説明

転がり軸受

【課題】設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して焼付きおよび損傷を防止することができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】本発明の転がり軸受1は、回転側部材である内輪4と、外輪2と、前記内方部材と前記外方部材との間で転動自在に周方向に複数配設された転動体と、前記転動体を保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、前記内輪4を径方向に貫通する貫通孔19を介して前記内輪4の径方向内側から軸受空間内に潤滑剤を供給可能であり、内輪4に、前記内輪4の径方向内側から供給された潤滑剤を保持可能な潤滑剤保持空間15と、前記潤滑剤保持空間15内の潤滑剤を前記軸受空間内に供給可能な第1微細供給路16と、が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用ジェットエンジンに使用される転がり軸受など、高速回転で運転される転がり軸受においては、急旋回時の強烈な重力(G)や給油異常等が原因で、外部からの潤滑油の供給の一時的な遮断(ドライラン条件)が起こり得る。従来、このようなドライラン条件においても転がり軸受に損傷が生じないように、軸受内部に表面処理を施して皮膜を形成し、耐焼付性能を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−53641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような皮膜が軸受内部に形成されている場合には、転がり軸受の耐焼付性能を向上して損傷を防止することが可能であるが、皮膜の耐久性には一定の限界がある。したがって、ドライラン条件においても潤滑剤による潤滑を継続できるような機構を設けることが望ましいが、そのためには、設置スペースや重量、および製造コストによる制約がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して焼付きおよび損傷を防止することができる転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転側部材である内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間で転動自在に周方向に複数配設された転動体と、前記転動体を保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、前記内方部材を径方向に貫通する貫通孔を介して前記内方部材の径方向内側から軸受空間内に潤滑剤を供給可能な転がり軸受であって、
前記内方部材に、前記内方部材の径方向内側から供給された潤滑剤を保持可能な潤滑剤保持空間と、前記潤滑剤保持空間内の潤滑剤を前記軸受空間内に供給可能な少なくとも1つの潤滑剤供給路と、が形成されることを特徴とする転がり軸受。
(2) 前記内方部材が、軸方向に離間して配置された一対の内輪と、前記一対の内輪の軸方向間に配置される内輪間座と、を含み、
前記転動体は、前記一対の内輪それぞれの外径面に形成された内輪軌道面上を転動自在に複列で配置されており、
前記貫通孔が前記一対の内輪のそれぞれに形成されており、
前記潤滑剤保持空間および前記潤滑剤供給路が前記内輪間座に形成されている上記(1)記載の転がり軸受。
【発明の効果】
【0007】
本発明の転がり軸受によれば、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して焼付きおよび損傷を防止することができる転がり軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る転がり軸受の断面図である。
【図2】図1の転がり軸受が回転軸に取り付けられた状態を示す一部断面の斜視図である。
【図3】図1の転がり軸受の第1内輪片の一部拡大斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る転がり軸受の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る転がり軸受の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る転がり軸受が回転軸に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る転がり軸受の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る転がり軸受を図1〜3に基づいて説明する。図1は第1実施形態に係る転がり軸受1の断面図を示す。図2は図1の転がり軸受1が中空状の回転軸30に取り付けられた状態を示す断面図であり、図3は図1の転がり軸受1の第1内輪片11の一部断面の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、転がり軸受1は、外輪2と、内輪4と、転動体である複数の玉5と、を備える。複数の玉5は、外輪2と内輪4との間に配置された保持器6の、周方向に所定の間隔で形成されたポケット7に一つずつ転動自在に保持されている。
【0012】
図1、図2に示すように、外輪2の内径面には外輪軌道面3が形成されている。内輪4は回転軸30を保持する回転部材であり、軸方向に二分割された第1内輪片11および第2内輪片21からなる。第1内輪片11の外径面には第1内輪軌道面12が形成されると共に、第2内輪片21の外径面には第2内輪軌道面22が形成されている。転がり軸受1は、玉5が外輪軌道面3、第1内輪軌道面12、および第2内輪軌道面22との間で内輪4と接触する、3点接触玉軸受である。
【0013】
