説明

軟骨および/または骨の症状の予防および/または治療のためのストロンチウムを用いる併用治療

【課題】軟骨および/または骨の症状の治療および/または予防方法の提供。
【解決手段】ストロンチウム含有化合物と、骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の向上および/または骨の質の向上が可能な1種以上の活性物質とが投与される併用治療。併用される活性物質として、カルシウム、ビタミンD、ビスホスホナートカルシトニン、またはラロキシフェン等のエストロゲンレセプターモジュレーターが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、軟骨および/または骨の症状の治療および/または予防において用いるために、骨折の発生の減少および/または骨密度の増加および/または骨折の治癒の改善および/または骨の質の向上が可能な1以上の活性物質とともにストロンチウム含有化合物が投与される併用治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
骨粗鬆症は、ヒトにおける代謝性骨疾患の最もよくある形態である。この症状は、全世界の非常に多数の人々を襲う症状で、高年令の人々の数が殆どの国々で次の10年間で劇的に上昇するので、骨粗鬆症の罹患率と影響も増加するであろう。この疾患は、病理学的に、骨塊量と骨の構造的品質の絶対的減少と、臨床的には骨折し易さの増大で特徴付けられる。事実、骨粗鬆症は、後期中年と老人の婦人で、骨格の骨折について最も有意な根本的な原因である。
【0003】
一般に、骨粗鬆症には2つのタイプ、すなわち一次と二次がある。二次骨粗鬆症は、同一とみなしうる疾患過程または作用因の結果である。しかし、全骨粗鬆症の約90%は、特発性一次骨粗鬆症が原因である。このような一次骨粗鬆症には、閉経後骨粗鬆症、年齢関連骨粗鬆症(70〜80年令の大部分の個体を襲う)と中年と若い男性と女性を襲う特発性骨粗鬆症がある。
【0004】
骨粗鬆症における骨欠損の機序には、骨リモデリングの過程のアンバランスが含まれると思われる。骨リモデリングは、全生涯で起こり、骨格を再造形し、骨の強度を維持する。リモデリングは、破骨細胞と骨芽細胞と称せられた骨組織の特殊化細胞により仲介される。破骨細胞(骨溶解または吸収細胞)は、吸収過程中、骨マトリックス内の一部の骨の吸収を担う。吸収後、破骨細胞に続いて骨芽細胞(骨形成細胞)が出現し、これが新しい骨で吸収された部分を再充填する。
【0005】
骨中で2つの細胞タイプの形成とそれらの活性は通常密に組合され、骨の骨格バランスと構造的一体性を維持するためによく調節されている。しかし、骨粗鬆症のヒトでは、このリモデリングの過程の不均衡があり、骨の付着生長より速い速度での骨損失をまねく。
【0006】
骨粗鬆症の単一で最も重要な危険因子は、月経閉止期に元来起こるエストロゲン欠乏である。内因性エストロゲン産生の減少が骨組織での代謝活性の上昇をまねき、ここで破骨細胞媒介の骨吸収での増大が骨の形成でのより適度な増加をしのぎ、骨の正味の損失となる。罹患したヒトの実数は、人口増加率より大きな割合で増加するであろう。これは、人口の老令化が人口の老人区分と不均衡に増大しつつあり、一方月経閉止の開始年令は一定のままであるからである。過去10年で、骨無機質密度(BMD)の測定法が改良され、骨吸収と形成の新しい特異的生化学マーカーが開発され、日常の臨床用に入手可能になったことから、骨粗鬆症を予測し、モニターする能力が実質的に進展もした。また骨粗鬆症の治療および/または予防用の新しい薬剤も開発された。これらの治療の大部分は、損失した内因性エストロゲンをホルモン代替治療(HRT)または選択性エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)の形態の何れかで置換することに基づいているか、または、ビスホスホナートと称せられた一群の化合物に属する。SERMとことにHRTは癌と心臓疾患の危険の増大のような顕著な副作用を伴う。これに対して、ビスホスホナートは強い抗吸収効果に加えて、類似の程度で骨形成も減少し、ほんの少ない治療年数の後に治療効果を損なうことを意味する。かくして、骨粗鬆症の治療および/または予防に効果的である剤の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の説明
例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、特発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加のために、本発明者らは、
a) ストロンチウム含有化合物と
b) 骨折の発生の減少および/または骨無機質密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善が可能な1種以上のさらなる活性物質
との投与が、予防および/または治療の価値を有し、以下の有益な効果の1以上を得ることができることを見出した。
【0008】
i) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、a)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上;
ii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、a)および/またはb)の1以上の薬物動態学的パラメータの向上;
iii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、a)および/またはb)の副作用の頻度および/または大きさの低減;
【0009】
iv) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、a)および/またはb)の付加的または相乗的な効果の取得;
v) 予防および/または治療の効果を得るための同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与についてのRDD (recommended daily dose、推奨一日投与量)に比較してa)および/またはb)の一日投与量の減少。ストロンチウム含有化合物およびさらなる活性物質のRDD値は、次のウェブページで見出し得る。
http://193.108.42.103/LIF/home/index.jsp?UserTypeID=0(FASS)、http://www.rxlist.com および http://www.medscape.com/druginfo
【0010】
本発明の関係において、「バイオアベイラビリティー」の用語は、特定の投与経路を通じて投与された特定の組成物から全身の循環に入った個々の活性物質のどれぐらいの量であるかの尺度である。実際には、バイオアベイラビリティーは、対象者への投与の後の血漿濃度対時間のカーブの下の面積として測定される。この関係において、バイオアベイラビリティーの向上とは、バイオアベイラビリティー(すなわち、カーブの下の面積)の増大を意味する。
【0011】
本発明による方法において、a)およびb)の併用での投与は、同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、10%以上、例えば15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上または80%以上のa)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上に導く。
【0012】
この関係において、「薬物動態学的パラメータ」の用語は、濃度対時間カーブに関連するパラメータ、例えばピーク濃度(cmax)、吸収(例えば吸収速度)、ピーク濃度を得るまでの時間(tmax)、分布(例えば分布容積または特定の組織への分布)、代謝(例えば第一経路代謝(first pass metabolism))、排泄(例えば排泄速度)および分泌を含む。この関係において、1以上の薬物動態学的パラメータの向上とは、対象者の予防および/または治療の向上に導くいずれの変化を意味する。例えば、特定の活性物質について迅速な効果が望まれ、この活性物質の吸収速度が非常に遅いとき(これは、薬剤の摂取の比較的長時間後に効果が奏されることを意味する)、向上とは吸収速度を増大することであろう。
【0013】
本発明による方法において、a)およびb)の併用での投与は、吸収速度、ピーク濃度に到達するまでの時間(tmax)、ピーク濃度(cmax)、濃度対時間カーブ、分布容積または特定の組織への分布、代謝の速度、排泄速度および分泌速度からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータの改善を導くことができる。
【0014】
この関係において、「副作用の頻度の減少」の用語は、化合物a)およびb)での処置を用いる臨床試験において観察される有害な副作用が、化合物a)またはb)を単独で用いて行われる処置より頻度が低いことを意味する。
【0015】
「有害な副作用」は、薬剤に対する有害で意図しない応答であり、予防、診断、または疾患の治療、または生理的機能の改変のためにヒトにおいて通常用いられる投与量で起こる応答である。
この関係において、「副作用の大きさの減少」の用語は、いずれの測定可能な副作用の測定された大きさおよび/または頻度が減少されたことを意味する。
【0016】
上記のように、a)およびb)の投与は、付加的または相乗的な効果を導き得る。付加的な効果は、得られた効果がa)およびb)が単独で投与されたときに得られる効果の「合計」に相当するときに、通常、存在するが、相乗的な効果は、得られた効果がa)およびb)が単独で投与されたときに得られる効果の「合計」よりも大きいときに存在する。どちらの状況も、a)および/またはb)のより低い量を用いて充分な効果を得ることが可能であることにおいて有利である。
【0017】
よって、本発明による方法において、a)およびb)の併用での投与は、a)およびb)単独の一日投与量に比べて、治療または予防効果を得るのに必要なa)および/またはb)の一日投与量の減少を導き得る。
より具体的には、本発明による方法において、併用投与されるa)および/またはb)の量は、10%以上、例えば15 %以上、20 %以上、25 %以上、30 %以上、40%以上、50%以上、60%以上または75%以上減少され得る。
【0018】
ストロンチウム成分a)および1種以上のさらなる活性物質b)は、用いられる活性物質ならびに予防および/または治療される症状に応じて調整されたいずれの適切な投与計画により投与され得る。
【0019】
本発明は、a)およびb)が単一組成物として投与され得る方法に関する。本発明は、a)およびb)が別個の組成物として投与され得る別の方法にも関する。1種より多い活性物質b)が投与される場合、これらは単一組成物としてまたは別個の組成物として投与され得る。
【0020】
本発明は、a)およびb)の投与が同時または連続して起こる方法にも関する。
ストロンチウムと1種以上のさらなる活性物質とは連続的に、例えば数時間の時間間隔内に投与されうるが、これらは同じ処置の一部分であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】2つのストロンチウム塩のX線分析の回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
各種のストロンチウム化合物が、正常細胞の生理学に要求されるものより高いレベルで存在するとき骨粗鬆症での骨損失を調節することが以前の研究で示されている。その効果は、前骨芽細胞の成熟、移動および活性へのストロンチウムの刺激効果と、ストロンチウムによる破骨細胞の直接またはマトリックス媒介阻害によるものと思われる(Reginster, JY, Curr pharm Des 2002:8(21):1907〜16)。換言すると、ストロンチウムは、抗吸収と同化剤として共に作用する。ストロンチウムの各種塩類が従来技術で知られ、例えば、EP-B0415850に記載のストロンチウムラネレート(2-[N,N-ジ(カルボキシメチル)アミノ]-3-シアノ-4-カルボキシメチルチオフェン-5-カルボン酸のジストロンチウム塩)がある。ラネル酸から誘導されたストロンチウム化合物のラネレート部分は、軟骨または骨症状に対し何らの治療効果を本質的に有するとはみられない。他の公知のストロンチウム塩類には、例えば、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムホスフェート、ストロンチウムカーボネート、ストロンチウムナイトレート、ストロンチウムサルフェートと塩化ストロンチウムがある。
【0023】
