転がり軸受用保持器
【課題】潤滑性、低トルク性等の保持器の性能を向上させるための加工部を積極的に設けた保持器をMIM法によって成型することによって、これらの諸性能を向上させた保持器を低コストで提供することである。
【解決手段】軸方向両端の環状部13と、その環状部13相互間を一定間隔で連結する多数の柱部14と、柱部14相互間に設けられたポケット部15とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部13、柱部14、ポケット部15の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための給油溝17等の加工部が設けられ、その加工部を含む全体がMIM法により成型された構成とした。
【解決手段】軸方向両端の環状部13と、その環状部13相互間を一定間隔で連結する多数の柱部14と、柱部14相互間に設けられたポケット部15とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部13、柱部14、ポケット部15の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための給油溝17等の加工部が設けられ、その加工部を含む全体がMIM法により成型された構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受用保持器に関し、特に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンのコンロッド大端部や遊星減速機の遊星部には、低断面でコンパクトな針状ころ軸受(ケージ&ローラー)が多く使用されているが、その潤滑のために所定量の潤滑油が使用される。しかし、例えば、エンジンにおいては、近年の環境問題などから排ガス規制への対応のため潤滑油を減らす傾向にあり、軸受の潤滑条件はますます厳しくなっている。
【0003】
コンロッド大端部や遊星部では、偏心運動により保持器に遠心力が負荷されるため、外径案内の保持器が多く使用される。外径案内の保持器は、保持器外径と外輪内径面とが滑り接触しながら案内される。このため、潤滑条件が厳しくなると保持器外径面の滑り接触部において油膜切れが発生する可能性がある。
【0004】
以上の点を考慮し、保持器の潤滑性能を向上させる手段として、従来から以下の構造を採ることが知られている。
・保持器の外径面に軸方向端面に達する給油溝を設ける構造(特許文献1)。
・保持器の外径面に周方向、軸方向の給油溝を設ける構造(特許文献2)。
・保持器の外径面に動圧溝を設ける構造(特許文献3)。
・保持器の柱部に径方向の給油穴を設ける構造(特許文献4)
【0005】
一方、ころ軸受を始めとする転がり軸受は、一般に外輪、内輪(または軸)、転動体および保持器により構成されており、転がり軸受においては、回転トルクを小さく抑えることがその性能上、非常に重要である。しかし、ころを案内する保持器は、内外輪やころと滑り接触しながら回転するため、その摺動抵抗が転がり軸受の回転トルクを大きくする要因の一つとなっている。
【0006】
そこで、保持器の回転トルクを低減する手段として、従来から以下の構造が知られている。
・保持器を薄肉化して各部との接触面積を減らし摩擦を低減する構造(特許文献5、「従来の技術」の項)。
・保持器に潤滑油を含浸させる構造(特許文献5、「従来の技術」の項)。
・ポケット内面に細溝を密に並べて凹凸形状を形成する構造(特許文献6)。
・保持器の柱部にその長さ方向に進む螺旋溝を設ける構造(特許文献7)。
・保持器の軸方向の両端面に波形加工を施す構造(特許文献8)。
【0007】
また、転がり軸受の保持器の加工法として、金属粉末射出成型法(以下、「MIM法」と称する。)が従来から知られている(特許文献9「課題を解決するための手段」の項参照)。MIM法を簡単に説明すると、金属粉末とバインダーを混合したものを金型に射出成型したのち、脱脂・焼結を行ってバインダーを蒸発させ、金属製品(保持器)を作り出す方法である。金属の密度は95%以上と高く、溶製材の鉄製保持器に近い特性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−42163号公報
【特許文献2】特開2004−324844号公報
【特許文献3】特開2008−19937号公報
【特許文献4】特開2008−128404号公報
【特許文献5】特開2004−245278号公報
【特許文献6】特開平8−184318号公報
【特許文献7】特開2004−316670号公報
【特許文献8】特開平8−200373号公報
【特許文献9】特開2000−234623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
保持器の潤滑性能を高める従来の対策において、保持器に給油溝や給油穴を設ける場合、旋削加工で設けるとすると加工コストが高くなる問題がある。プレス加工で設ける方法もあるが、あまり深い溝や複雑な形状には対応できないなどの制約が出てくる。また、柱部に径方向の給油穴を設ける対策は、細い穴のプレス加工は金型耐久性の面などから困難である。
【0010】
