説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法、導電性軟質ポリウレタンフォームの製造方法、導電性ロールおよびその製造方法

強靱で機械的強度に優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法、良好な成形性を有し、導電性の温度依存性の小さい導電性ポリウレタンフォームの製造方法、低硬度・低密度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法、環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有し、アスカー硬度、抵抗値、密度の条件を満たす導電性ロールおよびその製造方法を提供する。本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、有機イソシアネート、ポリオール、触媒、界面活性剤を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、不活性ガスを機械的撹拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなり、ポリウレタンフォーム中にポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを50質量%以上含有し、かつ界面活性剤にソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤を該ポリウレタンフォームに対して0.1〜5質量%用いることを特徴とするものである。本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、上記界面活性剤に代えて整泡剤を用い、該整泡剤が、ジメチルポリシロキサン−ポリエーテルポリオールブロック共重合体であることを特徴とする方法である。本発明の導電性ポリウレタンフォームの製造方法は、原料として導電剤を含ませ、導電剤が気相法炭素繊維およびカーボンブラックからなることを特徴とするものである。本発明の導電性ロールは、原料として導電性付与物質を含ませ、該導電性付与物質が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤を含み、導電性ロールのアスカー硬度がC5°〜C80°、抵抗値が1×10〜1×10Ωであり、ポリウレタンフォームの密度が0.1〜0.8g/cmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、特にメカニカルフロス法によるポリオール成分としてポリ(オキシプロピレン)ポリオールの全部又は一部をポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール(以下、PTMG系ポリオールという。)に代替したPTMG系軟質ポリウレタンフォームの製造方法、低密度・低硬度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法、導電性ポリウレタンフォームの製造方法、導電性ロールおよびその製造方法であって、特に、電子写真装置に用いられる、トナー搬送用ロール、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等の静電気的に被接触物をコントロールすることが容易な導電性ロールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームを製造するためにメカニカルフロス法が使用されている。このメカニカルフロス法は、イソシアネート液とポリオール液とを混合する際、不活性ガスを一緒に混合し、予め気泡を反応混合液に封じ込め、これを反応・硬化させることで目的物を得る方法である。メカニカルフロス法によって得られた軟質ポリウレタンフォームは、1)発泡剤として水を用いていないため、ウレア結合が基本的に生成せず、強靱で反発弾性等が高い 2)セルのきめが細かく、またサイズがそろっている 等の特徴を有する。このため、複写機等の各種ロール、各種パッド、靴底、化粧用パフ、カーペット、パッキン、シール材等に用いられている。
【0003】
メカニカルフロス法による軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、例えば、特許文献1および特許文献2等に記載された、様々な方法が提案されている。特許文献1に記載された方法では、整泡剤を用いていないため、得られるポリウレタンフォームにおけるブリードの問題が少ない利点を有する。また、特許文献2に記載された方法では、アルコール変性シリコーンオイルを用い、かつ遠心成形しているため、ピンフォールが少ないポリウレタンフォームが得られる利点を有する。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、得られるポリウレタンフォームのセルのセルサイズが不揃いであり、部位によって硬度が異なり、このようなポリウレタンフォームを紙送りロールに用いた場合、正確に給紙することができないといった問題があった。また、上記特許文献2に記載された方法では、遠心成形ゆえに成形物が薄物となり、ブロック状や厚物の成形には不向きであるといった問題があった。
【0005】
一般に、ポリエーテル系ポリウレタンは、ポリエステル系ポリウレタンと比較して、耐加水分解性、低温特性、反発弾性等に優れるが、耐摩耗性や常温屈曲性等の機械的特性に劣る。ポリエーテル系ポリウレタンの機械的特性等を向上させるために、ポリオール成分としてPPG系ポリオールの全部又は一部を、PTMG系ポリオールに代替することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、PTMG系ポリオールは、上記メカニカルフロス法による製造において、反応混合液での気泡保持が困難であり、得られる軟質ポリウレタンフォームは、密度が非常に高いものとなる。このように密度が非常に高くなると、硬度が高くなりすぎ、柔軟性を要求される分野での使用に耐えうるものを得ることは困難であった。したがって、PTMG系ポリオールの特徴である、優れた機械的強度、反発性、低温特性等を有する軟質ポリウレタンフォームを製造することができる方法が望まれている。
【0007】
複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真装置において、電子写真プロセスにおける帯電、トナー層の形成、現像、クリーニング、給紙、搬送等の各工程で、帯電ローラ、トナー供給ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、搬送ローラといった、弾性材料や樹脂材料からなる様々なローラが使用されている。この電子写真装置に使用されるローラは、感光ドラム等の精密部品と接触するため、その精密部品を損傷しないこと、接触面積を増大させてグリップ性を確実にすること、環境が変化しても大きく変動しない導電性を有すること等の性能が要求される。
【0008】
電子写真装置用のロールに使用される素材としては、従来、種々のゴムが使用されてきたが、ローラ軸の外周の弾性体層をポリウレタンフォームにより形成したものが広く使用されている。ポリウレタンフォームにより形成されたローラでは、ポリウレタンフォーム層が均一な内部および表面構造を有すること、各部材に要求される適正な導電性を有すること等が望まれる。近年、静電気を精密に制御するために、カーボンや金属酸化物等の導電性付与物質を添加したポリウレタンフォームが提案されている(例えば、特許文献4および特許文献5参照)。
【0009】
上記特許文献4には、カーボン等の電子伝導機構による導電性付与物質と、過塩素酸リチウム等のイオン伝導機構による導電性付与物質とを混合分散させた混合物に、不活性ガスを機械的撹拌により混合分散させて発砲硬化させてなる導電性ポリウレタンフォームが提案されている。また、上記特許文献5には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよび/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを必須成分とする導電性ポリウレタン製造用添加剤が提案されている。
【0010】
電子写真装置用に使用される、軟質ポリウレタンフォームを用いた導電性ロールは、環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有するとともに、下記(イ)〜(ハ)のすべてを満たすものであることが望ましい。
(イ)アスカー硬度がC5°〜C80°
(ロ)電気抵抗値が1×10〜1×10Ω
(ハ)軟質ポリウレタンフォームの密度が0.1〜0.8g/cm
【0011】
しかしながら、上記特許文献4で使用される過塩素酸のアルカリ金属塩では、ポリオールへの溶解性が不十分であったり、発熱したりして、実用上問題があった。また、上記特許文献5に記載された導電性ポリウレタンフォームを用いたロールは、上記の条件(イ)〜(ハ)をすべて満たすものか否かが不明であり、電子写真装置用のロールとして適当なものであるのかが不明であった。したがって、環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有するとともに、上記の条件(イ)〜(ハ)のすべてを満たす導電性ロールが望まれている。
【0012】
また、所望の導電性を有するポリウレタンフォームの製造方法としては、発泡用ポリウレタン原料中に予め導電性カーボンブラックを配合しておき、マトリックス樹脂中に導電性カーボンブラックを分散させる方法も知られている(特許文献6参照)。しかしながら、この方法では、導電性カーボンブラックの添加量の増加に伴って配合液の粘度が上昇し、発泡がスムーズに行われず、ポリウレタンフォーム中に巨大な気泡を生じさせ、また、配合液の流れの悪化によりボイド不良を生じるといった問題があった。
【0013】
この問題を解決するために、上記特許文献6には、分散剤を用いて導電性カーボンブラックをポリウレタンフォーム中に分散させることが提案されている。しかしながら、この方法では、分散剤の配合量の制御がなされていない場合、ポリウレタンフォームの物性低下や導電性カーボンブラックの分散不良を引き起こすといった問題があった。したがって、不必要な添加剤を用いることなく、良好な成形性や導電性を有し、また、導電性の温度依存性の小さい導電性ポリウレタンフォームを製造する方法が望まれている。
【特許文献1】特開2001−89547号公報
【特許文献2】特開平10−258437号公報
【特許文献3】特開2000−347496号公報
【特許文献4】特開平5−262907号公報
【特許文献5】特開2002−146178号公報
【特許文献6】特開2003−98786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した問題に鑑み、PTMG系フォームの特徴とメカニカルフロス法フォームの特徴を併せ持つ軟質ポリウレタンフォームを製造する方法、上記特許文献1および特許文献2に記載された従来のメカニカルフロス法によるものより、低硬度・低密度の軟質ポリウレタンフォームを製造する方法、さらに、良好な成形性や導電性を有し、また導電性の温度依存性の小さい導電性ポリウレタンフォームを製造する方法、環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有するとともに、上記の条件(イ)〜(ハ)のすべてを満たす導電性ロールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討の結果見出されたものであり、本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、以下の(1)〜(3)に示されるものである。
【0016】