以下の有機または無機酸のストロンチウム塩を、上記の方法において用い得る。塩は、水和物、無水物、溶媒和物、多形物、非晶形、結晶物、微結晶物またはポリマー形であってもよい。この発明の1つの具体例で、ストロンチウムの非放射性同位元素のみが使用される。
【0024】
既知のストロンチウム塩のいくつか(例えばストロンチウム塩酸塩)は、非常に高い水溶性を有する。それらの水溶性に無関係に、このようなストロンチウム塩は、本発明の併用治療において用い得る。しかし、この発明の特定の具体例では、ストロンチウム塩の水溶性は、室温(20〜25℃)で例えば多くて約150g/l、多くて約100g/l、多くて約75g/l、多くて約50g/l、多くて約25g/l、多くて約10g/l、多くて約5g/l、多くて約2.5g/l、または多くて約1g/lのような多くて約200g/lである。
【0025】
例えば、多くて約1g/lの水溶性を有するストロンチウム塩(例えばストロンチウムシトレート、ストロンチウムカーボネート、ストロンチウムオキサレートまたはストロンチウムハイドロゲンホスフェート)のような場合に、この発明者らは、ピーク濃度の出現を遅らすことが可能である、すなわち活性物質それ自体がストロンチウムイオンの遅延放出に貢献することを示した。このことは、これが持続された生理的効果を提供するので、本発明による代謝性骨疾患における治療的および/または予防的関与を提供し得る。特に、治療が夜に与えられる場合、活性ストロンチウムイオンの持続性放出があることが有利である。なぜなら、このことによりストロンチウムがその抗吸収効果を、骨吸収が最も活発であると知られている夜にわたって奏することが可能になるからである。よって、夜にわたってのストロンチウムイオンの持続性放出は、最も高い生理的効果を提供することが期待される。
【0026】
さらに、本発明の具体的な実施形態において、本発明により用いられるストロンチウム塩は、少なくとも1 g/l、例えば少なくとも5 g/l、少なくとも10 g/l、少なくとも20 g/l、少なくとも30 g/l、少なくとも40 g/l、少なくとも50 g/l、少なくとも60 g/l、少なくとも70 g/l、少なくとも80 g/l、少なくとも90 g/lまたは少なくとも100 g/lの室温、すなわち20〜25℃の温度で測定された水溶性を有する水溶性であり得る。
【0027】
より水溶性の有機カルボキシレートストロンチウム塩は、本発明による医薬用途にかなりの生理的利点を提供し得る。まず、このような塩が、イオン性ストロンチウムの固有のアルカリ性のために、水性媒体、例えば胃の胃液に溶解したときにpHを上昇させることを見出した。よって、本発明に従って他の医薬剤、例えば胃腸(GI)の有害事象に関係することが知られているビスホスホナートとの併用により投与されると、ストロンチウム塩は有利な効果を有し、GI有害事象の発生を防止または減少するように働く。
【0028】
次に、ストロンチウムイオンのより迅速な溶解性は、腸系統の上部に存在する能動輸送機構により取り込まれるためのストロンチウムの遊離イオンの形をより利用しやすくする。ストロンチウムは、カルシウムと同様に2つの別個の機構、十二指腸および上部空腸における能動輸送機構により取り込まれることが知られており、これは別個のイオンチャネルが取り込みを媒介する上皮細胞を介しておこる。能動輸送形は飽和可能であり、この機構は、0.5 g以下の投与量のストロンチウムが成人のヒトの対象者に投与されたときに優位を占める。このプロセスは、3つの主要な工程を含む。CaT1とよばれる分子構造により媒介される刷子縁を超えての侵入;サイトソルのカルシウム結合タンパク質カルビンディン D (calbindin D)(またはCaBP)により主に媒介される細胞内分散;および循環への排出は、カルシウムATPアーゼにより主に媒介される。能動輸送機構は、遊離の非錯体の形のイオン性ストロンチウムだけを取り込むことができる。
【0029】
消化管の長さにわたっておこる受動ストロンチウム輸送機構は、細胞補足的(para-cellular)である。受動輸送機溝は基本的に飽和できない。よって、本発明に従うより水溶性のストロンチウム塩の使用は、もし塩が胃内で既に完全に解離しているならば、ストロンチウムの遊離イオンの形態のより多くの画分が迅速に取り込まれ得るので、ストロンチウムのより高いバイオアベイラビリティーをもたらし得る。
【0030】
ストロンチウム塩を作るための無機酸は、ホウ酸、亜臭素酸、炭酸、塩素酸、ピロ燐酸、ピロ硫酸、ジチオン酸、亜チオン酸(dithionous acid)、雷酸、ヒドラゾ酸、臭化水素酸、塩化水素酸、弗化水素酸、沃化水素酸、硫化水素、次燐酸、次亜燐酸、沃素酸、亜沃素酸(iodous acid)、メタ硼酸、メタ燐酸、メタ亜燐酸、メタ珪酸、硝酸、亜硝酸、オルト燐酸、オルト亜燐酸、オルト珪酸、燐酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ピロ亜燐酸、セレン酸、スルホン酸、硫酸、亜硫酸、チオシアン酸とチオ硫酸からなる群から選択できる。
【0031】
有機酸は、酢酸、C2H5COOH、C3H7COOH、C4H9COOH、(COOH)2、CH2(COOH)2、C2H4(COOH)2、C3H6(COOH)2、C4H8(COOH)2、C5H10(COOH)2、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、ピルビン酸、L-とD-アスパラギン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、炭酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、樟脳酸、グルコン酸、L-とD-グルタミン酸、トリフルオロ酢酸、ラネル酸(ranelic acid)、2,3,5,6-テトラブロム安息香酸、2,3,5,6-テトラクロロ安息香酸、2,3,6-トリブロム安息香酸、2,3,6-トリクロロ安息香酸、2,4-ジクロロ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジニトロ安息香酸、3,4-ジメトキシ安息香酸、
【0032】
アビエチン酸、アセト酢酸、アセトンジカルボン酸、アコニット酸、アクリル酸、アジピン酸、α−ケトグルタール酸、アンスラニール酸、ベンジル酸、アラキジン酸、アゼライン酸、ベヘン酸、ベンゼンスルホン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ブラシン酸、カプリン酸、クロロアクリル酸、桂皮酸、シトラコン酸、クロトン酸、シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シスタチオニン、デカン酸、エルカ酸、エクイリン-3-サルフェート、エチレンジアミン四酢酸、フルビン酸(fulvic acid)、フマル酸、没食子酸、グルタコン酸、グルタール酸、グロン酸、グルコサミンサルフェート、ヘプタン酸、ヘキサン酸、フミン酸、
【0033】
ヒドロキシステアリン酸、イソフタール酸、イタコン酸、ランチオニン、ラウリン酸(ドデカン酸)、レブリン酸、リノール酸(シス,シス-9,12-オクタデカン酸)、リンゴ酸、m-クロロ安息香酸、メリシン酸、メサコン酸、メタアクリル酸、モノクロロ酢酸、ミリスチン酸(テトラドデカン酸)、ノナン酸、ノルバリン、オクタン酸、オレイン酸(シス-9-オクタデカン酸)、オルニチン、オキサロ酢酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、p-アミノ安息香酸、p-クロル安息香酸、ペトロゼリン酸(petroselic acid)、フェニル酢酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ピメリン酸、プロピオル酸(propiolic acid)、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、ザルコシン、セバシン酸、
【0034】
ゼリン、ソルビン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)、スベリン酸、コハク酸、テレフタル酸、テトロン酸、スレオニン、L-スレオネート、D-スレオネート、スロニン、トリカルバル酸、トリクロロ酢酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、ウルミン酸とシクロヘキサンカルボン酸からなる群より選択できる。
【0035】
FDAが経口摂取用の組成物への使用に安全とみなした全ての酸が、この発明に使用できる。適する酸の例を次の表1に挙げる。
【0036】
【表1−1】

【0037】
【表1−2】

【0038】
【表1−3】

【0039】
【表1−4】

【0040】
この発明の1つの具体例で、酸はストロンチウムの非キレート剤でもよい。さらなる具体例で、酸は一塩基酸(monoprotic acid)または二塩基酸(diprotic acid)でもよい。
【0041】
この発明により使用のストロンチウム塩の具体例は、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムシトレート、ストロンチウムマロネート、ストロンチウムスクシネート、ストロンチウムフマレート、ストロンチウムアスコルベート、Lと/またはD-型の何れかのストロンチウムアスパルテート、Lと/またはD型の何れかのストロンチウムグルタメート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムグルタレート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムメタンスルホネート、ストロンチウムベンゼンスルホネート、ストロンチウムグルコサミンサルフェート、ストロンチウムL-スレオネート、ストロンチウムオキサレート、ストロンチウムサルフェート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムハイドロゲンホスフェートとそれらの混合物である。
【0042】
医薬組成物に使用のストロンチウム塩を作る関連する酸の他の例は、WO00/01692(ここに参照文献として挿入)に見出すことができる。
【0043】
ストロンチウム塩の合成
カルボン酸アニオンの有機ストロンチウム塩は、いくつかの異なる経路で合成できる。このような有機ストロンチウム塩の製造の常法は、有機酸と水酸化ストロンチウムの水性溶液中の反応を利用することである。例えばフマル酸と水酸化ストロンチウム塩との中和反応は、次式による。
Sr2+(aq)+2OH-(aq)+HOOCCHCHCOOH(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+2H2O(l)
【0044】
溶解したストロンチウムフマレート懸濁液は、次いで、水の蒸発と続く塩の濃縮で沈殿を誘因できる。結晶は溶液からゆっくり形成され沈殿するであろう。
【0045】
他のアプローチは、適当なカルボン酸アニオンのナトリウムまたはカリウム塩と塩化ストロンチウムを利用するものである。全ての有機ストロンチウム塩は、高い溶解性のクロリド塩より溶解性が少ないので、有機ストロンチウム塩は、これらの条件下で沈殿し、溶液中にNaClと過剰のSrCl2を残すであろう。下の等式は、例としてSrCl2とナトリウムフマレートとの反応を用いての反応式を例示する。
Sr2+(aq)+2Cl-(aq)+2Na+(aq)+C4H2O42-(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+Cl-(aq)+Na+(aq)
【0046】
この発明の発明者らは、異なるストロンチウム塩は異なる合成経路を要することを見出し、いくつかのストロンチウム塩に、最適化した合成と製造手順を同定した。この発明に特に関連するものとして、ジカルボン酸系アミノ酸、アスパルテートとグルタメート(DまたはL形の何れか)のストロンチウム塩の合成は、通常の反応経路に従うと非常に困難であり、得られた結晶形について収率と純度が一般に低いことを見出した。この発明による医薬使用を行うのに、ジカルボン酸系アミノ酸の純なストロンチウム塩を大規模で製造するため、発明者らは、これらの特定のストロンチウム塩について各種の合成経路を研究した。かくして、よく規定された純粋な6水和物形のストロンチウムグルタメートの合成が、グルタメートの遊離酸の形と水酸化ストロンチウムで最も簡便に行われ、80℃を超える温度、より好ましくは100℃または120℃、また最も好ましくは130℃を超える(実施例4〜6参照)のような高められた温度を要することを意外にも見出した。その上、少量のアルコールの添加が、溶解した水性の有機ストロンチウム塩の結晶形成を促進できることを見出している。
