説明

転写ローラクリーニング装置、電子写真印刷機

【課題】電子写真印刷機に関して、操作、保守、制御が容易であり、省スペース化及び低コスト化を実現でき、しかもキャリア液の消費量を抑えることができる転写ローラクリーニング装置の提供。
【解決手段】キャリア液舟30内のキャリア液中に浸潰する供給ローラ22と、供給ローラ22及び転写ローラ12に摺擦回転して、供給ローラ22から受け取ったキャリア液を転写ローラ12表面に供給するクリーニングローラ21と、キャリア液舟30を含み、貯留タンク内のキャリア液をポンプによりキャリア液舟30内に供給し、キャリア液舟30からオーバーフローしたキャリア液をオーバーフロー液回収路45を介して貯留タンクに戻して循環させるキャリア液循環装置とを有する転写ローラクリーニング装置20、それを設けて構成された電子写真印刷機10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体トナーとキャリア液とからなる現像液を用い、感光体ドラム外周面に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録材の印刷面に転写して画像印刷する湿式の電子写真印刷機の前記転写ローラをクリーニングする転写ローラクリーニング装置、該転写ローラクリーニング装置が設けられた電子写真印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
液体トナーとキャリア液とからなる現像液を用い、感光体ドラム外周面に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録材(用紙)の印刷面に転写して画像印刷する湿式の電子写真印刷機にあっては、被記録材への画像転写後の転写ローラ表面の残留トナーを除去するために、転写ローラ表面の残留トナーを掻き取るクリーニングブレードを設ける技術が広く採用されている。
また、例えば、特許文献1には、転写ローラ表面からの残留トナーの除去を効率良く行うために、転写ローラ表面へキャリア液を供給するキャリア液供給装置と、転写ローラ表面に転接回転するとともに、転写ローラ表面の残留トナーと逆極性のバイアス電圧が印加され、転写ローラ表面から残留トナーを吸着回収するクリーニングロールを有するクリーニング装置とを設けた装置(電子写真印刷機)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−122252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来装置(電子写真印刷機)は、互いに分離独立したユニットであるキャリア液供給装置とクリーニング装置とが、転写ローラの周方向に互いに離隔させて設けられた構成となっている。このため、この従来装置にあっては、良好なクリーニング効果を得られるものの、キャリア液供給装置及びクリーニング装置の設置のために比較的大きいスペースを必要とする。また、2つの装置(キャリア液供給装置及びクリーニング装置)を必要とするため、装置の作製コストの低減が難しく、操作、保守などの各種作業や制御が複雑になる方向であり、改善が求められている。
また、従来装置(電子写真印刷機)は、キャリア液供給装置によって転写ローラ表面に塗布したキャリア液に残留トナーを溶解させ、クリーニング装置にて残留トナーをキャリア液とともに回収する構成であることで、キャリア液の消費量が多いといった問題があった。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、操作、保守、制御が容易であり、省スペース化及び低コスト化を実現でき、しかもキャリア液の消費量を抑えることができる転写ローラクリーニング装置、電子写真印刷機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、液体トナーとキャリア液とからなる現像液を用いる湿式の電子写真印刷機の転写ローラをクリーニングする転写ローラクリーニング装置であって、キャリア液舟内のキャリア液中に浸潰する供給ローラと、前記供給ローラ及び前記転写ローラに摺擦回転して、前記供給ローラから受け取ったキャリア液を前記転写ローラ表面に供給するクリーニングローラと、前記キャリア液舟を含み、貯留タンク内のキャリア液をポンプにより前記キャリア液舟内に供給し、前記キャリア液舟からオーバーフローしたキャリア液をオーバーフロー液回収路を介して前記貯留タンクに戻す、キャリア液循環路を構成するキャリア液循環装置とを有することを特徴とする転写ローラクリーニング装置を提供する。
第2の発明は、クリーニングローラと転写ローラとの接触部よりクリーニングローラ回転方向下流側に、前記クリーニングローラに先端部を接触させて配置した排液回収ドクターと、前記排液回収ドクターによって前記クリーニングローラから回収された回収液を、前記キャリア液舟内側のキャリア液貯留溝とは独立に設けられた回収液排路を介して、電子写真印刷機の機外に配置された排液タンクへ導く排液路、とを、さらに有することを特徴とする第1の発明の転写ローラクリーニング装置を提供する。
第3の発明は、前記クリーニングローラの軸線方向の端面に接触させて設けられ、クリーニングローラの軸線方向端面に付着するキャリア液を回収して前記回収液排路へ導くサイドドクターを、さらに有することを特徴とする第2の発明の転写ローラクリーニング装置を提供する。
第4の発明は、前記キャリア液循環装置の前記ポンプ及び前記貯留タンクが電子写真印刷機の機体外側に配置され、前記キャリア液循環装置のうち前記電子写真印刷機の機体外側に位置する箇所に、前記キャリア液循環路を流れるキャリア液から混入物を除去するフィルターが設けられていることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの発明の転写ローラクリーニング装置を提供する。
第5の発明は、前記供給ローラと、前記クリーニングローラと、前記キャリア液舟と、前記オーバーフロー液回収路における前記キャリア液舟からオーバーフローしたキャリア液を流入させるオーバーフロー液受け部とをカセットフレームに設けて構成され、前記電子写真印刷機の機体に脱着可能に取り付けられたカセットを有し、前記キャリア液循環装置のうち前記カセットに設けられたカセット側流路部と、前記カセットの外側に位置する外側流路部とがワンタッチカプラで脱着可能に連結されていることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの発明の転写ローラクリーニング装置を提供する。
第6の発明は、前記転写ローラ周速を100としたときに、該転写ローラと順方向に回転するクリーニングローラ周速が25〜40であり、クリーニングローラ周速を100としたとき該クリーニングローラと順方向に回転するキャリア液供給ローラ周速が60〜80であることを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明の転写ローラクリーニング装置を提供する。