(1)不活性ガスを含んだイソシアネート液とポリオール液との反応混合液を触媒、界面活性剤の存在下で反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、該ポリウレタンフォーム中にPTMG系ポリオールを50質量%以上含有し、かつ、界面活性剤にソルビタン脂肪酸エステルを該ポリウレタンフォームに対して0.1〜5質量%用いることを特徴とする製造方法である。
【0017】
(2)イソシアネート液が、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有することを特徴とする、上記(1)に記載の製造方法である。
【0018】
(3)ポリオール液が、PTMG系ポリオールを含有することを特徴とする、上記(1)、(2)に記載の製造方法である。
【0019】
本発明の低硬度・低密度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、および整泡剤(D)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、さらに不活性ガスを機械的撹拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなるポリウレタンフォームの製造方法において、
前記整泡剤(D)が、ジメチルポリシロキサン−ポリエーテルポリオールブロック共重合体であり、
ケイ素含有量が10〜30質量%、
重量平均分子量における分子量分布が、1,000以上2,000未満:30〜40%、2,000以上4,000未満:40〜50%、4,000以上:20〜30%、
ジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比が、ジメチルポリシロキサン部:ポリエーテルポリオール部=10:90〜30:70であることを特徴とする、ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0020】
本発明の導電性ポリウレタンフォームの製造方法は、有機ポリイソシアネート(e)からなるイソシアネート液(E)、ポリオール(f1)、触媒(f2)、整泡剤(f3)、および導電剤(f4)を予め混合したポリオール液(F)、並びに不活性ガス(G)を、機械的撹拌によって混合分散させた後、該混合液を硬化させる導電性ポリウレタンフォームの製造方法であって、導電剤(f4)が気相法炭素繊維(f4−1)およびカーボンブラック(f4−2)からなることを特徴とする、導電性ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0021】
また、本発明の導電性ポリウレタンフォームの製造方法は、導電剤(f4)のポリウレタンフォーム中の含有量が1.8〜3.6質量%であることを特徴とする、導電性ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0022】
さらに、本発明の導電性ポリウレタンフォームの製造方法は、気相法炭素繊維(f4−1)とカーボンブラック(f4−2)の質量配合比が(f4−1)/(f4−2)=8/2〜2/8であることを特徴とする、導電性ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0023】
本発明の導電性ロールは、導電性を有する芯材の周囲にポリウレタンフォームが形成されてなる導電性ロールであって、
前記ポリウレタンフォームが、有機ポリイソシアネート(H)、ポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、および導電性付与物質(L)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、さらに不活性ガスを機械的撹拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなり、
前記導電性付与物質(L)が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含み、
導電性ロールのアスカー硬度がC5°〜C80°、抵抗値が1×10〜1×10Ωであり、
ポリウレタンフォームの密度が0.1〜0.8g/cmであることを特徴とする。
【0024】
このようなポリウレタンフォームを採用することにより、後述する実施例に示すように、環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有するとともに、アスカー硬度、電気抵抗値の範囲が上記範囲内である優れた導電性ロールが提供できる。
【0025】
なお、導電性ロールのアスカー硬度、電気抵抗値、ポリウレタンフォームの密度の測定方法・条件は、以下の通りである。
<導電性ロール>
導電性ロールの形状
芯材 :直径6mm×長さ270mm
ポリウレタンフォーム:半径方向厚8mm×長さ230mm
なお、芯材が、ポリウレタンフォームの両端からそれぞれ20mmはみ出した形状とした。
<アスカー硬度>
芯材の周囲にポリウレタンフォームが形成された導電性ロールの表面に、アスカー硬度計Cタイプを押し当てて、アスカー硬度を測定した。なお、アスカー硬度の測定は、5ヶ所以上行い、その平均値を測定値とした。また、測定雰囲気は23℃×55%RHとした。
<電気抵抗値>
導電性ロールを300mm×300mm×3mmのアルミ板上に静置し、ポリウレタンフォームからはみ出している芯材とアルミ材とにそれぞれ電極を接続し、電極間に1,000Vの電圧を印加して、電気抵抗値を測定した。なお、電気抵抗値の測定は、導電性ロールを適宜回転させて5回以上測定し、その平均値を測定値とした。また、測定雰囲気は23℃×55%RHとした。
<密度>
導電性ロールの質量から芯材の質量を差し引いた値を求め、芯材の周囲に形成されたポリウレタンフォームの見かけ体積で除して、ポリウレタンフォームの密度とした。
【0026】
また、本発明の導電性ロールは、有機ポリイソシアネート(H)、ポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、および導電性付与物質(L)を分散混合させたポリウレタンフォーム成形性組成物を、さらに不活性ガスを機械的撹拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなるポリウレタンフォームを、導電性を有する芯材の周囲に形成させる導電性ロールの製造方法であって、
前記導電性付与物質(L)が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含むことを特徴とする導電性ロールの製造方法によって得ることができる。
【0027】
また、本発明の導電性ロールの製造方法では、前記導電性付与物質(L)が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含むので、得られる導電性ポリウレタンフォームは、イオン性導電剤(L1)に起因するイオン導電機構を有するものとなり、部位による導電性のバラツキが小さいものとなる。
【0028】
また、上記の導電性ポリウレタンフォームにおいて、導電性付与物質(L)は、導電性カーボン(L2)を含むものであってもよい。
【0029】
一般に、イオン性導電剤(L1)は、少量で導電性向上に寄与するため、得られる導電性ポリウレタンフォームは、部位による導電性のバラツキは小さいが、環境変化による導電性の変化が大きいという特徴がある。一方、導電性カーボン(L2)は、環境変化による導電性の変化は小さいが、ポリウレタンフォームに実用的な導電性を発現させるために添加量を多くする必要がある。しかし、導電性カーボン(L2)は、微細粒子であり、ポリウレタンフォーム内部に均一に分散させるのは困難である。このため、導電性カーボン(L2)を用いた導電性ポリウレタンフォームは、部位による導電性のバラツキが大きくなりやすい。そこで、イオン性導電剤(L1)と導電性カーボン(L2)とを併用することにより、環境変化による導電性の変化が小さく、また、部位による導電性のバラツキが小さい均一な導電性ポリウレタンフォームが得られる。
【0030】
本発明に採用される製造方法は、有機ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、整泡剤を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、更に不活性ガスを機械的攪拌によって混合分散させた後、発泡硬化させるというメカニカルフロス法と呼ばれる方法であり、通常の物理的・化学的発泡剤を用いる方法と比較すると、均質なフォームが得られ、アスカー硬度や密度が上記範囲となる導電性の軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。なお、ここでの物理的発泡剤とは、例えばフロンやハイドロカーボン等の液体から気体への物理的変化により発泡させるもののことである。また、化学的発泡剤とは、例えば、水のように化学反応により発生させた気体により、発泡させるもののことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の軟質ポリウレタンフォーム、導電性軟質ポリウレタンフォームおよび導電性ロールの製造方法はいずれも、上記メカニカルフロス法を使用するものである。以下、各フォームおよびロールの製造方法について項目分けして詳細に説明する。
【0032】
1.軟質ポリウレタンフォームの製造方法
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法では、イソシアネート液と、ポリオール液と、触媒と、界面活性剤とを原料として使用する。本発明に使用されるイソシアネート液としては、MDI、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)等、また、これらのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基の一部をウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものが挙げられる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。本発明では、軟質ポリウレタンフォーム製造時の作業環境、フォームの物性等を考慮すると、MDI、液状MDI、ポリメリックMDI、これらのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0033】
上記MDI、ポリメリックMDIについて、もう少し詳述する。MDIは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)の3種類の異性体の任意割合の混合物(場合によってはいずれかの単品)の形で存在する。
【0034】
ポリメリックMDIは、MDIと後述するMDI系多核体混合物との混合物である。MDI系多核体混合物は、1分子中にイソシアネート基が結合したベンゼン環を3個以上有し、縮合度の異なる化合物の混合物の形で存在する。通常、MDI系多核体混合物単独の形では供給されず、MDIとの混合物、すなわちポリメリックMDIの形で供給される。
【0035】
そもそもポリメリックMDIは、アニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミノ基をイソシアネート基に転化することによって得られるものであり、生成物はMDIと縮合度の異なるMDI系多核体混合物である。MDIやポリメリックMDIの組成は、縮合時の原料組成比や反応条件を変えることによって、また、蒸留によりMDIを一部除去することで、変えることができる。なお、ポリメリックMDIのMDI含有量やMDIの異性体構成比はゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによって得られる各ピークの面積百分率を基に検量線から求めることができる。
【0036】