一方、保持器による回転トルクの低減を図る従来の対策において、保持器を薄肉化することは、保持器の強度の低下をもたらす問題がある。例えば、エンジンのコンロッド部や遊星減速機の遊星部などに使用される場合、偏心運動(クランク運動)による遠心力が保持器に加わると過負荷になる恐れがある。また、保持器に潤滑油を含浸させる方法は高コストになる欠点がある。
【0011】
さらに、ポケット内面に細溝を密に並べ凹凸形状を設ける構造、保持器柱部に螺旋溝を設ける構造、保持器の両端面に波形加工を施す構造は、いずれも樹脂製保持器について開示された構造である。樹脂製保持器は強度や耐熱性で金属製保持器に比べ劣るほか、熱膨張率が大きく、成型直後の収縮や寸法の経時変化が大きいなどの短所がある。したがって、これらの特性が要求される部位、例えば、エンジンのコンロッド部など使用条件の厳しい部位に使用するのは困難である。
【0012】
前掲の特許文献9においては、転がり軸受用保持器をMIM法によって製作する発明が開示されている。その発明の要旨は、MIM法によって成型した金属に直径2μm〜30μmの非常に微細な独立した残留空孔があることに着目し、その残留空孔に潤滑油を保持させ、保持器の潤滑性を向上させたというものである。
【0013】
前記の発明は、保持器の潤滑性を向上させるために、保持器自体に潤滑性能向上のための特別な加工部(たとえば、給油溝や給油穴など)を設けることなく、MIM法によって成型した金属に必然的に発生する残留空孔をそのまま利用して潤滑油を保持させるようにしている。当然のことながら、その残留空孔の大きさ、位置、形状、密度等を任意に設定することはできない。
【0014】
上記のように、特許文献9に開示された発明は、MIM法がもつ特性の一つとして、成型後の金属に微細な空孔が残存するという特性を利用するものに過ぎず、MIM法がもつ一つの特性、即ち、各種金属材料を用い、合成樹脂の射出成型と同様の要領で複雑な形状の金属製品を製作できるという特性を利用したものとはいえない。
【0015】
そこで、この発明は、潤滑性、低トルク性等の保持器の性能を向上させるための加工部を積極的に設けた保持器をMIM法によって成型することによって、これらの諸性能を向上させた保持器を低コストで提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するために、この発明は、軸方向両端部に設けられた環状部と、その環状部相互間を一定間隔で連結する多数の柱部と、柱部相互間に設けられたポケット部とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部、柱部、ポケット部の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための加工部が設けられ、前記加工部を含む全体がMIM法により成型された構成としたものである。
【0017】
前記の加工部としては、保持器の潤滑性を向上させる機能をもつものと、低トルク性に寄与する機能をもつものに分けられる。
【0018】
保持器の潤滑性を向上させる機能をもつものとしては、環状部の外径面において軸方向または周方向に設けられた給油溝、環状部の軸方向の両端面において径方向または周方向に設けられた給油溝、ポケット間の柱部に径方向に設けられた給油穴がある。これら給油溝や給油穴により、潤滑油が保持器の摺動部へ誘導される。また、他の加工部として、保持器の摺動部に分散状に設けられた無数の油溜め部がある。無数の油溜め部に保留された潤滑油により、摺動部の油量が増す。
【0019】
また、保持器の低トルク性に寄与する機能をもつものとしては、環状部外径面に設けられた動圧溝がある。動圧溝の作用により環状部の外周面に油膜が形成される。その他の加工部として、環状部の外径面に設けられた周方向のリブ、ポケット部の案内面に設けられた波形の凹凸部、ポケット部内端面に設けられた突部などがある。いずれも相手部材との摩擦を軽減させ、低トルク性に寄与する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、この発明によれば、給油溝、給油穴、動圧溝、波形凹凸部等の保持器の潤滑性、低トルク性等の性能を向上させるための加工部をもった保持器をMIM法により成型したものであるから、潤滑性、低トルク性等において優れた性能をもつ保持器を低コストで提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)は、実施形態1の一部縦断側面図、図1(b)は、同上の平面図、図1(c)は、図1(b)のX1−X1線の断面図である。
【図2】図2(a)は、実施形態2の平面図、図2(b)は図2(a)のX2−X2線の断面図である。
【図3】図3(a)は、実施形態3の側面図、図3(b)は、同上の一部平面図である。
【図4】図4は、実施形態4の側面図である。
【図5】図5(a)は、実施形態5の一部平面図、図5(b)は同上のX3−X3線の断面図である。
【図6】図6は、実施形態6の平面図である。
【図7】図7は、実施形態6の変形例の平面図である。
【図8】図8は、実施形態6の変形例の側面図である。
【図9】図9は、実施形態6の変形例の一部断面図である。
【図10】図10は、実施形態7の平面図である。
【図11】図11は、実施形態8の平面図である。
【図12】図12は、実施形態8の変形例の平面図である。
【図13】図13(a)は、実施形態8の変形例の一部断面図、図13(b)は同上の一部平面図である。
