説明

転写ロール及びこれを用いた画像形成装置

【課題】転写ロールの軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写ムラが発生するのを抑制することが可能な転写ロール及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像保持体の表面に無端状ベルト部材を介して接触し、前記像保持体上に形成されたトナー像を前記無端状ベルト部材上又は前記無端状ベルト部材によって搬送される記録媒体上に転写する一次転写ロール22と、前記一次転写ロール22の軸方向に沿った両端部に設けられ、前記一次転写ロール22の端部の変形を抑制する変形抑制部材240と、を備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転写ロール及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置としては、例えば、感光体ドラムの表面にイエロー、マゼンタ、シアン、黒等のトナー像を順次形成するとともに、当該感光体ドラムの表面に順次形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色のトナー像を中間転写ベルト上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロールによって一次転写し、中間転写ベルト上に多重に転写された各色のトナー像を二次転写ロールによって記録媒体上に一括して二次転写した後に定着することで、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0003】
かかる画像形成装置において、一次転写ロールの被覆層の変形等に起因した濃度ムラなどの技術的課題を解決し得る技術としては、例えば、特開平11−344877号公報(特許第4208287号公報)や特開2002−31961号公報、特開2007−241014号公報、特許第4035333号公報などに開示されたものが既に種々提案されている。
【0004】
上記特開平11−344877号公報に係る画像形成装置は、像担持体上に順次に形成したトナー像を、中間転写ベルト上に順次に一次転写することにより中間転写ベルト上で複数のトナー像を重ね合わせた後、これら中間転写ベルト上の複数のトナー像を転写材上に一括して二次転写することで画像形成を行なう画像形成装置において、前記像担持体に前記中間転写ベルトを押圧して前記像担持体と前記中間転写ベルトとの間に一次転写ニップ部を構成する一次転写ローラと、二次転写対向ローラとの間に前記中間転写ベルトを挟み込んで該中間転写ベルトとの間に二次転写ニップ部を構成する二次転写ローラとを備え、前記一次転写ローラと前記二次転写ローラとの双方を、クラウン形状に形成する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0005】
また、上記特開2002−31961号公報に係る画像形成装置は、中間転写ベルトの移動方向に沿って並設した複数の像担持体上の各トナー像を、前記中間転写ベルトに静電的に順次1次転写し、次いで転写された複数色のトナー像を前記中間転写ベルトから記録材上に静電的に2次転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルトと前記像担持体との接触ニップ幅Wが、0<W≦1.5[mm]であるように構成したものである。
【0006】
さらに、上記特開2007−241014号公報に係る画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を、前記像担持体に接触しながら走行駆動される中間転写ベルトに一次転写し、前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に二次転写して記録画像を得る画像形成装置であって、
前記像担持体と前記中間転写ベルトが中間転写ベルト移動方向最上流側位置と最下流側位置の間の範囲で接触したとき、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルトに一次転写する一次転写装置として、前記接触範囲内の中間転写ベルトの裏面部分に当接し、かつトナーの正規の帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される転写ローラを持ち、
前記転写ローラが中間転写ベルトに当接した位置よりも中間転写ベルト移動方向下流側であって、前記最下流側位置よりも中間転写ベルト移動方向上流側の中間転写ベルトの裏面部分に当接し、
かつトナーの正規の帯電極性と同極性の電圧が印加される下流側バイアスローラを設けた画像形成装置において、
前記画像形成装置は、前記バイアスローラに対して前記像担持体と接する位置と反対側の位置に接触するバックアップローラが設けられているように構成したものである。
【0007】
又、上記特許第4035333号公報に係る画像形成装置は、像担持体に担持されたトナー像を情報記録材に転写するために該トナー像に電界を作用させるローラを具備している画像形成装置において、
該ローラは、軸と該軸を被覆しているウレタンスポンジ層とを有し、
該ウレタンスポンジ層は、ローラの軸側が、外側よりも大きな密度を有しており、
該ウレタンスポンジ層は、2層のウレタンスポンジ層からなり、該軸に近い側のウレタンスポンジ層の密度が、該軸に近い側のウレタンスポンジ層よりも外側のウレタンスポンジ層の密度と比較して大きく、且つ
該軸に近い側のウレタンスポンジ層が単泡スポンジで構成されており、該軸に近い側のウレタンスポンジ層よりも外側のウレタンスポンジ層が連泡スポンジで構成されているものである。
【0008】