本発明においては、フォーム製造時の作業環境、フォームの成形性、得られるポリウレタンフォームの物性等を考慮すると、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDI、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDIを含有するポリメリックMDI、及びこれらのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0037】
本発明におけるポリオール液は、高分子ポリオール、鎖延長剤、触媒、界面活性剤、必要に応じてその他の添加剤を予め混合したものである。
【0038】
高分子ポリオールとしては、数平均分子量500〜10,000、公称平均官能基数2〜8の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール(疎水性ポリオール)、動植物油系ポリオール等が挙げられる。これらの高分子ポリオール成分は、一種のみを用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等を出発物質としてアルキレンオキシドを付加重合してなるものが挙げられる。
【0040】
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とジオールやトリオール等との縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、ジオールやトリオールをベースとしてラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端をラクトンでエステル変性したエステル変性ポリオール等のポリオールが挙げられる。
【0041】
ポリカーボネートポリオールとしては、ブタンジオールやヘキサンジオール等の低分子ポリオールと、プロピレンカーボネートやジエチルカーボネート等の低分子カーボネートとのエステル交換反応よって得られるもの等が挙げられる。
【0042】
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
【0043】
動植物油系ポリオールとしては、絹フィブロン、ひまし油系ポリオール(脱水や水素添加したものを含む)、セルロース系ポリオール等が挙げられる。
【0044】
本発明は、メカニカルフロス法によるPTMG系軟質ポリウレタンフォームの製造方法に適用するものである。ここで、PTMG系軟質ポリウレタンフォームとは、PTMG系ポリオールを50質量%以上含有するポリウレタンフォームをいう。PTMG系ポリオールを50質量%以上含有する軟質ポリウレタンフォームを得るためには、1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのポリオールにPTMG系ポリオールを用いる 2)ポリオール液にPTMG系ポリオールを用いる 3)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーおよびポリオール液の両方にPTMG系ポリオールを用いる のいずれの方法をも採用しうる。
【0045】
鎖延長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの鎖延長剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明では、1,4−ブタンジオールが好ましい。これは、1,4−ブタンジオールは、1級の水酸基を有するため反応性が良好であり、また常温液状であるため作業性に優れ、また適度な分子量を有するため機械的強度に優れたフォームが得られるためである。
【0046】
本発明に用いられる触媒としては、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、フェニル水銀オクテン酸塩等の有機金属化合物等の公知の触媒を単独、又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明に使用される界面活性剤は、ソルビトールを加熱脱水(分子内エーテル化)してソルビタンとして、これと飽和又は不飽和脂肪酸からなる不完全エステル化合物であるソルビタン脂肪酸エステルを含有する。ここで不完全エステル化合物とは、ソルビタンの水酸基全てがエステル化されていないということである。飽和又は不飽和脂肪酸は、炭素数が10〜30であるものが、PTMG系ポリオールとの相溶性や整泡効果が良好であるので好ましい。飽和又は不飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。本発明において、ソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオール液への配合の際の作業性を考慮すると、常温液状のものが好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルは水酸基を有しているので、硬化時にイソシアネート基と反応し、このためブリードすることがない。好ましい水酸基価は50〜400mgKOH/gであり、特に好ましい水酸基価は180〜360mgKOH/gである。このようなソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。
【0048】
本発明では、必要に応じて従来公知の他の添加剤を使用することができ、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、導電剤、絶縁剤、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を挙げることができる。
【0049】
これらの原料を用いて、PTMG系軟質ポリウレタンフォームを製造するには、別々の容器に保管又は調製しておいたイソシアネート液およびポリオール液を、ひとつのミキシングヘッドに投入し、不活性ガスを混入しながら均質になるように混合し、混合液を型枠や底紙を敷いたコンベア上に流し、加熱硬化させる、あるいはその混合液を所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法等により行うことができる。この方法で得られたフォームは、均一な微細セルを有し、適度な硬度を有するポリウレタンフォームになる。
【0050】
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は60〜120が好ましく、特に好ましくは80〜110の範囲である。インデックスが低すぎる場合は、フォーム表面にべと付き感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場合は、発砲しない場合や、陥没して柔軟なフォームが得られない場合がある。
【0051】
このようにして得られた軟質ポリウレタンフォームは、密度が0.1〜0.9g/cm、アスカー硬度Cが30〜90°であり、微細セルを有する均一なフォームとなる。
【0052】
2.軟質ポリウレタンフォームの製造方法
本発明の低密度・低硬度の軟質ポリウレタンフォームの製造方法では、有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、および整泡剤(D)を原料として使用する。
【0053】
本発明に使用される有機ポリイソシアネート(A)は、上記第1項で説明したイソシアネート液に使用されるものを挙げることができ、必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
【0054】
本発明においては、この有機ポリイソシアネート(A)は、作業性、成形性等を考慮すると、イソシアネート含量は、5〜35質量%で、25℃の粘度が2,000mPa・s以下であることが好ましく、特にイソシアネート含量は、10〜30質量%で、25℃の粘度が1000〜8000mPa・sであることが好ましい。
【0055】
本発明においても、フォーム製造時の作業環境、フォームの成形性、得られるポリウレタンフォームの物性等を考慮すると、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDI、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDIを含有するポリメリックMDI、およびこれらのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0056】
本発明に用いられるポリオール(B)は、高分子ポリオールと鎖延長剤からなり、高分子ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、疎水性ポリオール等を挙げることができる。ポリエーテルポリオールとしては、上記第1項で説明したポリエーテルポリオールを挙げることができるが、特にグリセリンにエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加重合させたものが好適である。ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、疎水性ポリオール、さらに鎖延長剤としては、上記第1項で説明した各ポリオールおよび鎖延長剤を挙げることができる。これらの高分子ポリオール成分は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
前述した高分子ポリオールは、疎水性のものが好ましい。これは得られるフォームの吸水性が小さくなるため、導電性の環境変化が小さくなるためである。より好ましいポリオールは、実質的平均官能基数は2〜4、数平均分子量は1,000〜10,000(特に好ましくは2,000〜5,000)のオキシエチレン基含有量が50質量%以下のポリ(オキシプロピレン)ポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールである。なお、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えばブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させたものを含む。実質的平均官能基数が小さすぎる場合や数平均分子量が大きすぎる場合は、フォームの硬度が低すぎるものとなりやすい。実質的平均官能基数が大きすぎる場合や数平均分子量が小さすぎる場合は、フォームの硬度が高すぎるものとなりやすい。
【0058】
本発明に用いられる触媒(C)としては、上記第1項で説明した触媒を挙げることができる。また、本発明に用いられる整泡剤(D)は、ジメチルポリシロキサン−ポリエーテルポリオールブロック共重合体であり、ケイ素含有量が10〜30質量%、重量平均分子量における分子量分布が、1,000以上2,000未満:30〜40%、2,000以上4,000未満:40〜50%、4,000以上:20〜30%、ジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比が、ジメチルポリシロキサン部:ポリエーテルポリオール部=10:90〜30:70、という特徴を有するものである。
【0059】
整泡剤(D)のケイ素含有量が上記範囲を外れる場合やジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比がジメチルシロキサンリッチである場合は、得られるフォームが微細セル構造を取りにくくなる。ジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比がポリエーテルポリオールリッチである場合や分子量分布が上記範囲を外れる場合は、微細セルが均一に分散したフォームや低密度のフォームが得られにくい。
【0060】
ケイ素含有量は灰化法により測定され、具体的には以下の手順で測定される。
「ケイ素含有量測定方法」
(1)サンプルを正確にるつぼに秤量する。
(2)るつぼを加熱し、内容物を燃焼させる。
(3)るつぼに残った残分(灰分)を秤量する。
(4)以下の計算式に従って、ケイ素含有量を算出する。
【数1】