【図14】図14(a)は、実施形態8の変形例の平面図、図14(b)は図14(a)のX4−X4線の断面図、図14(c)は図14(a)のX5−X5線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
【0023】
図1に示した実施形態1の針状ころ軸受10は、保持器11とこれによって保持された針状ころ12とにより構成される。保持器11は、MIM法によって製作された金属製のものであり、軸方向両端部に設けられた一対の環状部13と、その環状部13の相互間に周方向に一定の間隔をおいて設けられ、環状部13を相互に連結する柱部14、柱部14の相互間に設けられたポケット部15とにより構成される。柱部14の外径面中央部に凹部16が形成される。
【0024】
各環状部13の外径面において、各ポケット部15の端部と、軸方向の外端部との間に軸方向の給油溝17が設けられる。これらの給油溝17を始め、ポケット部15、凹部16等の部分は、保持器11の全体をMIM法によって成型する際に同時に成型される。
【0025】
MIM法によって保持器11を成型する場合の金属材料の選択の自由度は高く、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム材を使用することができ、これらの材料は保持器11の軽量化を図ることができる。また、高力黄銅を使用することで、保持器11の摺動面の初期なじみ性を向上し、さらに潤滑性能を向上することも可能である。ステンレス材を使用すれば、防錆性能も得られるため、屋外などサビの発生しやすい環境での使用や、食品機械、半導体製造装置などサビの発生を嫌う使用環境下での使用が可能となる。
【0026】
また、保持器11に識別マークや刻印(品名、メーカー名、製造情報など)を設けたい場合は、通常のケージ&ローラーでは刻印を打つための工程が増加するが、MIM法の場合は成型時に識別マークや刻印を同時成型することができるため、工程の追加が必要でなく、低コストで設けることができる。
【0027】
前記の針状ころ軸受10が使用に供され潤滑油が供給されると、保持器11の外径面に接触した潤滑油は、給油溝17に捕捉されるので、ポケット部15側へ誘導されやすくなり、保持器11の潤滑性能が向上する。
[実施形態2]
【0028】
図2に示した実施形態2に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、左右の環状部13に周方向の給油溝17が設けられる。その他の構成は、実施形態1の場合(図1参照)と、凹部16が無い点を除き実質的に同じである。
【0029】
給油溝17は、螺旋状に形成され、その一端部は環状部13の外端にあり、他端部は内端にある。螺旋の向きは、図示のように、左側の環状部13のものは反時計方向、右側の環状部13のものは時計方向に定められている。これらの給油溝17は、環状部13上の潤滑油を螺旋の回転方向に誘導する。
【0030】
螺旋の向きを図示のように設定すると、保持器11が図2の矢印Aの方向から見て反時計方向に回転したとき、左右いずれの給油溝17によっても、保持器11の端部から内側(ポケット部15側)へ誘導される潤滑油の流れが生じる。
[実施形態3]
【0031】
図3に示した実施形態3に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、その両端面に径方向の給油溝17を周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けたものである。この場合は、保持器11の回転に伴う遠心力により潤滑油を流動させ、保持器端面の潤滑油量をアップさせ、径方向の通油性を向上させる。
[実施形態4]
【0032】
図4に示した実施形態4に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、その両端面に周方向の給油溝17を設けたものである。給油溝17は、渦巻き形に形成され、その一端部は環状部13の端面の内径上にあり、他端部は外径上にある。螺旋の向きは、図示のように、一方のものは内径側から外径側に向かって時計方向、図示を省略しているが、他方のものは内径側から外径側に向かって反時計方向に定められる。これらの給油溝17は、環状部13の端面に付着した潤滑油を螺旋の回転方向に誘導する。
【0033】
螺旋の向きが前記のように設定されている場合は、保持器11が図4の方向から見て反時計方向に回転したとき、両側の給油溝17によっても、内径側から外径側へ誘導される潤滑油の流れが生じる。
【0034】
前記実施形態3の場合(図3参照)のように、給油溝17が径方向に設けられている場合は、端面の全周にわたって付着した油の一部を外径方向に誘導できるにとどまるが、この実施形態4の場合(図4参照)は、全周に給油溝17が設けられているので、全周の油を誘導することができる。
[実施形態5]
【0035】
図5に示した実施形態5に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、保持器11の潤滑性能を向上させる加工部として、柱部14とその柱部14に連続した環状部13にわたる数か所に径方向の給油穴18を設けたものである。潤滑油がこれらの給油穴18を経て径方向に自由に通過できることにより、保持器11の潤滑性能が向上する。
[実施形態6]
【0036】