【特許文献1】特開平11−344877号公報
【特許文献2】特許第4208287号公報
【特許文献3】特開2002−31961号公報
【特許文献4】特開2007−241014号公報
【特許文献5】特許第4035333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、転写ロールの軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写ムラが発生するのを抑制することが可能な転写ロール及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、請求項1に記載された発明は、像保持体の表面に無端状ベルト部材を介して接触し、前記像保持体上に形成されたトナー像を前記無端状ベルト部材上又は前記無端状ベルト部材によって搬送される記録媒体上に転写する転写ロール本体と、
前記転写ロール本体の軸方向に沿った両端部に設けられ、前記転写ロール本体の端部の変形を抑制する変形抑制部材と、
を備えたことを特徴とする転写ロールである。
【0011】
また、請求項2に記載された発明は、前記変形抑制部材は、その硬度が前記無端状ベルト部材よりも低く、且つ前記転写ロール本体の表面層よりも高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の転写ロールである。
【0012】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記変形抑制部材は、ゴム材料製の環状部材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写ロールである。
【0013】
又、請求項4に記載された発明は、前記変形抑制部材は、前記転写ロール本体の成形工程と同時又は前記転写ロール本体の成形工程と連続した成形工程で形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転写ロールである。
【0014】
更に、請求項5に記載された発明は、前記無端状ベルト部材は、その移動方向と交差する幅方向の両端部に貼り付けられたテープ状の補強部材を有しており、前記変形抑制部材は、前記無端状ベルト部材の前記テープ状の補強部材によって補強された部分に接触することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の転写ロールである。
【0015】
また、請求項6に記載された発明は、トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を無端状ベルト部材上又は当該無端状ベルト部材によって搬送される記録媒体上に転写する転写ロールとを備え、
前記転写ロールとして、請求項1乃至5のいずれかに記載された転写ロールを用いたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、転写用回転体の軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写ムラが発生するのを抑制することができる。
【0017】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、無端状ベルト部材に負荷を与えることなく、転写用回転体の軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写効率にムラが発生するのを抑制することができる。
【0018】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、転写ロールの構成を簡略化することができる。
【0019】
又、請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、転写ロールの製造コストを低減することができる。
【0020】
更に、請求項5に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、変形抑制部材によって無端状ベルト部材が損傷するのを防止することができる。
【0021】
また、請求項6に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、転写用回転部材の軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写ムラが発生するのを抑制することができ、高画質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1に係る転写ロールを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る転写ロールを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。
【図3】画像形成部を示す構成図である。
【図4】一次転写ロールを示す断面構成図である。
【図5】一次転写ロールの長さを示す説明図である。
【図6】従来の一次転写ロールを示す説明図である。
【図7】従来の一次転写ロールを示す説明図である。
【図8】中間転写ベルトの張力を示す斜視説明図である。
【図9】転写電流と画像濃度との関係を示すグラフである。
【図10】一次転写ロールの要部を示す斜視構成図である。
【図11】一次転写ロールの製造工程を示す模式図である。
【図12】一次転写ロールの製造工程を示す模式図である。
【図13】実験例を示す構成図である。
【図14】実験例を示す構成図である。
【図15】実験結果を示すグフラである。
【図16】実験結果を示すグフラである。
【図17】実験結果を示すグフラである。
