説明

軟骨細胞の培養方法、軟骨細胞培養基材、軟骨細胞含有生体組織再生用材料および軟骨細胞

【課題】軟骨細胞を3次元的に簡便に培養する技術を提供する。
【解決手段】軟骨細胞の培養方法等であって、培養する軟骨細胞1の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部21が形成された培養面を有する培養基材2の前記複数の凸部21に軟骨細胞1を播種し、前記軟骨細胞1を配置した培養基材2を培養容器中に配置して培養を行うことで軟骨細胞塊を形成させることを特徴とする軟骨細胞の培養方法等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養基材を用いて軟骨細胞を培養する技術に係り、特に、培養基材を用いて所定の表現型で軟骨細胞を培養する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療目的に用いられる細胞培養技術が進歩し、再生医療やセルエンジニアリングへの応用の期待が高まっている。
軟骨組織は、自己修復能が極めて小さいため、小さな損傷では自然修復が期待できても、変形性関節症(OA)や関節リウマチ(RA)等で生じるある程度以上の損傷では、自然治癒は期待できない。軟骨組織の代表的な治療技術の一つである人工関節置換術は、人工関節の磨耗等のために10年以上の長期使用は困難であり、適用限界がある。
【0003】
近年、整形外科領域では、軟骨欠損部位の修復に、患者から採取した自家軟骨より単離した軟骨細胞を、一旦生体外で培養、増殖させてから欠損部位に再移植する技術が活発に研究され、一部では実用化されている。この際に、2次元的に培養された軟骨細胞を利用すると、所望する位置へ軟骨細胞を配置することが難しくなったり、繊維芽細胞へと脱分化して軟骨細胞が本来分泌するコラーゲンタイプIIやアグリカンなどの軟骨基質(マトリックス蛋白質)を分泌しなくなり、三次元軟骨組織を構築できなくなっていたりするため、適切ではない場合がある。
【0004】
通常、軟骨細胞をシャーレのような培養表面が平坦な培養器で2次元培養すると、2次元シートしか得られない。所望する位置に細胞を配置したり、細胞が本来分泌する軟骨基質を分泌させるために、細胞の3次元培養法の開発が望まれている。また、3次元培養法のなかでも、大型な3次元組織を構築する3次元培養法は、使用するシステムが大がかりであったり、コストがかかったりする。
【0005】
そこで、従来では、3次元培養法の一つとして、攪拌培養法が利用されている。また、3次元培養法の一つとして、RWVバイオリアクターを用いて大型軟骨を構築する方法が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第2005/056072A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、攪拌培養法では、細胞に与える機械的刺激や損傷が強く、細胞内部で壊死が起こりやすい。従って、静置しつつ、3次元的に組織構築する細胞培養法が望まれている。
また、RWVバイオリアクターを用いて大型軟骨を構築する方法は、培養液が多量に必要であり、熟練者による培養が必要であり、コンタミネーションを起こしやすい。従って、厳密な無菌状態で、細心の注意のもとで培養する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、軟骨細胞を3次元的に簡便に培養する技術を提供することを目的とする。特に、簡便に利用可能なスフェロイド状の組織を培養する3次元培養技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の軟骨細胞の培養方法は、培養する軟骨細胞の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部が形成された培養面を有する培養基材の前記複数の凸部に軟骨細胞を播種し、前記軟骨細胞を配置した培養基材を培養容器中に配置して培養を行うことで軟骨細胞塊を形成させることを特徴とする。
なお、他の発明については、本明細書の中で明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、軟骨細胞を3次元的に簡便に培養することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本発明は、軟骨細胞を培養する軟骨細胞培養基材に、培養用培養液と軟骨細胞とを配して、前記軟骨細胞を対応する培養条件下で培養するに当たって、前記軟骨細胞培養基材の培養表面に、所定の形状と間隔を有する複数の凸部が設けられた軟骨細胞培養基材を用いると、軟骨細胞を所定の表現型に制御して培養を行うことができるという知見に基づいて創作されたものである。
【0012】