第7の発明は、第1〜6のいずれか1つの発明の転写ローラクリーニング装置を有することを特徴とする電子写真印刷機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ひとつの転写ローラクリーニング装置によって、転写ローラへのキャリア液の供給、及び転写ローラ表面からの残留トナーの回収を行なうことができる。このため、本発明に係る転写ローラクリーニング装置は、特許文献1のように2つの装置(キャリア液供給装置及びクリーニング装置)を必要とする構成に比べて、操作、保守、制御が容易であり、省スペース化及び低コスト化を容易に実現できる。
また、本発明によれば、転写ローラクリーニング装置は、キャリア液を、クリーニングローラによって、転写ローラと該転写ローラに摺擦するクリーニングローラとの接触部分に供給することで、転写ローラ表面から残留トナーを回収できるため、特許文献1の開示技術に比べてキャリア液の消費量を少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る1実施形態の転写ローラクリーニング装置、電子写真印刷機を原理的に説明する略解図である。
【図2】図1の転写ローラクリーニング装置のキャリア液循環装置及び排液路の構成を略解的に示す平面図である。
【図3】図1の転写ローラクリーニング装置のカセット及びカセット支持フレームを電子写真印刷機の機体側から見た構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、図1、図3において、上側を上、下側を下として説明する。
図1は本発明の1実施形態の電子写真印刷機10の転写ローラクリーニング装置20(以下、単にクリーニング装置とも言う)付近を概略的に示す説明図であり、図中11は感光体ドラム、12はこの感光体ドラム11に転接する転写ローラ、13はこの転写ローラ12に用紙等の被記録材Wを押し付けるバックアップローラである。
【0010】
この電子写真印刷機10にあっては、上記感光体ドラム11は図示しないモータ等の駆動手段にて画像形成時に一定速度で矢印方向に回転される。感光体ドラム11の表面(周面)には、図示略の帯電装置によって該感光体ドラム11表面の中心軸線に沿う幅方向全体が一様に帯電された帯電領域が形成され、露光装置(図示略)を用いた露光によって帯電領域の電荷を一部除去することで静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム11表面には、現像液供給装置からの液体トナーを用いた現像液の供給によって前記静電潜像を可視像化したトナー像が形成される。
前記転写ローラ12は、感光体ドラム11に転接回転して前記トナー像を感光体ドラム11表面から被記録材Wに転写する。
【0011】
感光体ドラム11表面に形成されたトナー像は、転写ローラ12を介して印加されるバイアス電圧、及び感光体ドラム11と転写ローラ12との間のニップ圧により、転写ローラ12表面に転写され、次いで、転写ローラ12から、該転写ローラ12とバックアップローラ13の間を通る被記録材Wに転写される。
転写ローラ12の周面12aは、転写ローラ12外周に設けられた、導電性のゴム質材料からなる被覆層によって形成されている。
【0012】
なお、本明細書において、ローラに関して「周面」との語は、ローラ外面全体のうち、ローラの回転軸線(中心軸線)を中心とする円筒面を指す。また、本明細書では、ローラに関して、「表面」との表現は周面を指すものとする。
【0013】
被記録材Wは、ここでは枚葉紙あるいは長尺帯状の連続紙といった用紙であるが、これに限定されず、例えば樹脂フィルムからなる枚葉フィルム、長尺帯状の連続フィルム等であっても良い。被記録材Wの材質は、紙、樹脂フィルムといった材質に限定されない。被記録材Wの形態は、枚葉形フィルム状部材あるいは長尺帯状フィルム状部材のいずれであっても良い。
【0014】
クリーニング装置20は、転写ローラ12表面(周面12a)に転接して転写ローラ12に順方向に回転するクリーニングローラ21を有する。このクリーニングローラ21は、転写ローラ周面12aにおけるバックアップローラ13に対する最接近位置よりも転写ローラ12回転方向下流側、かつ転写ローラ周面12aの感光体ドラム11との接触部よりも転写ローラ12回転方向上流側に、表面(周面21a)を転接させている。
【0015】
前記クリーニング装置20は、キャリア液舟30と、キャリア液舟30内のキャリア液Q中に浸潰する供給ローラ22と、前記クリーニングローラ21とを有する。
供給ローラ22は、クリーニングローラ21に対してその回転方向における転写ローラ12との接触部よりも下流側にて、その表面(周面22a)をクリーニングローラ21表面に転接させてクリーニングローラ21に対して順方向に回転する。供給ローラ22は、キャリア液舟30内のキャリア液Qをクリーニングローラ21に供給する機能を果たす。
【0016】
前記クリーニング装置20は、カセットフレーム27に、キャリア液舟30と、供給ローラ22と、クリーニングローラ21とを設けた概略構成のカセット28を有する。
電子写真印刷機10は、機体フレーム14に、感光体ドラム11、転写ローラ12、バックアップローラ13、帯電装置、露光装置、現像液供給装置を取り付けた構成の機体10Aを有する。このカセット28は、電子写真印刷機10の機体10Aに脱着可能に取り付けられている。
図1、図2、図3実線は、前記カセット28を電子写真印刷機10の機体10Aに取り付けた状態を示す。
【0017】
クリーニングローラ21及び供給ローラ22は、水平方向に沿う転写ローラ12の回転軸線と平行な回転軸線を以て回転される。
供給ローラ22は、その回転軸線を、樋状に形成されたキャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31の延在方向に揃えて、回転軸線から下側の部分をキャリア液貯留溝31内のキャリア液Qに浸潰させている。
したがって、クリーニング装置20は、キャリア液舟30内のキャリア液Qを、供給ローラ22を介して、クリーニングローラ21から転写ローラ12表面へ供給できる。
【0018】
なお、図示例のクリーニング装置20において、クリーニングローラ21は、その周面21aを、供給ローラ22周面のその中心軸線よりも上側の部分に転接させて設けられている。
また、図示例のクリーニング装置20において、クリーニングローラ21と供給ローラ22とはその外径(周面の直径)が互いに同じになっている。クリーニングローラ21の外径は、転写ローラ12の外径よりも小さい。
但し、クリーニングローラ21の外径は、供給ローラ22の外径と必ずしも同じである必要は無く、供給ローラ22外径に対して異なっていても良い。
【0019】
このクリーニング装置20は、供給ローラ22がクリーニングローラ21に比べて低い(遅い)周速(周面の回転速度)で回転され、かつクリーニングローラ21が転写ローラ12に比べて低い(遅い)周速(周面の回転速度)で回転されるように構成されている。
したがって、このクリーニング装置20は、供給ローラ22がクリーニングローラ21に対して順方向に摺擦回転し、クリーニングローラ21が転写ローラ12に対して順方向に摺擦回転する。前記クリーニングローラ21は、供給ローラ22及び転写ローラ12に摺擦回転して、供給ローラ22から受け取ったキャリア液Qを転写ローラ12表面に供給する。
【0020】
図1に例示したクリーニング装置20にあっては、転写ローラ12周速を100としたときにクリーニングローラ21周速が25〜40、クリーニングローラ21周速を100としたとき供給ローラ22周速が60〜80に設定されている。
