説明

軟骨の欠損を処置するための可溶性形態形成タンパク質の使用

【課題】軟骨の欠損を処置するための可溶性形態形成タンパク質の使用の提供。
【解決手段】本発明は、可溶性形態形成タンパク質複合体を使用して、軟骨組織を修復および再生する方法であって、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含み、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、整形外科的組織の修復に関する。より詳細には、本発明は、軟骨の修復または再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
軟骨の修復および再生は、現代の整形外科における大きい支障の1つである。変形性関節症、椎間板変性、および半月板破裂などの軟骨の損傷および変性疾患は、米国における成人人口中の能力障害の主な原因であるため、この重要性は非常に大きい。
【0003】
軟骨は、コラーゲン線維、プロテオグリカン、およびその他の非コラーゲンタンパク質の細胞外マトリクス中に埋め込まれた軟骨細胞から成る結合組織である。軟骨には、関節状および非関節状の2つの形式がある。関節軟骨は、関節内の骨端を被覆する結合組織の薄い層である。非関節軟骨は、線維軟骨および弾性軟骨を含み、椎間板、半月板、気管、咽頭、鼻、耳、および肋骨を含む。
【0004】
軟骨の機能は、耐荷重性、耐磨耗性を緩和し、関節の殆ど摩擦のない運動を可能にする。多くの場合、外傷、異常な磨耗、または疾病によって生じる軟骨組織の欠損は、疼痛および凝りの原因になる可能性があり、未治療で放置した場合は進行し、最終的に関節全体を交換する必要が生じ得る。たとえば、関節軟骨の欠損は、多くの場合、関節面の早期の変性の原因になり、最終的に骨軟骨の欠損、変形性関節症、またはこの両方を生じ得る。
【0005】
変形性関節症は、マトリクス成分の合成および破壊間の平衡が妨げられ、異化に向かって変化する際に、損傷した軟骨細胞外マトリクスが修復しようとしているが、徐々に衰えつつあるプロセスであると考えられる。
【0006】
軟骨組織が自然に再生する能力は、その血液が供給されない性質のために著しく制限される。軟骨組織および下にある骨の両方を含む骨軟骨の欠損の修復は、限られた範囲で行われ、血液および/または髄質によって欠損内にもたらされる幹細胞並びに成長および分化因子の存在によって促進される。動物実験では、これらの欠損は、骨および軟骨の新しい層が形成されて、ある程度修復するが、軟骨マトリクスの巨大分子構成および生化学的性質は不完全である。II型コラーゲンではなくI型コラーゲン、および軟骨に特有ではないプロテオグリカン、たとえばプロテオグリカンを含むデルマタン硫酸は、修復組織を構成し、時間が経過するにつれて、フィブリル化および退行性変化を生じる。また、軟骨下骨中に浸透しない軟骨の欠損の修復は、たとえ限られた程度でも生じない。
【0007】
さらに、軟骨欠損の外科的処置は複雑であり、成功はごく限られていることが証明されている。たとえば、関節軟骨の欠損は、関節鏡による方法で処置され、遊離体は創傷清拭されて、線維領域は平滑化される。しかし、この方法だけでは、多くの場合、症状を長期にわたって持続的に緩和することはない。膝代替手術は、相当量の骨を切除する必要があることが多く、複数回の手術を要する場合が多い。
【0008】
半月板は、緩衝装置として作用する膝関節の内部の骨端間に位置する小さい馬蹄形組織である。各々の膝の内部には、膝の両側に2つの半月板がある。これらの半月板は、一般に、若者の場合は強力であり、加齢とともに脆弱になり、容易に破裂しやすくなる。破裂は、前十字靭帯(ACL)の傷害ではきわめて一般的である。関節ヒアリン軟骨などの半月板線維軟骨は、特に中間および血液が供給されない領域では治癒能力は限られている。小さい破裂に対する現在の処置は、大きい問題を生じない場合は破裂を放置することである。半月板破裂に対する外科的処置は、傷害の性質および程度、そして最も重要なことだが、その位置を含む多くの要素によって決まる。高度に血管新生した滑膜と一体化した血管新生領域における破裂は、縫合によって完全に修復されてきた。部分的または全体的な半月板切除は、半月板の血管がない3分の2の範囲内における症候的な破裂には一般的な外科処置である。後者の半月板領域における破裂は、臨床的に最も一般的なタイプである。開放するか、関節鏡を使用するか、全体または部分的な半月板切除を使用するかどうかに関わらず、変形性関節症は、これらの患者の場合、手術後数年以内に再発することが多い。したがって、一般的な修復形式は、破裂部分をごく部分的に除去し、ステープリングによって軟骨を修復することである。残念ながら、この手順の後の治癒過程は遅い。さらに、修復が成功しない場合、全体的に破裂した半月板は、その後除去しなければならない。
【0009】
持続的で、多くの場合は消耗性の背痛の主な原因は、椎間板(IVD)の変性である。椎間板が変性すると、隣接する脊椎が圧迫され、激しい疼痛を生じる場合が多い。
【0010】
靭帯結合としてのIVDは、隣接する椎体間に関節を提供し、軸方向に加わる脊椎負荷を散逸させる体重負荷クッションとして作用する。これらの生体力学的機能は、中心の水和プロテオグリカン豊富な髄核を囲む外側のコラーゲン豊富な線維輪から成るIVD特有の構造によって可能になる。上部および下部軟骨性運動終板、つまりヒアリン状軟骨の薄い層は、椎間板内の椎体の接触部分を覆う。
【0011】
椎間板の変性は、主に腰痛(LBP)として顕在する公衆にとって、著しい社会的および経済的負担になる。80%もの人々が、人生の間にLBPの少なくとも1つの重要な症状を発症し、労働人口の約2.5%が、LBPの結果、1年間に何日かの病気休暇を取るであろうと概算される。現代の西欧諸国におけるLBPの直接費は、90億ドルと概算されており、その殆どは、一般開業医、理学療法士、およびその他の従来の施術者の診断に費やされる(Williams DA等、(1998年)Health care and indemnity costs across the natural history of disability in occupational low back pain,Spine 23:2329−36)。外科的管理を含む全体の間接費は、10倍高くなり得る(MaetzelおよびLi(2002年)The economic burden of back pain:1996年〜2001年に発行された調査報告書、Best Prac Res Clin Rheumatol 16:23−30;Walker等、(2003年)The economic burden,Proceedings of the Spine Society of Australia Annual Scientific Meeting、オーストラリア、キャンベラ)。
【0012】
椎間板の変性は、殆どの場合、骨格の成熟から生じる自然現象である(Vernon−Roberts(1992)Age−related and degeneraive
pathology of intervertebral discs and apophyseal joints,In:The lumbar spine and
back pain.Fourth edition,Jayson MFV,Ed.
Churchill Livingstone,Edinburgh,Chapter
2,17−41)。これは、加齢と一致するが、多くの場合、疼痛、特に腰痛にも関連し、運動性が限られる。LBPの症状は、患者が、限られた運動性に適応するように自身の生活様式を変えると、時間の経過とともに自然に解消する場合が多い。しかし、多くの場合、外科的介入を要する重要な要素は依然として残る。慢性的なLBPの外科的処置の従来の「判断基準」は、1つまたは複数の疼痛レベルを不動にするための脊椎融合術だった。融合術は、長期間の入院、および専門的な外科的専門技術が必要なため高価であり、これらの患者の殆どは、短期の疼痛緩和を行うと思われるが、現在、融合術が最善の結果を提供しないという証拠はある。長期間の研究では、脊椎融合術は、融合部位に隣接するレベルで実際に変性を促進することが示唆されている(Lee(1988年)Accelerated degeneration of the segment adjacent to a lumbar fusion,Spine 13:375−7)。関節炎および骨折した腰および膝の機能を回復するために、50年前から人工的な補綴が開発されてきたように、現在、慢性的な変性によって疼痛および関節炎を生じるようになった椎間板の完全な機械的機能を回復することを目的として、補綴が開発されている(Szpaalski等(2002年)V Spine arthroplasty:a historical review,Eur Spine J 11:S65−S84)。しかし、試験中の無数のモデルのどれかが、長期にわたって利益を提供するかを知るには、未だ早すぎる。
【0013】
「骨形成タンパク質」または「形態形成タンパク質」または「モルフォゲン」として公知のクラスのタンパク質は、単独で前駆物質の増殖および分化を機能的な骨、軟骨、腱、および/または靭帯組織中に導入することが可能な真の骨および軟骨組織モルフォゲンとして作用する能力を有する。これらのタンパク質としては、最初は異所性の軟骨内骨形成を誘発する能力によって識別された骨形成タンパク質(BMP)の族の要素が挙げられる。骨形成タンパク質は、一般に、先行技術では、増殖因子のTGF−β上科の亜群として分類される(Hogan(1996)Genes & Development 10:1580−1594)。タンパク質のモルフォゲン族の要素としては、哺乳類の骨形成タンパク質−1(BMP−7としても公知のOP−1、およびDrosophila同族体60A)、骨形成タンパク質−2(BMP−8aとしても公知のOP−2)、骨形成タンパク質−3(BMP−8bとしても公知のOP−3)、BMP−2(BMP−2AまたはCBMP−2A、およびDrosophila同族体DPPとしても公知)、BMP−3、BMP−4(BMP−2BまたはCBMP−2Bとしても公知)、BMP−5、BMP−6およびそのマウス科の同族体Vgr−1、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、GDF3(Vgr2としても公知)、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、GDF12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、GDF−5(CDMP−1またはMP52としても公知)、GDF−6(CDMP−2としても公知)、GDF−7(CDMP−3としても公知)、Xenopus同族体Vg1、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、およびNEURALが挙げられる。この族の要素は、共通の構造特徴を共用する分泌ポリペプチド鎖をコードし、たとえば、前駆物質の「代用形」から処理して、二量体化することが可能な成熟したポリペプチド鎖を生成し、約97〜106個のアミノ酸のカルボキシ末端活性領域を含む。すべての要素は、この領域のシステインの保存パターンを共用し、これらのタンパク質の活性形式は、単一族の要素のジスルフィド結合同質二量体、または2つの異なる要素の異質二量体でよい(たとえば、Massague(1990年)Annu.Rev.Cell Biol.6:597;Sampath等(1990)J.Biol.Chem. 265:13198参照)。また、米国特許第5,011,691号;米国特許第5,266,683号、Ozkaynak等(1990年)EMBO J.9:2085−2093、Wharton等(1991年)PNAS 88:9214−9218、Ozkaynak(1992年)J.Biol.Chem.267:25220−25227および米国特許第5,266,683号;Celeste等(1991年)PNAS 87:9843−9847;Lyons等(1989年)PNAS 86:4554−4558;Wozney等(1988年)Science 242:1528−1534;国際公開第93/00432号;Padgett等(1987年)Nature 325:81−84;Weeks(1987年)Cell 51:861−867参照)。
【0014】
成熟した二量体形式では、形態形成タンパク質は、一般に、生理学的条件下でかなり不溶性である。哺乳類細胞発現系から培養された媒体中に分泌された形態形成タンパク質は、分泌タンパク質の相当部分として、可溶性形式のタンパク質を含むことが発見された。この可溶性形式は、「可溶性形態形成タンパク質複合体」とも呼ばれ、成熟した二量体種、およびその切断型を含み、切断型は、少なくとも1つ、好ましくは2つのプロ領域に共有結合している。特許文献1参照。
【0015】
軟骨の欠損を修復するために現在好ましい方法としては、創傷清拭、微小破壊、自己移植、自家軟骨移植術、および関節置換術が挙げられる。しかし、これらの方法のどれも、軟骨組織を実際に修復および置換することにならない。これらの方法は、瘢痕様の特徴を持つ不完全な修復組織を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,395,883号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、軟骨の欠損を修復および再生し、現在利用可能な方法および組成物に関連する問題を克服するための組成物および方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、可溶性形態形成タンパク質複合体を使用して、軟骨組織を修復および再生する方法を提供する。実施態様によっては、本発明は、患者の軟骨の欠損を修復する方法であって、軟骨内、軟骨を囲む領域内に、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0019】
実施態様によっては、本発明は、患者の体内に軟骨を再生または生成する方法であって、軟骨、または軟骨を囲む領域に、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、患者の体内の軟骨の成長を促進するか、または患者の体内の軟骨の形成を促進する方法であって、軟骨内、または軟骨を囲む領域内に、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、およびこの複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0021】
さらに他の実施態様では、本発明は、患者の軟骨の変性を防止するか、軟骨の損傷、あるいは変性疾病または疾患を処置する方法であって、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、またはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0022】
本発明は、患者の軟骨組織の損傷を処置する方法であって、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、またはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。実施態様によっては、この組織の損傷は、半月板の破裂、軟骨の空隙または欠損、骨軟骨の空隙または欠損、あるいはACL損傷があるが、これらだけに限らない。
【0023】
本発明は、患者の体内の軟骨組織の変性疾病または疾患を処置する方法であって、(a)形態形成タンパク質、および(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、またはこのプロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントを含む、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物であって、このプロ領域または改変体またはフラグメントが、形態形成タンパク質に非共有結合され、この複合体が、水性溶媒中で、形態形成タンパク質単独より水溶性である組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。実施態様によっては、軟骨組織の変性疾病または疾患としては、変形性関節症および椎間板変性があるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、本発明の組成物は、骨関節炎または椎間板変性欠損部位、あるいは骨関節炎または椎間板変性欠損部位を囲む領域に投与される。
【0024】
実施態様によっては、軟骨は関節軟骨である。実施態様によっては、関節軟骨は関節接合部内にある。他の実施態様では、軟骨は、非関節軟骨である。実施態様によっては、非関節軟骨は、半月板または椎間板である。
【0025】
実施態様によっては、組成物は軟骨内に投与される。実施態様によっては、組成物は、半月板または椎間板内に投与される。実施態様によっては、組成物は、軟骨を囲む領域に投与される。実施態様によっては、軟骨を囲む領域は滑液である。
【0026】
実施態様によっては、形態形成タンパク質は、本発明の方法に使用される組成物であって、たとえば、OP−I、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体、およびフラグメントが挙げられるが、これらだけに限らない。好ましい実施態様では、形態形成タンパク質は、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から選択される。より好ましい実施態様では、形態形成タンパク質はOP−1である。他の実施態様では、形態形成タンパク質は、ヒトOP−1の保存7システイン領域を含むC末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、この形態形成タンパク質は、軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である。実施態様によっては、本発明の方法に使用する組成物中の形態形成タンパク質は二量体である。実施態様によっては、本発明の組成物中の形態形成タンパク質は非共有二量体であり、たとえば、鎖間ジスルフィド結合に関わるシステイン残基が、別のアミノ酸残基と置換されたモノマーが挙げられる。
【0027】
実施態様によっては、形態形成タンパク質のプロ領域は、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、あるいはこれらの保存的置換改変体、またはフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、形態形成タンパク質のプロ領域は、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、BMP−13、あるいはこれらの保存的置換改変体、またはフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施態様では、形態形成タンパク質のプロ領域は、OP−1、あるいはその保存的置換改変体、またはフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
患者の体内の軟骨の欠損を修復する方法であって、前記軟骨内、または前記軟骨を囲む領域内に、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物は、
(a)形態形成タンパク質と、
(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいは前記プロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントであって、前記プロ領域または改変体またはフラグメントが、前記形態形成タンパク質に非共有結合され、前記複合体が、水性溶媒中で、前記形態形成タンパク質単独より水溶性であるものと
を含む、方法。
(項目2)
前記軟骨が、関節および非関節軟骨から選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記非関節軟骨が、半月板および椎間板から成る群から選択される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記軟骨を囲む領域が滑液である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記形態形成タンパク質が二量体である、項目1〜4の何れか1項に記載の方法。
(項目6)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、およびこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択される、項目1〜5の何れか1項に記載の方法。
(項目7)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から成る群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記形態形成タンパク質がOP−1である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記形態形成タンパク質が、ヒトOP−1の前記保存7システイン領域を含む前記C末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記形態形成タンパク質が、前記軟骨の欠損の修復を誘発することが可能な、項目1〜5の何れか1項に記載の方法。
(項目10)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目1〜9の何れか1項に記載の方法。
(項目11)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1またはその保存的置換改変体およびフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
患者の体内に軟骨を再生または生成する方法であって、前記軟骨内、または前記軟骨を囲む領域内に、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物は、
(a)形態形成タンパク質と、
(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいは前記プロ領域の保存的置換改変体、またはフラグメントであって、前記プロ領域または改変体またはフラグメントが、前記形態形成タンパク質に非共有結合され、前記複合体が、水性溶媒中で、前記形態形成タンパク質単独より水溶性であるものと
を含む、方法。
(項目14)
前記軟骨が関節および非関節軟骨から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記非関節軟骨が、半月板および椎間板から成る群から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記軟骨を囲む前記領域が滑液である、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記形態形成タンパク質が二量体である、項目13〜16の何れか1項に記載の方法。
(項目18)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択される、項目13〜17の何れか1項に記載の方法。
(項目19)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から成る群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記形態形成タンパク質がOP−1である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記形態形成タンパク質が、ヒトOP−1の前記保存7システイン領域を含む前記C末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記形態形成タンパク質が、前記軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である、項目13〜17の何れか1項に記載の方法。
(項目22)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目13〜21の何れか1項に記載の方法。
(項目23)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1またはその保存的置換改変体およびフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
患者の体内における軟骨の成長を促進するか、軟骨の形成を加速する方法であって、前記軟骨内、または前記軟骨を囲む領域内に、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物は、
(a)形態形成タンパク質と、
(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいは前記プロ領域の保存的置換改変体、またはフラグメントであって、前記プロ領域または改変体またはフラグメントが、前記形態形成タンパク質に非共有結合され、前記複合体が、水性溶媒中で、前記形態形成タンパク質単独より水溶性であるものと
を含む、方法。
(項目26)
前記軟骨が関節および非関節軟骨から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記非関節軟骨が、半月板および椎間板から成る群から選択される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記軟骨を囲む前記領域が滑液である、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記形態形成タンパク質が二量体である、項目25〜28の何れか1項に記載の方法。
(項目30)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択される、項目25〜29の何れか1項に記載の方法。
(項目31)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から成る群から選択される、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記形態形成タンパク質がOP−1である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記形態形成タンパク質が、ヒトOP−1の前記保存7システイン領域を含む前記C末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記形態形成タンパク質が、前記軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である、項目25〜29の何れか1項に記載の方法。
