説明

軟組織の光熱治療

軟組織を治療する装置および方法が提供されている。この装置は、光源と少なくとも2の光学アセンブリを具える。それぞれの光学アセンブリは、少なくとも1の光学要素と、ほぼ均一な光の分布をそれを通して伝達するよう構成された光伝送接触面とを具える。この装置はさらに、光源と少なくとも2の光学アセンブリの対応する1つとの間にそれぞれ配置される少なくとも2の光伝送デバイスを具える。この装置はさらに、少なくとも2の光学アセンブリが取り付けられるハンドピースを具えており、少なくとも2の光学アセンブリの光伝送接触面を間に位置する軟組織と接触させるよう適用される。方法は、2の対向する光を放出する光学アセンブリの光伝送接触面の間に扁桃組織の部分を圧縮してほぼ平坦にし、光学アセンブリのそれぞれの光学要素内に光を導入するステップと、光学要素から光伝送接触面を通って扁桃組織に光を誘導することにより、ほぼ均一な光の分布で扁桃組織を照射するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年11月24日出願の米国仮特許出願第61/117,279号の権利を主張するものである。
【0002】
上記出願のすべての教示は、参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
「扁桃摘出に随伴する病的状態をなくすための調査は、耳鼻咽喉科医に数世代にわって議論されている」(Colen2008)と言われてきた。小児科患者の口蓋扁桃(以降では「扁桃」と称す)の切除に対する適応症は再発性か慢性の扁桃炎であり、閉鎖性睡眠呼吸障害(OSDB)を伴う肥大性扁桃である。睡眠時無呼吸を伴う重度のOSDBは、深刻な病的状態、および記憶、認知、および学業に影響を与える著しい神経行動学的な病的状態を伴う軽度から中程度のOSDBと関連している(Galland2006)。近年、子供の扁桃摘出に対する主な適応症として、扁桃肥大が扁桃炎を上回ってきた。成人では、主な適応症は扁桃炎である。米国では毎年、約900,000件の扁桃摘出がある。
【0004】
扁桃は口腔咽頭部の側壁に位置する免疫システムの器官であり、健康時には1組のほぼ楕円の構造のように見える。扁桃の側面を覆っている結合組織の薄い密集した層である扁桃被膜は、重要な身体構造上の参照点である。この被膜の真下は疎性結合組織の層であり、この層の下は嚥下に用いる咽頭の筋肉である。被膜と近接するこれらの筋肉が扁桃床を形成する。被膜は扁桃の露出している内側面には延在せず、口腔咽頭部の残りの部分のように、扁桃の露出した表面は下部の粘膜固有層と共に上皮を構成する粘膜層である。しかしながら、扁桃の表面は多くの憩室(「くぼみ」)で区別されており、これは大きさは異なるが、被膜まで深部に延在する。被膜が同様に扁桃実質組織内に延在して、扁桃を複数のリンパ組織のローブに分ける線維血管性中隔を形成する。
【0005】
出生時には初期扁桃のみがあるが、その後直ぐに、リンパ系細胞の急速な増殖と、それに比例した扁桃サイズの拡張がおこる。扁桃の免疫活性は、初期の小児期で最大となる。人生の次の10年までに扁桃のリンパ成分は退縮し始め、被膜の線維血管性組織や中隔が比例して増加し、これにより扁桃は、人が老化するにつれて再び小さくなるが更に線維化しながら萎縮する(Isaacson2007)。
【0006】
扁桃疾患を持たない1乃至11歳の子供のMRI検査(Arens2002)は、年齢に関わらず、気道を横切り両方の扁桃の中心を通る線に沿った平均の扁桃間の距離は約7mmであることを明らかにした。この母集団の年齢増加に伴い、この線に沿った両扁桃の合計幅は約33mm乃至42mmに増加する。従って、通常の成長であっても、若年の子供の扁桃は気道に対して非常に大きい。扁桃肥大は、気道を傷つけるような扁桃のリンパ成分の異常な拡大を伴う。成人は一般に、閉鎖性睡眠時無呼吸に対する口蓋垂口蓋咽頭形成(UPPP)術の一部として扁桃を除去してもらうが、OSDBが原因の(アデノイド肥大を含むまたは含まない)扁桃肥大は小児症状である。子供の閉鎖性睡眠時無呼吸の最小有病率は、約2乃至3%と見積もられてきた(Young2002)。米国のみでは、最新の調査データに基づいて、9歳以下の4000万人の子供の母集団のみを考慮すると、この有病率は、OSDBを有する800,000乃至1,200,000人の子供に相当する。米国小児科学会は近年、いびきに対する1歳以上の子供すべてのスクリーニングを推奨している。
【0007】
扁桃の免疫細胞が病原体に圧倒された場合に、成人と小児集団の双方で扁桃炎が起こる。抗生物質は多くの場合、再発性の扁桃炎を有する患者の急性扁桃炎を防ぐには効果的ではない。効果を欠く理由が、扁桃陰窩内の細菌による生物膜の形成の場合がある(Chole2003)。炎症は、再発性または慢性の扁桃炎を有する患者の扁桃に線維症または瘢痕組織形成を招いてしまう。
【0008】
肥大性扁桃の病態生理学は、再発性、慢性の扁桃炎を有する扁桃とは異なる。肥大した扁桃に流れる血液は、普通の対照扁桃に流れる血液よりも著しく多く、一方で慢性の扁桃炎では血流は減少する(Ozdemir1985)。扁桃摘出を行う子供の口腔咽頭部の形態学的研究によるデータは、肥大性扁桃は扁桃炎患者の扁桃よりも低密であることを示している(Brodsky1989)。
【0009】
再発性、慢性の扁桃炎または扁桃肥大の何れかを有する患者の扁桃は、サイズが広い範囲にあることを明らかにしている。OSDBの治療を受けた31人の子供から切除された扁桃は、体積が5ml乃至18mlの範囲で平均10.18mlであった(Arrarte2007)。この範囲は、再発性の扁桃炎を有する子供45人の扁桃の質量の範囲(3乃至18.2g、平均8.8g)とほぼ同等である(Stearns1983)。扁桃肥大、または再発性か慢性の扁桃炎を有する患者の最近の調査では、2乃至12歳の患者50人は4.0乃至17.6g(平均8.7g)の範囲の扁桃重量を有しており、12乃至47歳の患者50人では、この範囲は4.8乃至19.8g(平均9.4g)であった(Michel2008)。
【0010】
扁桃摘出手術は、適応症、患者の年齢、または扁桃のサイズに関わらず基本的に同じである。扁桃は扁桃被膜と扁桃床の咽頭筋の間の疎性結合組織における手術平面で切除される。この方法では、扁桃のリンパ系組織は完全に除去され、筋への損傷は最低限となる。
【0011】
多くの異なる切断器具を使って扁桃を切除することができ、例えば、出血を制御する結紮または電気メスと共に「刃物」器具(メス、鋏、スネア、または小刀)や、単極か両極の電気メス、およびレーザ(CO2または倍波Nd:YAG)のような「高温」器具を使用する。これらの方法の違いは、扁桃床に発生する残留熱損傷の量による。すなわち、刃物の手法は殆どまたは全く残留損傷がなく、術後の痛みが少ない手法に関連しており、電気メスはさらに残留損傷を発生させるが、最も優れた術中の止血も提供する。近年、扁桃摘出について新しい技術が開発され使用されてきた。これらは、超音波切開(オハイオ州、シンシナシティ、Ethicon Endo−Surgery社、Harmonic Scalpel(超音波メス))、プラズマ援用高周波切除(カリフォルニア州、サニーベイル、ArthroCare社、Coblation(コブレーション))、アルゴンプラズマ凝固(ドイツ、チュービンゲン、Erbe Elektromedizin社)、および圧力援用組織結合(カリフォルニア州、サニーベイル、Starion Instruments社、ENTceps)を含む。利用される技術や損傷を最低限にするために行われる治療に関わらず、扁桃の切除は最終的には扁桃床における開放創であり、数日間におよび二次癒合で回復する。扁桃摘出手術から回復するまでの間の痛みは、咽頭壁の神経過敏、炎症、および筋痙攣に起因し、経口摂取の減少、脱水症、および感染症も引き起こしうる実質的な病的状態である。成人における近年の調査は、著しい扁桃摘出後の痛みの平均期間は11日であり、術後の最初の5日間この痛みは比較的変化せずに残ることを明らかにしている(Salonen2002)。成人は多くの場合、扁桃摘出後に職場復帰するまで、回復に2週間必要とする(Magdy2008)。慢性か再発性の扁桃疾患を有する多くの成人は、長引いて苦痛を伴う回復を経験するのが不本意であるか無理であるため治療を見合わせる。子供は痛み止めに拘わらず扁桃摘出後の少なくとも2日間は中程度から重度の痛みがあり、通常は普段の活動を再開するのに数日必要とする。回復中に嚥下したときの痛みは、脱水症や病院への再入院を招くことがある。扁桃摘出後の子供の看病は、両親の欠勤や更なる経済的治療費を伴う。扁桃摘出の適応症としての肥大性扁桃の重要性の増加は、近年、更に若い患者に至ってきた。脱水症や出血のリスクは、小さな子供にはより重大であり、術後の痛みや出血のリスクを最小限にする手法を探す更なる動機付けとなってきた(Derkay2006)。
【0012】
子供と成人の双方にとって、最も深刻な扁桃摘出の合併症は出血である。術後の出血の発生率は約5%であり、手術の24時間以内に起こる第1次と、後で起こる第2次とに分類される。第2次出血は手術焼痂が脱落して扁桃血管の断端に露出した場合に起こり、殆どの場合に術後4乃至7日に発生する(Windfuhr2008)。第2次出血は患者が救急医療から離れているときに起こるため、生死に関わる場合があり特に危険である。子供は血液動態の余量が小さいため、特に第2次出血の結果としてリスクにさらされる(Okuyucu2008)。第2次の術後の出血の発生率は、扁桃摘出技術の発展に拘わらず1乃至3%で一定のままである(Colen2008、Windfuhr2008)。出血を伴う総ての患者の約半分は手術室へと戻る(Bhattacharyya2001)。
【0013】
アデノイド切除は多くの場合、子供の扁桃摘出術で実行されるが、アテノイド切除は痛みや出血のリスクが低い。アテノイド切除による以下の扁桃摘出後の病的状態は、処置した扁桃摘出部に起因する。
【0014】
扁桃摘出の切除術の固有の病的状態の結果として、最近の関心は別の(包内扁桃摘出、または扁桃切除術としても既知の)部分的扁桃摘出にあり、外科医は扁桃の大部分を除去するが被膜上の組織のバリアは残しておく。過去15年にわたって、CO2レーザ、コブレーションおよび動力マイクロデブリッダ(フロリダ州、ジャクソンビル、Medtronic Xomed社、Straightshot)を含む様々な技術を用いて、部分的扁桃摘出術で扁桃を切除してきた。しかしながら、通常の扁桃摘出の切除術と比較すると、部分的扁桃摘出術は、術後の最初2日後になって術後の痛みが低下することを明らかになっている(Chang2008)。部分的扁桃摘出術は「生物学的ドレッシング」として機能する組織を保護し、咽頭筋の炎症や刺激を緩和することができるが、術後の第2次の適応症までには回復すべき扁桃床における開放創はまだ存在している。部分的扁桃摘出術は、第2次の術後の出血の問題をなくすものではない。
【0015】
最近の扁桃摘出の論文は、「外科技術の著しい改良に関わらず、器具および麻酔送達、術後の合併症および通常の食事や活動への復帰が比較的遅いことは、外科医、患者を問わず重要な課題を残している」と述べている(Roth2008)。この非常に一般的な手術の病的状態や社会経済的な負担は、かなり残っている。本発明は、扁桃疾患を治療する装置および方法を提供すること関し、以下の、術後の出血がない、術後の痛みが非常に緩和される、術中の出血が最小限またはない、通常活動への術後の復帰がより早い、使用が簡単で学習曲線が短い、手術時間が短い、コストと経済的負担が少ない、および局所麻酔下で適切に子供や成人に実施可能であるという利点を有している。
【発明の概要】
【0016】
一態様では、本発明は軟組織を治療する装置に関するものである。この装置は、光源と少なくとも2つの光学アセンブリを具える。光学アセンブリはそれぞれ、少なくとも1つの光学要素と、その中を通ってほぼ均一な光の分布を伝達するよう構成された光伝送接触面とを具える。この装置はさらに、光源と少なくとも2つの光学アセンブリの対応する1つとの間にそれぞれ配置された少なくとも2つの光伝送デバイスを具える。この装置は、少なくとも2つの光学アセンブリが取り付けられるハンドピースも具えており、これは少なくとも2つの光学アセンブリの光伝送接触面を間に位置する軟組織と接触させるよう構成されている。
【0017】
本発明の他の態様では、この装置は少なくとも2つの対向する光学アセンブリを具え、ほぼ均一な光の分布を生成するようそれぞれ構成される。これらの光学アセンブリはそれぞれ、光伝送デバイスによって光源に連結されている。光学アセンブリは、光伝送デバイスからの光を受けるよう適用された光学要素と、光を軟組織に伝達するよう適用された光伝送接触面とを具える。
【0018】
更に他の態様では、この装置は組織の表面を照射する。この装置は、ハウジングと、抽出機構を有する実質的に硬質な導光板と、光伝送接触面を有する接触要素とを具える。この装置はさらに、接触要素に隣接する冷却層を具えており、これにより、光を放出する前、最中、またはその後に冷却層内に注がれた流体が接触面から熱を取り除く。デバイスのハウジング内に誘導され、導光板の外側縁に当たった光は、導光板を通って組織表面に対し実質的に平行な方向に伝播し、ほぼ均一な照射で接触面において放出される。
【0019】
更に他の態様では、この装置は、ハウジングと、抽出機構と接触面を有する実質的に硬質な導光板とを具える。この装置はさらに導光板に隣接する冷却層を具えており、これにより、光を放出する前、最中、またはその後に冷却層内に注がれた流体が導光板の接触面から熱を取り除く。ハウジング内に誘導され、導光板に当たった光は、導光板を通って組織表面に対し実質的に平行な方向に伝播し、ほぼ均一な照射で接触面において放出される。
【0020】
更に他の態様では、この装置は、光源と、少なくとも1つの光学要素とこれを通ってほぼ均一な放射分布を伝達するよう構成された光伝送接触面を有する少なくとも1つの光学アセンブリとを具える。この装置はさらに、光源と光学アセンブリの間に連結された少なくとも1つの光伝送デバイスと、少なくとも2つの遠位部分を有するハンドピースとを具える。これらの遠位部分は、その間に軟組織を把持し、光学アセンブリの光伝送接触面を軟組織と接触させるよう適合される。光学アセンブリは、遠位部分の一方に取り付けられる。
【0021】
本発明の一態様では、方法は、2つの対向する光を放出する光学アセンブリの光伝送接触面の間の扁桃組織の部分を圧縮して実質的に平らにし、光を光学アセンブリそれぞれの光学要素に導入するステップと;光学要素から光伝送接触面を通って扁桃組織にほぼ均一な光の分布で光を誘導することにより、扁桃組織を照射するステップとを具える。
【0022】
他の態様では、この方法は、光伝送接触面と光を放出しない表面の間の扁桃組織の部分を圧縮して実質的に平らにし、光を光学要素に導入するステップと;光学要素から光伝送接触面を通って扁桃組織にほぼ均一な分布で光を誘導することにより、扁桃組織を照射するステップとを具える。
【0023】
従って、対向する光伝達冷却面を有するハンドピースを用いる扁桃を治療する方法および装置が提供されており、扁桃はこれらの面の間に保持されて徐々に圧縮され、表面からの光で照射することができ、これにより扁桃実質組織が加熱され、即時型および遅延型の壊死細胞の消滅や遅延型の組織の退縮を含む生物学的反応が導入され、扁桃の粘膜層は実質的に加熱されず、粘膜層への熱傷は実質的に避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
上記のものは、本発明の例示的な実施形態における以下の更に具体的な説明から明らかであり、添付の図面に示すように、参照文字は異なる図面を通して同じ部分を意味する。この図面は一定の縮尺である必要はなく、本発明の例示的な実施形態を代わりに強調している。
【図1】図1は、口腔咽頭部の概略図である。
【図2】図2は、扁桃の解剖学的構造の概略図である。
【図3】図3は、様々な種類の軟組織について算出された光の浸透深さ1/eと、希釈血液と水の吸収係数の比を示している。
【図4】図4は、酸化ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、水、全血、および乾燥ゼラチンの吸収スペクトルを示している。
【図5】図5は、900乃至1300nmの範囲における、算出された扁桃組織の吸収スペクトルを示している。
【図6】図6は、組織についての減少する散乱係数を示している。
【図7】図7は、40乃至70℃で1乃至7分間加熱された人間の扁桃組織の組織学的結果を示している。
【図8】図8は、冷却されたサファイア要素を通して2分間、10Wの動力で直径20mmの平行ビームにおける1120nmの光で扁桃を照射したモデル計算の結果を示している。
【図9】図9は、冷却されたサファイア要素を通して6分間、7.5Wの動力で直径20mmの平行ビームにおける1120nmの光で扁桃を照射したモデル計算の結果を示している。
【図10】図10は、2つの光を放出するサファイア接触要素の間に、厚さ2cmを有するほぼ平均サイズの扁桃の場合についてのモデル計算の結果を示している。
【図11】図11は、2つの光を放出するサファイア接触要素の間に、厚さ2.4cmを有する大きい扁桃の場合についてのモデル計算の結果を示している。
【図12】図12は、2つの光を放出するサファイア接触要素の間に、厚さ1.1cmを有する小さい扁桃の場合についてのモデル計算の結果を示している。
【図13】図13は、光学アセンブリが取り付けられた状態の本発明のハンドピースの半概要図である。
【図14】図14は、本発明の装置を示している。
【図15】図15は、光学アセンブリを有するハンドピースの遠位部分と、グリッド要素の図である。
【図16】図16は、センサ針が取り付けられた状態のグリッド要素を図示している。
【図17】図17は、光学アセンブリが取り付けられ、センサ針付のカラー要素が取り付けられた状態のハンドピースの遠位部分の図である。
【図18】図18は、光学アセンブリが取り付けられ、使い捨てスリーブで覆われたハンドピースの図である。
【図19】図19Aおよび図19Bは、使い捨てスリーブで覆われた光学アセンブリが取り付けられた状態のハンドピースの遠位部分と、光学アセンブリに取り付けるグリッド要素とを示している。
【図20】図20A乃至図20Dは、反射表面を有する複数のプリズムを具える光学アセンブリを示している。
【図21】図21A乃至図21Cは、複数の細長い鏡を具える光学アセンブリを示している。
【図22】図22Aおよび図22Bは、複数の細長い鏡と冷却チャネルとを具える光学アセンブリを図示している。
【図23】図23A乃至図23Cは、複数の鏡を具える光学アセンブリを図示している。
【図24】図24Aおよび図24Bは、抽出機構を有する導光板を具える光学アセンブリを図示している。
【図25】図25Aおよび図25Bは、片面に抽出機構を有する導光板の概略図である。
【図26】図26Aおよび図26Bは、導光板と冷却層とを具える光学アセンブリを図示している。
【図27】図27は、導光板と冷却層と冷却層の窓とを具える光学アセンブリを図示している。
【図28】図28は、導光板の近位表面に隣接して配置された冷却層を有する、導光板を具える光学アセンブリを図示している。
【図29】図29は、反射プレートに隣接して配置された冷却層を有する、導光板と反射プレートを具える光学アセンブリを示している。
【図30】図30Aおよび図30Bは、反射プレートか、反射プレート上のコーティングと接触する導光板の抽出機構を図示している。
【図31】図31は、導光板と集束機構を有する光学アセンブリを図示している。
【図32】図32は、発色団針が取り付けられた状態のグリッド要素を図示している。
【図33】図33は、異なる量の発色団コーティングを有する発色団針で扁桃を治療するモデル計算の結果を示している。
【図34】図34は、発色団針でおよび発色団針なしで扁桃を治療するモデル計算の結果を示している。
【図35】図35は、表面積を増加させる針の断面形状の例を示している。
【図36】図36は、部分的な創傷を作る発色団針で組織を治療するモデル計算の結果を示している。
【図37A】図37Aは、第2の例の光学アセンブリのハウジングを示している
【図37B】図37Bは、第2の例の光学アセンブリの光学スタックの要素を示している。
【図37C】図37Cは、側壁をコーティングした状態の導光板を示している。
【図37D】図37Dは、側壁をコーティングした状態の導光板を示している。
【図37E】図37Eは、第2の例の光学アセンブリの導光板の抽出機構を示している。
【図37F】図37Fは、第2の例の光学アセンブリの照射図を示している。
【図38A】図38Aは、第3の例の光学アセンブリのハウジングを示している。
【図38B】図38Bは、第3の例の光学アセンブリの抽出機構を有する導光板を示している。
【図38C】図38Cは、第3の例の光学アセンブリの照射図を示している。
【図39】図39は、第4の例の光学アセンブリの照射図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。
【0026】
本発明は、対向する光伝達冷却面を有するハンドピースを用いて扁桃を治療する方法および装置が提供されており、これにより扁桃がこれらの面の間に保持され徐々に圧縮されて、面からの光で照射することができ、これにより扁桃実質組織が加熱され、即時型および遅延型の壊死細胞の消滅や遅延型の組織の退縮を含む生物学的反応が導入され、扁桃の粘膜層は実質的に加熱されず、粘膜層への熱傷は実質的に避けられる。
【0027】
本発明の他の目的は、扁桃を加熱して扁桃に付随する生物膜を傷つけるか破壊する装置および方法を提供することである。特に、扁桃を加熱すると、扁桃の陰窩内、扁桃実質組織内、あるいは扁桃の表面かその近くにおける生物膜、細菌または感染物質を加熱し、再発性の感染症および/または扁桃の炎症の潜在的な原因を破壊するか取り除くことができる。本発明を用いて、存在している生物膜または細菌を含む感染物質の少なくとも一部を同時に低減させて、扁桃を収縮させることができる。代替的に、本発明を用いて、扁桃の部分的または完全な収縮を同時に引き起こすか、引き起こすことなく、扁桃を治療し、存在する生物膜または細菌を含む感染物質の少なくとも一部の量または活動の低下を誘発することもできる。
【0028】
扁桃は側方咽頭壁における1組の構造として見ることができる。図1は、扁桃1を明視するために用いる舌圧子4に加えて、口蓋垂2および舌3を含む口腔咽頭部の概略図である。慢性か再発性の扁桃炎または肥大化の結果として治療を要する扁桃は、扁桃毎に約3cm乃至約18cmの広い範囲のサイズを示している。単純な球形と仮定すると、扁桃は直径約1.8cm乃至3.3cmに分布するであろう。球状の扁桃が平行な平面の接触面の間に保持され圧縮された場合、この扁桃はほぼ円筒の形状を呈するようになる。扁桃が18cmのサイズを有して非常に大きく、球径の75%まで圧縮された場合、ハンドピースの接触面は2.4cm離れるであろう。2つの接触面は、圧縮された扁桃の表面領域を完全に覆うため、それぞれ直径が少なくとも3.1cmでなくてはならない。同じ扁桃が球径の60%に圧縮される場合、これらの接触要素は2.0cm離れ、ハンドピースの接触面は少なくとも3.4cmの直径でなくてはならない。3cmの小さい扁桃が球径の75%または60%に圧縮される場合、平面の接触要素の間隔はそれぞれ1.3cmまたは1.1cmとなり、接触要素はそれぞれ少なくとも1.7および1.9cmの直径を有さなくてはならない。実際の扁桃は球形から外れており、3cm乃至18cmの範囲外の場合もあり、本発明のハンドピースの接触面は平面または平行である必要はないということは認識されているが、本発明の接触要素によって保持され徐々に圧縮される扁桃は、この概算に基づいて、最大約3cmの厚さ、最大約4cmの直径を有するものと見込むことができる。
【0029】
従って、本発明によると、直径が最大約4cmの光伝送接触面を有するハンドピースを用いて、これらの面の間に位置する最大約3cmの厚さの扁桃組織を照射して加熱するための光を伝送することができる。
【0030】
扁桃組織の組成の異質性も、本発明において考慮に入れられる。図2は扁桃1の生物学的構造の概略図であり、扁桃内に延在して枝分かれしている陰窩100を含んでいる。線維血管性隔壁102aが、扁桃と咽頭壁の下部の疎性結合組織5および筋層6との間にある被膜102bから伸びている。粘膜層103は扁桃の露出した表面全体を覆っている。扁桃実質組織101は、下部の被膜および扁桃表面の粘膜層を除く、(リンパ系細胞および組織、連結または線維細胞および組織、および扁桃内の血管や血管細胞を含む)扁桃組織として本書では規定する。扁桃は、扁桃疾患の種類、病状または病気の重症度、患者の年齢、および個々の患者の多様性の結果として、血管分布、サイズ、およびリンパ系組織や線維組織の相対量において大きなばらつきを示す。本発明は、扁桃疾患の広い範囲にわたり、不均一かつ変異性の扁桃の光熱治療を可能にする方法、デバイス、およびシステムを提供している。
【0031】
扁桃組織の光学的特性
光熱治療は、生物組織の(任意の波長の電磁放射として本書では規定する)光との相互作用を伴う。組織内の内因性(生まれつきの)または外因性(付加された)発色団が光の一部か総てを吸収するように光が組織へと誘導され、その結果、組織内に熱を生成して所望の物理的および/または生物学的反応に影響を与える。組織応答は、即時および/または遅延型がありうる。基本的な光熱治療の原理は当該技術分野における当業者には既知であり、これらの原理は、多くの臓器、組織の種類および病状の治療に実施されてきた。この治療に含まれる1または複数の組織の生物学的および光学的(吸収および散乱)特性の情報が、特定の医学的問題への光熱治療の原理の適用には必要である。組織発色団の吸収スペクトルの照合に加えて、治療に利用される光の1または複数の波長も、光を散乱かつ吸収する組織内の浸透深さに基づいて選択しなければならない。さらに、組織に伝送される光の量は、光の吸収が組織内の所望の温度上昇につながるように、組織の物理的大きさや熱的特性に基づいて選択しなければならない。さらに、上昇する温度に対する組織の生物学的応答の情報も必要である。さらに、生体組織に対する血液灌流の光の干渉への影響も考慮に入れる必要がある。
【0032】
従って、基本的な光熱治療の一般的な原理は当業者に大体は知られているが、特定の医学的問題にこれらの一般的な原理を適用するために必要とされる組織の光学的、熱的、および生物学的特性の情報を入手できないことがある。扁桃治療の問題について、光学的特性のデータは実質的に不足しており、重要な波長領域は分かっていない。特定の時間、特定の温度に加熱する作用といった扁桃組織の生物学的応答も分かっていない。これらのデータなしでは、光の照射に対する扁桃組織の反応を予想することはできず、扁桃の光熱治療に対する最良のパラメータ範囲を決定することはできない。この点で、光で扁桃を治療するための方法および装置を開発する最初のステップとして、扁桃組織の光学的特性が広い範囲の波長にわたって発見されてきた。さらに、扁桃の病理を伴うこれらの光学的特性の予想される多様性が見出されてきた。
【0033】