但し、供給ローラ22及びクリーニングローラ21の周速は、供給ローラ22がクリーニングローラ21に対してクリーニングローラ21に比べて低い(遅い)周速で摺擦回転し、かつクリーニングローラ21が転写ローラ12に対して転写ローラ12に比べて低い(遅い)周速で摺擦回転する範囲で適宜変更可能である。
【0021】
前記クリーニング装置20は、クリーニングローラ21が転写ローラ12に対して転写ローラ12に比べて低い(遅い)周速で摺擦回転することで、転写ローラ12表面の残留トナーをキャリア液とともに転写ローラ12からクリーニングローラ21へ剥ぎ取るようにして除去(回収)できる。
転写ローラ周面12aの残留トナーは、クリーニングローラ21から転写ローラ12周面へ供給したキャリア液によって軟化溶解する。このクリーニング装置20は、クリーニングローラ21から転写ローラ12周面へ供給したキャリア液によって軟化溶解させた残留トナーを、クリーニングローラ21と転写ローラ12との周速差によって、転写ローラ12からクリーニングローラ21へ除去、回収する。
【0022】
また、クリーニングローラ21には、転写ローラ12表面の残留トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加される。図1において符号Vは、前記バイアス電圧をクリーニングローラ21に印加するための電圧印加装置である。これにより、クリーニング装置20は、転写ローラ12表面の残留トナーを電気泳動により転写ローラ12表面からクリーニングローラ21へ確実に吸着回収できる。
なお、図示例のクリーニング装置20のカセット28には電圧印加装置Vは搭載されず、カセット28外側に配置されている。但し、カセットとしては、電圧印加装置Vを搭載した構成としても良い。
【0023】
クリーニングローラ21の周面21aは、金ローラ(導電性金属からなる金属ローラ)によって形成されている。
なお、供給ローラ22は、その軸受け構成部品が、電気絶縁性材料によって形成されている。但し、供給ローラ22外周部の形成材質は、特には限定は無い。転写ローラ12周面からクリーニングローラ21周面に回収されたトナー及びキャリア液は、後述する排液回収ドクター23によってクリーニングローラ周面21aから除去されるので、クリーニングローラ21表面から供給ローラ22の周面22aへの移動は阻止される。
【0024】
図1に示すように、この実施形態のクリーニング装置20は、クリーニングローラ21表面に接して設けられ、転写ローラ12表面からクリーニングローラ21表面に回収されたトナー及びキャリア液をクリーニングローラ21表面から除去するブレード状の排液回収ドクター23を有する。この排液回収ドクター23は、その先端23aを、クリーニングローラ21表面(周面21a)のその回転方向における転写ローラ12との接触部より下流側、かつ供給ローラ22との接触部より上流側の位置に接触させて配置されている。そして、排液回収ドクター23は、クリーニングローラ21周面に接触させた先端によって、クリーニングローラ21周面からトナー及びキャリア液を掻き取って除去する。
【0025】
前記排液回収ドクター23は、クリーニングローラ21表面に接触させた先端23aとは反対の後端23bが、前記先端23aに比べて下方に位置するように傾斜させて設けられている。図示例のクリーニング装置20は、クリーニングローラ21表面(周面)から排液回収ドクター23に回収されたトナー及びキャリア液が、排液回収ドクター23の後端23bから、その下方に設けられた部材(後述の流路溝形成部材29)に溝状に形成された回収液排路35(回収液排溝)に導入される構成となっている。排液回収ドクター23から回収液排路35に導入されたトナー及びキャリア液は、図2に示す排液配管36を介して、電子写真印刷機10の機外に設けられた排液タンク38へ導かれる。回収液排路35(回収液排溝)及び排液配管36は、排液回収ドクター23によってクリーニングローラ21から回収されたトナー及びキャリア液を、排液タンク38へ導入するための排液路37を構成する。回収液排路35(回収液排溝)及び排液配管36は、それぞれ前記排液路37の一部である。
【0026】
図1に例示したクリーニング装置20のキャリア液舟30は、前記回収液排路35が形成された流路溝形成部材29の一部である。
図1、図3に示すように、キャリア液舟30は、流路溝形成部材29のうち、キャリア液貯留溝31下側に位置する部分である底壁部33と、その上側にキャリア液貯留溝31の周囲を取り囲む四角枠状に形成された壁部とで構成されている。キャリア液貯留溝31の周囲を取り囲む四角枠状の壁部は、キャリア液貯留溝31を介してその溝幅方向両側に位置する側壁部32と、キャリア液貯留溝31延在方向両側の端壁部とによって構成されている。
前記回収液排路35は、前記キャリア液貯留溝31が形成された流路溝形成部材29に、前記キャリア液貯留溝31に沿って延在する溝状に形成されている。この回収液排路35は、キャリア液貯留溝31を介して両側の側壁部32の片方(図1中符号32aを付記する。以下、第1側壁部とも言う)によってキャリア液貯留溝31と区分けされている。キャリア液舟30の第1側壁部32aは、キャリア液貯留溝31と回収液排路35との間を仕切る仕切り壁として機能する。
【0027】
なお、回収液排路35も、その溝幅方向両側及び延在方向両側に配された流路溝形成部材29の一部である四角枠状の壁部によって取り囲まれていることは、キャリア液舟30とキャリア液貯留溝31と同様である。
また、このことは、後述のオーバーフロー液受け溝39についても同様である。
流路溝形成部材29は、キャリア液舟30のキャリア液貯留溝31の延在方向(図2、図3左右方向)に沿って延在する細長形状に形成されている。キャリア液貯留溝31、回収液排路35、後述のオーバーフロー液受け溝39は、それぞれ、流路溝形成部材29にその長手方向に沿って延在形成されている。
【0028】
図1に示すように、図示例のクリーニング装置20は、回収液排路35に、その上方配置された排液回収ドクター後端23bから、排液回収ドクター23がクリーニングローラ21表面から回収したトナー及びキャリア液が落下して導入される構成になっている。但し、クリーニング装置20としてはこの構成に限定されず、例えば、排液回収ドクター後端23bから回収液排路35へトナーを含むキャリア液を流下させて導入するための流路部材を設けた構成等も採用可能である。
【0029】
図示例の電子写真印刷機10において、クリーニング装置20は、回収液排路35及び排液配管36を含む。
また、図示例のクリーニング装置20の排液配管36の途中には、排液回収ドクター23から回収液排路35に導入されたトナー及びキャリア液を排液タンク38へ送液するためのポンプ37Pが設けられている。図示例のクリーニング装置20は前記ポンプ37Pを含む。
【0030】
なお、排液配管36の途中のポンプ37Pは、必要に応じて設けられる。排液路37として、例えば、排液回収ドクター23から回収液排路35に導入されたトナー及びキャリア液が、回収液排路35から該回収液排路35よりも下方に配置された排液タンク38へ排液配管36を介して円滑に流下して排液される構成も採用可能である。この場合、排液路としては、排液配管36の途中のポンプ37Pを省略した構成も採用可能である。
【0031】