骨疾患の治療および/または予防に関連の有機ストロンチウム塩のこれら合成手順の例をここでの実施例で提供する。
【0047】
カルシウム
カルシウムは、ストロンチウム塩と同じ予防および/または治療の一部として投与しうるさらなる活性物質の例である。カルシウムは体内の最も豊富なミネラルで、かつリン酸カルシウムと炭酸カルシウムとして骨と歯の主成分である。またカルシウムは、また細胞内と細胞外の液体交換、血液凝固で、かつ規則的心拍の維持に必須である。また、代謝機能ならびに神経筋の開始に重要である。体内での殆どのカルシウムは骨中に貯蔵される。
【0048】
かくして、カルシウムは体内の多くの過程に重要な関与物質であり、かつカルシウムの投与は、上記の疾患と症状の多くに治療および/または予防効果を有しうる。
従って、この発明は、ストロンチウムのある量とカルシウムのある量とを必要とする対象者に投与することができ、かつストロンチウムの量とカルシウムの量との間の重量比が約0.05〜約4、例えば約0.06〜約2、約0.1〜約2、約0.15〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.5〜約1および約0.6〜約1である方法に関する。
【0049】
ストロンチウムの一日投与量は、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.1〜約1 g、約0.15〜約0.5 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gであり得る。
【0050】
カルシウムの一日投与量は、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.5〜約2 g、約0.5 g〜約1 gまたは約1〜約1.5 gであり得る。
【0051】
ストロンチウム成分とカルシウムの投与は、単一投与形態または上記のような同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こり得る。
あるいは、ストロンチウム成分とカルシウムとは連続的に投与され得る。
【0052】
研究により、ストロンチウムはカルシウム検出レセプター(CaR)の全的作動薬であることが示されている。骨細胞の制御におけるCaRの役割は完全にわかっていないが、ストロンチウムとカルシウムとは、骨代謝に対するその影響を同じレセプターを介して奏し得るようである。さらに、ストロンチウムとカルシウムとは、同じ輸送機構により腸のルーメンから取り込まれ、このうち十二指腸と上部空腸において見出される能動輸送機構が最も重要であることが知られている。この輸送機構は飽和でき、ストロンチウムに比べてカルシウムを優先するので、同時にカルシウムが存在すると腸のルーメンからのストロンチウムの取り込みは低減される。
従って、ストロンチウム含有成分とカルシウムとを同時に投与しないことが有利かも知れない。
【0053】
この発明の1つの観点で、カルシウムは、ストロンチウムの投与後に投与でき、すなわち、この発明は、カルシウムがストロンチウム成分の投与の少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間後に投与される方法に関する。
【0054】
他の観点で、カルシウムは、ストロンチウムの投与前に投与でき、すなわち、この発明は、カルシウムがストロンチウム成分の投与の少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間前に投与される方法に関する。
【0055】
ビタミンD
ストロンチウムと同じ予防および/または治療の部分として投与されるさらなる活性物質の別の例は、ビタミンDである。ビタミンDは、カルシウム吸収に主要な役割を演じ、これは、活性化ビタミンD3(1,25-ジヒドロキシコールカルシフェロール)とビタミンDの他の活性型がある程度小腸からのカルシウム吸収を増加する作用をするからである。ビタミンD3は細胞膜から腸嚢胞へのカルシウムが入るのを増加し、腎臓でのカルシウムの再吸収を増加させて、カルシウムの尿への排泄を減少しうる。ビタミンDは、カルシウム吸収について有するのと同じ効果をストロンチウム吸収について有するようである。
【0056】
ビタミンDは、例えば肝臓と腎臓で活性化される。カルシウムの高いレベルが、ビタミンDの活性化に減少効果を有し、ストロンチウムの高いレベルが、恐らくビタミンDの活性化にカルシウムと同じ効果を有するであろう。
かくして、この発明によるストロンチウム含有化合物とともに、ある量のビタミンDの投与は、ストロンチウムの摂取に有利な効果を有するであろう。
【0057】
よって、本発明は、ある量のストロンチウムとある量のビタミンDとを必要とする対象者に投与することを含む本発明による方法に関する。
投与されるストロンチウムの一日投与量は、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.1〜約1 g、約0.15〜約0.5 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gであり得る。
【0058】
ビタミンD3は、軟骨および/または骨の症状の予防および/または治療において活性であることが知られている。よって、本発明によるある方法において、ビタミンDはビタミンD3であり、ストロンチウムの量とビタミンD3の量との間の重量比は、約200〜約2,000,000、例えば約300〜約1,500,000、約400〜約1,000,000、約500〜約750,000、約500〜約500,000、約500〜約200,000、約1000〜約100,000、約2000〜約60,000、約3000〜約50,000、約5000〜約30,000、約7500〜約25,000、約10,000〜約20,000または約10,000〜約15,000である。
【0059】
ビタミンD3の1日投与量は、少なくとも約1μg、例えば少なくとも約1.25μg、少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μgまたは少なくとも約50μg、または約1μg〜約50μg、例えば、約1.50μg〜約40μg、約2μg〜約30μg、約3μg〜約30μg、約4μg〜約30μg、約5μg〜約30μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである。
より詳細には、ビタミンD3の1日投与量は、約5μg〜約30μg、例えば約10μg〜約20μgでありうる。
【0060】
この発明による方法に使用されるビタミンDの他の活性型は、ビタミンD2である。ビタミンD2の1日投与量は、少なくとも1μgで、例えば、少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、少なくとも約70μg、少なくとも約80μg、少なくとも約90μg、少なくとも約100μg、少なくとも約110μg、少なくとも約120μgまたは少なくとも約125μg、または約1μg〜約125μg、例えば約1.50μg〜120μg、約2μg〜約110μg、約3μg〜約100μg、約4μg〜約90μg、約5μg〜約80μg、約5μg〜約125μg、約10μg〜約70μg、約10μg〜約60μg、約10μg〜約50μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである。
より詳しくは、D2の一日投与量は、約5μg〜約125μg、例えば約10μg〜約20μgである。
【0061】
アルファカルシドール、カルシトリオールまたはジヒドロタキステロールのようなビタミンD3とD2の他の官能性等価物がこの発明により投与することもできる。アルファカルシドール、すなわち、1α-ヒドロキシコールカルシフェロールは、0.2〜3μg/日、好ましくは0.25〜2μg/日の量で投与できる。カルシトリオール、すなわち1,25-ジヒドロキシコールカルシフェロールは0.1〜10μg/日、好ましくは0.125〜2μg/日で投与でき、ジヒドロタキステロール、ビタミンD2類似体は、0.1〜3mg/日、好ましくは0.2〜0.6mg/日の量で投与できる。
【0062】
本発明による方法において、ストロンチウム成分とビタミンD成分との投与は、単一投与形態または同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こりうる。
【0063】
PTH
ストロンチウムの投与と同じ治療の一部として投与できる活性物質のさらなる例は、副甲状腺ホルモンである。副甲状腺ホルモンは、84アミノ酸残基からなり、細胞外カルシウムのレベルの減少に応答してインビボで放出される。副甲状腺ホルモンおよびそのフラグメントの毎日の投与は、骨形成を刺激し、骨無機質密度の強い増加を生み、かつ脊椎または非脊椎骨折をそのような骨折の危険がある集団において実質的に減少することが知られている。副甲状腺ホルモンは、腎臓に直接作用し尿中カルシウム再吸収を増大させ、かつ骨芽細胞および破骨細胞を含む機序を介して骨の形成および吸収を増加する。副甲状腺ホルモンは、また、腎臓中1α-ヒドロキシラーゼ酵素の活性を刺激することにより、ビタミンDの活性化を増大し続いてカルシウムおよび多分ストロンチウムのよりよい吸収に導く。
【0064】
市販で入手しうる副甲状腺ホルモン含有薬剤であるForteo (テリパラチド(teriparatide)、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)、rhPTH(1-34))は、生理学的に活性部位と思われるヒト副甲状腺ホルモンのN-末端の34のアミノ酸領域を含む。
【0065】
従って、この発明による別の方法では、副甲状腺ホルモンもしくはそのフラグメントまたは類似体、または副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくはそのフラグメントあるいは類似体をストロンチウムの投与と同じ処置の一部として投与する。以下において、用語「PTH」は副甲状腺ホルモン、そのフラグメント、類似体、機能性類似体およびその分泌促進物質ならびに副甲状腺関連ホルモン、そのフラグメント、類似体と機能性類似体を含む。
【0066】
本発明による方法において、ストロンチウムの量とPTHの量との間の重量比は、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、約165〜約2,000,000、例えば約200〜約1,500,000、約200〜約1,000,000、約200〜約750,000、約200〜約500,000、約250〜約200,000、約300〜約100,000、約500〜約70,000、約1000〜約50,000、約2500〜約35,000、約3500〜約30,000、約5000〜約25,000、約7500〜約15,000および約10,000〜約15,000であり得る。
【0067】
ストロンチウムの一日投与量は、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.1〜約1 g、約0.15〜約0.5 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gであり得る。
【0068】
PTHの1日投与量は、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、少なくとも1μg、例えば少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約35μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、または約1μg〜約60μg、例えば約2〜50μg、約3μg〜約40μg、約4μg〜約40μg、約5μg〜約40μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約35μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約25μg、約10μg〜約20μg、約15μg〜約40μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである。
【0069】
より詳しくは、PTHの1日投与量は、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、約10μg〜約40μg、例えば約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである。
【0070】