【図18】この発明の実施の形態2に係る転写ロールを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る転写ロールを適用した画像形成装置としての4サイクル方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。また、このカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとしても機能するようになっている。なお、上記画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するものであっても勿論よい。
【0025】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部には、原稿2を1枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配置されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に配置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0026】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、必要に応じてシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換される。
【0027】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データとして画像露光装置13に送られ、この画像露光装置13では、画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。なお、上記画像形成装置は、プリンターとしても機能するように構成されており、当該画像形成装置がプリンターとして機能する場合には、画像処理装置12にパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから画像データが入力され、当該画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された後、画像露光装置13に4色の画像データが出力される。
【0028】
上記画像形成装置本体1の内部には、色の異なる複数のトナー像を形成可能な画像形成手段Aが配置されている。この画像形成手段Aは、主として、トナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム17と、前記感光体ドラム17上に形成された静電潜像を順次現像して色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としての回転式の現像装置19とから構成されている。
【0029】
上記画像露光装置13は、図2に示すように、図示しない半導体レーザーを画像データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡14によって偏向走査され、f・θレンズ15及び反射ミラー16を介して像保持体としての感光体ドラム17上に走査露光される。
【0030】
上記画像露光装置13によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム17は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度で回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム17の表面は、一次帯電用のスコロトロン18によって予め定められた極性(例えば、マイナス極性)及び電位に帯電された後、画像データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器19Y、19M、19C、19Kを回転可能に備えた回転式の現像装置19によって、例えば、感光体ドラム17の帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電したトナーによって反転現像され、予め定められた色のトナー像となる。尚、上記感光体ドラム17上に形成されたトナー像は、必要に応じて転写前帯電器20によってマイナス極性等の帯電を受け、電荷量が調整される。
【0031】
上記感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像は、当該感光体ドラム17の下部に配置された無端状ベルト部材(像保持体)としての中間転写ベルト21上に、転写ロールとしての一次転写ロール22によって多重に転写される。この中間転写ベルト21は、駆動ロール23、従動ロール24a、従動ロール24b、張力付与ロール24c、従動ロール24d及び二次転写手段の一部を構成する対向ロール25によって張り渡されており、矢印方向に沿って回転駆動される。
【0032】
上記中間転写ベルト21上には、形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のすべて又は一部の色のトナー像が、一次転写ロール22によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト21上に転写されたトナー像は、予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録用紙26上に、中間転写ベルト21を支持する対向ロール25と、当該対向ロール25に圧接する転写ロールとしての二次転写ロール27によって転写される。上記記録用紙26は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の給紙カセット28、29、30、31の何れかから、所望のサイズのものが給紙ロール28a、29a、30a、31aによって給紙される。給紙された記録用紙26は、複数の搬送ロール32及びレジストロール33によって、予め定められたタイミングで中間転写ベルト21の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録用紙26には、上述したように、二次転写手段としての対向ロール25と二次転写ロール27によって、中間転写ベルト21上から予め定められた色のトナー像が一括して転写される。なお、上記給紙カセット28、29、30、31からは、通常の最大サイズであるA3サイズの記録用紙以外に、A3サイズの記録用紙よりも一回り大きい所謂A3ノビサイズの記録用紙も給紙可能となっている。
