説明

軟質発泡体及びその製造方法

【課題】毒性の懸念される原料を使用せず、軟質で、柔軟性を有した発泡体を提供すること。
【解決手段】変形時のクリープコンプライアンスJと回復時のクリープコンプライアンスJの比J/Jが2以上であることを特徴とする発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有し、触感が良好な発泡体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子化合物の発泡体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどがビーズ発泡体あるいは発泡シート、ボードとして、その断熱性、軽量性、緩衝性などの特性を活かし、土木建築分野、包装分野、家電分野、自動車分野などに利用されている。これらはいずれも、成形体とするのに大規模な設備を必要とする。これらはまた、一般的に硬質の発泡体であることが多い。
【0003】
また、上記の発泡体とは別に、液状樹脂組成物を硬化・発泡してなるポリウレタン発泡体も知られている。ポリウレタンは硬質・軟質両方の発泡体を作製することができ、成形性に優れ、その一種が低反発弾性フォームとして知られている。(例えば、特許文献1)しかし、ポリウレタン発泡体は、毒性の懸念されるイソシアネートを使用するという欠点を有している。毒性の懸念される原料を使用せず、軟質発泡体で、柔軟性を有し、触感の良い発泡体はこれまでになかったため、このような発泡体が望まれている。
【0004】
低反発弾性フォームは、一般に反発弾性率が15〜20%以下であると言われている。しかし、この反発弾性率測定では、反発強さの測定はできているが、試料の回復の遅さは評価できていない。人間が試料を触る際に、低反発だと感じるものは、厳密には反発弾性率が低いものではなく、変形に対して回復が遅いものであると考えられる。しかし、この回復の遅さを評価する手法はこれまでに見られない。
【特許文献1】特開2004−358137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑みて本発明の目的は、毒性の懸念される原料を使用せず、軟質で、柔軟性を有し、触感の良い発泡体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、シリコン系重合体の発泡体が柔軟性を有し、触感が良好であることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち本発明の第1は、変形時のクリープコンプライアンスJと回復時のクリープコンプライアンスJの比J/Jが2以上であることを特徴とする発泡体に関する。好ましい態様としては、
(1)ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が、50度以下であることを特徴とする、
(2)ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が、30度以下であることを特徴とする、
(3)前記発泡体が、シリコン系重合体を基材樹脂とすることを特徴とする、
(4)シリコン系重合体が、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる樹脂組成物を硬化してなる、
(5)重合体(B)の数平均分子量が10000以上である、
(6)重合体(B)の数平均分子量が15000以上である、
(7)重合体(B)の主鎖を構成する繰返し単位が、オキシプロピレンである、
(8)硬化剤(A)と重合体(B)のモル比率が1/2以上である、
(9)硬化剤(A)と重合体(B)のモル比率が3/4以上である、
(10)分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に、性状が気体である発泡剤(D)を分散させ、気体含有樹脂組成物とした後に、該気体含有樹脂組成物を型枠に注入して硬化させてなることを特徴とする、
(11)分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に、性状が液体および/または固体である発泡剤(D)を添加し、発泡性樹脂組成物とした後、該発泡性樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化と同時に、発泡させてなることを特徴とする、
前記記載の発泡体に関する。
【0008】
本発明の第2は、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物、発泡剤(D)を混合した後、型枠に注入してから硬化させることを特徴とする前記記載の発泡体の製造方法に関する。
【0009】
好ましい態様としては、
(1)前記樹脂組成物を硬化させる前、又は、硬化させると同時に発泡させることを特徴とする、
(2)性状が気体である発泡剤(D)を用い、前記樹脂組成物に発泡剤(D)を分散させて、気体含有樹脂組成物とした後、型枠に注入してから硬化させることを特徴とする、
前記記載のシリコン系重合体を基材樹脂とした発泡体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従えば、軟質で、柔軟性がある発泡体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の発泡体は、変形時のクリープコンプライアンスJと、回復時のクリープコンプライアンスJの比J/Jが2以上であることを特徴とする。これは、変形よりも回復の方が遅いことを示し、追従性や圧力分散性能などに優れていることを表している。
【0012】
ここで、クリープコンプライアンスについて説明する。クリープコンプライアンスJ(t)[Pa−1]は、サンプルに与えられた一定応力σ[Pa]および測定により得られるひずみε(t)から下記の式(1)で定義される。
J(t)=ε(t)/σ (1)
【0013】
J(t)の測定は、動的粘弾性測定装置、例えば回転式レオメーター、ストレスレオメーター等を用いて測定温度(25℃)および応力を一定に保ちながら行われる。ひずみεを、一定応力σを与え始めてからの時間t[s]に対してプロットすると、図1に示すようなクリープ曲線となる。このクリープ曲線と対応する4要素粘弾性模型を図2に示す。このクリープ曲線は、瞬間変形に対応する瞬間弾性部と、遅延変形に対応する粘弾性部と、定常粘性部に解析される。瞬間変形部はスプリングで示したフック弾性模型に、遅延変形部はスプリングとダッシュポットで示したフォークト粘弾性体に、定常粘性部はダッシュポットで示したニュートン粘性体模型に、近似的に対応できるものとみなせる。その方程式は式(2)となり、粘弾性係数が求められる。
ε/σ=J(t)=ε/E+ε/E(1−e−t/τ)+t/η (2)
ここで、Eはフックの弾性体の弾性率、Eはフォークト粘弾性体の弾性率、τは遅延時間(τ:η/E)、ηはフォークト体の粘性率、ηはニュートン体の粘性率である。
【0014】
フックの弾性体のコンプライアンスJ、すなわち変形時のクリープコンプライアンスJは以下の式(3)で与えられる。
=ε/σ (3)
【0015】
フックの弾性体を示す瞬間弾性部とは応力を与え始めて、一定応力に達するまでの範囲である。このときのひずみεは図1で示したh[mm]ともとの厚さH[mm]で表され以下の式(4)となる。