図1は、本実施形態の軟骨細胞および軟骨細胞培養基材(適宜、「培養基材」という)を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の軟骨細胞1は、軟骨細胞1の相当直径よりも小さい相当直径の複数の凸部21が形成された培養表面の前記複数の凸部21の最上面(頂部)21Aに接して培養された軟骨細胞1である。ここで、「最上面(頂部)21Aに接して」とは、軟骨細胞1の少なくとも一部分が複数の凸部21の頂部21Aに接しつつ、基材ベース上面22A(図2(b)参照)に接してない状態である。典型的な例としては、軟骨細胞1が、複数の凸部21の頂部21Aの上側に跨って接着されている状態である。
そして、このように軟骨細胞1が培養されると、増殖などによる細胞や播種細胞など複数の軟骨細胞1が3次元的に凝集してスフェロイド(軟骨細胞塊に相当する)を形成する。ここで、「軟骨細胞塊」とは軟骨細胞1が互いに接している状態であって、例えば、軟骨細胞1が密着している状態、重なり合っている状態、接着している状態等を含む。
【0013】
<<軟骨細胞1>>
培養に用いられる軟骨細胞1は、軟骨細胞培養基材2で培養できるものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知の軟骨細胞1から適宜選択できる。例えば、ヒトを対象とした再生治療に適用する場合には、軟骨細胞1はヒト由来の軟骨細胞1であることが好ましいが、患者の患部に適応する軟骨細胞1であれば非ヒト動物由来であってもよい。また、軟骨細胞1は、例えば、生体軟骨から調整したものであっても、幹細胞から軟骨細胞1に分化誘導したものであっても、さらには、これらを継代培養後に使用するものであってもよい。
【0014】
とりわけ、再生治療の対象となる個体自身の軟骨細胞1(特に、骨髄、滑膜由来間葉系幹細胞が好ましい)を用いれば、移植の際に免疫抑制処理を施す必要が無いために最適である。個体自身から対応する軟骨細胞1を得ることができない場合には、個体と同種のドナー由来の軟骨細胞1(特に、骨髄、滑膜由来間葉系幹細胞が好ましい)を用いることができる。この場合は拒絶反応が小さくなるようなドナーの選択と、移植をする際の免疫抑制とが必要である。
換言すると、入手可能な軟骨細胞1から目的に応じて好適なものを適宜選択して、本実施形態に適用可能である。
【0015】
また、軟骨細胞1の底面の形状は必ずしも円形ではない。従って、本実施形態においては、軟骨細胞1の大きさを規定する場合に、円形のみを想定した「直径」等の表現は用いず、「相当直径」として記載する。なお、軟骨細胞1の相当直径の定義は、後記する凸部21の相当直径の定義を参照することができる。
【0016】
<<軟骨細胞培養基材2>>
図2は、本実施形態の軟骨細胞培養基材2の構成を示す斜視図であって、(a)は全体図、(b)は(a)で示したA領域の部分拡大図である。
図2(a)に示すように、軟骨細胞培養基材2は、基材ベース22と、この基材ベース22の培養表面(例えば、上面側)に形成される複数の凸部21とを含んで構成される。そして、この複数の凸部21は、軟骨細胞培養基材2で軟骨細胞1が培養される際に、軟骨細胞1を3次元的に凝集させる制御を行うことにより、スフェロイドを形成させるものである。
【0017】
<<凸部21>>
図2(b)に示すように、凸部21は、その最上面21Aにおいて所定の相当直径rを有し、所定の間隔gで配列している。
凸部21の最上面21Aの形状は、必ずしも円形である必要はない。従って、本実施形態においては、最上面21Aの大きさを規定する場合に、円形のみを想定した「直径」等の表現は用いず、「相当直径」として記載する。
ここで、「相当直径」とは、凸部21の最上面21Aの直径または直径に相当する長さであって、最上面21Aの形状が円形の場合にはその直径、矩形である場合にはその一辺の長さ、また、そのいずれにも該当しない場合には、例えば、円相当径を用いることができる。円相当径は、必ずしも円形ではない最上面21Aの形状を、円形とみなしてその直径を規定するものである。例えば、円相当径として、最上面21Aの面積と同じ面積を持つ円の直径とみなす面積円相当径、最上面21Aの周長と同じ長さの円の直径とみなす周長円相当径、最上面21Aの形状に外接する円の直径とみなす外接円相当径、最上面21Aの形状に内接する円の直径とみなす内接円相当径等が挙げられ、最上面21Aの形状に応じて適宜選択することができる。
【0018】
凸部21の相当直径rは、軟骨細胞1との接触面積を減らすために軟骨細胞1の相当直径よりも小さくすることが好ましい。このような構成とすることにより、軟骨細胞1が凸部21の最上面21A上で培養される場合には、軟骨細胞1の底面と培養液との接触面積が増加し、軟骨細胞1と培養液間の栄養物質や老廃物との交換を促進することができるため、軟骨細胞1がスフェロイドを形成する際に所定の効果を奏する。