【0061】
分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、その測定条件は以下の通りである。
「分子量分布測定方法」
分子量分布は、GPCチャートにおける各ピークの面積%を算出して評価
装置:東ソー製HLC−8220
カラム:TSKgel G3000HXL×2本+TSKgel G2000HXL×2本
流動媒:THF(テトラヒドロフラン)
流量:1ml/min
測定温度:40℃
検出器:RI検出器
注入量:100μl
重量平均分子量:ポリスチレンとの相対分子量として算出
ベースライン:GPCチャートにおける最初のピークの立ち上がりと最後のピークの終息部分とを結んだラインであり、ピークの谷と谷とを結んだラインではない。
【0062】
ジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比は、H−NMR測定により算出することで求められる。なお、本発明におけるH−NMR測定条件は以下の通りである。
機種:バリアン製ユニティ500(FT−NMR)
測定時周波数:500MHz
【0063】
整泡剤(D)は、そのポリエーテルポリオール部における繰り返し単位がオキシエチレン基とオキシプロピレン基からなるものであって、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の質量比が、オキシエチレン基/オキシプロピレン基=50/50〜80/20であるものが好ましい。この比率が整泡剤(D)に適度な親油性と親水性を付与し、整泡作用、すなわち界面活性剤としての性能を最大に発揮する比率と考えられる。
【0064】
前述したオキシエチレン基とオキシプロピレン基の比率は、整泡剤をコリッシュ分解し、その回収物をH−NMR測定により算出することで求められる。
【0065】
本発明は、また必要に応じて従来公知の他の添加剤も使用でき、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、導電剤、絶縁剤、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を挙げることができる。
【0066】
これらの原料を用いて、軟質ポリウレタンフォームを製造するには、上記第1項で説明したと同様、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、及びその他の添加剤をひとつのミキシングヘッドに不活性ガスを混入しながら投入し、均質になるよう混合し、該混合液を型枠や底紙を敷いたコンベア上に流し、加熱硬化させる、あるいは該混合液を所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法等を使用することができる。このような方法で得られたフォームは、均一な微細セルを有し、適度な硬度を有するポリウレタンフォームとなる。なお、発泡剤を用いると、セルが均一にならない。
【0067】
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は60〜120が好ましく、特に好ましくは80〜110の範囲である。インデックスが低すぎる場合は、フォーム表面にべと付き感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場合は、硬化しない場合や、柔軟性が不十分なフォームとなる場合がある。
【0068】
このようして得られた軟質ポリウレタンフォームは、密度が0.2〜0.9g/cm、アスカー硬度Cが80以下であり、微細セルを有する均一なフォームとなる。
【0069】
3.導電性ポリウレタンフォームの製造方法
本発明の導電性ポリウレタンフォームの製造方法では、有機ポリイソシアネート(e)からなるイソシアネート液(E)、ポリオール(f1)、触媒(f2)、整泡剤(f3)および導電剤(f4)を予め混合したポリオール液(F)を原料として使用する。
【0070】
本発明に使用される有機ポリイソシアネート(e)としては、上記第1項で説明したイソシアネート液に使用されるものを挙げることができる。また、フォーム製造時の作業環境、フォームの成形性、得られるポリウレタンフォームの物性等を考慮すると、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDI、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDIを含有するポリメリックMDI、およびこれらのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0071】
本発明に用いられるポリオール(f1)は、高分子ポリオールと鎖延長剤からなる。高分子ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、疎水性ポリオール等を挙げることができる。これらポリオール(f1)としては、上記第1項で説明したポリオール液に使用されるものを挙げることができる。
【0072】
前述した高分子ポリオールは、得られる軟質ポリウレタンフォームの肌触り等を考慮すると、実質的平均官能基数は2〜4、数平均分子量は1,000〜10,000(特に好ましくは2,000〜8,000)のオキシエチレン基含有量が50質量%以下のポリ(オキシプロピレン)ポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールである。なお、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えば、ブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させたものを含む。実質的平均官能基数が少なすぎる場合や数平均分子量が大きすぎる場合は、フォームの物性が小さすぎるものとなりやすい。実質的平均官能基数が大きすぎる場合や数平均分子量が小さすぎる場合は、フォームが硬くなり、肌触りがよくないものとなりやすい。
【0073】
鎖延長剤および触媒(f2)としては、上記第1項で説明した鎖延長剤および触媒を挙げることができる。整泡剤(f3)としては、当業界で公知の有機珪素系界面活性剤を使用することができ、例えば、日本ユニカー社製のL−520、L−540、L−5309、L−5366、SZ−1306、トーレダウコーニング社製のSH−193、SRX−274C、ゴールドシュミット社製のB−4113等を挙げることができる。
【0074】
本発明では、導電剤(f4)が気相法炭素繊維(f4−1)およびカーボンブラック(f4−2)からなることを特徴とする。本発明では、ポリウレタンフォーム中の導電剤(f4)含有量は1.8〜3.6質量%が好ましく、特に好ましくは2.0〜3.5質量%である。導電剤(f4)が少なすぎる場合は、ポリウレタンフォームに十分な導電性を付与できない。多すぎる場合は、フォーム液の粘度が高くなりすぎて、得られるフォームにボイドやピンホールが発生しやすくなる。
【0075】
気相法炭素繊維(f4−1)は、グラファイトやアセチレンブラック等のような他の炭素系導電剤と比較して、ポリオールに分散させやすいため、反応前のフォーム液の粘度上昇が抑えられ、ボイドやピンホール等が発生しにくいという特徴を有する。この気相法炭素繊維(f4−1)は、例えば、700〜1,600℃に加熱されたキャリアガスを、これと100〜450℃に予熱した炭素繊維の原料ガスを混合し、炭素繊維生成炉に送入して得ることができる。その好ましい性状は、繊維径が50〜500nm(特に好ましくは100〜300nm)、アスペクト比が10〜5,000(特に好ましくは10〜1,000)、繊維長が1〜100μm(特に好ましくは5〜50μm)、比表面積は1〜100m/g(特に好ましくは5〜50m/g)、嵩比重は0.01〜0.1g/cm(特に好ましくは0.02〜0.08g/cm)である。
【0076】
カーボンブラック(f4−2)としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ガスブラック、ディスクブラック等、製法や構造の違い等により様々な種類のものがある。本発明では、高純度品の入手が容易であり、また導電性の大きいアセチレンブラックが好ましい。このアセチレンブラックは、アセチレンガスを熱分解して得られるものであって、黒鉛と無定形炭素の中間に属し、大きな比表面積と一次粒子の連なる立体的鎖状構造(以下、「ストラクチャー」という。)で構成されており、不純物が混入する要因の少ない高純度のカーボンブラックである。その好ましい性状は、平均粒径が10〜100nm(特に好ましくは15〜50nm)、比表面積は1〜200m/g(特に好ましくは5〜100m/g)、嵩比重は0.01〜0.1g/cm(特に好ましくは0.02〜0.08g/cm)である。
【0077】