図3に示すように、第1内輪片11には、第2内輪片21と接合される接合面18において、径方向に貫通する第1貫通溝13が形成されている。第1内輪片11と第2内輪片21とが接合された際、この第1貫通溝13は、同様に第2内輪片21に形成された第2貫通溝23と共に、内輪4を径方向に貫通する貫通孔19を形成する。
【0014】
また、第1内輪片11には、潤滑剤バイパス路14(図1、図2参照)を介して貫通孔19と連通する潤滑剤保持空間15が形成されている。この潤滑剤保持空間15は、内輪4が回転軸30に取付けられたときに反負荷側となる位置に形成される。また、第1内輪片11には、潤滑剤保持空間15から第1内輪軌道面12の端部へと径方向外方に向って延びて貫通する第1微細供給路16と、潤滑剤保持空間15から貫通孔19へと径方向外方に向って延びて貫通する第2微細供給路17が形成されている。
【0015】
図2に示すように、使用時には転がり軸受1が回転軸30に取付けられ、オイルジェット32によって負荷側から回転軸30内へと潤滑剤が噴射される。この潤滑剤は、回転軸30の内径面34を介し、回転軸30の外径側へと開口する潤滑剤径方向通路36を通って、内輪4の貫通孔19へと径方向内側から供給される。通常運転時、貫通孔19へと供給された潤滑剤は、内輪4の回転による遠心力によって、内輪4の外径面、すなわち第1内輪軌道面12および第2内輪軌道面22に供給される。これにより、軸受空間内を良好に潤滑し、軸受内部を冷却することが可能となる。
【0016】
また、通常運転時、潤滑剤径方向通路36を通る潤滑剤の一部は、第1内輪片11の内径面に形成された潤滑剤バイパス路14を介して、第1内輪片11に形成された潤滑剤保持空間15へと供給される。このようにして、潤滑剤保持空間15内には、常に一定量の潤滑剤が保持されている。
【0017】
前述したように、第1内輪片11には、潤滑剤保持空間15から第1内輪軌道面12の端部へと径方向外方に向って延びて貫通する第1微細供給路16が形成されている。したがって、回転軸30等を介した外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合(ドライラン条件)であっても、内輪4の回転による遠心力によって、潤滑剤保持空間15に保持された潤滑剤を第1微細供給路16を介して軸受内部(第1内輪軌道面12)へと供給することができる。
【0018】
また、第1内輪片11には、潤滑剤保持空間15から貫通孔19へと径方向外方に向って延びて貫通する第2微細供給路17が形成されている。したがって、外部からの潤滑油の供給が一時的に遮断された場合でも、回転軸30等を介した外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合(ドライラン条件)であっても、内輪4の回転による遠心力によって、潤滑剤保持空間15に保持された潤滑剤を第2微細供給路17および貫通孔19を介して軸受内部へと供給することができる。
【0019】
尚、第1微細供給路16および第2微細供給路17の寸法(第1微細供給路16および第2微細供給路17の延びる方向に対して垂直断面の寸法)は、ドライラン条件において第1微細供給路16および第2微細供給路17から供給される潤滑剤の量が必要最小限となるように、潤滑剤径方向通路36の寸法よりも通常小さく設定される。これにより、ドライラン条件での運転が継続した場合でも、潤滑剤保持空間15に保持された潤滑剤が少しずつ軸受内部へと供給されることにより潤滑を継続でき、転がり軸受1の焼付きおよび損傷を回避することができる。
【0020】
このように、第1実施形態の転がり軸受1によれば、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して、転がり軸受1の焼付きおよび損傷を防止することができる。
【0021】
尚、潤滑剤保持空間15の形状、大きさ、数、設けられる場所などは、転がり軸受1の回転数や負荷される荷重、潤滑剤の種類や温度などの使用条件や要求される耐久性等に応じて、適宜決定することができる。また、本実施形態においては第1微細供給路16および第2微細供給路17の2つの微細供給路が設けられていたが、これら微細供給路の形状、大きさ、数、設けられる場所などについても、上記した種々の条件に応じて適宜定めることができる。例えば、本実施形態においては、潤滑剤保持空間15、第1微細供給路16および第2微細供給路17が反負荷側に設けられていたが、寿命や剛性に影響を与えないような範囲において、これらを負荷側に形成することも可能である。
【0022】
また、保持器6が内輪案内形式である場合には、保持器6を案内する面(内輪外径面)に潤滑剤を供給するため、内輪4にさらに別途の潤滑剤供給通路(不図示)が設けられていてもよい。このような場合、当該別途の潤滑剤供給通路は、潤滑剤保持空間15、第1微細供給路16および第2微細供給路17に対し、周方向で異なる位置に設けられる。また、潤滑剤保持空間15、第1微細供給路16および第2微細供給路17は、内輪4自体にではなく、内輪4に隣接して同様に回転する間座等に設けられていてもよい。
【0023】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る転がり軸受を図4に基づいて説明する。図4は第2実施形態に係る転がり軸受51の断面図である。
【0024】
図4に示すように、転がり軸受51は、内径面に外輪軌道面53を有する外輪52と、外径面に内輪軌道面62を有する内輪54と、転動体である複数の玉55と、を備える。複数の玉55は、外輪52と内輪54との間に配置された保持器56の、周方向に所定の間隔で形成されたポケット57に一つずつ転動自在に保持されている。転がり軸受51は、玉55が外輪52および内輪54に対して接触角をもって配置される、単列のアンギュラ玉軸受である。
【0025】