光熱治療における最善の結果のため、光の浸透深さは加熱される組織の厚さと同じ桁となるべきである。上述のように、治療を必要とする扁桃の厚さは通常、本発明による接触面の間に保持された場合、約1cm乃至約3cmの範囲、最大約4cmの直径の表面積が想定されるであろう。固有の光学定数(吸収係数μ、散乱係数μ、および異方性因子g)が特定の組織の種類に対する波長の機能として既知の場合、その組織における光の浸透深さを計算することができる。光学定数は、扁桃組織について近赤外(NIR)における2つの波長(1064nmおよび805nm)のみ、実験的に測定されている(Shah2001)。これらの波長は最も一般に利用できる手術用レーザ(ネオジムYAGおよび半導体ダイオード)の2つの出力に対応しており、必ずしも扁桃の光熱治療に対する最善の波長に対応はしていない。
【0034】
この点で、扁桃治療の問題を解決する出発点として、他の軟組織に関する既報のデータが研究され、およそ1センチメートル以上の深さまで組織に浸透し加熱するのに最も有用そうな波長の範囲が見出された。人間の真皮、人間の皮膚(表皮や真皮)、豚の肝臓、および人間の脳といった多くの種類の軟組織が、広い波長範囲にわたる過去の光学的特性の測定対象であった。ここに、このような報告書からの図表データが、市販のソフトウェア(ドイツ、ミュンヘン、81669、Rablstrasse18、Ingo Bormann、DigitizeIT Version1.5)およびそれぞれの組織の種類について結果の数値データから算出された浸透深さzを用いてデジタル化され、異なる報告書のデータからの波長の機能として一貫性があるz値のセットを得た。特に、組織のフルエンス率が入射の放射照度Φの1/e(約37%)の数値まで低下する深さzは、z=δ(1+ln(k))を用いて算出され、δ=(3μ(μ+μ(1−g)))−1/2であり、kは拡散反射率R=exp(−7δμ)と共に式、k=3+5.1R−2exp(−9.7R)を用いて同様に得られる後方散乱の項である。これらの計算結果は、1064nmおよび805nmにおいて扁桃組織について報告されている光学定数に基づく結果と共に図3に示されている。様々な軟組織の種類に関するzの絶対値は異なるが、それぞれの種類について最大値は約700nm乃至約1350nmの範囲内に広く位置していることが見て取れる。この計算結果は、600nm乃至1200nm、600nm乃至1000nm、600nm乃至1100nm、600nm乃至1400nmなどとして様々に報告されている、生物学的組織において「治療域」がある技術で広く知られている概念と一致している。更に重大なことに、この領域では、1/e浸透深さzは図3に見られるように、約700nm乃至1350nmの範囲で数ミリメートルから2cmの範囲の最大値を有する。従って、本発明によって治療される扁桃組織を含む、数ミリメートルから3cmの厚さを有する軟組織の光熱治療について、約700nm乃至約1350nmの範囲内位の光の波長が好ましいことは明らかである。
【0035】
脈管構造つまり扁桃内に含まれる血液の量および血液が扁桃に流出入する速度は患者と患者で異なるため、血管分布は別の重要な考慮すべき事項である。血管分布はさらに、扁桃の病的状態にも左右される。扁桃の血液含有量のばらつきは、治療メカニズムが血液に依存するか影響される場合に治療反応におけるばらつきをもたらすであろう。血液に非常に吸収される波長で動作するレーザか他の光源は、より高い血管性の扁桃では高い温度上昇を引き起こすであろう。この温度上昇が扁桃の血管に集中し、これらの構造を凝固させることがある、あるいは熱が扁桃腺の外側に拡散し、周囲の扁桃実質組織を加熱してしまうことがある。血液に非常に吸収される光で扁桃を治療すると、手術の予後の管理が難しくなるであろう。
【0036】
扁桃の血管の性質に関連する他の問題は、熱伝達の制御である。血液を灌流する扁桃は、臓器の外に熱を運ぶ。治療法が光または他のエネルギを用いた扁桃の加熱を伴う場合、血流が総てまたは一部の臓器で起こりうる温度上昇を制限し、その結果、予測不能な方法での治療反応を制限することがある。
【0037】
図3は、可視およびNIRスペクトル領域にわたって、血液による光の吸収と水による光の吸収を比較している。水は、扁桃を含む殆どの軟組織の主な成分である。この図にプロットされた血液の吸収係数は、広い波長範囲にわたって完全に酸化した希釈血液(ヘマトクリット値5%)の既報のスペクトルをデジタル化することによって得られる。希釈血液と水の吸収係数の比率が算出され、図3の実線のようにプロットされた。約1100nmから約2500nmでは希釈血液と水の吸収の比は比較的低く(約2未満)、約1100nm未満の波長では、この比率は大幅に大きくなることが見て取れる。短い波長における高い比率は、血中の発色団酸化ヘモグロビンの存在によるものであり、これは可視およびNIR光を水よりも更に強力に吸収する。約1100nmよりも長いNIR波長では、血液と水は同等の吸収特性を有する。吸収係数の比率は全く希釈していない血液の場合では高くなりうるが、比率が非常に高い最大約1100nmまでの可視およびNIR波長からなる領域と、比率が非常に低く比較的一定なNIRにおける約1100nmから少なくとも約2500nmまでの領域に分けることはできる。
【0038】
図3の算出された吸収係数の比率は、約1100nmよりも短い光の波長に曝された場合、扁桃の血管は周囲の血管がない扁桃組織よりも更に強く吸収することを示している。約1100nmよりも長い波長では、血管性の組織と血管がない組織による吸収はむしろ同等である。従って、血管性の組織と血管がない組織は、約1100nmから少なくとも約2500nmの波長での照射に対して、短い波長よりも一貫して予想通りに反応する。血管性の組織と血管がない組織の実質的に安定した反応は、治療する組織の血管成分が患者間や病状で異なる場合には非常に望ましい。
【0039】
光の深い浸透に対応する波長の範囲(約700nm乃至1350nm)は、血液と水による吸収の比率が比較的低くて一定となる範囲(約1100nm以上)と重なる。この重なる範囲は約1100nm乃至1350nmである。従って、本発明の更に好適な実施形態によると、約1100nm乃至約1350nmの範囲のNIR波長が扁桃の光熱治療に使用される。
【0040】
図1の例示的な軟組織は、波長の機能としての浸透深さについて同様の傾向を示しているが、所定の波長に対して組織の種類間の実際のz値の差は非常に大きい。従って、扁桃における1100nm乃至1350nmの範囲のNIR光の効果をさらに特徴付け、扁桃の光熱治療に対してこの範囲内で最も好ましい波長、さらには送達する動力力、照射時間、および他のパラメータを決定するため、扁桃組織について波長特定の光学定数が必要とされる。しかしながら、前述したように、扁桃の内因性の光学定数は、1064nmおよび805nmの2つの波長でのみで測定されている。これらの波長は双方とも、本書において特定された、約1100nmから1350nmの好ましい範囲外である。従って、好適な範囲内の光熱治療の効果を予想するため、未知の範囲における扁桃の光学定数が、扁桃組織の成分や発色団の入手可能な特性を用いる手法に基づいて見出される。前述したように、扁桃組織はリンパ性要素と、粘膜要素と、線維血管性要素とを含むため、関連する組織の発色団は、本書では細胞および細胞外の水分、血液(または、より具体的には酸化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビン)、主に結合組織のコラーゲンを含むプロテインと解釈される。
【0041】
任意の酸素化レベルにおけるNIR波長の範囲の血液のスペクトルの寄与を測定するため、42.1%のヘマトクリット値に相当するヘモグロビン濃度に対する酸化ヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンのNIRの吸収が計算された。結果は、水分吸収率が低い約1100nm未満で重なる範囲における全血データとほぼ一致とする(図4)。軟組織の水分含有量について報告された測定値は、血管内および血管がない組織内に存在する水分を区別していない。このため、ヘモグロビン濃度と全水分含有量を組み合わせて、軟組織における血液と水分の組み合わせを表すのが適切である。
【0042】
特定の酸素飽和度およびヘマトクリット値の血液含有量について上述のように計算された、波長の機能としての酸化ヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの適切な混合物の吸収係数は、次いで血液、水、およびコラーゲンの成分に基づいて扁桃組織の吸収係数を構成するために使用される。非脂肪の軟組織内のわずかな全水分量は約0.80である。血液濃度は非常に変わりやすいが、2乃至6%の値が通常の組織については一般的である。42.1%の血液ヘマトクリット値が一般的であり、0.8の酸素飽和度がよく酸化する組織に対する通常の範囲内である。組織の残りの部分はコラーゲンであると本書では仮定する。組織の吸収係数は、全組織の割合に重点を置いた成分の吸収係数から計算することができる。コラーゲンについては、ゼラチンのデータが使用された(図4参照)。コラーゲン(ゼラチン)のデータが利用可能なスペクトル領域全体(900nm乃至1300nm)について、この計算結果が図5に示されている。
【0043】
計算されたスペクトルは、図5に示すように1064nmにおいて、資料から入手可能なこの範囲内の扁桃組織の実験値と非常に整合が取れることが分かり、以前は未知だった扁桃組織の光学的特性を見出すために本書で開発された、理論的アプローチの妥当性や正確度を裏付けしている。資料の数値は、扁桃摘出で切除された扁桃試料の測定値の平均として報告されており(Shah2001)、扁桃摘出を必要とする標準的な人の扁桃に相当すると仮定できる。1064nmにおける人間の扁桃に対する吸収係数の平均的な実験値は、6%の血液含有量を有する組織に対する計算値に最も近いが、約1100nm乃至1350nmの好適な範囲内では、扁桃組織の算出した吸収係数は血液含有量に対してほぼ一定であることが図5から見てとれる。従って、扁桃組織の吸収係数の計算では、扁桃の血管分布におけるばらつきに影響されない治療を提供するという本発明の好適な実施形態の目的に従って、この結果はこの波長範囲内では扁桃の血管分布からほぼ独立している。
【0044】
上記の結果に基づいて、上述のように見出された波長の機能としての吸収係数μは、約1100nm乃至約1350nmの最適な波長範囲内における、以前は未知だった扁桃組織の数値について本書で使用される。
【0045】
多くの種類の軟組織について資料で報告された、散乱係数μの実験測定値(または換算した散乱係数μ’=μ(1−g))は、波長の増加に伴い連続的な減少を示している。扁桃に関して利用可能なデータは、805nmにおけるμ=72.7±1.7cm−1、g=0.894±0.003、1064nmにおけるμ=52.0±0.65cm−1、g=0.901±0.005である(Shah2001)。これらのデータは、長い波長において減少した散乱係数と一致している。扁桃組織の換算した散乱係数μ’は、真皮および肝臓に関する資料の数値μ’と共に図6に示している。表皮は主に結合組織であって非常に拡散し、肝臓の実質組織は主に細胞性であまり拡散しないため、表皮が選択されている。しかしながら、双方の組織の種類に関する数値は、800nm乃至1300nmの範囲にわたってほぼ線形に見られる。扁桃は主に細胞状のリンパ系組織から構成されるが、粘膜層および線維血管性隔壁の結合組織の成分は少なく、細胞状の肝臓の散乱係数よりも僅かに大きい散乱係数を有している。この理由に基づいて、1100nm乃至1300nmの範囲の波長に対する扁桃の数値μは、Shahのデータ点から直線的に推定することによって本書では概算され、数値0.9が異方性因子gについて用いられる。
【0046】
以下の表は、上述の方法によってここで見出された、1100nm乃至1350nmの範囲内の選択された波長における、扁桃組織の固有の光学定数一式を集約している。さらに、これらの固有の光学定数から計算された1/e浸透深さzが示されている。

【0047】
最も深部に浸透している波長は、zが約1cmの場合に1100nm乃至1130nmであり、1150nm乃至1350nmの範囲内の他の波長は数ミリメートルのz値を有している。従って、本発明による扁桃光線療法の最適な波長範囲は約1100nm乃至約1140nmである。
【0048】
加熱に対する扁桃組織の生物学的反応
組織の種類で異なる温度上昇と細胞死の間の相関性もまた、以前は扁桃組織について未知であった。この情報は、扁桃の光熱治療の目標温度を決定するのに必要である。
【0049】
扁桃試料は、病院の組織バンクから、組織バンクの職員に予め承諾を得て、身元が確認されない3乃至13歳(平均5.4歳)の合計5人の患者から入手した。扁桃は扁桃摘出の終了1時間内の新鮮なものを受け取り、長軸に対して垂直方向に連続して1.5mm単位に区切られた。患者の治療に必要な組織の細片が取られた後、残った組織は研究に使用された。細片は扁桃の代表の中央断面部であり、加熱前に室温で生理食塩水で湿ったガーゼ上に保持される。28の扁桃の断面は、2リットルのサーモスタット制御された生理食塩水の槽をもちいて、5℃間隔で40から70℃の温度に1、3、5、および7分間曝された。この槽は、組織を加熱する前に、2つのNIST較正された温度計を用いて後述の温度で5分間安定させられる。7つの温度それぞれへの露出は、1人の患者からの組織を用いて実施された。5人のうち2人の患者からの組織は、2つの異なる温度に使用するには十分であった。
【0050】
生理食塩水の槽から取り出した後、断面は直ぐに4乃至10℃の1リットルの生理食塩水で5分間浸され、次いで、失活した細胞内の細胞酵素の不活性化を可能にするため、生理食塩水で湿ったガーゼの上に室温で2時間保持される。28の断面はそれぞれOCT を組み込んだ培養液内で−25℃に凍結され、標識化された電荷コートスライド上で7ミクロンに低温切開された。総ての断面は、組織の表面の100ミクロン内で取られた。(表面において、組織は最も速く生理食塩水の槽と平衡に達する。)低温切開片は次に、微視的分析をするため、ニトロブルーテトラゾリウム塩化物(NBTC)で着色される。NBTCで青に染まると、ミトコンドリアの酵素NADPHジアホラーゼ活性を示し、薄黄色は細胞死と関連する。
【0051】
図7は、上述の扁桃試料の結果を提供している。この図は、4つの断面写真をそれぞれ有する7列を含む。各列は、特定の温度に曝された試料の断面を含んでいる。例えば、最上列は40℃に曝された試料を示し、2列目は45℃に曝された試料を示している。各行は露出時間を示している。例えば、最左欄は1分間曝された試料の断面を含み、最右欄は7分間曝された試料の断面を含む。
【0052】
40および45℃の温度では、組織は4回の露出すべてにおいて完全に生存を示す濃青色の特徴を有する。50℃では、長時間の露出で非常に僅かに黄変する可能性がある。55および65℃の温度に曝された組織は、生細胞と死細胞の間の移行に該当する青みがかった黄色であり、露出時間の増加に伴って生存が減少する。60℃で7分の露出、および65℃で1分露出すると、薄黄色の領域内に幾つかの青い色素が残る。70℃、および65℃で長い時間露出すると、組織は均一に黄色となり、この組織は完全に不活性化したことを示している。
【0053】
この事前の体外実験は直接的な壊死細胞の死滅を明らかにし、血管の鬱血や虚血を含む二次的機構によって体内で増加させることができる。炎症を起こしやすいサイトカインやケモカインのようなものが、細胞の壊死に反応して生成される。従って、本発明に応じて、更に壊死することを見込み、移行している組織、つまり照射の終了直後に少なくとも幾つかの生存細胞と少なくとも幾つかの壊死細胞を含む組織に対応する温度/時間の組み合わせを用いてもよく、光熱照射が終了した後に、扁桃の実質組織の完全な失活化および退縮が体内で時間と共に起こりうる。扁桃サイズの減少は、光熱治療後の術後の期間直ぐには期待できない。直接死滅した細胞から細胞物質が吸収されるにつれて、サイズの減少が治療後の数日から数週間の期間に起こり、更なる扁桃の細胞が二次機構によって死滅し、その物質はその後に破壊され、創傷治癒反応によって除去される。
【0054】
扁桃組織の加熱について望ましくない結果は、熱固着で細胞死が直ぐに終了することである。このような組織は凝固して僅かに収縮するが、機能的な血管が欠如しているため組織の破壊や除去に対して抵抗がある。異物反応が起こる場合もある。本発明によると、扁桃の光熱治療は、扁桃の実質組織の熱固着を起こす、高温および/または長い照射時間を避けるべきである。
【0055】
少なくとも1分且つ7分未満の加熱時間に対し、この実験は、ほぼ全面的な直接的な細胞死や組織の移行を誘発すべく、扁桃組織を50から65℃の範囲に保持するべきであることを示している。1分未満の期間については、60から65℃よりも高い温度が適切となりうる。組織の温度上昇時間が熱露出時間の合計と比較して僅かな場合に水槽実験から得られるこれらの結果は、本発明の装置を利用する光熱治療の場合とは異なると予想され、接触面から放出された光の扁桃組織による吸収が組織内の更に緩やかな温度上昇をまねくであろう。従って、著しい上昇時間を含む、65℃の最大温度に至る1分の露出は、1分間65℃の露出よりも少ない細胞死を発生させるであろう。その結果として、本書の実験は、本発明の方法および装置について、1乃至7分の照射時間が使用された場合に、扁桃実質組織の目標温度は少なくとも約50乃至65℃にすべきであることを示している。実質的に1分未満の照射時間が使用されうる場合、実質組織の目標温度は少なくとも約60乃至65℃にすべきである。ここで規定するように、目標温度は扁桃の照射時間の少なくとも一部にわたって必要な実質温度であり、少なくとも幾つかの扁桃実質細胞の即時型の直接的な死滅、および残りの実質細胞の実質的に一部の遅延型の死滅の結果として、扁桃の相当な術後の退縮を誘発する。
【0056】
光を用いる扁桃治療のパラメータ
上述のように本書で見出された光学定数では、光の様々なサイズおよび状態の扁桃との干渉についてモデル計算を実施し、照射が終了した時のある時点で完全に生存している組織と完全に壊死した組織の間の移行に対応するように、上記で明らかにされた温度を得るための要件を算出することができる。
【0057】
表の定数は概して、扁桃摘出に必要な扁桃の組織に対応する。肥大性扁桃のサイズは、リンパ系成分のサイズの増加に拡大し、度重なる扁桃感染症が起きた後の数人の患者に見つかった硬化扁桃は、結合組織の成分における相対的増加があるということが知られている。従って、所与の波長の光があまり深く浸透しないように、硬化扁桃がさらに拡散することも予想される。従って、表の数値から散乱係数を変化させることにより、大体の硬化扁桃についてモデル計算することができる。
【0058】
ここで、手術室の環境における1つの扁桃に対する照射時間の実用上のおよそ上限は、10分と仮定される。好適には、照射時間は5分未満である。更に好適には、照射時間は3分未満である。最適には、手術室の環境における照射時間は1分未満である。しかしながら、手術室よりも局所麻酔の下での治療について多くの他の利点があるため、診療所または医院の設定では幾らか長い照射時間が可能であることが認められている。
【0059】
上述の扁桃組織と生体染色を用いる実験は、扁桃細胞の生存力は温度に大きく左右されるということを示している。従って、光熱治療からの均一、完全、且つ予想可能な臨床転帰のため、実質的に総ての扁桃実質組織を目標温度に加熱することが必要とされる。この目的は、2つの対向する光伝送面から扁桃組織を照射することによって、および深部に浸透する波長、好適には約1100nm乃至1350nmの波長を利用することによって、本発明の方法および装置で実現する。好適には、扁桃は、照射中のある時点で、少なくとも幾つかの生存細胞と少なくとも幾つかの壊死細胞とを含む組織として規定される、移行している組織に対応する目標温度へと、実質的に幅全体にわたって対称的に加熱される。
【0060】
光の扁桃組織との干渉の初期計算では、任意の厚さの扁桃組織のスラブがサファイアの窓の下に位置する単純なモデルが実装された。1120nmのコリメート光が、窓を通って扁桃組織に誘導された。組織表面における入射ビームの直径は20mmであった。この組織には37℃の初期の生理的温度が与えられ、その熱特性については他のリンパ系組織である人間の脾臓の数値が使用された。このサファイアの窓は30℃の一定温度に保持された。光子伝播モンテカルロ計算および熱伝達計算が、入射レーザパワーおよび合計照射時間を変動させる干渉量に関して実行され、図8および図9のように得られた組織の温度がプロットされた。10Wの入射ビームでは、2分照射した後に、サファイア表面の下の約4mmを中心とした扁桃組織の領域にわたって60から65℃の温度が得られることが見出された(図8)。7.5Wのビームでは、60から65℃の領域を形成するためには6分必要だが、加熱領域は組織内により深くに延在する(図9)。5Wのビームでは、10分未満の照射時間で窓の下に60℃の加熱領域を得ることはできないということを計算は示している。
【0061】
扁桃摘出処置で除去された扁桃に対して、9cmのおよそ平均的な大きさの扁桃の場合を考慮すると、2cm離れた2つの平坦な接触要素の間に保持された場合には球径の約75%の厚さまで圧縮され、上記の初期計算は、片方の接触面のみから20mmの円形スポットの1120nm照射の放出では、レーザパワーおよび照射時間を適切に選択することで、扁桃組織の全2cmの厚さを通して加熱できるが、この加熱は実質的に厚さ全体にわたって不均一であり、照射時間は比較的長くなることを示している。レーザ照射終了時における最大温度は、光伝送接触要素まで5mmまたはさらに近い地点に位置する。
【0062】
扁桃の厚さ全体に更に対称的な熱分布を発生させる、2つの対向する接触面から照射する効果を立証するため、2つの平坦な光伝送接触面間に保持された場合に扁桃がとる形状の典型的な円筒形の小さい、平均、および大きいサイズの扁桃の例についてモデル計算が実行された。
【0063】
図10は、扁桃がサファイアで作られた2つの平行な光伝送窓の間に保持されたとき厚さが2cmとなる、例示的な平均サイズの扁桃に対するモデル計算結果を示している。この厚さは、9gの扁桃に対して2.6cmの球径の約75%に相当する。結果は、2つの接触要素の間の扁桃の中心を通る軸に沿う、光の照射終了時における温度として与えられ、これらの接触要素は30℃の温度に維持される、つまり、生理的温度と比較して僅かに冷たいが室温より上である。各接触要素からの7.5W、1120nm、直径20mmの平行ビームは、約54℃から約69℃の範囲で1乃至4分照射した後、扁桃の中心部にほぼ一定の温度の領域を作り出すことが見出された。この範囲内の温度を得るためにそれぞれの表面から10Wのビームを用いると、温度分布は対称的だが、厚さ全体にわたってはあまり均一ではない。長い照射時間(低い入射照度)は、送達された光エネルギ全体の量に対して、更に均一な分布で深部における相対的な加熱を高める。これらの計算は、約20ワット未満(2つの光放出要素が使用される場合、光伝送要素毎に10ワット未満)の合計レーザパワーで1120nmにおいて、扁桃摘出手術で一般に除去されるサイズの扁桃は、臨床または手術環境で都合が良いように十分に短い時間で約55から約70℃の温度に実質的に加熱できることを示している。粘膜層のおよその位置は、点線の垂線によって図10に示されている。上皮および基底膜を含む扁桃表面の粘膜層の位置に相当する、冷却されたサファイア表面に近接する組織の最初の200ミクロンは、この層が照射によりほぼ損傷しないように十分に低い温度に維持されるということが見出された。
【0064】
図11は、18cmのサイズを有する、例示的な大きい扁桃について計算した結果を示している。サファイアの接触要素は、(扁桃を球径の約75%に圧縮して)2.4cm離れている。ここで、平行ビームは、2つの光伝送接触要素の間に圧縮された扁桃組織の直径とより適合するように、直径26mmまで拡張している。10分未満の照射時間が、各接触要素から6乃至8Wのパワーで約60℃の扁桃温度を作りだす。サファイアの接触要素が照射中に37℃(生理的組織温度)に維持される場合、粘膜層は熱傷に対する閾値より低い温度のままであることをが見出された。サファイアの温度が37℃ではなく30℃に維持される場合、この計算は、同一の照射パラメータで照射している間に、扁桃の粘膜表面と内側の実質組織の双方はあまり加熱されないことを示している。
【0065】
図12は、3cmのサイズを有する、例示的な小さい扁桃の結果を示している。この場合に実行されたモデル計算では、扁桃は、(扁桃を約60%の球径に圧縮して)1.1cm離れたサファイア表面の間に保持される。適合する直径1.6cmの平行ビームを使用して、各接触要素から扁桃を照射した。扁桃の中心における温度は、各要素から7Wのパワーで照射の1秒毎に約0.5℃増加することが見て取れる。従って、これらのモデル計算では、扁桃の少なくとも目標温度に達するのに必要な合計照射時間は短い、つまり1分未満が都合がよく、温度の上昇率は、簡単にモニタすることができる程度に十分に遅いということが分かった。
【0066】
前述のように、治療が必要な扁桃は、サイズだけではなく、リンパ系組織および線維血管性組織または線維性組織の血管分布および相対量も著しく変化する。治療の不確定要素としての扁桃の血管分布は、扁桃を徐々に圧縮して血液の流れと血液の量の双方を減少させる態様により、本発明では最小限となる。しかしながら、線維性または硬化性の扁桃、あるいは特に多くおよび/または厚い線維血管性隔壁を有する扁桃は、比較的大きい結合組織の成分によって特徴付けられた構成の性質である。この結合組織の成分は、扁桃内の光の散乱を高める。扁桃の成分におけるこのばらつきが如何に治療に作用するかを算出するため、通常の扁桃について上記の計算に用いた数値よりも1.5または2.0倍大きい散乱係数μを用いて、例示的に小さい、平均、および大きい扁桃に対するモデル計算を実施した。小さい扁桃についての結果は図12に示されており、散乱係数が50%(100%)増加する場合、7Wのパワーと同等に加熱するのに必要な照射時間は20%(40%)よりも大きいということが見て取れる。非常に大きい扁桃については(図11)、小さい扁桃よりも高い線維性にはならず、同じ照射時間でパワーを増加させることにより、50%増加した散乱係数でほぼ同等の加熱を実現することができる。これらの計算は、照射時間、レーザパワー、またはその両方を増加させることによって、本発明では、さらに線維性の扁桃についてほぼ同じ加熱効果を生み出すことができることを示している。
【0067】