図1に示すように、図示例のクリーニング装置20は、転写ローラ12の周面12aに接して設けられたクリーニングドクター24と、転写ローラ12の軸線方向の端面12bに接して設けられた転写ローラサイドドクター25とを含む。転写ローラサイドドクター25は、転写ローラ12の軸線方向両側の端面12bに対応するべく、転写ローラ12の軸線方向両側に設けられている。また、図示例のクリーニング装置20は、供給ローラ22の軸線方向両側の端面22b及びクリーニングローラ21の軸線方向両側の端面21bに接して設けられた装置サイドドクター26(サイドドクター)も有している。
【0032】
クリーニングドクター24は、転写ローラ12周面のその回転方向におけるクリーニングローラ21との接触部よりも下流側、かつ感光体ドラム11との接触部よりも上流側の位置に先端を接触させたブレード状の部材であり、転写ローラ12周面から残存トナー及びキャリア液を回収、除去する。
図示例のクリーニング装置20は、万一、クリーニングローラ21によって除去しきれなかったトナー及びキャリア液が転写ローラ12表面(周面)に残存したとしても、残存するトナー及びキャリア液をクリーニングドクター24によって転写ローラ12から除去できる。
【0033】
クリーニングドクター24の転写ローラ12周面に接触させた先端は、クリーニングローラ21上に位置している。クリーニングドクター24先端は、より具体的には、クリーニングローラ21周面のその回転方向における転写ローラ12との接触部よりも下流側、かつ排液回収ドクター23先端との接触部よりも上流側に位置する部分の上方に配置されている。クリーニングドクター24は、転写ローラ周面12aに接触させた先端によって転写ローラ12周面から掻き取って除去したトナー及びキャリア液を、前記先端からクリーニングローラ21へ落下させる。クリーニングドクター24によって転写ローラ12周面から除去されたトナー及びキャリア液は、排液回収ドクター23によってクリーニングローラ21周面から回収液排路35へ回収される。
【0034】
転写ローラサイドドクター25は、転写ローラ12の軸線方向両側の端面12bから、該端面12bに付着するトナー及びキャリア液を除去する。
図1に示すクリーニング装置20において、転写ローラサイドドクター25は、転写ローラ12のその回転方向におけるクリーニングローラ21との接触部よりも下流側、かつ感光体ドラム11との接触部よりも上流側の位置にて、転写ローラ12の軸線方向両側の端面12bに接触させて設けられている。また、この転写ローラサイドドクター25は、転写ローラ端面12bの外周部に接触させて設けられている。
転写ローラサイドドクター25は、転写ローラ端面12bに付着するトナー及びキャリア液を転写ローラ端面12bから掻き取って除去する。転写ローラサイドドクター25によって転写ローラ端面12bから除去されたトナー及びキャリア液は、図示略の流路部材を介して回収液排路35へ流下、導入される。
【0035】
なお、クリーニング装置は、転写ローラサイドドクター25によって転写ローラ端面12bから除去されたトナー及びキャリア液を、流路部材を介して、クリーニングローラ21周面のその回転方向における転写ローラ12との接触部よりも下流側、かつ排液回収ドクター23先端との接触部よりも上流側に位置する部分に流下させる構成としても良い。
【0036】
図1に示すように、装置サイドドクター26は、供給ローラ22の軸線方向の端面22b(以下、単に、供給ローラ端面とも言う)及びクリーニングローラ21の軸線方向の端面21b(以下、単に、クリーニングローラ端面とも言う)に跨って設けられている。この装置サイドドクター26は、ブレード状あるいは棒状の部材であり、供給ローラ端面22bに当接された後端側部分が、供給ローラ22上側のクリーニングローラ21の端面21bに当接された先端側部分に比べて下方に位置するように傾斜して設けられている。
【0037】
装置サイドドクター26は、供給ローラ端面22b及びクリーニングローラ端面21bに付着したキャリア液をこれらローラ端面21b、22aから掻き取って除去する。
装置サイドドクター26後端は、回収液排路35の上方に位置する。
供給ローラ端面22b及びクリーニングローラ端面21bから装置サイドドクター26によって除去されたキャリア液は、装置サイドドクター26後端からその下方に位置する回収液排路35に落下する。
【0038】
排液回収ドクター23は、装置サイドドクター26の上方に位置している。
装置サイドドクター26は、クリーニングローラ21の転写ローラ12との接触部から排液回収ドクター23までの間にて、クリーニングローラ21の周面21aから端面21bへ移動したキャリア液(トナーを含むキャリア液)が供給ローラ端面22bを介してキャリア液舟30内へ流下、混入することを防ぐ。
装置サイドドクター26は、クリーニングローラ端面21bに当接させた部分の上面26aが、クリーニングローラ21と供給ローラ22との接触部よりも上方に位置するように配置されている。装置サイドドクター26の供給ローラ端面22bに当接させた部分は、そのほぼ全体が、供給ローラ22とクリーニングローラ21との接触部よりも供給ローラ22回転方向上流側、かつキャリア液舟30のキャリア液貯留溝31内のキャリア液Qの液面よりも上側に配置されている。
【0039】
また、装置サイドドクター26は、その下面26bをキャリア液舟30のキャリア液貯留溝31を介して両側の側壁部32のうち回収液排路35側の第1側壁部32aの上端部に当接させている。
キャリア液舟30のキャリア液貯留溝31内にて供給ローラ端面22bに付着したキャリア液(トナーを含まないキャリア液)は、装置サイドドクター26によって供給ローラ端面22bから掻き取られて装置サイドドクター下面26bに沿って流下し、装置サイドドクター下面26bからキャリア液舟30の第1側壁部32aのキャリア液貯留溝31側の面(内面)へ移動してキャリア液貯留溝31へ戻る。
【0040】
このクリーニング装置20によれば、キャリア液舟30のキャリア液貯留溝31内にて供給ローラ端面22bに付着したキャリア液を、装置サイドドクター26によってキャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31に回収できる。このため、このクリーニング装置20は、供給ローラ端面22bに付着したキャリア液が供給ローラ22の回転によって供給ローラ22から飛散し、無駄に消費されることを抑えることができる。
【0041】
図1に例示したクリーニング装置20の流路溝形成部材29には、その上面から窪む溝状に、キャリア液貯留溝31及び該キャリア液貯留溝31に沿って延在する回収液排路35(回収液排溝)が形成されている。
また、この流路溝形成部材29の、キャリア液貯留溝31を介して回収液排路35とは反対の側には、キャリア液貯留溝31に沿って延在するオーバーフロー液受け溝39が形成されている。
【0042】
図2に示すように、この実施形態のクリーニング装置20は、機体10A外側かつカセット28外側に配置され、キャリア液を貯留する貯留タンク41と、この貯留タンク41内のキャリア液をポンプ42によって前記キャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31に送給するキャリア液送給路43とを含む。キャリア液送給路43は、貯留タンク41内のキャリア液をキャリア液舟30のキャリア液貯留溝31内へ導く供給配管44を有し、この供給配管44の途中に前記ポンプ42が設けられた構成となっている。