(項目34)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目25〜33の何れか1項に記載の方法。
(項目35)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1またはその保存的置換改変体およびフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
患者の軟骨の変性を防止するか、軟骨の損傷、あるいは変性疾病または疾患を処置する方法であって、前記軟骨内、または前記軟骨を囲む領域内に、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物は、
(a)形態形成タンパク質と、
(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいは前記プロ領域の保存的置換改変体、またはフラグメントであって、前記プロ領域または改変体またはフラグメントが、前記形態形成タンパク質に非共有結合され、前記複合体が、水性溶媒中で、前記形態形成タンパク質単独より水溶性であるものと
を含む、方法。
(項目38)
前記軟骨が関節および非関節軟骨から選択される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記非関節軟骨が、半月板および椎間板から成る群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記軟骨を囲む前記領域が滑液である、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記形態形成タンパク質が二量体である、項目37〜40の何れか1項に記載の方法。
(項目42)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1CDMP−2、CDMP−3、NODALUNIVIN、SCREWADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択される、項目37〜41の何れか1項に記載の方法。
(項目43)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から成る群から選択される、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記形態形成タンパク質がOP−1である、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記形態形成タンパク質が、ヒトOP−1の前記保存7システイン領域を含む前記C末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記形態形成タンパク質が、前記軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である、項目37〜41の何れか1項に記載の方法。
(項目46)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目37〜45の何れか1項に記載の方法。
(項目47)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1またはその保存的置換改変体およびフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
患者の体内の軟骨組織の損傷、あるいは変性疾病または疾患を処置する方法であって、治療有効量の単離可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物は、
(a)形態形成タンパク質と、
(b)形態形成タンパク質から単離された形態形成タンパク質のプロ領域、あるいは前記プロ領域の保存的置換改変体またはフラグメントであって、前記プロ領域あるいは改変体またはフラグメントが、前記形態形成タンパク質に非共有結合され、前記複合体が、水性溶媒中で、前記形態形成タンパク質単独より水溶性であるものと
を含む、方法。
(項目50)
前記軟骨組織の損傷が、単数の半月板破裂、複数の半月板破裂、軟骨の空隙および欠損、骨軟骨の空隙および欠損、並びにACL損傷から成る群から選択される、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記軟骨の変性疾病または疾患が、変形性関節症および椎間板変性から成る群から選択される、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記形態形成タンパク質が二量体である、項目49〜51の何れか1項に記載の方法。
(項目53)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択される、項目49〜52の何れか1項に記載の方法。
(項目54)
前記形態形成タンパク質が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13から成る群から選択される、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記形態形成タンパク質がOP−1である、項目16に記載の方法。
(項目56)
前記形態形成タンパク質が、ヒトOP−1の前記保存7システイン領域を含む前記C末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、前記形態形成タンパク質が、前記軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である、項目49〜52の何れか1項に記載の方法。
(項目57)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目49〜56の何れか1項に記載の方法。
(項目58)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、BMP−12、およびBMP−13、並びにこれらの保存的置換改変体およびフラグメントから成る群から選択されるプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記形態形成タンパク質のプロ領域が、OP−1またはその保存的置換改変体およびフラグメントのプロ領域のアミノ酸配列を含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記組成物が、前記骨関節炎の欠損部位、または前記骨関節炎の欠損部位を囲む領域内に投与される、項目51に記載の方法。
(項目61)
前記組成物が、前記椎間板変性の欠損部位、または前記椎間板変性の欠損部位を囲む領域に投与される、項目51に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】配列をコードする核酸から発現したモルフォゲンポリペプチド鎖の略図であり、斜影領域はシグナル配列を表し、点描領域はプロ領域を表し、斜線領域は、N末端(「N末端伸張」)を表し、開放領域は、保存7システイン領域を規定する成熟タンパク質配列のC末端領域を表し、保存システインは、縦の点線によって指示される。
【図2】成熟形態の様々なモルフォゲン、それぞれOP−2、OP−1、Vgr−1、BMP−5、60A、DPP、BMP−2、BMP−4、Vg−1、BMP−3のN末端伸張の配列を示す。
【図3】TBS(トリス緩衝食塩水)中のIMAC、S−セファロース、およびS−200HRクロマトグラフィによる哺乳類細胞の培養から生成および精製された可溶性モルフォゲン(OP−1)のゲル濾過カラム溶出プロファイルであり、この場合、Vは空隙容量、ADHはアルコール脱水素酵素(MW150kDa)、BSAはウシ血清アルブミン(MW67kDa)、CAは炭酸脱水酵素(MW29kDa)、およびCytCはシトクロムC(MW12.5kDa)である。
【図4】相互衝突損傷部位を示す関節の略図である。
【図5】椎間板を線維輪(AF)四分円および髄核(NP)に分割する帯状切開スキーム、並びに腰部ヒツジ椎間板を通る水平および垂直断面内の四分円における前外側環状病巣の位置および程度を示す。
【図6】ヒトOP−1のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号1)を示す。
【図7】ヒトOP−1のタンパク質配列(配列番号2)を示す。
【図8−1】マウスOP−1のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号3)を示す。
【図8−2】マウスOP−1のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号3)を示す。
【図9】マウスのタンパク質配列(配列番号4)を示す。
【図10−1】ヒトOP−2のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号5)を示す。
【図10−2】ヒトOP−2のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号5)を示す。
【図11】ヒトOP−2のタンパク質配列(配列番号6)を示す。
【図12−1】マウスOP−2のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号7)を示す。
【図12−2】マウスOP−2のcDNA、およびタンパク質配列(配列番号7)を示す。
【図13】マウスOP−2のタンパク質配列(配列番号8)を示す。
【図14】マウスOP−3のタンパク質配列(配列番号9)を示す。
【図15】BMP−2のタンパク質配列(配列番号10)を示す。
【図16】BMP−4のタンパク質配列(配列番号11)を示す。
【図17】BMP−3のタンパク質配列(配列番号12)を示す。
【図18】BMP−5のタンパク質配列(配列番号13)を示す。
【図19】BMP−6のタンパク質配列(配列番号14)を示す。
【図20】BMP−10のタンパク質配列(配列番号15)を示す。
【図21】BMP−15のタンパク質配列(配列番号16)を示す。
【図22】BMP−16のタンパク質配列(配列番号17)を示す。
【図23】BMP−17のタンパク質配列(配列番号18)を示す。
【図24】BMP−18のタンパク質配列(配列番号19)を示す。
【図25】NODALのタンパク質配列(配列番号20)を示す。
【図26】UNIVINのタンパク質配列(配列番号21)を示す。
【図27】ADMPのタンパク質配列(配列番号22)を示す。
【図28−1】DPPのタンパク質配列(配列番号23)を示す。
【図28−2】DPPのタンパク質配列(配列番号23)を示す。
【図29】VG−1のタンパク質配列(配列番号24)を示す。
【図30】Vgr−1のタンパク質配列(配列番号25)を示す。
【図31】60Aのタンパク質配列(配列番号26)を示す。
【図32】GDF−1のタンパク質配列(配列番号27)を示す。
【図33】GDF−2のタンパク質配列(配列番号28)を示す。
【図34】GDF−3のタンパク質配列(配列番号29)を示す。
【図35】GDF−5のタンパク質配列(配列番号30)を示す。
【図36】GDF−6のタンパク質配列(配列番号31)を示す。
【図37】GDF−7のタンパク質配列(配列番号32)を示す。
【図38】GDF−8のタンパク質配列(配列番号33)を示す。
【図39】GDF−9のタンパク質配列(配列番号34)を示す。
【図40】GDF−10のタンパク質配列(配列番号35)を示す。
【図41】GDF−11のタンパク質配列(配列番号36)を示す。
【図42】GDF−12のタンパク質配列(配列番号37)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本明細書で説明する発明を完全に理解することができるように、以下の詳細な説明を記載する。
【0030】
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術および科学用語は、本発明が属する技術の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および材料、またはこれらと等価なものは、本発明の実施またはテストに使用することができるが、適切な方法および材料について以下で説明する。材料、方法、および例は単に具体的に示すためであり、制限することを意図するものではない。本明細書に記載するすべての出版物、特許、およびその他の文書は、引用することにより全体的に本明細書に援用する。
【0031】
本明細書を通して、「含む」(複数現在形)という用語、または「含む」(単数現在形)または「含んでいる」などの変形は、記載されている整数または整数群を含むことを意味するが、その他の何らかの整数または整数群を排除しないと考えられる。
【0032】
本発明についてさらに定義するため、以下の用語および定義をここに記載する。
【0033】
「軟骨」という用語は、軟骨細胞または軟骨細胞状細胞(すべてではないが、多くの軟骨細胞の特徴を有する)、および細胞間質(たとえば、タイプI、II、IXおよびXIコラーゲン)、プロテオグリカン(たとえば、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、およびデルマタン硫酸プロテオグリカン)、およびその他のタンパク質を含む1つのタイプの結合組織を意味する。軟骨は、関節および非関節軟骨を含む。
【0034】
ヒアリン軟骨とも呼ばれる「関節軟骨」は、血液が供給されない非鉱化結合組織を意味し、これは、関節の骨の関節表面を被覆し、対向する2つの骨表面間の摩擦減少接触部分として機能する。関節軟骨は、骨と骨とが接触しないように、関節における運動を可能にする。関節軟骨には、骨化する傾向がない。軟骨表面は、肉眼で滑らかかつパール状に見え、高倍率で拡大した状態で、微細な粒状である。関節軟骨は、栄養物を一部には隣接する滑膜の血管から、一部には、滑膜を被覆する骨の血管から誘導する。関節軟骨は、タイプIIおよびタイプIXコラーゲン、および十分に特徴付けられた様々なプロテオグリカンの存在、および軟骨内の骨の形成に関連するタイプXコラーゲンの欠如に関連する。関節軟骨の微細構造の詳細な説明は、たとえばAydelotte and Kuettner,Conn.Tiss.Res.,18,p.205(1988年);Zanetti等、J.Cell Biol.,101,p.53(1985年);およびPoole等、J.Anat.,138,p.13(1984年)参照。
【0035】
「非関節軟骨」は、関節面を被覆しない軟骨を意味し、線維軟骨(関節間線維軟骨、線維軟骨性椎間板、骨間線維軟骨、周辺の線維軟骨を含む)および弾性軟骨を含む。線維軟骨では、微細多糖網は、突出したコラーゲン束と絡み合い、軟骨細胞は、ヒアリンまたは関節軟骨の場合より広く散乱する。関節間線維軟骨は、激しい運動にさらされ、頻繁に運動が行われる関節、たとえば膝の半月板内に見られる。こうした関節の例としては、側頭下顎骨、胸鎖、肩峰鎖骨、手首、および膝関節が挙げられるが、これらだけに限らない。二次軟骨性関節は、線維軟骨の椎間板によって形成される。このような線維軟骨性椎間板は、対向する表面の両方に密接に付着し、軟骨性薄層が挿置された線維組織の同心円状リングから成る。このような線維軟骨性椎間板の例は、脊椎の椎間板である。骨間線維軟骨は、こうした関節の骨表面間に挿置され、脊椎本体間、および恥骨間などのわずかな可動性を可能にする。周辺の線維軟骨は、腰の寛骨臼、および肩の関節窩など、いくつかの関節腔の縁を囲む。
【0036】
弾性軟骨は、組織学的にエラスチン線維に類似するコラーゲンの線維を含む。このような軟骨は、外耳の耳介、エウスタキー管、cornicula laryngis、喉頭蓋に見られる。すべての軟骨と同様、弾性軟骨は、軟骨細胞およびマトリクスも含み、後者は、黄色弾性繊維網によってすべての方向に広がり、可変量の非線維状ヒアリン細胞間物質が存在する各々の細胞のすぐ周囲を除いてすべての方向に分岐および吻合する。
【0037】
「滑液」という用語は、関節内の摩擦を減少させる滑液腔内にある薄い潤滑物質を意味する。
【0038】
「欠損」または「欠損部位」という用語は、軟骨または骨軟骨組織の破裂を意味する。欠損は、「空隙」の形態を取る可能性があり、軟骨または骨軟骨組織の構造上の完全性における三次元の欠損、たとえば隙間、空洞、穴またはその他の著しい破壊を意味すると考えられる。欠損は、軟骨が骨または人体に対する連結点から剥離することである可能性もある。特定の実施態様では、欠損は、内因性または自発的修復が不可能な状態である。欠損は、事故、疾病、および/または外科的手技の結果である場合がある。たとえば、軟骨の欠損は、破裂した半月板組織が関節内に変位するなど、関節に対する外傷の結果であり得る。軟骨の欠損は、変形性関節症などの変性関節疾病の結果でもあり得る。
【0039】
「修復」という用語は、欠損部位における空隙または構造上の断絶を少なくとも部分的に充填するのに十分な新しい軟骨の形成を意味する。しかし、修復は、欠損をその欠損前の物理的/構造的/機械的状態に回復する際に100%効果的な完全な治癒または処置のプロセスを意味するか、あるいは伴う。
【0040】
「治療有効量」という用語は、軟骨組織を修復、再生、促進、加速、変性を防止、あるいは形成するのに効果的な量を意味する。
【0041】
「患者」という用語は、哺乳類(たとえば、ヒト)を含む動物を意味する。
【0042】
「補助剤の薬学的に許容可能な担体」は、本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体とともに患者に投与することができ、その薬理学的活性を無効にしない非毒性担体または補助剤を意味する。
【0043】
「形態形成タンパク質」は、モルフォゲン活性を有するタンパク質を意味する。好ましくは、本発明の形態形成タンパク質は、BMPタンパク質族に属する少なくとも1つのポリペプチドを含む。形態形成タンパク質は、骨形成タンパク質を含む。形態形成タンパク質は、局所的な環境上のきかっけに応じて、軟骨、骨、腱、靭帯、またはその他のタイプの組織形成につながる分化経路を増殖および/または開始する前駆物質を含む可能性があり得るため、形態形成タンパク質は、様々な環境で様々に挙動し得る。たとえば、形態形成タンパク質は、少なくとも1つの処置部位における骨組織、および様々な処置部位における軟骨組織を含み得る。
【0044】
「骨形成タンパク質(BMP)」という用語は、DNAおよびアミノ酸配列の相同性に基づいて、タンパク質のTGF−β上科のBMP族に属するタンパク質(BMP族)を意味する。タンパク質は、BMPタンパク質族を特徴とする保存C末端システイン豊富領域内の少なくとも1つの公知のBMP族要素に対して、少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する場合、本発明に従ってBMP族に属する。好ましくは、タンパク質は、保存C末端システイン豊富領域内の少なくとも1つの公知のBMP族要素に対して、少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する。BMP族の要素は、全体に50%未満のDNAまたはアミノ酸配列同一性を有し得る。本明細書で定義する骨形成タンパク質も、適切なインビボの血液が供給されない遺伝子座において、関節軟骨の形成を誘発する能力を有する。
【0045】
「アミノ酸配列の相同性」という用語は、アミノ酸配列同一性および類似性の両方を含むと考えられる。相同配列は、類似残基が、整列した参照配列内の対応するアミノ酸残基の同類置換、または「許容された点変異」である場合、同じか、および/または類似するアミノ酸残基を共用する。したがって、参照配列と70%のアミノ酸相同性を共用する候補ポリペプチド配列は、整列残基の任意の70%が、参照配列内の対応する残基と同じであるか、あるいは同類置換である配列である。特定の特に好ましい形態発生ポリペプチドは、ヒトOP−1および関連タンパク質の保存7システイン領域を規定するC末端102〜106のアミノ酸と、少なくとも60%、好ましくは70%のアミノ酸配列同一性を共用する。
【0046】
アミノ酸配列の相同性は、先行技術で十分に公知の方法で判断することができる。たとえば、候補アミノ酸配列の相同率を判断するには、先ず2つの配列を整列させる。整列は、Needleman等、J.MoI.Biol.,48,pp.443(1970年)に記載されている動的プログラミングアルゴリズム、およびDNAstar,Inc.が製造する市販ソフトウェアパッケージのAlign Programを使用して行うことができる。これらの発行元による教示は、引用することにより本明細書に援用する。最初の整列は、関連するタンパク質の族の多重配列整列と比較することによって精製することができる。整列が行われて精製された後、相同率の点数が計算される。2つの配列の整列したアミノ酸残基は、順次それぞれの類似性を互いに比較される。類似性の要素としては、類似のサイズ、形状、および電荷が挙げられる。アミノ酸の類似性を判断するのに特に好ましい1つの方法は、引用することにより本明細書に援用するDayhoff等、Atlas of Protein Sequence and Structure,5,pp.345−352(1978&Supp.)に記載されているPAM250マトリクスである。類似性の点数は、最初に、整列した対状のアミノ酸類似性点数の合計として計算される。相同率および同一性の目的上、挿入および欠損は無視する。したがって、ギャップペナルティは、この計算では使用しない。次に、実際の点数は、候補配列および7つのシステイン領域の点数の幾何平均で除算して正規化される。幾何平均は、これらの点数の積の平方根である。正規化された実際の点数は相同率である。
【0047】
「同類置換」という用語は、対応する参照残基に物理的または機能的に類似する残基を意味する。つまり、同類置換およびその参照残基は、類似するサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合などを形成する能力を含む化学特性を有する。好ましい同類置換は、上記のDayhoff等の許容点変異に関して定義された基準に適合する置換である。同類置換の例は、以下の群内の置換である:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラ銀酸、グルタミン酸;(e)アスパラ銀、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン;および
(h)フェニルアラニン、チロシン。「同類改変体」または「同類変形」という用語は、親の配列に特有の抗体が、結果として得られる置換ポリペプチド配列にも特有である、つまり「交差反応」するかまたは「免疫反応」する場合、特定の親アミノ酸配列内のアミノ酸残基の代わりに、置換アミノ酸残基を使用することも含む。
【0048】
「骨形成タンパク質(OP)」という用語は、前駆物質を導入して、軟骨および/または骨を形成することができる形態形成タンパク質を意味する。骨は、膜内の骨または軟骨内の骨でよい。殆どの骨形成タンパク質は、BMPタンパク質族の要素であり、したがってBMPでもある。本明細書に特記しない限り、このタンパク質類は、一般に、ヒトの骨形成タンパク質(hOP−1)によって類型化される。本発明の実施に有用なその他の骨形成タンパク質としては、骨形成的に活性の形態のOP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、VglVgr−1、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、UNIVIN、NODAL、SCREW、ADMPまたはNEURAL、あるいはこれらの保存的置換改変体、またはフラグメントが挙げられる。本願の出願人の発明に使用するのに適する骨形成タンパク質は、Reddi and Sampath(Sampath等、Proc.Natl.Acad.Sci.,84,pp.7109−13、引用することにより本明細書に援用する)に記載されている先行技術で認められた生体検定を使用して、一般的な実験によって識別することができる。
【0049】
軟骨の成長および修復のための方法および組成物
本発明の形態発生組成物は、軟骨の修復(たとえば、関節、半月板、または椎間板における)に使用し得る。本明細書に開示する可溶性形態形成タンパク質複合体を含む形態発生組成物は、医師が、局所的な、刺激を受けた組織の再生または修復によって改善または矯正可能な様々な組織傷害、組織変性または疾病の症状、および疾患を処置することを可能にする。
【0050】
本発明は、変形性関節症、軟骨の欠損、骨軟骨の欠損、半月板破裂、ACL傷害、および椎間板変性を含むが、これらだけに限らない軟骨組織傷害および軟骨変性疾病または疾患を処置するための方法および組成物を提供する。
【0051】
実施態様によっては、本発明は、患者の体内の軟骨を修復または再生するための方法および組成物を提供する。本発明は、軟骨を生成し、軟骨の成長を促進し、軟骨の形成を加速し、軟骨の変性を防止するための方法および組成物を提供する。
【0052】
実施態様によっては、本発明の方法は、治療有効量の可溶性形態形成タンパク質複合体を含む組成物を軟骨内に投与するステップを含む。この方法は、軟骨組織を可溶性形態形成タンパク質複合体に接触させることを含む。たとえば、一実施態様では、可溶性形態形成タンパク質複合体の組成物は、軟骨組織内に直接投与される(たとえば、軟骨組織内に注入される)。たとえば、可溶性形態形成タンパク質複合体の組成物は、半月板または椎間板内に注入し得る。実施態様によっては、本発明の方法は、可溶性形態形成タンパク質複合体の組成物を関節、たとえば、膝、腰、肩、足首、肘、または指関節などの関節接合部内に直接投与するステップを含む。たとえば、治療有効量の可溶性形態形成タンパク質複合体は、関節内で軟骨を囲む滑液中に投与することができる。実施態様によっては、軟骨は関節軟骨である。実施態様によっては、軟骨は非関節軟骨である。実施態様によっては、非関節軟骨としては、椎間板、関節間半月板、器官、耳、鼻、肋骨、および咽頭が挙げられるが、これらだけに限らない。好ましい実施態様では、非関節軟骨は椎間板である。別の好ましい実施態様では、非関節軟骨は半月板である。実施態様によっては、軟骨を囲む領域は滑液である。
【0053】
実施態様によっては、本発明の方法に使用される組成物中の形態形成タンパク質としては、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、あるいはこれらの保存的置換改変体、またはフラグメントが挙げられるが、これらだけに限らない。好ましい実施態様では、形態形成タンパク質は、OP−1、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2またはCDMP−3である。より好ましい実施態様では、形態形成タンパク質はOP−1である。
【0054】
他の実施態様では、形態形成タンパク質は、ヒトOP−1の保存7システイン領域を含むC末端102〜106のアミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、この形態形成タンパク質は、軟骨の欠損の修復を誘発することが可能である。
【0055】