上記の計算で使用されたモデルでは、接触要素は、照射中の扁桃を冷却し、粘膜層への熱傷を防ぐよう機能する。本発明の目的は、扁桃の内側の組織よりも少なく扁桃の粘膜層を加熱することである。上皮と下部の基底膜から構成される粘膜層は、約200ミクロンの厚さである。本発明によると、上皮のすべてまたは殆どが照射時に約50℃よりも低い温度に保持され、実質的な熱傷を防ぐ。好適には、粘膜層のすべてまたは殆どは、レーザ照射時に約50℃よりも低い温度に保持され、実質的な熱傷を防ぐ。上記のモデル計算は、熱伝達係数が大きい材料であるサファイアで作られた光伝送接触要素を使用することによって、このサファイアの要素が37℃またはそれ以下の適度な温度に維持された場合に、粘膜層の厚さ全体を照射時に約50℃よりも低い温度に維持可能であることを示している。適度な冷却温度のみで扁桃の上皮および/または粘膜層を保護する機能は、ここでの数学的モデルのように1120nmを含む、1100乃至1350nmの範囲の深部に浸透する波長を用いるのに重要な利点である。さらに表面に吸収される波長が使用される場合には、扁桃の粘膜表層または上皮への熱傷を防ぐために更に積極的な冷却が必要とされることがある。更に積極的な冷却は、組織のおよその氷点またはそれ以下の温度に維持されたサファイアまたは他の表面材料による接触冷却、あるいは扁桃組織の表面に直接に低温流体または冷却ガスを適用することを含む。組織の表面加熱と積極的な組織の冷却の間の不安定、あるいは冷却システムの故障は、不意の組織損傷を急激に招くことがある。更に積極的な冷却もまた、電力消費、デバイスの複雑さ、およびコストを増加させる。本発明によると、接触面は、照射時に扁桃の粘膜層を冷却して保護するのに十分な温度を有する。接触面は受動的か能動的に粘膜層を冷却することができる。受動的に冷却する接触面は熱伝導性材料で作られた窓であってもよく、これは、扁桃と接触させる前は室温である、あるいは扁桃と接触する前に冷たい環境に配置することで予め冷却される。能動的に冷却する接触面は、照射の前、最中および/またはその後に冷却流体と熱的接触することができる。好適には、接触面の冷却は粘膜槽の保護には十分であるが、扁桃実質組織を加熱するのに必要な照射量を実質的に増加させる程ではない。
【0068】
本発明の他の目的は、扁桃内の生物膜を損傷または破壊すべく、扁桃を加熱する装置および方法を提供することである。具体的には、扁桃を加熱すると、扁桃の陰窩内の生物膜か細菌か他の感染物質を加熱し、扁桃の再発性の感染症および/または炎症の発生源を傷つけるか除去することができる。本発明を用いて、従来の生物膜または細菌を含む感染物質の少なくとも一部を減少させる同時に、扁桃を退縮させることができる。代替的に本発明を用いて扁桃を治療し、扁桃の部分的または完全な退縮と同時にまたは同時ではなく、既存の生物膜または細菌を含む感染物質の少なくとも一部の量または活動の低下を引き起こすことができる。
【0069】
本発明の非常に重要な態様は、2つの光伝送面を用いて有利な方向に、扁桃へと光を伝送することである。この方向は、最も簡単には前方から後方であってもよいが、本発明に応じて、扁桃を通って下部の組織内に通過するというよりは、1の扁桃の外側粘膜面から別の粘膜面へと、上方から下方または光が扁桃を通過する任意の他の方向を利用することもできる。その結果として、扁桃床および扁桃床の下側の重要な血管や神経を加熱する、あるいは影響を及ぼすリスクが最小限となり、扁桃の実質細胞の治療において光は最も効果的に使用される。
【0070】
モデル計算は実際のレーザと組織の相互作用の単純化および概算を含み、本書におけるモデル計算の結果は推定値であると認識される。特に、これらのモデル計算は温度による組織の光学定数の変化、または組織の光学的または熱的特性の異質性を考慮には入れていない。しかしながら、特に数十秒または数十分の比較的長い照射時間でレーザ−組織モデル計算を行うのに通常は著しく複雑な因子である血液灌流は、本発明の組織を圧縮する結果としては重要性は低い。
【0071】
照射時の組織の加熱の制御に加えて、照射が終了した後の組織の温度を制御することが望ましい。扁桃が2つの接触要素の間に圧縮されながら照射および加熱され、上述のように照射の終了で扁桃が開放される場合、血液灌流は回復が期待でき、空気や近接する組織と接触する扁桃は、伝導および対流的なプロセスの組み合わせによって冷却される。この方法で扁桃を冷却するのに必要な時間は、脈管の差異だけではなく大きさによっても実質的に異なる。大きい扁桃は小さい扁桃よりもゆっくりと冷却され、血液灌流が多い扁桃は灌流が少ない扁桃よりも速く冷却される。扁桃の内側からの熱の拡散により、照射が終了した後に組織表面に熱傷が起きることがある。従って、本発明の好適な実施形態によると、扁桃は照射が終了した後に少なくとも2つの冷却された接触要素で圧縮して保持され、照射後の組織温度を低下させる。特に、好ましい実施形態の態様によると、扁桃全体が約50℃かそれ未満の温度に実質的に冷却されるまで、扁桃は冷却された接触要素で保持される。照射された扁桃の実質組織の冷却を制御すると、熱傷の進行を制限し、さらに予想可能な生物学的反応をもたらし、粘膜組織の表層への損傷が最低限となる。照射された扁桃の実質組織の冷却を約37℃乃至約5℃の温度に制御すると、術後の膨脹や痛みのリスクも最小限となる。最適には、本発明によると、実質的に扁桃全体は37℃の通常の生理的温度以下の温度まで冷却されるが、例えば扁桃の実質組織を凍結することによって不可逆の凍傷を引き起こす程低い温度ではない。
【0072】
要約すると、扁桃が少なくとも2つの光伝送接触面の間に保持され圧縮された場合、実質的に厚さ全体にわたって扁桃を加熱できることが見出された。例示的な1120nmの波長を使用すると、接触面それぞれから放出された光は、扁桃のサイズや使用されるパワーに応じて、約30秒から約10分内で移行温度に対応する扁桃の温度を生成する。各光伝送接触面から8Wのパワーでは、非常に大きい扁桃をたった4分で約60℃の温度に加熱できる。この時間/温度の組み合わせは、以前の項に記載の生体染色試験に基づいて、扁桃の治療に効果的であると予想される。扁桃摘出する平均サイズの扁桃は、7.5Wのパワーを用いて3分、または10Wのパワーを用いて2分未満、約65℃の温度に加熱することができる。これらの照射時間は扁桃摘出術において扁桃を切除するのに必要な時間と比較すると短く、従って本発明の非常に有利な態様である。扁桃に粘膜表面は光伝送接触要素を適度に冷却することで、熱傷から保護することができる。様々な組織成分およびサイズの扁桃は、厚さ全体にわたって対称的に加熱することができる。接触面を使用して照射後に扁桃を冷却すると、組織温度の更なる制御を提供し、熱傷を制限し、術後の痛みや膨脹をさらに低下させることができる。
【0073】
モデル計算はその出力として、照射中または照射後における照射された組織内の任意の地点の温度を有するが、扁桃の実際の光熱治療では、センサか測定デバイスを用いて時間の機能として組織温度を追従またはモニタすることが有利であると理解されたい。従って、本発明に応じて扁桃を治療する場合、光熱治療の最中およびその後の扁桃内の少なくとも一箇所の組織の温度を測定するのが好ましい。好適には、これらの温度はモニタされ、扁桃の実質組織内の少なくとも一箇所が目標温度に到達するまで照射が続けられる。最適には、温度は、扁桃の実質組織内の少なくとも一箇所、および扁桃粘膜内、その上、またはその近くの少なくとも一箇所で測定される。最適には、扁桃の実質組織内の少なくとも一箇所の温度が実質組織において目標温度に達するまで照射中にモニタされ、扁桃粘膜上またはその中の少なくとも一箇所の温度は、粘膜温度が照射中に約50℃を越えて上昇しないよう保証するためモニタされる。最適には、照射が終了した後に接触面は扁桃を積極的に冷却し、扁桃の実質組織内の少なくとも一箇所の温度が、術後の冷却が実質組織の温度を約37℃未満に低下させるのに十分であることを保証するため、モニタされる。
【0074】
非常に小さい扁桃について、あるいは複数の連続した治療が実施される場合、1つの光伝送面を用いた扁桃の加熱を利用してもよいと理解されたい。扁桃は2つの対向する面の間に保持され、そのうちの一方のみが光を伝送する。この場合、詳しく上述した2つの対向する光伝送面を用いた場合のように、有利には前方から後方へと扁桃のみを通って光が伝送され、これにより、扁桃床および扁桃床の下部の重要な血管や神経を加熱するリスクが最小限となる。非伝送面は冷却され、対向する面によって伝送される波長を反射してもよい。他の代替例は、2つの光伝送面を使用し、治療中にそれらの作動を交代させる。更に他の代替例は1つの光伝送面を使用し、ハンドピースの向きを逆転させて扁桃の反対側を照射する。これらの手法は、更なる手順の時間を要するため、あまり有利ではない。代替的に、扁桃の内側面と接触する1つの光伝送面を用いて扁桃を照射してもよい。このような治療は、光が扁桃を通り扁桃床へと向かうため好ましくない。
【0075】
本発明の態様によると、扁桃は少なくとも2つの接触面間に保持される。この接触面に隣接する扁桃表面の少なくとも2の領域はほぼ平坦で、口腔咽頭部内の通常位置にある扁桃の組織と比較すると、接触要素の間の扁桃組織の最大厚さは減少する。扁桃が接触面間に保持され、これらの表面の少なくとも一方から光が伝送される場合、扁桃が平坦でより均一な形状であり、厚さが減少しているため、扁桃をさらに均一に加熱することができる。本発明の一実施形態では、光が扁桃に適用されている間、扁桃内の血液の灌流を減少させるには十分に適用される圧力で、扁桃が少なくとも2つの接触面の間に保持される。適用された圧力は、扁桃内の血液量および血液の流量を共に減少させ、光熱治療における扁桃血管分布の影響を軽減させる。実施形態の態様では、この圧力は血液の灌流を減少させるには十分であるが、実質的な細胞破壊または扁桃組織への他の物理的な損傷か外傷を引きおこさない程度の大きさである。
【0076】
前述のように、扁桃の血管分布の影響は、約1100nm乃至約1350nmの範囲内の波長を選択することによって実質的に減少させることができる。本発明の一実施形態では、波長の範囲と圧力の適用の双方が扁桃の血管分布および血液灌流の影響を減少させる。
【0077】
装置の説明
一態様では、本発明は軟組織を治療する装置に関するものである。一実施形態では、この装置は、光源と少なくとも2つの光学アセンブリを具える。この少なくとも2つの光学アセンブリはそれぞれ、少なくとも1つの光学要素と光伝送接触面とを具える。この光伝送接触面は、それを通してほぼ均一な光の分布を伝送するよう構成されている。この装置はさらに、光源と少なくとも2つの光学アセンブリの対応する1つとの間にそれぞれ配置された、少なくとも2つの光伝送デバイスを具えている。この装置はさらに、少なくとも2つの光学アセンブリが取り付けられるハンドピースを具えている。このハンドピースは、少なくとも2つの光学アセンブリの光伝送接触面を間に位置する軟組織と接触させるよう適用される。装置の光学アセンブリはそれぞれ、光学要素を収容して保護するハウジングを具えてもよい。
【0078】
図13は、本発明の非常に単純な実施形態の概略図である。回動点203で取り付けられた第1の遠位部分201と第2の遠位部分202を有するハンドピース200を図示している。ハンドピースの遠位部分201および/または202は湾曲または直線であってもよく、口腔咽頭部の範囲内の扁桃へのアクセスに便利な任意のサイズ、直径、または長さにすることができる。遠位部分201および202は、光伝送接触面211間の距離が増加または減少し、光伝送面をこれらの面の間に位置する組織と接触させるように、回動点203を中心に互いが移動する。ハンドピースの2つの遠位部分201および202のそれぞれの遠位端には光学アセンブリが取り付けられ、それぞれが少なくとも部分的に少なくとも1つの光学要素を収容して保護するハウジング212を有している。光伝送接触面211は光学アセンブリの表面である。ハウジング212は、ハンドピースの遠位部分201および202に連結される。ハウジング212は、柔軟な光ファイバ209の遠位端との連結部208と、入口冷却ライン210aおよび出口冷却ライン210bの遠位端との連結部205とを有している。冷却ライン210aおよび210bは、柔軟な管である。ライン210aおよび210bの近位端は冷却デバイス(図示せず)に連結され、冷却流体を光学アセンブリに提供する。光ファイバ209の近位端は、光源(図示せず)に連結される。本発明によると、光伝送接触面211は、光源から光ファイバを通って伝送される波長の光を実質的に透過する生体適合性材料で作られる。一実施形態では、接触要素は高い熱伝導性および/または大きい熱伝達係数を有する材料で作られる。この光伝送接触面211は、この図に示すように実質的には平坦であってもよく、互いに角度を有して配置された複数の平坦な表面部分を有していてもよく、あるいはこの領域全体または一部にわたって湾曲を有していてもよい。この角度または湾曲は、接触面に凹形状を与えることができる。他の実施形態では、接触面は1以上のエッジに湾曲を有する平坦な中央領域を有し、扁桃の保持または引き込みを容易にしてもよい。ライン210aおよび210bによって給送される冷却流体は、光伝送面211と熱的接触をする。
【0079】
ハンドピース200は多くの異なる種類や構成を有することができ、これにより手動操作によって光学アセンブリを口腔咽頭部内に配置したり、互いと扁桃を基準に配置することが可能となることを理解されたい。ハンドピース200は、利用者が光伝送面211を扁桃と接触させることが可能な任意の手動操作デバイスである。幾つかの実施形態では、片方の光伝送面はハンドピースの固定位置に残り、他方の光伝送面が可動する。他の実施形態では、両方の面が別個に、相互に連携して移動することができる。ハンドピース200を用いて、光伝送接触面211で適度な圧力を適用しながら、扁桃を把持し、扁桃床から離れ、口腔咽頭部の壁から離れる内側方向に引き込むことができる。代替的には、または幾つかの例では、ハンドピース200を用いて扁桃と接触させる前に、鉗子、支持鉤、または任意の把持または引き込み器具を用いて、扁桃を内側方向にまず引き込んでもよい。このような場合、本発明のハンドピースを扁桃と接触させた後、光源または冷却デバイスを動作させる前に支持鉤または他の標準器具を扁桃から外して取り除いてもよい。
【0080】
扁桃にアクセスするため、ハンドピースは、ハウジング212が扁桃の粘膜表面に近接する空間に配置できるよう構成すべきである。扁桃が口腔咽頭部内の通常の引き込まれていない位置にある場合、前方および後方の扁桃床(それぞれ、舌口蓋筋および口蓋咽頭筋)は扁桃に隣接している。従って、ハンドピースの遠位部分に取り付けられたハウジング212は、このハウジングを扁桃の粘膜表面と近接する前口蓋弓および後口蓋弓との間に挿入できるように十分薄いものが有利であり、これにより、扁桃がこれらの面の間に保持され照射されるときに、扁桃の実質組織の大体の部分は2つの光伝送接触面211の間に位置する。対向する光伝送面211は、扁桃の照射中に光が扁桃の実質組織を通過するように配置される。光は面211を利用して、例えば実質的に(前口蓋弓に対して)前方から(後口蓋弓に対して)後方向に、あるいは、例えば実質的に(舌の基部に対して)下方から(軟口蓋に対して)上方向に通過しうる。本発明の総ての実施形態では、ハンドピースは、扁桃を通って光が通過し、扁桃組織を通って口腔咽頭部の壁の方へと光を実質的に伝送しないよう構成される。少なくとも1つの光学要素を収容し、片面が光伝送接触面であるハウジング212の厚さは、光伝送接触面211からハウジング212の外面まで光伝送接触面に対して垂直の最大厚さとして規定される。この厚さは、扁桃が光学アセンブリの光伝送接触面に保持されたときに、扁桃の実質組織のかなりの部分が光伝送面211の間に位置できる程度に十分小さい。例えば、この厚さは、扁桃が光伝送接触面と接触しているときにハウジングの外側縁が口腔咽頭部の壁と隣接するかその近くとなるように、ハウジングを扁桃と近接して配置できる程度に十分小さい。あるいは、例えば、厚さは約6mm未満であってもよい。さらに、例えば、扁桃の実質組織の体積の約20乃至100%は対向する接触面の間に直接的にあるべきであり、実質組織の約80%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。一実施形態では、この厚さは、扁桃が光学アセンブリの光伝送接触面によって保持されたときにほぼ総ての扁桃の実質組織が光伝送面211の間に位置できる程度に十分小さい。好適には、扁桃の実質組織の体積の約50乃至100%が対向する接触面の間に直接的にあるべきであり、実質組織の約50%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。最適には、扁桃の実質組織の体積の約75乃至100%が対向する接触面間に直接的にあるべきであり、実質組織の約25%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。一実施形態では、厚さは約6mm未満である。
【0081】
光伝送接触面211のそれぞれの表面積は、これらの面から伝送される光が面の間で徐々に圧縮される扁桃の大体の部分を照射する程度に十分大きい。例えば、扁桃の約20乃至100%は接触面の間に直接的にあるべきであり、扁桃の約80%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。例えば、光伝送面のそれぞれの表面積は、少なくとも約20mm、最大で約1250mmである。一実施形態では、光伝送面のそれぞれの表面積は、100mm乃至1250mmである。接触面は、円形、楕円形、細長、あるいは任意の他の幾何学的か非幾何学的な形状であってもよい。
【0082】
光伝達要素の近位端は光源に連結される。一実施形態では、ハンドピースは、近位端で冷却デバイスに連結された冷却ラインを具える。この冷却デバイスは、例えば、再循環冷却装置または冷気の流れを生成するデバイスであってもよい。光源は制御および動力電子機器、スイッチ、ユーザインタフェースおよびディスプレイを具え、光学アセンブリの光の出力を測定する較正ポートを具えていてもよい。本発明の装置は、光源と、少なくとも1つの光伝送デバイスと、ハンドピースとを具えることができる。本発明の装置の非常に単純な実施形態が図14に概略的に図示されている。光源250は、光ファイバ209によってハンドピース200に連結される。光源250は、ユーザインタフェースディスプレイ251と、較正ポート255とを具える。冷却デバイス260は、冷却ライン210aおよび210bによってハンドピース200に連結されている。冷却ラインおよび光ファイバは、長さの一部にわたってアンビリカルコード263内に収容することができる。冷却デバイスを具える本発明の実施形態では、冷却デバイスおよび光源は1つのユニットに組み合わせることができ、あるいは別個のデバイスであってもよい。
【0083】
本発明の実施形態によると、ハンドピース200に連結された冷却デバイス260が稼動して、約37℃以下の温度の冷却流体が光学アセンブリのハウジング212内を循環し、これにより、流体はハウジングの少なくとも1つの光学要素の光伝送接触面211と熱的接触する。冷却デバイスが稼動する前、最中またはその後にハンドピースが操作されて、例えば、面の間に扁桃が適度に圧縮された状態で、光伝送面を扁桃と接触させる。光源が次いで稼働され、扁桃を照射する。照射が終了した後、ハンドピースが操作されて、組織との接触部から光伝送面を取り外すことができる。有意な実施形態では、照射の終了と扁桃から接触面を除去する間には猶予があり、その時間内に、扁桃が面と接触することによって生理学的温度かそれ以下に実質的に冷却される。冷却デバイスによって伝達される冷却流体の温度は、照射が終了した後且つ扁桃が実質的に冷却されるまで、約3℃よりも低くない温度にさらに低下させてもよい。例えば、扁桃を37℃に達するまで冷却してもよい。あるいは、例えば、扁桃を10℃に達するまで冷却してもよい。
【0084】
一実施形態では、使い捨て要素を本発明の装置に取付可能である。これらの使い捨て要素は、ハウジングか接触面への取付部を介して光学アセンブリに取り付け可能なグリッド要素206であってもよい。代替的には、使い捨て要素は、使い捨てスリーブを介してハンドピースに取付可能であり、これについては後で更に詳しく記載する。グリッド要素は図15に図示されている。これらのグリッド要素は、例えばハウジング212の溝部223の内外に摺動させることによって、ハウジング212または接触面211に取り付けたり取り外したりできる中実または開口要素である。一実施形態では、グリッド要素は開口領域225を有し、これにより、扁桃組織がハンドピースに保持されたときに、グリッドの開口領域内で組織は光伝送接触面と接触する。グリッド要素は、交差部分222で交わるスプライン部分221の形状をしたグリッド部分を具えてもよい。明らかなように、多くの他のデザインやパターンをスプライン部分、交差部分、およびグリッドの開口領域の形状に用いることができる。例えば、グリッドは、一定または不規則な間隔で配置された、一定または様々なサイズの孔を有するプレート形状の要素であってもよい。グリッド要素が摺動によってハウジングの溝部223に取り付けられる場合、図15に示すように角度が付いたエッジ220を有することがある。接触要素に取り付ける他の手段は、ハウジング、接触面、またはその両方に配置された取付点による圧入およびスナップ留めを含んでもよい。図15および図16では、図示されたグリッド要素は直線的または平坦な部分で構成されているが、本発明の他の実施形態では、グリッド要素の総てまたは一部は、光学アセンブリの非平面的な光伝送接触面に適合する形状を有し、例えば、湾曲した接触面と接触するグリッドの部分は湾曲していてもよい。
【0085】
図16は、センサ針231内に収容された複数の温度センサを取り付けることができるグリッド要素206を図示している。センサ針は、組織への外傷を最低限に扁桃を貫くため、鋭く、斜めまたは角度が付いた遠位端232を有している。センサ針231の近位端230は、例えばグリッド要素の孔に圧入する、および/または生体適合性のエポキシ樹脂または他の接着剤を使用することにより、グリッド要素に挿入されている。センサ針の長さは、約1.5cmかそれ未満である。一実施形態では、複数のセンサ針がグリッドに取り付けられる場合、扁桃組織内の異なる深さの温度を検出するために各針は異なる長さを有する。この実施形態の態様では、少なくとも1の固定された温度センサを有する1以上のグリッド要素を、扁桃治療の手術前にハンドピースの遠位部分に取り付けることができ、手術が終了した後に取外すことができる。この実施形態の態様では、センサ針を有するグリッド要素は使い捨てである。ある実施形態の態様では、固定されたセンサを有するグリッド要素は、殺菌または滅菌容器内に手術前は包装されている。
【0086】
本発明によると、グリッド要素は、光伝送接触面を含む光学アセンブリの光学要素に対して組織の固定位置に温度センサを配置する新規機構として機能し、さらにこのセンサをデバイスの着脱可能および/または使い捨ての成分の要素とすることができる。グリッド要素のデザインにより、接触要素から放出されるほぼすべてまたは殆どの光がグリッドの開口領域を通って扁桃の表面に達することが可能となり、グリッドが透明または部分的に透明の材料で作られた場合にもグリッド部分を通ることが可能である。
【0087】
取り付けられる針がない状態では、グリッド要素はさらに、粗さまたは表面の質感を提供すべく、グリッド部分内の開口領域の凸凹、あるいはグリッド要素の表面処理のいずれかによって接触面の把持効果を高めるように機能しうる。
【0088】
以下で更に詳しく記載する幾つかの実施形態では、グリッド要素は本発明のデバイスの光出力を有意に修正することができる。
【0089】
一実施形態では、グリッド要素は、装置の光源によって放出された波長の光を実質的に伝送するプラスチック材料で作られる。特定の実施形態では、グリッド要素は、Ultem(登録商標)(SABIC Innovative Plastics)などのポリエーテルイミド樹脂で作られる。他の特定の実施形態では、グリッド要素は、Makrolon(登録商標)(Bayer MaterialScience)などのポリカーボネート樹脂で作られる。グリッドの開口領域内の光伝送接触面と接触する扁桃組織の表面の部分は、この接触面によって直接冷却することができ、グリッド要素の一部と接触する扁桃組織の表面の部分は、光伝送接触要素と同様に接触しているグリッド要素と接触することにより、および/または接触面によって直接冷却された近接する扁桃組織からの熱伝達により、冷却することができる。従って、本発明のグリッド要素は、組織への光の伝送または組織の効果的な冷却の何れかを実質的に妨げない手段によって、光学アセンブリの光伝送接触面から組織内で予め規定された距離に、および/またはこれらの面を基準として組織内で予め規定された位置に1以上の温度センサを挿入するようにする。図16では、取り付けられた針は接触面に対して垂直方向に延在するよう図示されており、接触面を扁桃と接触させて徐々に圧縮するときに、針を挿入することができる機構である。例えば、針がU字型の近位端を有し、取り付けられた光学アセンブリの側方位置となるグリッド要素の一部に配置されたチャネルに、この近位端で針を取り付けることができるような、グリッド要素の代替的な実施形態を想定することができる。針の長軸は接触面に対して平行であり、針をチャネル内に挿入するようにU字型の湾曲部で針を押す、あるいは移動させることによって、扁桃が接触面に把持された後に、この針は横方向から扁桃組織内に挿入される。
【0090】
グリッド要素が光伝送接触面の一方と接触する、および/または近接するように、グリッド要素を光学アセンブリに取り付けることができ、このグリッド要素は、光学アセンブリの間に位置する軟組織と接触するよう適用される。固定センサを有するグリッド要素は、手術前にハウジングおよび/または光学アセンブリの接触面に取り付けることができ、手術後に処分するため取り外しできる。患者の再利用ができないように、少なくとも1つの光学構成要素を有する光学アセンブリを、固定センサ針または他の構成要素から分離させる方が都合がよい。光学構成要素は高価であり、正確な相対的調整を必要とすることがある。本発明によると、光学アセンブリの光学構成要素はほぼ無傷に保って再利用することができるが、組織内に挿入される針を有するグリッド要素は、手術が簡便で、実用的、且つ経済的に有利であるように使用後に処分することができる。
【0091】
代替的には、使い捨て要素は、図17Aおよび図17Bに示すように、ハンドピースの遠位部分201および202の少なくとも一方に取り付けるためのカラー要素であってもよい。この実施形態では、少なくとも1つのセンサ針231がハンドピースの遠位部分に取り付けられたカラー要素235に取り付けられ、これにより、例えばハンドピースに対してカラーを移動させることによって、センサ針を装置の光学アセンブリの間に位置する軟組織と接触させることができる。図17の例のカラー要素は、位置決めねじ236で留め付けられるまで、ハンドピースの遠位部分で可動する。センサ針231は、カラーが動作する方向とほぼ平行な長軸について配置される。図17Aに見て取れるように、センサ針の遠位先端部232と光伝送面211の間の距離は、カラーが摺動したときに一定であり、カラー要素のサイズおよび針の近位端230をカラーに取り付ける地点によって決まる。図17Bに見て取れるように、針231の長さやカラー235の位置が、2つの光伝送面211の間に保持される組織内の針の遠位先端部232の位置を決定する。カラー要素は、平坦または湾曲した面を有する光学アセンブリとの使用に適合性がある。カラーは、任意の生体適合性プラスチックまたは金属材料で作ることができる。一実施形態では、カラーは、Ultemのような、生体適合性のレーザ耐性を有する鋳造または機械加工が可能な材料で作られる。カラー要素およびグリッド要素は双方とも、照射の前、最中、およびその後に、扁桃組織内の既知の位置または深さにおける温度測定値を提供する代替手段である。カラーおよびグリッド要素は、本発明のハンドピースおよび光学アセンブリそれぞれへの取付に適応している。