図6から図9に示した実施形態6に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、当該保持器11の外周部や両端部に接近して配置された外輪、ケーシング等の相手部材との摺動部や針状ころ12との摺動部に無数の油溜り19を分散状に設けたものである。油溜り19は、円形、楕円形の窪み(ディンプル)によって形成される。
【0037】
図6、図7の場合は、環状部13と柱部14の表面、図8の場合は環状部13の端面に設けている。図9の場合はポケット15の案内面に設けている。円形、楕円形に限らず、正方形、長方形であってもよい。楕円形、長方向の場合は、その長軸方向が保持器の軸方向に沿う向きに設定する。
【0038】
これらの油溜り19は、潤滑油の流れの抵抗となり、潤滑油が滞留して摺動部の油量が増加し、油膜形成能力が向上する。
[実施形態7]
【0039】
図10に示した実施形態7に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、左右の環状部13の外周面に動圧溝20を設けたものである。動圧溝20は、図示の場合、へリングボーン形のものを示しているが、他の形状であっても差し支えない。
【0040】
前記の針状ころ軸受10が高速回転した場合、各環状部13の外周面に接近配置されたケーシング等の他の部材との間に、動圧溝20の作用によって油膜が形成され、回転トルクが低減される。
[実施形態8]
【0041】
図11から図14に示した実施形態8に係る針状ころ軸受10の保持器11は、当該保持器11の外周部や両端部に接近して配置された外輪、ケーシング等の相手部材との摺動部や針状ころ12との摺動部に突部21を設け、その突部21で接触させることにより摺動抵抗を低減し、保持器11の回転トルクの低減を図るものである。
【0042】
図11の場合は、左右の環状部12の外径面の全周にわたり、複数本のリブ状の突部21を設けたものである。各突部21と相手部材との接触は、点接触となり、摩擦が軽減される。
【0043】
図12の場合は、左右の環状部12の各端面の全周にわたり、波形凹凸面により多数の突部21を設けたものである。各突部21と相手部材との接触は線接触となる。
【0044】
図13の場合は、ポケット部15の案内面に軸方向の波形凹凸面により複数の突部21を設けたものである。各突部21と針状ころ12との接触は点接触となる。
【0045】
図14の場合は、ポケット部15の内端面に単独の突部21を設け、針状ころ12の両端面の中央部に接触させるようにしたものである。中央部は周速も遅く、また接触面積も小さいので、摺動抵抗が減り、回転トルクが減少する。
【符号の説明】
【0046】
10 針状ころ軸受
11 保持器
12 針状ころ
13 環状部
14 柱部
15 ポケット部
16 凹部
17 給油溝
18 給油穴
19 油溜り
20 動圧溝
21 突部
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受用保持器に関し、特に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンのコンロッド大端部や遊星減速機の遊星部には、低断面でコンパクトな針状ころ軸受(ケージ&ローラー)が多く使用されているが、その潤滑のために所定量の潤滑油が使用される。しかし、例えば、エンジンにおいては、近年の環境問題などから排ガス規制への対応のため潤滑油を減らす傾向にあり、軸受の潤滑条件はますます厳しくなっている。
【0003】
コンロッド大端部や遊星部では、偏心運動により保持器に遠心力が負荷されるため、外径案内の保持器が多く使用される。外径案内の保持器は、保持器外径と外輪内径面とが滑り接触しながら案内される。このため、潤滑条件が厳しくなると保持器外径面の滑り接触部において油膜切れが発生する可能性がある。
【0004】
以上の点を考慮し、保持器の潤滑性能を向上させる手段として、従来から以下の構造を採ることが知られている。
・保持器の外径面に軸方向端面に達する給油溝を設ける構造(特許文献1)。
・保持器の外径面に周方向、軸方向の給油溝を設ける構造(特許文献2)。
・保持器の外径面に動圧溝を設ける構造(特許文献3)。
・保持器の柱部に径方向の給油穴を設ける構造(特許文献4)
【0005】
一方、ころ軸受を始めとする転がり軸受は、一般に外輪、内輪(または軸)、転動体および保持器により構成されており、転がり軸受においては、回転トルクを小さく抑えることがその性能上、非常に重要である。しかし、ころを案内する保持器は、内外輪やころと滑り接触しながら回転するため、その摺動抵抗が転がり軸受の回転トルクを大きくする要因の一つとなっている。
【0006】
そこで、保持器の回転トルクを低減する手段として、従来から以下の構造が知られている。
・保持器を薄肉化して各部との接触面積を減らし摩擦を低減する構造(特許文献5、「従来の技術」の項)。
・保持器に潤滑油を含浸させる構造(特許文献5、「従来の技術」の項)。
・ポケット内面に細溝を密に並べて凹凸形状を形成する構造(特許文献6)。
・保持器の柱部にその長さ方向に進む螺旋溝を設ける構造(特許文献7)。
・保持器の軸方向の両端面に波形加工を施す構造(特許文献8)。
【0007】