導電剤(f4)の構成は、質量比で気相法炭素繊維(f4−1)/カーボンブラック(f4−2)=8/2〜2/8が好ましく、特に好ましくは7/3〜3/7である。気相法炭素繊維(f4−2)が多すぎる場合は導電性が不十分となったり、導電性の温度依存性が大きくなる。すなわち、ポリウレタンフォーム中の導電性全体の含有量を一定にした場合、導電剤の組成が、気相法炭素繊維(f4−1)やカーボンブラック(f4−2)の単独系より、気相法炭素繊維(f4−1)/カーボンブラック(f4−2)混合系のほうが導電性が高く、また、温度依存性が小さい。
【0078】
本発明では、必要に応じて従来公知の他の添加剤も使用することができ、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、絶縁材、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を挙げることができる。
【0079】
これらの原料を用いて、導電性軟質ポリウレタンフォームを製造するには、上記第1項および上記第2項で説明した軟質ポリウレタンフォームの製造方法と同様の方法を使用することができ、具体的には、上記原料を用いて、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、およびその他の添加剤をひとつのミキシングヘッドに不活性ガスを混入しながら投入し、均質になるように混合し、混合液を型枠や底紙を敷いたコンベア上に流し、加熱硬化させる、あるいは混合液を所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法等を使用することができる。このような方法で得られたフォームは、均一な微細セルを有し、適度な硬度を有するポリウレタンフォームとなる。
【0080】
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は60〜120が好ましく、特に好ましくは80〜110の範囲である。インデックスが低すぎる場合は、フォーム表面にべと付き感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場合は、発砲しない場合や、陥没して柔軟なフォームが得られない場合がある。
【0081】
このようにして得られた導電性ポリウレタンフォームは、密度が0.1〜0.9g/cmとなり、微細セルを有する均一なフォームとなる。また、軸の周囲にフォームを形成させたロールにおけるアスカー硬度Cは3〜90°となる。
【0082】
4.導電性ロールおよび導電性ロールの製造方法
環境変化による導電性の変化が小さく、安定した導電性を有するとともに、部位による導電性のバラツキが小さく、感光ドラム等の精密部品と接触してもこれらを傷つけることがなく、グリップ性が確実な導電性ロールの製造方法では、有機イソシアネート(H)、ポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、および導電性付与物質(L)を原料として使用する。
【0083】
本発明において用いられる有機ポリイソシアネート(H)は、1分子中にイソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、いずれも使用することができる。有機ポリイソシアネート(H)としては、上記第1項で説明したイソシアネート液に使用されるものを使用することができる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
【0084】
本発明においては、得られる成形物の耐久性を向上させる等の観点から、有機ポリイシシアネート(H)は、MDI、MDIとポリメリックMDI、TDIのいずれかを単独又は複数選択するのが好ましく、導電性ロールの製造時の臭気等を考慮すると、MDI、ポリメリックMDIが特に好ましい。
【0085】
MDIおよびポリメリックMDIについては、上記第1項で詳述しているため、ここでは説明を省略し、TDIについて詳述する。TDIは、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)の2種類の異性体の任意割合の混合物(場合によってはいずれかの単品)の形で存在する。なお、TDIの異性体構成比はゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによって得られる各ピークの面積百分率を基に検量線から求めることができる。
【0086】
前述したイソシアネート基端末ウレタンプレポリマーに用いられるポリオールは疎水性のものが好ましい。親水性のポリオールを用いると、得られるポリウレタンフォームの吸湿性が大きくなり、環境変化による導電性の変化が大きくなりやすいためである。特に好ましいポリオールは、実質的平均官能基数が2〜4、数平均分子量が1,000〜10,000(好ましいは2,000〜5,000)、オキシエチレン基含有量が50質量%以下のポリ(オキシプロピレン)ポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールである。なお、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えば、ブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加されたものを含む。実質的平均官能基数が小さすぎる場合はフォームを形成せず、実質的平均官能基数が大きすぎる場合は粘度が高いため、欠肉が起きやすい。数平均分子量が小さすぎる場合は硬度が高くなりやすく、数平均分子量が大きすぎる場合は粘度が高いため、欠肉が起きやすい。本発明においては、反応性をさらに考慮すると、ポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させ、かつエチレンオキサイド含有量が5〜15質量%のものが最も好ましい。
【0087】
イソシアネート基末端プレポリマーは、イソシアネート基のモル数と水酸基のモル数では、イソシアネート基が水酸基より化学量論的に過剰の雰囲気下とし、前記のMDIとポリオールを30〜100℃で反応させることで得られる。
【0088】
本発明に用いられるポリオール(I)は、高分子ポリオールと鎖延長剤とからなり、高分子ポリオールおよび鎖延長剤としては上記第1項および上記第3項で説明した各種ポリオールおよび鎖延長剤を使用することができる。本発明では疎水性を示すポリオールが好ましい。親水性のポリオールを用いると、得られるポリウレタンフォームの吸湿性が大きくなり、環境変化による導電性の変化が大きくなりやすいためである。なお、前述のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに用いられるポリオールと同様、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えば、ブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させたものを含む。実質的平均官能基数が小さすぎる場合はフォームを形成せず、実質的平均官能基数が大きすぎる場合は粘度が高いため、欠肉が起きやすい。数平均分子量が小さすぎる場合は硬度が高くなりやすく、数平均分子量が大きすぎる場合は粘度が高いため、欠肉が起きやすい。反応性をさらに考慮すると、ポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させ、かつエチレンオキサイド含有量が5〜15質量%のものが最も好ましい。
【0089】
触媒(J)としては、上記第1項で説明した触媒を使用することができ、整泡剤(K)としては、シリコーン系整泡剤が好適である。このシリコーン系整泡剤としては、例えば、反応性シリコーン系界面活性剤等が好ましい。触媒(J)および整泡剤(K)は、一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、整泡剤(K)とともに、所望によりカチオン性、アニオン性、両性等のイオン性界面活性剤や各種ポリエーテルやポリエステル等のノニオン性界面活性剤を併用してもよい。整泡剤(K)の添加量は、一般に上記ポリオール(I)に対して0.5〜30質量%の範囲が好ましく、特に2〜10質量%の範囲が好ましい。整泡剤(K)の添加量が少なすぎる場合は、均質なフォームが得られにくく、多すぎる場合はフォームから整泡剤(K)がブリードしやすくなる。
【0090】
本発明に用いられる導電性付与剤(L)は、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含むものである。さらに、導電性付与剤(L)は、導電性カーボン(L2)を含有することが好ましい。
【0091】
導電性カーボン(L2)としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カラーブラック等のカーボンブラックおよびグラファイト等を挙げることができる。