有用な可溶性モルフォゲンタンパク質複合体−−タンパク質の考察
本発明に有用な形態形成タンパク質は、最初に配列の相同性に基づいて単離されたBMP(BMP−1〜BMP−18)である。BMP−1以外のすべては、依然、形態形成タンパク質のBMP族の要素として分類される(Ozkaynak等、EMBO J.,9,pp.2085−93(1990年))。その他の有用な形態形成タンパク質は、アミノ酸配列関連のタンパク質、たとえばDPP(Drosophila由来)、Vgl(Xenopus由来)、Vgr−1(マウス由来、Oppermann等に付与された米国特許第5,011,691号参照)、GDF−1(マウス由来、Lee(1991年)PNAS 88:4250−4254)、60Aタンパク質(Drosophila由来、配列番号24、Wharton等(1991年)PNAS 88:9214−9218参照)、およびOP−3である。(たとえば、Massague,Annu.Rev.Cell Biol.,6,pp.597−641(1990年)参照、引用することにより本明細書に援用する)。
【0056】
BMP−3、BMP−5、BMP−6、およびOP−1(BMP−7)のC末端領域は、BMP−2の領域と約60%同じであり、BMP−6およびOP−1のC末端領域は87%同じである。BMP−6は、マウスVgr−1のト相同体と思われ、2つのタンパク質は、アミノ酸配列レベル全体で92%同じである(米国特許第5,459,047号、本明細書に援用する)。BMP−6は、Xenopus Vg−1の生成物と同じである。
【0057】
タンパク質のTGF−β上科のサブクラスであるこの族の要素は、図1に大まかに示す構造上の特徴、および7つの保存システイン構造を含むC末端領域内の実質的なアミノ酸配列の相同性を共有する。図示のとおり、タンパク質は、一般に約30残基未満のN末端シグナルペプチド配列12(斜影で図示される「プレプロ」領域、)、次に、点描で図示される「プロ」領域14を有する前駆ポリペプチド配列10として翻訳され、この領域は、裂開されて成熟配列16を形成する。成熟配列は、7つの保存C末端システイン領域20、および本明細書ではN末端伸張とも呼び、様々な形態形成タンパク質間で配列が著しく異なるN末端配列18の両方を含む。システインは、縦の点線22で図示される。ポリペプチド鎖は二量体化し、これらの二量体は、一般に、2つのポリペプチド鎖のサブユニットを連結する少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合によって安定化される。
【0058】
シグナルペプチドは、翻訳後、Von Heijne((1986年)Nucleic
Acids Research 14:4683−4691)の方法を使用して、特定の配列内で予測可能な裂開部位で迅速に裂開される。図1のタンパク質サブユニット24の「プロ」形式は、プロ領域および成熟領域、一緒に結合するペプチドを含む。一般に、このプロ形式は、タンパク質が未だ細胞中に存在し、プロ領域が、サブユニットの成熟形式と非共有結合している間に裂開され、培養された哺乳類細胞から分泌される一次形式であると思われる可溶性種を形成する。一般に、従来の精製技術は、複合体を分離する変性状態を使用した。
【0059】
BMPタンパク質族の要素のもう1つの特性は、二量体化の明らかな能力である。いくつかの骨由来の骨形成タンパク質(OP)およびBMPは、その活性形式の同質および異質二量体として見られる。OPおよびBMPが異質二量体を形成する能力は、形態発生誘発能力を形態形成タンパク質に与え得る。異質二量体は、OPおよびBMP受容体分子の同質二量体とは定量的または定性的に異なる結合親和性を示す。変更された結合親和性は、その結果、異なるシグナル経路を媒介する受容体の活性化差異を生じることができ、最終的に、異なる生物学的活性または結果を生じ得る。変更された結合親和性は、組織または細胞タイプに特有の方法で顕在化され、それによって、特定の前駆物質タイプのみが、増殖および/または分化を生じることが可能である。
【0060】
哺乳類細胞から分泌された他の可溶性形式の形態形成タンパク質としては、これらのプロ形式の二量体であって、プロ領域が成熟領域から裂開されない二量体、および1つのサブユニットが、プロ形式のポリペプチド鎖サブユニットを含み、他のサブユニットが、裂開された成熟形式のポリペプチド鎖サブユニット(切断型自体を含む)を含み、好ましくは裂開されたプロ領域と非共有結合する「半二量体」がある。
【0061】
単離されたプロ領域は、一般に、配列の分析、および溶液中の特性の特徴付けによって判断されるように、実質的な疎水性を有する。単離されたプロ領域単独では、水溶液中で著しく可溶性ではなく、変性剤、たとえば浄化剤、尿素、グアニジンHCLなど、および/または1つまたは複数の担体タンパク質の存在を必要とする。したがって、何らかの特定の理論に限定するものではないが、裂開されたプロ領域と、成熟形態形成タンパク質の二量体種との非共有結合会合は、プロ領域の疎水性部分と、二量体種上の対応する疎水性領域との相互作用を伴うと思われ、その相互作用は、さもなければ露出される成熟二量体の疎水性領域を水性の環境に対する暴露から効果的に保護するか、あるいは「隠し」、水溶液に対する成熟二量体の親和性を強化する。
【0062】
有用なプロ領域は、以下に記載する全長のプロ領域、その様々な切断型、特に、タンパク質分解Arg−Xaa−Xaa−Arg裂開部位で裂開された切断型を含む。たとえば、OP−1では、可能なプロ配列は、残基30〜292(全長形式);48〜292;および158〜292によって規定される配列を含む。可溶性OP−1複合体の安定性は、プロ領域が48〜292切断型などの切断型ではなく、残基30〜47が、他の形態形成タンパク質のN末端部分に対して配列相同性を示し、すべての形態形成タンパク質に対する複合体の安定性を強化する上で、特定の有用性を有すると考えられる全長形式を含む場合に強化される。したがって、現在好ましいプロ配列は、特定の形態形成タンパク質の全長形式のプロ領域をコードするプロ配列である(以下参照)。有用であると思われるその他のプロ配列としては、生合成プロ配列、特に、1つまたは複数の形態形成タンパク質プロ配列のN末端部分から導かれた配列を含むプロ配列がある。
【0063】
以下の表1は、現在確認されている様々な好ましい形態形成タンパク質について説明し、本明細書で使用するそれぞれの学名、サブユニット配列の様々な領域を規定する配列、それぞれの配列識別参照、それぞれの核酸およびアミノ酸配列に関する出版物の発行元を記述する。これらの出版物の開示事項は、引用することにより本明細書に援用する。規定された成熟タンパク質の配列は、以前から予想されていたこれらの配列の形式である。規定された成熟タンパク質配列は、これらの成熟タンパク質配列は、以前から予想されていたこれらの配列の形式である。上記のとおり、これらの配列の比較的短い切断型も考えられる。好ましくは、切断型の成熟配列は、N末端伸張の少なくとも10個のアミノ酸を含む。図2は、以下に記載する多くの好ましい形態形成タンパク質配列のN末端伸張を示す。Arg−Xaa−Xaa−Argは、図中で枠に入っているか、あるいは下線が引かれている成熟サブユニット形式の切断型配列を生じ得る。
【0064】
【表1−1】