εh=h/H (4)
一定応力に達した後、遅延変形部を示し、ここではフォークト粘弾性体に従うものとみなせる。その後、時間tに対して直線関係を与える定常粘性部では、ニュートン粘性体となる。
【0016】
一方、回復時も同様に、応力がゼロになるまでの瞬間弾性回復部、遅延弾性回復部を経て回復する。一般的に、応力を開放して十分な時間が経過した後の、回復したひずみに対応するコンプライアンスを平衡リカバリーコンプライアンス(平衡回復コンプライアンス)Jと呼ぶ(たとえば、特開平11−293073号公報、特開平9−291117号公報)。しかし、本発明の発泡体では瞬間弾性回復部が特徴的であったため、この平衡リカバリーコンプライアンスではなく、瞬間弾性回復部に着目し、変形時の瞬間弾性部と同様に定義した。すなわち、一定の値となった応力がゼロになるまでの弾性的な直線関係を瞬間弾性回復部と定義した。この範囲における回復時のクリープコンプライアンスをJとし、次の式(5)で示す。
=ε/σ (5)
【0017】
このときのひずみεは図1に記載のhと、応力を除去しひずみが回復に転じた点hおよびもとの厚さHで表され以下の式(6)となる。
ε=(h−h)/H (6)
理想的な粘弾性体ほど、変形側の瞬間弾性部hと回復側の瞬間弾性回復部hの値は等しくなることが知られている。このため、理想的な粘弾性体は変形時のクリープコンプライアンスJと回復時のクリープコンプライアンスJの比J/Jは1となる。J/Jが1より大きくなると、変形よりも回復の方が遅いことを示し、1よりも小さくなると、変形よりも回復の方が早いことを示す。
【0018】
本発明の発泡体は、J/Jが2以上であり、変形よりも回復の方が遅く、追従性や圧力分散性能などに優れ、柔軟性があり触感が優れている。このようにJ/Jを2以上とするためには、発泡体においてセル径、連続気泡率、セル壁開孔率・孔径、異方性等セル形状などのセル構造や、倍率、添加剤などにより調整できる。
【0019】
高分子計器株式会社製のASKER硬度計には、試料の硬度に対して様々なタイプの硬度計がある。スポンジや軟質ゴムにはASKER C型またはE型、軟質プラスチックフォームやフォームラバーにはC2型またはF型が推奨され、用いられている(たとえば、特開平9−152787号公報)。これらの硬度計の中でも最も軟らかい試料を測定することのできる硬度計がASKER FP型硬度計である。本発明の発泡体は、このASKER FP型硬度計で測定した硬度が、好ましくは50度以下、より好ましくは30度以下である。ASKER FP型硬度計で測定した硬度が小さいほど、柔軟性を有していると見ることができる。
【0020】
本発明の発泡体の基材樹脂としては、成形性の観点からはシリコン系重合体、熱硬化性ポリウレタン、メラミン樹脂などの熱硬化性軟質樹脂、軟質塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン,ポリオレフィンなどの熱可塑性軟質樹脂、ゴム等が挙げられ、なかでも安全性の点からシリコン系重合体が好ましい。
【0021】
本発明で用いることができるシリコン系重合体は、分子骨格中にシロキサン単位を有した樹脂であれば、特に制限されるものではないが、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物、アルケニル基を有する化合物、ヒドロシリル化触媒を含んでなる樹脂組成物を硬化してなる樹脂であることが、成形性や機械物性、および柔軟性などの諸物性のバランスに優れることから好ましい。そして、本発明の発泡体は、前記基材樹脂と発泡剤を含んでなり、その他に、本発明の効果をなくさない程度に、気泡調整剤、充填材、貯蔵安定剤、増粘剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0022】
前記ヒドロシリル基を有する化合物としては、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)(「硬化剤(A)」と称す場合がある)が好ましい。即ち、硬化剤(A)は、アルケニル基を有する化合物、好ましくは、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)(以下、単に「重合体(B)」と称す場合がある)の硬化剤として作用する。
【0023】
前記硬化剤(A)は、好ましくは分子鎖中に少なくとも2個、より好ましくは2〜100個、さらに好ましくは2〜70個、特に好ましくは3〜50個のヒドロシリル基を有し、そのため、それぞれのヒドロシリル基が重合体(B)の分子鎖中に存在するアルケニル基と反応して硬化する。前記ヒドロシリル基の数が2個より少ないと、本発明の分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位またはオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる樹脂物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合の硬化速度が遅くなり、硬化不良を起こす場合がある。また、前記ヒドロシリル基の個数が100個より多くなると、硬化剤(A)の安定性、即ち前記樹脂組成物の安定性が悪くなり、その上、硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化樹脂組成物中に残存しやすくなり、クラックの原因となりやすくなる。
【0024】
なお、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、SiH結合を1個有することを言い、SiHの場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、1つのSiに結合するHの数は、1つである方が硬化性は良くなり、また、柔軟性の点からも好ましい。本発明において「分子鎖中に平均して1個のヒドロシリル基」とは、1gあたりのヒドロキシル基量にその物質の数平均分子量を乗じたものである。本発明においては、ヒドロシリル基以外の官能基についても特に断りのない限り同様に、分子鎖中の官能基数を計算する。
【0025】
硬化剤(A)の分子量は、後述する発泡剤(D)成分の分散性や得られる発泡体の加工性などの点から、数平均分子量(Mn)で30000以下であることが好ましく、20000以下、15000以下であることがより好ましい。重合体(B)との反応性や相溶性まで考慮すると、300〜10000が特に好ましい。
【0026】
前記のごとき硬化剤(A)の構造について特に制限はないが、例えば、炭化水素系硬化剤やポリシロキサン系硬化剤が例示できる。
【0027】
炭化水素系硬化剤とは、一般式(7):
(7)
(式中、Xは少なくとも1個のヒドロシリル基を含む基、Rは炭素数2〜150の1〜4価の炭化水素基、aは1〜4から選ばれる整数、ただし、Xに1個のヒドロシリル基しか含まれない場合、aは2以上である)
で示されるものである。具体的には、平均分子量が30000以下である炭化水素系硬化剤が好適に挙げられる。
【0028】
前記一般式(7)におけるXの具体例としては、例えば、―SiH(CH3−n、―SiH(C3−n、―SiH(C3−n(以上のn=1〜3)、―SiH(C13)などのケイ素原子を1個だけ含有するヒドロシリル基、
【0029】
【化1】