また、相当直径rの下限は、複数の凸部21を均一な加工精度で形成することができれば特に限定されない。
具体的には、凸部21の相当直径rは、好ましくは10nm以上、10μm以下であって、より好ましくは0.2μm以上、5.0μm以下である。
【0019】
凸部21の配列の様式は、所定の間隔gを満たす範囲において、様々に規定することができる。例えば、複数の凸部21の配列の様式は、同一の凸部形成領域における効果の均一性を保持するために、2次元正方格子状や千鳥格子状であることが好ましい。
凸部21間の間隔gは、凸部21の最上面21A外周から当該凸部21に隣接する凸部21の最上面21A外周までの最短距離として規定する。例えば、図2に示すように、凸部21の配列の様式が2次元正方格子状の場合には、凸部21間の間隔はgの長さである。
そして、本実施形態においては、凸部21間の間隔gを、培養する軟骨細胞1の相当直径よりも小さく設定する。このように設定することによって、軟骨細胞1は、凸部21間の隙間に入り込むことがなくなり、凸部21の最上面21A上で培養されることとなる。
【0020】
凸部21の高さは、凸部21間の基材ベース上面22A上に充分に培養液を浸透させ、かつ、凸部21の最上面21A上で培養されている軟骨細胞1の一部が、基材ベース上面22Aに触れることを防止できる高さに設定される。凸部21の高さは、例えば、0.1μm以上であれば充分であるが、凸部21の相当直径rの長さよりも長い方が、より好適である。一方で、構造強度的な観点から、凸部21の高さの上限が、凸部21の相当直径の100倍に設定されることが好ましい。
具体的には、凸部21の高さは、好ましくは10nm以上、1mm以下であって、より好ましくは0.1μm以上、100μm以下である。
なお、凸部21の高さ方向の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、柱状、錐状、逆錐状等であってもよく、また、その外周部の形状や修飾等は、特に限定されるものではない。凸部21の高さ方向の形状は、例えば、根本から先端にかけて細くなっていく形状であってもよく、根本から先端にかけて細くなり先端部に太い部分を有するきのこのような形状でもよい。
【0021】
凸部21や基材ベース22を含む軟骨細胞培養基材2の材質は特に限定されないが、所望する加工精度、表面特性、光学特性、強度等に応じて適宜選択される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、およびこれらを2種以上ブレンドした材料を用いることが可能である。また、この他に石英、ガラス類等の無機物も使用することが可能である。
なお、凸部21と基材ベース22とは、例えば、同じ材料で構成して一体的に形成してもよく、また、異なる材質で構成して基材ベース上面22Aに凸部21を接着する構成としてもよい。ただし、凸部21と基材ベース22とを同じ材料で構成して一体的に形成する方が、高い強度を得られるためにより好ましい。
【0022】
また、凸部21や基材ベース上面22Aを含む軟骨細胞培養基材2の培養表面は、目的に応じて、様々な処理を施すことができる。
例えば、過酸化水素やオゾン等の酸化剤を含む溶媒を用いた溶媒への浸漬や紫外線照射、プラズマ処理等の気相処理等による親水化処理、疎水化処理、溶液への浸漬等によるポリリジン、アルブミン、コラーゲン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、ラミニン等のタンパク質によるコート、若しくは無電解めっき、気相蒸着法による金属コート、温度感応性被覆材によるコート、光や電子線、粒子線等による表面改質が行われ、軟骨細胞1の培養に必要な表面処理が施される。
また、これらの表面処理は、軟骨細胞培養基材2の表面全体に渡って施してもよいし、限定した領域であってもよい。例えば、一部の凸部21と、その他の凸部21とに対し、異なる表面処理を施してもよいし、凸部21と、それ以外の部位とに対し、異なる表面処理を施してもよい。また、凸部21の最上面21Aと、当該凸部21の外周面とに対し、異なる表面処理を施してもよい。
【0023】
なお、軟骨細胞培養基材2と軟骨細胞1とで軟骨細胞含有生体組織再生用材料3を構成し、この軟骨細胞含有生体組織再生用材料3を患者の体内に埋入して使用してもよい。
このような軟骨細胞含有生体組織再生用材料3を構成する軟骨細胞培養基材2は、生分解性物質(水解性物質を含む)によって構成されることがより好ましい。
【0024】