【0065】
【表1−2】

【0066】
【表1−3】

【0067】
【表1−4】

【0068】
【表1−5】

【0069】
【表1−6】

【0070】
【表1−7】

OP−2およびOP−3タンパク質は、この族の他のタンパク質と同様、保存システイン骨格のほかに、追加のシステイン残基をC末端領域に有する(たとえば、これらの配列の残基338参照)。GDF−1タンパク質は、保存骨格(「Gly−Gly−Pro−Pro」)内に4つのアミノ酸挿入を有するが、この挿入は、おそらく折り畳み構造内のシステインの関係を妨げない。さらに、CBMP2タンパク質には、システイン骨格内の1つのアミノ酸残基が欠落している。
【0071】
二量体形態形成タンパク質種は、還元されると不活性だが、酸化同質二量体として活性であり、本発明の他の形態形成タンパク質と組み合わせて酸化すると活性である。したがって、一実施態様では、可溶性形態形成タンパク質複合体に有用な形態形成タンパク質は、一対のポリペプチド鎖を含む二量体タンパク質であり、各々のポリペプチド鎖は、200未満のアミノ酸を有し、OP−1配列番号2の残基335〜431によって規定された少なくともC末端6、好ましくは7システイン骨格から成り、機能的に等価な配置(たとえば、配列中のシステインの線状配置を変更するが、折り畳み構造におけるその関係は変更しないアミノ酸の挿入または除去)を含み、その結果、ポリペプチド鎖が折り畳まれると、ポリペプチド鎖の対を含む二量体タンパク質種は、タンパク質が、本明細書に規定するようにモルフォゲンとして作用することが可能であるように、鎖内または鎖間ジスルフィド結合を含む適切な3次元構造を有する。これらの構造の可溶性は、成熟した二量体形式のモルフォゲンが、本発明に従って、少なくとも1つ、好ましくは2つのプロ領域と複合されると改善される。
【0072】
機能的に等価な配置としては、参照配列内に配置されたシステイン残基の機能的に等価な配置があり、これらのシステインの線状配置を変更するが、形態発生活動に必要な鎖内または鎖間ジスルフィド結合を形成する能力を有する二量体形態形成タンパク質の折り畳み構造におけるそれぞれの関係を著しく損なわないアミノ酸挿入または除去を含む。機能的に等価な配列としては、さらに、1つまたは複数のアミノ酸残基が、参照配列の対応する残基、たとえば、違いが骨の形態発生活動を損なわないことを条件として、ヒトOP−1のC末端7システイン領域(保存7システイン骨格とも呼ばれる)とは異なる配列がある。したがって、参照配列内の対応するアミノ酸の同類置換が好ましい。参照配列内の対応する残基の同類置換であるアミノ酸残基は、対応する参照残基に物理的または機能的に類似する残基、たとえば、類似するサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合などを形成する能力を含む化学特性を有する残基である。特に好ましい同類置換は、引用することにより本明細書に援用される上記の Dayhoff等で認められている点変異で規定されている基準を満たす同類置換である。
【0073】
骨形成タンパク質OP−1は、説明されている(たとえば、Oppermann等、米国特許第5,354,557号参照。引用することにより、本明細書に援用する)。成熟した天然型の天然由来の骨形成タンパク質は、一般に、SDS−PAGEで決定された約30〜36kDaという明白な分子量を有するグリコシル化二量体である。30kDaのタンパク質は、還元されると、見かけの分子量約16kDaおよび18kDaを有する2つのグリコシル化ペプチドサブユニットを生じる。還元状態では、タンパク質は、検出可能な骨形成活性を示さない。骨形成活性も有するグリコシル化タンパク質は、見かけの分子量約27kDaを有する。還元されると、27kDaのタンパク質は、哺乳類で軟骨内骨形成を誘発することが可能な分子量約14〜16kDaを有する2つの非グリコシル化ポリペプチドを生じる。骨形成タンパク質は、異なるグリコシル化パターン、異なるN末端、および活性切断型または突然変異型の天然のタンパク質を含み得る。上記のとおり、特に有用な配列としては、DPP(Drosophila由来)、Vg(Xenopus由来)、Vgr−1(マウス由来)、OP−1およびOP−2タンパク質、(米国特許第5,011,691号、およびOppermann等参照、引用することにより本明細書に援用する)、並びにBMP−2、BMP−3、BMP−4と呼ばれるタンパク質(国際公開第88/00205号、米国特許第5,013,649号、および国際公開第91/18098号参照、引用することにより本明細書に援用する)、BMP−5およびBMP−6(国際公開第O90/11366号、国際出願PCT/US90/01630明細書、引用することにより本明細書に援用する)、BMP−8およびBMP−9のC末端96または102アミノ酸配列を含む配列がある。
【0074】
本発明の好ましい形態発生および骨形成タンパク質は、少なくとも1つのポリペプチドを含み、たとえば、OP−1(BMP−7)、OP−2、OP−3、COP−1、COP−3、COP−4、COP−5、COP−7、COP−16、BMP−2、BMP−3、BMP−3b,BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、MP121、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、ドルサリン−1、DPP、Vg−1、Vgr−1、60Aタンパク質、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、並びにこれらのアミノ酸配列改変体および相同体、たとえばその種相同体があるが、これらだけに限らない。詳細には、形態形成タンパク質としては、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vgl、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURAL、およびそのアミノ酸配列改変体があるが、これらだけに限らない。さらに好ましくは、形態形成タンパク質としては、OP−1(BMP−7)、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2またはCDMP−3;より好ましくはOP−1(BMP−7)BMP−5、BMP−6、GDF−5、GDF−6、GDF−7、CDMP−1、CDMP−2またはCDMP−3;および最も好ましくはOP−1(BMP−7)から選択された少なくとも1つのポリペプチドがある。
【0075】
実施態様によっては、骨形成タンパク質は、ヒトOP−1の7保存システイン領域を含むC末端102〜106アミノ酸に対して少なくとも70%の相同性を有するアミノ酸配列から成り、この骨形成タンパク質は、軟骨の欠損の修復を誘発することができる。
【0076】
これらの配列、並びにそれぞれの化学的および物理的特性を開示している出版物としては、OP−1 and OP−2(米国特許第5,011,691号;米国特許第5,266,683号;Ozkaynak等、EMBO J.,9,pp.2085−2093(1990年);OP−3(国際公開第94/10203号(国際出願PCTUS93/10520明細書));BMP−2,MP−3,BMP−4,(国際公開第88/00205号;Wozney等Science,242,pp.1528−1534(1988年));BMP−5 and BMP−6、(Celeste等、PNAS,87,9843−9847(1991年));Vgr−1(Lyons等、PNAS,86,pp.4554−4558(1989年));DPP(Padgett等、Nature,325,pp.81−84(1987年));Vg−1(Weeks,Cell,51,pp.861−867(1987年));BMP−9(国際公開第95/33830号(国際出願PCT/US95/07084明細書);BMP−10(国際公開第94/26893号(国際出願PCT/US94/05290明細書);BMP−11(国際公開第94/26892号(国際出願PCT/US94/05288明細書);BMP−12(国際公開第95/16035号(国際出願PCT/US94/14030明細書);BMP−13(国際公開第95/16035号(国際出願PCT/US94/14030明細書);GDF−1(国際公開第92/00382号(国際出願PCT/US91/04096明細書)およびLee等、PNAS,88,pp.4250−4254(1991年);GDF−8(国際公開第94/21681号(国際出願PCT/US94/03019明細書);GDF−9(国際公開第94/15966号(国際出願PCT/US94/00685明細書);GDF−10(国際公開第95/10539号(国際出願PCT/US94/11440明細書);GDF−11(国際公開第96/01845号(国際出願PCT/US95/08543明細書);BMP−15(国際公開第96/36710号(国際出願PCT/US96/06540明細書);MP−121(国際公開第96/01316号(国際出願PCT/EP95/02552明細書);GDF−5(CDMP−1,MP52)(国際公開第94/15949号(国際出願PCT/US94/00657明細書)および国際公開第96/14335号(国際出願PCT/US94/12814明細書)および国際公開第93/16099号(国際出願PCT/EP93/00350明細書));GDF−6(CDMP−2,BMP13)(国際公開第95/01801号(国際出願PCT/US94/07762明細書)および国際公開第96/14335号および国際公開第95/10635号(国際出願PCT/US94/14030明細書));GDF−7(CDMP−3,BMP12)(国際公開第95/10802号(国際出願PCT/US94/07799明細書)および国際公開第95/10635号(国際出願PCT/US94/14030明細書));BMP−17およびBMP−18(米国特許第6,027,917号)が挙げられる。上記の出版物は、本明細書に援用する。
【0077】
本発明に有用な骨形成ポリペプチド族、およびその要素は、一般的なアミノ酸配列によって規定することができる。たとえば、一般配列7(配列番号5)および一般配列8(配列番号6)は、それぞれ96または102アミノ酸配列であり、現在までに識別されている好ましいタンパク質族の要素間で共用される相同体を含み、これらのタンパク質族としては、少なくともOP−1、OP−2、OP−3、CBMP−2A、CBMP−2B、BMP−3、60A、DPP、Vgl、BMP−5、BMP−6、Vgr−1、およびGDF−1を含む。これらのタンパク質のアミノ酸配列は、上記で概略を述べたとおり、本明細書および/または先行技術に記載されている。この一般配列は、6および7システイン骨格(それぞれ一般配列7および8)によって規定されるC末端領域内のこれらの配列によって共用されるアミノ酸同一性、および配列内の可変位置の代替残基の両方を含む。この一般配列は、分子内または分子間ジスルフィド結合が、折り畳み構造の三次構造に影響すると思われる特定の臨界アミノ酸を形成し、含むことが可能な適切なシステイン骨格を提供する。さらに、一般配列は、位置36(一般配列7)または位置41(一般配列8)に追加のシステインを可能にし、それによって、OP−2およびOP−3の形態形成的に活性の配列を含む。
【0078】
一般配列7(配列番号38)
【0079】
【数1】

ここで、各々のXaaは、以下のように規定される1つまたは複数の特異的アミノ酸群から選択される:「res.」は「残基」を意味し、res.2のXaa=(TyrまたはLys);res.3のXaa=ValまたはIle);res.4のXaa=(Ser、AspまたはGlu);res.6のXaa=(Arg、Gln、Ser、LysまたはAla);res.7のXaa=(AspまたはGlu);res.8のXaa=(Leu、ValまたはIle);res.11のXaa=(Gln、Leu、Asp、His、AsnまたはSer);res.12のXaa=(Asp、Arg、AsnまたはGlu);res.13のXaa=(TrpまたはSer);res.14のXaa=(IleまたはVal);res.15のXaa=(IleまたはVal);res.16のXaa=(AlaまたはSer);res.18のXaa=(Glu、Gln、Leu、Lys、ProまたはArg);res.19のXaa=(GlyまたはSer);res.20のXaa=(TyrまたはPhe);res.21のXaa=(Ala、Ser、Asp、Met、His、Gln、LeuまたはGly);res.23のXaa=(Tyr、AsnまたはPhe);res.26のXaa=(Glu、His、Tyr、Asp、Gln、AlaまたはSer);res.28のXaa=(Glu、Lys、Asp、GlnまたはAla);res.30のXaa=(Ala、Ser、Pro、Gln、IleまたはAsn);res.31のXaa=(Phe、LeuまたはTyr);res.33のXaa=(Leu、ValまたはMet);res.34のXaa=(Asn、Asp、Ala、ThrまたはPro);res.35のXaa=(Ser、Asp、Glu、Leu、AlaまたはLys);res.36のXaa=(Tyr、Cys、His、SerまたはIle);res.37のXaa=(Met、Phe、GlyまたはLeu);res.38のXaa=(Asn、SerまたはLys);res.39のXaa=(Ala、Ser、GlyまたはPro);res.40のXaa=(Thr、LeuまたはSer);res.44のXaa=(Ile、ValまたはThr);res.45のXaa=(Val、Leu、MetまたはIle);res.46のXaa=(GlnまたはArg);res.47のXaa=(Thr、AlaまたはSer);res.48のXaa=(LeuまたはIle);res.49のXaa=(ValまたはMet);res.50のXaa=(His、AsnまたはArg);res.51のXaa=(Phe、Leu、Asn、Ser、AlaまたはVal);res.52のXaa=(Ile、Met、Asn、Ala、Val、GlyまたはLeu);res.53のXaa=(Asn、Lys、Ala、Glu、GlyまたはPhe);res.54のXaa=(Pro、SerまたはVal);res.55のXaa=(Glu、Asp、Asn、Gly、Val、ProまたはLys);res.56のXaa=(Thr、Ala、Val、Lys、Asp、Tyr、Ser、Gly、IleまたはHis);res.57のXaa=(Val、AlaまたはIle);res.58のXaa=(ProまたはAsp);res.59のXaa=(Lys、LeuまたはGlu);res.60のXaa=(Pro、ValまたはAla);res.63のXaa=(AlaまたはVal);res.65のXaa=(Thr、AlaまたはGlu);res.66のXaa=(Gln、Lys、ArgまたはGlu);res.67のXaa=(Leu、MetまたはVal);res.68のXaa=(Asn、Ser、AspまたはGly);res.69のXaa=(Ala、ProまたはSer);res.70のXaa=(Ile、Thr、ValまたはLeu);res.71のXaa=(Ser、AlaまたはPro);res.72のXaa=(Val、Leu、MetまたはIle);res.74のXaa=(TyrまたはPhe);res.75のXaa=(Phe、Tyr、LeuまたはHis);res.76のXaa=(Asp、AsnまたはLeu);res.77のXaa=(Asp、Glu、Asn、ArgまたはSer);res.78のXaa=(Ser、Gln、Asn、TyrまたはAsp);res.79のXaa=(Ser、Asn、Asp、GluまたはLys);res.80のXaa=(Asn、ThrまたはLys);res.82のXaa=(Ile、ValまたはAsn);res.84のXaa=(LysまたはArg);res.85のXaa=(Lys、Asn、Gln、His、ArgまたはVal);res.86のXaa=(Tyr、GluまたはHis);res.87のXaa=(Arg、Gln、GluまたはPro);res.88のXaa=(Asn、Glu、TipまたはAsp);res.90のXaa=(Val、Thr、AlaまたはIle);res.92のXaa=(Arg、Lys、Val、Asp、GlnまたはGlu);res.93のXaa=(Ala、Gly、GluまたはSer);res.95のXaa=(GlyまたはAla)、res.97のXaa=(HisまたはArg)である。
【0080】
一般配列8(配列番号39)は、さらに以下の配列(配列番号40)をそのN末端に含む:
配列番号40
【0081】
【数2】

したがって、残基7から開始して、一般配列8内の「Xaa」は、一般配列7に関して規定された特異的アミノ酸であり、これは、一般配列7に関して記載された各々の残基番号は、一般配列8において5だけ変位するという特徴を有する。したがって、一般配列7の「res.2におけるXaa=(TyrまたはLys)」は、一般配列8のres.7におけるXaaを指示する。一般配列8では、res.2におけるXaa=(Lys、Arg、AlaまたはGln);res.3におけるXaa=(Lys、ArgまたはMet);res.4におけるXaa=(His、ArgまたはGln);およびres. 5におけるXaa=(Glu、Ser、His、GIy、Arg、Pro、Thr、またはTyr)である。
【0082】
別の実施態様では、有用な骨形成タンパク質は、以下に規定する一般配列9および10を含む。
【0083】
特に、一般配列9および10は、以下のタンパク質の複合アミノ酸配列である:ヒトOP−1、ヒトOP−2、ヒトOP−3、ヒトBMP−2、ヒトBMP−3、ヒトBMP−4、ヒトBMP−5、ヒトBMP−6、ヒトBMP−8、ヒトBMP−9、ヒトBMP 10、ヒトBMP−11、Drosophila 60A、Xenopus Vg−1、sea urchin UNIVIN、ヒトCDMP−1(マウスGDF−5)、ヒトCDMP−2(マウスGDF−6、ヒトBMP−13)、ヒトCDMP−3(マウスGDF−7、ヒトBMP−12)、マウスGDF−3、ヒトGDF−1、マウスGDF−1、ニワトリDORSALIN、dpp、Drosophila SCREW、マウスNODAL、マウスGDF−8、ヒトGDF−8、マウスGDF−9、マウスGDF−10、ヒトGDF−1l、マウスGDF−11、ヒトBMP−15、およびラットBMP3b。一般配列7と同様、一般配列9は、C末端6システイン骨格を含む96アミノ酸配列であり、一般配列8と同様、一般配列10は、7システイン骨格を含む102アミノ酸配列である。
【0084】
一般配列9(配列番号41)
【0085】
【数3】