【0092】
本発明によるセンサ針の使用に適する温度センサは、熱電対またはサーミスタを含む。小さい直径の皮下注射針に収容された熱電対は市販されている。タイプTの熱電対は、商業上の供給源(Omega Engineering社、HYP0 Mini−Hypodermic probe)から、直径200ミクロン程度に小さいステンレス鋼の皮下注射針プローブで入手可能である。ステンレス鋼針における温度センサの他の例は、MLT1406のNeedle Microbe Thermocouple(ADInstruments社)、およびMT−23 直径635ミクロンの針プローブ(ニュージャージー州、クリフトン、Physitemp Instruments社)である。このような針プローブの時定数は約0.1秒であり、温度のモニタおよび制御に適している。本発明では、センサ針は直径約200ミクロン乃至約700ミクロンである。一実施形態では、センサ針の直径は、約200ミクロン乃至約500ミクロンである。本発明の一実施形態では、センサ針は、医療グレードのステンレス鋼(316、316Lまたは真空溶解タイプ316L)で作られる。他の実施形態では、センサ針は、医療グレードのチタン(非合金の商業上純であるCPグレード1−4)、または(Ti−6Al−4V ELI、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb、Ti−3Al−2.5V、Ti−13Nb−13Zr、Ti−12Mo−6Zr−2Fe、Ti−15Moを含む)チタン合金で作られる。センサ針を作るために使用できる他の金属材料は、銀、プラチナ、タンタル、ニオブ、ジルコニウムおよびジルコニウム合金、ニッケルチタン二成分系に基づく形状記憶合金、タングステンおよびタングステンブロンズ、およびコバルト合金(エルジロイおよびMP35N)を含む。ステンレス鋼を含む多くの金属材料で作られる針プローブは、約1100nm乃至1350nmの範囲のNIR光を含む光を吸収して、直接加熱される。従って、一実施形態では、この針はNIR光を実質的に反射する金属で作られ、他の実施形態では、NIR光を非常に反射する金で作られる。他の実施形態では、NIR光を実質的に反射するコーティングがセンサ針の外面および内面に適用される。例えば、金メッキがセンサ針の表面に適用される。金の針または金メッキの針を使用すると、センサ針による光の直接的な吸収によって測定値の不自然な結果が減少し、最も正確で急速な照射プロセスの制御に対して、組織の照射と同時に組織の温度の測定が可能となる。反射性のコーティングがない状態では、針プローブが周囲の組織と平衡になった後、温度を測定するために照射プロセスが断続的に中断しうる。照射が中断すると、例えば標準のステンレス鋼の針プローブで正確な温度測定をすることは可能だが、合計治療時間は結果として僅かに長くなるであろう。代替的には、本発明によると、信号を処理して指数関数的に不自然な信号を選別する場合、光を吸収するステンレス鋼か他の材料で作られたプローブで正確な温度測定をすることもできる。
【0093】
グリッド要素のグリッド部分は、光学アセンブリおよびハンドピースから離れてセンサ針の温度センサのリード線を収容し、配線する構造をもたらす。これらの構造は、スプライン部分およびグリッド部分の交差部における閉鎖または開放したチャネルか溝部であってもよい。好適には、これらのチャネルか溝部は実質的に反射性の物質でコートされるか、それらを含み、リード線による光の吸収を防ぐ。代替的には、リード線自体が、反射性物質でコートまたは保護されてもよい。
【0094】
本発明の幾つかの実施形態では、ハンドピースは加圧滅菌できる。本発明の一実施形態では、図18に示すように、ハンドピースは使用前に滅菌使い捨てスリーブで覆われる。このスリーブ237は、柔軟なポリマ材料を含む。スリーブ237は、装置の光源の波長を実質的に透過するポリマ材料でほぼ全体的に作ることができる。例えば、スリーブは、75%の透過性、または90%の透過性を有してもよい。より有意には、スリーブは、90%を越える透過性を有する。あるいは、スリーブ237は、非透過性の柔軟なポリマ材料と、光学アセンブリの光伝送接触面211に合わせて接触するよう適用された実質的に透過性の窓部分とを具えていてもよい。スリーブ237の実質的に透過性の窓部分は、限定ではないが、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ラテックス、ポリオレフィン、フッ素樹脂といった柔軟な透過性プラスチックであってもよく、この窓領域は、限定ではないが、アクリル、ポリ塩化ビニル、またはポリカーボネートといった硬質または半硬質のプラスチックであってもよい。一実施形態では、滅菌使い捨てスリーブの実質的に透過性の窓部分は、機械的強度および滅菌保護を与えるのに必要な厚さよりも実質的に厚くない、アクリルまたはポリカーボネートなどの硬質または半硬質の透過性ポリマ材料で作られる。スリーブ237は、ハンドピースの遠位端を覆うための遠位端と、ハンドピースを操作できるよう適用された緩い近位部分とを有する、分岐した形状を有してもよい。
【0095】
特定のポリマ材料で作られた柔軟なスリーブについて、光伝送接触面を覆うスリーブの部分は、この特定の材料に対して適切な強度およびバリア機能の維持に必要な程度に薄くてもよい。透過は、薄いスリーブを使用することによって有効に高めることができる。特に、冷却された光伝送接触面からの組織の効果的な冷却は、医療デバイスに広く使用される厚さの柔軟な使い捨て滅菌スリーブを通して実施される。
【0096】
一実施形態では、滅菌スリーブ237がハンドピースの上に配置された後に、グリッド要素206がハウジングか接触面に取り付けられる。この実施形態の態様は、グリッドの取付部が、滅菌スリーブの実質的に透過性の領域の位置を光学アセンブリの光伝送接触面211の上に固定している。グリッド要素が光伝送接触面211を覆っている使い捨てスリーブの窓部分と接触し、グリッド要素が光学アセンブリの間に位置する軟組織と接触するように、グリッド要素はハンドピースに取り付けられる。グリッド要素206は、圧入またはスナップ留めなどによって滅菌スリーブの上からハウジングまたは接触面に取り付けることができる。
【0097】
一実施形態では、針を有する、または有さないグリッド要素206が滅菌スリーブ237に予め取り付けられ、予め取り付けられたグリッド要素が光学アセンブリに取り付けられる前に使い捨てスリーブと接触するように、滅菌スリーブは少なくともハンドピースの遠位端を覆うよう適用される。他の実施形態では、グリッド要素206は、使い捨てスリーブの透過性の窓部分で滅菌スリーブに予め取り付けられる。幾つかの実施形態では、グリッド要素は、滅菌スリーブに恒久的に取り付けられる。このような実施形態では、恒久的に取り付けられるか予め取り付けられた少なくとも1つのグリッド要素を有するスリーブがハンドピースの遠位部分の上に配置され、グリッド要素は、例えば、ハウジングまたは接触面に圧入またはスナップ留めされる。
【0098】
使い捨て要素がカラーである幾つかの実施形態では、ハンドピースの遠位部分が滅菌スリーブで覆われた後に、カラーをこの遠位部分に取り付けることができる。このカラーは更に、使い捨てスリーブに予め取り付けるか、恒久的に取り付けることもできる。
【0099】
本発明を実施する光源は入手可能である。約1100nm乃至1350nmの殆どの波長領域を最初に考慮すると、数ワットの出力を生成できるレーザ技術の選択肢は、イッテルビウム添加ファイバレーザ、および量子ドット半導体レーザを含む。数キロワットの力を生成するイッテルビウムファイバレーザは、材料加工および自動車製造での使用に導入されており、本願に適した低力モデルが市販されている。例えば、IPG Photonics社(マサチューセッツ州、オックスフォード)は、3メートルの送達ケーブル、中心波長1120nm、帯域幅2nm(fwhm)、および可視照準ビームを有する、ベンチトップ20Wの冷気Ybファイバを製造している。このシステムは、CWモードで稼働するか、外部制御ポンプの調節で操作することができる。ファイバレーザは広利得帯域幅を有するため、例えばYb添加ファイバレーザの場合では1050nm乃至1120nmの波長内というように、多重波長にわたって動作するか調整可能な医療用レーザは発展する可能性があり、これにより、レーザは、この扁桃の用途では1120nmで、あるいはNd:YAGレーザが広く使用される耳鼻咽喉科および他の医療分野での用途では1064nmで動作させることができる。Ybファイバレーザからの二極化した出力を周波数倍化すると、デバイスを非常に多目的な医療システムのKTPレーザの用途にも使用できるように、532nmの動作が可能である。
【0100】
1100nmより短く、約1280nmより長い波長はGaAsおよびInPダイオードレーザそれぞれを利用して得ることができるが、最近までは、干渉領域はダイオード源から簡単に入手することはできなかった。しかしながら、過去の数年で、量子ドット(QD)ナノテクテクノロジーに基づく、効率的な高出力半導体レーザが開発されてきた。QDレーザは、低動作電流、高スペクトル純度(非常に狭い帯域幅)、および最小温度効果に対してゲインを高める利点を有する。Innolume社(カリフォルニア州、サンタクララおよびドイツ、ドルトムント)は最近、すべてのGaAs基板上にAlGaAsバリアを有するGaAsにおける、InAs量子ドットに基づくQDレーザを商品化している。帯域幅3nm fwhmを有する1120nmの中心波長で30Wを生成する光源からのファイバ結合量子ドットレーザモジュールが利用可能である。
【0101】
レーザに加えて、非干渉性の光源を使用してもよい。このような非干渉性の光源の1つが、タングステンハロゲンランプである。ハロゲンランプは可視およびNIRで広く放出するため、700nm乃至1350nmの範囲外、より好適には1100nm乃至1350nmの範囲外の光の放出を遮るためにフィルタを使用すべきである。さらに、1100nm乃至1350nmの範囲で放出するスーパールミネセントダイオードが実証されてきており、使用することができる。
【0102】
約1100nm乃至1350nmの波長の範囲外ではあるが、1064nmで動作するネオジムYAGレーザには医学的用途の長い歴史があり、本発明に応じて使用することができる。上述のように、光学アセンブリの光伝送接触面による扁桃の圧縮し、血液によって余り吸収されない波長(約1100nm乃至1350nm)を使用することによって、扁桃の血管分布の影響を制限することが望ましいが、本発明のハンドピースを用いた接触照射による圧縮のみで、血液の影響を低下させるには十分の場合もあり、約800nm乃至1100nmの範囲の波長を使用することが可能となりうる。1064nmのYAGレーザは、本発明の光源として使用するのに必要な範囲の出力パワーを容易に生成し、ファイバの光の伝送によく適している、信頼性があって比較的安価なレーザである。同様に、810nm、940nm、980nmおよび700nm乃至1100nmの他の波長のNIR波長における高出力のダイオードレーザは、比較的低コストで簡単に入手可能であり、本発明に応じて使用することもできる医療用および手術用のよく知られた光源である。
【0103】
本発明の光源は、光伝送要素に連結される。この光伝送要素は実質的に柔軟であって、光ファイバ、光ファイバの束、または光ガイドであってもよい。1つの光ファイバを光源に連結し、この光ファイバの遠位端部を、本発明のハンドピースに同様に連結される2つの他の光ファイバに分割する光ファイバのビームスプリッタに連結してもよい。
【0104】
本発明の重要な態様は、扁桃がハンドピースの2つの接触面の間に位置するように、ハンドピースが構成されることである。口腔咽頭部および扁桃に近接する空間へのアクセスは、ハンドピースの遠位端、特にハウジングや光学構成要素を含むハンドピースの遠位端に取り付けられる総ての要素を、この空間内に操作して挿入するために十分薄く作ることによって容易となる。総てのこのような要素が約6mmまたはそれ未満の厚さの場合に最も有利である。同時に、有意に迅速に扁桃の光線療法をするため、対向する接触面は、扁桃が照射されるときに扁桃のかなりの部分がこれらの面の間に位置する程度に十分大きくすべきである。例えば、扁桃の実質組織の体積の約20乃至100%は対向する接触面の間に直接的にあるべきであり、実質組織の約80%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。更に有利には、扁桃の実質組織の体積の約50乃至100%が対向する接触面の間に直接的にあるべきであり、実質組織の約50%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。最も有利には、扁桃の実質組織の体積の約75乃至100%が対向する接触面の間に直接的にあるべきであり、実質組織の約25%以下が接触面の間の領域の外側に延在すべきである。非常に大きい扁桃については、圧縮された実質組織の体積を100%照射するのに対応する1つの光伝送接触面の領域は、約1250mm程度に大きくてもよい。さらに、接触面によって伝送される光は、扁桃の実質組織を完全且つ一定に加熱するために一様に分布し、粘膜表面の損傷を招きうるホットスポットを避けるべきである。さらに、好適な実施形態では、接触面は積極的に冷却されるべきである。これらの薄さ、大きい領域、表面冷却、および照射の均一性の共通の目的は、実行に新たな光学的設計を必要とする。本書に示すように、これらの目的、すなわち(1)反射性の光学設計、および(2)拡散性の光学設計を満たすべく見出された2つの手法がある。双方の手法は利点を有しており、本発明を実施するために使用することができる。
【0105】
反射性の光学設計
この項では、単純にするため、光学設計は、本発明の装置が2つのこのような光学アセンブリを具えるという認識で、ハンドピースの一方の遠位端に連結することができる光学構成要素を示す図面に図示されている。
【0106】
以下に記載する実施形態は、装置の光学アセンブリ内に少なくとも1つの反射デバイスを使用する。反射デバイスは、1以上のプリズムまたは鏡であってもよい。
【0107】
一実施形態では、装置は複数の反射デバイスを具え、各反射デバイスは、光伝送接触面で分散される光のセグメント領域に対応する。他の実施形態では、各反射デバイスは、光伝送接触面で分散される複数のセグメント領域に対応する。これらの対応するセグメント領域は、さらに以下で説明する。特定の実施形態では、装置は、冷却流体を光学アセンブリに提供するよう構成された冷却デバイスを具え、対向する光学アセンブリの少なくとも一方の光伝送接触面から熱を取り除く。一実施形態では、冷却剤は複数の反射デバイスと直接接触した状態となる。さらなる実施形態では、装置は、反射デバイスと直接接触して流れる冷却流体用の少なくとも1つのチャネルを具える。
【0108】
図20Aは、窓要素315と光ファイバ309を具える光学設計の半概要図である。光学要素は光ファイバから窓要素へと光を伝送して分散させる。面311は光伝送接触面である。図20Aでは、窓315は、約10mmのエッジ長さを有する正方形である。光ファイバの遠位端からの光は、2:1アナモルフィックビーム成形器316および2つのコリメートレンズ317aおよび317bに伝送され、接触窓315の近位表面に配置された第1および第2のプリズム340、339に伝送される。プリズム表面340bおよび339bは、それぞれ50%および100%の反射性を提供すべくコートされる。ビーム成形器およびコリメートレンズは、光ファイバからの光が第1のプリズムの近位表面340aを実質的に満たすように選択される。これらのプリズムは約5mmの高さOを有し、窓の厚さWは1mmである。光伝送接触面311では、約10mmのエッジ長さDを有するおよそ正方形の領域399全体にわたって光が分散される。プリズム340を通る光はセグメント領域399aに伝送され、プリズム339を通る光はセグメント領域399bに伝送される。第2のコリメートレンズ317aから第1のプリズム340の近位表面340aまでの距離Lは約20mmである。
【0109】
図20Bでは、2から3にプリズムの数を増加させる効果を示している。プリズム表面340b、339b、および338bは、それぞれ33%、50%、および100%の反射性を提供すべくコートされる。再び、第2のコリメートレンズから第1のプリズム340の近位表面340aまでの距離は約20mmである。図20Aに示すように、光伝送接触面311において、約10mmのエッジ長さ(D)を有するおよそ正方形の領域399全体にわたって光が分散される。プリズム340、339、および338を通る光は、それぞれセグメント領域399a、399b、および399cに伝送される。しかしながら、プリズムの高さOは約3.5mmに減少し、著しく薄い光学アセンブリを可能にする。1mmのサファイアの窓、および1mmの厚さのハウジングでは、合計厚さは5.5mmである。
【0110】
図20Aおよび図20Bの距離Lは、接触面311における照射領域の寸法Dよりも大きい。実際、2cmを超えるファイバの出口面と第1のプリズムの間のハンドピースの直線的な硬質部分を必要とする。この距離Lは、図20Cに示すように、他のコリメートレンズを加えることによって都合よく減少させることができる。3つのレンズ317a、317b、および317cでは、Lは約10mmに減少する。さらに図20Cでは、プリズムの数が4に増加し、それぞれ25%、33%、50%および100%の反射率を有する面340b、339b、338b、および337bを有している。ここで、プリズム高さOは約2.5mmに減少し、Dは約10mmに保持される。1mmのサファイアの窓、および1mmの厚さのハウジングでは、合計厚さは4.5mmである。
【0111】
図20Dに示すように、冷却流体がそこを通って導入できる空間を作るために第2の窓を加えることにより、冷却能力を図20A乃至Cのデバイスに付加することができる。窓314は窓315と平行であり、これにより冷却層345が形成される。冷却流体の入口310aおよび出口310bのラインは、近位端で循環冷却装置(図示せず)などの冷却デバイスに連結され、ハウジング312の開口部におけるコネクタ(図示せず)によって遠位端で冷却層345に連結される。ハウジング312は、プリズム340、339、338、および337と、窓314および315と、コリメートレンズ317a−cと、アナモルフィック・レンズ316を具える。窓315、冷却層345、およびハウジング312はそれぞれ、約1mmの厚さである。窓314の後方で保護された位置にある窓315は、窓314より薄くてもよい。サファイアで作られた窓では、合計の窓の厚さは約1.5mmとなりうる。プリズムは、石英、石英ガラス、ガラス、またな任意の他の透過性の光学材料で作ることができる。ハウジングおよび光学構成要素の合計厚さHはたったの6mmである。
【0112】
図21A乃至Cに示すように、反射面の数を増加させることにより、合計厚さの更なる減少を実現できる。反射面は、例えば、プリズムのような固体の光学要素の面か、鏡の表面の何れであってもよい。この実施形態では、細長いプリズムが細長い鏡に置き換えられ、光はファイバの束から各ファイバを用いて鏡表面に伝送される。本書で使用するように、用語、細長いとは、光学アセンブリの長さの大部分にわたって架設するのに十分な長さを有する反射デバイスを説明するために使用される。10mmのエッジ長さを有する照射される正方形の領域を生成するため、5の細長い鏡441、442、443、444、および445が接触窓415上に配置される。
【0113】
合計25本のファイバ409a乃至yがそれぞれ配置され、鏡の傾いた反射面上の25の円形領域498a乃至yを照射する。ファイバ409a乃至yの近位端は、光源(図示せず)に取り付けられたファイバの束に集約される。ファイバ409a乃至yの遠位端419a乃至yは、各ファイバからの光が細長い鏡の方へと向くようにハウジング412内のチャネルに配置され、鏡上に円形の照射されるセグメント領域498a乃至yのアレイを形成する。次いで、鏡からの反射が、光伝送接触面411上に、それぞれのセグメント領域499a乃至yから10mmのDを有するアレイ499を作りだす。図21Aおよび図21Bでは、明確にするため、ファイバの遠位端419a乃至yは小さい円柱として図示されているが、実際には、遠位端は、単に切断されるか研磨されたファイバの面であってもよい。領域499a乃至yのサイズは、例えばファイバの遠位端419a乃至yと鏡との間の距離を変更することにより変えることができる。
【0114】
図20Dのデバイスのように、間に冷却層を設けるべく第1の窓と平行に第2の窓を加えることにより、冷却能力を図21のデバイスに加えることができる。しかしながら、ここでは、ハンドピースの合計厚さを有意に減少させて、鏡に近接するか鏡を囲んでいる空間を用いて光学アセンブリを冷却できるということが分かる。図21A乃至図21Cと同じ光学的配置について、この概念を図22Aおよび図22Bに概略的に図示する。簡略にするため、同一の数字を有する要素は再度記載はしない。細長い鏡の列の間の空間が、流体が流れるチャネル416を提供している。光学アセンブリのエッジに冷却剤の流れを変えるチャネル416uを加えることにより、入口410aと出口410bの冷却ラインの間に冷却剤用の1つの連続したチャネルを得ることができ、このチャネルは窓全体に流体を均一に送り、流体が液体の場合には乱流またはエアポケットの可能性を最小限にする。この実施形態での使用に適する流体は、光源の波長を実質的に透過する任意の液体か気体であり、毒性がなく生体適合性があるものである。光源に応じて、有意な選択肢は冷気、水、生理食塩水を含む。他の有意な選択肢は、Fluorinert(登録商標)(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社)のようなパーフルオロカーボンである。適切なFluorinerts(登録商標)は、特にFC−70およびFC−43を含む。図22に示すような、ハウジングを含むデバイスの合計厚さは約4.5mmであり、非常に有意に薄い。
【0115】
図23A乃至Cは、本発明の他の実施形態の半概要図である。図23Aおよび図23Bに示すように光は鏡によって反射されるが、この実施形態では、ファイバの束からそれぞれの各ファイバ用に別個の鏡がある。この実施形態では、鏡は細長いとはみなされない。むしろ、幾つかの短い鏡が隣り合って配置され、図23Bに示すように光学アセンブリの長さにわたって架設している。窓515は、12.5mmのエッジ長さと丸い角部を有する正方形である。19の鏡545a乃至sと、19のそれぞれのファイバ509a乃至sがあり、それぞれ直径約2.5mmの円形の照射されるセグメント領域599a乃至sを作るように配置される。面上の照射領域は、約12.5mmの寸法Dを有する、六角形のほぼ均一な照射の領域を形成する。ファイバ509a乃至sの遠位端は、鏡の間の空間内に配置され、合計厚さを非常に薄い3.5乃至4.0mmまで更に減少させる。厚さを増加させない有効な冷却能力のため、ハウジング内のそれぞれの鏡の周囲、あるいは鏡の間にファイバ509a乃至sの遠位端を配置するため隔壁に挿入穴を有する、Ultemか他のレーザ耐性材料で作られた隔壁に鏡を設置して流体の流れを誘導することによって作られたチャネル内の何れかを、冷却流体は循環することができる。
【0116】
理解されるように、照射パターンや接触面におけるアレイのサイズおよび形状は、鏡を再配置したり、鏡の数を増加または減少させることによって容易に変えることができる。反射性の光学設計の利点は、鏡、ファイバ、および窓などの限られた数の規格化された光学構成要素を用いた、広い範囲の接触面の領域および形状を有するハンドピースの製作が柔軟である点である。図20乃至図23に示す本発明の実施形態のハウジングは、金属またはプラスチックを含む、鋳造または機械加工ができる当該技術分野で既知の任意の生体適合性材料であってもよい。ハウジングの内側は反射性のためにコートしてもよく、あるいはコートしないでもよい。ハウジングに有意な材料は、Ultem、または他のこのようなレーザ耐性プラスチック材料を含む。
【0117】
ハンドピースの遠位端に取り付けられるハウジング内に有意に薄い光学構成要素のアセンブリを実現するために、例えばプリズムまたは鏡などの複数の反射デバイスを使用できるということが見出された。本書に記載の反射性の光学設計を使用すると分かるように、光学要素を含むハウジングの厚さは約3.5mm程度に小さくてもよい。光伝送面の照射領域は、反射デバイスの数を増加させることによって、厚さが増加することなく任意の大きさに増加させることができる。本発明の反射性の光学設計は、光源から光伝送接触面への高い伝送効率という重要な利点も有する。反射防止膜を有する図23A乃至図23Cの設計については、フレネル反射、鏡の吸収、およびファイバの束に関連する9%の損失を含む損失が、空冷で86.5%の合計伝送率を生み出す。高い透過性のパーフルオロカーボンといった冷却流体を適切に選択すると、液体で冷却する設計も同様に高い伝送率を有することがある。
【0118】
反射性の光学設計では、光源から光伝送接触面へと光がセグメント内に伝送される。接触面における合計の光は、それぞれのセグメント領域のアレイまたは組み合わせの形状をしており、各セグメント領域は反射面または反射面上の領域に対応している。例えば、図21Bおよび図21Cでは、25のセグメント領域499a乃至yは鏡上の反射領域498a乃至yに対応しており、図20Aでは、2つのセグメント領域399aおよび399bはプリズム340および339上の反射に対応している。上述のように、装置の光伝送接触面における照射の均一性は、本発明の目的である。本書に記載するような反射性の光学部分を用いる装置について、接触面の領域内のそれぞれのセグメント領域の配置またはパターン、それぞれのセグメント領域の数、各セグメント領域内の光の均一性、セグメント領域の間で重複する量、およびそれぞれのセグメント領域の間の領域において照射されない面の量を含む幾つかの因子によって、均一性が影響される。さらに、本書に記載の実施形態はそれぞれ均一なサイズのセグメント領域を有しているが、異なるサイズのセグメント領域からなるアレイを生成する、および/または異なる光の量を伝送するために反射性の光学設計を実装することもできる。従って、均一性を規定する単純且つ実用的な方法は、接触面の全体領域内に位置する1つの円形領域内の平均照度を考慮することであり、この円形領域は全体の表面領域の形状に関わらず、合計の表面積の4分の1以下を含んでいる。領域全体の4分の1を含む接触面上のこのような1つの領域に対し、有意なデバイスについて、平均照度は接触面全体にわたる平均照度の50%以上か50%以下にすべきである。更に有意なデバイスは、合計表面積の4分の1の1領域について、接触面全体にわたる平均照度の25%以上か25%以下である平均照射を有する。最も有意には、合計表面積の4分の1の1領域について、このデバイスは接触面全体にわたる平均照度の10%以上か10%以下である平均照射を有する。
【0119】