内輪54には、径方向に貫通する貫通孔63が形成されている。通常運転時、内輪54の径方向内側に位置する不図示の回転軸から貫通孔63へと供給された潤滑剤は、内輪54の回転による遠心力によって内輪54の外径面へと供給される。これにより、軸受空間内を良好に潤滑し、冷却することが可能となる。
【0026】
また、不図示の回転軸内に供給される潤滑剤の一部は、内輪54の内径面に形成された潤滑剤バイパス路64を介して、内輪54の反負荷側に形成された潤滑剤保持空間65へと供給される。これにより、潤滑剤保持空間65内には、常に一定量の潤滑剤が保持されていることとなる。
【0027】
内輪54には、潤滑剤保持空間65から内輪54の外径面へと径方向外方に向って延びて貫通する微細供給路66が形成されている。したがって、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても、内輪54の回転による遠心力によって、潤滑剤保持空間55に保持された潤滑剤を微細供給路66を介して軸受内部へと供給することができる。このように、第2実施形態の転がり軸受51によれば、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して、転がり軸受51の焼付きおよび損傷を防止することができる。
【0028】
尚、潤滑剤保持空間65の形状、大きさなどは、転がり軸受51の回転数や負荷される荷重、潤滑剤の種類や温度などの使用条件や要求される耐久性等に応じて、適宜決定することができる。また、微細供給路の数や大きさについても、上記した種々の条件に応じて適宜定めることができる。また、潤滑剤保持空間65および微細供給路66は、内輪54自体にではなく、内輪54に隣接して同様に回転する間座等に設けられていてもよい。
【0029】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る転がり軸受を図5に基づいて説明する。図5は第3実施形態に係る転がり軸受71の断面図である。
【0030】
図5に示すように、転がり軸受71は、内径面に外輪軌道面73を有する外輪72と、外径面に内輪軌道面82を有する内輪74と、転動体である複数の円筒ころ75と、を備える。転がり軸受71は、外輪72と内輪74との間に配置された保持器76の、周方向に所定の間隔で形成されたポケット77に円筒ころ75が一つずつ転動自在に保持されている、単列の円筒ころ軸受である。
【0031】
内輪74には、径方向に貫通する貫通孔83、83が形成されている。通常運転時、不図示の回転軸に供給される潤滑剤は、貫通孔83、83を介し、内輪74の回転に伴う遠心力によって内輪74の外径面へと供給される。これにより、軸受空間内を良好に潤滑し、冷却することが可能となる。
【0032】
また、不図示の回転軸に供給される潤滑剤の一部は、内輪74の内径面に形成された潤滑剤保持空間85、85へと供給される。これにより、潤滑剤保持空間85、85内には、常に一定量の潤滑剤が保持されていることとなる。
【0033】
内輪74には、潤滑剤保持空間85、85から内輪軌道面82へと径方向外方に向って延びて貫通する微細供給路86、86が形成されている。したがって、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても、内輪74の回転による遠心力によって、潤滑剤保持空間85、85に保持された潤滑剤を微細供給路86、86を介して内輪軌道面82へと供給することができる。このように、第3実施形態の転がり軸受71によれば、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して、転がり軸受71の焼付きおよび損傷を防止することができる。
【0034】
尚、潤滑剤保持空間85、85の形状、大きさなどは、転がり軸受71の回転数や負荷される荷重、潤滑剤の種類や温度などの使用条件や要求される耐久性等に応じて、適宜決定することができる。また、微細供給路の数や大きさについても、上記した種々の条件に応じて適宜定めることができる。また、潤滑剤保持空間85および微細供給路86は、内輪74自体にではなく、内輪74に隣接して同様に回転する間座等に設けられていてもよい。
【0035】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る転がり軸受を図6に基づいて説明する。図6は第4実施形態に係る転がり軸受101が回転軸120に取り付けられた状態を示す断面図である。
【0036】
図6に示すように、転がり軸受101は、軸方向に離間して配置された一対の外輪102、102と、同様に軸方向に離間して配置された一対の内輪104、104と、を備える、一対の外輪102、102と内輪104、104との間にはそれぞれ保持器106、106が配置され、保持器106の、周方向に所定の間隔で形成されたポケット107には転動体である複数の玉105が接触角をもって一つずつ転動自在に保持されている。
【0037】
外輪102、102の内径面には外輪軌道面103、103が形成されている。内輪104、104の外径面には内輪軌道面112、112が形成されている。外輪102、102の間には外輪間座108が配置されており、外輪102、102間の軸方向隙間や予圧を調整している。また、内輪104、104の間には内輪間座114が配置されており、内輪104、104間の軸方向隙間や予圧を調整すると共に、回転軸120の回転に伴って内輪104、104と同様に回転する。転がり軸受101は、それぞれ外輪102、内輪104、保持器106、および複数の玉105を有する2つのアンギュラ玉軸受を、外輪間座108および内輪間座114を介して背面組み合わせたとした、組み合わせアンギュラ玉軸受である。
【0038】