このような軟骨細胞含有生体組織再生用材料3を構成する軟骨細胞培養基材2の材質は、例えば、アルギン酸、架橋アルギン酸、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、セルロース、デンプン、架橋デンプンおよびこれらの誘導体等の多糖類;ゼラチン、架橋ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、フィブリン、アルブミン等の蛋白質;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジン等のポリペプチド;ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、グリコール酸/乳酸共重合体、グリコール酸/カーボネート共重合体、ポリジオキサノン、シアノアクリレート系重合体等の合成高分子材料;水酸アパタイト、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム等の無機材料等を挙げることができる。なかでも、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、グリコール酸/乳酸共重合体等の合成高分子材料を主成分とする軟骨細胞培養基材2は、剛性、安定性、柔軟性、透明性、耐熱性、耐湿熱性等の点で優れているため、好適である。
【0025】
ここで、本実施形態の軟骨細胞培養基材2の製造方法を図面を参照して説明する。
図3は、軟骨細胞培養基材2の製造方法の一例であるナノインプリント法による製造工程を説明するための図である。
まず、図3(a)に示すように、軟骨細胞培養基材2の原料である基材原料4と金型5を用意する。基材原料4は、前記した軟骨細胞培養基材2に好適な材料である。金型5の材質は、ニッケル等の金属、カーボンやシリコン等の無機物、PDMS等の有機物、および樹脂組成物等から、基材原料4の材質や凸部21の加工精度に応じて適切に選択される。金型5表面への金型凹部6の形成法は、切削加工、光リソグラフィ法、電子線直接描画法、粒子線ビーム加工法、走査プローブ加工法等の微細加工法や微粒子の自己組織化、又はこれらの手法によって形成されたマスタからのナノインプリント法、キャスト法、射出成型法に代表される成型加工法、めっき法等から適切に選択される。
【0026】
なお、金型5の金型凹部6の深さ、大きさ、軟骨細胞培養基材2の材質等を調整することで凸部21の高さ、相当直径r、間隔g等を制御できる。さらに、金型凹部6の位置を制御することで凸部21を形成する位置を制御できる。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、基材原料4の少なくとも表面を軟化し、金型凹部6が形成された金型5を押し付けることによって、金型凹部6の形状を基材原料4に転写する。
そして、図3(c)に示すように、金型5を引き剥がすことによって、基材ベース上面22Aに凸部21が一体的に形成された軟骨細胞培養基材2を得ることができる。
なお、加熱した基材原料4から金型5を離型する際に、基材ベース上面22Aおよび凸部21の損傷を防ぐために、金型5の表面をフッ素系、または、シリコーン系等の離型剤でコートしておくことが好ましい。
【0028】
そして、形成された凸部21を含む軟骨細胞培養基材2の表面に対し、必要に応じて、浸漬法、スピンコート法、蒸着法、プラズマ重合法、インクジェット法、スクリーン印刷法のように新たに層を付加する手法や、加熱、光照射、電子線照射、プラズマ処理、浸漬処理等によって、表面修飾を施すこともできる。なお、この表面修飾処理は、凸部21の形成後に限らず、例えば、形成前の基材原料4または金型凹部6の表面にあらかじめ表面処理を施し、凸部21の形成と同時に凸部21を含む細胞培養基材2の表面に修飾処理を施すこととしてもよい。
【0029】
なお、軟骨細胞培養基材2の製造方法は前記したナノインプリント法に限定されず、例えば、切削加工法や印刷法、イオンビーム加工法、電子ビーム加工法、レーザ加工法、光リソグラフィ法、キャスト法、射出成型法による加工法等から、基材原料4の材質や凸部21の加工精度に応じて適切に選択される。また、キャスト法や射出成型法で製造する場合には、前記した形成法により形成した金型5を用いることができる。
【0030】
なお、このような軟骨細胞培養基材2と培養器7とを組み合わせて構成した軟骨細胞培養キット8(図4(a)参照)、あるいは、一体形成して構成した軟骨細胞培養キット8(図4(b)参照)も本発明の範囲内に含まれる。また、軟骨細胞培養キット8としては、培養液を含む構成としてもよい。
【0031】
<軟骨細胞の培養方法>
次に、本実施形態の軟骨細胞1の培養方法を図面を参照して説明する。
本実施形態の軟骨細胞1の培養条件については、選択された軟骨細胞1に対応する従来公知の培養条件の中から、適宜適切な条件を適用することができる。この選択された軟骨細胞1に対応する培養条件は、当業者であれば、容易に選択し、選択した培養条件に基づいて培養を実施することができる。
【0032】
使用する培養液は、軟骨細胞1の培養に適切とされる従来公知の組成のものでよく、例えば、製造メーカにより提供される軟骨細胞培養用の培養液を使用することができる。このとき、軟骨細胞1の軟骨細胞培養基材2への接着や、スフェロイドの形成を補助する試薬を添加してもよい。