また、転がり軸受の保持器の加工法として、金属粉末射出成型法(以下、「MIM法」と称する。)が従来から知られている(特許文献9「課題を解決するための手段」の項参照)。MIM法を簡単に説明すると、金属粉末とバインダーを混合したものを金型に射出成型したのち、脱脂・焼結を行ってバインダーを蒸発させ、金属製品(保持器)を作り出す方法である。金属の密度は95%以上と高く、溶製材の鉄製保持器に近い特性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−42163号公報
【特許文献2】特開2004−324844号公報
【特許文献3】特開2008−19937号公報
【特許文献4】特開2008−128404号公報
【特許文献5】特開2004−245278号公報
【特許文献6】特開平8−184318号公報
【特許文献7】特開2004−316670号公報
【特許文献8】特開平8−200373号公報
【特許文献9】特開2000−234623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
保持器の潤滑性能を高める従来の対策において、保持器に給油溝や給油穴を設ける場合、旋削加工で設けるとすると加工コストが高くなる問題がある。プレス加工で設ける方法もあるが、あまり深い溝や複雑な形状には対応できないなどの制約が出てくる。また、柱部に径方向の給油穴を設ける対策は、細い穴のプレス加工は金型耐久性の面などから困難である。
【0010】
一方、保持器による回転トルクの低減を図る従来の対策において、保持器を薄肉化することは、保持器の強度の低下をもたらす問題がある。例えば、エンジンのコンロッド部や遊星減速機の遊星部などに使用される場合、偏心運動(クランク運動)による遠心力が保持器に加わると過負荷になる恐れがある。また、保持器に潤滑油を含浸させる方法は高コストになる欠点がある。
【0011】
さらに、ポケット内面に細溝を密に並べ凹凸形状を設ける構造、保持器柱部に螺旋溝を設ける構造、保持器の両端面に波形加工を施す構造は、いずれも樹脂製保持器について開示された構造である。樹脂製保持器は強度や耐熱性で金属製保持器に比べ劣るほか、熱膨張率が大きく、成型直後の収縮や寸法の経時変化が大きいなどの短所がある。したがって、これらの特性が要求される部位、例えば、エンジンのコンロッド部など使用条件の厳しい部位に使用するのは困難である。
【0012】
前掲の特許文献9においては、転がり軸受用保持器をMIM法によって製作する発明が開示されている。その発明の要旨は、MIM法によって成型した金属に直径2μm〜30μmの非常に微細な独立した残留空孔があることに着目し、その残留空孔に潤滑油を保持させ、保持器の潤滑性を向上させたというものである。
【0013】
前記の発明は、保持器の潤滑性を向上させるために、保持器自体に潤滑性能向上のための特別な加工部(たとえば、給油溝や給油穴など)を設けることなく、MIM法によって成型した金属に必然的に発生する残留空孔をそのまま利用して潤滑油を保持させるようにしている。当然のことながら、その残留空孔の大きさ、位置、形状、密度等を任意に設定することはできない。
【0014】
上記のように、特許文献9に開示された発明は、MIM法がもつ特性の一つとして、成型後の金属に微細な空孔が残存するという特性を利用するものに過ぎず、MIM法がもつ一つの特性、即ち、各種金属材料を用い、合成樹脂の射出成型と同様の要領で複雑な形状の金属製品を製作できるという特性を利用したものとはいえない。
【0015】
そこで、この発明は、潤滑性、低トルク性等の保持器の性能を向上させるための加工部を積極的に設けた保持器をMIM法によって成型することによって、これらの諸性能を向上させた保持器を低コストで提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するために、この発明は、軸方向両端部に設けられた環状部と、その環状部相互間を一定間隔で連結する多数の柱部と、柱部相互間に設けられたポケット部とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部、柱部、ポケット部の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための加工部が設けられ、前記加工部を含む全体がMIM法により成型された構成としたものである。
【0017】
前記の加工部としては、保持器の潤滑性を向上させる機能をもつものと、低トルク性に寄与する機能をもつものに分けられる。
【0018】
保持器の潤滑性を向上させる機能をもつものとしては、環状部の外径面において軸方向または周方向に設けられた給油溝、環状部の軸方向の両端面において径方向または周方向に設けられた給油溝、ポケット間の柱部に径方向に設けられた給油穴がある。これら給油溝や給油穴により、潤滑油が保持器の摺動部へ誘導される。また、他の加工部として、保持器の摺動部に分散状に設けられた無数の油溜め部がある。無数の油溜め部に保留された潤滑油により、摺動部の油量が増す。
【0019】
また、保持器の低トルク性に寄与する機能をもつものとしては、環状部外径面に設けられた動圧溝がある。動圧溝の作用により環状部の外周面に油膜が形成される。その他の加工部として、環状部の外径面に設けられた周方向のリブ、ポケット部の案内面に設けられた波形の凹凸部、ポケット部内端面に設けられた突部などがある。いずれも相手部材との摩擦を軽減させ、低トルク性に寄与する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、この発明によれば、給油溝、給油穴、動圧溝、波形凹凸部等の保持器の潤滑性、低トルク性等の性能を向上させるための加工部をもった保持器をMIM法により成型したものであるから、潤滑性、低トルク性等において優れた性能をもつ保持器を低コストで提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)は、実施形態1の一部縦断側面図、図1(b)は、同上の平面図、図1(c)は、図1(b)のX1−X1線の断面図である。