【0033】
また、上記中間転写ベルト21上から予め定められた色のトナー像が転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から分離された後、搬送ベルト34によって定着装置35へと搬送され、この定着装置35によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙26上に定着され、片面複写の場合には、そのまま排紙トレイ36上に排出されてカラー画像の形成工程が終了する。
【0034】
一方、両面複写の場合には、第1面(表面)にカラー画像が形成された記録用紙26を、そのまま排紙トレイ36上に排出せずに、図示しない反転ゲートによって下向きに搬送方向が変更され、3つのロールが圧接されたトリロール37及び反転ロール38によって、反転通路39へと一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、今度は逆転する反転ロール38によって両面用通路40へと搬送され、この両面用通路40に設けられた搬送ロール41によってレジストロール33まで一旦搬送されて停止する。記録用紙26は、中間転写ベルト21上のトナー像と同期して、再度レジストロール33によって搬送が開始され、当該記録用紙26の第2面(裏面)に対してトナー像の転写・定着工程が行われた後、排出トレイ36上に排出される。
【0035】
なお、図2中、42は転写工程が終了した後の感光体ドラム17の表面から残留トナーや紙粉等を除去するためのクリーニング装置、43は手差しトレイをそれぞれ示している。
【0036】
図3は上記画像形成装置の画像形成手段Aを示す構成図である。
【0037】
この画像形成装置では、上述したように、感光体ドラム17の表面が一次帯電用のスコロトロン18によって所定の電位に一様に帯電された後、当該感光体ドラム17の表面には、画像露光装置13によって予め定められた色に対応した画像が露光され、静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17の表面に各色に対応して形成された静電潜像は、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19BKによって現像され、当該感光体ドラム17の表面には、予め定められた色のトナー像Tが形成される。
【0038】
上記回転式の現像装置19には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器19Y、19M、19C、19BKが周方向に沿って配置されており、回転軸44を中心にして矢印方向に沿って回転することにより、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19BKの現像ロール45が感光体ドラム17と対向する現像位置へと移動して、所望の色のトナーによって感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を現像するように構成されている。
【0039】
例えば、上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像がイエロー色に対応したものであれば、この静電潜像は、イエロー色の現像器19Yによって現像され、感光体ドラム17上には、イエロー色のトナー像Tが形成される。また、他のマゼンタ色、シアン色、ブラック色についても、同様のプロセスによって対応する色のトナー像Tが、感光体ドラム17上に順次形成される。
【0040】
上記感光体ドラム17上に順次形成された各色のトナー像Tは、感光体ドラム17と中間転写ベルト21とが接触する一次転写位置において、感光体ドラム17上から中間転写ベルト21の表面に一次転写される。この一次転写位置には、中間転写ベルト21の裏面側に半導電性の一次転写ロール22が配置されており、中間転写ベルト21は、一次転写ロール22によって感光体ドラム17の表面に接触するようになっている。一次転写ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加され、感光体ドラム17上に形成されたトナー像Tは、中間転写ベルト21上に一次転写される。
【0041】
単色の画像を形成する場合は、中間転写ベルト21上に一次転写された予め定められた色のトナー像Tが、直ちに記録用紙26上に二次転写されるが、複数色のトナー像Tを重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム17上への予め定められた色のトナー像Tの形成、並びにトナー像Tの中間転写ベルト21上への一次転写の工程が、予め定められた色数分だけ繰り返される。
【0042】