ここで、Xaaは、以下に規定される1つまたは複数の特異的アミノ酸群から個々に選択される:「res.」は、「残基」を含み、res.1のXaa=(Phe、LeuまたはGlu);res.2のXaa=(Tyr、Phe、His、Arg、Thr、Lys、Gln、ValまたはGlu);res.3のXaa=(Val、Ile、LeuまたはAsp);res.4のXaa=(Ser、Asp、Glu、AsnまたはPhe);res.5のXaa=(PheまたはGlu);res.6のXaa=(Arg、Gln、Lys、Ser、Glu、AlaまたはAsn);res.7のXaa=(Asp、Glu、Leu、AlaまたはGln);res.8のXaa=(Leu、Val、Met、IleまたはPhe);res.9のXaa=(Gly、HisまたはLys);res.10のXaa=(TrpまたはMet);res.11のXaa=(Gln、Leu、His、Glu、Asn、Asp、SerまたはGly);res.12のXaa=(Asp、Asn、Ser、Lys、Arg、GluまたはHis);res.13のXaa=(TrpまたはSer);res.14のXaa=(IleまたはVal);res.15のXaa=(IleまたはVal);res.16のXaa=(Ala、Ser、TyrまたはTrp);res.18のXaa=(Glu、Lys、Gln、Met、Pro、Leu、Arg、HisまたはLys);res.19のXaa=(Gly、Glu、Asp、Lys、Ser、Gln、ArgまたはPhe);res.20のXaa=(TyrまたはPhe);res.21のXaa=(Ala、Ser、Gly、Met、Gln、His、Glu、Asp、Leu、Asn、LysまたはThr);res.22のXaa=(AlaまたはPro);res.23のXaa=(Tyr、Phe、Asn、AlaまたはArg);res.24のXaa=(Tyr、His、Glu、PheまたはArg);res.26のXaa=(Glu、Asp、Ala、Ser、Tyr、His、Lys、Arg、GlnまたはGly);res.28のXaa=(Glu、Asp、Leu、Val、Lys、Gly、Thr、AlaまたはGln);res.30のXaa=(Ala、Ser、Ile、Asn、Pro、Glu、Asp、Phe、GlnまたはLeu);res.31のXaa=(Phe、Tyr、Leu、Asn、GlyまたはArg);res.32のXaa=(Pro、Ser、AlaまたはVal);res.33のXaa=(Leu、Met、Glu、PheまたはVal);res.34のXaa=(Asn、Asp、Thr、Gly、Ala、Arg、LeuまたはPro);res.35のXaa=(Ser、Ala、Glu、Asp、Thr、Leu、Lys、GlnまたはHis);res.36のXaa=(Tyr、His、Cys、Ile、Arg、Asp、Asn、Lys、Ser、GluまたはGly);res.37のXaa=(Met、Leu、Phe、Val、GlyまたはTyr);res.38のXaa=(Asn、Glu、Thr、Pro、Lys、His、Gly、Met、ValまたはArg);res.39のXaa=(Ala、Ser、Gly、ProまたはPhe);res.40のXaa=(Thr、Ser、Leu、Pro、HisまたはMet);res.41のXaa=(Asn、Lys、Val、ThrまたはGln);res.42のXaa=(His、TyrまたはLys);res.43のXaa=(Ala、Thr、LeuまたはTyr);res.44のXaa=(Ile、Thr、Val、Phe、Tyr、MetまたはPro);res.45のXaa=(Val、Leu、Met、IleまたはHis);res.46のXaa=(Gln、ArgまたはThr);res.47のXaa=(Thr、Ser、Ala、AsnまたはHis);res.48のXaa=(Leu、AsnまたはIle);res.49のXaa=(Val、Met、Leu、ProまたはIle);res.50のXaa=(His、Asn、Arg、Lys、TyrまたはGln);res.51のXaa=(Phe、Leu、Ser、Asn、Met、Ala、Arg、Glu、GlyまたはGln);res.52のXaa=(Ile、Met、Leu、Val、Lys、Gln、AlaまたはTyr);res.53のXaa=(Asn、Phe、Lys、Glu、Asp、Ala、Gln、Gly、LeuまたはVal);res.54のXaa=(Pro、Asn、Ser、ValまたはAsp);res.55のXaa=(Glu、Asp、Asn、Lys、Arg、Ser、Gly、Thr、Gln、ProまたはHis);res.56のXaa=(Thr、His、Tyr、Ala、Ile、Lys、Asp、Ser、GlyまたはArg);res.57のXaa=(Val、Ile、Thr、Ala、LeuまたはSer);res.58のXaa=(Pro、Gly、Ser、AspまたはAla);res.59のXaa=(Lys、Leu、Pro、Ala、Ser、Glu、ArgまたはGly);res.60のXaa=(Pro、Ala、Val、ThrまたはSer);res.61のXaa=(Cys、ValまたはSer);res.63のXaa=(Ala、ValまたはThr);res.65のXaa=(Thr、Ala、Glu、Val、Gly、AspまたはTyr);res.66のXaa=(Gln、Lys、Glu、ArgまたはVal);res.67のXaa=(Leu、Met、ThrまたはTyr);res.68のXaa=(Asn、Ser、Gly、Thr、Asp、Glu、LysまたはVal);res.69のXaa=(Ala、Pro、GlyまたはSer);res.70のXaa=(Ile、Thr、LeuまたはVal);res.71のXaa=(Ser、Pro、Ala、Thr、AsnまたはGly);res.2のXaa=(Val、Ile、LeuまたはMet);res.74のXaa=(Tyr、Phe、Arg、Thr、TyrまたはMet);res.75のXaa=(Phe、Tyr、His、Leu、Ile、Lys、GlnまたはVal);res.76のXaa=(Asp、Leu、AsnまたはGlu);res.77のXaa=(Asp、Ser、Arg、Asn、Glu、Ala、Lys、GlyまたはPro);res.78のXaa=(Ser、Asn、Asp、Tyr、Ala、Gly、Gln、Met、Glu、AsnまたはLys);res.79のXaa=(Ser、Asn、Glu、Asp、Val、Lys、Gly、GlnまたはArg);res.80のXaa=(Asn、Lys、Thr、Pro、Val、Ile、Arg、SerまたはGln);res.81のXaa=(Val、Ile、ThrまたはAla);res.82のXaa=(Ile、Asn、Val、Leu、Tyr、AspまたはAla);res.83のXaa=(Leu、Tyr、LysまたはIle);res.84のXaa=(Lys、Arg、Asn、Tyr、Phe、Thr、GluまたはGly);res.85のXaa=(Lys、Arg、His、Gln、Asn、GluまたはVal);res.86のXaa=(Tyr、His、GluまたはIle);res.87のXaa=(Arg、Glu、Gln、ProまたはLys);res.88のXaa=(Asn、Asp、Ala、Glu、GlyまたはLys);res.89のXaa=(MetまたはAla);res.90のXaa=(Val、Ile、Ala、Thr、SerまたはLys); のXaares 91=(ValまたはAla);res.92のXaa=(Arg、Lys、Gln、Asp、Glu、Val、Ala、SerまたはThr);res.93のXaa=(Ala、Ser、Glu、Gly、ArgまたはThr);res.95のXaa=(Gly、AlaまたはThr);res.97のXaa=(His、Arg、Gly、LeuまたはSer)である。さらに、rBMP3bおよびmGDF−10のres.53後、Heが存在し;GDF−1のres.54後、Tが存在し;BMP3のres.54、Vが存在し;BMP−8およびDorsalinのres.78後、Gが存在し;hGDF−1のres.37後、Pro、GIy、GIy、Proが存在する。
【0086】
一般配列10(配列番号42)は、すべての一般配列9(配列番号41)を含み、さらに、次の配列(配列番号40)をN末端に含む:
配列番号40
【0087】
【数4】

したがって、残基6から開始して、一般配列10の各々の「Xaa」は、一般配列9に関して規定される特異的アミノ酸であり、一般配列9に関して記載される各々の残基番号は、一般配列10において5だけ変位するという特徴を有する。したがって、一般配列9における「res.1の Xaa=(Tyr、Phe、His、Arg、Thr、Lys、Gln、VaIまたはGlu)」は、一般配列10のres.6を指示する。一般配列10では、res.2のXaa=(Lys、Arg、Gln、Ser、His、Glu、Ala、or Cys);res.3のXaa=(Lys、Arg、Met、Lys、Thr、Leu、Tyr、またはAla);res.4のXaa=(His、Gln、Arg、Lys、Thr、Leu、VaI、Pro、またはTyr);およびres.5のXaa=(Gln、Thr、His、Arg、Pro、Ser、Ala、Gln、Asn、Tyr、Lys、Asp、またはLeu)である。
【0088】
非天然骨形成タンパク質は、一連のコンセンサスDNA配列を使用して合成された(米国特許第5,324,819号、本明細書に援用する)。これらのコンセンサス配列は、天然の骨形成生成物から得られた部分アミノ酸配列、および文献に記載されており、予想または実証された展開機能を有するその他の遺伝子との、観察された相同性に基づいて設計された。
【0089】
生合成されたコンセンサス配列(コンセンサス骨形成タンパク質、または「COP」と呼ばれる)のいくつかは、原核生成物中に融合タンパク質として発現された(たとえば、米国特許第5,011,691号参照、引用することにより、本明細書に援用する。)このようなタンパク質としては、COP−1、COP−3、COP−4、COP−5、COP−7、およびCOP−16、並びに先行技術で公知のタンパク質がある。精製タンパク質は、裂開し、再度折り重ね、確立されている動物モデル中に移植し、骨および/または軟骨誘発活動を有することを実証し得る。現在好ましい合成骨形成タンパク質は、COP−5(配列番号43)およびCOP−7(配列番号44)として指示される2つの合成アミノ酸配列を含む。
【0090】
Oppermann等、米国特許第5,011,691号および第5,324,819号は、以下に示すCOP−5およびCOP−7のアミノ酸配列を記載しており、これらの特許は、引用することにより本明細書に援用する。
【0091】
【数5】

これらのアミノ酸配列では、ダッシュ(−)は、関連タンパク質の類似配列を列挙するためにのみ、フィラーとして使用される。整列されたアミノ酸配列間の差が強調される。
【0092】
上記のDNAおよびアミノ酸配列、並びに他のBMP族の要素については発行されており、新たに特定されるタンパク質がBMP族に属するかどうかを判断するために、当業者によって使用され得る。新たなBMP関連のその対立遺伝子の遺伝子生成物は、少なくとも1つの形態形成活動を有することが類推によって予想され、その結果BMPとして分類される。
【0093】
本発明の好ましい一実施態様では、形態形成タンパク質は、ジスルフィド結合して二量体種を生成する一対のサブユニットを含み、少なくとも1つのサブユニットは、BMPタンパク質族に属する組換え型ペプチドを含む。本発明のもう1つの好ましい実施態様では、形態形成タンパク質は、非共有相互作用によって形成される二量体種を生成する一対のサブユニットであって、少なくとも一方のサブユニットが、BMPタンパク質族に属する組換え型ペプチドを含むサブユニットを含む。非共有相互作用としては、Van der
Waals、水素結合、および疎水性および静電気的相互作用がある。二量体種は、同質二量体または異質二量体でよく、細胞の増殖および/または組織の形成を誘発することが可能である。
【0094】
一定の好ましい実施態様では、本明細書で有用な形態形成タンパク質として、アミノ酸配列が、上記の自然に発生するタンパク質から選択される参照形態形成タンパク質に対して、少なくとも70%のアミノ酸配列の相同性または「類似性」、および好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、または98%ノ相同性または類似性を共用する配列を含むタンパク質が挙げられる。好ましくは、参照タンパク質はヒトOP−1であり、その参照配列は、骨形成的に活性の形式の配列番号2のヒトOP−1、残基330−431に存在するC末端7システイン領域である。一定の実施態様では、参照モルフォゲンポリペプチドと機能的に等価であると思われるポリペプチドは、Alignプログラム(DNAstar,Inc.)などのコンピュータプログラムにより便利に実施される上記のNeedleman等の方法を使用して、それらのポリペプチドと整列される。上記のとおり、候補配列内の内部の隙間およびアミノ酸挿入は、規定の関係を計算する目的上無視され、この関係は、候補配列および参照配列間のアミノ酸配列の相同性または同一性のレベルとして従来表現される。「アミノ酸配列の相同性」は、本明細書では、アミノ酸配列同一性および類似性の両方を含むと考えられる。相同配列は、同じかおよび/または類似のアミノ酸残基を共用し、この場合、類似残基は、整列した参照配列内の対応するアミノ酸残基の保存置換、または「許容される点変異」である。したがって、参照配列と70%のアミノ酸相同性を共用する候補ポリペプチド配列は、任意の70%の整列残基が、参照配列内の対応する残基と同じであるか、あるいは同類置換である配列である。現在好ましい実施態様では、参照配列はOP−1である。したがって、本明細書で有用な形態形成タンパク質としては、自然に発生するか、あるいは生合成的に生成されるかに関わらず、対立遺伝子、系統発生学的な対照物、および好ましい参照配列の改変体((たとえば、「突然変異タンパク質」または「変異タンパク質」を含む)、並びに上記に記載および特定されるタンパク質を含む一般的な形態形成族のタンパク質の新規な要素がある。一定の特に好ましい形態形成ポリペプチドは、ヒトOP−1の好ましい参照配列に対して少なくとも60%のアミノ酸同一性、より好ましくはこの配列に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%のアミノ酸同一性を共用する。
【0095】
もう1つの実施態様では、有用な骨形成タンパク質として、本明細書で定義するとおり、保存7システイン領域を共用し、C末端活性領域内で、少なくとも70%のアミノ酸配列の相同性(類似性)を共用するタンパク質がある。さらに別の実施態様では、本発明の骨形成タンパク質は、OPX(配列番号45)および一般配列7(配列番号38)および8(配列番号39)、または一般配列9(配列番号41)および10(配列番号42)を含む、本明細書に規定される一般配列の任意の1つを有する骨形成的に活性のタンパク質として定義される。
【0096】
上記のとおり、本発明に有用であり、現在好ましい一定の骨形成ポリペプチド配列は、hOP−1の好ましい参照配列を規定するアミノ酸配列に対して、60%を超える同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%を超える同一性を有する。これらの特に好ましい配列としては、Drosophila60Aタンパク質を含む、OP−1およびOP−2タンパク質の対立遺伝子および系統発生学的な対照物の改変体がある。したがって、特に好ましい実施態様では、有用な形態形成タンパク質としては、本明細書で「OPX」(配列番号45)と呼ぶ一般アミノ酸配列内のポリペプチド鎖の対を含む活性タンパク質があり、OPXは、7つのシステイン骨格を規定し、OP−1およびOP−2の特定されたいくつかの改変体間の相同性を提供する。そこに記載されているとおり、一定の位置におけるXaaは個々に、マウスまたはヒトOP−1またはOP−2内の対応する位置に生じる残基から選択される。
【0097】
【数6】