例えば、化1で示されるケイ素原子を2個以上含むヒドロシリル基、
【0030】
【化2】

【0031】
【化3】

【0032】
【化4】

例えば、化2〜化4などで示される鎖状、枝分かれ状、環状の各種の多価ハイドロジエンシロキサンより誘導されたヒドロシリル基などが挙げられる。なお、式中、m個の単位とp個の単位、n個の単位とq個の単位、m個の単位とp個の単位とx個の単位、n個の単位とq個の単にとy個の単位、m個の単位とn個の単位、さらにはm個の単位とn個の単位とp個の単位とq個の単位がブロック結合で結合しているように記載されているが、これらはブロック結合でもランダム結合でもよい。以下の記載においても同様である。
【0033】
前述の各種のヒドロシリル基のうち、硬化剤(A)である炭化水素系硬化剤が他の成分との相溶性を損なう可能性が少ないという点から、一般式(7)のXの部分の分子量が500以下であるのが好ましく、さらにヒドロシリル基の反応性も考慮すれば、以下の化5で示されるヒドロキシル基が好ましい。
【0034】
【化5】

一般式(7)中、Rは炭素数2〜150で1〜4価の炭化水素基を表し、重合体からなる基であってもよい。重合体でない具体例としては、
【0035】
【化6】

【0036】
【化7】

化6、化7に示すもの(これらは特開平3−95266号公報などに記載されている化合物である)などが挙げられる。
【0037】
また、重合体からなるRの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させたもので、結合手を1〜4個有するもの、ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、前記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させた後、水素添加したもので、結合手を1〜4個有するものなどが挙げられる。
【0038】
前記のごとき一般式(7)で表される炭化水素系硬化剤の中でも、Rが炭素数5〜20の炭化水素基で、Xが化5で示される基の場合の組み合わせが、重合体(B)との相溶性が良好である点、および、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる樹脂組成物を硬化させる際の反応性を上げ、良好な網目構造を形成することができる点から好ましい。また、これらのなかでもRの炭素数が5〜12の炭化水素基であることが、原料が容易に入手できる点からより好ましく、Xが化5で示される基の中でも環状ポリシロキサン化合物であることが、重合体(B)との相溶性が特に良くなる点からより好ましい。この組み合わせによって得られる化合物が、炭化水素系硬化剤としては好ましい。その具体例としては、例えば、化8に示すものなどが挙げられる。
【0039】
【化8】

炭化水素系硬化剤の製法については特に制限はなく、任意の方法で製造すればよい。例えば、(i)分子中にSiCl基を持つ炭化水素系化合物をLiAlH、NaBHなどの還元剤で処理して該化合物中のSiCl基をSiH基に還元する方法、(ii)分子内にある官能基Xを持つ炭化水素系化合物と分子内に前記官能基Xと反応する官能基Yおよびヒドロシリル基の両者を有する化合物とを反応させる方法、(iii)アルケニル基を含有する炭化水素系化合物に対して少なくとも2個のヒドロシリル基を持つポリヒドロシラン化合物を選択ヒドロシリル化することにより、反応後もヒドロシリル基を炭化水素系化合物の分子中に残存させる方法、などが例示される。前記方法のうち、(iii)の方法が、製造工程が簡便なため好適に用いることができる。この場合、一部のポリヒドロシラン化合物に含まれるヒドロシリル基の2個以上が、炭化水素系化合物中のアルケニル基と反応して分子量が増大することがあるが、このように、分子量が増大したものを含むものを硬化剤(A)として用いても何ら差し支えない。
【0040】
硬化剤(A)として、ポリシロキサン系硬化剤も使用することができる。具体例としては、ポリオキシアルキレン変性体、スチレン類変性体、オレフィン変性体などを含む化9〜化11に示すような、鎖状、環状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
【0041】
【化9】

(m、nは整数、2≦m+n≦100、2≦m、0≦n、Rはメチル基、分子量が100〜10000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0042】
【化10】

(m、nは整数、2≦m+n≦100、0≦m、0≦n、Rはメチル基、分子量が100〜10000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0043】
【化11】

(m、nは整数、3≦m+n≦20、2≦m≦19、0≦n≦18、Rはメチル基、分子量が100〜10,000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有していてもよい。Rが複数個含まれる場合、これらは同じでなくともよい。)
【0044】
重合体(B)との相溶性をより良くするためには、前記Rがフェニル基を含有しているものが好ましい。さらに入手のしやすさからRは、―CH―CH―C、―CH―CH(CH)―C、また、貯蔵安定性の点から―CH―CH(CH)―Cであることが好ましい。
【0045】
本発明における重合体(B)は、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位であり、柔軟性、および、追従性の点から、数平均分子量が10000以上の直鎖状の重合体が使用される。重合体(B)は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状となり、硬化する。重合体(B)に含まれるアルケニル基の数は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、硬化性、柔軟性の点からは分子鎖の両末端にアルケニル基を有するのが好ましい。
【0046】
重合体(B)の分子量としては、主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系単位からなる場合は、得られる発泡体の柔軟性や触感と取り扱いやすさなどの点から数平均分子量で10000〜50000が好ましく、さらには15000〜30000の液状物〜流動性を有するものであるのが好ましい。なお、本明細書にいう、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位からなるとは、芳香環以外の炭素―炭素不飽和結合を実質的に含有していない状態を意味する概念である。したがって、前記のように重合体(B)の主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系単位からなる場合の主鎖は、
(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させる、
(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、前記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させたりした後、水素添加する、などの方法により得ることができる。
【0047】
繰返し単位が飽和炭化水素系単位である主鎖としては、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができるなどの点から、イソブチレン系重合体、水添ポリブタジエン系重合体、水添ポリイソプレン系重合体のいずれかであることが好ましい。
【0048】
前記イソブチレン系重合体は、単量体単位の全てがイソブチレン単位から形成されていても良く、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体の好ましくは50%(重量%、以下同様)以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。イソブチレンと共重合性を有する単量体成分としては、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アクリルシラン類などが挙げられる。このような共重合成分の具体例としては、例えば、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。前記イソブチレンと共重合性を有する単量体成分の中でも、ビニルメチルメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなど、アルコキシシリル基を含む化合物以外の化合物は、共重合が容易であり、好ましい。
【0049】
前記水添ポリブタジエン系重合体や水添ポリイソプレン系重合体などにおいても、前記イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に、前記のごとき他の単量体単位を含有させてもよい。
【0050】
また、重合体(B)として用いる、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系単位である重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレンのようなポリエン化合物のごとき重合後二重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下の範囲で含有させてもよい。
【0051】
アルケニル基を飽和炭化水素単位からなる主鎖に導入して重合体(B)とする方法については、種々提案されている方法を用いることができるが、主鎖を重合した後にアルケニル基を導入する方法と重合中にアルケニル基を導入する方法とに大別することができる。
【0052】
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖または側鎖の水酸基を―ONaや―OKなどの基にした後、一般式(8):
CH=CH―R―Y (8)
(式中、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、Rは―R―、―R―OCO―または―R―CO―(Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、好ましい具体例としてはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が挙げられる)で示される2価の有機基で、化12(Rは炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれた2価の基が特に好ましい)
【0053】
【化12】