例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のトナー像Tを重ね合わせたフルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム17上には、その一回転毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナー像Tが順次形成され、これらの4色のトナー像は、順次中間転写ベルト21上に重ね合わせた状態で一次転写される。
【0043】
その際、上記中間転写ベルト21は、最初に一次転写されたイエロー色の未定着トナー像Tを保持したまま、感光体ドラム17と同期した周期で回転し、当該中間転写ベルト21上には、その一回転毎にマゼンタ色、シアン色及びブラック色の未定着トナー像Tが、イエロー色の未定着トナー像Tに順次重ね合わされた状態で転写される。
【0044】
このようにして中間転写ベルト21に一次転写された未定着トナー像Tは、中間転写ベルト21の回転に伴って、記録用紙26の搬送経路に面した二次転写位置へと搬送される。
【0045】
そして、この記録用紙26は、前述したように、所望の給紙カセット28、29、30、31から給紙ロール28a、29a、30a、31aによって給紙され、搬送ロール32によってレジストロール33まで搬送され、レジストロール33によって所定のタイミングで、二次転写ロール27と中間転写ベルト21とのニップ部間に給送される。
【0046】
また、二次転写位置における中間転写ベルト21の裏面側には、二次転写ロール27の対向電極をなす対向ロール25が配設されている。二次転写位置では、予め定められたタイミングで半導電性の二次転写ロール27が中間転写ベルト21に圧接し、当該対向ロール25にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することにより、中間転写ベルト21上に転写された未定着トナー像Tは、前記二次転写位置において記録用紙26上に二次転写される。
【0047】
なお、図3中、符号49は、中間転写ベルト21の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置を示しており、このベルトクリーニング装置49は、中間転写ベルト21の表面に対して接離するように構成されている。
【0048】
この実施の形態では、図3に示すように、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と同極性の電圧を直接印加するのではなく、当該二次転写ロール27に中間転写ベルト21を介して圧接する対向ロール25に、バイアスロール46によって転写バイアス電圧印加手段としての図示しない転写バイアス用高圧電源から、トナーの帯電極性と同極性の電圧を印加するように構成されている。しかし、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を直接印加するように構成しても勿論よい。
【0049】
そして、未定着トナー像Tが転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から剥離され、二次転写部の下流に配置された電極部材47、案内板48および搬送ベルト34によって定着装置35に送り込まれ、未定着トナー像Tの定着処理がなされる。
【0050】
上記中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電化剤を適当量分散させて、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmとなるように調整したフィルム状のベルトによって形成されている。この中間転写ベルト21の厚さは、例えば、0.1mmに設定される。なお、上記中間転写ベルト21の周長は、感光体ドラム17の周長の整数倍(例えば、3倍)に設定されている。
【0051】
また、上記二次転写ロール27は、必要に応じて、中間転写ベルト21と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像Tが中間転写ベルト21上に一次転写されるまで、中間転写ベルト21から離間している。
【0052】
さらに、上記二次転写ロール27は、カーボンを分散したウレタンゴムのチューブからなる表面層と、カーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなる内部層とを備えており、当該二次転写ロール27の表面には、フッ素コートが施されている。この二次転写ロール27は、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカーC硬度)に設定される。
【0053】
一方、上記バックアップロール25は、カーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブからなる表面層と、EPDMのゴムからなる内部層とを備えており、その表面抵抗率が107 〜1010Ω/□で、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC硬度)に設定される。
【0054】
また、二次転写位置のニップ部下流に配置された電極部材45は、導電性の板状部材として板金が好ましく、この実施の形態では厚さ0.5mmのスレンレス鋼板を使用しており、転写用紙26側を針状としたものが用いられている。さらに、上記電極部材45の2次転写領域側の先端は、バックアップロール25と2次転写ロール27のニップ部が成す線より1mmだけ二次転写ロール27側で、かつニップ部の出口より7mmだけ離れて配置されている。
【0055】