【図2】図2(a)は、実施形態2の平面図、図2(b)は図2(a)のX2−X2線の断面図である。
【図3】図3(a)は、実施形態3の側面図、図3(b)は、同上の一部平面図である。
【図4】図4は、実施形態4の側面図である。
【図5】図5(a)は、実施形態5の一部平面図、図5(b)は同上のX3−X3線の断面図である。
【図6】図6は、実施形態6の平面図である。
【図7】図7は、実施形態6の変形例の平面図である。
【図8】図8は、実施形態6の変形例の側面図である。
【図9】図9は、実施形態6の変形例の一部断面図である。
【図10】図10は、実施形態7の平面図である。
【図11】図11は、実施形態8の平面図である。
【図12】図12は、実施形態8の変形例の平面図である。
【図13】図13(a)は、実施形態8の変形例の一部断面図、図13(b)は同上の一部平面図である。
【図14】図14(a)は、実施形態8の変形例の平面図、図14(b)は図14(a)のX4−X4線の断面図、図14(c)は図14(a)のX5−X5線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
【0023】
図1に示した実施形態1の針状ころ軸受10は、保持器11とこれによって保持された針状ころ12とにより構成される。保持器11は、MIM法によって製作された金属製のものであり、軸方向両端部に設けられた一対の環状部13と、その環状部13の相互間に周方向に一定の間隔をおいて設けられ、環状部13を相互に連結する柱部14、柱部14の相互間に設けられたポケット部15とにより構成される。柱部14の外径面中央部に凹部16が形成される。
【0024】
各環状部13の外径面において、各ポケット部15の端部と、軸方向の外端部との間に軸方向の給油溝17が設けられる。これらの給油溝17を始め、ポケット部15、凹部16等の部分は、保持器11の全体をMIM法によって成型する際に同時に成型される。
【0025】
MIM法によって保持器11を成型する場合の金属材料の選択の自由度は高く、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム材を使用することができ、これらの材料は保持器11の軽量化を図ることができる。また、高力黄銅を使用することで、保持器11の摺動面の初期なじみ性を向上し、さらに潤滑性能を向上することも可能である。ステンレス材を使用すれば、防錆性能も得られるため、屋外などサビの発生しやすい環境での使用や、食品機械、半導体製造装置などサビの発生を嫌う使用環境下での使用が可能となる。
【0026】
また、保持器11に識別マークや刻印(品名、メーカー名、製造情報など)を設けたい場合は、通常のケージ&ローラーでは刻印を打つための工程が増加するが、MIM法の場合は成型時に識別マークや刻印を同時成型することができるため、工程の追加が必要でなく、低コストで設けることができる。
【0027】
前記の針状ころ軸受10が使用に供され潤滑油が供給されると、保持器11の外径面に接触した潤滑油は、給油溝17に捕捉されるので、ポケット部15側へ誘導されやすくなり、保持器11の潤滑性能が向上する。
[実施形態2]
【0028】
図2に示した実施形態2に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、左右の環状部13に周方向の給油溝17が設けられる。その他の構成は、実施形態1の場合(図1参照)と、凹部16が無い点を除き実質的に同じである。
【0029】
給油溝17は、螺旋状に形成され、その一端部は環状部13の外端にあり、他端部は内端にある。螺旋の向きは、図示のように、左側の環状部13のものは反時計方向、右側の環状部13のものは時計方向に定められている。これらの給油溝17は、環状部13上の潤滑油を螺旋の回転方向に誘導する。
【0030】
螺旋の向きを図示のように設定すると、保持器11が図2の矢印Aの方向から見て反時計方向に回転したとき、左右いずれの給油溝17によっても、保持器11の端部から内側(ポケット部15側)へ誘導される潤滑油の流れが生じる。
[実施形態3]
【0031】
図3に示した実施形態3に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、その両端面に径方向の給油溝17を周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に設けたものである。この場合は、保持器11の回転に伴う遠心力により潤滑油を流動させ、保持器端面の潤滑油量をアップさせ、径方向の通油性を向上させる。
[実施形態4]
【0032】