【0098】
【数7】

ここで、res.2のXaa=(LysまたはArg);res.3のXaa=(LysまたはArg);res.11のXaa=(ArgまたはGln);res.16のXaa=(GlnまたはLeu);res.19のXaa=(IleまたはVal);res.23のXaa=(GluまたはGln);res.26のXaa=(AlaまたはSer);res.35のXaa=(AlaまたはSer);res.39のXaa=(AsnまたはAsp);res.41のXaa=(TyrまたはCys);res.50のXaa=(ValまたはLeu);res.52のXaa=(SerまたはThr);res.56のXaa=(PheまたはLeu);res.57のXaa=(IleまたはMet);res.58のXaa=(AsnまたはLys);res.60のXaa=(Glu、AspまたはAsn);res.61のXaa=(Thr、AlaまたはVal);res.65のXaa=(ProまたはAla);res.71のXaa=(GlnまたはLys);res.73のXaa=(AsnまたはSer);res.75のXaa=(IleまたはThr);res.80のXaa=(PheまたはTyr);res.82のXaa=(AspまたはSer);res.84のXaa=(SerまたはAsn);res.89のXaa=(LysまたはArg);res.91のXaa=(TyrまたはHis);res.97のXaa=(ArgまたはLys)である。
【0099】
II.可溶性モルフォゲンタンパク質複合体の組換え型生成物
可溶性形態形成タンパク質複合体は、真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳類細胞から、米国特許第6,395,883号に記載されているような標準の組換え型発現技術を使用して、生成することができ、この特許は、引用することにより、本明細書に援用する。現在好ましい例示的なプロトコルは、特定のベクター構造体およびチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)由来の細胞株を使用して以下に記載する。当業者は、その他の発現系は、その他のベクターおよびその他の細胞系を含めて有用であり、本発明は、以下に詳細に記載する方法によってのみ生成される可溶性形態形成タンパク質複合体に限定することを意図するものではないことを理解するであろう。本明細書に記載する結果に類似する結果は、COSおよびBSC細胞に関して開発された組換え型発現系を使用して観察された。
【0100】
前駆配列をコードする形態形成タンパク質DNAは、市販の適切なpUC型ベクター(たとえば、pUC−19、ATCC#37254、Rockville、Md.、並びに適切なプロモータ/エンハンサ配列および3’末端配列の挿入部位にサブクローニングされる。有用なDNA配列は、これらのタンパク質、および/または合成構造体をコードする発行済み配列を含む。現在好ましいプロモータ/エンハンサ配列は、ラウス肉腫ウィルスLTRエンハンサ配列(たとえば、パロアルトのClonetech,Inc.から市販)によってブースとされるCMVプロモータ(ヒトサイトメガロウィルス主要中間体−早期プロモータ)、およびマウス乳癌ウィルスプロモータ(mMTV)である。発現は、転写活性化するエンハンサ配列を使用してさらに強化され得る。プラスミドは、SV40早期プロモータコントロール(ATCC #37148)下で、増幅可能なマーカーとしてDHFRも含む。トランスフェクション、細胞培養、遺伝子増幅、およびタンパク質発現条件は、たとえばAusubel等、Current Protocols in Molecular Biology,ニューヨーク州、John Wiley & Sons(1989年)に記載されているような先行技術で公知の標準の条件である。簡潔に述べるなら、トランスフェクト細胞は、0.1〜0.5%の透析されたウシ胎仔血清(FCS)を含む媒体中で培養され、安定してトランスフェクトされる高発現細胞株は、サブクローニングによって得られ、標準のウェスタンまたはノーザンブロットによって評価される。サザンブロットは、統合配列の状態、およびそのコピー数増幅の程度を評価するためにも使用される。
【0101】
現在好ましい発現ベクターは、SV40早期プロモータコントロール下で、選択マーカーおよび誘導遺伝子増幅用因子の両方としてDHFR遺伝子を含む。DHFRのDNA配列は、先行技術で十分に特徴付けられており、市販されている。たとえば、適切なベクターは、ネオ遺伝子(BamHI digest)をSphl−BamHI、またはSV40早期プロジェクタコントロール下でDHFR遺伝子を含むpSV5−DHFR(ATCC #37148)からのPvuII−BamHIフラグメントと置換することによって、pMAM−neo(カリフォルニア州、パロアルトのClontech,Inc.)から生成され得る。BamHI部位は、標準の技術(たとえば、リンカーの挿入または部位特異的突然変異誘発法)を使用して、SphlまたはPvuII部位においてエンジニアリングして、フラグメントをベクターバックボーンに挿入することを可能にすることができる。形態形成タンパク質DNAは、MMTV−LTR配列(マウス乳癌ウィルスLTR)の下流のポリリンカー部位に挿入することができる。次に、CMVプロモータ配列は、発現ベクター(Invitrogen,Inc.のpCDM8)中に挿入され得る。DHFR発現を促進するSV40早期プロモータは、好ましくは、生成されるDHFR mRNAのレベルを減少させるために、これらのベクター内で変更される。
【0102】
現在好ましい哺乳類細胞株は、CHOチャイニーズハムスターの卵巣、細胞株であり、安定した形態形成タンパク質の生成細胞株を高発現レベルで確立するのに好ましい手順は、上記の発現ベクターを使って安定CHO細胞株、好ましくはCHO−DXB11をトランスフェクトし、高形態形成タンパク質発現レベルでクローンを単離し、以下に記載する限定希釈法を使用して、これらのクローンにサブクローニングを施し、高発現クローンの母集団を取得することを含む。サブクローニングは、好ましくは、形態形成タンパク質を生成するための成長媒体にMTXを追加する必要のない安定した高発現クローンを識別するために、MTXが存在しない状態で行われる。
【0103】
サブクローニングプロトコルでは、細胞は、10個の100mmペトリ皿上に、一皿当たり50または100個の細胞という細胞密度で、培地中にMTXを含むか、または好ましくは含まない状態で播種される。14日間の成長後、クローンは、クローニングシリンダーおよび標準の手順を使用して単離し、24ウェルプレート内で培養される。クローンは、次に、標準手順を使用してウェスタン免疫部ロットにより、および親株に匹敵する形態形成タンパク質発現レベルで、形態形成タンパク質発現に関してスクリーニングされる。高発現サブクローニングの細胞株の安定性は、次に、複数の細胞通過全体で(たとえば、4回または5回)、形態形成タンパク質発現を監視することによって判断される。
【0104】
III.馴化培地または体液からの可溶性モルフォゲンタンパク質複合体の単離
形態形成タンパク質は、哺乳類細胞から、可溶性複合体として発現される。しかし、一般に、複合体は、一般に、精製溶液、たとえば浄化剤、アルコール、有機溶剤、カオトロピック剤、および溶液のpHを低下させるために添加される化合物に添加されることが多い変性剤に暴露することによって精製時に分離される。非変性状態で、可溶性タンパク質を馴化培地(または任意に、血清、脳脊髄液、または腹水などの体液)から精製するために現在好ましいプロトコルについて、以下に記載する。この方法は、迅速で再現可能であり、実質的に純粋な形式で単離可溶性形態形成タンパク質複合体を生じる。
【0105】
可溶性形態形成タンパク質複合体は、変性剤が存在しない状態で行われる単純な3段階の式層分析プロトコルを使用して、馴化培地から単離することができる。このプロトコルは、親和カラム上に媒体(または体液)を流し、次にイオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィを行うことを含む。以下に記載する親和カラムは、Zn−IMACカラムである。このプロトコルは、多様な形態形成タンパク質の精製に対する一般的な適用性を有し、これらのタンパク質のすべては、以下に記載するプロトコルをごくわずかに変更して使用することで単離可能であると予想される。代替プロトコルは、標準の手順、たとえば一定の形態形成タンパク質のプロ領域に特有の抗体を使用して形成される(たとえば、タンパク質A共役セファロースカラムに合成される)有用な免疫親和カラムを有することも考えられる。免疫親和カラムを展開するためのプロトコルは、先行技術で十分に説明されている(たとえば、Guide to Protein Purification,M. Deutscher等、Academic Press,San Diego,1990年、特にVIIおよびXI項参照)。
【0106】
この実験では、OP−1は、上記のとおりCHO細胞中で発現した。0.5%FBSを含むCHO細胞の馴化培地は、先ず、固定化金属−イオン親和性クロマトグラフィ(IMAC)を使用して精製した。馴化培地からの可溶性OP−1複合体は、Zn−IMAC樹脂に非常に選択的に結合し、高濃度のイミダゾール(50mMイミダゾール、pH8.0)は、結合複合体の効果的な溶出のために必要である。Zn−IMACステップは、貫流および35mMのイミダゾール洗浄画分中に溶出する不純血清タンパク質から可溶性OP−1を分離する。Zn−IMAC精製可溶性OP−1は、次に、50mMのNaClを含む20mMのNaPO(pH7.0)中で平衡させたS−セファロース陽イオン交換カラムに適用した。このS−セファロースステップは、次のゲル濾過ステップに備えて、可溶性OP−1複合体をさらに精製して濃縮する役割を果たす。このタンパク質は、TBS中で平衡されるSephacrylS−200HRカラムに適用された。ほぼ同じプロトコルを使用すると、可溶性形態形成タンパク質も、血清、脳脊髄液、または腹水を含む1つまたは複数の体液から単離し得る。
【0107】
IMACは、3カラム容量部の0.2MのZnSOを充填したChelatingセファロース(Pharmacia)を使用して実施した。この馴化培地は、pH7.0までて滴定し、500mMのNaClを含む20mMのHEPES(pH7.0)中で平衡したZN−IMAC樹脂に直接適用した。Zn−IMAC樹脂には、1mLの樹脂あたり80mLの開始馴化培地が装填された。装填後、カラムは、平衡緩衝液で洗浄し、殆どの不純タンパク質は、35mMのイミダゾール(pH7.0)を使って平衡緩衝液中に溶出させた。可溶性OP−1複合体は、次に、50mMのイミダゾール(pH8.0)を使って20mMのHEPESおよび500mMのNaCl中に溶出させた。
【0108】
可溶性OP−1複合体を含む50mMのイミダゾール溶出液は、9容量部の20mMのNaPO(pH7.0)で希釈し、50mMのNaClを含む20mMのNaPO(pH7.0)中で平衡させたS−セファロース(Pharmacia)カラムに適用した。S−セファロース樹脂には、1mlの樹脂当たり800mLの開始馴化培地の等価物を装填した。装填後、S−セファロースカラムは、平衡緩衝液で洗浄し、100mMのNaCl、次に300mMおよび500mMのNaClを使って、20mMのNaPO(pH7.0)中に溶出させた。300mMのNaCプールは、ゲル濾過クロマトグラフィを使ってさらに精製した。300mmのNaCl溶出液50mlsは、トリス緩衝食塩水(TBS)、50 mMのTris、150mMのNaCl(pH7.4)中で平衡させた5.0×90cmのSephacryl S−200HR(Pharmacia)に適用した。カラムは、4mL/分の流量で溶出させて10mLの部分を収集した。可溶性OP−1の見かけの分子量は、タンパク質分子量基準(アルコール脱水素酵素(ADH、150kDa)、ウシ血清アルブミン(BSA、68kDa)、炭酸脱水酵素(CA、30kDa)およびシトクロムC(cyt C、12.5kDa)(図3参照)と比較して判断した。S−200カラム部分の純度は、クマシーブルーで染色した標準の15%ポリアクリルアミドSDSゲル上の分離により判断した。成熟OP−1およびプロ領域の同一性は、標準の逆相Cl8 HPLCを使用して、成熟OP−1をプロ領域から分離した後、N末端配列分析により判断した。
【0109】
図3は、280nmにおける吸収プロファイルを示す。可溶性OP−1複合体は、見かけの分子量110kDaで溶出する。これは、2つのプロ領域(各39kDa)に関連する1つの成熟二量体(35−36kDa)を含む可溶性OP−1複合体の予想組成物と完全に一致する。最終的な複合体の純度は、還元した15%ポリアクリルアミドゲル中に適切な部分を流すことにより検証することができる。
【0110】
複合体の構成要素は、標準の手順を使用して、複合体を含む部分をS−200またはS−200HRカラムから逆相Cl8HPLCカラム上に流し、アセトニトリル勾配(0.1%TFA中)において溶出させることによって検証することができる。複合体は、このステップにより分離され、プロ領域および成熟種は別の種を溶出する。これらの分離種は、次に、標準の手順、並びにそれぞれ、成熟形態形成タンパク質として確認された単離36kD、39kDaタンパク質、および単離および裂開されたプロ領域の同一性を使用して、N末端配列を決定することができ(たとえば、Guide to Protein Purification,M.Deutscher等、サンディエゴのAcademic Press、1990年、特にpp.602〜613参照)。哺乳類細胞から単離されたプロ領域のN末端配列決定はOP−1を生成し、2つの形式、つまり無傷型(配列番号1の残基30から開始)、および切断型(配列番号1の残基48から開始)のプロ領域を明らかにした。単離成熟種のポリペプチドサブユニットのN末端配列決定は、配列番号1の残基293、300、313、315、316、および318で開始する成熟配列に関するある範囲のN末端を明らかにし、これらのすべては、標準の骨誘導検定によって実証されるように活性である。
【0111】
V.インビトロ可溶性モルフォゲンタンパク質複合体の形成
可溶性複合体を媒体または体液から精製する代わりに、可溶性複合体は、精製プロ領域および成熟二量体種から調製し得る。複合体の形成を満足に行うには、明らかに、ジスルフィド結合に影響しないように、これらの分子の折り畳み構造を緩和させるのに十分な変性状態で、構成要素を関連付ける必要がある。好ましくは、この変性状態は、裂開されたプロ領域が、緩和折り畳み状態で成熟二量体種に結合する機会を有するように、細胞内小胞の環境を十分に模倣する。溶液中の変性剤の濃度は、次に、プロ領域と二量体との関連を維持しつつ、二量体およびプロ領域の適切な再折り畳みを可能にするように、制御された、好ましくは段階的な方法で減少させる。有用な変性剤としては、pH4〜10、好ましくはpH6〜8の緩衝溶液中に、4〜6M尿素またはグアニジンヒドロクロリド(GuHCl)を含む。可溶性複合体は、次に、制御された透析または希釈によって、0.1〜2M未満の尿素またはGuHCl、好ましくは1〜2Mの尿素またはGuHClの最終変性剤濃度を有する溶液中に形成され、次に、好ましくは、生理学的緩衝液中に希釈することが可能である。タンパク質の精製/復元手順、および考察は先行技術に記載されており、適切な復元プロトコルを容易に開発するための詳細は、当業者が判断することができる。この主題に関して有用な1つのテキストは、Guide to Protein Purification、M. Deutscher等、サンディエゴ、Academic
Press、1990年、特にV項である。複合体の形成は、1つまたは複数のシャペロンタンパク質を追加することによって支援し得る。
【0112】
VI.可溶性モルフォゲンタンパク質複合体の安定性
生理学的緩衝液、たとえばトリス緩衝食塩水(TBS)、およびリン酸塩緩衝食塩水(PBS)中における高度に精製された可溶性形態形成タンパク質複合体の安定性は、任意のある数の手段で強化することができる。現在好ましい手段は、プロ配列の少なくとも最初の18アミノ酸(たとえば、OP−1の配列番号2の残基30〜47)を含むプロ領域、および好ましくは全長プロ領域によるものである。残基30〜47は、他の形態形成タンパク質のN末端部分に対する配列相同性を示し、すべての形態形成タンパク質の複合体安定性を強化する際に特に有用であると考えられる。可溶性形態形成タンパク質複合体の安定性を強化するその他の有用な手段には、3種類の添加剤がある。これらの添加剤としては、塩基性アミノ酸(たとえば、L−アルギニン、リジン、およびベタイン);非イオン浄化剤(たとえば、Tween80またはNonidet P−120);および担体タンパク質(たとえば、血清アルブミンおよびカゼイン)がある。これらの添加剤は、1〜100raM、好ましくは10〜70mM、50mMの塩基性アミノ酸;0.01〜1.0%、好ましくは0.05〜0.2%、0.1%(v/v)の非イオン浄化剤;および0.01〜1.0%、好ましくは0.05〜0.2%、0.1%(w/v)担体タンパク質がある。
【0113】
VII.可溶性モルフォゲンタンパク質複合体の活性
プロ領域と成熟との関連は、異なる活性検定によって実証されるように、インビボでのタンパク質の形態形成活動を妨げない。特に、標準のラットオステオペニアモデルで提供される可溶性OP−1複合体は、成熟形態形成タンパク質を使用して得られる結果と同様、骨の成長およびオステオカルシンの生成(以下の表2参照)に著しい増加を誘発する。
【0114】
この検定は、現在放棄されている米国特許継続出願第08/432,883号に関連して現在放棄されている米国特許第923,780号に記載されている骨粗鬆症モデルに類似しているが、卵巣切除した動物ではなく、高齢のメスのラットを使用する。簡潔に述べるなら、若年または高齢のメスのラット(Charles River Labs、それぞれ115〜145および335〜460g)は、毎日7日間にわたって尾部静脈注射することにより、体重1Kg当たり20μgの可溶性OP−1、または体重1Kg当たり100μgの可溶性OP−1を投与した。若年および高齢メスラットの対照群には、トリス緩衝食塩水(TBS)のみを投与した。水および食物は、すべての動物に随時与えた。14日後、動物を屠殺して、新しい骨の成長を標準のヒストメトリックな手順によって測定した。血清中のオステオカルシン濃度も測定した。動物の体重または組織重量の変化、あるいは血液学的なプロファイルで判断した結果、形態形成タンパク質の投与の不利な影響は検出されなかった。
【0115】
【表2】