上述の反射性設計を有する光学アセンブリを利用して、光伝送接触面の領域内に照射されるセグメント領域のアレイを生成する本発明の実施形態では、例えばセグメント領域の中心と対応する位置にグリッドの開口領域を中央に配置させることによって面と接触するようにグリッド要素を適用させることが有意であることがある。
【0120】
本書に説明したように、反射性の光学設計は、薄さ、照射の均一性、冷却能力、大きい光伝送面の領域という目的を満たすということが見出された。
【0121】
拡散性の光学設計
この項では、光学アセンブリが拡散要素を具える本発明の代替的な実施形態が説明されている。特に、導光板を具え、光伝送接触面を有する光学構成要素を有したハンドピースを用いて照射する方法および装置が記載されている。特に、光ファイバの光出力をこの装置の導光板の側方の入力表面に伝送する方法および装置が記載されており、これにより、光出力は、組織表面に対してほぼ平行な方向に導光板内を横方向に伝播する。光ファイバの光出力は装置の光学要素の接触面全体に分散され、これにより、接触面が照射される組織の領域の近くに位置するときに、この表面が光を伝送して組織の領域を照射する。この接触面は、導光板にほぼ平行である。
【0122】
導光板、窓、および他の光学構成要素、さらにはこれらの光学構成要素の間に位置するエアギャップおよび流体層を具え、装置のハウジング内に位置して収容されるように光ファイバからの光に曝される光学要素は、この項に記載の本発明の実施形態について、総称して光学スタックと称され、この実施形態は拡散性の光学的実施形態とも称される。光学スタックは、少なくとも1つの光学構成要素を含む。ここで、光学スタックの任意の光学構成要素について、この構成要素は2つの対向する面を有しており、デバイスの光伝送接触面に近接する、あるいは光伝送接触面である構成要素の表面は、この構成要素の遠位表面と称される。同様に、デバイスの光伝送接触面から離れている構成要素の表面は、構成要素の近位表面と称される。光学スタックは、実質的に反射性の面である近位端の境界を有する。幾つかの実施形態では、実質的に反射性の境界面は、ハウジングの内面である。他の実施形態では、実質的に反射性の境界面が光の反射プレートである。本発明のデバイスは、1以上の光学スタックを具えてもよい。光学スタックは、ハンドピースの遠位部分に取り付けられるハウジングに収容することができる。ここでは、光学アセンブリは、光学スタックか、光学スタックを収容するハウジングである。
【0123】
光学アセンブリおよび当該光学アセンブリが具える少なくと1つの光学スタックは、本発明の拡散性の光学的実施形態において様々な形状および構成をとることができるが、それぞれの光学スタックは実質的に硬質な導光板を具えている。実質的に硬質な導光板は、例えば石英またはサファイアで作られたプレートである。例えばアクリルまたはポリカーボネートなどの光学プラスチックで作られた導光板もまた、実質的に硬質な導光板の例である。導光板は外側縁で光ファイバからの光を受け、TIRによって横向きに伝播する経路を設ける。導光板はシステムの光源によって放出された光を透過し、硬質な材料で構成することができ、あるいは近接する硬質な光学構成要素によって固めるか圧迫された流体層または柔軟な層であってもよい。光学アセンブリはさらに光伝送接触面を具えており、これは光学アセンブリが組織表面を照射しているときに組織と接触する面である。幾つかの実施形態では、導光板の遠位表面から、組織と接触し、導光板とほぼ平行な窓要素の接触面に光が伝送される。幾つかの実施形態では、接触面は導光板の表面である。導光板は平坦で平行な遠位および近位表面を有する平面であってもよく、あるいはこの導光板は、くさび形に曲がって形成された平面的な面を有していてもよい。他の実施形態では、導光板の遠位および近位表面の片方または両方は、凸状、凹状、または任意の他の有利な形状を有する非平面であってもよく、これにより、これらの面のそれぞれの領域は光ファイバの遠位端の出力表面と比較して大きく、側方の入力エッジからの光の伝播が組織表面とほぼ平行となる。本発明の光学アセンブリは、光学アセンブリからの伝送効率および照度の均一性が治療される組織表面の構造によって影響されないように、実質的に硬質な導光板を設けている。
【0124】
本発明の光学アセンブリの導光板は、横方向の伝播中にTIRを乱して、ほぼ均一に接触面にわたって光を分散するよう機能する抽出機構を有する。抽出機構は、例えばエッチング、研磨、圧延、または削摩された領域、ドット、スポット、ライン、または溝部のように、導光板から材料を取り除くことによって導光板の全体または一部を形成してもよく、あるいは、例えば複数領域またはドット、スポット、ラインまたは溝部のパターンか分布で導光板の表面に適用される散乱性または拡散性の材料といった材料を、この表面に適用することによって形成してもよい。この適用された材料は、導光板の材料の屈折率と等しいかそれよりも高い屈折率を有する物質のペイントおよび/または塗料を含んでもよく、これらは光ファイバから放出された光の波長に対して実質的に反射性、且つ実質的に非吸収性である。このような物質は、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫黄、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ガラス、およびその種のもの、およびこれらの物質の混合物を含みうる。適用される材料はさらに、機械的に安定させるためのバインダを具えていてもよい。このバインダは、有機物または無機物であってもよい。反射性物質やバインダを含む適用される材料は、システムの光源の波長において実質的に反射性である。好適には、適用される抽出機構の材料は、システムの光源の波長において少なくとも約95%の反射性を有する。代替的には、導光板の抽出機構は、鋳造プロセスによって、あるいは鋳造、除去、および/または材料の適用の組み合わせによって、作ることができる。
【0125】
本発明の態様では、抽出機構のサイズ、形状、パターンまたは分布は、接触面にほぼ均一な照度を生成するよう選択される。本発明の他の態様では、抽出機構のパターンまたは分布は、接触面に高い伝送効率およびほぼ均一な照度を生成するように選択される。好適には、伝送効率は50%かそれよりも高い。最適には、伝送効率は80%かそれよりも高い。好適には、接触面における照度は、約+25%から−25%またはそれよりも優れた均一性を有する。最適には、照度は、約+10%から−10%またはそれよりも優れた均一性を有する。
【0126】
光学アセンブリの接触面は、光学アセンブリでの照射中に組織表面と熱的接触する。照射時に光の吸収によって組織に発生した熱は、受動的過程で、組織から光学アセンブリの光学スタックの1以上の要素に伝達されることがある。受動的に冷却する光学アセンブリの接触面の光学要素は、高い熱伝導性を有する材料で有意に作られる。最も有利には、受動的に冷却する光学アセンブリの接触面の光学要素は、サファイアで作られる。
【0127】
好適な実施形態では、本発明の装置は冷却デバイスを具えており、光学アセンブリは冷却層を含む。この冷却層は光学スタックの要素であってもよく、あるいは光学スタックの外側にあってもよい。冷却層は、光学スタックの1以上の要素および照射されている組織を能動的に冷却する。冷却層は冷却流体の流れに適用され、この冷却流体は気体または液体のいずれであってもよい。冷却流体の温度は、冷却デバイスによって37℃の生理学的温度に、またはそれ以下にほぼ維持されており、この冷却デバイスは光学アセンブリに連結され、光学アセンブリの冷却層の内外に冷却流体を循環させる。本発明の態様は、冷却流体が生体適合性且つ毒性がないものである。好適な実施形態では、冷却層は光学スタックの外側にある。有意な実施形態では、冷却流体は水または空気を含む。好適には、能動的に冷却する光学アセンブリの接触面の光学要素は、適度に高い熱伝導率を有する材料で作られる。好適には、能動的に冷却する光学アセンブリの接触面の光学要素は、石英、石英ガラス、またはサファイア、あるいはその種のもので作られる。
【0128】
本発明の幾つかの実施形態では、光学アセンブリの光学スタックは、1以上の熱伝達層を具える。この熱伝達層は、高い熱伝導性と、光源によって放出された光の波長における実質的な透過性とを有する流体を具える。幾つかの実施形態では、少なくとも1の熱伝達層が、2つの窓要素の間、または窓要素と導光板の間というように、光学スタックの光学構成要素の間に配置される。本発明の他の実施形態では、熱伝達層は、光学構成要素と光学スタックの近位境界部の反射プレートの間に配置される。本発明の他の実施形態では、導光板の抽出機構は、導光板からエアギャップを通り、光学スタックの近位境界部の反射プレートに熱を伝達するよう構成される。
【0129】
本発明の態様では、ハウジングは、例えばUltemなどの実質的に硬質な鋳造または機械加工できる生体適合性材料で作られる。本発明の他の態様では、ハウジングの内面は、光ファイバに連結された光源の波長を実質的には吸収しない。本発明の他の態様では、ハウジングの内面の総てまたは一部は、鏡面的あるいは拡散的に反射する。本発明の幾つかの実施形態では、内面の総てまたは一部が、光ファイバによって伝達される光の波長を拡散的に反射する材料でコートされる。本発明の幾つかの実施形態では、内面の総てまたは一部は、金または他の反射素材で作られたコーティングを有する。本発明の幾つかの実施形態では、光学スタックの1以上の光学構成要素の外側縁の一部または総てが研磨されるかコートされる。
【0130】
本発明の態様によると、導光板および/または光学スタックは可能な限り薄く作られる。光学アセンブリの厚さの減少に加えて、導光板および/または光学スタックの厚さを最小限にするとさらに、散乱事象の数および光ファイバの遠位端と接触面の間の光子の平均経路長が減少し、光学アセンブリの効率が結果として高まる。
【0131】
本発明の目的、すなわち、薄さ、大きい光伝送接触面の領域、表面の冷却、および照度の均一性は、ここに示すように、本発明の拡散性の光学的手法によって満たされる。光学スタックおよび光学アセンブリの要素は、新しい方法で構成され、形状、および光学的且つ熱的性能に関係する有意な特性の組み合わせを実現する。本発明の態様および利点は、実施形態の以下の詳述から更に理解されるであろう。
【0132】
拡散性の光学設計は、特に重要な更なる利点を有する。光伝送接触面からの出力は、ランバート反射またはほぼランバート反射であってもよい、つまり、ランダムに向き、非常に発散する光線を有する。光線は、接触面で直角に伝達されるか、接触面とほぼ平行なグレージング角を含む角度を有する場合がある。対照的に、前記の項の反射性の光学設計は、例えばほぼ平行のビーム、発散ビーム、または複数の僅かに発散するビームのアレイなど、非常に指向性があってあまりランダムに向かない光を生成することができる。反射性の設計では、光線は接触面に対してほぼ垂直な方向に伝達され、その配置は、本書に前述した数学的なモデル計算の平行な照射とより類似している。一般に、拡散またはランバートビームとしてランダムに向けられない平行または発散または集束ビームは、光線療法における利点として見られる。このような光線は容易に焦点を合わせることができ、組織に大きい浸透深さをもたらすことができる。前述の項の反射性の光学設計によって生成されるような平行または発散/収束ビームは、本発明の方法および装置による扁桃および他の軟組織の治療によく適している。
【0133】
しかしながら、ランバート反射または拡散性出力は、前述では明確な利点を有していない。本発明では、扁桃を2つの光伝送接触面の間に保持されて圧縮することができる。保持されている扁桃がこれらの面の縁部を越えて延在する場合、扁桃の少なくとも一部分は照射を受けにくいことがある。ハンドピースを照射されなかった扁桃の少なくとも一部分に再び適用する必要がある、あるいは、より有意には、扁桃全体を治療するには十分大きい接触面を有する光学アセンブリを有するハンドピースを使用する。
【0134】
しかしながら、接触面の間に保持され圧縮される扁桃の縁部を越えてこれらの面が延在するほど接触面が十分に大きい場合、例えば、比較的小さい扁桃が1度の照射の適用で非常に大きい扁桃全体を治療できる程度に十分大きな接触面を有する光学アセンブリを有するハンドピースに保持される場合、小さい扁桃は、接触面の間だがこれらの面とは接触していない内側の粘膜表面の部分に光を受けやすい。小さい扁桃の縁部を越えて延在する接触面の部分から伝送される光は、接触していない扁桃の粘膜表面の部分に影響を与える。扁桃の粘膜表面の部分は接触していないため、接触面によって冷却されない。従って、大きい扁桃に適した光学アセンブリを有するハンドピースに保持された、小さい扁桃の接触していない粘膜表面の部分を光が加熱する可能性はある。光は主にグレージング角で接触していない粘膜組織と交差する場合があり、これにより粘膜表面への実際の損傷は起こらない。しかしながら、このような問題点は、異なるサイズの範囲の扁桃について、1以上の接触面の領域をもつ1組の光学アセンブリを有するハンドピースを使用することが望ましいということを示唆している。
【0135】
本発明の拡散性の光学設計は、様々な設計の扁桃を治療する有意な方法を提供している。少し離れたランバートの光源からの照射に曝される組織は、コリメート光源に曝される組織よりも受ける光が少ない。コリメート光源では、少し離れた組織表面における光密度は変化しないが、ランバートの光源については、光密度は距離の二乗につれて減少する。このランバートの光源の性質は、レーザまたは他の光源が誤って眼の方に向けられた場合に眼の損傷を避けるため、皮膚学に対して眼に安全なレーザの開発に使用されてきた。しかしながら、本発明によると、ランバート反射、ほぼランバート反射、または同様の拡散ビームが、それぞれランバート反射、ほぼランバート反射、または拡散出力を有する光伝送接触面から少し離れた組織が過度の光を受けにくいように、組織の内部治療に使用することができる。特に、小さい扁桃が、それぞれランバート反射、ほぼランバート反射、または拡散出力を有する2つの光伝送接触面の間に保持され徐々に圧縮されるとき、接触面が小さい扁桃の内側の粘膜表面を越えて延在するような場合に、2つの接触面の延在している部分の間の空間の光密度は、扁桃の内側の粘膜表面に影響を与える前に著しく低下し、その結果、高い照射パワーが使用された場合でさえ、表面への起こりうる不要な加熱を控える。
【0136】
その結果として、本発明の拡散性の光学設計は、広い範囲の扁桃サイズに治療を提供する複数の光学アセンブリの必要性を低下または取り除く、扁桃治療用の方法および装置を提供している。上述のように、組織内の光の浸透深さは、組織表面に対して垂直の光線を有する平行ビームを利用することによって、最大となる。しかしながら、光の光子は、約(1−g)−1の散乱事象後に本来の向きを失っており、扁桃内の深さは組織内に約1mmである。従って、特に、照射時に光伝送接触面と接触する扁桃組織の表面における光の分布の僅かな増加を相殺するために僅かに冷却が強化される場合、接触した組織内に反射性の光学設計と同様の結果を有するように拡散性の光学設計を利用できる。本発明による扁桃組織の冷却要求は積極的ではないため、数度というように非常に僅かな冷却の強化で十分な場合もある。この項では、単純にするため、光学設計は1つのハンドピースの遠位部分に関して光学構成要素を示す図面に示されており、ハンドピースは2つのこのような遠位部分を具えていると理解できる。
【0137】
以下の実施形態では、装置の光学アセンブリは光拡散要素を具えており、その結果、このデバイスは拡散照射が可能となる。さらに、光学アセンブリの光学要素または光学アセンブリは、側面に側方の光入力面を有する導光板を具えており、これにより、導光板を横切る光は、組織表面とほぼ平行な方向に導光板を通って伝播する。光拡散要素は、導光板の近位面に抽出機構を具え、これにより、抽出機構から反射された光は光伝送接触面を通ってほぼ均一な分布で伝送される。抽出機構は、導光板の片側または両側にあってもよい。この装置は、導光板の少なくとも一部を収容するハウジングに具え付けることができる。ハウジングは、導光板の側方の光入力面に開口部を有していてもよい。
【0138】
下記の実施形態を理解すると、多くの他の実施形態が可能であるということが明らかとなるであろう。
【0139】
第1の実施形態
図24AおよびBは、本発明のデバイスの単純な第1の実施形態の概略図である。以下に詳しく記載するように、この実施形態では、導光板の遠位面は光伝送接触面として機能する。光学要素は、導光板の近位面に隣接するエアギャップを含んでいる。このエアギャップは、光学アセンブリのハウジングの底部内面および側方内面によって囲まれている。
【0140】
図24Aは、光学アセンブリの円形の接触面611を示している。接触面611は、デバイスのハウジング612のエッジ面612eと同一面上にある。光ファイバ609は、光を放出する遠位端、またはその近くにおいてコネクタ608でハウジング612に取り付けられる。光ファイバの近位端は、レーザまたは他の光源(図示せず)に取り付けられる。
【0141】
図24Bは、この実施形態のハウジングおよび光学スタックの概略的な断面図である。ハウジング612の内側は、近位面600aと、遠位または接触面611を有する導光板600である。ハウジング612は、光ファイバ609からの光の入口用に開口部612aを有している。開口部612aは、光ファイバの出力が導光板の側方入力面600cを通って導光板600に実質的に送達されるように配置される。ハウジングは、底部内面612dと導光板の近位面600aの間に小さい空間またはエアギャップ650を設けている。抽出機構600eは、導光板の近位面600aの全体または一部に、この面にわたって空間的に異なるパターンまたは分布で適用されている。光ファイバから導光板の側面を通って伝送される光は導光板内を内部反射し、光が導光板の遠位面から実質的に放出されるように、導光板の近位面上の抽出機構によって拡散される。ハウジングの底部内面612dおよび側方内面612fは、実質的に反射性の素材でコートされる、覆われる、あるいは作られている。
【0142】
光ファイバの出力面に近接する側方入力面600cを除き、導光板の側面の全体または一部は、光学的に研磨されて金でコートされる、あるいは研磨されずに硫酸バリウムペイントなどの拡散性の反射物質でコートされてもよい。側方入力面600cは、研磨されるか研磨されないでもよいが、反射性ではない。
【0143】
導光板の遠位面600bから放出された光は、実質的にランバートである、つまり、ランダムに向いた光線を有する。この面における照度は、ほぼ均一である。明確にするため、図24Bは、導光板またはあ接触面の遠位面から離れている照射領域699を図示している。導光板の遠位面と接触する組織表面上の照射領域699は、導光板の遠位面とほぼ同じ形状および面積である。
【0144】
導光板600の近位面600aにおける抽出機構600eは、図25AおよびBの概略図に非常に詳しく図示されている。図25Aは、導光板の近位面を示している。光ファイバ609の出口面609bは、導光板の側方入力面と近接している。図24Bの傾斜図は、導光板の側面における光入力領域600cを示している。
【0145】
600eに示す抽出機構は、図25Aおよび図25Bにおいて明確にするために非常に拡大して適宜配置されており、抽出機構の実際のパターンまたはサイズを示すことを意図していない。光分布の高い均一性および高い出力効率を有する光学アセンブリに対応する抽出機構のパターンや分布は、光学スタックの光学的材料や形状に左右され、総てのデバイスの光学スタックについて普遍的なパターンや分布というものは存在しない。この実施形態における導光板の抽出機構は、導光板上の近位面にある。他の実施形態では、抽出機構は、導光板の近位面および遠位面の双方の上にあってもよい。
【0146】
エアギャップ650の厚さは、光源からの光の波長のおよそ2倍よりも大きいか、導光板の近位面におけるTIRを可能にする程度に十分な厚さである。
【0147】
第1の実施形態の態様は、空気よりも高い屈折率を有する硬質な材料で作られた導光板である。適切な材料の例は、ガラス、石英ガラス、石英、アクリル、およびサファイアを含む。好適には、導光板は、所与の開口数(NA)の光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングするのに十分な厚さと、導光版の入力面からの距離を有している。好適には、導光板は、たわみ強さや破損への耐性、および光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングするのに必要なほど実質的には厚くない。
【0148】
この単純な第1の本発明の実施形態は、組織表面と熱的接触する導光板による熱の伝導によって、組織表面を受動的に冷却する光学アセンブリである。受動的に冷却する能力は、サファイアで作られた導光板を使用することによって増加させることができる。58W/mKの非常に高い熱伝導率、1200MPaの高たわみ強さ、耐引っ掻き性(硬度1370kg/mm)、および190nmから赤外線までの非常に高い伝送性のため、サファイアは、本発明の接触要素に対して非常に有意な材料である。サファイアが導光板として使用される場合、この材料の強度では、約1mmの最小厚さを最大約4cmの直径の光を放出する面に使用可能であることが分かっている。
【0149】
サファイアは鋳造することはできない。サファイアはその硬度のため、比較的エッチングに耐性がある。抽出機構は、スクリーン印刷などによって拡散性の材料を適用することによっても作ることができる。適切な拡散性材料は、上述のように機械的な安定性をもたらす幾つかのバインダを有する、反射性物質のペイントまたは塗料を含む。適切な材料は、Duraflect、Spectraflect、およびLabsphere6080(ニューハンプシャー州、ノースサットン、Labsphere社)といった反射コーティング用に市販されている硫酸バリウム塗装を含むか、研磨方法に応じて塗装される。
【0150】
導光板が石英ガラス、ガラス、石英、またはアクリルか他の透過性プラスチックの場合、抽出機構は、サファイアの場合のようにスクリーン印刷によって作ることができる。代替的には、抽出機構は、エッチングか鋳造プロセスによって、これらの材料で作ることができる。鋳造は、大量ではあまり高価でないプロセスだが、およそミリメートルスケールの機構に限定される。これらの大きいスケールの機構を使用すると、導光板のサイズや形状に応じて、照度の均一性を限定しうる。エッチングを実行して、小さく、密集し、更に複雑な抽出機構を作ることができる。石英ガラス、ガラス、プラスチック、または石英で作られた導光板を有する第1の実施形態の光学アセンブリは、組織を受動的に冷却するが、サファイアよりも小さい範囲である。これらの材料の総ては、空気よりも高い熱伝導率を有しており、石英は7.5W/mK、石英ガラスは1.4W/mK、ガラスは0.51乃至1.28W/mK、およびポリメタクリル酸メチルは約0.2W/mKの数値を有している。石英、石英ガラスおよびガラスは、可視および近赤外において非常に透過する。しかしながら、これらの物質では、導光板の厚さは、最小約2mmまたはそれ以上で破損を防ぐのに十分にすべきである。プラスチック(アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート)は、約1100nmまたそれより長い波長での使用について効果を低くさせる約1100nmで始まる吸収帯を有する。プラスチックは一般に、サファイア、石英、石英ガラス、またはガラスよりも低く約1100nmよりも短い可視および近赤外波長では低い透過率を有し、導光板の材料として使用すると光学アセンブリに対して比較的低い効率が生じる。プラスチックの比較的低い熱伝導率(0.1乃至0.3W/mK)のため、プラスチックの導光板を有する第1の実施形態のシステムは、比較的非効率的な受動的冷却を提供する。これらの低い効率および乏しい冷却のため、およびプラスチックの光学構成要素は高電力の光源によって損傷することがあるため、この実施形態の光学アセンブリではプラスチックは比較的限定された有用性を有する。より有意には、導光板は、硫酸バリウムのような反射性物質を含む適用された抽出機構を有するサファイア、またはエッチングまたは鋳造された抽出機構を有する石英、石英ガラス、およびガラスである。
【0151】
第1の実施形態の利点は、受動的冷却のみを必要とする光線療法の適用の単純化である。幾つかの場合では、第1の実施形態の光学アセンブリは、使用前に氷、冷水、または冷却された空気と接触するように配置することで予め冷却し、受動冷却を高めることができる。
【0152】
第2の実施形態
以下に詳しく記載するように、この実施形態では、装置の光学要素は、導光板の近位面に近接するエアギャップを具えている。このエアギャップは、光学アセンブリのハウジングの底部内面および側方内面によって囲まれている。光学要素はさらに、導光板の遠位面に近接する冷却層を具えている。接触窓が、冷却チャンバに近接する近位面と、光学アセンブリの光伝送接触面として機能する露出した遠位面とを有する。
【0153】
図26AおよびBは、能動的な冷却能力を具える本発明の実施形態の概略図である。図26Aは、接触窓の円形の光伝送遠位面611を示している。接触面611は、デバイスのハウジング612のエッジ面612eと同一平面上にある。光ファイバ609は、光を放出する遠位端かその近くにおいてコネクタ608によってハウジング612に取り付けられている。光ファイバの近位端は、レーザか他の光源(図示せず)に取り付けられる。このデバイスは更に、入口605aおよび出口605b管コネクタによってハウジング612に連結される、冷却流体を流すための入口610aおよび出口610bラインを有している。冷却ラインの他端は、冷却デバイス(図示せず)に連結される。冷却デバイスは、冷却流体リザーバ、または冷気生成デバイスを有する再循環冷却装置であってもよい。
【0154】
図26Bは、この実施形態のハウジングおよび光学スタックの概略的な断面図である。ハウジング612の内側は、導光板600、冷却層630、および接触窓670である。導光板600は、近位面600aと遠位面600bとを有している。ハウジング612は、光ファイバ609からの光の入口用に開口部612aを有している。開口部612aは、光ファイバの出力が導光板600に当該導光板の側方入力面600cを通って実質的に伝送されるよう配置される。冷却流管用のハウジングの開口部は、冷却剤が冷却層630に流出入するように配置される。入口の開口部612bが図示されている。ハウジングは、その底部内面612dと導光板の近位面600aの間に小さい空間またはエアギャップ650を設けている。接触窓670は、冷却層630内の冷却剤と接触している近位面670aと、遠位接触面611を有している。抽出機構600eは、導光板の近位面600aの全体または一部に、この面にわたって空間的に異なるパターンまたは分布で適用される。光ファイバから導光板の側方入力面を通って伝送される光は導光板内を内部反射し、光が導光板の遠位面から実質的に伝送されるように、導光板の近位面上の抽出機構によって拡散される。ハウジングの底部内面612dおよび側方内面612fは、実質的に拡散性の材料でコートされる、覆われる、あるいは作られている。