図4に示した実施形態4に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、その両端面に周方向の給油溝17を設けたものである。給油溝17は、渦巻き形に形成され、その一端部は環状部13の端面の内径上にあり、他端部は外径上にある。螺旋の向きは、図示のように、一方のものは内径側から外径側に向かって時計方向、図示を省略しているが、他方のものは内径側から外径側に向かって反時計方向に定められる。これらの給油溝17は、環状部13の端面に付着した潤滑油を螺旋の回転方向に誘導する。
【0033】
螺旋の向きが前記のように設定されている場合は、保持器11が図4の方向から見て反時計方向に回転したとき、両側の給油溝17によっても、内径側から外径側へ誘導される潤滑油の流れが生じる。
【0034】
前記実施形態3の場合(図3参照)のように、給油溝17が径方向に設けられている場合は、端面の全周にわたって付着した油の一部を外径方向に誘導できるにとどまるが、この実施形態4の場合(図4参照)は、全周に給油溝17が設けられているので、全周の油を誘導することができる。
[実施形態5]
【0035】
図5に示した実施形態5に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、保持器11の潤滑性能を向上させる加工部として、柱部14とその柱部14に連続した環状部13にわたる数か所に径方向の給油穴18を設けたものである。潤滑油がこれらの給油穴18を経て径方向に自由に通過できることにより、保持器11の潤滑性能が向上する。
[実施形態6]
【0036】
図6から図9に示した実施形態6に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、当該保持器11の外周部や両端部に接近して配置された外輪、ケーシング等の相手部材との摺動部や針状ころ12との摺動部に無数の油溜り19を分散状に設けたものである。油溜り19は、円形、楕円形の窪み(ディンプル)によって形成される。
【0037】
図6、図7の場合は、環状部13と柱部14の表面、図8の場合は環状部13の端面に設けている。図9の場合はポケット15の案内面に設けている。円形、楕円形に限らず、正方形、長方形であってもよい。楕円形、長方向の場合は、その長軸方向が保持器の軸方向に沿う向きに設定する。
【0038】
これらの油溜り19は、潤滑油の流れの抵抗となり、潤滑油が滞留して摺動部の油量が増加し、油膜形成能力が向上する。
[実施形態7]
【0039】
図10に示した実施形態7に係る針状ころ軸受10を構成する保持器11は、左右の環状部13の外周面に動圧溝20を設けたものである。動圧溝20は、図示の場合、へリングボーン形のものを示しているが、他の形状であっても差し支えない。
【0040】
前記の針状ころ軸受10が高速回転した場合、各環状部13の外周面に接近配置されたケーシング等の他の部材との間に、動圧溝20の作用によって油膜が形成され、回転トルクが低減される。
[実施形態8]
【0041】
図11から図14に示した実施形態8に係る針状ころ軸受10の保持器11は、当該保持器11の外周部や両端部に接近して配置された外輪、ケーシング等の相手部材との摺動部や針状ころ12との摺動部に突部21を設け、その突部21で接触させることにより摺動抵抗を低減し、保持器11の回転トルクの低減を図るものである。
【0042】
図11の場合は、左右の環状部12の外径面の全周にわたり、複数本のリブ状の突部21を設けたものである。各突部21と相手部材との接触は、点接触となり、摩擦が軽減される。
【0043】
図12の場合は、左右の環状部12の各端面の全周にわたり、波形凹凸面により多数の突部21を設けたものである。各突部21と相手部材との接触は線接触となる。
【0044】
図13の場合は、ポケット部15の案内面に軸方向の波形凹凸面により複数の突部21を設けたものである。各突部21と針状ころ12との接触は点接触となる。
【0045】
図14の場合は、ポケット部15の内端面に単独の突部21を設け、針状ころ12の両端面の中央部に接触させるようにしたものである。中央部は周速も遅く、また接触面積も小さいので、摺動抵抗が減り、回転トルクが減少する。
【符号の説明】
【0046】
10 針状ころ軸受
11 保持器
12 針状ころ
13 環状部
14 柱部
15 ポケット部
16 凹部
17 給油溝
18 給油穴
19 油溜り
20 動圧溝
21 突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向両端部に設けられた環状部と、その環状部相互間を一定間隔で連結する多数の柱部と、柱部相互間に設けられたポケット部とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部、柱部、ポケット部の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための加工部が設けられ、前記加工部を含む全体がMIM法により成型されたことを特徴とする転がり軸受用保持器。
【請求項2】
前記加工部が、前記環状部の外径面において軸方向または周方向に設けられた給油溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項3】
前記周方向に設けられた給油溝が、螺旋形であることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項4】