本発明による方法において、ストロンチウム成分とPTHの投与は、単一投与形態または同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こりうる。
本発明による方法において、ストロンチウム成分とPTHとは、連続的に投与することもできる。
【0071】
ビスホスホナート
ビスホスホナートは、骨梁骨の内表面に堅く結合してその分解を阻害する分子のファミリーである。また、ビスホスホナートは、骨吸収細胞の行動を改変して、骨梁骨の吸収を遅くする。これらの2つの作用はともに、骨再生骨芽細胞が過剰の骨を形成して過剰の強度を提供することを可能にするのに重要である。研究により、ビスホスホナートが骨損失を防ぎ、骨マスを2〜3年の期間にわたって増大させることが示されている。しかし、ビスホスホナートは、有害な副作用、例えば骨形成および吸収の阻害の可能性、経口投与による乏しい吸収を有する可能性があると考えられ、胃腸(G.I.)の刺激をおこし、骨の中で非常に長い半減期を有することが知られている。よって、治療を必要とする対象者は、これらの化合物の露出を最小限にするべきである。ビスホスホナートの効果を犠牲にすることなく露出を減少させるある方法は、ビスホスホナートを、ストロンチウムのような別の抗吸収剤とともに投与することであろう。さらに、本発明者らは、ストロンチウムとビスホスホナートの付加的およびおそらく相乗的な効果を見出している。この効果は、ストロンチウムとともに投与されたときに同じ効果を得るためにビスホスホナートのより少ない投与量を用いることを可能にする。
【0072】
本発明者らは、1種以上のビスホスホナートとともにストロンチウムを使用すると、ストロンチウムおよび1以上のさらなる活性物質についての上記の1以上の有利な効果を得ることができるという点で予防および/または治療の価値を有することも見出している。具体的には本発明者らは、ビスホスホナートとストロンチウム塩との共同投与は、ストロンチウムイオンのアルカリおよび穏やかなGI防御効果により、ビスホスホナート処置に関係するGI有害事象を減少させる役割を果たすことを見出している。
【0073】
よって、本発明は、ストロンチウムのある量とビスホスホナートのある量とを必要とする対象者に投与することを含む方法に関する。
【0074】
上記のように、ストロンチウムとともに投与される場合、ビスホスホナートのより少ない投与量の使用が可能である。よって、本発明は、投与されるビスホスホナートの量が、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当しうる方法に関する。
【0075】
RDD、推奨一日投与量は、用いられる特定のビスホスホナートに依存する。特定のビスホスホナートとそのRDDの例は、例えばエチドロン酸二ナトリウムは、400 mg p.o.で14日間毎日、続いて500 mg Caで76日間毎日投与され、その後このサイクルを繰り返す。別の例は、5〜10 mg p.o.で毎日または70 mg p.o.で週1回投与されるアレンドロネート(alendronate)、35 mg p.o.で週1回投与されるリセドロネートナトリウム(risedronate sodium)、2.5 mgで毎日投与されるイバンドロネート(ibandronate)、およびi.v.輸液で年間1〜4回、年間投与量約1〜4 mgで投与されるゾレドロネート(zoledronate)である。
【0076】
本発明による方法において、ストロンチウム成分およびビスホスホナートの投与は、単一投与形態または同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こりうる。
本発明による他の方法において、ストロンチウム成分およびビスホスホナートは、連続的に投与し得る。
【0077】
カルシトニン
ストロンチウムと同じ治療の一部として投与される活性成分のさらなる例は、カルシトニンである。ヒトカルシトニンは、32アミノ酸のペプチドホルモンであり、甲状腺の濾胞付随性のC細胞において主に合成される。カルシトニンは、カルシウムの血漿濃度を、まず破骨細胞への影響を介して減少させる。即時の影響は、破骨細胞の吸収性とおそらく溶骨性の効果を減少させ、カルシウム(Ca2+)の骨組織への取り込みを増加させる。カルシトニンのより持続性の影響は、新しい破骨細胞の形成を減少させ、骨芽細胞の活性の二次的な減少を伴う。カルシトニンは、ある骨格外器官(例えば胃腸および腎臓の機能)において生理的な重要性をも有するようである。サケ起源のカルシトニン(サケカルシトニン)は、合成ヒトカルシトニンを含む哺乳動物種からのカルシトニンよりも、ヒト受容体結合部位により高い親和性を有する。これは、魚の鰓後部の腺で産生される。いずれの種からのカルシトニンも単一鎖の32アミノ酸のポリペプチドからなり、N-末端に7アミノ酸残基の環を有する。これらの7アミノ酸残基の配列は、種ごとに異なる。
【0078】
よって、本発明は、必要とする対象者にストロンチウムのある量とカルシトニンのある量とを投与することを含む方法に関する。
【0079】
ストロンチウムとカルシウムとを一緒に投与することにより、より少ない投与量のカルシトニンを用いることが可能である。よって、本発明は、投与されるカルシトニンの量が、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当し得る方法に関する。
【0080】
カルシトニンのRDDは、用いられる具体的な化合物に依存する。サケからの合成カルシトニンについて、200 IUを鼻腔内に毎日、または100 IUをi.m.もしくはs.c.注射で一日一回、一日おきに一回または週に3回のいずれかで投与されるべきである。
【0081】
本発明による方法において、ストロンチウム化合物およびカルシトニンの投与は、単一投与形態または同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こりうる。
本発明による方法において、ストロンチウム成分とカルシトニンとは、連続的に投与することもできる。
【0082】
SERM
上記の疾患の予防および/または治療のためにストロンチウムとともに投与されるのが有利な他の活性物質は、選択性エストロゲンレセプターモジュレーター、SERMである。これらの化合物は、選択的作動薬または拮抗薬効果を、作動薬として一様に作用する(エストロゲンに対向するような)種々のエストロゲン標的組織および一様に拮抗薬である抗エストロゲンに対して発揮する。SERMの原理は、骨組織への正の効果(骨無機質密度の増大および骨粗鬆症と骨折の危険の減少)のようなエストロゲンの有利な影響を保持するとともに、エストロゲンの有害効果を消去するかもしくは妨げること、例えば乳癌の危険の減少である。
【0083】
同じ処置の一部としてストロンチウムと1種以上のSERMとを一緒に投与する有利な効果の一つは、より少量の適切なSERMが必要とされることであろう。よって、本発明のある方法において、投与される選択性エストロゲンレセプターモジュレーターの量は、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当し得る。
【0084】
このような併用治療は、中枢神経系または心臓血管系のようなエストロゲン応答性組織に対するSERM成分の付加的な利益、ならびにストロンチウム化合物の付加的な利益、例えばGI有害事象の減少および関節軟骨の構造完全性に対するおそらく有利な効果を与える一方で、各個別の治療成分の所望の完全な抗吸収作用および骨防御効果を維持できるであろう。
【0085】
RDDは、用いられる具体的なSERMに依存する。その例は、56 mg〜60 mgをp.o.で一日一回与え得るラロキシフェン、20〜30 (20〜40) mg/日をp.o.で投与し得るタモキシフェン、60 mg/日をp.o.で投与し得るトレミフェン、0.25〜0.5 mg/日をp.o.で投与し得るラソホキシフェン、60〜90 mg/日をp.o.で投与し得るオスペミフェン、バゼドキシフェン、アルゾキシフェンおよびレボルメロキシフェンである。具体的なSERMの他の適切な例は、アルゾキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシ-タモキシフェン、4'-ヨードタモキシフェン、(デアミノヒドロキシ)-トレミフェン、クロミフェン、オレメロキシフェン、クロマン誘導体、クマリン誘導体、イドキシフェン、ナホキシジン、TAT-59、LY-353381、CP-336156、MDL-103323、EM-800、ICI-182、ICI 183,780、ICI 164,384、ICI 183,780、ICI 164,384、ジエチルスチルベステロール、ゲニステイン、ナホキシジン、ニトロミフェンシトレート、モクスエステロール、ジフェノールヒドロクリセン、エリスロ-MEA、アレノール酸、エクイリン-3-サルフェート、シクロフェニル、クロロトリアニセン、エタモキシトリフェトール、ゲニステイン、チボロン、テスミリフェン、ドロロキシフェン、パノミフェン、チンドキシフェン、メプロキシフェンとファスロデックスである。
【0086】
本発明による方法において、ストロンチウム成分とSERMの投与は、単一投与形態または同時投与用の別々の投与形態のいずれかで同時に起こりうる。
本発明による他の方法において、ストロンチウム成分とSERMとは、連続的に投与することもできる。
【0087】
本発明の他の観点
ストロンチウムとの併用で加える別の活性物質は、組織特異的合成ステロイドアナログ(選択性組織エストロゲン活性レギュレーター:STEAR)、例えば1.25〜2.5 mgを一日一回投与し得るチボロンであり得る。
【0088】
本発明によるストロンチウムとの併用治療に含まれ得る活性物質の別の例は、グルコサミンサルフェートおよび/または他のグルコサミン含有物質である。グルコサミンサルフェートは、いくつかの臨床試験において、軟骨防御特性を有することが記録され、骨関節症および関節の代謝および/または構造完全性に影響する他の疾患の臨床的管理において現在用いられている。
【0089】
併用治療に用いられる本発明による活性物質の別の例は、グルカゴン様ペプチド2 (GLP-2)である。これは、骨代謝の内分泌レギュレーターとして働く天然に発生するホルモンである。GLP-2は、食物摂取に続いて腸で産生され、骨吸収をダウンレギュレーションする働きをする。よって、GLP-2を抗吸収剤として用い得ることが示されている。1種以上のストロンチウム塩と全長または短縮された形のGLP-2との共同投与は、各医薬活性成分に必要とされる投与量の低減を可能にする相乗効果を提供し得る。
【0090】
ストロンチウムと同じ治療の一部として投与するための上記の活性物質の全ては、もちろん、同じ治療の一部として投与することができ、すなわち本発明によるある方法は、同じ治療の一部としてストロンチウムとカルシウムとビタミンDの投与に関し、別の方法は、ストロンチウムとカルシウムとビスホスホナートの投与などに関する。
【0091】
具体的な例において、カルシウムとビタミンDとは、ストロンチウム成分とビタミンDとの同時投与の少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間前に同時に投与できる。
【0092】
別の例において、カルシウムとビタミンDとは朝に同時に投与でき、ストロンチウム成分とビタミンDとは夜に同時に投与できる。
別の例において、カルシウムとビタミンDとは朝に同時に投与でき、ストロンチウム成分は夜に投与できる。
【0093】
さらなる実施形態において、カルシトニンはカルシウムと同時に投与でき、ストロンチウム成分は、カルシトニンとカルシウムとの投与の少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間前あるいは後に投与できる。
【0094】
本発明は、軟骨および/または骨の疾患の予防および/または治療用の医薬を製造するための、ストロンチウム含有化合物と、上記の骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善および/または骨の質の向上ができる1種以上のさらなる活性物質との使用にも関する。該医薬は、軟骨および/または骨の疾患の予防および/または治療に有効な濃度のa)およびb)を含み得る。
【0095】
本発明は、上記のようなストロンチウム含有化合物と1以上のさらなる活性物質との使用に関し、ここで予防および/または治療は、次の少なくとも1つに導く。
i) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上、
ii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の薬物動態学的パラメータの向上、
【0096】