ただし、本実施形態においては、軟骨細胞培養基材2による軟骨細胞1の表現型の制御効果を明確に説明する必要性に鑑み、定着を除く培養中の培養液には軟骨細胞1の表現型を誘導・抑制する物質を特に含有していない培養液で培養を行うことを前提として説明する。
【0033】
軟骨細胞1の培養に使用するインキュベータは、軟骨細胞1を培養することができれば特に限定されないが、例えば、一般的な細胞の培養に使用するものと同様のCO2インキュベータを使用することができる。通常、CO2インキュベータは、CO2濃度5%、温度37℃、相対湿度80%に設定されている。
【0034】
ここで、軟骨細胞1の培養手順を図4(a)を参照しながら説明する。図4(a)は、軟骨細胞1の培養手順を説明するための図であって、軟骨細胞1を培養するための軟骨細胞培養キットの一例を示す縦断面図である。
まず、軟骨細胞培養基材2をシャーレ状の培養器7底部の上面側に設置して、軟骨細胞培養キット8を構成する。そして、軟骨細胞1を培養液(図示せず)とともに培養器7内部の軟骨細胞培養基材2上に播種する。このとき、軟骨細胞培養基材2の培養表面は培養液により浸漬され、培養液中の軟骨細胞1は、軟骨細胞培養基材2上へと沈降する。
そして、培養液および軟骨細胞1が播種された軟骨細胞培養基材2をCO2インキュベータ内で所定期間静置する。
【0035】
この過程で、軟骨細胞1は、軟骨細胞培養基材2上に定着(接着)し、培養されるが、定着後には、所定の間隔毎に培養液を交換してもよい。培養に使用する培養液は、血清培養液、無血清培養液、サプリメントやサイトカイン添加培養液でも良く、例えば、無血清培養液の場合、1日もしくは2日毎に培養液を交換することが好適である。
そして、前記所定期間経過後、軟骨細胞1を使用する。この所定期間は、特に限定されるものではなく、所望する軟骨細胞1の表現型(例えば、スフェロイドの大きさ、スフェロイドに含まれる軟骨細胞1の数、細胞外マトリクスの産生量等)に対応して延長または短縮して調節することができる。
また、軟骨細胞1を使用する際には、軟骨細胞1を軟骨細胞培養基材2の凸部21から剥離させて軟骨細胞1のみを使用してもよいし、軟骨細胞1および軟骨細胞培養基材2からなる軟骨細胞含有生体組織再生用材料3として使用してもよい。
【0036】
また、軟骨細胞培養基材2上でスフェロイドを形成している軟骨細胞1を剥離させる方法は、軟骨細胞1を軟骨細胞培養基材2から剥離させることができればどのようなものであってもよく、従来公知の方法を利用することができる。例えば、スフェロイドを切断したり、引っ張ったり等の物理的な剥離方法や、所定の試薬や酵素等を用いた化学的な剥離方法を利用することができる。
【0037】
図4(b)は、軟骨細胞1を培養するための軟骨細胞培養キット8の他の例を示す縦断面図である。図4(b)は、培養器7と軟骨細胞培養基材2とが一体に形成された軟骨細胞培養キット8であって、培養器7自身に直接複数の凸部21が形成された構成となっている。本実施形態の軟骨細胞1の培養方法においては、このような構成の軟骨細胞培養キット8も利用することができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想のおよぶ範囲で様々の変更実施を行うことができる。
本発明の軟骨細胞1や軟骨細胞培養基材2は、軟骨組織の再生に好適に用いることが考えられる。例えば、本実施形態の軟骨細胞1によれば、変形性関節症や関節リウマチの治療に好適に利用することが期待される。
【0039】
本発明の軟骨細胞を軟骨由来疾患を有する動物に移植して治療することも期待される。この場合の動物とは、当該動物に移植可能な軟骨細胞を入手可能な動物であれば特に限定されるものではなく、ヒト、家畜(ブタ、ウシ、ウマ等)、ペット用哺乳類(イヌ、ネコ等)、両生類、鳥類等種々の動物が挙げられる。
従って、本発明の範囲は、軟骨由来疾患を患う患者の疾患部位に、軟骨細胞を前記患者の疾患部位に移植する軟骨由来疾患の治療方法まで拡張されうる。
【0040】
また、本実施形態においては、軟骨細胞培養基材2に複数の凸部21を形成することによって軟骨細胞1の表現型を制御する構成としたが、軟骨細胞培養基材2に複数の凹部、または、凸部21と凹部とを組み合わせた凹凸構造を形成することによって軟骨細胞1の表現型を制御することも可能である。
【0041】
また、本実施形態において、培養表面は、単層シート状に形成された軟骨細胞培養基材2の上面側を示しているが、軟骨細胞培養基材2の形状および軟骨細胞培養基材2における培養表面の位置はこれに限定されるものではない。
例えば、軟骨細胞培養基材2の形状は、多面体、筒状、単層シートを積層した積層体等であってもよく、軟骨細胞培養基材2の側面、下面、内面等を培養表面としてもよい。
【実施例】
【0042】