【0092】
導電性付与物質(L)としては、イオン性導電剤(L1)と導電性カーボン(L2)を併用する場合の割合は、(L1):(L2)=3:97〜99:1(質量比)の範囲であることが好ましく、(L1):(L2)=50:50〜90:10(質量比)の範囲であることが特に好ましい。この範囲で併用することにより、環境変化による導電性の変化が小さく、かつ、非常に安定した導電性を有する導電性ロールが得られる。
【0093】
本発明においては、有機ポリイソシアネート(H)とポリオール(I)の総和量に対する導電性付与物質(L)の添加量が、0.2〜8.0質量%の範囲であることが好ましく、中でも、0.3〜5.0質量%の範囲であることが特に好ましい。該総和量に対する導電性付与物質(L)の導入量が0.2〜8.0質量%の範囲を外れてしまうと、所望される電気抵抗値や硬度が得られない等という観点から好ましくない。
【0094】
本発明では導電性付与物質(L)として、イオン性導電剤(L1)及び導電性カーボン(L2)以外の導電性付与物質、例えば銅・ニッケル・銀等の導電性金属粉あるいはそれ等の繊維状物質、また酸化スズ・酸化チタン・酸化インジウム等の金属酸化物、あるいは各種フィラーに金属メッキを施して導電性を付与した物質、ポリアセチレン・ポリピロール・ポリアセチレン等の有機系の導電性微粉末、LiCFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaCl等のLi,Na, K等周期律表第1族の金属塩、あるいはNHの塩等の電解質、また、Ca(ClO等のCa2+,Ba2+等の周期律表第2族の金属塩やそれ等と1,4ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等多価アルコールとその誘導体等の錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体、等を併用することができる。
【0095】
本発明においては、公知のウレタン化触媒、発泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、分散性染料、潤滑剤、界面活性剤等を用いることができる。
【0096】
また、本発明に導電性ロールは、下記の条件(イ)〜(ハ)のすべてを満たすものである。
(イ)導電性ロールのアスカー硬度がC5°〜C80°
(ロ)導電性ロールの電気抵抗値が1×10〜1×10Ω
(ハ)軟質ポリウレタンフォームの密度が0.1〜0.8g/cm
【0097】
すなわち、導電性ロールのアスカー硬度がC5°未満の場合は、ポリウレタンフォームのセルが荒れたものである場合が多い。逆に、アスカー硬度がC80°を越える場合は、適用できるロールの種類が限定してしまう。
【0098】
また、導電性ロールの電気抵抗値が1×10Ω未満であると、電流が流れすぎて制御ができないため、導電性ロールとして好ましくない。また、1×10Ωを越えると、必要な電流を流すために相当な高電圧の印加が必要となって好ましくない。
【0099】
更に、軟質ポリウレタンフォームの密度が上記範囲から外れると、アスカー硬度を上記所定の範囲に設定するのが困難になる傾向が見られる。
【0100】
特に本発明の導電性ロールでは、
(イ)導電性ロールのアスカー硬度がC20°〜C50°
(ロ)導電性ロールの電気抵抗値が1×10〜1×10Ω
(ハ)軟質ポリウレタンフォームの密度が0.3〜0.5g/cm
となる物性値を有するものが、例えば、紙送りロールや感光ドラムに接触するロールにおいて、物性のバランスが最適なものとなる。
【0101】
また、ポリウレタンフォームを形成させる際、ポリウレタンフォーム形成性組成物の混合液中に存在するイソシアネート基と活性水素基の割合は、イソシアネート基/活性水素基のモル比で、0.8〜1.5、好ましくは0.9〜1.2の範囲になるように、有機ポリイソシアネート(H)と、ポリオール(I)とを配合して用いるのが好ましい。
【0102】
次に、本発明の具体的な導電性ロールの製造方法を例に挙げて、本発明の導電性ロールの製造方法について説明する。
【0103】
本発明の具体的な導電性ロールの製造手順は、例えば、金属製芯材をあらかじめ金型のキャビティ内に配設しておき、ポリウレタンフォーム形成性組成物を注型硬化させてもよいし、導電性ポリウレタンフォームを所定の形状に成形した後、接着により金属製芯材を取付けてもよい。具体的には、機械的撹拌しながらポリウレタンフォーム形成性組成物の混合液に不活性ガスを導入して気泡を混入させたものを、所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法を用いる。このような方法で得られたポリウレタンフォームは、均一な微細セルを有し、適度な硬度を有する。いわゆる物理的又は化学的発泡剤を用いた場合には、セルは均一にならない。本発明では、上記金属製芯材はあらかじめ接着剤を塗布しておいてもよい。
【0104】
より詳細には、導電性ロールのポリウレタンフォーム層の軸方向長さ以上の分割式金型又はパイプ状金型と、金属製芯材を準備する。分割式金型では、ハーフパイプ状の形態を合わせたものであり、上下の金型を合わせることで、円筒形のフォーム形成部分を成形するものであり、フォーム中心軸に金属製芯材をセットできるようにしたものである。パイプ状金型では、上面部と底面部にフォーム中心軸に沿うように金属製芯材をセットできるようにしたものである。また、金属製芯材として、通常、硫黄快削鋼等の鋼材に亜鉛等のメッキを施した金属部材やアルミニウム、ステンレス鋼等の金属部材が用いられる。
【0105】
そして、上記特定のポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、及び導電性付与剤(L)をあらかじめ配合してなるポリオールプレミックスを調製した後、このポリオールプレミックスに有機ポリイソシアネート(H)を、不活性ガスを十分巻き込ませながら混合したものを、上記成形キャビティ内に注入し、これを所定温度(40℃〜100℃程度)のオーブン中で所定時間(10分〜1時間程度)加熱して発泡硬化させる。その後、脱型し、必要に応じて研削することにより、軸体の外周面にポリウレタンフォーム層が形成されてなる単層構造の導電性ロールを得ることができる。その後、必要に応じて、発泡体層の表面を、導電性や半導電性、あるいは絶縁性の塗料により塗装してもよい。
【0106】
このようにして得られた導電性ロールにおけるポリウレタンフォーム層の厚みは、通常、2〜20mmであり、好ましくは3〜15mmである。
【実施例】
【0107】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中において、特にことわりがない限り、比率は質量比であり、「%」は「質量%」である。また、実施例についても、前述したと同様、各項目に分けて説明する。
【0108】
A.軟質ポリウレタンフォームの製造方法についての実施例
〔イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの合成〕
(合成例1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量:1,000mlの反応器に、MDI−1を270g、ポリオール−1を730g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーNCO−1を得た。NCO−1のイソシアネート含量は6.0%であった。
【0109】
(合成例2)
合成例1と同様な反応器に、MDI−1を270g、ポリオール−1を468g、ポリオール−2を262g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーNCO−2を得た。NCO−2のイソシアネート含量は6.0%であった。
【0110】
各合成例において
MDI−1:MDI異性体混合物を1%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)なお、MDI異性体混合物は、4,4′−MDI以外の異性体(2,2′−MDI及び2,4′−MDI)の混合物である。
ポリオール−1:公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール
ポリオール−2:公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオール
【0111】
〔ポリオールプレミックスの調製〕
(配合例1〜30)
容量:2,000mlの反応器に表1〜4に示す仕込みで、ポリオールプレミックスOH−1〜29を調製した。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
【表3】