iii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の副作用の頻度および/または大きさの減少、
iv) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)およびb)の付加的または相乗的な効果の取得、
v) 予防および/または治療の効果を得るための同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与についてのRDDに比べてa)および/またはb)の一日投与量の減少。
【0097】
上記の医薬は、ストロンチウム含有化合物と1種以上のさらなる活性物質の同時または連続的投与のための1以上の容器に含有され得る。
【0098】
上記のように、この発明による組成物またはキットの使用は、外傷性または非外傷性骨折後の骨折の治癒の改善を導き、ここで、骨折は、例えば次の外傷性または非外傷性骨折の1つである。すなわち、コリーズ骨折またはスミス骨折のような遠位とう骨の骨折、例えば近位大腿骨のような大腿骨の骨折、例えば頸部骨折、転節骨折または転子下骨折。
【0099】
骨折治癒の改善は、対象者がプラスターを必要とする時間の減少、X線で明らかにされるような治癒時間の減少、骨折安定化の時間の減少、X線でみて仮骨形成の改良、X線でみて仮骨形成の出現前の時間減少および/または完全または完全に近い運動性また物理的活動レベルを回復する時間の減少に関して定義しうる。
【0100】
発明の他の具体例は、添付のクレームにみられる。この発明による化合物および組成物に関して上記した詳細は、発明の他の観点に必要な変更を加えて適用する。
【0101】
医薬組成物
本発明は、a) ストロンチウム含有化合物とb) 骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善ができる1種以上のさらなる活性物質とを、1種以上の生理学的に受容な賦形剤とともに含む医薬組成物にも関し、ここでストロンチウム化合a)および1種以上の活性物質b)は、上記の化合物および物質から選択できる。
生理学的に受容な賦形剤は、治療上不活性な物質または担体であり得る。
【0102】
担体は、所望の投与形態と投与ルートにより広い多様な形態を取りうる。
医薬的に受容な賦形剤は、例えば充填剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、滑剤、溶剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、エンハンサー、フレーバー、着色剤、pH調節剤、遅延剤、湿潤剤、界面活性剤、保存剤、抗酸化剤などである。詳細は、例えばRemington's Pharmaceutical
ScienceまたはPharmaceutical Excipient Handbookのような医薬ハンドブックに見出しうる。
【0103】
投与される化合物の量の特定の例は上に挙げられる。しかし、実際に投与される化合物の量は、処置される症状、投与される化合物の選択、個々の対象者の年令、体重と応答、対象者の症状の重篤度や選択した投与ルートに照らし、医師によって決定されるであろう。この発明の化合物は、経口的に投与されるのが好ましいが、他の適当な経路でも投与できる。
【0104】
この発明の化合物を含む医薬組成物は、固形、半固形あるいは液体組成物の形態であってもよい。
固形組成物は、例えば通常の錠剤、発泡錠剤、被覆錠剤、溶融錠剤または舌下錠のような錠剤、ペレット剤、散剤、顆粒、粒状剤、微粒子状物質、固形分散液または固形溶液の形態でもよい。
【0105】
この発明の1つの具体例で、医薬組成物は、錠剤の形でありうる。この錠剤は、小腸の近部、例えば十二指腸および/または近位空腸中、錠剤中に含まれた塩の全量の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%のような塩の少なくとも一部を放出できるコーチングで被覆できる。
【0106】
錠剤は、対象者が嚥下を容易にかつ簡便にする形状を有してもよい。かくして、錠剤は、鋭い端のない円形または棒様の形状を有してもよい。さらに、錠剤は、2以上の部分に分割されるように設計されてもよい。
組成物の半固形状は、ペースト、ゲルまたはハイドロゲルであることができる。
組成物の液状形状は、溶液、ナノエマルジョンを含むエマルジョン、懸濁液、分散液、リポソーム組成物、噴霧剤、混合物、シロップまたはエリキシルである。
【0107】
この発明による医薬組成物の他の適する投与形態は、カプセル剤、サシエット剤、トローチ剤、デバイスなどである。
医薬組成物は、例えばRemington's Pharmaceutical ScienceまたはPharmaceutical Excipient Handbookのような医薬分野の標準的な教科書またはハンドブックを参照にして、医薬製剤の当業者に周知の方法の何れかで製造できる。
【0108】
図の凡例
図1は、2つのストロンチウム塩のX線分析の回折図である。上の回折図は、水酸化ストロンチウムとL-グルタミン酸とを高温でしかし実施例2に記載の反応条件を用いて合成したストロンチウムグルタメート6水和物を示す。
【実施例】
【0109】
実施例
実施例1 溶解した塩化ストロンチウムと溶解した適当なカルボン酸アニオンのナトリウム塩とからの沈殿によるストロンチウムの結晶性塩の製造のための一般方法。
100ml容量のガラス製ビーカー中で、5gのカルボン酸のナトリウム塩を、少容量の水に、30〜50℃より高くない温度に僅かに加熱して溶解した。最終容量は、25〜50mlであった。他のビーカー中で、10gのSrCl2(シグマ−アルドリッチ43,966-5、SrCl26水和物)を100mlの水で溶解した。後者の溶液を、溶解したナトリウム塩の第1溶液にゆっくり傾斜した。最初のくもりが観察されるまで、移注を続け、全容量が50〜100mlになった。溶液を有機ストロンチウム塩の結晶化沈殿の有意な量が現れるまで、数日間室温(22〜24℃)で放置した。
【0110】
進行する反応は、ストロンチウムイオンとナトリウムフマレートとの反応(反応式(a)と(b))で例示する。
NaOOCCHCHCOONa(s)+H2O(l)→-OOCCHCHCOOH(aq)+2Na+(aq)+OH-(aq) (a)
-OOCCHCHCOOH(aq)+Sr2+(aq)→Sr(OOCCHCHCOO)(aq)+H+(aq) (b)
【0111】
結晶化を促進するために、5〜10容量/容量%から50〜60容量/容量%のような少量のエタノールの添加が、所望のストロンチウム塩の沈殿を有意に促進することを我々は見出した。エタノールの添加は、室温(22〜24℃)で2g/lを越える溶解性を有するストロンチウム塩の合成で特別に重要で、L-アスパルテート、L-グルタメートとラクテートのストロンチウム塩の合成に実質的な利益を与えるであろう。短い期間内で所要の生成物にするために、最初の段階から直ちに溶液中での初期段階の結晶化または初期段階のうす暗さを観察することが必須であった。
【0112】
沈殿後、溶液を吸引フラスコを用いてブフナーロートで濾過し、結晶を少量のエタノールで洗った。塩のいくつかの結晶はよく溶けたので、結晶の収率を改善するため溶液を少なくとも30〜60分のように長く放置した。繰り返しの結晶化で約50%の収率になった。L-アスパルテートのストロンチウム塩とラクテートのストロンチウム塩は、室温で水に25g/lを越える溶解性を有して、非常に溶解性であった。
ストロンチウムのラクテートとL-グルタメート塩は、過剰の塩化ストロンチウムを有する溶液から沈殿し、ラクテートの大きな結晶が溶媒をゆっくり蒸発させて得られた。
【0113】
実施例2
カルボン酸を水酸化ストロンチウムで中和して結晶性塩を製造する一般方法
適当な有機酸の少量(0.75〜3g、下の表参照)を、30℃〜50℃の温度に加熱して水に溶解した。次いで水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0、約10g/L)を徐々に添加した。次いで磁気撹拌棒を加え、懸濁液の撹拌と緩和な加熱(すなわち、30〜50℃)を始めた。しばらくして、溶液は澄明化し、全ての固形物が溶解する。加熱を維持し、加熱の3時間後に、溶液をブフナーロートで温時濾過する。ごく少量の不純物が濾紙に残った。
【0114】
次いで、濾液は、一夜室温で冷却させ、所望のストロンチウム塩の微細に粉末化した結晶の生長となった。塩のさらなる精製は、再結晶の繰り返しで行うことができる(表2)。
【0115】
【表2】

【0116】
備考
*)回収率は、Sr(OH)2*8H2Oのストロンチウム含量の%で算出。
1)フマル酸は水に不溶性で、エタノールを完全な溶解が達せられるまで懸濁液に加える。合成は、この材料で継続する。
2)ストロンチウム-AKG塩は、僅かに茶色かかった外観を有する。
3)水酸化ストロンチウムとL-アスコルベートの指示量に加えて、水に溶解させたSrCl2*6H2Oの追加量4.087gを反応混合物に加える。
【0117】
実施例3
有機ストロンチウム塩の溶解性の測定
ストロンチウム塩の合成
大多数のストロンチウム塩は、実施例Aに記載の一般合成法に従い、有機酸のナトリウム塩と塩化ストロンチウムを反応させて得ることができた。しかし、溶解性検討のためストロンチウムシトレート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムスクシネートとストロンチウムα−ケトグルタレートは、実施例2に記載のようにカルボン酸の遊離酸型と水酸化ストロンチウムから合成して得た。ストロンチウムグルタメートは、実施例4に記載のように、ストロンチウムグルタメートの純粋で均質な6水和物を得る合成のため、100℃の加熱温度と、塩化ストロンチウムとL-グルタミン酸を使用して得た。実施例4に記載のように、この方法で得られたストロンチウムグルタメートは、以前に記載の結晶性ストロンチウムL-グルタメートの型と区別される。溶解性の詳細な検討は、表3に挙げたストロンチウム塩で行った。
【0118】
【表3】

【0119】
有機カルボン酸ストロンチウム塩の溶解性は、水中で測定した。これらの塩の溶解性は、温度の関数としても測定した。これは塩の飽和溶液を温度調節したインキュベーター中でインキュベートして行った。さらに、塩の溶解性は、7.5の生理pHを有する0.05M炭酸アンモニウム緩衝液ならびに純蒸留水中で行った。
【0120】
緩衝液は、室温(22〜24℃)、30℃または40℃の何れかに調節した水温の浴に浸した。テストチューブは撹拌し、次いで溶液は、24時間、恒温器中でインキュベートした。溶解性の測定に暗示の塩化ストロンチウムの影響をなくすため、全ての沈殿物はテストチューブの底に集め沈殿物上の溶液は注意して除去し、新鮮な溶液と置き換えた。溶液の置換後に、テストチューブを再び撹拌し、他の24時間放置した。この溶液から、ストロンチウム塩の溶解した部分を、特定温度で1ml容量集めた。溶液はフレーム原子吸光分析法(F-AAS)での分析前に50mlに希釈した。続いて一連のサンプリングの前に、溶液を次の温度で24時間平衡にした。
【0121】
ストロンチウムのフレーム原子吸光分析法F-AASによる分析
2つの方法を溶液中のストロンチウムの定量に使用した。すなわちフレーム原子吸光分光分析法(F-AAS)とより鋭敏な高周波誘導プラズママス分光分析法(ICP-MS)である。大抵の研究にはF-AASが十分な感度を有した。
【0122】
合成された有機ストロンチウム塩の分析に先立って、いくつかの市販で入手しうるストロンチウム塩の水溶性をF-AAS法で測定して、測定の精密さを確実にしこれらの塩の溶解度の参照値と結果を比較した。次の塩を入手した:Sr-オキサレート (アルドリッチ57,416-3)、SrSO4 (アルドリッチ 45,129-0)、SrHPO4 (アルドリッチ 48,042-2)およびSrCl2 (アルドリッチ 43,966-5)。溶解度を上記のようにして測定し、飽和溶液中のストロンチウム含量を以下に記載のようにして測定した。
【0123】
易溶解性のストロンチウム塩のいくつかは、F-AASによる分析の前にさらに希釈した。測定は、バックグラウンドシグナルの補正用に水素ランプを備えたパーキンエルマー2100を用いて行った。ストロンチウムは0.2nmのスリットで測定され、波長は58のエネルギーと8mAの電流で操作する460.8nmであった。
【0124】
ごく低いストロンチウム含量の溶液(すなわち、炭酸ストロンチウムの溶解性の分析から)は、誘導カプルスプラズマ−マススペクトル分析(ICP-MS)法で分析された。この分析は交流噴霧器を備えたパーキンエルマーエラン(Perkin Elmer Elan)500システムを用いて行った。電力は1000Wに設定し、アルゴンガス流はトーチとプラズマガスの12L/分と0.8L/分のそれぞれであった。
【0125】