卵巣切除したラットを使用して、現在放棄されており、引用することにより上記で援用された米国特許継続出願第08/432,883号に関連して、現在放棄されている米国特許第923,780号に記載されている骨粗鬆症モデルにおいて、可溶性OP−1複合体を使用して実施された類似の実験も、複合体形式を使用して不利な影響は示していない。
【0116】
成熟および可溶性形態形成タンパク質はともに、開示事項を引用することにより上記で援用される係属中の米国特許継続出願第08/260,675号に関連して現在放棄されている、1992年7月31日に出願された同時係属米国特許出願第07/922,813号に記載されているように、CAM(細胞接着分子)の発現を誘発することが可能である。
【0117】
簡潔に、それらに記載されているように述べると、N−CAMアイソタイプ(N−CAM−180、N−CAM−140およびN−CAM−120)の導入は、市販の抗体mAb H28.123(セントルイス、Sigma Co.)との反応、および標準のウェスタンブロット分析によって監視することができる(たとえば、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Sambrook編集者等、ニューヨーク、Cold Spring Harbor Press,1989年、特に18項参照)。成熟形態形成タンパク質二量体、または可溶性形態形成タンパク質複合体(10〜100ng/ml、好ましくは少なくとも40ng/ml)による神経系の形質転換細胞、NGl08−15細胞(メリーランド州、ロックビル、ATCC)の成長培地の培養は、形質転換されていない神経細胞の形態学的特徴に対するこれらの細胞の再分化を誘発し、誘発には、すべての3N−CAMアイソタイプの特定の誘発および/または強化された発現を含む。この実験では、細胞は、ポリ−L−リジン塗布6−ウェルプレート上で二次培養され、化学的に規定された媒体中で、2日間にわたって成長させてから実験した。形態形成タンパク質のフレッシュなアリコートは、毎日添加した(2.5μl)。
【0118】
医薬組成物
可溶性形態形成タンパク質複合体を含む医薬組成物は、様々な形態でよい。これらは、たとえば、固体、半固体、および液体投薬形態、たとえば粉末、錠剤、丸薬、座薬、液体溶液、懸濁液、ゲル、パテ、ペースト、乳濁液、および不溶性溶液が挙げられる。好ましい形式は、意図された投与方法および治療用途によって決まり、当業者が選択することができる。投与方法としては、経口、非経口、筋肉内、腹腔内、関節内、皮下、静脈、病巣内、外科的移植、または局所性投与が挙げられる。組成物は、各々の投与経路に適する投与形式で処方し得る。実施態様によっては、本発明の医薬組成物は、組織の再生または修復を必要とする部位に(つまり、軟骨内に直接)投与される。他の実施態様では、本発明の医薬組成物は、組織の再生または修復を必要とする部位の付近に投与される。たとえば、実施態様によっては、本発明の医薬組成物は、修復(つまり、接合)を必要としている軟骨を囲む領域(たとえば、滑液)に投与し得る。他の実施態様では、本発明の医薬組成物は、軟骨組織内(たとえば、半月板または椎間板)内に直接投与し得る。
【0119】
好ましい実施態様では、可溶性形態形成タンパク質複合体組成物は、軟骨の損傷または変性の部位、たとえば関節接合部または関節嚢に直接、許容可能な流体担体で投与される。組成物は、先行技術で公知のとおり、組織の治癒または修復を最適にする投与頻度で、1回または複数回投与することができる。組成物は、たとえば、毎日、毎週、毎月、月に2回、2ヶ月に1回、年に4回、半年に1回、または毎年投与することができる。
【0120】
可溶性形態形成タンパク質複合体を含む医薬組成物は、たとえば、摂取または安定性を刺激する共同因子の有無に関わらず、殺菌浸透圧製剤中入れることができる。製剤は、好ましくは液体であるか、凍結乾燥粉末でよい。たとえば、可溶性形態形成タンパク質複合体は、処方用緩衝液で希釈し得る。溶液は、凍結乾燥して、凍結状態で保存して還元した後、殺菌した注射用蒸留水(USP)とともに投与することができる。
【0121】
組成物は、好ましくは、先行技術で公知の従来の薬学的に許容可能な担体も含む(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.,Mac Publishing Company(1980年)参照)。このような薬学的許容可能な担体は、その他の薬剤、担体、遺伝子担体、補助剤、賦形剤など、たとえばヒト結成アルブミン、または血漿製剤を含み得る。好ましくは、担体は、患者の血液または滑液と浸透圧が等しい。このような担体媒体としては、水、食塩水、リンガー溶液、緩衝水溶液、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、およびデキストロース溶液が挙げられる。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性媒体も、この場合有用である。組成物は、好ましくは、単位用量の形式であり、特定の組織の処置によって決まる用法のとおりに投与される。
【0122】
実施態様によっては、本発明の組成物は、徐放性製剤、遅延送達製剤、または可溶性形態形成タンパク質複合体の除去が遅延する薬剤である。これらの組成物の調製に使用可能な多くの送達材料がある。これらの材料としては、ポリ乳酸/ポリグリコール酸ポリマーの微小球、リポソーム、コラーゲン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒアルロン酸/線維素マトリクス、ヒアルロン酸、線維素、キトサン、ゼラチン、SABER(商標)系(ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB))、DURIN(商標)(薬物負荷インプラント用の生物分解性ポリマー)、MICRODUR(商標)(生物分解性ポリマー/マイクロカプセル化)、およびDUROS(商標)(小型浸透圧ポンプ)が挙げられるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、可溶性形態形成タンパク質複合体は、送達材料に共役結合される。
【0123】
本発明の組成物は、化合物の適切な送達系として機能する生体適合性担体材料中に分散する可溶性形態形成タンパク質複合体を含む。徐放性担体の適切な例としては、半透性ポリマーマトリクスがある。インプラント可能またはマイクロカプセル状徐放性マトリクスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,319号;欧州特許第58,481号)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー(Sidman等、Biopolymers,22,pp.547−56(1985年));ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、エチレンビニレンアセテート(Langer等、J.Biomed.Mater.Res.,15,pp.167〜277(1981年);Langer,Chem.Tech.,12,pp.98〜105(1982年))またはポリ−D−(−)−3ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または上記のポリマーが挙げられる。
【0124】
本発明の医薬組成物は、たとえば、微小球、リポソーム、その他の微小球送達系、または罹患組織内、その付近、あるいは罹患組織と連通して配置される徐放性製剤、これらの組織を浸す流体(たとえば、滑液)、またはこれらの組織を浸す血流を使用して投与することもできる。
【0125】
本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体を含むリポソームは、十分に公知の方法で使用することができる(たとえば、ドイツ特許第3,218,121号;Epstein等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82,pp.3688〜92(1985年);Hwang等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77,pp.4030〜34(1980年);米国特許第4,485,045号および第4,544,545号参照)。一般に、リポソームは、小さい(約200〜800Å)単層型であり、その脂質含量は約30モル%のコレステロールより大きい。コレステロールの割合は、可溶性形態形成タンパク質複合体放出の最適速度を制御するように選択される。
【0126】
本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、組織誘導速度および特性を調節するために、生物学的に活性の分子、たとえば免疫抑制剤、サイトカインを含むリポソームに付着させてもよい。リポソームに対する可溶性形態形成タンパク質複合体の付着は、任意の公知の架橋剤、たとえば、毒素または化学療法剤を抗体に結合して、目標とされた送達を行うために広く使用されてきたヘテロ二官能基架橋剤によって行うことができる。リポソームとの共役は、糖質指向性架橋試薬4−(4−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)(MPBH)(Duzgunes等、J.Cell.Biochem.Abst. Suppl.16E 77(1992年))を使用して行うことも可能である。
【0127】
本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、グリコシル化してもよい。グリコシル化は、1つまたは複数のオリゴ糖質基を添加することによってタンパク質を変性させることである。一般に、2種類のグリコシル化がある:O−結合オリゴ糖は、セリンまたはスレオニン残基に付着し、N−結合オリゴ糖は、配列Asn−X−Ser/Thrの一部である場合、アスパラ銀残基に付着し、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸でよい。グリコシル化は、タンパク質の物理的特性に著しく影響する可能性があり、タンパク質の安定性、分泌、半減期、および細胞内局在性にも重要である。実施態様によっては、本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、N−結合オリゴ糖を含む。他の実施態様では、本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、O−結合オリゴ糖を含む。他の実施態様では、本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、O−結合オリゴ糖を含む。さらに他の実施態様では、本発明の可溶性形態形成タンパク質複合体は、N−結合およびO−結合オリゴ糖の両方を含む。実施態様によっては、可溶性形態形成タンパク質複合体のグリコシル化パターンは、糖タンパク質の糖組成物を調節するように変更し得る。
【0128】
当業者は、組織の誘導を促進するのに最適な生体適合性および/または生物分解性製剤を生成し得る。
【0129】
可溶性形態形成タンパク質複合体の正常な担体は、いくつかの重要な機能を果たすべきである。担体は、可溶性形態形成タンパク質複合体の遅延送達系、または可溶性形態形成タンパク質複合体の遅延除去として機能し、可溶性形態形成タンパク質複合体を非特異的タンパク質分解から保護するべきである。
【0130】
さらに、選択された材料は、インビボで生体適合性であり、好ましくは生物分解性でなければならない。ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、および様々な組合せは、インビボで異なる溶出速度を有する。
【0131】
担体は、ヒドロゲルの形態を取っても良い。担体材料は、ヒドロゲルを含む場合、実質的に水から成るゲルの形態の架橋親水性ポリマーの三次元網目構造を意味し、水は、90%を超えるゲルが好ましいが、これだけに限らない。ヒドロゲルは、正味正または正味負電荷を支持することが可能であるか、あるいは中立でよい。代表的な正味負電荷を持つヒドロゲルは、アルギン酸塩である。正味正電荷を支持するヒドロゲルは、コラーゲンおよびラミニンなどの細胞外マトリクス成分によって類型化することができる。市販されている細胞外マトリクス成分の例としては、Matrigel(商標)およびVitrogen(商標)が挙げられる。正味中立ヒドロゲルの例は、高度に架橋した酸化ポリエチレンまたはポリビニルアルコールである。
【0132】
抗生物質および化学療法薬剤、酵素、酵素阻害薬、並びにその他の生物活性剤を含む様々な増殖因子、サイトカイン、ホルモン、栄養剤、および治療用組成物も、可溶性形態形成タンパク質複合体を含む担体材料上に吸着または分散させることができ、やはり長期にわたって放出され、徐々に吸収される。
【0133】
可溶性形態形成タンパク質複合体の1日当たり約1μg〜約1000μg、好ましくは3μg〜50μgの投与レベルは、軟骨の修復および再生に有用である。当業者は理解するように、上記より少ないかまたは多い投与量が必要な場合がある。任意の特定の患者に対する特定の投与量および処置領域は、使用する特定の可溶性形態形成タンパク質複合体の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食習慣、投与時間、排泄速度、組織の損傷の重症度、担当医師の判断など、様々な要素によって決まる。
【実施例】
【0134】
(実施例1 骨軟骨の欠損のイヌモデルの修復)
目的のために飼育された12匹の成犬に外科処置を施した。両方の後肢は、殺菌状態で準備して覆った。約4cm長の内側傍膝蓋骨の切開(parapatellar incision)を作成する。膝蓋骨を側方に引っ込めて、大腿顆を露出させる。右の内側顆では、軟骨層を通って延在し、軟骨下骨を深さ6mmまで貫通する5.0mm径の欠損は、特別に設計または変更された5.0mmのドリルビットを使って、大腿顆の耐荷重領域に形成する。動物は、各々6匹の動物の2つの群に分割する。第1群では、食塩水を大量に灌注して、破片および流出した髄質細胞を除去した後、欠損を囲む滑液に、適切な持続放出可溶性OP−1複合体を適用する。6匹の動物の第1群では、右の欠損は、持続放出可溶性OP−1複合体を受領する。すべての動物の左肢は、コントロールビード(0%OP−1)を受領するコントロールとして機能する。
【0135】
6匹の動物の第2群は、外科処置の時点ではOP−1処置を受けない。外科処置から3日後、適切な持続放出可溶性OP−1複合体製剤を、欠損を含む関節を囲む滑液中に注入する。6匹の動物において、持続放出可溶性OP−1複合体は、右の欠損の周囲の滑液中に注入する。すべての動物の左肢は、コントロールビード(0%OP−1)を受領するコントロールとして機能する。
【0136】
動物は、外科処置から16週後に屠殺する。屠殺する際、大腿遠位を全体として回収し、欠損部位は、従来の検査で使用されてきたMoran等(J.Bone Joint Surg.74B:659−667,1992年)のスキームに基づいて、組織学的に、肉眼で見て評価する。
【0137】
後肢のX線写真は、手術前、手術直後、および手術後6週間に撮影する。手術前のX線写真は、既存の異常が存在しないことを確認し、骨格の成熟を検証するために使用する。述語のX線写真は、欠損の位置を評価するために使用する。屠殺した動物のX線写真は、軟骨下骨および関節面の治癒および回復の速度を評価するために使用する。X線写真は、評価日から1週間以内に撮影する。
【0138】
死骸の肉眼的な病理学検査は、屠殺直後に行う。大腿遠位は、直後に全体的に収穫し、食塩水に浸したタオルで保存し、ラベルを付けたプラスチックの袋に入れる。欠損部位の高倍率写真を撮影し、注意してラベルを付ける。
【0139】
軟組織は、欠損部位から細心の注意を払って切り離し、大腿の近位端を除去する。水冷ダイヤモンドカットソー上で、各々の欠損部位を単離して、組織学的評価を行う。
【0140】
標本は、4%パラホルムアルデヒド溶液中に浸漬して固定し、脱灰組織学的処理のために準備する。3つのレベルからの3つの部分を、各々のブロックから切断する。レベル1および3は、欠損の周囲に最も近い。レベル2は、欠損の中心に位置する。各々のレベルの部分は、トルイジンブルー、サフラニンO、およびファストグリーンで着色した。各部分は、Moran等(J. Bone Joint Surg. 74B:659−667、1992年)のスキームに基づいて等級を付ける。
【0141】
(実施例2 持続放出微小球におけるOP−1の関節内投与による軟骨欠損再生のヒツジモデル)
目的のために飼育された18匹の成体のヒツジに、外科的処置を施した。特に設計された器具を使って、10mmの軟骨の欠損は、18匹のヒツジの左後肢膝において、体重を支持する顆表面に石灰化層まで2mm深さまで形成する(血液の露出は、失敗とされる)。すべての動物の右膝は、コントロールとして使用するために処置しない。
【0142】
1群(6匹の動物):手術の3日後、各動物の左膝は、可溶性OP−1複合体を含まない57mgのコントロール0.3%微小球を含む250μlの懸濁液の関節内注射を受ける。
【0143】
2群(6匹の動物):手術の3日後、各動物の左膝は、170μgの可溶性OP−1複合体を含む57mgの0.3%微小球を含む250μlの懸濁液の関節内注射を受ける。
【0144】
3群(6匹の動物):手術の3日後、および手術の6週間後、各動物の左膝は、170μgの可溶性OP−1複合体を含む57mgの0.3%微小球を含む250μlの懸濁液の関節内注射を受ける。
【0145】
膝の関節鏡評価は、すべての動物について、手術の3週間および6週間後に行う。NMR/MRI走査は、手術の3週間および6週間後に行う。膝の機械的テストも、定期的に行う。
【0146】
すべての動物は、手術の3ヶ月後に屠殺する。屠殺後、特定の関節軟骨細胞マーカーに関して、組織学、組織形態計測、免疫染色、およびインシチュでのハイブリッド化を行う。
【0147】
(実施例3 変形性関節症の予防のためのヒツジモデル)
変形性関節症のモデルとしてヒツジを使用するが、それは、これらの動物は、1回の損傷の衝撃を受けた後に、進行性の変形性関節症を発症するためである。この研究では、14日間にわたって順応させた12匹の成体のメスの異種交配ヒツジを使用する。すべてのヒツジは、全身麻酔を施され、無菌技術を用いて、3cmの関節切開術を使用して、両方の大腿頚骨関節に接近することを可能にする。ばね荷重の機械的デバイスは、中央大腿顆の体重支持領域に相互衝突損傷(30Mpa、6mm径×2)を形成するために使用する(図4参照)。これらの切開部分を一般的な方法で閉じた後、ヒツジには、媒体中の可溶性OP−1複合体、または媒体のみを各々の膝に関節内注射を施す。2つの実験群(N=6)を使用する。A群は、外科手術の時点(0日)および手術後1週間(7日)に、0.3mlの可溶性OP−1複合体を膝関節内に受領する。0日の注射は、外科的な切開部分を閉鎖した直後に投与した。B群は、0日、7日、14日、21日、28日、および35日に、片方の膝に可溶性OP−1複合体を受領する。滑液は、可溶性OP−1複合体および媒体を注射する前に吸引し、炎症の指標として、白血球数および総タンパク量を測定することを可能にする。
【0148】
ヒツジは、手術の12週後に屠殺して、関節組織の詳細な評価(パラ生体染色、TUNEL染色、組織病理学、軟骨、硫酸塩GAG分析、生体力学的圧痕テスト)を行う。
【0149】
(実施例4 関節内注射後のOP−1の治療効果に関するヒツジモデル)
この研究は、研究を開始する前に14日間順応させて、健康状態評価に合格したN=12の生体メスの1.5〜2.5歳の異種交配ヒツジを使用する。全身麻酔を行って、無菌技術を使用して、すべてのヒツジは、3cmの最小限に侵襲的な関節切開術によって、両方(左右)の内側大腿顆に標準の30MPa衝突損傷を受ける。手術の3週間後、ヒツジは、ジアゼパム(10mg/kg)およびケタミン(3〜5mg/kg)で沈静状態にして、表3に従って滑膜細胞穿刺、および内側大腿頚骨関節内への被験物質、偽薬、または生理食塩水の注入のために膝を無菌状態で準備することを可能にする。
【0150】
【表3】

すべてのヒツジは、両方の内側大腿顆傷害を受ける。第1群の9匹のヒツジでは、一方の膝は被験物質を受領し、反対側の膝は、媒体のみから成る偽薬を受領する。膝の処置は、完全なブロック構造によって配置される。第2群の3匹のヒツジは、偽薬の効果のコントロールとして、生理食塩水USPを受領する。
【0151】
この調査の次に、表4に記載する次の手順を行う。
【0152】
【表4】