内輪104、104のそれぞれには、径方向に貫通する貫通孔113が形成されている。使用時に転がり軸受101が回転軸120に取付けられると、オイルジェット122によって負荷側から回転軸120内へと噴射された潤滑剤が、回転軸120を軸方向に延びる潤滑剤軸方向通路124を通り、回転軸120の径方向外方へと開口する潤滑剤径方向通路126、126を介して、内輪104、104の径方向内側から貫通孔113、113へと供給される。通常運転時、貫通孔113、113へと供給された潤滑剤は、内輪104、104の回転による遠心力によって内輪104、104の外径面へと供給される。これにより、軸受空間内を良好に潤滑し、冷却することが可能となる。
【0039】
内輪間座114の径方向内側には、潤滑剤保持空間115が形成されている。通常運転時、潤滑剤軸方向通路124を介して外部から供給される潤滑剤の一部は、潤滑剤軸方向通路124から回転軸120の外径面へと貫通する潤滑剤バイパス路128を介して、潤滑剤保持空間115へと供給される。これにより、潤滑剤保持空間115内には、常に一定量の潤滑剤が保持されていることとなる。
【0040】
また、内輪間座114には、この潤滑剤保持空間115から内輪間座114の軸方向縁部118、118へと径方向外方へと向かって貫通する微細供給路116、116が形成されている。したがって、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても、内輪間座114の回転による遠心力によって、内輪間座114内の潤滑剤保持空間115に保持された潤滑剤を微細供給路116、116を介して軸受内部へと供給することができる。
【0041】
このように、第4実施形態の転がり軸受101によれば、設置スペースや製造コストを増加させることなく、外部からの潤滑剤の供給が一時的に遮断された場合であっても潤滑を継続して、転がり軸受101の焼付きおよび損傷を防止することができる。
【0042】
尚、潤滑剤保持空間115の形状、大きさなどは、転がり軸受101の回転数や負荷される荷重、潤滑剤の種類や温度などの使用条件や要求される耐久性等に応じて、適宜決定することができる。また、微細供給路116の数や大きさについても、上記した種々の条件に応じて適宜定めることができる。また、潤滑剤保持空間115および微細供給路116は、内輪間座114でなく、内輪104、104のそれぞれに設けられていてもよい。また、転がり軸受101は、一対の外輪102、102にかわって、内径面に軸方向に離間して設けられた一対の外輪軌道面が形成された1つの外輪を備えていてもよく、また、外径面に軸方向に離間して設けられた一対の内輪軌道面が形成された1つの内輪を備えていてもよい。
【0043】
尚、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更、改良等が可能である。上記実施形態では、転がり軸受が、3点接触玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、組合せアンギュラ玉軸受である場合について説明したが、本発明は深溝玉軸受や円すいころ軸受に対しても適用可能である。また、上記実施形態では玉5、55、105および円筒ころ75が、保持器6、56、76、106と別個に形成されているが、一体型の玉(ころ)付き保持器を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、特に、ジェットエンジンやガスタービンのギアボックス、ロケットエンジンの燃料ポンプにおいて使用される転がり軸受として、または低粘度流体中において使用される転がり軸受として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1、51、71、101 転がり軸受
2、52、72、102 外輪
4、54、74、104 内輪
5、55、105 玉
75 円筒ころ
6、56、76、106 保持器
19、63、83、113 貫通孔
15、65、85、115 潤滑剤保持空間
16 第1微細供給路
17 第2微細供給路
66、86、116 微細供給路
84 内輪間座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転側部材である内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間で転動自在に周方向に複数配設された転動体と、前記転動体を保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、前記内方部材を径方向に貫通する貫通孔を介して前記内方部材の径方向内側から軸受空間内に潤滑剤を供給可能な転がり軸受であって、
前記内方部材に、前記内方部材の径方向内側から供給された潤滑剤を保持可能な潤滑剤保持空間と、前記潤滑剤保持空間内の潤滑剤を前記軸受空間内に供給可能な少なくとも1つの潤滑剤供給路と、が形成されることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
前記内方部材が、軸方向に離間して配置された一対の内輪と、前記一対の内輪の軸方向間に配置される内輪間座と、を含み、
前記転動体は、前記一対の内輪それぞれの外径面に形成された内輪軌道面上を転動自在に複列で配置されており、
前記貫通孔が前記一対の内輪のそれぞれに形成されており、
前記潤滑剤保持空間および前記潤滑剤供給路が前記内輪間座に形成されている請求項1記載の転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113413(P2013−113413A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262523(P2011−262523)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】