市場で入手しうるストロンチウム塩で測定された溶解性は、参照値によく一致した。大抵の研究で、F-AAS法が十分な感度を有した。表4は、22℃での水中におけるストロンチウムのクロリド、ホスフェート、カーボネート、オキサレートとサルフェートの溶解性を示す。実験的に測定した値は、これらの塩に引用した参照値に一致していることは明らかである。参照値と実験値との主要な変動は、低い溶解性が得られた塩化ストロンチウムと、有意に高い溶解性が見出された炭酸ストロンチウムにみられた。ストロンチウムの溶解性は非常に低いので、これらの実験での上澄液中のSr含量の測定にICP-MSを適用する必要があった。その上、この塩の溶解性は、大気中の二酸化炭素の含量に従属し、これは本実験でコントロールされず、測定溶解度と参照値との不一致の1つの説明を与えるものである。
【0126】
【表4】

【0127】
有機ストロンチウム塩溶解性への温度とpHの影響
表2に挙げた大部分の有機ストロンチウム塩に対し、20〜40℃の間隔における温度変化は溶解性に殆ど影響がなかった(表5)。しかし、ストロンチウムL-グルタメートには、溶解性について温度の有意な影響が20℃〜40℃の間の範囲で観察された。この塩の溶解性は殆どの他の塩と対照的に、研究した間隔で3倍以上増加した。生理学的条件(37℃)下の溶解性は、物質の医薬用途に関連があり、よってストロンチウムグルタメート溶解性がより高い温度で驚くほど増加することは、大きな潜在的治療との掛り合いを有しうる。
【0128】
pH7.5の炭酸アンモニウム緩衝液中でのストロンチウム塩の溶解性は、純水中で測定した溶解性より一般に高い(表5)。しかし、ストロンチウムマレエートのようなある見るべき例外があり、これは緩衝液中で溶解性を減少した。従って、表5に示すように、ストロンチウム塩の溶解性を水中で得た値と比較することが最も適切であることを見出した。
【0129】
相対溶解性
室温と40℃での有機ストロンチウム塩の水溶性を表5に示す。L-アスパルテートとラクテートのストロンチウム塩は、使用した実験法で溶解性の正確な測定を妨げる50g/lを越える溶解性を有する。
この結果は、シトレート、フマレートとタルタレートが実施例1と2に記載の製法で合成したとき直ちに沈殿した合成実験中の観察に相当する。これは、22℃と40℃の両方での他の有機ストロンチウム塩と比較して、これらの塩のより低い溶解性で明白なように、これらのストロンチウム塩の乏しい溶解性を示すものである。
【0130】
グルタメート塩は他の塩より、特に40℃の温度で高い溶解性を示した。この塩の合成中、比較的高い水溶性を示す結晶生長を開始するため、溶液にアルコールを添加することが必要であった。他の研究した塩は、室温で2〜3日の溶媒の蒸発後に沈殿したが、アルコールの添加は結晶生成と沈殿を始めさすのに必要でなかった。
【0131】
【表5】

【0132】
実施例4
100℃での合成によるストロンチウムグルタメート6水和物の製造
最初に、グルタミン酸の懸濁液(白色)を250mlのビーカー中で、100mlのミリポア水を14.703g(0.1モル)の固形L-グルタミン酸(シグマアルドリッチ、C5N9NO4、分子量187.14g/モル、CAS番号142-47-2、ロット番号426560/1、ファイリングコード4300336)に加えて作る。この懸濁液に、26.66g(0.1モル)の固形SrCl2(SrCl2 6水和物、シグマアルドリッチ43,966-5、分子量266.6)を加えた。次に、磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸点まで行う。最終懸濁液も白色で、撹拌は撹拌装置の中程度の回転速度を維持して行う。二酸化炭素が溶液に入るのを防ぐため、ビーカーをカバーグラスで覆った。
【0133】
煮沸と撹拌を数分した後、溶液は澄明となり全ての固形物が溶解した。沸騰を維持し、沸騰で失われた水を補うよう必要なとき、追加の水を加えた。沸騰3時間後に、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙に残った。次いで濾液を室温に冷却し、ストロンチウムグルタメート6水和物の微粉末結晶の生長をみた。最終生成物の沈殿が、1時間以内に濾液中に生長した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で半時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析の前に塩を乳鉢中で微粉末に粉砕した。
【0134】
X線結晶構造解析(図1)で、合成したストロンチウムグルタメート塩は、以前に知られたストロンチウムL-グルタメート6水和物(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson&G. Muller(1989), Chem Ber. 122, 1433〜1438)から異なったことが分かった。この塩と得られる回折図は、以前に知られた(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson&G. Muller(1989), Chem Ber. 122, 1433〜1438)ストロンチウムL-グルタメート6水和物に対応している。より少ない痕跡(lower trace)は、本実施例に開示の塩化ストロンチウムとL-グルタミン酸とから合成されたストロンチウムグルタメート6水和物を示す。
【0135】
ストロンチウムグルタメート6水和物の全収率は再結晶前でほぼ92%で、大部分の不純物は、試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなる。この収率は、15%のみが得られた(実施例2参照)通常の条件下の合成での収率より有意に高い。かくして、この特許に開示の高温での合成法は、収率の有意な増大と合成時間の減少を与えるが、ストロンチウムグルタメートの高い純度のものを与える。その上、この合成法で得られるストロンチウムグルタメートは、以前に知られたストロンチウムL-グルタメート6水和物(H. Schmidbaur, I. Bach, L. Wilkinson&G. Muller(1989), Chem Ber. 122, 1433〜1438)と別個であった。以前にSchmidbaurらの記載したストロンチウムグルタメート6水和物は、非常に低い溶解性(0.023g/l)を有することが報告されているが、本実施例で開示の方法によって作ったストロンチウムグルタメートは2g/lを超える溶解性を有した。この後者(later)のパラメータは、本発明で記載のようにストロンチウム塩の潜在的医療用途に非常に重要である。
【0136】
合成のさらなる改良は、水または全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することを含み、このことは炭酸ストロンチウムの不純物の形成をまねく可能性のある二酸化炭素との接触を防止する。当業者であれば、不活性雰囲気下で行う手法を容易に採用できるであろう。
【0137】
実施例5
100℃で合成によるストロンチウムアスパルテート3水和物の製造
始めに、アスパラギン酸の懸濁液(白色)を、250mlのビーカー中13.311g(0.1モル)の固形L-アスパラギン酸(フルカ、C5H9NO4、分子量133.11g/モル、CAS番号56-84-8、ロット番号432866/1、ファイリングコード52603495)に100mlのミリポア水を加えて作る。この懸濁液に、26.571g(0.1モル)の固形水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0)を添加した。次いで磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸騰点まで行った。また最終懸濁液は白色に着色し、撹拌は、撹拌装置の中程度の回転速度を維持して持続した。二酸化炭素が溶液に入るのを防ぐため、ビーカーをカバーガラスで覆った。
【0138】
煮沸と撹拌を数分した後、溶液は澄明となり、全ての固形物質は溶解した。煮沸を維持し、煮沸で失った水に代わるものとして必要なとき追加の水を加えた。煮沸3時間後に、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙上に残った。次いで、濾液を室温に冷却させ、ストロンチウムアスパルテート3水和物の微粉末化結晶の生長をみた。最終生成物の沈殿が1時間以内に濾液中に進行した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で半時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上で12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析前に、塩を乳鉢中で微粉末に粉砕した。
【0139】
ストロンチウムアスパルテート3水和物の全収率は再結晶前でほぼ98%であり、大部分の不純物は、試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなった。この収率は、わずか14%が得られた通常の条件の合成(実施例B参照)で得た収率より有意に高い。かくして、この特許で開示の高温合成法は、収率の有意な増大と合成時間の減少を与えるが、より高い純度のストロンチウムアスパルテートを与える。この生成物はX線結晶構造解析とデータを、ケンブリッジ結晶構造解析データベースの結果およびH. Schmidbaur, P. Mikulcik&G. Muller(1990), Chem Ber. 123, 1599〜1662の情報と比較してストロンチウムアスパルテート3水和物と明白に同定された。
【0140】
合成のさらなる改良は、水と全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することを含み、炭酸ストロンチウムの不純物の生成になりうる二酸化炭素との接触を防ぐ。当業者は、不活性雰囲気下で進行する手法を容易に採用できるであろう。
【0141】
実施例6
100℃での合成によるストロンチウムマロネート1水和物の製造
始めに、マロン酸の懸濁液(白色)を、250mlのビーカー中、100mlのミリポア水を10.406g(0.1モル)の固形マロン酸(フルカ、分子量104.06g/モル、CAS番号141-82-2、ロット番号、449503/1、ファイリングコード44903076)に添加して作った。この溶液に、26.571g (0.1モル)の固形水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ、Sr(OH)2*8H2O、分子量265.71、CAS番号1311-10-0)を加えた。次いで、磁気撹拌棒を加え、撹拌と加熱を懸濁液の沸騰点まで行った。最終懸濁液も白色に着色し、撹拌を撹拌装置の中程度の回転速度を維持して継続した。二酸化炭素の液への侵入を防止するため、ビーカーをカバーガラスで覆った。
【0142】
何分かの煮沸と撹拌の後に溶液は澄明になり、全固形材料が溶解した。煮沸を維持し、煮沸で失われた水と置換のため必要なとき追加の水を加えた。3時間の煮沸の後、溶液をブフナーロートで熱時濾過した。ごく少量の不純物が濾紙上に残った。次いで濾液を室温に冷却するとストロンチウムマロネートの微粉末化結晶の生成をみた。最終生成物の沈殿が、濾過中に急速に進行し、生成物の大部分は濾紙(未加熱)に見出された。ごくまれに、沈殿が濾液中で進行した。生成物を濾過し、オーブン中110℃で1/2時間、次いでデシケーター中シリカオレンジ上で12時間乾燥した。X線結晶構造解析とFAASによる分析の前に、塩を微粉末に乳鉢中で粉砕した。
【0143】
ストロンチウムマロネートの全収率は再結晶前にほぼ98%であり、かつ不純物の大部分は試薬と炭酸ストロンチウムとみられるものからなった。生成物は、X線結晶構造解析とデータをケンブリッジ結晶構造解析データベースの結果と比較し、ストロンチウムマロネートと明白に同定した。
合成のさらなる改良には、水と全ての水性溶液を窒素またはアルゴンで脱気することが含まれ、炭酸ストロンチウムの不純物の生成となりうる二酸化炭素との接触を防ぐ。当業者は、不活性ガス雰囲気中で進行する手法を容易に採用できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) ストロンチウム含有化合物と
b) 骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善が可能な1種以上のさらなる活性物質