で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端、主鎖または側鎖にアルケニル基を有する主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位からなる重合体が製造できる。前記重合体の好ましい具体例としては、両末端にアルケニル基を2個有する直鎖状の数平均分子量(Mn)が10000〜20000で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが1.1〜1.2程度のポリイソブチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン系重合体などが挙げられる。
【0054】
重合体(B)の主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である場合、主鎖を形成する出発物質として活性水素基を2個以上有する化合物、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールなどを用い、C〜Cのアルキレンオキシドを重合させることにより製造される。主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である重合体(B)の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドの2種以上のランダムまたはブロック共重合体などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種の末端に、飽和炭化水素系単位からなる主鎖にアルケニル基を導入した場合と同様に、アルケニル基を導入する方が好ましい。
【0055】
前記主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である重合体(B)の好ましい具体例としては、柔軟性および触感の点から、主鎖の繰返し単位がオキシプロピレン単位のものが好ましい。
【0056】
重合体(B)の数平均分子量は、分子量としては、柔軟性・触感、および反応性のバランスの点から、10000以上であることが好ましく、より好ましくは15000以上である。また、上限は特にないが、取り扱い上好ましくは、50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは25000である。
【0057】
本発明の発泡体においては、硬化剤(A)、重合体(B)とともに、ヒドロシリル化触媒(C)を使用することが好ましい。ヒドロシリル化触媒(C)としては、ヒドロシリル化触媒として使用しうるものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。ヒドロシリル化触媒(C)の具体例としては、白金の担体;アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンなどとの錯体;例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHClなどの白金−オレフィン錯体;例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO)などの白金−ビニルシロキサン錯体;例えば、Pt(PPh、Pt(PBuなどの白金−ホスフィン錯体;例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu)などの白金−ホスファイト錯体;ジカルボニルジクロロ白金などが挙げられる。なお、以上の式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、m、nは1以上の整数を表している。
【0058】
また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3,159,601号および同第3,159,662号の各明細書に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3,220,972号明細書に記載された白金アルコラート触媒、モディック(Modic)の米国特許第3,516,946号明細書に記載された塩化白金酸−オレフィン複合体なども本発明に有用に使用し得る。さらに、白金化合物以外の触媒も使用することができ、その具体例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al2O、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiClなど(Phはフェニル基を表す)が挙げられる。上記で挙げられたヒドロシリル化触媒群より選ばれる少なくとも1種を、ヒドロシリル化触媒(C)として用いることが好ましい。それらの中でも、触媒活性および安全性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体から選ばれる1以上を使用することがより好ましい。
【0059】
本発明の発泡体において、硬化剤(A)および重合体(B)の含有割合は、硬化剤(A)中のヒドロシリル基および重合体(B)中のアルケニル基の数にもよるが、柔軟性および触感の点から、重合体(B)に対し、硬化剤(A)を、モル比率で1/2以上含有することが好ましく、3/4以上含有することがさらに好ましく、4/5以上含有することが特に好ましい。
【0060】
さらに、重合体(B)中のアルケニル基1モル当り硬化剤(A)中のヒドロシリル基が0.1〜50モルであることが好ましく、0.2〜30モルがより好ましい。
【0061】
ヒドロシリル化触媒(C)の含有量としては、重合体(B)のアルケニル基1モルに対して10−8〜10−1モルが好ましく、10−6〜10−3モルがより好ましい。前記含有量が10−8モルより少ないと十分に硬化が進行しない場合がある。また10−1モルよりも多いと、樹脂組成物の硬化の制御が困難である場合や、得られた発泡体が着色する場合がある。
【0062】
本発明における発泡体の製造方法としては特に限定はなく、基材樹脂と発泡剤を混合し、型枠に注入してから発泡させる方法が一般的である。また得られた発泡体を熱処理する、或いは異なる基材樹脂からなる発泡体を積層する、等の後処理をすることで、本発明の発泡体を得ることが出来る。
【0063】
本発明において好適に使用されるシリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体の製法としては、シリコン系重合体を構成する成分と発泡剤を混合した後、型枠に注入してから発泡させる方法も考えられるが、具体的には、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に発泡剤(D)を混合した後、型枠に注入してから硬化させることが好ましい。
【0064】
別の好ましい態様としては、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる樹脂組成物に、性状が気体である発泡剤(D)を分散させ、気体含有樹脂組成物とした後に、該気体含有樹脂組成物を型枠に注入して硬化させることが好ましく、別の好ましい態様としては、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含んでなる樹脂組成物に、性状が液体および/または固体である発泡剤(D)を添加し、発泡性樹脂組成物とした後、該発泡性樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化と同時に、発泡させてなることが好ましい。
【0065】
本発明における発泡剤(D)としては、特に限定するものではないが、常温(23℃)において性状が、気体、液体、固体の発泡剤が挙げられる。また、別の側面で発泡剤を分類すると、例えば、通常、ポリウレタン、フェノール、ポリスチレン、ポリオレフィン等の有機発泡体に用いられる、揮発性液体や気体の物理発泡剤、加熱分解もしくは化学反応により気体を発生させる化学発泡剤、ヒドロシリル基と反応して水素を発生させる活性水素基含有化合物などが挙げられる。これらのうちでも、活性水素基含有化合物が、連続気泡率の向上や柔軟性等の物性発現に寄与するため、好ましく用いられる。また発泡剤(D)としては、物理発泡剤、化学発泡剤、活性水素基含有化合物より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0066】
前記物理発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、発泡性、および作業性と安全性の点から、物理発泡剤の沸点は、100℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。具体的には、炭化水素、フロン、塩化アルキル、エーテルなどの有機化合物、二酸化炭素、窒素、空気などの無機化合物が挙げられるが、環境適合性の観点から、炭化水素、エーテル、二酸化炭素、窒素、空気から選ばれる化合物を用いることが好ましい。このうち、炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタンクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、1,1−ジメチルプロピルメチルエーテル等が挙げられる。なお、発泡体製造時に、空気中で機械的な攪拌を行う場合は、攪拌に伴って巻き込まれた空気により気泡が形成される場合があり、これもまた物理発泡剤のひとつであると考える。ただし、これら物理発泡剤を使用する場合、残存物による発泡体成形後の物性変化が懸念されることなどから、発泡体製造後、使用した物理発泡剤の沸点以上の温度で加熱養生することにより、取り除いておくことが好ましい。