次に、本発明のより具体的な例を実施例によって説明する。
【0043】
<第一実施例:軟骨細胞培養キット8の作製>
第一実施例は、複数の凸部21を有する軟骨細胞培養基材2と培養器7とが一体形成された軟骨細胞培養キット8(図4(b)参照)を作製した実施例である。
【0044】
第一実施例の軟骨細胞キット8は、厚さ2mmのポリスチレンを主成分とした直径35mmのシャーレ状の培養器7底部の上面側に、直径25mmの円状の領域に複数の凸部21を形成することによって作製した。ポリスチレンの分子量は2000から384万である。なお、更に分子量の上限は600万まで拡張することができる。
【0045】
凸部21は熱ナノインプリント法で作製した。凹凸を形成した金型5(図3参照)を130℃に過熱して、培養器7にプレス圧力4MPaでプレスした。金型5は結晶方位(100)、直径25mmの円状のシリコンウエハである。金型5を100℃まで冷却後に垂直に引き上げ凸部21を形成した。
【0046】
図5は、第一実施例で作製した軟骨細胞培養キット8底部の上面側に形成された複数の凸部21を示す部分斜視図である。
複数の凸部21は2次元正方配列で配列している。それぞれの凸部21は略円柱形状であり、最上面21Aの相当直径rが400nmで、下方に向かって末広がり状となっており、最下面では相当直径が500nmになっている。また、高さは1μmであり、高さと一辺の比は2となり、1より大きいことが分かる。複数の凸部21の間隔gは1μmであり、培養する軟骨細胞1の相当直径rよりも小さい値となっている。
このように作製された軟骨細胞培養キット8の凸部21は、軟骨細胞1の表現型を制御するための所定の形状や間隔を満たしつつも、凸部21が軟骨細胞培養キット8から取れにくいという効果を有していた。
【0047】
<第二実施例:ウシ関節軟骨細胞の培養>
第二実施例は、第一実施例と同様の製造方法で作製した軟骨細胞培養キット8でウシ関節軟骨細胞を培養し、培養された軟骨細胞(軟骨細胞塊)1について検証を行った実施例である。
【0048】
<<軟骨細胞1の培養>>
まず、軟骨細胞1を調整するために、ウシ関節軟骨部をメスで1mm角程度にスライスし、PBSで洗った。その後、コラゲナーゼ溶液(0.2%コラゲナーゼDMEM溶液、アンホテリシンB(5ml/500ml medium)を含む)にいれ、37℃で12−20時間攪拌・振とうし、コラーゲンを分解した。遠心分離(4℃、1200rpm、5分)により軟骨細胞を得た。その後、3×107cells/mlになるようにセルバンカーで希釈し、凍結保存した。
【0049】
次に、軟骨細胞1を培養するために、3種類の軟骨細胞培養キット8(以下に示す、実施例1、実施例2および比較例)の培養表面に、それぞれ、凍結融解した軟骨細胞1を2×106cells/cm2になるように播種した。3時間の初期培養の後、培養液((10-7Mデキサメタゾン(Sigma社製)、10ng/ml TGF−β3(Sigma社製、50μg/mlアスコルビン酸(Wako製)、ITS+Premix(BD製)、40μg/ml L−プロリン(Sigma社製)、およびAntibiotic-Antimycotic(GIBCO BRL社製)、を含むDMEM培養液(Sigma社製))を加え37℃、5%CO2下で培養を続けた。
【0050】
以下に、第二実施例で使用した3種類の軟骨細胞培養キット8の凸部21の特性について説明する。
実施例1 凸部の相当直径r:2.0μm、間隔g:2.0μm、高さ:1.0μm
実施例2 凸部の相当直径r:0.5μm、間隔g:0.5μm、高さ:1.0μm
比較例 凸部なし(培養器7のみ)
実施例1、実施例2の凸部形成領域は10mm×10mmの正方形状である。なお、これらの軟骨細胞培養キット8の製造方法については、第一実施例と同様であるので説明を省略する。
これら実施例1、実施例2および比較例を用いて、下記の評価を行った。
【0051】
<<軟骨細胞の評価方法>>
1.グリコサミノグリカン(GAG)の定量
実施例1、実施例2および比較例で培養したウシ軟骨のGAG量を、培養開始後36日で測定した。測定は、Blyscan Glycosaminoglycan Assay Kit (Biocolor Ltd.)を用いた色素定量による。
【0052】
2.走査型電子顕微鏡観察および光学顕微鏡観察
走査型電子顕微鏡観察するために、実施例1、実施例2および比較例で培養した軟骨細胞1を、2.5%グルタルアルデヒドを含むPBSで4℃にて3時間固定し、0.1%四酸化オスミウム(OsO4)中4℃で2時間インキュベートし、50、60、70、80、90、95、100%エタノールで30分ずつ順次脱水処理を行った。その後、t−ブチルアルコール中で凍結乾燥させ、プラチナコートし、HITACHI S−4500走査型電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。