(実施例5 変形性関節症のテンジクマウスおよびウサギモデル)
ハートリーテンジクマウス(自発的)、およびウサギACL−切除(誘発)変形性関節症モデルを使用する。年齢3か月、6ヶ月または9ヶ月の14匹のテンジクマウスの左膝に、50μgの可溶性OP−1複合体を含むリン酸塩緩衝食塩水(PBS)溶液を12週間にわたって3週間ごとに注入する。左膝は、未処理コントロールとして使用される。
【0153】
ニュージーランドホワイトウサギにおいて、左ACLは切除され、PBS溶液中の100μg可溶性OP−1複合体、またはコントロール溶液を12週間の評価期間にわたって3週間ごとに受領するか、または注入される。右膝は、すべての動物において、非ACL切除未処理コントロールとして使用される。
【0154】
両方のモデルのすべての動物は、改良されたMankinスケールを使用して、関節炎の変化を肉眼で見た外観、および組織学的証拠を評価し、変性の重症度を等級付けする。
【0155】
(実施例6 半月板の治癒のヒツジモデル)
再吸収不能なより糸で縫合された孔(6mm径)および長手方向の破裂(2cm長)は、ヒツジの両膝の各々の内側半月板に形成する。2つの処置群がある:可溶性OP−1複合体、および外科手術で形成された欠損以外に未処置のコントロール群。処置群では、可溶性OP−1複合体は、切開部位を閉鎖する直前に、関節空間内に注入され、次に、外科手術の7日後に関節空間7内に注入される。
【0156】
処置から6週、12週、および26週後、動物を安楽死させる。安楽死後、半月板を除去し、前部の長手方向に縫合した破裂部分、および後部の孔のある部分の2つの部分に切断する。これらの部分は、マッソントリクロームおよびサフラニンOを使って染色する。半月板の免疫組織化学も、コラーゲンI、II、VI、S100、プロテアーゼMMP1を検出するために、特定の抗体を使用して実施することができる。
【0157】
半月板の部分を分離し、OCT内に埋め込み、液体窒素中で凍結させる。低温保持装置を使って得た部分を収集して均質化し、Trizol試薬を使用してRNA調製する。RT−PCRは、様々なマーカー、たとえば、細胞外マトリクスのマーカーとしてのI型、II型、II型コラーゲン、およびアグリカン、増殖因子としてのTGF−βおよびIGF−2、マトリクス分解酵素としてのMMP−I、MMP−3およびTIMP−I、最後に、細胞増殖および自然死に関するマーカーとしてのサイクリンA、Bcl−2、BAXおよびカスパーゼ3の遺伝子発現を調査するために実行される。その他の関節組織も検査し、可溶性OP−1複合体によって生じ得る任意の肉眼的な相違のコントロールと比較する。
【0158】
(実施例7 椎間板の修復および再生のヒツジモデル)
制御された外側環状欠損をヒツジの体内に実験的に導入すると、ヒトにおける椎間板変性の発症を病理学的および生化学的に厳密に再現する一連の事象が開始する。組成物の変化としては、損傷部位の細胞によって合成されるコラーゲンの量、および型の変化がある(Kaapa等、1994a,b,1995,Kaapa E.等(1995年)椎間板変性の動物モデルにおけるコラーゲン合成、およびI型、III型、IV型、およびVI型コラーゲン、Spine 20,59−67;Kaapa E等、(1994年)損傷したブタの椎間板におけるコラーゲン、J.Orthop. Res.12.93−102;およびKaapa E等、(1994年)実験的に損傷したブタの椎間板におけるプロテオグリカンの化学作用、J.Spin.Dis.7,296−306)損傷した椎間板における大きい高浮遊密度アグリカン型プロテオグリカンの損失、および小さいDS置換プロテオグリカンデコリンおよびビグリカンのレベルの上昇(Melrose J.等、(1992年)線維輪に対する外科的損傷により椎間板内に誘発されるマトリクスの変化の長期にわたる研究、J Orthop Res 10:665−676;Melrose J.等、(1997年)実験的な椎間板変性のヒツジの環状病巣モデルにおけるアグリカンの異化の局所的変化、J Spinal Disord 10:55−67;およびMelrose J.等、(1997年)実験的な椎間板変性のヒツジの環状病巣モデルにおけるビグリカンおよびデコリンの合成の増加、Eur Spine J 6:376−84)。椎間板変性の結果として、軟骨終板(CEP)に対する血管供給の変化(Moore RJ等、(1992)、ヒツジにおける外側の環状破裂後の運動終板の血管の変化、Spine 17:874−878)、および実験的な環状欠損に隣接する椎間板の改造(Moore RJ,等(1996)、ヒツジにおける外側の環状損傷後の椎骨の改造、Spine 21 :936−940.)、「修復された」損傷の影響を受けた椎間板の生体力学的変化(Latham JM等、(1994)、環状破裂およびその後椎間板変性の機械的結果、J CHn Biomech 9:211−9)、および脊髄面関節における骨関節炎の変化(Moore RJ等(1999)、ヒツジの椎間板における環状縁の損傷から生じる面関節の変形性関節症、Spine,24:519−525)にも注目した。
【0159】
A.ヒツジの環状病巣モデル
ヒツジは、外科手術前の24時間にわたって絶食させて、1gのチオペントンを静脈注射して全身麻酔を行った。水平の単純なX線フィルムは、通常の腰椎の解剖学的構造を検証するために撮影する。一般的な全身麻酔は、気管支内挿管後、2.5%のハロタンによって維持し、パルス濃度計および呼気終末CO測定によって監視する。肋骨から腸骨稜までの左脇腹は、無菌外科手術のために準備する。ヒツジは、1200mgのペニシリンの筋肉注射を受ける。皮膚の切開は、脊椎の横突起の直前の左側に行い、腰椎は、前面筋肉分割技術を使用して、ブラント切開によって露出させる。血管および神経解剖学を遵守し、出血は、必要に応じて直接圧力または電気灼熱器により制御する。
【0160】
全部で12匹の2歳のヒツジは、#1手術用メス刃を使用して、頭蓋運動終板に平行および隣接して左前外側線維輪を貫通して切開することにより、それぞれのL1−L2、L3−L4およびL5−L6椎間板に、制御された環状病巣を施され、4mm長×5mm深さの損傷を形成される。介在する椎間板(L2〜L3、L4〜L5)は、切開しない。
【0161】
切開された椎間板は、3種類の治療の1つを受ける、(I)治療しない、(II)媒体、または(III)媒体中の可溶性OP−1複合体。すべてのヒツジにおいて、L3〜L4椎間板は、治療を行わない環状病巣を施される。4匹のヒツジでは、L1〜L2椎間板は、媒体のみで処置し、L5〜L6椎間板は、可溶性OP−1複合体および媒体で処置する。他の4匹のヒツジでは、L1〜L2およびL5〜L6椎間板の処置を逆にして、脊髄レベルに関連して可能性のある結果のバイアスを防止する。手術を行わない椎間板は、治療された椎間板間に維持し、後続の機械的テストにおいてFSUの適切な固定を可能にする(以下参照)。針金縫合は、X線および形態学的同定の両方で、その後頭側の手術レベルを特定するために使用される。これらの追加の非手術動物は、生体力学的調査のコントロールとしても使用される。
【0162】
環状切開後の変性は、ヒツジにおいて十分に確立されており(Osti OL等、(1990年)Volvo Award for Basic Science,Annulus tears and intervertebral disc degeneration。動物モデルを使用する実験的な研究Spine 15:762−7)は、12週後に、最も早いX線および組織化学的証拠を示すと予想することができる。環状病巣を導入して3ヶ月後に、ヒツジは、6.5gのペントバルビタールナトリウムを静脈注射して殺され、腰椎のX線写真を撮影して、椎間板の石灰化を評価し、生体力学的(n=8)および組織額的(n=4)分析のために切除して処理し、生体力学的テスト後、同じ椎間板を帯状に切開して、組成物の分析を行う。
【0163】
B.椎間板組織の組成物の分析
椎間板組織は、図5に示すように、帯状に切開して環状四分円および髄核状にする。
【0164】
C.椎間板組織のプロテオグリカンおよびコラーゲン成分の判定
線維輪および髄核のサンプルは、氷の上で細かくさいころ状に切り、既知の湿重量の各々の組織帯の代表的な部分を、一定の重量まで凍結乾燥させる。組織の開始と終了重量との差は、それぞれの水分を示す。乾燥組織の3つの部分(1〜2mg)は、110℃の6M HCL中で16時間にわたって加水分解し、中和された消化物のアリコートは、組織のコラーゲン分の指標としてヒドロキシプロリンの測定を行う(Melrose J等、(1992年)線維輪に対する外科的損傷により椎間板内に誘発されるマトリクスの変化の長期にわたる研究、J Orthop Res 10:665−676;Melrose J等、(1994a)、正常な成体ヒツジの椎間板、マトリクスにおけるプロテオグリカンの異質性、14:61−75;Melrose J等、(1994b)脊髄レベルによるヒツジ椎間板の組成物、およびその成分のプロテオグリカンの変化、Vet Comp Orthop Traum 7:70−76;Melrose J等、(1991年)ヒトの椎間板におけるプロテオグリカン異質性に対する脊柱側湾症および加齢の影響J Orthop Res 9:68−77;およびMelrose J等、(1996年)キモパパインによる化学的髄核融解術後の椎間板の再構成は、用量によって決まる:ビーグル犬における実験調査 Spine 21:9−17)。乾燥組織(約2mg)の3つの部分も、パパインにより消化され、溶解した組織のアリコートは、異染性染料1,9−ジメチルメチレンブルーを組織プロテオグリカンの指標として使用して、硫酸化グリコサミノグリカンを測定する(上記のMelrose等、1991年、1992年、1994年、1996))。
【0165】
D.組織化学的および免疫組織化学的分析
組織化学的分析に指定される背骨運動部分は、骨鋸を使用して、頭蓋および尾側椎体を軟骨性運動終板付近で切断して単離される。隣接する椎体部分を含む全体の椎間板標本は、全体的に、10%中性緩衝ホルマリンまたはHistochoice(登録商標)中で、56時間にわたって定着させ、5%NBF中の10%ギ酸を数回変えて、一定に攪拌しながら2週間にわたって、Faxitron HP43855AX線キャビネット(米国、マクミンビルのHewlett Packard)を使用して、完全な脱灰が確認されるまで脱灰する。
【0166】
脱灰した椎間板−椎体標本の矢状スライス(5mm厚)は、標準の組織学的方法により段階的エタノール溶液を通して脱水し、パラフィン蝋中に埋め込む。パラフィン部分4μm厚は、組織化学的染色の準備をして、Superfrost Plusガラス顕微鏡のスライド(Menzel−Glaser)上に85℃で30分間、次に55℃で一晩配置する。これらの部分は、キシレン中で脱パラフィンし(4回変更×2分)、水に対する段階的エタノール洗浄(100〜70%v/v)を通して再水和される。
【0167】
すべてのブロックからの3つの部分は、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。これらの部分は、環状切開のみを施されるレベルの組織学的特性と、切開され、可溶性OP−1複合体を受領するレベルの組織学的特性を比較する個々の組織病理学者によって検査される。4点半定量的等級付けシステムを使用して、顕微鏡的な特徴を評価する。コラーゲン構造も、偏光顕微鏡法を使用して、マッソントリクロームおよびピクロシリウスレッドで染色した部分で検査される。
【0168】
免疫組織化学的手順は、上記のとおり、Sequenzaカセット、および使い捨て式のカバープレート免疫染色システムを使用して行われる(Melrose J等、(2002年)パーリカン、基底膜のマルチ領域プロテオグリカンは、ヒツジの脊椎成長プレートの異常肥大軟骨細胞、および軟骨性終板軟骨の突出した細胞周囲の要素でもある、Histochem. Cell Biol.118,269−280;Melrose J等、(2002年)実験的な椎間板変性のヒツジ環状病巣モデルにおけるプロテオグリカンの減少に関連する神経および血管の内殖の増加、Spine 27,1278−85;Melrose J等、(2002年)、単分子層およびアルギン酸塩ビード培地における椎間板細胞、滑液線維芽細胞および関節軟骨細胞の形態および成長特性、Eur.Spine J.12,57−65;Melrose J等(2001)プロテオグリカンエピトープの差別的発現、およびアルギン酸塩ビード中のヒツジ椎間板細胞成長の成長特性、Cells Tissues Organs 168:137−146;Melrose J等、(2003)パーリカン、基底膜のマルチ領域HS−プロテオグリカンは、発現するヒトの脊柱の軟骨性椎体原基、脊椎成長プレートおよび椎間板の突出した細胞外および細胞周囲の要素である、J Histochem Cytochem 51:1331−1341;Melrose J等、(2000年)アルギン酸塩ビード培地におけるヒツジ椎間板によるプロテオグリカンエピトープの差別的発現、J.Anat.197:189−198;Melrose J等、(2002年)腫瘍増殖因子−β、線維芽細胞増殖因子−2、オステオネクチンの空間および時間的局在化、並びに損傷した線維輪においてα平滑筋アクチンを発現する細胞の特定:細胞外マトリクスの修復の意味、Spine 27:1756−1764;およびKnox S等、(2002年)すべてのパールカンが、等しく生成されるわけではい:線維芽細胞増殖因子−2(FGF−2)およびFGF受容体との相互作用、J.Biol.Chem.277:14657−14665)、内因性ペロオキシダーゼ活動は、最初に、組織部分を3%Hで培養することによって遮断される。次に、20mMのトリスアセテート緩衝液pH8.0中において1時間にわたって37℃でコンドロイチナーゼABC(0.25U/ml)を使用し、および1時間にわたって37℃で、リン酸緩衝液pH5.0中でウシ睾丸ヒアルロニダーゼ1000U/mlを使用するという組合せで、この組織部分の前消化を行い、20mMのトリス−HCl pH7.2 0.5M NaCl(TBS)またはプロテイナーゼ−K(DAKO S3020)中において6分間室温で3回洗浄して、抗原エピトープを露出させる。この組織は、次に、1時間にわたって20%の正常ブタ血清中で遮断し、大きいプロテオグリカンおよび小さいプロテオグリカン並びにコラーゲンに対するある数の一次抗体を使って精査する(表5)。負のコントロール部分も、一次抗体を除外するか、あるいは無関係なアイソタイプの適合一次抗体を該当する真の一次抗体と置換することによって処理される。西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼ共役二次抗体は、TBSまたはNova RED担体中の0.05%の3,3’−ジアミノベンジジンジヒドロクロリド、および0.03%の Hを使用する検出に使用される。染色スライドは、Leica MPS60顕微鏡写真機デジタルカメラシステムを使用して、明視野顕微鏡検査により検査し、写真を撮影する。
【0169】
【表5】

E.背骨運動部分の生体力学的評価
非破壊的な生体力学的運動範囲(ROM)分析は、各々の機能的脊柱単位(FSU)に関して、様々な運動平面内で(屈曲−伸張、側方屈曲、圧縮、および捻転)行われる。各々のFSUは、2つの隣接する脊椎、介在する椎間板、および関連する靭帯を含む。
【0170】
Callaghan and McGiIlが開発した治具に基づいて特別に設計された治具は、一定の軸荷重を維持しつつ、純粋な捻転および屈曲モーメントを各々のFSUに適用することを可能にする。この結合荷重は、インビボで脊柱に生じる生理的負荷の厳密なシミュレーションである。
【0171】
4つのFSUをテストする:手術しないコントロールレベル;切開されるレベル;切開され、可溶性OP−1複合体および媒体で処置されるレベル、および切開されており、媒体のみ処置されるレベル。各々のFSUは、2つのアルミニウム合金カップ内に実装し、低温硬化セメントで固定する。椎間板がカップに整列するようにように注意を要する。テストを開始する前に、各々のFSUは、水和作用の再現可能な状態が達成されるまで、0.5MPaの応力まで予荷重を与える。これは、各々のテストの前の基準として使用される。0.5MPaの予荷重応力は、リラックスして立っている状態をシミュレートしており、椎間板内圧力のインビボの測定結果に基づいている(Wilke H−J等、(1999年)日常生活における椎間板内の圧力のインビボでの測定結果、Spine 24:755−62)。±5Nmの捻転荷重および±1Nmの屈曲−伸張、側方屈曲荷重を10回より多く繰り返して、一定の0.5MPa軸方向負荷状態で加える。繰り返し軸方向荷重(0回を超える0〜1000N)を加えて、IVDの軸方向圧縮反応を調査する。
【0172】
(実施例8 ヤギモデルにおける軟骨、および微小破壊を処置された軟骨欠損に対するOP−1の効果)
この調査は、ヤギモデルにおける微小破壊手順によって誘発される修復組織の量および組成物に対する可溶性OP−1複合体の影響を評価する。全部で24匹の成体のオスヤギ(年齢1.5〜3歳)体重約25kgを使用する。外科手術前に、膝関節を検査して、変性関節疾病またはその他の注目すべき整形外科的問題を持つ動物を排除する。1つの8mm(1辺)角の軟骨の欠損(最高到達点−石灰化軟骨層まで軟骨を除去する)は、すべての動物の右膝(後膝関節)の滑車溝内に形成する。12匹のヤギの場合、軟骨欠損は、処置部位として役立つであろう(IA群およびIIB群(以下の表6参照))。次に、12匹の動物の右膝関節に微小破壊の処置を施す(IIAおよびIIB群)。約1mm径のピックを使用して、16個の微小破壊孔を形成する。
【0173】
手術直後、可溶性OP−1複合体(Sol.OP−1 Cmplx)を関節の滑液内に注射する。7日後に、第2の注射薬を投与する。軟骨の欠損群(IB)の6匹の動物、および微小破壊群(IIB)の6匹の動物の場合、媒体のみを送達する。
【0174】
【表6】

すべての動物は、外科処置から16週後に屠殺する。すべての部位は、組織形態計測による評価のために準備する。各々の欠損の中心部分の1つの組織学的部分を評価する。元の軟骨の欠損領域を充填する特定の組織の種類(関節軟骨、ヒアリン軟骨、線維軟骨、および線維組織)は、顕微鏡の接眼レンズのグリッドを使用して決定する。組織の型に関して十分に認められている組織学的基準(たとえば、Wang Q.等、イヌの関節軟骨内の欠損の治癒;血管のないα平滑筋アクチンの分布−細胞を含む、Wound Repair Regen.8,pp.145−158(2000年);Breinan HA,等、微小破壊で処置したイヌの関節軟骨の欠損の治癒、II型コラーゲンマトリクス、または培養された自己由来の軟骨細胞、J.Orthop.Res.18,pp.781−789(2000);およびBreinan,HA,等、イヌモデルにおける軟骨の欠損の修復に対する培養された自己由来の軟骨細胞の効果J.Bone Joint Surg.79A,pp.1439−1451(1997年))。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28−1】
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【図28−2】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−49716(P2013−49716A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267047(P2012−267047)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2009−511116(P2009−511116)の分割
【原出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(595148888)ストライカー コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【Fターム(参考)】