【0067】
前記化学発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、NaHCOなどの無機系化学発泡剤や有機系化学発泡剤などが挙げられる。
【0068】
前記活性水素基含有化合物としては、ヒドロシリル基と反応して水素を発生する活性水素基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、以下のものが例示できる。即ち、活性水素基含有化合物としては、アルコール類、カルボン酸、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物、水が例示できる。具体例としては、水;
【0069】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルなどの1価のアルコール;
【0070】
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,9−ノナメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコール;
【0071】
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、スクロース、テトラエチレンジアミン、エチレンジアミン等を開始剤とした1分子内にヒドロキシル基を3個以上含むものも含む化合物などのポリエーテルポリオール;
【0072】
アジペート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどのポリエステルポリオール;
【0073】
エポキシ変性ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;ベンジリックエーテル型フェノールポリオールなどのフェノール系ポリオール;ルミフロン(旭硝子社製)などのフッ素ポリオール;ポリブタジエンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ハロゲン含有難燃性ポリオール;リン含有難燃性ポリオール;
【0074】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、東亜合成化学工業(株)製「アロニクス5700」、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製「HE−10」、「HE−20」、「HP−10」および「HP−20」[いずれも末端にヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルオリゴマー]、日本油脂(株)製のブレンマーシリーズとして、PPシリーズ[ポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーPEシリーズ[ポリエチレングリコールモノメタクリレート]、ブレンマーPEPシリーズ[ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート]、ブレンマーAP−400[ポリプロピレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーAE−350[ポリエチレングリコールモノアクリレート]、ブレンマーNKH−5050[ポリプロピレングリコールポリトリメチレンモノアクリレート]およびブレンマーGLM[グリセロールモノメタクリレート]、ヒドロキシル基含有ビニル系化合物とε−カプロラクトンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどのヒドロキシル基含有ビニル系モノマー[なお、ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーは、硬化剤(A)成分と発泡剤(D)の何れとしても利用できる];前記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体などとの共重合により得ることが可能なヒドロキシル基を有するアクリル樹脂;その他アルキド樹脂、エポキシ樹脂などのヒドロキシル基を有する樹脂;
等のアルコール類;
【0075】
酢酸、プロピオン酸等の一価の飽和カルボン酸等のカルボン酸類;
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、フェノール樹脂などのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物;
等が挙げられる。
【0076】
これらの活性水素基含有化合物のなかでも、反応性や取り扱い性の点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの1級飽和炭化水素アルコール、水、ポリエーテルポリオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、また、柔軟性や透湿性付与の観点から、酸素が直接炭素に結合している化合物または水が好ましい。とりわけ、水、エタノール、ポリエチレングリコールのいずれかであることが好ましい。
【0077】
本発明における活性水素基含有化合物中の水酸基当量は、該水酸基当量が小さくなると、添加する活性水素基含有化合物の体積が大きくなり、発泡倍率が上がりにくくなるため、0.1mmol/g以上が好ましく、さらに、反応性の点から0.5mmol/g以上がより好ましい。
【0078】
本発明においては、ヒドロシリル基を有する硬化剤(A)中のヒドロシリル基との脱水素反応を容易に行うために、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類を用いることもできる。また、発泡速度の調整のために、2種類以上の活性水素基含有化合物を併用することも可能である。
【0079】
さらに、基材樹脂が、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、を含有する場合、架橋度や、発泡成形性、透湿性などの物性調整のために、エチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールプロプレングリコール共重合体のモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の、分子内にヒドロシリル化可能な炭素−炭素二重結合と、ヒドロキシル基との両方を合わせ持つ化合物を、使用することもできる。
【0080】
なお、発泡剤(D)として、ポリエチレングリコールやポリエチレングリコールモノアリルエーテルのような1分子内に2個以上のヒドロキシル基、もしくはヒドロキシル基とアルケニル基を有する活性水素基含有化合物を用いた場合は、ヒドロシリル基を有する硬化剤(A)中のヒドロシリル基と、発泡剤(D)中の活性水素化合物中のヒドロキシル基との反応により、水素ガスを発生すると共に架橋構造を形成して、発泡性の低下や発泡体の機械強度が低下する場合があるので、下記のように配合に注意を要する。
【0081】
本発明において発泡剤(D)として、1分子内に2個以上のヒドロキシル基、もしくはヒドロキシル基とアルケニル基を有する活性水素基含有化合物を用いる場合、硬化剤(A)、重合体(B)および発泡剤(D)の配合割合は、各化合物の構造、目的とする発泡倍率、目的とする物性により適宜選択されるものであって特に限定はされないが、硬化剤(A)中のヒドロシリル基のモル数xと、重合体(B)中のアルケニル基のモル数yおよび発泡剤(D)中のヒドロキシル基のモル数zの和との比率が、x/(y+z)=1/10〜50/1であることが好ましく、x/(y+z)=1/5〜30/1であることがより好ましく、x/(y+z)=1/2〜20/1であることがさらに好ましい。x/(y+z)が50/1を越えると、架橋密度が低くなり、十分な機械的強度が得られない場合があり、x/(y+z)が1/10未満であると、十分な発泡、硬化が起こらない場合がある。
【0082】
また、重合体(B)のアルケニル基のモル数yと発泡剤(D)のヒドロキシル基のモル数zとの比率には特に限定はなく、目的とする発泡倍率、目的とする物性、硬化剤(A)の骨格、発泡剤(D)の種類により、適宜選定することが出来るが、一般的には、y:z=100:1〜1:100が好ましく、y:z=10:1〜1:20がより好ましい。
【0083】
本発明の、発泡体の基材樹脂中には、必要に応じて、充填剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、ポリジメチルシロキサン―ポリアルキレンオキシド系界面活性剤あるいは有機界面活性剤(ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等)などの整泡剤、酸あるいは塩基性化合物(ヒドロシリル基とヒドロキシル基との反応調整のための添加剤であり、酸で縮合反応を抑制し、塩基で加速する。)、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0084】