【0043】
また、このクリーニング装置20は、前記キャリア液舟30のキャリア液貯留溝31からオーバーフローしたキャリア液を前記貯留タンク41に戻すオーバーフロー液回収路45を含む。このオーバーフロー液回収路45は、流路溝形成部材29に形成されたオーバーフロー液受け溝39を含む。
【0044】
キャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31には、貯留タンク41内のキャリア液が、キャリア液送給路43を介して常時送給される。このキャリア液貯留溝31へキャリア液送給路43から送給されるキャリア液の流量は、電子写真印刷機10の運転時の供給ローラ22及びクリーニングローラ21の回転に伴う、クリーニングローラ21から転写ローラ12へのキャリア液の供給量(消費量)を上回る量とする。すなわち、クリーニング装置20は、キャリア液貯留溝31からのキャリア液のオーバーフローが常時継続するように、貯留タンク41からキャリア液送給路43を介してキャリア液貯留溝31へ送給(供給)するキャリア液の送給量を設定する。
【0045】
図1に示すように、キャリア液舟30の両側の側壁部32のうち、第1側壁部32aとは反対の側の側壁部32b(以下、第2側壁部とも言う)は、キャリア液舟底壁部33から上方への突出寸法が第1側壁部32aに比べて小さく(低く)してある。そして、流路溝形成部材29及びキャリア液舟30は、キャリア液貯留溝31からオーバーフローしたキャリア液が、全て、オーバーフロー液受け溝39に流入するように構成されている。キャリア液舟30からオーバーフローしたキャリア液は、全量が、第2側壁部32bを乗り越えてオーバーフロー液受け溝39に流入する。
オーバーフロー液受け溝39は、キャリア液舟30からオーバーフローしたキャリア液が流入するオーバーフロー液受け部として機能する。
【0046】
図2に示すように、オーバーフロー液回収路45は、前記オーバーフロー液受け溝39と、このオーバーフロー液受け溝39内のキャリア液を貯留タンク41内へ導く回収配管46と、この回収配管46の途中に介在されたポンプ45P及びフィルタ47を有する。
オーバーフロー液受け溝39から回収配管46へ流入したキャリア液は、ポンプ45Pによって貯留タンク41へ送り出される。
フィルタ47は、回収配管46を流れるキャリア液から、例えば金属摩耗粉等の混入物(異物)を除去し、キャリア液の清浄を保つ。
【0047】
なお、クリーニング装置20は、フィルタ47を、オーバーフロー液回収路45ではなく、キャリア液送給路43に設けた構成も採用可能である。
但し、貯留タンク41内のキャリア液への金属摩耗粉等の混入物の万一の混入を回避する点では、フィルタ47をオーバーフロー液回収路45に設けることが好ましい。
また、クリーニング装置としては、フィルタ47を、オーバーフロー液回収路45及びキャリア液送給路43の両方に設けた構成も採用可能である。
【0048】
クリーニング装置20は、キャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31と、貯留タンク41と、キャリア液送給路43と、オーバーフロー液回収路45とからなるキャリア液循環装置40を有する。このキャリア液循環装置40は、貯留タンク41からキャリア液送給路43を介してキャリア液貯留溝31に供給してオーバーフローさせたキャリア液をオーバーフロー液回収路45を介して前記貯留タンク41に戻す、キャリア液循環路を構成する。
この構成であれば、キャリア液舟30内のキャリア液が常時、循環によって入れ替わることで、キャリア液舟30内のキャリア液の特性を安定に保つことができる。また、このクリーニング装置20は、別途、キャリア液の攪拌を促す機構を設けることなく、キャリア液舟30内のキャリア液の濃度を均一に保つことができる。これにより、このクリーニング装置20は、該クリーニング装置20を設けた電子写真印刷機10の印刷品質の安定に有効に寄与する。
なお、貯留タンク41は、オーバーフロー液回収路45からのキャリア液の流入以外に、別途、該貯留タンク41外側から内側へキャリア液を投入可能である。
【0049】
図1、図3に示すように、流路溝形成部材29は、前記カセット28のカセットフレーム27の一部をなす。前記カセットフレーム27は、流路溝形成部材29と、該流路溝形成部材29の回収液排路35を介してキャリア液舟30の第1側壁部32aとは反対側の壁部(排路側壁部34)を兼ねる背板部27aと、流路溝形成部材29の長手方向両端部から突出するローラ支持板27bとを有する。背板部27a及びローラ支持板27bは、キャリア液貯留溝31、回収液排路35、オーバーフロー液受け溝39が開口する流路溝形成部材29の上面側に、流路溝形成部材29から立ち上げるようにして突出している。
【0050】
カセットフレーム27の両側のローラ支持板27bは、流路溝形成部材29の長手方向に垂直に形成されている。カセット28は、カセットフレーム27に取り付けた供給ローラ22及びクリーニングローラ21を有する。供給ローラ22及びクリーニングローラ21は、それぞれ回転軸の両端部をカセットフレーム27のローラ支持板27bに回転自在に取り付けて、カセットフレーム27の一対のローラ支持板27b間に架設状態に設けられている。また、カセット28は、前記カセット28のカセットフレーム27に固定して取り付けられた、排液回収ドクター23、クリーニングドクター24、転写ローラサイドドクター25、装置サイドドクター26も有する。
【0051】
前記背板部27aは、回収液排路35の溝底からの突出寸法が第1側壁部32aに比べて大きい板状部である。背板部27aのうち、回収液排路35を介して第1側壁部32aに対面する部分が排路側壁部34として機能する。
カセットフレーム27は、前記背板部27aの、該背板部27aに一体的に設けられているキャリア液舟30が配置されているおもて面側とは反対の背面に突設されたレール係合突部27cを有する。
電子写真印刷機10は、機体フレーム14に回動可能に取り付けられたカセット支持レバー15を有する。このカセット支持レバー15は、カセット28を、電子写真印刷機10の機体10Aに対して脱着可能に取り付けるための取り付け具として機能するものである。このカセット支持レバー15には、カセット28を案内して、該カセット支持レバー15及び電子写真印刷機10の機体10Aの転写ローラ12に対して、転写ローラ12の中心軸線(回転軸線)に沿ってスライド移動させるためのレール16が取り付けられている。レール16は、カセット支持レバー15に、転写ローラ12の中心軸線に沿って延在する向きで取り付けられている。
【0052】
電子写真印刷機10の機体10Aに対して取り付け状態(図1〜図3に示す状態)のカセット28は、カセット支持レバー15に設けられたクランプ装置(不図示)によってカセット支持レバー15に固定されている。また、この取り付け状態のカセット28は、カセット支持レバー15と転写ローラ12との間に挟み込まれるように配置され、クリーニングローラ21が所定の押圧力で転写ローラ12に押圧される。このとき、カセット支持レバー15は、転写ローラ12よりも下側にて機体フレーム14に水平方向の回動軸線を以て軸着されている基端部15aから上方の部分(図示例では上端部に位置する先端部15b)が、該部分と機体フレーム14とを連結する流体圧シリンダ装置17によって、転写ローラ12からの距離が増大しないように支持されている。これにより、カセット28のクリーニングローラ21が所定押圧力で転写ローラ12に押圧された状態が維持されている。