とを、必要とする対象者に投与することを含む、例えばヒトの女性または男性の成人、若者または子供のような哺乳動物における軟骨および/または骨代謝の異常となる軟骨および/または骨疾患および/または症状;例えば骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨症、骨減少症とパジェット病、悪性病変の高カルシウム血症、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ関節炎における関節周囲浸食症、骨形成異常症、骨化性筋炎、ベクテリエフ疾患、悪性高カルシウム血症、骨転移疾患によって生じた溶骨性病変、骨転移疾患による骨痛、性ステロイドホルモン欠乏症による骨欠損、ステロイドホルモン処置による骨異常、癌治療による骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、固定誘因の骨減少症または骨粗鬆症、グルココルチコイド誘因の骨減少症または骨粗鬆症、骨粗鬆症偽膠腫症候群、特発性若年骨粗鬆症の治療および/または予防;外傷性と非外傷性骨折後の骨折治癒の改善、エネルギーレベルの維持または増大、筋肉組織の構築または増強、および体重増加の方法。
【請求項2】
a)およびb)が、これら2つの併用を軟骨および/または骨の疾患の治療において有効にする量で投与される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)およびb)の投与が、以下の:
i) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上、
ii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の薬物動態学的パラメータの向上、
iii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の副作用の頻度および/または大きさの減少、
iv) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)およびb)の付加的または相乗的な効果の取得、
v) 予防および/または治療の効果を得るための同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与についてのRDDに比べてa)および/またはb)の一日投与量の減少
の少なくとも1つに導く請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
a)およびb)の併用での投与が、同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べて、10%以上、例えば15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上または80%以上のa)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上に導く請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
a)およびb)の併用での投与が、吸収速度、ピーク濃度に到達するまでの時間(tmax)、ピーク濃度(cmax)、濃度対時間カーブ、分布容積または特定の組織への分布、代謝の速度、排泄速度および分泌速度からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータの向上を導く請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
a)およびb)の併用での投与が、同じまたはほぼ同じ効果を得るのに必要なa)またはb)単独の一日投与量に比べて、治療または予防効果を得るのに必要なa)および/またはb)の一日投与量の減少を導く請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
併用投与されるa)および/またはb)の量が、10%以上、例えば15 %以上、20 %以上、25 %以上、30 %以上、40%以上、50%以上、60%以上または75%以上減少される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)およびb)の併用投与が副作用の減少に導く請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
a)およびb)が単一組成物として投与される請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
a)およびb)が別個の組成物として投与される請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
a)およびb)の投与が、同時または連続的に起こる請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ストロンチウム含有化合物が、有機酸または無機酸のストロンチウム塩からなる群より選択される請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
無機酸が、弗化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルホン酸、硫酸、亜硫酸、ピロ硫酸、炭酸およびホウ酸からなる群より選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有機酸が、酢酸、C2H5COOH、C3H7COOH、C4H9COOH、(COOH)2、CH2(COOH)2、C2H4(COOH)2、C3H6(COOH)2、C4H8(COOH)2、C5H10(COOH)2、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、ピルビン酸、L-アスパラギン酸、D-アスパラギン酸、炭酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、グルコサミンサルフェート、L-スレオニン酸、樟脳酸、グルコン酸、L-グルタミン酸、D-グルタミン酸、トリフルオロ酢酸およびラネル酸からなる群より選択される請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
塩が、水和物、無水物、溶媒和物、多形物、非晶形、結晶物、微結晶物またはポリマー形である請求項11〜14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項16】
塩が水溶性である請求項11〜15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項17】
塩が、25℃の室温で少なくとも1 g/l、例えば少なくとも5 g/l、少なくとも10 g/l、少なくとも20 g/l、少なくとも30 g/l、少なくとも40 g/l、少なくとも50 g/l、少なくとも60 g/l、少なくとも70 g/l、少なくとも80 g/l、少なくとも90 g/lまたは少なくとも100 g/lの水溶性を有する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
塩が、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム6水和物、ストロンチウムシトレート、ストロンチウムマロネート、ストロンチウムスクシネート、ストロンチウムフマレート、ストロンチウムアスコルベート、ストロンチウムピルベート、ストロンチウムL-グルタメート、ストロンチウムD-グルタメート、ストロンチウムL-アスパルテート、ストロンチウムD-アスパルテート、ストロンチウムタルタレート、ストロンチウムグルタレート、ストロンチウムマレエート、ストロンチウムメタンスルホネート、ストロンチウムベンゼンスルホネートおよびこれらの混合物からなる群より選択される請求項11〜17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項19】
酸が一塩基酸または二塩基酸である請求項11〜18のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項20】
塩が、臭化ストロンチウム、臭化ストロンチウム6水和物、酢酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、ストロンチウムグルコネート、ストロンチウムラクテート、ストロンチウムラネレートおよびそれらの混合物からなる群より選択される請求項11〜19のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項21】
必要とする対象者にストロンチウムのある量とカルシウムのある量とを投与することを含み、ストロンチウムの量とカルシウムの量との間の重量比が、約0.05〜約4、例えば約0.06〜約2、約0.1〜約2、約0.15〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.5〜約1および約0.6〜約1である請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
ストロンチウムの一日投与量が、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.1〜約1 g、約0.15〜約0.5 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
カルシウムの一日投与量が、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.5〜約2 g、約0.5 g〜約1 gまたは約1〜約1.5 gである請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
カルシウムが、ストロンチウム成分の投与の少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間後に投与される請求項21〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
カルシウムが、ストロンチウム成分の投与の少なくとも0.5時間、例えば少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間または少なくとも12時間前に投与される請求項21〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
必要とする対象者にストロンチウムのある量とビタミンDのある量とを投与することを含む請求項1〜25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
ストロンチウムの一日投与量が、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.1〜約1 g、約0.15〜約0.5 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ビタミンDがビタミンD3であり、ストロンチウムの量とビタミンD3の量との間の重量比が、約200〜約2,000,000、例えば約300〜約1,500,000、約400〜約1,000,000、約500〜約750,000、約500〜約500,000、約500〜約200,000、約1000〜約100,000、約2000〜約60,000、約3000〜約50,000、約5000〜約30,000、約7500〜約25,000、約10,000〜約20,000または約10,000〜約15,000である請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
ビタミンD3の1日投与量が、少なくとも約1μg、例えば少なくとも約1.25μg、少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μgまたは少なくとも約50μg、または約1μg〜約50μg、例えば、約1.50μg〜約40μg、約2μg〜約30μg、約3μg〜約30μg、約4μg〜約30μg、約5μg〜約30μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである請求項26〜28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