【0155】
冷却層630内への冷却剤の流動は、接触窓を冷却し、接触窓と接触している組織から熱を取り除く。冷却剤の流動はさらに、光学要素およびハウジングの内面を含む反射面による光の内部拡散および吸収に起因する、デバイスの他の構成要素の加熱を減少させることができる。本発明の実施形態の態様では、この流体は冷却チャンバを通って伝達される光に対し実質的に非吸収性である。この実施形態の他の態様では、流体は冷却チャンバを通って伝送される光の約25%未満を吸収する。好適には、流体は光の約10%未満を吸収する。最適には、流体は光の約5%以下を吸収する。適切な流体の例は、光源の波長に応じて、水、生理食塩水、Fluorinert(登録商標)(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社)などのパーフルオロカーボン、および空気を含む。例えば、冷却層の厚さに対して水が5または10%以上の吸収率を有する波長の領域では、より有意な冷却流体はパーフルオロカーボンまたは空気の場合もある。光学アセンブリの冷却能力は、流体の熱伝達特性、流体の温度、および冷却層内の流体の流速によって決まる。
【0156】
接触窓の遠位面611から伝送された光は実質的にランバート反射である、つまり、ランダムに向けられた光線を有している。この面における照度はほぼ均一である。接触窓の遠位面と接触する組織表面における照射スポット699は、接触窓とほぼ同じ形状および面積である。
【0157】
この実施形態の他の態様では、接触窓は、光ファイバに連結された光源の光を実質的に透過する硬質な材料で作られる。接触窓に適した材料の例は、石英ガラス、石英、ガラス、アクリル、およびサファイアを含む。好適には、接触窓の材料は、適度に高い熱伝導率を有する。接触窓の材料は、石英、石英ガラス、ガラスまたはサファイアであってもよい。有意な接触窓の材料は、高い熱伝導率および高いたわみ強さの双方を有する。最も有意には、接触窓の材料はサファイアである。
【0158】
本発明の態様では、ハウジングの内面は、光ファイバに連結された光源の光を実質的に吸収はしない。本発明の有意な態様では、内面の全体または一部は、光ファイバによって伝送される光の波長を非常に反射する材料でコートされる。
【0159】
第2の実施形態の態様では、導光板は、冷却流体よりも高い屈折率を有する材料で作られる。適切な材料の例は、冷却流体に応じて石英ガラス、石英、アクリル、およびサファイアを含む。好適には、導光板は、所与のNAの光ファイバから放出されるほぼすべての光をカップリングするのに適した厚さと、導光板の入力面からの距離を有している。好適には、導光板は、たわみ強さや破損への耐性、および光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングするのに必要な厚さよりも実質的に厚くはない。接触窓がサファイアの場合、石英、石英ガラス、またはガラスで作られた導光板は、接触窓によって破損から保護することができ、導光板の厚さは、導光板が露出している第1の実施形態と比較して減少しうる。
【0160】
第2の実施形態のサファイアの導光板は抽出機構に適用され、石英、シリカ、アクリルまたはガラスの導光板は、第1の実施形態の場合について前述したように、鋳造またはエッチングされた機構に適用することができる。さらに第1の実施形態のように、エアギャップ650の厚さは、光源からの光の波長のおよそ2倍以上、あるいは導光板の近位面においてTIRを可能にする程度に十分な厚さである。
【0161】
この実施形態では、導光板および光学スタックの厚さは最小限となる。導光板の厚さは、光源とのカップリング効率、および接触窓の強度要求によって決まる。冷却層は、水、パーフルオロカーボン、または空気での冷却に対して約1mmの厚さであってもよい。
【0162】
第3の実施形態
以下に詳しく記載するように、この実施形態では、光学要素は導光板の近位面に近接する第1のエアギャップを具える。第1のエアギャップは、光学アセンブリの底部内面およびハウジング側方内面に囲まれている。光学要素はさらに、導光板の遠位面と冷却層の窓の近位面の間に第2のエアギャップを具えている。冷却層は、冷却層の窓と接触窓の近位面の間にある。露出している遠位接触面は、光伝送接触面として機能する。
【0163】
図27は、本発明の第3の実施形態のハウジングおよび光学スタックの概略的な断面図である。第2の実施形態のように、第3の実施形態は能動的な冷却能力を有しているが、光学スタックは導光板と冷却層の窓の間に最小のエアギャップを有し、光学スタック内の拡散を減少させて、その結果、ほぼ同じ厚さを有する第2の実施形態の光学スタックと比較して効率がよくなる。
【0164】
ハウジング612の内側は、導光板600、冷却層の窓680、冷却層630、および接触窓660である。導光板600は、近位面600aと遠位面600bを有する。ハウジング612は、光ファイバ609からの光の入口用に開口部612aを有している。この開口部612aは、光ファイバの出力が導光板の側面にある入力領域600cを通って導光板600に実質的に伝送されるよう配置される。冷却剤の流管用のハウジングの開口部は、冷却剤が冷却層630に流出入するよう配置される。入口の開口部612bが図示されている。ハウジングは、底部内面612dと導光板の近位面600aの間に小さい空間か第1のエアギャップ650を設けている。冷却層の窓680は、冷却層630内の冷却流体と接触している遠位面680bと、空気と接触している近位面680aとを有する。冷却層の窓の近位面680aは、少なくとも2ミクロンの厚さの空間か第2のエアギャップ685、あるいは光源の波長の少なくとも2倍、導光板の遠位面600bから離れている。接触窓660は、冷却層630内の冷却剤と接触している近位面660aと遠位接触面611とを有する。抽出機構600eは、上述のように、導光板の近位面600aの全体または一部に材料を適用または除去する、あるいは鋳造することによって形成される。光ファイバから導光板の側方入力面を通って伝送される光は、導光板内のTIRによって、導光板の近位面600aおよび遠位面600bに対してほぼ平行な方向に伝播される。TIRは導光板の近位面上の抽出機構600eによって部分的に中断され、これにより、光は導光板の遠位面600bから拡散および放出される。放出された光は、第2のエアギャップ685、冷却層の窓680、冷却層630、および接触窓660を通って伝播され、接触窓と接触している組織表面における領域699を照射する。ハウジングの底部内面612dおよび側方内面612fは、実質的に反射性の素材で部分的または完全にコートされる、覆われる、または作られている。冷却窓および接触窓の側面の全体または一部は、拡散的または鏡面的に反射性の素材でコートされるか覆われていてもよい。導光板の側面の全体または一部は、側方入力面を除いて、拡散的または鏡面的に反射性の素材でコートされるか覆われていてもよい。
【0165】
本発明の実施形態の態様では、流体は、冷却層を通って伝送される光を実質的に透過する。この実施形態他の態様では、流体は、冷却層を通って伝送される光の約20%未満を吸収する。好適には、流体は光の約10%未満を吸収する。最適には、流体は光の約5%以下を吸収する。適切な流体の例は、光源の波長に応じて、水、生理食塩水、パーフルオロカーボン、および空気を含む。
【0166】
第3の実施形態の態様は、導光板が空気よりも高い屈折率を有する材料で作られる態様である。適切な材料の例は、石英ガラス、石英、アクリル、およびサファイアを含む。好適には、導光板は、所与のNAの光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングするのに十分な厚さと、導光板の入力面からの距離を有している。好適には、導光板は、たわみ強さや破損への耐性、および光ファイバから放出されたほぼ総ての光をカップリングするのに必要ほど実質的には厚くはない。接触窓および/または冷却層の窓がサファイアの場合、石英、石英ガラス、またはガラスで作られた導光板は、接触窓によって損傷から保護することができ、導光板の厚さを減少させることができる。
【0167】
接触窓の遠位面611から伝送された光は実質的にランバート反射である、つまり、ランダムに向けられた光線を有している。この面における照度はほぼ均一である。接触窓の遠位面と接触する組織表面における照射領域699は、接触面とほぼ同じ形状および面積である。
【0168】
本発明のこの実施形態の態様では、導光板における抽出機構のパターンまたは分布は、接触窓の遠位面にほぼ均一な照度を生成するよう選択される。本発明のこの実施形態の他の態様では、抽出機構のパターンまたは分布は、接触窓の遠位面に高い伝送効率およびほぼ均一な照度を生成するように選択される。好適には、伝送効率は50%またはそれ以上である。最適には、伝達効率は80%かそれ以上である。好適には、接触窓の遠位面における照度は、約+25%から−25%またはそれより優れた均一性を有する。最適には、照度は、約+10%から−10%またはそれより優れた均一性を有する。
【0169】
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態では、冷却層を導光板の近位面とハウジングの内面との間に配置することができる。特に、冷却層は導光板の近位面に近接しており、光学アセンブリのハウジングの底部内面と側方内面によって囲まれている。本発明のこの実施形態の利点は、導光板も接触窓であり、これにより、能動的に冷却しながら光学スタックの厚さを減少させる点である。光学スタックの厚さが減少すると、内部拡散が減少して伝送効率が増加し、さらにデバイスを有意に薄くする。この実施形態では、導光板の遠位面は光伝送接触面として機能する。
【0170】
図28は、この実施形態のハウジングおよび光学スタックの概略的な断面図である。ハウジング612の内側は、導光板600と冷却層630である。導光板600は、近位面600aと遠位接触面600bとを有する。ハウジング612は、光ファイバ609からの光の入口用に開口部612aを有する。開口部612aは、光ファイバからの出力が導光板の側方入力面600cを通って導光板600に実質的に伝送されるように配置される。冷却剤の流管用のハウジングの開口部は、冷却剤が冷却層630内に流入するよう配置される。入口の開口部612cが図示されている。抽出機構600eは、導光板の近位面600aの全体または一部に、この面にわたって空間的に異なるパターンまたは分布で適用されている。導光板の側面を通って光ファイバから伝送される光は、導光板内のTIRによって横方向に伝播し、光が導光板の遠位または接触面611から実質的に放出されるように、導光板の近位面における抽出機構によって拡散される。ハウジングの底部内面612dおよび側方内面612fは、実質的に反射性の材料でコートされる、覆われる、あるいは作られている。接触窓の遠位面と接触する組織表面上の照射スポット699は、接触窓とほぼ同じ形状および面積である。
【0171】
本発明の第3の実施形態の態様では、冷却流体は冷却チャンバを通って伝送される光を実質的に透過する。流体は液体または気体であってもよい。この実施形態の他の態様では、流体は光学アセンブリを通って伝送される光の約20%未満を吸収する。好適には、流体は光の約10%未満を吸収する。適切な流体の例は、光源の波長に応じて水、生理食塩水、パーフルオロカーボン、空気、または窒素ガスを含む。
【0172】
この実施形態の態様は、導光板が冷却チャンバ内の冷却流体よりも高い屈折率を有する材料で作られている。適切な材料の例は、石英ガラス、石英、アクリル、およびサファイアである。導光板は、光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングするのに十分な厚さを有しうる。好適には、導光板は、光ファイバから放出された光のほぼ総てをカップリングし、強度に必要な厚さよりも実質的には厚くない。好適には、導光板の材料は、適度に高い熱伝導率を有する。有意な導光板はサファイアであり、導光板の抽出機構は、冷却層の流体に耐性がある接着性ペイントまたは顔料の形態で適用される拡散材料である。例えば、拡散材料は、Duraflect塗料(ニューハンプシャー州、ノースサットン、Labsphere社)の形態で適用される硫酸バリウムであり、冷却流体は、光源の波長に応じて、水、生理食塩水、パーフルオロカーボン、空気または窒素ガスである。拡散材料は、例えばLabsphere6080塗料(ニューハンプシャー州、ノースサットン、Labsphere社)の形態で適用される硫酸バリウム塗料など、有意な冷却流体が空気または窒素ガスの場合に流動液体に高い耐性を持ちうる形態であってもよい。他の有意な導光板の材料は、石英、石英ガラス、またはガラスであり、抽出機構は、材料の適用または除去、あるいは鋳造によって形成される。抽出機構がエッチングまたは鋳造によって形成される場合、導光板は、冷却層内の流動液体または気体に曝される場合がある。石英、石英ガラス、またはガラスの導光板は、破損に対する適切な耐性を提供するのに十分な厚さである。本発明の実施形態は、微粒子の不純物が実質的にない冷却流体を必要としており、導光板の抽出機構の異物混入を最低限にするよう濾過システムを具えてもよい。
【0173】
本発明のこの実施形態の他の態様では、抽出機構のパターンまたは分布は、高い伝送効率および導光板の遠位面611においてほぼ均一な照度を生成するように選択される。
【0174】
第5の実施形態
本発明の第5の実施形態では、反射プレートは、冷却層と導光板の近位面との間に配置される。特に、冷却層は、光学アセンブリのハウジングの底部内面や側方内面、および反射プレートによって囲まれている。反射プレートおよび抽出空間が、冷却層と導光板の近位面にある。抽出空間は、導光板の近位面に隣接している。この反射プレートの利点は、導光板の近位面における抽出機構が、流動している冷却層の冷却剤による腐食または分解から、あるいは異物混入またはこの冷却剤との反応から保護されるという点である。反射プレートの更なる利点は、冷却層が光学スタックの一部ではなく、光に曝されない点である。従って、冷却流体は、光ファイバから放出された波長を実質的に透過性する気体か液体に限定されない。その結果、優れた熱伝達力、低コスト、および生体適合性のため、水による光の吸収が相当ある波長においても、有意な冷却流体である水を本発明のこの実施形態では使用することができる。この実施形態では、導光板の遠位面は光伝送接触面として機能する。
【0175】
図29は、第5の実施形態のハウジングおよび光学スタックの概略的な断面図である。ハウジング612の内側は、導光板600と冷却層630である。導光板600は、近位面600aと、遠位接触面611を有する。薄い反射プレート691が、導光板の近位面600aと近接しているが接触しないように配置される。抽出空間695は、導光板600と反射プレート691の間に設けられる。抽出空間695は、少なくとも2μmの厚さ、または光源の波長の少なくとも2倍である。ハウジング612は、光ファイバ609からの光の入口用に開口部612aを有している。開口部612aは、光ファイバの出力が導光板の側方入力面600cを通って導光板600に実質的に伝送されるように配置される。冷却剤の流管用のハウジングの開口部は、冷却剤が冷却層630内に流入するように配置される。入口の開口部612bが図示されている。抽出機構600eは、導光板の近位面600aの全体または一部に、この面にわたって部分的に異なるパターンまたは分布で適用される。光ファイバから導光板の側面を通って伝送される光は、導光板内のTIRによって横方向に伝播し、光が導光板の遠位または接触面611から実質的に伝送されるように、導光板の近位面上の抽出機構600eによって拡散する。ハウジングの底部内面612dおよび側方内面612fは、実質的に非吸収性の材料でコートされる、覆われる、あるいは作られている。接触窓の遠位面と接触している組織表面上の照射スポット699は、接触窓とほぼ同じ形状および面積である。
【0176】
本発明の第5の実施形態の他の態様では、抽出空間695は、光ファイバによって伝送された光を実質的に透過し、導光板よりも低い屈折率を有する空気、気体、または液体の実質的な静止量を含みうる。抽出空間は、例えばパーフルオロカーボン(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社、Fluorinert(商標))などの高い熱伝導率を有する液体を含むことが有意である。パーフルオロカーボンは好適に、特にFluorinert(商標)FC−43またはFC−70のように、室温より高い沸点および比較的低い蒸気圧を有する。Fluorinert(商標)の流体は通常、10℃の温度上昇毎に1%体積が増加する。この実施形態の態様では、薄い反射プレート691は、抽出空間695内の流体の温度で体積の変化がおこるように金属製で十分に薄い。2℃に維持された流体の冷却層の循環では、接触面における氷の形成または組織の凍結を防ぐために必要なおよそ最低の温度が、本来は室温の抽出空間695内の静止流体の温度を約20℃まで減少する。薄い金属製の反射プレートの柔軟性は、抽出空間内で歪みや起こりうる気泡の形成をすることなく、液体の体積を約2%の変化に十分適用することができる。反射プレートは、研磨されるか、抽出層と接触している面の全体または一部を拡散性の反射素材でコートしてもよい。
【0177】
この実施形態の態様は、導光板が抽出空間695内の材料よりも高い屈折率を有する材料で作られている。適切な材料の例は、石英ガラス、石英、アクリル、およびサファイアを含む。導光板は、適用された抽出機構を有するサファイア、またはエッチングまたは鋳造された抽出機構を有する石英、石英ガラスまたはガラスであってもよい。抽出空間の流体と導光板の屈折率の間の差異が比較的小さい場合、例えば、流体がFluorinertであり、導光板がエッチングされた石英、石英ガラスまたはガラスの場合、エッチングされた機構は、導光板から光を効率的に拡散して抽出するのに十分な深さに作られる。
【0178】
本発明の第5の実施形態の態様では、抽出機構のパターンまたは分布は、導光板の遠位面にほぼ均一な照度を生成するよう選択される。本発明のこの実施形態の他の態様では、抽出機構のパターンまたは分布は、前述のように、高い伝送達効率および導光板の遠位面にほぼ均一な照度を生成するよう選択される。
【0179】
この実施形態は、厚さを最小にするため光学スタックに1のみの光学構成要素を具え、冷却流体による光の吸収を取り除き、冷却剤として水の使用を可能にするため光学スタックの外側に冷却層を有しており、優れた冷却能力のために高い熱伝導性を有する構成要素で構成することができるため、多くの利点を有している。
【0180】
第6の実施形態
以下に詳しく記載するように、この実施形態では、光学要素は、光学アセンブリのハウジングの底部内面および側方内面によって囲まれた冷却層を具えている。光学要素はさらに、冷却チャンバと導光板との間に反射プレートを具えている。この反射プレートは、導光板の近位面上に抽出機構と接触している面を有する。光学要素はさらに、反射プレート、導光板の近位面、および抽出機構によって囲まれた少なくとも1の抽出空間を具えている。
【0181】
第6の実施形態では、反射プレート691は、導光板の近位面において抽出機構と熱的接触をしている。抽出機構は、実質的に高い熱伝導率と、光源の波長において実質的に高い屈折率の双方を有する材料を具える。抽出機構は、抽出空間内の流体なしで導光板から冷却チャンバに効率的に熱伝達しながら、反射プレートと熱的接触している。好適には、反射プレート691は金属で作られる。好適には、反射プレートは研磨されるか、抽出機構と接触している側に拡散性の反射コーティングを有する。最適には、反射プレートは、優れた熱的接触のため、抽出機構と接触している側に拡散性の反射コーティングを有している。
【0182】
図30Aおよび図30Bは、この実施形態の概略図である。図30Aでは、導光板600の近位面600aの抽出機構600eは、反射プレートと接触している。図30Bでは、抽出機構600eは、反射プレート691のコーティング691aと接触している。
【0183】
本発明の第6の実施形態によると、抽出機構は、導光板内のTIRを中断し、冷却層から反射プレートを通って導光板に熱を伝達するという両方の目的に役立つ。この実施形態の利点は、光学スタックの外側の冷却流体と接触窓の間に優れた熱伝達を実現するために液体が抽出空間695内に含まれる必要がないという点である。スクリーン印刷によって適用されるパイントのような適用材料で形成された抽出機構は、約数十から数百ミクロンの厚さを有することができ、反射プレートがドットの上面と接触している場合に、導光板の近位面600aと少なくとも2ミクロンの反射プレートの間にエアギャップを設けるのに十分な厚さよりも厚い。
【0184】
本発明のこの実施形態の重要な態様は、抽出機構の熱特性である。抽出機構を作るのに使用される配合物は、一般に反射素材、バインダ、および溶媒で構成される。溶媒は、反射素材およびバインダで構成される印刷された機構のアレイを残して、配合物が乾燥するにつれて蒸発する。この実施形態では、反射物質は光源の波長において実質的に反射性であり、抽出空間(0.024W/(mK))内の周囲空気よりも実質的に優れた熱伝導率を有する物質である。例は、硫酸バリウム、二酸化チタン、および酸化ジルコニウムを含む。反射性物質は、約90%よりも大きい反射性を有することがある。高い熱伝導性は、より有意である。
【0185】
第7の実施形態
本発明の実施形態では、光学アセンブリは、より指向した方法で光を放出するよう適合されている。この実施形態の利点は、光がより視準され組織により深く浸透する特定の用途で有用となりうる。
【0186】
図31は、第7の実施形態の概略図である。この図は図7に類似しており、明確にするため、第5の実施形態と同一のこの実施形態の特徴は、同一符号が与えられ、それらの説明はここでは繰り返さない。この実施形態の新しい態様は、図31に示す光伝送面611の視準機構693である。集束機構は一連のリッジ、溝部、レンズアレイ、およびその種のものであってもよく、伝送される光を集中させて発散しないようにすることができる。この実施形態では、導光板の遠位面における集束機構は、光伝送接触面として機能する。
【0187】
代替的には、この集束機構は、リッジ、溝部、レンズセットのアレイ、およびその種のものを有するグリッド要素の形状をしており、これらの特徴を有さない光伝送接触面に取り付けることができる。
【0188】
何れの場合でも、集束機構が光学アセンブリの要素の一部であろうと、グリッド要素の一部であろうと、これらの特徴を光伝送接触面の全体または一部に配置することができる。例えば、これらの特徴は接触面の中央付近に位置していてもよく、これにより、接触面の残りの部分から伝送される光は、ランバート反射またはほぼランバート反射であってもよい。
【0189】
発色団要素
前述の数学モデルのレーザ組織干渉計算は、扁桃摘出法で除去され、血管分布および線維化に相当する様々な成分を有するサイズの範囲の扁桃が、本書に開示されている本発明に応じて、数分またはそれ未満の照射時間で熱傷に対し目標温度まで加熱されることを示している。一般に、照射時間を含む合計手術時間を可能な限り減らすことが望ましい。この目的に対して、さらなる改変として、本発明は、照射前に扁桃組織に挿入されて治療が終了した後に取り除かれる、発色団要素を有する実施形態を含む。この発色団要素はさらに、以下に示すように、組織の熱分布を有意に修正することができる。
【0190】
本発明の実施形態によると、グリッド要素706が、図32に概略的に示すように、光を吸収する発色団で作られるか、構成要素として有している針731を取り付けている。これらの針が本発明の発色団要素であり、近位端733と遠位端732を有する。任意の数の発色団針要素を使用してもよく、1つのグリッド要素上のセンサ針と組み合わせて使用することもできる。発色団針の近位端733が実質的に光を反射する面を有することが有意である。例えば、発色団針の近位端は、針の近位端と接触している扁桃組織の粘膜表面が近位端によって熱傷を受けないように、光を反射すべきである。発色団針の反射する近位端は、少なくとも粘膜表面の厚さ、または約200μm程度の長さであるべきである。反射する近位端が例えば約0.5mmまたは1mmの長さといった粘膜表面の厚さよりも長いことがさらに有意である。
【0191】
図33は、扁桃摘出手術で除去される平均サイズの扁桃に対するモデル計算の結果を示している。これらの計算では、接触要素は直径2.6cmであり、これは14gの扁桃が2.0cmの厚さに圧縮された場合のおよそ最大直径に相当する。このモデルでは、三次元パターンで4mmのエッジ長さを有する21の発色団針がある。各発色団針は直径1mmである。さらに、この例では、発色団針はそれぞれ長さが10mmであり、遠位端に光を吸収する発色団コーティングと、近位端に光を反射するコーティングを有する。このモデル計算では、発色団にコートされる遠位端の長さは、5乃至8mmでばらついている。光は扁桃組織および発色団針の遠位表面の双方によって、特に光吸収性の発色団でコートされた表面部分によって吸収される。発色団の吸収係数は、これらの計算では1000cm−1である。針の遠位端の深部における扁桃組織は、照射時間が発色団針の熱緩和時間よりも大きいオーダーであるため、照射中に針の間の領域で加熱される。式、t=d/16τ、は円柱に対する熱緩和時間を示し、τは熱拡散率であり、dは直径である。ステンレス鋼で作られる場合、直径200ミクロン、500ミクロン、または1mmの円柱針の熱緩和時間は、それぞれ0.6、3.8、および15msである。針がチタンで作られる場合、それぞれの熱緩和時間は、0.3、1.8、および7msである。各針は、近位端に取り付けられたグリッドによって、他の針またはセンサ要素から熱的に分離されている。特定の用途について周囲の組織への熱伝達を最適にすべく、必要に応じて熱質量、熱伝達係数、および熱容量を選択するため、針は異なる材料で作られるか、含むことができる。
【0192】
図33に見られるように、この計算は、発色団針を用いて本発明に応じて治療された場合の扁桃内の熱分布が、針の光吸収性の発色団の位置に左右されるということを示している。ここで、扁桃の表面に近い扁桃組織は、発色団針の近位端の方へ発色団コーティングを広げることによってさらに加熱することができる。
【0193】
図34に見られるように、針があることによって、針を使用しない場合よりも実質的に短い期間で、例えば、期間が針を使用しない場合の33%未満というように、扁桃組織を加熱することが可能となる。照射時間の減少は、合計手術時間の減少において著しい利点である。
【0194】
本発明の実施形態によると、発色団針を有するグリッドは、光学アセンブリの光伝送接触面に対して針の長軸が垂直な状態、あるいは扁桃の把持を容易にする角度、例えば、垂直から45度またはそれ未満の角度で、ハンドピースの光学アセンブリに取り付けられる。発色団針は、扁桃が接触面によって保持されて圧縮されたときに十分に長く、発色団針の遠位端は、粘膜層の下の深部で扁桃内の位置に挿入される。好適には、発色団針は、0.2mm乃至20mmの長さである。より好適には、発色団針は、1乃至10mmの長さである。本発明の態様によると、異なる長さの発色団針は、1つのグリッド要素に取り付けることができる。他の実施形態の態様によると、ある表面要素のグリッドに取り付けられる発色団針は、第2の表面要素のグリッドに取り付けられる発色団針とは異なる長さであってもよい。