なお、図1において、符号18は回動支軸である。カセット支持レバー15の基端部15aは、この回動支軸18を介して、機体フレーム14に水平方向の回動軸線を以て軸着されている。
【0053】
図1〜図3に例示したカセット支持レバー15は、具体的には、L字状に形成された一対の屈曲棒材151の屈曲部152から両側部分の一方同士を、互いに平行な2本のレール16によって連結して、一対の屈曲棒材151を互いに平行に固定した構造になっている。
このカセット支持レバー15のうち、レール16によって一対の屈曲棒材151の屈曲部152から一方の側同士を互いに連結した部分を、以下、カセット取付部153とも言う。カセット支持レバー15の基端部15aは、具体的には、一対の屈曲棒材151の屈曲部152を介してカセット取付部153側ではない方向に延出した部分(以下、基端側支持材部154とも言う)の屈曲部152とは反対側の端部である。一方、カセット支持レバー15の先端部15bは、屈曲棒材151の屈曲部152から基端側支持材部154に対して垂直に延在するカセット取付部153の屈曲部152とは反対側の端部である。
図1に示す取り付け状態において、カセット支持レバー15は、屈曲棒材151の基端側支持材部154が水平面に沿った向き、カセット取付部153が基端側支持材部154に対して垂直の向きで配置される。
【0054】
流体圧シリンダ装置17は、その伸縮方向両端部の一方(図1では、シリンダ本体17aから突出するピストン17bの先端部)を、回転軸17cを介してカセット支持レバー15に水平方向の回動軸線を以て回転自在に取り付け、伸縮方向両端部の他方(図1では、シリンダ本体17aのピストン17b先端部とは反対側の端部)を、回転軸17dを介して機体フレーム14に水平方向の回動軸線を以て回転自在に取り付けている。
また、流体圧シリンダ装置17は、電子写真印刷機10の機体フレーム14に対するカセット28の取り付け状態を保っているとき、ピストン17bのシリンダ本体17aからの突出寸法が突出可能最大値に比べて充分に小さい状態にある。
【0055】
図2、図3に示すように、前記キャリア液循環装置40は、前記カセット28に設けられたカセット側流路部410と、前記カセット28の外側に位置する外側流路部420とを有する。
キャリア液舟30内側のキャリア液貯留溝31と、オーバーフロー液回収路45のオーバーフロー液受け溝39とはカセット側流路部410の一部である。また、図示例のキャリア液循環装置40のカセット側流路部410は、キャリア液舟30のキャリア液貯留溝31とオーバーフロー液受け溝39との間の、キャリア液舟30からオーバーフローしてオーバーフロー液受け溝39に流入するキャリア液が流れる領域(流路)も含む。
【0056】
図2に示すように、キャリア液循環装置40のキャリア液送給路43の供給配管44は、キャリア液舟30側の端部に取り付けられたソケット48aを、流路溝形成部材29に取り付けられたプラグ48bに脱着可能に嵌合してなるワンタッチカプラ481を介してキャリア液貯留溝31と連通、接続されている。
オーバーフロー液回収路45の回収配管46は、流路溝形成部材29側の端部に取り付けられたソケット48aを、流路溝形成部材29に取り付けられたプラグ48bに脱着可能に嵌合してなるワンタッチカプラ482を介してオーバーフロー液受け溝39と連通、接続されている。
符号481のワンタッチカプラのプラグ48bは、流路溝形成部材29に形成された流路を介してキャリア液貯留溝31と連通し、符号482のワンタッチカプラのプラグ48bは、流路溝形成部材29に形成された流路を介してオーバーフロー液受け溝39と連通している。
【0057】
キャリア液循環装置40の外側流路部420は、貯留タンク41と、供給配管44及びポンプ42と、回収配管46と、ポンプ45P及びフィルタ47とを有する構成となっている。
キャリア液循環装置40は、カセット側流路部410と外側流路部420とがワンタッチカプラ481、482で脱着可能に連結された構成となっている。具体的には、供給配管44とキャリア液貯留溝31、回収配管46とオーバーフロー液受け溝39とが、それぞれワンタッチカプラによって脱着可能に連結されている。
【0058】
図2、図3に示すように、排液路37の排液配管36は、流路溝形成部材29側の端部に取り付けられたソケット48aを、流路溝形成部材29に取り付けられたプラグ48bに脱着可能に嵌合してなるワンタッチカプラ483を介して回収液排路35(回収液排溝)と連通、接続されている。
ワンタッチカプラ483のプラグ48bは、流路溝形成部材29に形成された流路を介して回収液排路35(回収液排溝)と連通している。
【0059】
なお、図3は、カセット28及びカセット支持レバー15を電子写真印刷機10の機体10A側から見た図になっているため、ワンタッチカプラ481、482、483のうち、オーバーフロー液回収路45のワンタッチカプラ482のみを図示している。キャリア液送給路43のワンタッチカプラ481及び排液路37のワンタッチカプラ483は、図3においてオーバーフロー液回収路45のワンタッチカプラ482よりも紙面奥側に位置する。
【0060】
カセット28は、図1に示す状態から流体圧シリンダ装置17を伸長(ピストン17bのシリンダ本体17aからの突出寸法を増大)させ、カセット支持レバー15を回動支軸18を中心に回動させて転写ローラ12からの距離を増大させることで、クリーニングローラ21を転写ローラ12から離隔させることができる。これにより、カセット28は、電子写真印刷機10の機体10Aに対する取り付け状態が解除され、機体10Aから離脱状態となる。
なお、カセット支持レバー15について、カセット28を、電子写真印刷機10の機体10Aに対する取り付け状態に支持した状態を、以下、閉状態、該閉状態に比べてカセット支持レバー15の転写ローラ12からの距離を増大して、カセット支持レバー15に支持したカセット28と転写ローラ12との間が作業者が手を入れて楽に作業を行える程度の広さに開放された状態を、以下、開状態とも言う。
【0061】
また、カセット28は、ワンタッチカプラ481、482、483のソケット48aからプラグ48bを抜き去って流路溝形成部材29に対する配管36、44、46の連結を解き、クランプ装置によるカセット28のカセット支持レバー15に対する固定を解除することで、カセット支持レバー15に対してそのレール16延在方向にスライド移動可能となる。
そして、カセット28は、レール16に沿った移動によって、図3仮想線に示すようにカセット支持レバー15から抜き出すことができる。
【0062】
カセット28は、電子写真印刷機10から取り出すことで、供給ローラ22、クリーニングローラ21、その他、該カセット28に設けられている各部材の保守等を楽に効率良く行える。
【0063】
図1に示すように、カセット28は、カセットフレーム27のレール係合突部27cを、カセット支持レバー15のレール16に係合させて、カセット支持レバー15に対してそのレール16延在方向にスライド移動可能に取り付けられる。