ビタミンD3の1日投与量が、約5μg〜約30μg、例えば約10μg〜約20μgである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ビタミンDがビタミンD2であり、ビタミンD2の1日投与量が、少なくとも1μg、例えば少なくとも約1.50μg、少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、少なくとも約70μg、少なくとも約80μg、少なくとも約90μg、少なくとも約100μg、少なくとも約110μg、少なくとも約120μgまたは少なくとも約125μg、または約1μg〜約125μg、例えば約1.50μg〜120μg、約2μg〜約110μg、約3μg〜約100μg、約4μg〜約90μg、約5μg〜約80μg、約5μg〜約125μg、約10μg〜約70μg、約10μg〜約60μg、約10μg〜約50μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、または約15μg〜約25μgである請求項26または27に記載の方法。
【請求項32】
ビタミンD2の一日投与量が、約5μg〜約125μg、例えば約10μg〜約20μgである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ストロンチウムとビタミンD成分とが同時に投与される請求項22〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
必要とする対象者にストロンチウムのある量と副甲状腺ホルモンもしくはそのフラグメントまたは副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくはそのフラグメントのある量とを投与することを含む請求項1〜33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
ストロンチウムの量とPTHの量との間の重量比が、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、約165〜約2,000,000、例えば約200〜約1,500,000、約200〜約1,000,000、約200〜約750,000、約200〜約500,000、約250〜約200,000、約300〜約100,000、約500〜約70,000、約1000〜約50,000、約2500〜約35,000、約3500〜約30,000、約5000〜約25,000、約7500〜約15,000および約10,000〜約15,000である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ストロンチウムの一日投与量が、少なくとも約0.01 g、例えば少なくとも約0.025 g、少なくとも約0.050 g、少なくとも約0.075 g、少なくとも約0.1 g、少なくとも約0.2 g、少なくとも約0.3 g、少なくとも約0.4 gまたは少なくとも約0.5 g、または約0.01〜約2 g、例えば約0.1〜約2 g、約0.3〜約2 gまたは約0.3〜約1 gである請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
PTHの1日投与量が、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、少なくとも1μg、例えば少なくとも約2μg、少なくとも約3μg、少なくとも約4μg、少なくとも約5μg、少なくとも約10μg、少なくとも約15μg、少なくとも約20μg、少なくとも約25μg、少なくとも約30μg、少なくとも約35μg、少なくとも約40μg、少なくとも約50μg、少なくとも約60μg、または約1μg〜約60μg、例えば約2〜50μg、約3μg〜約40μg、約4μg〜約40μg、約5μg〜約40μg、約10μg〜約40μg、約10μg〜約35μg、約10μg〜約30μg、約10μg〜約25μg、約10μg〜約20μg、約15μg〜約40μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである請求項34〜36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
PTHの1日投与量が、組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)として計算して、約10μg〜約40μg、例えば約10μg〜約30μg、約10μg〜約20μg、約20μg〜約40μgまたは約20μg〜約30μgである請求項37に記載の方法。
【請求項39】
必要とする対象者にストロンチウムのある量とビスホスホナートのある量とを投与することを含む請求項1〜37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
ビスホスホナートが、イバンドロネート、ゾレドロネート、アレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート、クロドロネート、チルドロネートおよびパミドロネートからなる群より選択される本発明による方法。
【請求項41】
投与されるビスホスホナートの量が、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当する請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
必要とする対象者にa) ストロンチウムのある量とb) カルシトニンのある量とを投与することを含む請求項1〜41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
投与されるカルシトニンの量が、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当する請求項42に記載の方法。
【請求項44】
必要とする対象者にa) ストロンチウムのある量とb) 選択性エストロゲンレセプターモジュレーターのある量とを投与することを含む請求項1〜43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
選択性エストロゲンレセプターモジュレーターが、ラロキシフェン、アルゾキシフェン、ドロロキシフェン、タモキシフェン、4-ヒドロキシ-タモキシフェン、4'-ヨードタモキシフェン、トレミフェン、(デアミノヒドロキシ)-トレミフェン、クロミフェン、レボルメロキシフェン、オレメロキシフェン、クロマン誘導体、クマリン誘導体、イドキシフェン、ナホキシジン、TAT-59、LY-353381、CP-336156、MDL-103323、EM-800、ICI-182、ICI 183,780、ICI 164,384、ICI 183,780、ICI 164,384、ジエチルスチルベステロール、ゲニステイン、ナホキシジン、ニトロミフェンシトレート、モクスエステロール、ジフェノールヒドロクリセン、エリスロ-MEA、アレノール酸、エクイリン-3-サルフェート、シクロフェニル、クロロトリアニセン、エタモキシトリフェトール、ラソホキシフェン、バセドキシフェン、ゲニステイン、チボロン、オスペミフェン、テスミリフェン、ドロロキシフェン、パノミフェン、チンドキシフェン、メプロキシフェンとファスロデックスからなる群より選択される本発明による方法。
【請求項46】
投与される選択性エストロゲンレセプターモジュレーターの量が、RDDの100%以下、例えば90%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下に相当する請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
軟骨のターンオーバーおよび/または骨のターンオーバーにおける変化を伴う疾患または症状の予防および/または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜46のいずれか1つに記載のストロンチウム含有化合物と、骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善および/または骨の質の向上が可能な1種以上のさらなる活性物質との使用。
【請求項48】
軟骨ターンオーバーまたは骨ターンオーバーのいずれかの生化学マーカーで定量されるような軟骨のターンオーバーおよび/または骨ターンオーバーにおける変化を伴う疾患または症状の予防および/または治療用の医薬を製造するための、請求項1〜46のいずれか1つに記載のストロンチウム含有化合物と、骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善および/または骨の質の向上が可能な1種以上のさらなる活性物質との使用。
【請求項49】
骨ターンオーバーの特異生化学マーカーの使用による骨ターンオーバーの上昇および/または股関節部、脊椎または前腕のような骨格部位のX線測定により同定される骨無機質密度の減少の存在を測定することにより評価されるような、必要とする対象者に投与するための医薬品を製造するための、請求項1〜46のいずれか1つに記載のストロンチウム含有化合物と、骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善および/または骨の質の向上ができる1種以上のさらなる活性物質との使用。
【請求項50】
請求項1〜49のいずれか1つに記載のa) ストロンチウム含有化合物と、b) 骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善が可能な1種以上のさらなる活性物質とを軟骨および/または骨の疾患の予防および/または治療に有効な濃度で含有する医薬品の製造のための、a)およびb)の使用。
【請求項51】
予防および/または治療が、以下の:
i) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)のバイオアベイラビリティーの向上、
ii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の薬物動態学的パラメータの向上、
iii) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)および/またはb)の副作用の頻度および/または大きさの減少、
iv) 同じ投与量でのa)単独またはb)単独の投与に比べてa)およびb)の付加的または相乗的な効果の取得、
v) 予防および/または治療の効果を得るための同じ投与量でのa)単独またはb)単独についてのRDDに比べてa)および/またはb)の一日投与量の減少
の少なくとも1つに導く請求項47〜50のいずれか1つに記載の使用。
【請求項52】
請求項1〜46のいずれか1つに記載のa) ストロンチウム含有化合物と、b) 骨折の発生の減少および/または骨密度の増大および/または骨折した骨の治癒の改善および/または骨の質の向上が可能な1種以上のさらなる活性物質とを、1種以上の生理的に受容な賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項53】
錠剤の形である請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
錠剤が、小腸の近部、例えば十二指腸および/または近位空腸中で、錠剤中に含まれた塩の全量の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%のような塩の少なくとも一部を放出できるコーチングで被覆されている請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
錠剤が、対象者が嚥下を容易にかつ簡便にする形状を有する請求項52または53に記載の医薬組成物。
【請求項56】
錠剤が、鋭い端のない円形または棒様の形状を有する請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
錠剤が、2以上の部分に分割されるように設計されている請求項52に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−148814(P2011−148814A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58196(P2011−58196)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2006−504378(P2006−504378)の分割
【原出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505403979)
【氏名又は名称原語表記】OSTEOLOGIX A/S
【住所又は居所原語表記】c/o Symbion Science Park,Fruebjergvej 3,DK−2100 Copenhagen O,DENMARK
【Fターム(参考)】