前記加工部が、前記環状部の軸方向の両端面において径方向または周方向に設けられた給油溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項5】
前記軸方向の両端面において周方向に設けられた給油穴が、渦巻き形であることを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項6】
前記加工部が、前記ポケット間の柱部又は環状部に径方向に設けられた給油穴であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項7】
前記加工部が、保持器摺動部に分散状に設けられた無数の油溜め部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項8】
前記加工部が、前記環状部外径面に設けられた動圧溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項9】
前記加工部が、前記環状部の外径面に設けられた周方向のリブ状の突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項10】
前記加工部が、前記環状部の端面に設けられた波形凹凸面による突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項11】
前記加工部が、前記ポケット部の案内面に設けられた軸方向の波形凹凸面による突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項12】
前記加工部が、前記ポケット部内端面に設けられた単独の突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項13】
前記MIM加工の材料が、アルミニウム、チタン、マグネシウム、高力黄銅、ステンレス材のいずれかであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
【請求項1】
軸方向両端部に設けられた環状部と、その環状部相互間を一定間隔で連結する多数の柱部と、柱部相互間に設けられたポケット部とによって構成された転がり軸受用保持器において、前記環状部、柱部、ポケット部の一部または全部に、潤滑性、低トルク性等の保持器性能の向上を図るための加工部が設けられ、前記加工部を含む全体がMIM法により成型されたことを特徴とする転がり軸受用保持器。
【請求項2】
前記加工部が、前記環状部の外径面において軸方向または周方向に設けられた給油溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項3】
前記周方向に設けられた給油溝が、螺旋形であることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項4】
前記加工部が、前記環状部の軸方向の両端面において径方向または周方向に設けられた給油溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項5】
前記軸方向の両端面において周方向に設けられた給油穴が、渦巻き形であることを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項6】
前記加工部が、前記ポケット間の柱部又は環状部に径方向に設けられた給油穴であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項7】
前記加工部が、保持器摺動部に分散状に設けられた無数の油溜め部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項8】
前記加工部が、前記環状部外径面に設けられた動圧溝であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項9】
前記加工部が、前記環状部の外径面に設けられた周方向のリブ状の突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項10】
前記加工部が、前記環状部の端面に設けられた波形凹凸面による突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項11】
前記加工部が、前記ポケット部の案内面に設けられた軸方向の波形凹凸面による突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項12】
前記加工部が、前記ポケット部内端面に設けられた単独の突部であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
【請求項13】
前記MIM加工の材料が、アルミニウム、チタン、マグネシウム、高力黄銅、ステンレス材のいずれかであることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−149755(P2012−149755A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10917(P2011−10917)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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