また、整泡性や、硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物を用いる場合の、これらの相溶性を向上させる目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の種類としては特に限定されるものではないが、具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエ一テル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルコキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム液、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0085】
さらには、本発明で使用しうる硬化剤(A)、重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に、必要であれば貯蔵安定性を改良するために貯蔵安定性改良剤を添加してもよい。貯蔵安定性改良剤としては、硬化剤(A)の貯蔵安定剤として知られている通常の安定剤で所期の目的を達成するものであれば使用することができる。このような貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。具体例としては、例えばベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンジカルボキシレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という点から、チアゾール、ベンゾチアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。
【0086】
前記貯蔵安定性改良剤の使用量は、硬化剤(A)および重合体(B)に均一に分散するかぎりほぼ任意に選ぶことができるが、硬化剤(A)のSiH基含有中SiH基化合物1モルに対し、10−6〜10−1モルの範囲で用いるのが好ましい。前記使用量が10−6モル未満では硬化剤(A)の貯蔵安定性が充分に改良されない場合があり、また10−1モルを超えると硬化性が不充分になることがある。
【0087】
さらには、本発明の発泡体には、必要であれば、気泡調整剤を添加しても良い。気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えばタルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカなどの無機固体粉末や、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種用いることができる。気泡調整剤の使用量は、通常使用される量でよい。具体的には、基材樹脂を100重量部としたときに、0.1〜100重量部が好ましく、0.5〜50重量部がより好ましい。
【0088】
本発明の発泡体の製造方法は、例えば以下のように製造できる。
【0089】
<シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体の製造例>
発泡剤(D)として気体を用いる場合には、まず、シリコン系重合体を構成する成分、たとえば、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、必要に応じておよび気泡調整剤などの任意成分を撹拌混合して調整し、樹脂原料とする。
【0090】
次に、この樹脂原料と気体である発泡剤(D)とを密閉状態で共存させてから0.001〜50MPa程度の範囲内、好ましくは0.01〜40MPa程度の範囲で圧縮する。直ちに圧縮された樹脂原料をミキサーに移送し、高速撹拌する。このとき、気体は樹脂原料中に分散する。次に、気体が分散した樹脂原料を加圧する。加圧後に得られた樹脂原料を型枠内に、圧入などの手段によって注入し、加熱することによりシリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体が得られる。
【0091】
加圧条件、加熱条件は発泡倍率や粘度により変わるので、適宜調整する。泡立ち(分散させる気体量)と泡立ち後の気泡の維持の点から、例えば室温(23℃)でB型粘度計を用い4rpmで測定した液状樹脂組成物の粘度は、100〜3000P(ポイズ)が好ましく、300〜1500Pの液状樹脂組成物がより好ましい。粘度が100Pより低いと、破泡してパッドとして好適な発泡体が得られない場合があり、3000Pよりも高いと、気体の分散不良を起こす場合がある。
【0092】
発泡剤(D)として液体や固体を用いる場合には、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位またはオキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)、および、必要に応じてその他の任意成分を加えて混合した後、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)を添加、混合した後、型枠内に注入し、加熱することにより、硬化する前、又は、硬化しながら発泡することで、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体が得られる。
【0093】
成形時の発泡体の形態としては、特に限定するものではないが、たとえば板状、シート状、不定形塊状、ビーズ状、あるいは袋状や衣服の形態に成形したものなどが挙げられる。また、発泡体は単独で用いても良く、未発泡体であるプラスチック、発泡倍率の異なる発泡体、フィルム、布、不織布、紙等の素材と一体成形して用いても良い。
【0094】
またさらには、本発明の発泡体に関しては、発泡体の表面に綿、アクリル繊維、毛、ポリエステル繊維等でできた布や不織布を、適宜、接着剤を使って貼り合わせても良い。この様に貼り合わせることで、発泡体の触感をさらに良好にし、さらに、用途によっては運動時や高温・多湿時の発汗時にこの張り合わされた生地によって吸汗作用を施すことができる。
【0095】
本発明の発泡体の形状としては、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形などの多角形や、短冊状やドーナツ型の内部がくりぬいてあるもの、表面に任意の凹凸を付けたもの等が挙げられる。また、通気性を持たせるために、適宜貫通孔をあけても良い。発泡体の大きさは特に限定されるものではないが、1cm〜1000cmが好ましく、50cm〜500cmがより好ましい。
【0096】
本発明の発泡体は、変形よりも回復の方が遅く、追従性や圧力分散性能などに優れ、柔軟性があり触感が優れているため、このような物性を有効に発揮できる様々な用途に使用することが可能である。防音材、制振材、クッション材等として、車両、寝具・家具、各種機器、建材、包装材、医療材料等の用途に好適に利用できる。
【0097】
具体例としては、
輸送機器用途として、
自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッションなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、ピラー、コンソールボックス、クォータートリム、サンバイザー、フレキシブルコンテナー、フロントミラー、ハーネス、ダストカバーなどの芯材や表皮材・表皮裏打ち材、
フロアクッションなどの制振吸音材、
ヘルメット内張り、クラッシュパッド、センタピラガーニッシュなどの緩衝材、
冷凍車・保冷車・タンクローリー車・冷凍コンテナー車などの断熱材、
エアコン、カークーラーなどの断熱材やシール材、
ラジエーター周辺、ダンパーなどのエアーシール材や防水材、
船舶などの浮力材やFRPボード芯材、
燃料タンク内セーフティーフォーム、ガスケット、エアフィルター、オイルフィルター、各種シーリング材、エンジン防振材、エネルギー吸収バンパー、ガード防音材、車両ワックス用スポンジなど
【0098】
寝具・寝装品用途として
枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくらなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材など、
【0099】
家具用途として
椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッションなどの各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、パッキング材など
【0100】
各種機器用途として
電気・電子機器、エアコン、空気清浄機などのフィルターや吸音材、断熱材
プリンター、建設機器や農機などのエンジン周辺、発電機、冷蔵庫、冷凍庫、電子ジャー、電子レンジなどの吸音材や断熱材
プリンターのクリーニングローラー、高インク吸収体、インクカートリッジフィルター
液晶、電子部品などのシール・緩衝材、
ロボットの皮膚、液密・気密シール材、防音フローリング材、クリーンルーム用拭取材、導電性クッション材、帯電防止性クッション材、圧力感知材、ルームクーラーの結露防止材など、
【0101】
各種洗浄用スポンジ用途として
清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナーなど、