また、光学顕微鏡観察は、Olympus CKX−41型顕微鏡を用いて観察した。
【0053】
3.蛍光抗体法による軟骨マーカータンパク質の検出
36日間の培養の後、TBS−Ca(1mM CaCl2を含むTris-buffred saline、pH7.6)で3回洗い、4%パラフォルムアルデヒドで室温15分固定した。TBS−Caで3回洗った後、−20℃で30分間メタノール処理を行い、5%スキムミルクを含むTBS−Caで2時間ブロッキングを行った。TBS−Caで1回洗った後、一次抗体(抗マウスII型コラーゲン抗体;第1ファインケミカル)を5%スキムミルクを含むTBS−Caで1/500に稀釈し、4℃オーバーナイトで静置した。TBS−Caで2回洗った後、2次抗体(Jackson Immuno Research、FITC-conjugated Affinity Pure F(ab')2 fragment goat anti-mouse IgG(H+L))をTBS−Caで1/100に稀釈して加え、室温で30分処理、TBS−Caで3回洗った後、蛍光退色防止剤(Vector Laboraories、VECTASHIELD)で封入し、Carl Zeiss AkioPlan2蛍光顕微鏡を用いて観察した。
【0054】
<<軟骨細胞の評価結果>>
図6は、軟骨細胞1で発現しているグリコサミノグリカン量の比較結果を示す図である。図6に示すように、実施例1および実施例2は、比較例と比較して、単位DNAあたりのグリコサミノグリカン量が多かった。さらに、実施例1と実施例2の比較から、2.0μmの相当直径rの凸部21を有する軟骨細胞培養キット8の方が0.5μmの相当直径の凸部21に比べて、グリコサミノグリカン量が多かった。
グリコサミノグリカンは、他の種類の細胞(例えば、繊維芽細胞)に比べ、軟骨細胞1において特に発現量が多いとされている。すなわち、グリコサミノグリカンの定量により、実施例1および実施例2に比べて比較例は、軟骨細胞1が脱分化を起こしていることが示された。また、実施例1と実施例2との比較から、凸部21の形状によって軟骨細胞1の分化の度合いが異なることが示された。
【0055】
図7ないし図9は軟骨細胞1の電子顕微鏡写真である。また、それぞれの図において、(a)と(b)とは拡大倍率が異なる。図7および図8に示すように、実施例1および実施例2ではスフェロイドを形成しやすいことが示された。さらに、実施例1と実施例2の比較から、0.5μmの相当直径rの凸部21を有する軟骨細胞培養キット8の方が2.0μmの相当直径rの凸部21に比べて、スフェロイドを形成しやすいことが示された。一方で、図9に示すように、凸部21を有さない比較例では軟骨細胞1はほとんどスフェロイドを形成しなかった。
【0056】
図10は、前記光学顕微鏡観察によって求めた軟骨細胞1のスフェロイド径分布を示す図であって、(a)は、凸部21の相当直径rが2.0μm(実施例1)、(b)は凸部21の相当直径rが0.5μm(実施例2)である。
図10に示すように、凸部21上での軟骨細胞1のスフェロイド径分布を示しているが、2.0μmより0.5μmの相当直径rの凸部21上での培養が、スフェロイド径をよく制御していることが分かった。
【0057】
図11は、軟骨細胞1におけるII型コラーゲンの発現を観察するための図であって、(a)は、凸部21の相当直径rが2.0μm(実施例1)、(b)は凸部21の相当直径rが0.5μm(実施例2)である。また、図11において、発色部分はコラーゲンタイプIIを発現している。図11に示すように、凸部21上の培養により構築されたスフェロイドは実施例1、実施例2の何れにおいても軟骨の特徴的なマーカーであるII型コラーゲンを発現していることが分かった。これにより、本発明の軟骨細胞培養キットによれば軟骨細胞1の脱分化を防ぐことができることが示された。
【0058】
以上によれば、複数の凸部21を有する軟骨細胞培養キット8(実施例1および実施例2)は、凸部21を有さない軟骨細胞培養キット(比較例)に比べ、軟骨細胞1のスフェロイド化を誘導するのに有利であることを示した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態の軟骨細胞および軟骨細胞培養基材を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の軟骨細胞培養基材の構成を示す斜視図であって、(a)は全体図、(b)は(a)で示したA領域の部分拡大図である。
【図3】軟骨細胞培養基材の製造方法の一例であるナノインプリント法による製造工程を説明するための図である。
【図4】軟骨細胞の培養手順を説明するための図であって、軟骨細胞培養キットの縦断面図である。
【図5】第一実施例で作製した軟骨細胞培養キット底部の上面側に形成された複数の凸部を示す部分斜視図である。
【図6】軟骨細胞で発現しているグリコサミノグリカン量の比較結果を示す図である。