【0195】
他の実施形態では、発色団針は、接触要素に平行な軸に向けられる。本発明の更に他の実施形態では、発色団針はハンドピースに取り付けられるカラー要素に取り付けられ、これにより、発色団針は接触要素に平行な軸に向けられる。
【0196】
さらに本発明によると、発色団針は約100ミクロン乃至3mmの直径を有する。好適には、発色団針は約200ミクロン乃至1mmの直径を有する。発色団針の直径は、近位先端部から遠位先端部の間を距離の相関として変動していてもよい。好適な実施形態では、直径は発色団針の長さにわたってほぼ一定である。他の好適な実施形態では、発色団針の遠位端の直径は、近位端の直径よりも実質的に大きい。発色団針は、ほぼ直線であってもよく、あるいは合計長さの全体または一部にわたって湾曲した角度を有していてもよい。
【0197】
本発明によると、発色団針は、破損するリスクが最低限で扁桃を貫入するのに十分な強度と硬さを有する生体適合性材料で作られる。好適な実施形態では、発色団針は、医療グレードのステンレス鋼(316、316Lまたは真空溶解タイプの316L)で作られる。他の好適な実施形態では、発色団針は、医療グレードのチタン(非合金の商業上純であるCPグレード1−4)または(Ti−6Al−4V ELI、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb、Ti−3Al−2.5V、Ti−13Nb−13Zr、Ti−12Mo−6Zr−2Fe、Ti−15Moを含む)チタン合金で作られる。発色団針を作るために使用できる他の金属材料は、金、銀、プラチナ、タンタル、ニオブ、ジルコニウムおよびジルコニウム合金、ニッケルチタン二成分系に基づく形状記憶合金、タングステンおよびタングステンブロンズ、およびコバルト合金(エルジロイおよびMP35N)を含む。好適な実施形態の態様では、発色団針を作るために用いられる金属または金属合金は、NIR光を吸収する発色団でコートされる。好適な実施形態の他の態様では、発色団コーティングが、発色団針の遠位部分の表面に適用される。(用語、遠位は、例えばレーザ空洞などの光源から離れている要素または構成要素の部分を説明するために本書では用いられる。)他の好適な実施形態の態様では、発色団コーティングは、発色団針の表面全体に適用される。他の好適な実施形態では、実質的に光を反射するコーティングが、発色団針の近位部分の表面に適用される。
【0198】
発色団針はさらに、セラミック材で作ることもできる。好適な実施形態では、発色団針は酸化鉄、最適にはマグネタイトの形状の酸化鉄が添加されたセラミックで作られる。
【0199】
発色団針の遠位端は、最小限の力および最小限の組織の外傷で扁桃の実質組織内に挿入することが可能な形状である。遠位端の先端形状は、皮下注射針に使用され、当該技術分野で知られている、尖っている、曲がっている、斜め、および任意の他の穿通または切断先端形状を含む。発色団針は、中空、または中実の何れであってもよい。好適な実施形態では、発色団針は中実である。他の好適な実施形態では、中空の発色団針が使用され、シャフト内に熱電対または他の温度センサを具える。
【0200】
本発明の最適な実施形態では、発色団針の発色団コーティングは、炭素か炭素材料である。適切な炭素または炭素材料は、可視および近赤外線に対する高い吸収係数、および生体適合性を含む性質を有している。多くの炭素または炭素材料は、工学的用途のために合成され、広い範囲の物理特性を有する。この用途に好ましい材料は、天然の結晶性炭素の同素体の性質をまず考慮することによって特定される。炭素原子がハイブリッド化されたspである黒鉛は、600nmから少なくとも2ミクロンの波長範囲にわたって、約2×10cm−1の非常に高くてほぼ一定の吸収係数を有しており、spハイブリッド化炭素で構成され、可視およびNIRのスペクトル領域では透過するダイアモンド同素体とは異なる。歯科用インプラント用の表面材料としての熱分解炭素の使用は、この技術においてよく知られている。
【0201】
熱分解炭素コーティングでは、発色団針に達する殆どの光が、コーティングの第1のミクロン厚さによって吸収される。結果として、発色団針によって生成される熱の量は、針の表面積に比例する。従って、円形の断面を有する円筒形の発色団針を本発明に応じて用いてもよいが、大きい相対表面積に対応する形状の針を使用することは有意である。これらの針の形状の幾つかを図35に図示する。例えば、鋭い遠位点や鋭いエッジを有する平坦なブレードを使用してもよい。代替的には、円筒体に溝の切れ目を有する針を使用してもよい。好適な実施形態は、針の長さに沿って延在する3乃至6のエッジがある、十字型または星形の断面領域を有する針を使用してもよい。このようなエッジは、特定の針の長さに対して異なる長さを有しうるということに注目されたい。
【0202】
本発明の他の実施形態では、加熱が扁桃付近に実質的に集中するように、光を比較的高い出力且つ短いパルス継続時間で放出することができる。図36は、1回5ms、1120nmの光の40.6Jパルス、直径28mmの照射スポットの25の発色団針で照射された扁桃組織の場合に関するモデル計算の結果の輪郭プロットである。この実施形態は、組織に僅かな損傷を与える。更に他の実施形態では、僅かな損傷は、短/高パワーの光のパルスを低パワー/長い光の露出と組み合わせることによって、扁桃の実質組織の残りの部分へのかなりの損傷と合併することがある。
【0203】
熱分解炭素でコートされ、光を放出する接触要素に対する位置が固定された針の形状をした外因性の発色団を使用すると、正確に局部化された既知の量の発色団で扁桃による照射の吸収を高め、組織内への染料または発色団溶液の注入に関して起こりうる安全性または毒性の問題がなくなる。比較的狭い波長範囲内のみを非常に吸収するインドシアニングリーンなどの染料とは異なり、熱分解炭素は非常に広い範囲の波長の非常に高い吸収係数を有しており、動作波長を最適な組織の浸透深さおよび血液などの内因性の発色団による吸収の程度に基づいて選択することができるように、可視および近赤外波長の範囲にわたって動作するレーザで使用する適切な発色団にすることができる。
【0204】
実施形態の集束機構を更に用いて、扁桃を把持および保持する高い能力を提供することができる。
【0205】
本発明の具体例
例1
第1の例では、本発明の装置は、1120−1125nmで動作し、コア径275μmの0.22NAシリカ光ファイバに連結された20W CW量子ドットダイオードレーザを具えている。このレーザの光源は、Innolume社(ドイツ、ドルトムント)から、LD−1120−MCP−20Wマルチチップレーザダイオードモジュールとして市販されている。光ファイバの遠位端は、50/50の非極性ビームスプリッタキューブ(カナダ、オンタリオ州、オタワ、Oz Optics社)を有する1120−1130nm用の1×2のファイバ光学ビームスプリッタに取り付けられる。ビームスプリッタからの2の出力ファイバは、それぞれ最大で10W伝達する550/600μm、0.22NAファイバである。
【0206】
双方の出力ファイバは、SMAコネクタを用いて、ハンドピースに取り付けられた光学アセンブリに取り付けられる。各光学アセンブリは、凹面入力レンズ、六角ビーム成形器、約0.3mmの直径および0.34NAをそれぞれ有する19の光ファイバ、長さ18mm、幅8mmおよび厚さ1mmのサファイア窓、および長さ18mmで約2.5mmの高さを有する3の長方形鏡から構成されている。19の光ファイバは、それぞれ15乃至20mmの長さであり、六角ビーム成形器から光を受け取るため、近位端で被覆せずに六角形の束として組み合わせられる。3の鏡は、鏡の長軸が互いに且つ窓の長軸に対し平行な状態で、サファイアの窓の上に均等に間隔をあけた位置に配置される。これらの鏡は、窓の平面に対して45度の角度に傾けられる。6の光ファイバの遠位端は、第1の鏡上の均等に間隔が空いた領域上に反射されるようにサファイアの窓の長いエッジに沿ってそれぞれ配置され、7の光ファイバは、第2の鏡上の均等に間隔が空いた領域上に反射されるように窓の長いエッジに沿って配置され、残った6のファイバは、サファイア窓の表面に約18mm×8mmの全体的なアレイの形状で、それぞれ2.5mmの直径の19の照射円形スポットのアレイを作るために、第3の鏡上に反射するよう配置される。光学構成要素を収容するハウジングは、六角ビーム成形器の長軸とサファイア窓の短軸の間に45度の湾曲部を有している。サファイアの窓の遠位面は、光学アセンブリの光伝送接触面である。光学アセンブリの厚さは、約4乃至5mmである。ハウジングは、再循環冷却タイプの冷却デバイス(ニューヨーク州、プレザントバレー、SolidState Cooling Systems社、ThermoCube300)からの冷却流のライン用に入口と出口の接続部を有している。使用される冷却流体は、Fluorinert(商標)FC−43(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社)であり、サファイア窓を冷却するため、光学アセンブリの細長い鏡によって形成されたチャネルを通って循環する。滅菌した柔軟な透明スリーブがハンドピースの遠位部分の上に配置され、およそ中央位置に取り付けられた6mmの熱電対針プローブをそれぞれ有するUltemのグリッドが、針プローブが接触面に対して垂直となるように、滅菌スリーブの上にスナップ留めによって接触面に取り付けられる。
【0207】
再発性の扁桃炎の治療を必要とする患者は、診療室の環境において例示した装置で治療することができる。患者は座ったまま、口腔咽頭部および舌が表面麻酔のために20%のベンゾカイン液で噴霧される。エピネフリン(1:200,000)を含む2乃至5mlの0.5%のリドカインが、局所麻酔のために扁桃の外側被膜と咽頭筋群の間の平面に注射される。冷却デバイスが稼働し、温度は35℃に設定される。第1の扁桃が、扁桃の実質組織内に挿入される熱電対の針プローブを有するハンドピースの接触面の間に把持されて徐々に圧縮される。レーザが稼働して扁桃が加熱され、熱電対プローブの温度は約65℃の温度または他の適切な目標温度までモニタされる。このとき、レーザが停止され、冷却デバイスの流体温度は5℃に減少する。熱電対プローブが、扁桃が生理的温度に戻るか冷えたことを示すまで、接触冷却はハンドピースによって続けられる。次いで反対側の扁桃が同じ方法で治療される。
【0208】
例2
第2の例では、本発明の装置は、それぞれ長さ約18mm、幅8mmの2つの光伝送接触面と、2つの出力コネクタと2つの200μmコア径の0.53NA光ファイバ(Ceramoptec社、WF200/220 HT53)とを有する1120乃至1125nmで動作するCW量子ドットダイオードレーザとを有するハンドピースを具えている。この例では、光学アセンブリは例1の反射性の光学設計ではなく、拡散性の光学設計である。
【0209】
図37Aは、この例のデバイスのハウジングを図示している。ハウジング812は、厚さが約1mmの側壁812aと基部812bとを有している。ハウジングは、角部が3mmのフィレット半径を有する長さ18mmと幅8mmの内側寸法、および約5mmの高さを有している。ハウジングの側壁には、冷却流体の入口および出口用に近接した開口部812c、812dがある。これらの開口部は直径1mmで、側壁の平坦なセグメントの端部付近に位置している。同じ側壁の平坦なセグメントの中央付近には、レーザの光ファイバからの光の入口用に直径0.55mmの開口部812eがある。ハウジングの底部内面812hはLabsphere6080の硫酸バリウムペイント(ニューハンプシャー州、ノースサットン、Labsphere社)で完全にコートされ、側壁の内面812gは保護用の金メッキで光学的に鏡のような光沢を有している。
【0210】
図37Bは、この例のデバイスの光学スタックおよびハウジングの断面図である。冷却流の開口部812c、812dの位置が、この図に投影して図示されている。ハウジング812bの後方の底部内面812hに近接しているのは、厚さ1mmの導光板820の近位面820bである。厚さ1mmの窓プレート870の近位面870bは、少なくとも2ミクロンの厚さの空隙880によって、導光板820の遠位面820aと離れている。厚さ1mmの組織接触面の光学部品840は、組織接触遠位面811と冷却剤接触近位面840bとを有している。導光板820および冷却窓プレート870は石英で作られ、組織接触窓840はサファイアである。サファイアの窓の近位面840bは、冷却剤の流動層830として機能する1mmの空間によって、冷却剤の窓プレートの遠位面870aと離れている。石英の導光板820、石英の冷却窓870、およびサファイアの接触窓840は、平面が平行な窓である。この例のデバイスでは、石英の導光板820および石英の窓870は同一である。石英の導光板、石英の窓およびサファイアの窓は、互いに平行となるようにハウジングの側壁と接触して保持され固定される。
【0211】
図37Bに投影されている光ファイバ812e用の側壁の入口は、ファイバを出た光が石英の導光板の外縁部の中央に集中するよう配置されている。ハウジングの側壁の冷却剤の入口および出口穴は、冷却剤の流動チャンバ830と位置合わせされる。冷却流体が穴812cでチャンバ830に入ると、流体がチャンバを満たし、出口穴812dから外に流出する。この例のデバイスでは、流体は、例えばFC−43(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社、Fluorinert(商標))などのパーフルオロカーボンである。
【0212】
サファイアの接触窓および石英の冷却窓の外縁部は、光学的に滑らかに研磨される。導光板820の側壁は、ファイバからの光が導光板に入る小さいコートされていない領域820c(1mm×1mm)を除いて、長軸と平行な平坦なセグメント820f上に保護金メッキを有している(図37C、回転図である図37D)。導光板820hの端部における側壁の表面は、Labsphere6080ペイントでコートされる。金メッキされた導光板の外縁部は光学的に滑らかであり、ペイントでコートされる端部エッジは研磨されない。
【0213】
導光板の近位面820bは、Labsphere6080ペイントのドット(200ミクロンのドット径)の形状をした抽出機構820eを有している。ペイントドットのパターンが、可視できるように拡大されたドットのサイズで、図37Eに概略的に図示されている。このパターンは、出力の効率および均一性のため、モンテカルロの光線追跡計算(カリフォルニア州、パサデナ、Optical Research Associates社)に基づいて選択された。
【0214】
この例の装置の光学アセンブリに対するモデル計算の結果が、図37Fに図示されている。光学アセンブリの効率は67%である。各光学アセンブリにおいて10Wの入力では、最大および最小照度はそれぞれ0.054および0.044W/mmである。平均照度は、40mW/mmである。均一性は、+10.5%、−9.5%である。強度特性は、実質的にランバートである。
【0215】
例3
この例では、円形の光伝送面を有する本発明の装置が記載されている。光を放出する面は13.5mmの直径を有しており、表面積を前述の例の18mm×8mmのデバイスの光を放出する面と略等しくしている。レーザは、2つの200ミクロンのコア径、0.53NA光ファイバ(Ceramoptec社、WF200/220HT53)に連結された1120−1125nmのドットレーザ(ドイツ、ドルトムント、Innolume社)である。
【0216】
図38Aは、この例のデバイスのハウジングを示している。ハウジング812は、厚さが約1mmの側壁812aと基部812bを有している。このハウジングは、13.5mmの内部直径と、約5mmの高さを有する。ハウジングの側壁には、冷却流体の入口および出口用に近接する開口部812c、812dがある。これらの開口部は、直径1mmである。さらに側壁には、レーザの光ファイバからの光の入口用に直径0.55mmの開口部812eがある。ハウジングの底部内面812hは、Labsphere6080硫酸バリウムペイント(ニューハンプシャー州、ノースサットン、Labsphere社)で完全にコートされ、側壁の内面812gは保護用金メッキによって光学的に鏡のような光沢を有している。
【0217】
この例の光学アセンブリは、構成要素の形状、抽出機構の分布および配置を除いて、例3と同じである。図38Bは、石英の導光板820の近位面820b上における抽出機構820eの概略図である。光ファイバ860の出口面860aは、導光板の外縁部に近接している。抽出機構は、Labsphere6080ペイントを用いたスクリーン印刷によって適用されるペイントのドットである。それぞれのペイントのドットは、直径200ミクロンであり、可視できるようにサイズを拡大してある。ペイントのドットの配置は、モンテカルロ光線追跡法(カリフォルニア州、パサデナ、Optical Research Associates社)に基づいて選択された。
【0218】
この例のデバイスに対するモデル計算の結果が、図38Cに示されている。光学的特性は、例2のデバイスの特性と類似しており、同様のデザイン、およびほぼ同等の表面積を有している。この例のデバイスの効率は68%である。各光学アセンブリにおいて10Wの入力で、最小および最小照度は、それぞれ0.051および0.043W/mmである。平均照度は47mW/mmである。均一性は+7%、−9%である。強度特性は、実質的にランバートである。
【0219】
例4
前述の例は、1120nmのダイオードレーザを使用した。この例では、18mm×8mmの光伝送接触面の領域を有する例2の設計の光学アセンブリが、JENOPTIC Laserdiode社(ドイツ、イェーナ)の808nmのダイオードレーザと共に使用される。この808nmレーザは、200ミクロンのコア径の0.53NA光ファイバ(Ceramoptec社、WF200/220HT53)に連結され、同様に光学アセンブリに連結される。例2のように、流体はパーフルオロカーボンFC−43(ミネソタ州、ミネアポリス、3M社、Fluorinert(登録商標))である。従って、ペイントドットの抽出機構のパターンを含むハンドピースは例2と全く変わらず、違いは光源のみである。
【0220】
サファイアの接触窓の遠位面における照度のモンテカルロ光線追跡法の結果が、図39に示されている。この例の計算では、300nmの波長の変化に関わらず、照度分布は非常に均一のままであることが分かる。この例は、本発明のデバイスは、更なる改変を必要とせずに異なる波長で使用することができるという結果を立証している。本発明の装置では水を冷却流体として使用することもできる。
【0221】
本発明は口蓋扁桃の治療について詳細に説明されてきたが、軟組織の治療における多くの他の更なる利用法を有している。例えば、本発明は、舌の付け根の舌扁桃の治療、または口蓋垂の除去に適用されてもよい。他の重要な更なる利用法は、固形腫瘍の光線治療、および血管結紮を含む。
【0222】
本書に記載の総ての特許、公開された出願、および参考文献の教示は、総て参照により組み込まれる。
【0223】
本発明はその例示的な実施形態を参照して特に図示および説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態や詳細における様々な変更をすることができることは、当該技術分野における当業者は理解するであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織を治療するための装置において:
光源と、
少なくとも2の光学アセンブリであって:
少なくとも1の光学要素と;
ほぼ均一な光の分布をそれを通して伝送するよう構成された光伝送接触面とをそれぞれ具える光学アセンブリと;
前記光源と前記少なくとも2の光学アセンブリの対応する1つとの間にそれぞれ配置される少なくとも2の光伝送デバイスと;
前記少なくとも2の光学アセンブリが取り付けられ、前記少なくとも2の光学アセンブリの前記光伝送接触面をその間に位置する軟組織と接触させるよう適合されるハンドピースとを具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも2の光学アセンブリがさらに、前記少なくとも1の光学要素を少なくとも部分的に収容するハウジングをそれぞれ具えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置がさらに、前記ハンドピースの少なくとも遠位部分を覆うよう適合された滅菌使い捨てスリーブを具えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置において、当該装置が冷却デバイスを具え、当該冷却デバイスが前記少なくとも2の光学アセンブリの少なくとも一部分を通って冷却流体の流れを提供するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置がさらに、当該装置に取り付けられる少なくとも1の使い捨て要素を具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置がさらに、前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合された、少なくとも1の発色団要素を具えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置がさらに、前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合された、少なくとも1の温度センサを具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置において、前記使い捨て要素が、カラー要素またはグリッド要素であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記グリッド要素が前記光伝送接触面の一方と接触するおよび/または近接し、前記グリッド要素が前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合されるように、前記グリッド要素が前記光学アセンブリの一方に取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記グリッド要素が少なくとも1の温度センサまたは少なくとも1の発色団要素を具えており、前記温度センサまたは発色団要素が、前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、前記グリッド要素が開口領域を具え、当該開口領域を通って前記光伝送接触面が前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記グリッド要素が、滅菌使い捨てスリーブに恒久的に取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、前記グリッド要素が少なくとも1の温度センサまたは少なくとも1の発色団要素を具えており、前記温度センサまたは発色団要素が、前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項8に記載の装置において、前記カラー要素が、当該要素に取り付けられる少なくとも1の温度センサまたは発色団要素を有し、当該少なくとも1の温度センサまたは発色団要素を前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触させるように前記ハンドピースに取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項8に記載の装置において、前記カラー要素が、前記ハンドピースに可動するよう取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項8に記載の装置がさらに、前記ハンドピースの少なくとも遠位部分を覆うよう適合された滅菌使い捨てスリーブを具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、前記滅菌使い捨てスリーブが分岐しており、前記ハンドピースの2つの遠位部分を覆うよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16に記載の装置において、前記滅菌使い捨てスリーブが、実質的に透明で実質的に柔軟な材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項16に記載の装置において、前記滅菌使い捨てスリーブが、前記少なくとも2の光学アセンブリの前記光伝送接触面を覆うよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置において、前記グリッド要素が前記滅菌使い捨てスリーブと接触し、当該滅菌使い捨てスリーブが前記少なくとも2の光学アセンブリの前記光伝送接触面の一方と前記グリッド要素との間に位置するように、前記グリッド要素は前記光学アセンブリの一方に取り付けることができ、前記グリッド要素は前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、前記グリッド要素が、前記滅菌使い捨てスリーブに予め取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項19に記載の装置において、前記滅菌使い捨てスリーブが、実質的に透明で実質的に柔軟または実質的に硬質な材料を含む窓部分を具えており、当該窓部分は、前記少なくとも2の光学アセンブリの光を放出する接触面と接触するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置において、前記グリッド要素が前記滅菌使い捨てスリーブの前記窓部分の一方と接触し、当該窓部分が前記少なくとも2の光学アセンブリの前記光伝送接触面の一方と前記グリッド要素との間に位置するように、前記グリッド要素は前記光学アセンブリの一方に取り付けることができ、前記グリッド要素は前記少なくとも2の光学アセンブリの間に位置する前記軟組織と接触するよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、前記グリッド要素が、前記窓部分に予め取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項19に記載の装置において、前記カラー要素が、前記ハンドピースの前記遠位部分の一方に取り付けられるよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、約20mm乃至約1250mmの面積を有することを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、約100mm乃至1250mmの面積を有することを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置において、前記光学アセンブリの厚さが、約6mmまたはそれ未満であることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置において、前記光伝送デバイスが、光ファイバ、光ファイバの束、および光ガイドから構成される群から選択されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項4に記載の装置において、前記冷却デバイスが前記ハンドピースに連結され、前記冷却流体が前記ハウジング内を循環する約37℃以下の温度を有しており、前記冷却流体は前記光学アセンブリの前記光伝送接触面と熱的接触することを特徴とする装置。