【0102】
トイレタリー用途として
オムツ、生理用ナプキンなどの吸収材、サイドギャザ−や各種液体フィルターなど、
【0103】
履物用途として
靴の表皮材、裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷など、
【0104】
化粧用具用途として
化粧用パフ、アイカラーチップなど
【0105】
各種雑貨用途として、
バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、作業台マット、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくらなどの芯材、クッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
両面テープ基材、
芳香剤、スタンプ台などの吸着媒体、
生け花用剣山など、
【0106】
衣料用途として、
肩・ブラジャーなどのパッド材や、防寒材などのライナーや断熱材など、
【0107】
スポーツ用途として、
スポーツ用プロテクター類、
ボルダリング(2〜3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、ビート板、高飛び用のクッション材、体操競技や運動用の着地マット、キッズマットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
スキーブーツ、スノーボードブーツなどのライナーなど、
【0108】
玩具・遊具用途として、
ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボールなどのクッション材や詰め物、表皮材・表皮裏打ち材、
装飾品や怪獣などの特殊形状物まで、各種物品形状の型取りやモデル作製用などの注型材料、注型法における物品形状の型取り材料、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物など
【0109】
建築資材用途として、
屋根・天井・壁・床の断熱材、屋根・天井・壁・床の吸音材、水道配管等のカバー、ドアパネル、サイジングパネル、金属・サイジングパネル等の芯材、間仕切りパネルの芯材、畳・ふすま芯材、バスタブ等の断熱保温芯材、目地材、シーリング材、シーラントバックアップ材、ガラス目地材、接着剤、システム天井断熱パネル、屋上断熱防水材、音響効果室吸音材、冷凍倉庫・気密倉庫等の気密断熱材、プラントのタンク・配管の保温・保冷材等、フェンス衝撃吸収壁、サーキット場のコーナー緩衝材、育苗用・園芸用土壌、水耕栽培用資材、クリーンルームなど汚染性を嫌う箇所のシール材、自販機などの荷重物の足ゴム、重量物の制振材、ブイ等、
【0110】
各種包材用途として、
精密機器用梱包材・緩衝材、
果物包装材、果物保護梱包材、鮮魚トレー敷きなどの食品用梱包材、
キャリアのクッションパッド、
輸送パレットの緩衝部材、包装材吸音用フォームなど、
【0111】
医療・介護用途として、
再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材などにも利用できるものである。
【0112】
特に身体に触れるもの、もしくはそれに準じるものにより好適に利用することができる。その具体例としては、輸送機器用途として、
自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッションなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネルなどの芯材や表皮材・表皮裏打ち材、
ヘルメット内張りなどの緩衝材、
車両ワックス用スポンジなど
【0113】
寝具・寝装品用途として
枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくらなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材など、
【0114】
家具用途として
椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッションなどの各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材など
ロボットの皮膚、
【0115】
各種洗浄用スポンジ用途として
清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナーなど、
【0116】
トイレタリー用途として
オムツ、生理用ナプキンなどの吸収材、サイドギャザ−や各種液体フィルターなど、
【0117】
履物用途として
靴の表皮材、裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷など、
【0118】
化粧用具用途として
化粧用パフ、アイカラーチップなど
【0119】
各種雑貨用途として、
バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、文具(ペングリップ)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくらなどの芯材、クッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
【0120】
衣料用途として、
肩・ブラジャーなどのパッド材や、ライナー、
【0121】
スポーツ用途として、
スポーツ用プロテクター類、
ボルダリング(2〜3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、ビート板、高飛び用のクッション材、体操競技や運動用の着地マット、キッズマットなどのクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、
スキーブーツ、スノーボードブーツなどのライナーなど、
【0122】
玩具・遊具用途として、
ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボールなどのクッション材や詰め物、表皮材・表皮裏打ち材、
装飾品や怪獣などの特殊形状物まで、各種物品形状の型取りやモデル作製用などの注型材料、注型法における物品形状の型取り材料、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物など
【0123】
医療・介護用途として、
再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター) 、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材などにも利用できるものである。
【実施例】
【0124】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。なお、特にことわりがない場合、実施例および比較例の部や%は重量基準である。
【0125】
<クリープコンプライアンス測定法>
変形時の瞬間弾性クリープコンプライアンス、および、回復時の瞬間弾性クリープコンプライアンスは、クリープメータ(RHENONERII CREEP METER RE2−33005S、(株)山電製)によりクリープ試験を行い、得られたクリープ曲線から算出した。測定条件は、接触するプランジャ形状を直径16mmの円柱状、測定荷重を3Nとした。すなわち、与えられた一定応力は14920Paである。測定時間を120秒(変形60秒、回復60秒)とした。
【0126】
<クリープコンプライアンスの求め方>
変形時のクリープコンプライアンスJは、得られたクリープ曲線において、変形h=0、t=0の点から線形関係を保ちながら変形する範囲に直線を引き、クリープ曲線がその直線から離れる点をhとする。このhから式(4)および式(3)を用いて変形時のクリープコンプライアンスJを算出する。一方、回復時のクリープコンプライアンスJは、t=60、変形は応力を除去しひずみが回復に転じた点hから、線形関係を保ちながら回復する範囲に直線を引き、クリープ曲線がその直線から離れる点をhとし、式(6)および式(5)から算出する。得られた変形時のクリープコンプライアンスJを回復時のクリープコンプライアンスJで除することで、J/Jを求めた。
【0127】
<硬さ測定法>
発泡体の硬さは、ASKER FP型硬度計を、試料の上にそっと載せて、その指示値により評価した。試料によっては、経時的に指示値が下がっていく場合もあるため、該硬度計を載せた直後の値を読み取った。
【0128】
<反発弾性評価>
反発弾性は、JISK6400−3に準拠して測定を行い、反発弾性率を算出した。反発弾性の測定には、鋼球(直径16±0.5mm、質量16±0.5g)を、回転させずに試験片に落下させる方法にて行った。鋼球の落下高さは500±0.5mmであり、跳ね返った高さの測定は、鋼球の最上部の位置とした。得られた測定結果から、以下の式(9)を用いて反発弾性率を算出した。
R=(L−16)/500×100 (9)
式中、Rは反発弾性率(%)であり、Lは測定時の跳ね返り高さ(mm)である。
【0129】
<触感評価>
触感の評価は、発泡体を20人のパネラーに実際触ってもらい、触感を評価した。押したときの触感が特に良いものを◎、良いものを○、良くも悪くもないものを△、触感が悪いものを×とした。
【0130】
<使用化合物>
実施例・比較例においては、表1に示す化合物を用いた。
【0131】
【表1】