【0115】
【表4】

【0116】
配合例1〜30、表1〜4において
ポリオール−1:公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール
ポリオール−2:公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオール
1,4−BD:1,4−ブタンジオール
SFE−1:ソルビタンモノラウレート
SFE−2:ソルビタンセスキオレエート
SFE−3:ソルビタントリオレエート
SFE−4:ソルビタンモノオレエート
SFE−5:ソルビタンモノパルミテート
OS−1:シリコン界面活性剤(東レ・ダウコーニング製、SF−52938)
DOTDL:ジブチルチンジラウレート
【0117】
〔軟質ポリウレタンフォームの製造〕
(実施例1)
表5に示すイソシアネートインデックスで配合した液温:25℃のポリオールプレミックスOH−1と、液温:25℃のポリイソシアネートNCO−1を混合して、1分間攪拌して乾燥空気を混入させた混合液を、金型(10cm×10cm×10cm、上部開放)に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を80℃に調整した熱風オーブン中に2時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外して、ポリウレタンフォームを製造した。
【0118】
(実施例2〜20)、(比較例1〜10)
表5〜8に示す原料を用いて、実施例1と同手順でポリウレタンフォームを製造した。
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
【表7】

【0122】
【表8】

【0123】
〔軟質ポリウレタンフォームの評価〕
フォームの評価項目及び測定方法は以下の通りである。
密度:JIS K 6401に準じて求めた。
C硬度:アスカー硬度計Cタイプにより測定した。
引張強度、伸び、反発弾性:JIS K 6301に準じて求めた。
【0124】
表5〜8より、ソルビタン脂肪酸エステルを用いた実施例のフォームは低密度であり、PTMG系の軟質メカニカルフロスフォームの製造時において、反応混合液にエアを十分含ませることが可能であることが示された。また、物性についても強度や反発は高いものであり、ポリオールにPTMGを用いた効果が確認された。シリコン系の界面活性剤を用いたものは高密度となった。これは、シリコン系の界面活性剤が破泡効果を示したことを示している。また、反発弾性も低いものであった。また、整泡剤を用いなかったものは、シリコン系界面活性剤を用いたものより密度は低かったが、ソルビタン脂肪酸エステル系のもよりは密度は高かった。このことから、ソルビタン脂肪酸エステルは、PTMG系ポリウレタンフォームのメカニカル発泡処方において、有効な整泡剤であることが確認された。PTMG系の水発泡フォームでは、特に伸びが実施例より低下した。これは、発泡時に生成するウレア基のため、得られるフォームの柔軟性が損なわれるためと思われる。更にPPG系の軟質メカニカルフロスフォームは、強度や伸びが小さいものであった。フォームのPTMG系ポリオール含有量については、実施例2、比較例8、10から、実施例8、10は物性的に大きな差は見られないが、実施例2と比較例8の物性差は、顕著に現れていることが分かった。
【0125】
B.軟質ポリウレタンフォームの製造方法についての実施例
[整泡剤の解析]
整泡剤1〜4について、水酸基価、ケイ素含有量、ポリシロキサン部/ポリエーテル部の質量比、ポリエーテル部のオキシエチレン基(EO)/オキシプロピレン基(PO)の質量比を測定した結果を表9に示す。
【0126】
【表9】

【0127】
表9において
末端基:H−NMRにて確認した。
ケイ素含有量:前述の灰化法により測定した。
ポリシロキサン部/ポリエーテル部の質量比:H−NMRより測定した。
ポリエーテル部のEO/PO質量比:コリッシュ分解後、回収物をH−NMRより測定した。EOは、エチレンオキサイドであり、POは、プロピレンオキサイドである。
整泡剤分子量分布:前述のGPC法により測定した。
ポリエーテル部の分子量分布:コリッシュ分解後、回収物を前述のGPC法により測定した。
【0128】
[イソシアネート基端末ウレタンプレポリマーの合成]
(合成例)
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量:100Lの反応器に、MDI−1を350gとポリオール−1を650g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーNCO−1を得た。NCO−1のイソシアネート含量は9.0%であった。
【0129】
合成例において
MDI−1:MDI異性体混合物を50%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、なお、MDI異性体混合物は、4,4′−MDI以外の異性体(2,2′−MDI及び2,4′−MDI)の混合物である。
ポリオール−1: 公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップのポリ(オキシプロピレン)ポリオール
【0130】
〔ポリオールプレミックスの調製〕
(配合例1〜18)
容量:2Lの反応器に表10、11に示す仕込みで、ポリオールプレミックスOH−1〜18を調製した。
【0131】
【表10】

【0132】
【表11】

【0133】
配合例1〜18、表10、11において
ポリオール−1:公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップのポリ(オキシプロピレン)ポリオール
1,4−BD:1,4−ブタンジオール
TEDA−L33:アミン触媒(東ソー製)
【0134】
〔ポリウレタンフォームの製造〕
(実施例1)
表12に示す割合で配合した液温:25℃のポリオールプレミックスOH−1と、液温:25℃のポリイソシアネートNCO−1を混合し、1分間攪拌して乾燥空気を混入させた混合液を、金型(10cm×10cm×10cm、上部開放)に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を80℃に調整した熱風オーブン中に2時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外して、ポリウレタンフォームを製造した。
【0135】
(実施例2〜8)、(比較例1〜10)
表12、13に示す原料を用いて、実施例1と同手順でポリウレタンフォームを製造した。
【0136】
【表12】

【0137】
【表13】

【0138】
〔ポリウレタンフォームの評価〕
ポリウレタンフォームの評価項目及び測定方法は以下の通りである。
密度:JIS K 6401に準じて求めた。
密度測定サンプルは、ポリイソシアネートとポリオールを混合してから2分後の液と、硬化反応後のフォームである。
硬度:アスカー硬度計Cタイプにより測定
セルの状態:軟質ポリウレタンフォームを切断し、断面の単位面積当たりのセルの個数及びそのセルの半径を測定する。切断箇所は5ヶ所とした。
【0139】
表10〜13より、本発明において規定される整泡剤を用いると、実施例におけるセルの半径の標準偏差は約0.04mmであるのに対して、比較例におけるセルの半径の標準偏差は0.05〜0.06mmとなり、実施例のほうが均一なフォームであると言える。また、実施例は、十分に低い密度であることが確認できた。
【0140】
C.導電性ポリウレタンフォームの製造方法についての実施例
〔イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの合成〕
(合成例)
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量:1,000mlの反応器に、MDI−1を450g、及びポリオール−1を550g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて、ポリイソシアネート液NCO−1を得た。NCO−1のイソシアネート含量は14.0%であった。
【0141】
合成例において
MDI−1:MDI異性体混合物含有量=50%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、なお、MDI異性体混合物は、4,4′−MDI以外の異性体(2,2′−MDI及び2,4′−MDI)の混合物である。
ポリオール−1: 公称平均官能基数=2、数平均分子量=4,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオール
【0142】
〔ポリオール液の調製〕
(配合例1〜9)
高せん断可能な撹拌機を付けた、容量:2,000mlの反応器に表14に示す配合で各原料を仕込み、撹拌混合してポリオール液OH−1〜9を調製した。
【0143】
【表14】

【0144】
配合例1〜9、表14において
ポリオール−2:公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=20%のエチレンオキサイドキャップのポリ(オキシプロピレン)ポリオール
1,4−BD:1,4−ブタンジオール
アミン−1:反応型アミン触媒
シリコン−1:シリコン整泡剤
VGCF:昭和電工製(商品名:VGCF)、繊維径=150nm、アスペクト比=200、繊維長=15nm、比表面積は13m2 /g、嵩比重=0.04の気相法炭素繊維
AB:電気化学工業製(商品名:デンカブラック、粉状品)、平均粒径=35nm、比表面積=68m2 /g、嵩比重=0.04のアセチレンブラック
【0145】
〔導電性ポリウレタンフォームの製造〕
(実施例1)
液温:45℃のポリオール液OH−1をミキサーにより機械的に5分間攪拌して乾燥空気を混入し、その後表15に示す液温:45℃のポリイソシアネート液NCO−1を混合して、更に1分間攪拌して乾燥空気を追加混入させた混合液を、軸体をセットした金型に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を80℃に調整した熱風オーブン中に2時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外し、所定の形状となるように砥石で研磨して、ポリウレタンフォーム製の導電性ロールを製造した。
【0146】
この導電性ロールの表皮層の体積抵抗率を測定すると共に、外観、密度(フォーム部分のみ)、アスカー硬度Cを評価した。結果を表15に示す。
【0147】
(実施例2〜5)、(比較例1〜4)
実施例1と同様にして、OH−1をOH−2〜9に変えてフォーム(ロール)を製造・評価した。結果を表15に示す。
【0148】
【表15】