【図7】軟骨細胞の電子顕微鏡写真である。
【図8】軟骨細胞の電子顕微鏡写真である。
【図9】軟骨細胞の電子顕微鏡写真である。
【図10】軟骨細胞のスフェロイド径分布を示す図であって、(a)は、凸部の相当直径が2.0μm(実施例1)、(b)は凸部の相当直径が0.5μm(実施例2)である。
【図11】軟骨細胞におけるII型コラーゲンの発現を観察するための図であって、(a)は、凸部の相当直径が2.0μm(実施例1)、(b)は凸部の相当直径が0.5μm(実施例2)である。
【符号の説明】
【0060】
1 軟骨細胞
2 軟骨細胞培養基材
3 軟骨細胞含有生体組織再生用材料
4 基材原料
5 金型
6 金型凹部
7 培養器
8 軟骨細胞培養キット
21 凸部
21A 最上面(頂部)
22 基材ベース
22A 基材ベース上面
g 間隔
r 相当直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨細胞の培養方法であって、
培養する軟骨細胞の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部が形成された培養面を有する培養基材の前記複数の凸部に軟骨細胞を播種し、
前記軟骨細胞を配置した培養基材を培養容器中に配置して培養を行うことで軟骨細胞塊を形成させることを特徴とする軟骨細胞の培養方法。
【請求項2】
前記軟骨細胞塊が相当直径10μm以上5.0mm以下の軟骨細胞塊であることを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項3】
前記軟骨細胞塊を形成する軟骨細胞が互いに接していることを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項4】
前記複数の凸部の相当直径が0.01μm以上10μm以下、高さが0.01μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項5】
前記軟骨細胞が生体軟骨より調整した軟骨細胞、または骨髄、滑膜由来間葉系幹細胞由来軟骨細胞由来であることを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項6】
前記軟骨細胞が患者から採取された細胞由来であることを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項7】
前記軟骨細胞が、培養液中にTGF−βおよび/またはデキサメタゾンを添加して培養して得られたことを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項8】
前記軟骨細胞の播種密度が1×104〜1×107cells/cm2の密度であることを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞の培養方法。
【請求項9】
軟骨細胞を培養するための軟骨細胞培養基材であって、
培養面と、
前記培養面に形成され、軟骨細胞を頂部に接して培養するための軟骨細胞の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部と、
を含むことを特徴とする軟骨細胞培養基材。
【請求項10】
さらに、培養液を入れるための培養器を含んで構成されることを特徴とする請求項9に記載の軟骨細胞培養基材。
【請求項11】
前記培養面と、前記培養器とが一体に形成されたことを特徴とする請求項10に記載の軟骨細胞培養基材。
【請求項12】
軟骨細胞の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部が形成された培養面を有する培養基材と、
前記複数の凸部頂部に接して培養された軟骨細胞と、を含んで構成され、
前記軟骨細胞が軟骨細胞塊を形成していることを特徴とする軟骨細胞含有生体組織再生用材料。
【請求項13】
軟骨細胞の相当直径よりも小さい相当直径と間隔を有する複数の凸部が形成された培養面の前記複数の凸部の頂部に接して培養され、前記軟骨細胞が軟骨細胞塊を形成していることを特徴とする軟骨細胞。
【請求項14】
前記軟骨細胞塊が相当直径10μm以上5.0mm以下の軟骨細胞塊であることを特徴とする請求項13に記載の軟骨細胞。
【請求項15】
前記軟骨細胞塊を形成する軟骨細胞が互いに接していることを特徴とする請求項14に記載の軟骨細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−54566(P2008−54566A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234630(P2006−234630)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】