図1において、カセット28は、カセット支持レバー15のカセット取付部153の上下方向の互いに離隔させて設けられた一対のレール16にそれぞれ係合させて、カセット支持レバー15に対してそのレール16延在方向にスライド移動可能に取り付けられている。カセット支持レバー15の一対のレール16は、屈曲棒材151のカセット取付部153に位置する部分に固定されて、その長手方向に垂直に突出するレール本体16aを有する。下側のレール16(以下、第1レール161とも言う)には、レール本体16aの突出先端部から、上側のレール16(以下、第2レール162とも言う)に向かって突出するリブ状係止突部16bがその長手方向全長にわたって形成されている。上側の第2レール162には、レール本体16aの突出先端部から、第1レール161に向かって突出するリブ状係止突部16bがその長手方向全長にわたって形成されている。
そして、カセット28は、レール16のリブ状係止突部16bを、レール係合突部27cの上下両側に形成した係止溝27dに収容して、レール16延在方向にスライド移動可能に取り付けられている。カセット28の重量は主として第1レール161が負担する。
【0064】
この取り付け構造であれば、レール係合突部27cの係止溝27dに収容したレール16の係止突部16bによってレール係合突部27cのレール16からの脱落が規制され、カセット28が不用意にカセット支持レバー15から落下する心配が無い。
また、上下方向に互いに離隔して設けられた一対のレール16の係止突部16bを、レール係合突部27cの上下両側に形成した係止溝27dに収容した構成は、カセット支持レバー15に対するカセット28の取り付け向きの安定化に有効に寄与する。カセット28は、レール係合突部27cの係止溝27dを、係止突部16bを出来るだけがたつきを生じることなく収容できるサイズ、形状で形成することで、カセット支持レバー15に対するカセット28の取り付け向きの精度及び安定性を容易に高めることができる。
【0065】
カセット28のカセット支持レバー15に対する取り付け向きの精度向上は、例えば、電子写真印刷機10の機外にあるカセット28を電子写真印刷機10の機体10Aに対して取り付け状態にした際の、クリーニングローラ21の転写ローラ12に対する当接位置を高精度化できる、といった利点がある。また、電子写真印刷機10の機体10Aに対するカセット28の取り付け時の、クリーニングドクター24、転写ローラサイドドクター25の転写ローラ12に対する当接位置も高精度化できる。
【0066】
なお、カセットフレーム27のレール係合突部27cを、カセット支持レバー15のレール16に係合させて、カセット28をカセット支持レバー15に対してそのレール16延在方向にスライド移動可能に取り付ける取り付け構造としては、図示例の構成に限定されない。
例えば、図1におけるレール本体16a先端部の下側のみあるいは上下両側にリブ状係止突部16bを突設した構成のレールを採用し、レール係合突部27cに形成した溝にこのレール全体を収容する構成も採用可能である。レール係合突部27cには、レールのリブ状係止突部16bを収容するための係止溝27dを含む溝を形成する。
この場合は、レールが1本だけであっても、カセット支持レバー15に対してカセット28を比較的安定に支持できる。
本発明に係る実施形態は、1本、又は3以上のレールによって、カセット28をカセット支持レバー15に対してレール延在方向にスライド移動可能に取り付けた構成も採用可能である。
【0067】
電子写真印刷機10の機外にあるカセット28を電子写真印刷機10の機体10Aに取り付けるには、まず、レール係合突部27cを開状態としたカセット支持レバー15のレール16に係合させたカセット28をレール16に沿ってその延在方向にスライド移動させ、所定位置に配置する。所定位置に配置したカセット28は、クランプ装置によってカセット支持レバー15に固定する。
次いで、ワンタッチカプラ481、482、483を利用して、キャリア液循環装置40の供給配管44とキャリア液貯留溝31、回収配管46とオーバーフロー液受け溝39、排液配管36と回収液排路35(回収液排溝)とを接続して、図1〜図3に示した配管接続状態とする。
次に、流体圧シリンダ装置17のピストン17bのシリンダ本体17aから突出寸法を縮小して、開状態のカセット支持レバー15を閉状態とする。これにより、カセット28のクリーニングローラ21が転写ローラ12に当接され、電子写真印刷機10の機体10Aに対してカセット28が取り付け状態となる。
【0068】
この実施形態のクリーニング装置20は、キャリア液舟30内のキャリア液を、転写ローラ12表面(周面)に供給するクリーニングローラ21が、該クリーニングローラ21と転写ローラ12との周速差によって、転写ローラ12周面の残存トナーを剥ぎ取るように除去する。また、クリーニングローラ21に、転写ローラ12表面の残留トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加することも、転写ローラ12周面からの残留トナーの回収に有効に寄与する。
このため、このクリーニング装置20は、転写ローラ12周面の残存トナーを溶解させるための転写ローラ12周面へのキャリア液の供給量(換言すれば、キャリア液の消費量)を、特許文献1記載の従来技術に比べて少なく抑えることができる。
【0069】
また、前記クリーニング装置20においては、転写ローラ12周速を100としたときにクリーニングローラ21周速が25〜40、クリーニングローラ21周速を100としたとき供給ローラ22周速が60〜80とした構成も、キャリア液の消費量削減に有効に寄与する。
すなわち、この構成によれば、キャリア液舟30内から供給ローラ22及びクリーニングローラ21を介して転写ローラ12へ供給するキャリア液は、供給ローラ22とクリーニングローラ21との間にて、所定接触圧が付与された状況下でのローラ間の周速差によって薄膜化される。この薄膜化されたキャリア液は、さらに、クリーニングローラ21と転写ローラ12との間にて、所定接触圧が付与された状況下でのローラ間の周速差によってさらに薄く薄膜化されて、クリーニングローラ21から転写ローラ12へ供給される。
【0070】
既述のように、前記クリーニング装置20は、クリーニングローラ21が、転写ローラ12との周速差によって、転写ローラ12周面から残留トナーを除去する構成により、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給量を少なく抑えることができる。
ここで、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給量を少なく抑えつつ、転写ローラ12周面からの残留トナーの除去をむら無く実現し、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給量を必要最小限に絞り込むには、キャリア液の供給を転写ローラ12周面に均一に安定維持することが必要である。
【0071】