【0149】
〔試験方法〕
(フォーム特性)
外観:目視にてフォームの状態を評価した。
密度:JIS K 6401に準じて求めた。
(ロール特性)
硬度:アスカー硬度計Cタイプにより測定した。
抵抗値:帯電部材(ロール)をアルミ板上に静置し、フォームからはみ出ている軸体とアルミ板に電極を接続する。電極間に100V又は1,000Vの電圧を印加して、得られた電気抵抗値とロールサイズから、体積抵抗値を算出した。測定器は、アドヴァンテスト製R8340を使用した。なお、測定雰囲気は(A)10℃・15RH%、(B23℃・55RH%、(C)28℃・85RH%の3水準で測定した。
抵抗値(導電性)の温度依存性:(A)の測定雰囲気における抵抗値の対数から、(C)の測定雰囲気における抵抗値の対数の差にて評価した。
【0150】
表15より、本発明によって得られた導電性ポリウレタンフォームを用いたロールは諸性能に優れ、特に抵抗値は温度依存性が小さいものであることが分かる。一方、比較例は導電性が小さく、また導電性の温度依存性も大きいものであった。
【0151】
D.導電性ロールおよび該導電性ロールの製造方法についての実施例
〔イソシアネート基末端プレポリマーの合成〕
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量1,000mlの反応器を用い、後に記す表1に示す配合比率で、MDI−1又はMDI−2とポリオール−1とを仕込んで、攪拌しながら80℃にて4時間反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーNCO−1、NCO−2を得た。
【0152】
表16において、MDI−1は、2,2′−MDI及び2,4′−MDIの混合物であるMDI異性体混合物を50%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であり、MDI−2は、MDI異性体混合物を18%含有するMDIである。また、ポリオール−1は、公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000の末端にエチレンオキサイドを付加させた(エチレンオキサイド含有量11%)ポリ(オキシプロピレン)ポリオールである。
【0153】
〔ポリオールプレミックスの調製〕
容量2,000mlの反応器に、後に記す表17及び表18に示す配合で原料を仕込み、十分に混練して、ポリオールプレミックスOH−1〜13を調製した。
【0154】
表17、18において、ポリオール−1は、表16と同様であり、ポリオール−2は、公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000のポリ(オキシエチレンーオキシプロピレン)ポリオールであり、ポリオール−3は、公称平均官能基数=2、数平均分子量=4,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオールであり、ポリオール−4は、公称平均官能基数=3、数平均分子量=6,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオールであり、ポリオール−5は、公称平均官能基数=4、数平均分子量=8,000のポリ(オキシプロピレン)ポリオールである。また、1,4−BDは、1,4−ブタンジオールであり、鎖延長剤である。TEDA−L33は、アミン触媒(東ソー製)である。SF−2938Fは、シリコン整泡剤(東レダウシリコーン製)である。
【0155】
〔導電性ロールの製造〕
表17及び表18に示す配合比率で配合した液温25℃のポリオールプレミックスOH−1〜OH−13をミキサーにより機械的に5分間撹拌して乾燥空気を混入させた後、表1に示すポリイソシアネートNCO−1又はNCO−2を混合し、更に2分間撹拌して乾燥空気を追加混入させてポリウレタンフォーム形成性組成物の混合液とする。そして、このようにして得られた混合液を、金属製芯材をセットした分割式金型に流し込み、80℃に調整した熱風オーブン中に2時間静置して硬化させた後、更に室温にて3日間養生させる。その後、金型からロールを取り出し、所定の形状になるように表面を研削して、後に記す表19および表20に示す実施例1から実施例10、比較例1から比較例3の導電性ロールを得た。
【0156】
このようにして得られた実施例1から実施例10、比較例1から比較例3の導電性ロールの電気抵抗値を、以下に示すようにして測定した。
導電性ロールを300mm×300mm×3mmのアルミ板上に静置し、フォームからはみ出ている芯材とアルミ板とに電極を接続した。次いで電極間に1,000Vの電圧を印加して、電気抵抗値を測定した。なお、電気抵抗値は、測定器としてアドヴァンテスト製R8340を使用し、導電性ロールを適宜回転させて5回以上測定した平均値とした。また、測定雰囲気は23℃×55%RHとした。また、電気抵抗値のばらつきは、測定値の対数の最大値と最小値の差で評価し、電気抵抗値の安定性は、測定雰囲気を5℃×35%RH、28℃×85%RHの2条件で測定し、23℃×55%RHの雰囲気で測定した結果を合わせて評価した。なお、5℃×35%RH、28℃×85%RHの雰囲気下においても、23℃×55%RHの雰囲気下と同様に、導電性ロールを適宜回転させて5回以上測定し、その平均値をその測定雰囲気における導電性ロールの電気抵抗値とした。
【0157】
また各導電性ロールの製造時において、ポリイソシアネートとポリオールプレミックスを混合してから2分後の液の密度と、研削後のポリウレタンフォーム部分の密度を測定した。
【0158】
また、実施例1から実施例10、比較例1から比較例3の各導電性ロールのアスカー硬度を、アスカー硬度計Cタイプにより測定した。
【0159】
その結果を表19及び表20に示す。
表19および表20により、イオン性導電剤を含む実施例1〜実施例10では、電気抵抗値、密度、アスカー硬度のいずれもが良好な範囲内になることが確認できた。また、イオン性導電剤を含む実施例1〜実施例10は、比較例1〜比較例3と比較して、環境変化による電気抵抗値の変化が小さく、部位による電気抵抗値のばらつきも小さいことが明らかとなった。
【0160】
更にイオン性導電剤と導電性カーボンを併用した実施例4、9、10では、イオン性導電剤のみを用いたものと比較して、より一層、環境変化による電気抵抗値の変化が小さく、安定した導電性が得られることが確認できた。
【0161】
【表16】

【0162】
【表17】

【0163】
【表18】

【0164】
【表19】

【0165】
【表20】

【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明によって得られる軟質ポリウレタンフォームは、電子写真装置のトナー搬送ロール、転写ロール、帯電ロール、現像ロール等の各種ロール、枕やマットレス等の寝具、化粧用パフ、パッキン、シール材、カーペットバッキング、サポーター等の医療器具、マイク・イヤホン・ヘッドホン等のカバー、衣料等に最適なものである。また、本発明によって得られる導電性ポリウレタンフォームおよび導電性ロールは、各種ローラ等に最適なものであり、各種弾性部材、特に導電性弾性部材として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスを含んだイソシアネート液とポリオール液との反応混合液を触媒、界面活性剤の存在下で反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、該ポリウレタンフォーム中にポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを50質量%以上含有し、かつ、界面活性剤にソルビタン脂肪酸エステルを該ポリウレタンフォームに対して0.1〜5質量%用いることを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
イソシアネート液が、MDIとポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ポリオール液が、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、および整泡剤(D)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、さらに不活性ガスを機械的撹拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、
前記整泡剤(D)が、ジメチルポリシロキサン−ポリエーテルポリオールブロック共重合体であり、
ケイ素含有量が10〜30質量%、
重量平均分子量における分子量分布が、1,000以上2,000未満:30〜40%、2,000以上4,000未満:40〜50%、4,000以上:20〜30%、
ジメチルポリシロキサン部とポリエーテルポリオール部の質量比が、ジメチルポリシロキサン部:ポリエーテルポリオール部=10:90〜30:70であることを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
有機イソシアネート(e)からなるイソシアネート液(E)、ポリオール(f1)、触媒(f2)、整泡剤(f3)、及び導電剤(f4)をあらかじめ混合したポリオール液(F)、並びに不活性ガス(G)を、機械的撹拌によって混合分散させた後、該混合液を硬化させる導電性ポリウレタンフォームの製造方法であって、導電剤(f4)が気相法炭素繊維(f4−1)及びカーボンブラック(f4−2)を含有することを特徴とする、導電性ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
導電剤(f4)のポリウレタンフォーム中の含有量が1.8〜3.6質量%であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
気相法炭素繊維(f4−1)とカーボンブラック(f4−2)の質量配合比が(f4−1)/(f4−2)=8/2〜2/8であることを特徴とする、請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
導電性を有する芯材の周囲にポリウレタンフォームが形成されてなる導電性ロールであって、
前記ポリウレタンフォームが、有機ポリイソシアネート(H)、ポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、及び導電性付与物質(L)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、更に不活性ガスを機械的攪拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなり、
前記導電性付与物質(L)が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含み、
導電性ロールのアスカー硬度がC5°〜C80°、抵抗値が1×10〜1×10Ωであり、
ポリウレタンフォームの密度が0.1〜0.8g/cmであることを特徴とする導電性ロール。
【請求項9】
前記導電性付与物質(L)が、更に導電性カーボン(L2)を含有することを特徴とする、請求項8記載の導電性ロール。
【請求項10】
有機ポリイソシアネート(H)、ポリオール(I)、触媒(J)、整泡剤(K)、及び導電性付与物質(L)を分散混合させたポリウレタンフォーム形成性組成物を、更に不活性ガスを機械的攪拌によって混合分散させた後、発泡硬化させてなるポリウレタンフォームを、導電性を有する芯材の周囲に形成させる導電性ロールの製造方法であって、
前記導電性付与物質(L)が、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのいずれか一方又は両方を含むイオン性導電剤(L1)を含むことを特徴とする、導電性ロールを製造する方法。

【国際公開番号】WO2005/061571
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516511(P2005−516511)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019222
【国際出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】