【請求項31】
軟組織を光線治療する装置であって、ほぼ均一な光の分布を生成するようそれぞれ構成され、光伝送デバイスによって光源にそれぞれ連結される少なくとも2の対向する光学アセンブリを具える装置において、それぞれの光学アセンブリが:
前記光伝送デバイスから光を受け取るよう適合された光学要素と;
光を前記軟組織に伝送するよう適合された光伝送接触面とを具えることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置において、前記ほぼ均一な光の分布が、約700nm乃至約1350nmの範囲内の波長を有することを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項32に記載の装置において、前記ほぼ均一な光の分布が、約1100nm乃至約1140nmの範囲内の波長を有することを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項31に記載の装置がさらに、前記少なくとも2の対向する光学アセンブリが取り付けられるハンドピースを具えており、当該ハンドピースは、互いに協働して軟組織を間に保持して圧縮すべく、前記光伝送接触面を動かすよう適合されていることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項34に記載の装置がさらに、使い捨て要素を具えることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置において、前記使い捨て要素がグリッド要素を具えることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、前記光学アセンブリに脱着可能に取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項37に記載の装置において、前記グリッド要素が、スナップ留めまたはスライドや溝部により、前記光学アセンブリに脱着可能に取り付けられることを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、反射素材でコートされることを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、鋳造または機械加工ができる生体適合性プラスチックを含むことを特徴とする装置。
【請求項41】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、レーザ耐性があるプラスチックを含むことを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、ポリエーテルイミド樹脂またはポリカーボネート樹脂で作られることを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が、温度センサのリードワイヤ用にチャネルまたは穴を具えることを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項43に記載の装置において、前記チャネルまたは穴が、光から前記ワイヤを保護するための反射表面を具えることを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項36に記載の装置において、光が、ファイバレーザ、半導体レーザ、およびネオジム添加イットリウムアルミニウムガーネットのレーザで構成される群から選択された光源から提供されることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項36に記載の装置において、前記グリッド要素が開口領域を具え、当該開口領域を通って前記光伝送接触面の少なくとも一方が露出されることを特徴とする装置。
【請求項47】
請求項35に記載の装置において、前記使い捨て要素が、前記ハンドピースの少なくとも一方の遠位部分に取り付けられるカラーを具えることを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項34に記載の装置がさらに、少なくとも一本の針を具えており、当該針は、針の近位端で使い捨て要素に固定され、遠位先端部を有していることを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項48に記載の装置において、前記針が、発色団針であることを特徴とする装置。
【請求項50】
請求項49に記載の装置において、前記発色団針が、実質的に光を吸収可能であることを特徴とする装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置において、前記発色団針が、異なる長さを有することを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項50に記載の装置において、前記発色団針が、温度センサを具えることを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項50に記載の装置において、前記発色団針が、炭素材料でコートされることを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項50に記載の装置において、前記発色団針が、熱分解炭素でコートされることを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項49に記載の装置において、前記発色団針が、光を反射可能であることを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置において、前記発色団針が、近赤外線を吸収する発色団でコートされることを特徴とする装置。
【請求項57】
請求項49に記載の装置がさらに、パターンに配置された複数の発色団針を具えることを特徴とする装置。
【請求項58】
請求項49に記載の装置において、前記発色団針が、中空または中実であることを特徴とする装置。
【請求項59】
請求項49に記載の装置において、前記発色団針が、当該発色団針の表面積を最大にする断面形状を有することを特徴とする装置。
【請求項60】
請求項49に記載の装置において、前記発色団針が、実質的に高い熱伝導率を有する材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項61】
請求項48に記載の装置において、前記針が、少なくとも1の温度センサを具える温度センサ針であることを特徴とする装置。
【請求項62】
請求項61に記載の装置がさらに、様々な長さを有する複数の温度センサ針を具えることを特徴とする装置。
【請求項63】
請求項61に記載の装置において、前記温度センサ針が、前記近位端にU字に湾曲した基部または角度が付いた基部を有することを特徴とする装置。
【請求項64】
請求項61に記載の装置において、前記温度センサ針の外面および/または内面が、実質的に光を反射する材料で作られるか、コートされることを特徴とする装置。
【請求項65】
請求項61に記載の装置において、前記温度センサ針が、約0.1秒またはそれ未満の時定数を有することを特徴とする装置。
【請求項66】
請求項34に記載の装置において、前記光学要素が、少なくとも1の反射デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項67】
請求項66に記載の装置において、前記少なくとも1の反射デバイスが、プリズムまたは鏡であることを特徴とする装置。
【請求項68】
請求項34に記載の装置において、前記ハンドピースが少なくとも2の遠位部分を具えており、前記対向する光学アセンブリはそれぞれ前記遠位部分の一方に固定され、前記遠位部分の少なくとも一方が他方に対して可動することを特徴とする装置。
【請求項69】
請求項31に記載の装置がさらに、冷却流体を前記光学アセンブリに提供し、前記少なくとも2の対向する光学アセンブリの少なくとも一方の前記光伝送接触面から熱を除去するよう構成された冷却デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項70】
請求項67に記載の装置において、前記光学要素が複数の反射デバイスを具え、各反射デバイスは、前記光伝送接触面に分散した光のセグメント領域に対応することを特徴とする装置。
【請求項71】
請求項70に記載の装置がさらに、冷却流体を前記光学アセンブリの少なくとも一方に提供するよう構成された冷却デバイスを具えており、前記冷却流体は前記複数の反射デバイスと直接接触することを特徴とする装置。
【請求項72】
請求項71に記載の装置がさらに、前記複数の反射デバイスと直接接触する冷却流体の流れのために少なくとも1のチャネルを具えることを特徴とする装置。
【請求項73】
請求項66に記載の装置がさらに、冷却流体を前記光学アセンブリに提供し、前記少なくとも2の対向する光学アセンブリの前記光伝送接触面から熱を除去するよう構成された冷却デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項74】
請求項31に記載の装置において、前記光学要素がさらに、光を拡散する要素を具えることを特徴とする装置。
【請求項75】
請求項74に記載の装置において、前記光学要素がさらに導光板を具え、当該導光板を横切る光が前記導光板を通って前記組織表面とほぼ平行な方向に伝播するように前記導光板は側面に側方の光入力面を有しており、前記光を拡散する要素は、抽出機構から反射された光がほぼ均一な分布で前記光伝送接触面を通って伝送されるように前記導光板の近位面に抽出機構を具えることを特徴とする装置。
【請求項76】
請求項75に記載の装置において、前記抽出機構が、パターンに配置されることを特徴とする装置。
【請求項77】
請求項75に記載の装置において、前記抽出機構が、前記導光板の片面または両面にあることを特徴とする装置。
【請求項78】
請求項75に記載の装置がさらに、前記導光板の少なくとも一部を囲み、前記導光板の前記側方の光入力面に開口部を有する光学アセンブリのハウジングを具えることを特徴とする装置。
【請求項79】
請求項78に記載の装置において、前記ハウジングが、扁桃が前記ハンドピースの前記光伝送接触面によって内側方向に収縮され保持されたときに前記扁桃の実質組織の大部分が前記光伝送接触面の間に配置されうるよう十分に薄い厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項80】
請求項79に記載の装置において、前記ハウジングが、前記扁桃が前記ハンドピースの前記光伝送接触面によって内側方向に収縮され保持されたときに前記扁桃の実質組織のほぼ総てが前記光伝送接触面の間に配置されうるよう十分に薄い厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項81】
請求項79に記載の装置において、前記ハウジングが、約6mm未満の厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項82】
請求項78に記載の装置において、前記光伝送接触面のそれぞれの表面積が、これらの面から伝送される光が面の間に徐々に圧縮される扁桃の大部分を照射するよう十分に大きいことを特徴とする装置。
【請求項83】
請求項82に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、少なくとも約20mm、最大約1250mmの表面積を有することを特徴とする装置。
【請求項84】
請求項83に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、約100mm乃至約1250mmの表面積を有することを特徴とする装置。
【請求項85】
請求項83に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、幾何学的または非幾何学的形状を有することを特徴とする装置。
【請求項86】
請求項83に記載の装置において、前記光伝送接触面がそれぞれ、円形または長円形状を有することを特徴とする装置。
【請求項87】
請求項75に記載の装置において、前記光伝送接触面が前記導光板の遠位面を含み、前記光学要素がさらに、前記導光板の近位面、前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、および前記光学アセンブリのハウジングの側方内面に隣接するエアギャップを具えることを特徴とする装置。
【請求項88】
請求項75に記載の装置において、前記光学要素がさらに:
前記導光板の近位面、前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、および前記光学アセンブリのハウジングの側方内面に隣接するエアギャップと;
前記導光板の遠位面に隣接する冷却層と;
前記冷却層に隣接する近位面を有する接触窓であって、前記光伝送接触面が当該接触窓の遠位接触面を含む接触窓とを具えることを特徴とする装置。
【請求項89】
請求項75に記載の装置において、前記光学要素がさらに:
前記導光板の近位面、前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、および前記光学アセンブリのハウジングの側方内面に隣接する第1のエアギャップと;
前記導光板の遠位面、冷却層の窓の近位面、および前記光学アセンブリのハウジングの側方内面に隣接する第2のエアギャップと;
前記冷却層の窓の遠位面に隣接する冷却層と;
前記冷却層に隣接する近位面を有する接触窓であって、前記光伝送接触面が当該接触窓の遠位接触面を含む接触窓とを具えることを特徴とする装置。
【請求項90】
請求項75に記載の装置がさらに、前記導光板の近位面、前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、および前記光学アセンブリのハウジングの側方内面に隣接する冷却層を具えており、前記光伝送接触面は前記導光板の遠位面を含み、前記導光板は前記冷却層内の冷却流体よりも高い屈折率を有することを特徴とする装置。
【請求項91】
請求項75に記載の装置がさらに、
前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、前記光学アセンブリのハウジングの側方内面、および反射プレートに隣接する冷却層と;
前記反射プレートと前記導光板の近位面の間の抽出空間とを具えており、前記光伝送接触面が前記導光板の遠位面を含むことを特徴とする装置。
【請求項92】
請求項91に記載の装置において、前記抽出空間が、前記導光板よりも低い屈折率を有する熱伝達流体を具えることを特徴とする装置。
【請求項93】
請求項75に記載の装置において、前記光学要素がさらに:
前記光学アセンブリのハウジングの底部内面、前記光学アセンブリのハウジングの側方内面、および反射プレートに隣接する冷却層と;
前記導光板の近位面上の前記抽出機構と接触する面を有する前記反射プレートと;
前記反射プレート、前記導光板の近位面、および前記抽出機構によって囲まれた少なくとも1の抽出空間とを具えることを特徴とする装置。
【請求項94】
請求項93に記載の装置において、前記反射プレートが、前記抽出機構と接触している前記反射プレートの面に拡散性の反射コーティングを具えることを特徴とする装置。
【請求項95】
請求項75に記載の装置において、前記光伝送接触面が、集束機構を具えることを特徴とする装置。
【請求項96】
組織の表面を照射する装置において:
ハウジングと;
抽出機構を有する実質的に硬質な導光板と;
接触要素であって、光伝送接触面を具える接触要素と;
当該接触要素に隣接している冷却層であって、光の放出前、最中、またはその後に、当該冷却層内に誘導された流体が前記接触面から熱を除去する冷却層とを具えており、デバイスの前記ハウジング内に誘導され、前記導光板の外縁部に当たった光が、前記導光板を通って前記組織の表面とほぼ平行な方向に伝播し、ほぼ均一な照度で前記接触面において放出されることを特徴とする装置。
【請求項97】
組織の表面を照射する装置において:
ハウジングと;
抽出機構を有する実質的に硬質な導光板であって、接触面を具える導光板と;
当該導光板に隣接している冷却層であって、光の放出前、最中、またはその後に、当該冷却層内に誘導された流体が前記導光板の接触面から熱を除去する冷却層とを具えており、前記ハウジング内に誘導され、前記導光板に当たった光が、前記導光板を通って前記組織の表面とほぼ平行な方向に伝播し、ほぼ均一な照度で前記接触面において放出されることを特徴とする装置。
【請求項98】
軟組織を治療する装置において:
光源と、
少なくとも1の光学アセンブリであって:
少なくとも1の光学要素と;
ほぼ均一な照射の分布をそれを通して伝送するよう構成された光伝送接触面とを具える光学アセンブリと;
前記光源と前記光学アセンブリの間に連結された少なくとも1の光伝送デバイスと;
少なくとも2の遠位部分を具えるハンドピースとを具えており、前記光学アセンブリは前記遠位部分の一方に取り付けられ、当該遠位部分は前記軟組織を間に把持し、前記光学アセンブリの前記光伝送接触面を前記軟組織と接触させるよう適合されることを特徴とする装置。
【請求項99】
扁桃組織を治療する方法において:
2の対向する光を放出する光学アセンブリの光伝送接触面の間に、前記扁桃組織の部分を圧縮してほぼ平坦にするステップと;
前記光学アセンブリのそれぞれの光学要素内に光を導入するステップと;
前記光学要素から前記光伝送接触面を通って前記扁桃組織内に光を誘導することにより、ほぼ均一な光の分布で前記扁桃組織を照射するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項100】
請求項99に記載の方法がさらに、反射デバイスを用いて、前記光学アセンブリ内に誘導された光を斜めに反射するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法がさらに:
複数の反射デバイスを用いて、前記光学アセンブリ内に導入された光を斜めに反射し、反射された光を各光学アセンブリの前記光伝送接触面を通して伝送するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項99に記載の方法がさらに、各光学アセンブリ内に導入された光を拡散するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法がさらに:
各光学アセンブリ内に導入された光を導光板内の横方向の経路を通って誘導するステップと;
前記導光板の近位面にパターンに配置された抽出機構から光を拡散し、この拡散した光を各光学アセンブリの前記光伝送接触面を通して伝送するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項99に記載の方法がさらに、少なくとも1本の針の遠位先端部を前記扁桃組織内に挿入するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項99に記載の方法がさらに、扁桃陰窩の生物膜の少なくとも一部に損傷または外傷を与えるのに十分な目標照射温度および照射時間の組み合わせを選択するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項99に記載の方法がさらに、組織の移行を実現するのに十分な目標照射温度および照射時間の組み合わせを選択するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項107】
請求項106に記載の方法において、前記目標照射温度が少なくとも少なくとも約50℃から約65℃であり、前記照射時間が約1乃至約7分であることを特徴とする方法。
【請求項108】
請求項106に記載の方法において、前記目標照射温度が少なくとも約60℃から約65℃であり、前記照射時間が約1分未満であることを特徴とする方法。
【請求項109】
請求項99に記載の方法において、前記照射時間が、約3分未満であることを特徴とする方法。
【請求項110】
請求項109に記載の方法において、手術室の環境における前記照射時間が、約1分未満であることを特徴とする方法。
【請求項111】
請求項99に記載の方法において、前記光が、約1100nm乃至約1350nmの波長を有することを特徴とする方法。
【請求項112】
請求項99に記載の方法において、前記光伝送接触面の少なくとも一方が、前記扁桃組織の粘膜層を冷却することを特徴とする方法。
【請求項113】
請求項112に記載の方法において、前記光伝送接触面の少なくとも一方が、前記扁桃組織の粘膜層を受動的に冷却することを特徴とする方法。
【請求項114】
請求項112に記載の方法において、前記光伝送接触面の少なくとも一方が、前記扁桃組織の粘膜層を能動的に冷却することを特徴とする方法。
【請求項115】
請求項114に記載の方法において、前記光伝送接触面が、当該光伝送接触面と熱的接触している冷却流体を利用して前記粘膜層を能動的に冷却することを特徴とする方法。
【請求項116】
請求項115に記載の方法がさらに、前記扁桃組織が実質的に冷却されるまで、照射後に前記冷却流体の温度を3℃より低くない温度に低下させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項117】
請求項116に記載の方法において、前記冷却するステップが、前記粘膜層を保護するには十分であるが、前記扁桃の実質組織を加熱するのに必要な照射量を実質的に増加させる程でないことを特徴とする方法。
【請求項118】
請求項99に記載の方法がさらに、前記組織を照射した後に前記扁桃組織の温度を低下させるため、前記光伝送接触面の間に前記扁桃組織を保持して冷却し続けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項119】
請求項118に記載の方法がさらに、前記組織を照射した後に前記扁桃組織の温度を約50℃またはそれ未満の温度に低下させるため、前記光伝送接触面の間に前記扁桃組織を保持して冷却し続けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項120】
請求項118に記載の方法がさらに、照射された前記扁桃の実質組織を約37℃乃至5℃の温度に冷却するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項121】
請求項120に記載の方法において、前記扁桃組織のほぼ全体が、37℃以下且つ前記扁桃組織に不可逆性の凍傷が起こる温度以上の温度に冷却されることを特徴とする方法。
【請求項122】
請求項99に記載の方法がさらに、前記扁桃組織の温度を少なくとも一か所で測定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項123】
請求項99に記載の方法がさらに、前記扁桃の実質組織内の少なくとも一か所の温度を測定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項124】
請求項123に記載の方法がさらに、照射中およびその後に、前記扁桃の実質組織内の少なくとも一か所の温度を測定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項125】
請求項124に記載の方法がさらに、測定された温度が目標温度に達するまで、前記扁桃組織を照射するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項126】
請求項123に記載の方法がさらに、前記扁桃組織の粘膜の上またはその中の少なくとも一か所の温度を測定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項127】
請求項126に記載の方法がさらに、照射中に粘膜温度が50℃を越えないように、前記扁桃組織の粘膜の上またはその中の少なくとも一か所の温度を監視して制御するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項128】
請求項99に記載の方法において、前記扁桃組織が照射される際に前記扁桃組織内の血液の灌流を減少させるのに十分な加圧で、前記扁桃が少なくとも2の光伝送接触面の間に圧縮されることを特徴とする方法。
【請求項129】
扁桃組織を治療する方法において:
光伝送接触面と光を放出しない面の間に前記扁桃組織の部分を圧縮してほぼ平坦にするステップと;
光を光学要素内に導入するステップと;
前記光学要素から前記光伝送接触面を通って前記扁桃組織に光を誘導することにより、ほぼ均一な分布で前記扁桃組織を照射するステップとを具えることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図37E】
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【図37F】
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【図38A】
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【図38B】
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【図38C】
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【図39】
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【公表番号】特表2012−509720(P2012−509720A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537720(P2011−537720)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065768
【国際公開番号】WO2010/060097
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511124943)グラディアント リサーチ,エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】GRADIANT RESEARCH,LLC
【Fターム(参考)】