ところで、この実施の形態に係る一次転写ロール22は、図4に示すように、例えば、ステンレス等の金属からなる回転軸221の外周に、予め定められた厚さに被覆されたカーボンブラック等の導電性材料を分散した発泡ウレタンゴムなどからなる弾性体層222を、予め定められた厚さに被覆して構成された一次転写ロール本体223を備えている。また、この一次転写ロール本体223の弾性体層222の表面には、必要に応じて、カーボンを分散したウレタンゴム製のチューブからなる表面層と、その表面にコーティングされたフッ素コート層などを被覆しても良い。上記一次転写ロール22は、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、弾性体層222の硬度は、例えば35°(アスカーC硬度)に設定されている。
【0056】
なお、上記一次転写ロール本体223の弾性体層222の軸方向に沿った長さは、図5に示すように、例えば、中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向であって、当該中間転写ベルト21の表面に沿った方向の幅よりも短く設定されている。
【0057】
また、上記一次転写ロール22の弾性体層222は、図1に示すように、軸方向に沿った中央部の外径が最も大きく、軸方向に沿った両端部に行くにしたがって外径が徐々に小さくなるように所謂“クラウン”形状に形成されている。上記一次転写ロール22は、図6に示すように、その外径を軸方向に沿って均一に形成した場合、当該一次転写ロール22を中間転写ベルト21の表面に圧接した際の撓みによって、一次転写ロール22の弾性体層222が中間転写ベルト21の表面に圧接した際のニップ部が、中央部の圧接幅が小さくなるように変形する。
【0058】
そのため、上記一次転写ロール22に一次転写バイアス電圧を印加した場合には、図6に示すように、ニップ部の幅が相対的に小さい軸方向に沿った中央部の転写電流が減少し、中央部の画像濃度が両端部側に比較して低下する。
【0059】
これに対して、一次転写ロール22の外形をクラウン形状に形成した場合には、図7に示すように、中間転写ベルト21に圧接させた状態で、中間転写ベルト21に対する当接圧力が回転軸221の軸方向に沿った両端部側が中央部に対して相対的に高くなり、当該一次転写ロール22の弾性体層222の変形量も、回転軸221の軸方向に沿った両端部側が中央部に対して相対的に大きくなり、一次転写ロール22のニップ幅を軸方向に沿って略均一にすることができる。
【0060】
しかしながら、本発明者等は、一次転写ロール22の軸方向に沿ったニップ幅について詳細に検討したところ、当該一次転写ロール22のニップ幅は、軸方向に沿って略均一であるが、その軸方向に沿った最も両端部に位置する部分230は、図7(b)に示すように、弾性体層222のつぶれによってニップ幅が大きくなっていることが判明した。
【0061】
その理由は、中間転写ベルト21は、駆動ロール23、従動ロール24a、従動ロール24b、張力付与ロール24c、従動ロール24d及び対向ロール25等の複数本のロールによって予め定められた張力で張り渡されているが、これらのロールには、図8に示すように、中間転写ベルト21の張力によって撓みが発生し、中間転写ベルト21の張力がロールの軸方向に沿って均一とならずに、両端部の張力が他の部分に比較して相対的に大きくなり、一次転写ロール22の弾性体層における軸方向に沿った最両端部の変形量(つぶれ)が大きくなるためと考えられる。
【0062】
このように、一次転写ロール22の弾性体層222における軸方向に沿った最両端部の変形量(つぶれ)が大きくなると、当該一次転写ロール22の軸方向に沿った最両端部に流れる転写電流が相対的に増加し、図9に示すように、一次転写ロール22の中央部において最大の転写濃度が得られるように設定されている場合、転写電流が過大となるとリトランスファー現象などにより一次転写ロール22の軸方向に沿った最両端部の画像濃度が却って低下する。ただし、一次転写ロール22の軸方向に沿った最両端部は、通常、最大サイズのA3サイズ等の記録用紙26であっても、画像領域外であって画質に影響を及ぼすことはないが、最大サイズのA3サイズの記録用紙26よりも一回り大きい所謂A3ノビサイズの記録用紙26などでは、画像端部に濃度低下が現れる場合がある。
【0063】
そこで、この実施の形態では、図1に示すように、一次転写ロール22の軸方向に沿った最も両端部に位置する部分、A3ノビサイズの記録用紙26の幅に隣接する画像領域外の部分に弾性体層222の変形を抑制する変形抑制部材240を設けるように構成されている。この変形抑制部材240は、一次転写ロール22の弾性体層222よりも変形し難い材料、例えば、一次転写ロール22の弾性体層を構成する材料よりも硬度(弾性率)が大きく、中間転写ベルト21を構成する材料よりも硬度(弾性率)が小さい材料によって構成される。
【0064】
上記変形抑制部材240を構成する材料としては、図10に示すように、例えば、合成ゴムや天然ゴム等からなるソリッドゴムが用いられ、一次転写ロール22の最も両端部に後付けとして装着するように環状に形成される。この変形抑制部材240の外径は、例えば、一次転写ロール22の弾性体層222の端部の外径と略等しい外径に設定され、軸方向に沿った長さは、例えば、3〜5mm程度に設定される。
【0065】
また、上記一次転写ロール22の弾性体層222は、例えば、その硬度がアスカーC硬度で35度程度に設定されており、変形抑制部材240の硬度は、一次転写ロール22の弾性体層222の硬度よりも高い、例えば、50度〜80度(アスカーC硬度)程度に設定される。
【0066】
上記一次転写ロール22は、当該一次転写ロール22を従来と同様の方法によって製造した後、上述したように、別途製造した環状の変形抑制部材240を後付けとして回転軸221に挿入することで装着することによって製造しても良い。
【0067】
