されるようになっている。
【0040】
シャフト部材120は、ヘッド部121とこのヘッド部121から延在するスリーブ部122を有する部材である。また、スリーブ部122の先端部には、マグネットホルダー180と連結するために用いられる固着用凸部123が設けられている。
【0041】
マグネットホルダー180は、マグネット181を内嵌するための空洞部であるマグネット装着空洞部182と、シャフト部材120との連結に用いられる固着用凹部183とを有している。マグネット181には、ネオジム磁石を用いると、軌道と接触子161との固定などの観点から好ましい。
【0042】
シャフト部材120のスリーブ部122にコイルバネである弾性部材125を挿通した上で、スリーブ部122を貫通穴部131に通して、シャフト部材120の固着用凸部123とマグネットホルダー180の固着用凹部183とを固着させる。これにより、弾性部材125の一方端はヘッド部121に当接し、他方端は中継部材130の上端面132に当接した状態となる。また、マグネットホルダー180の上端面は、中継部材130の下端面133と当接する状態となり、この状態で弾性部材125が蓄勢される状況となる。これに伴い、マグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっている。
【0043】
以上のような構造を有する第1軌道接触部材100が軌道に固定される時の動作、及び軌道から取り外されるときの動作について説明する。図7は本発明の他の実施形態に係る軌道短絡器具10における第1軌道接触部材100の着脱を説明する図である。
【0044】
図7(A)は軌道に対して第1軌道接触部材100が固定したときの状態を示しており、図7(B)は軌道から第1軌道接触部材100を取り外すときの状態を示している。
【0045】
第1軌道接触部材100は、把持部110を把持して、接触子161を軌道に近づけるだけで、マグネット181が軌道に吸着することによって、接触子161も軌道に固定されることとなる。これまで説明したように、マグネット181は、弾性部材125によって接触子161が突出する方向と逆の方向に付勢されるようになっており、このような弾性部材125の弾性力を介して接触子161と軌道とが固定されるようになっている。(図7(A)参照。)
上記のように、軌道に固定された第1軌道接触部材100を取り外そうとする際には、図7(B)に示すように、把持部110を把持し第1軌道接触部材100を鉛直方向に対して傾けるようにする。これに伴い、3つの接触子161のうちのいずれかが軌道から離間する。軌道と接触子161との間で、いったん離間部が生じると、マグネット181を中心に構成されていた磁気回路の一部が断ち切られることとなり、第1軌道接触部材100と軌道との間の吸着力が急減する。本実施形態に係る軌道短絡器具10は、マグネット181として比較的強力なものを用いたとしても、以上のような構成により、第1軌道接触部材100の取り外し性は良好なものとなる。
【0046】
以上、本発明の軌道短絡器具10によれば、軌道接触部材における、互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子161が、軌道上に形成された絶縁間を除去しつつ、軌道に接触するようになっているので、軌道間を確実に短絡させることが可能となり、列車検知装置の動作確認を行うための試験作業を簡便に実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
10・・・軌道短絡器具
100・・・第1軌道接触部材
110・・・把持部
111・・・円筒状外周面
112・・・貫通穴部
115・・・ネジ
118・・・ネジ留め用穴部
120・・・シャフト部材
121・・・ヘッド部
122・・・スリーブ部
123・・・固着用凸部
125・・・弾性部材
129・・・電気接続用リング部材
130・・・中継部材
131・・・貫通穴部
132・・・上端面
133・・・下端面
137・・・立設部
138・・・ネジ留め用穴部
139・・・ネジ留め用穴部
160・・・接触部材
161・・・接触子
162・・・内空壁部
163・・・貫通穴部
164・・・上端面
165・・・下端面
166・・・ネジ留め用穴部
167・・・立設部
168・・・ネジ留め用穴部
169・・・電気接続用穴部
180・・・マグネットホルダー
181・・・マグネット
182・・・マグネット装着空洞部
183・・・固着用凹部
200・・・第2軌道接触部材
300・・・短絡導通コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軌道接触部材と、前記第1軌道接触部材と異なる第2軌道接触部材と、前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材との間を導通する短絡導通コードと、を有し、
前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材とが、互いに並行して敷設された軌道に接触することによって軌道間を短絡する軌道短絡器具であって、
前記第1軌道接触部材と前記第2軌道接触部材とは共に、
互いに略同一の円周上に設けられた複数の接触子と、
円筒状外周面に凹凸が設けられた把持部と、
前記複数の接触子の略中央部に配されたマグネットと、
前記マグネットを前記接触子が突出する方向と逆の方向に付勢する弾性部材と、を有することを特徴とする軌道短絡器具。
【請求項2】
前記把持部に蓄光塗料が塗布されることを特徴とする請求項1に記載の軌道短絡器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−195072(P2011−195072A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65684(P2010−65684)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(591048830)日本電設工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】