上述のように、キャリア液舟30内から供給ローラ22及びクリーニングローラ21を介して転写ローラ12へ供給するキャリア液を、所定接触圧が付与された状況下でのローラ間の周速差によって薄膜化する構成は、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給を転写ローラ12周面に均一に安定維持することに有利であり、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給の均一化、安定化を容易に実現できる。その結果、前記クリーニング装置20は、転写ローラ12周面からの残留トナーの除去をむら無く実現できる範囲で、転写ローラ12周面へのキャリア液の供給量を絞り込んで、結果的に、高い印刷品質を確保しつつ、キャリア液の消費量の削減、それによるコスト低減を容易に実現できる。
【0072】
また、前記クリーニング装置20は、キャリア液の消費量の削減によって、キャリア液舟30の容積縮小が可能である。その結果、キャリア液循環装置40によって、キャリア液舟30内のキャリア液が常時、循環され、入れ替わることで、キャリア液舟30内のキャリア液の特性を安定に保つことが一層容易となる。
【0073】
前記クリーニング装置20は、クリーニングローラ21によって転写ローラ周面へのキャリア液の供給、及び転写ローラ12周面からの残留トナーの回収を行なう構成のため、特許文献1に開示される従来装置(電子写真印刷機)のように2つの装置(キャリア液供給装置及びクリーニング装置)を必要とする構成に比べて、装置の作製コストの低減が容易であり、操作、保守などの各種作業や制御も単純化することができる。
また、このクリーニング装置20は、特許文献1に開示される従来装置に比べて小型化も容易に実現できる。
【0074】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば上述の実施形態では、キャリア液貯留溝31と、回収液排路35(回収液排溝)と、オーバーフロー液受け溝39とを形成した形成した流路溝形成部材29を採用した構成を例示したが、本発明に係る実施形態ではこれに限定されず、例えば、キャリア液貯留溝31と、回収液排路35(回収液排溝)と、オーバーフロー液受け溝39とを互いに別個の部材に形成した構成も採用可能である。
但し、流路溝形成部材29の採用は、キャリア液貯留溝31と、回収液排路35(回収液排溝)と、オーバーフロー液受け溝39とを互いに別個の部材に形成した構成に比べて、小型化の点で有利である。
【符号の説明】
【0075】
10…電子写真印刷機、10A…(電子写真印刷機の)機体、11…感光体ドラム、12…転写ローラ、12a…(転写ローラの)周面、12b…(転写ローラの)端面、14…機体フレーム、15…カセット支持レバー、16…レール、17…流体圧シリンダ装置、18…回動支軸、
20…転写ローラクリーニング装置、21…クリーニングローラ、21a…(クリーニングローラの)周面、21b…(クリーニングローラの)端面、22…供給ローラ、22a…(供給ローラの)周面、22b…(供給ローラの)端面、23…排液回収ドクター、24…クリーニングドクター、25…転写ローラサイドドクター、26…サイドドクター(装置サイドドクター)、27…カセットフレーム、28…カセット、29…流路溝形成部材、30…キャリア液舟、31…キャリア液貯留溝、35…回収液排路、37…排液路、38…排液タンク、39…オーバーフロー液受け部(オーバーフロー液受け溝)、40…キャリア液循環装置、41…貯留タンク、42…ポンプ、43…キャリア液送給路、44…供給配管、45…オーバーフロー液回収路、46…回収配管、47…フィルタ、481、482、483…ワンタッチカプラ、48a…プラグ、48b…ソケット、Q…キャリア液、V…電圧印加装置、W…被記録材(用紙)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体トナーとキャリア液とからなる現像液を用いる湿式の電子写真印刷機の転写ローラをクリーニングする転写ローラクリーニング装置であって、
キャリア液舟内のキャリア液中に浸潰する供給ローラと、
前記供給ローラ及び前記転写ローラに摺擦回転して、前記供給ローラから受け取ったキャリア液を前記転写ローラ表面に供給するクリーニングローラと、
前記キャリア液舟を含み、貯留タンク内のキャリア液をポンプにより前記キャリア液舟内に供給し、前記キャリア液舟からオーバーフローしたキャリア液をオーバーフロー液回収路を介して前記貯留タンクに戻す、キャリア液循環路を構成するキャリア液循環装置とを有することを特徴とする転写ローラクリーニング装置。
【請求項2】
クリーニングローラと転写ローラとの接触部よりクリーニングローラ回転方向下流側に、前記クリーニングローラに先端部を接触させて配置した排液回収ドクターと、
前記排液回収ドクターによって前記クリーニングローラから回収された回収液を、前記キャリア液舟内側のキャリア液貯留溝とは独立に設けられた回収液排路を介して、電子写真印刷機の機外に配置された排液タンクへ導く排液路、とを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の転写ローラクリーニング装置。
【請求項3】
前記クリーニングローラの軸線方向の端面に接触させて設けられ、クリーニングローラの軸線方向端面に付着するキャリア液を回収して前記回収液排路へ導くサイドドクターを、さらに有することを特徴とする請求項2に記載の転写ローラクリーニング装置。
【請求項4】
前記キャリア液循環装置の前記ポンプ及び前記貯留タンクが電子写真印刷機の機体外側に配置され、前記キャリア液循環装置のうち前記電子写真印刷機の機体外側に位置する箇所に、前記キャリア液循環路を流れるキャリア液から混入物を除去するフィルターが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写ローラクリーニング装置。
【請求項5】
前記供給ローラと、前記クリーニングローラと、前記キャリア液舟と、前記オーバーフロー液回収路における前記キャリア液舟からオーバーフローしたキャリア液を流入させるオーバーフロー液受け部とをカセットフレームに設けて構成され、前記電子写真印刷機の機体に脱着可能に取り付けられたカセットを有し、前記キャリア液循環装置のうち前記カセットに設けられたカセット側流路部と、前記カセットの外側に位置する外側流路部とがワンタッチカプラで脱着可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写ローラクリーニング装置。
【請求項6】
前記転写ローラ周速を100としたときに、該転写ローラと順方向に回転するクリーニングローラ周速が25〜40であり、クリーニングローラ周速を100としたとき該クリーニングローラと順方向に回転するキャリア液供給ローラ周速が60〜80であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写ローラクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写ローラクリーニング装置を有することを特徴とする電子写真印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109093(P2013−109093A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252853(P2011−252853)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】