また、上記一次転写ロール22の変形抑制部材240は、一次転写ロール22の製造工程と同時、又は一次転写ロール22の製造工程と一連の製造工程で製造される。上記一次転写ロール22の変形抑制部材240を一次転写ロール22の製造工程と一連の製造工程で製造する場合には、図11に示すように、従来と同様の製造工程で製造された一次転写ロール22を、変形抑制部材240を成型するための第2の成型型に移動させ、当該第2の成型型を用いて変形抑制部材240を一体的に成型することによって、一次転写ロール22の製造工程と一連の製造工程で製造される。
【0068】
さらに、上記一次転写ロール22の変形抑制部材を一次転写ロール22の製造工程と同時に製造する場合には、図12に示すように、一次転写ロール22を成型する第1の成型型の両端部に変形抑制部材を成型するための第2の成型型を設け、これらの成型型及び第2の成型型を用いて同時に製造することができる。
【0069】
なお、上記変形抑制部材を一次転写ロール22の製造工程と同時に製造する場合には、製造工程を簡略化することができ、製造コストの低減が可能となる。また、上記変形抑制部材を一次転写ロール22の製造工程と一連の製造工程で製造する場合には、一次転写ロール22の弾性体層及び変形抑制部材それぞれの成型条件に適した温度等に精度良く制御することが可能となり、弾性体層222及び変形抑制部材240をより一層精度良く製造することができる。
【0070】
なお、上記一次転写ロール22は、弾性体層や変形抑制部材を成型した後、必要に応じて研磨処理がなされる。
【0071】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、転写ロールの軸方向に沿った両端部が変形することに起因して転写ムラが発生するのを抑制することが可能となっている。
【0072】
すなわち、上記画像形成装置では、図2及び図3に示すように、例えば、感光体ドラム17上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナー像Tが順次形成され、これらの感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナー像Tは、感光体ドラム17と中間転写ベルトとが接触する一次転写位置の背面側に配置された一次転写ロールによって中間転写ベルト21上に多重に転写される。
【0073】
その際、上記一次転写ロール22は、中間転写ベルト21に予め設定された圧力で当接して当該一次転写ロール22の弾性体層222が弾性変形し、一次転写ロール22の弾性体層222と中間転写ベルト21との間には、図7に示すようなニップ部が形成される。このとき、上記中間転写ベルト21の張力は、当該中間転写ベルト21を張り渡すロールの軸方向に沿って均一ではなく、当該ロールの撓みに起因して軸方向に沿った両端部の張力が他の部分に比較して相対的に大きくなり、従来の一次転写ロールでは、一次転写ロールの軸方向に沿った両端部のニップ部が他の部分に比較して大きく変形する。
【0074】
そのため、上記一次転写ロール22に流れる転写電流は、ニップ部の面積が大きい一次転写ロールの軸方向に沿った最も両端部が低くなり、図7(c)に示すように、中間転写ベルト21の表面に転写されるトナー像の画像濃度が低くなる。
【0075】
上記一次転写ロール22の軸方向に沿った最も両端部の部分は、通常の最大サイズであるA3サイズ等の記録用紙においては、画像領域外であり、A3サイズ等の記録用紙に転写される画像に転写ムラ等が現れることはない。
【0076】
しかしながら、上記画像形成装置においては、通常の最大サイズであるA3サイズ等の記録用紙26以外に、当該A3サイズの記録用紙よりも一回り大きい“A3ノビ”と呼ばれる記録用紙26が、印刷工程の試し刷り用などとして使用される場合があり、この“A3ノビ”と呼ばれる記録用紙26が使用された場合には、当該記録用紙26の給紙方向と交差する方向の両端部にトナー像の画像濃度が低くなる転写ムラが現れる場合がある。
【0077】
これに対して、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、一次転写ロール22としてその軸方向に沿った最も両端部の部分に変形抑制部材240を備えた一次転写ロール22を用いているため、当該一次転写ロール22が中間転写ベルト21の表面に当接した際に、張力が相対的に大きい中間転写ベルト21の両端部によって一次転写ロールの軸方向に沿った両端部が過剰に変形するのが抑制され、一次転写ロール22のニップ部の幅をその軸方向に沿って略均一にすることができ、“A3ノビ”と呼ばれる記録用紙26が使用された場合であっても、当該記録用紙26の給紙方向と交差する方向の両端部にトナー像の画像濃度が低くなる転写ムラが現れることがなく、高画質の画像を形成することができる。
【0078】
なお、上記変形抑制部材240は、一次転写ロール22の転写領域の軸方向に沿った外側に配置されるため、一次転写ロール22の転写性能に影響を及ぼすことはない。
【0079】
実験例
次に本発明者らは、上述した実施の形態1に係る画像形成装置の効果を確認するため、図13に示すような画像形成装置の画像形成部を試作し、感光体ドラム17の回転を開始した後に、一次転写ロール22に順次予め定められた転写電圧を印加した場合に、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム17の表面に注入される電荷がどのように変化するかを、感光体ドラムの表面に対向配置された表面電位計60によって測定する実験を行った。その際、感光体ドラム17の表面を帯電する一次帯電器及び画像露光装置は、OFFのままで、一次転写ロール22に一次転写バイアス電圧、直流+600Vを印加した。環境は、実験室環境(温度=22度、湿度=55%RH)で行った。
【0080】
一次転写ロール22としては、図1に示すように、クラウン形状の一次転写ロール22の両端部に変形抑制部材240を設けたものを用いた。