(実施例1)
100部の重合体Bに対して、発泡剤Dを7.7部、触媒Cを0.03225部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを12部添加してすばやく混合した。この混合物を100mlのディスポカップに注入し、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体を得た。得られた発泡体の密度は256kg/mであった。また、得られた発泡体の評価結果は表2に示す。
【0132】
【表2】

(比較例1)
厚み7mmのポリウレタン発泡体(商品名:Hip Protector、Lyds International社製)を実施例1と同様に評価し、結果を表2に示した。
【0133】
(比較例2)クッションパンツ
厚み24mmのポリウレタン発泡体(商品名:クッションパンツ、エンジェル社製)を実施例1と同様に評価し、結果を表2に示した。
【0134】
上記結果より、実施例の発泡体は、J/Jが2以上であり、比較例に比べて柔軟性に優れ、触感が良いことがわかった。従って、本発明の発泡体によって、柔軟性があり触感が良い発泡体を提供することが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の発泡体のクリープ曲線の一例である。
【図2】クリープ曲線と対応する4要素粘弾性模型を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形時のクリープコンプライアンスJと回復時のクリープコンプライアンスJの比J/Jが2以上であることを特徴とする発泡体。
【請求項2】
ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が、50度以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が、30度以下であることを特徴とする請求項2に記載の発泡体。
【請求項4】
前記発泡体が、シリコン系重合体を基材樹脂とすることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載の発泡体。
【請求項5】
シリコン系重合体が、
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、
ヒドロシリル化触媒(C)、
を含んでなる樹脂組成物を硬化してなる請求項4に記載の発泡体。
【請求項6】
重合体(B)の数平均分子量が10000以上である請求項5に記載の発泡体。
【請求項7】
重合体(B)の数平均分子量が15000以上である請求項6に記載の発泡体。
【請求項8】
重合体(B)の主鎖を構成する繰返し単位が、オキシプロピレンである請求項5〜7何れか一項に記載の発泡体。
【請求項9】
硬化剤(A)と重合体(B)のモル比率が1/2以上である請求項5〜8何れか一項に記載の発泡体。
【請求項10】
硬化剤(A)と重合体(B)のモル比率が3/4以上である請求項5〜9何れか一項に記載の発泡体。
【請求項11】
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、
ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に、性状が気体である発泡剤(D)を分散させ、気体含有樹脂組成物とした後に、該気体含有樹脂組成物を型枠に注入して硬化させてなることを特徴とする請求項5〜10何れか一項に記載の発泡体。
【請求項12】
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物に、性状が液体および/または固体である発泡剤(D)を添加し、発泡性樹脂組成物とした後、該発泡性樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化と同時に、発泡させてなることを特徴とする請求項5〜10何れか一項に記載の発泡体。
【請求項13】
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)を含んでなる樹脂組成物、発泡剤(D)を混合した後、型枠に注入してから硬化させることを特徴とする請求項5〜12何れかに記載の発泡体の製造方法。
【請求項14】
前記樹脂組成物を硬化させる前、又は、硬化させると同時に発泡させることを特徴とする請求項13に記載の発泡体の製造方法。
【請求項15】
性状が気体である発泡剤(D)を用い、前記樹脂組成物に発泡剤(D)を分散させて、気体含有樹脂組成物とした後、型枠に注入してから硬化させることを特徴とする請求項13又は14に記載のシリコン系重合体を基材樹脂とした発泡体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−91541(P2009−91541A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60977(P2008−60977)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】