【0081】
また、比較例として、従来の一次転写ロールである、図7に示すように、クラウン形状の一次転写ロールを用いて実験を行った。
【0082】
図15は上記実験の結果を示すグラフである。
【0083】
この図15に示すグラフから明らかなように、本発明を適用した画像形成装置では、感光体ドラム17の軸方向に沿った端部及び中央部ともに、感光体ドラム17の表面電位が等しい値を示し、一次転写ロール22の軸方向に沿って転写電流に殆ど差がないことが判った。
【0084】
これに対して、従来のクラウン形状の一次転写ロール22の場合には、図16に示すように、感光体ドラム17の軸方向に沿った端部と中央部とで、感光体ドラム17の表面電位が数10V程度の差が生じることが判った。
【0085】
また、図17は、A3ノビサイズ(320×450mm)の記録用紙26(富士ゼロックス社製:J紙)の全面に、マゼンタ色の画像を濃度100%で形成した場合における画像濃度を、感光体ドラム17の軸方向に沿った手前側と中央部と奥側とで、用紙の搬送方向に沿って測定した結果を、本発明の変形抑制部材240を適用しない場合と比較して示したものである。
【0086】
図17から明らかなように、本発明を適用することによって、感光体ドラム17の軸方向に沿った手前側と中央部と奥側と共に、画像濃度を1.5以上に均一にすることができることが判った。
【0087】
実施の形態2
図18はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記無端状ベルト部材は、その移動方向と交差する幅方向の両端部に貼り付けられたテープ状の補強部材を有しており、前記変形抑制部材は、前記無端状ベルト部材の前記テープ状の補強部材によって補強された部分に接触するように構成されている。
【0088】
すなわち、この実施の形態2では、図18に示すように、中間転写ベルト21がその移動方向と交差する方向に沿った両端部に、当該中間転写ベルト21の両端部を補強する補強テープ70を備えており、一次転写ロール22の変形抑制部材240は、中間転写ベルト21の補強テープ70によって補強された部分の裏面側に接触するように配置されている。
【0089】
このように、一次転写ロール22の変形抑制部材240を、中間転写ベルト21の補強テープ70によって補強された部分の裏面側に配置することにより、中間転写ベルト21が一次転写ロール22の弾性体層222よりも硬度の大きい変形抑制部材240と接触することにより、中間転写ベルト21に座屈等が生じ、中間転写ベルト21の寿命が短くなるのを回避することができる。
【0090】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0091】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置として所謂4サイクル方式の画像形成装置について説明したが、感光体ドラムを複数並列的に備えた所謂タンデム方式の画像形成装置であっても良いことは勿論である。
【0092】
また、前記実施の形態では、一次転写ロールに適用した場合について説明したが、二次転写側が無端状のベルトからなる場合には、二次転写ロールに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0093】
22:一次転写ロール、222:弾性体層、240:変形抑制部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体の表面に無端状ベルト部材を介して接触し、前記像保持体上に形成されたトナー像を前記無端状ベルト部材上又は前記無端状ベルト部材によって搬送される記録媒体上に転写する転写ロール本体と、
前記転写ロール本体の軸方向に沿った両端部に設けられ、前記転写ロール本体の端部の変形を抑制する変形抑制部材と、
を備えたことを特徴とする転写ロール。
【請求項2】
前記変形抑制部材は、その硬度が前記無端状ベルト部材よりも低く、且つ前記転写ロール本体の表面層よりも高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の転写ロール。
【請求項3】
前記変形抑制部材は、ゴム材料製の環状部材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写ロール。
【請求項4】
前記変形抑制部材は、前記転写ロール本体の成形工程と同時又は前記転写ロール本体の成形工程と連続した成形工程で形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転写ロール。
【請求項5】
前記無端状ベルト部材は、その移動方向と交差する幅方向の両端部に貼り付けられたテープ状の補強部材を有しており、前記変形抑制部材は、前記無端状ベルト部材の前記テープ状の補強部材によって補強された部分に接触することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の転写ロール。
【請求項6】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を無端状ベルト部材上又は当該無端状ベルト部材によって搬送される記録媒体上に転写する転写ロールとを備え、
前記転写ロールとして、請求項1乃至5のいずれかに記載された転写ロールを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−83528(P2012−83528A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229405(P2010−229405)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】