説明

転写体

【課題】偽造が困難であり、信頼性の高い認証用情報媒体を備え、被転写体の真正性を保証する能力の高い転写体を提供することを目的とする。
【解決手段】転写基材上に、少なくともホログラム形成層、反射性薄膜層、核酸含有インキ層、及び接着剤層を順に積層した転写体であって、該核酸含有インキ層は、核酸と蛍光染料とを含む核酸含有インキ組成物からなり、該核酸含有インキ層の屈折率と該接着剤層の屈折率との差は0.1以下であることを特徴とする転写体を提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止分野において、クレジットカード等の物品に貼り付けて使用する転写体に関するものであり、より具体的には、偽造が困難であり、信頼性の高い認証用情報媒体を備え、上記物品の真正性を保証する能力の高い転写体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の転写体の主なる用途としては、偽造防止分野において使用される転写箔、転写リボン、又はホログラムシート等であって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されるとカード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や各種電話用のプリペイドカード等が挙げられる。すなわち、本発明の転写体は、経済的又は社会的な価値を有する情報や、本人識別等の情報を保持した情報記録媒体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録媒体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる物品に適用される。さらには、その目視画像の耐久性、すなわち耐擦傷性や耐溶剤性等を高めることが望まれる物品においても、好ましく適用することができる。
【0003】
また、上記した用途以外であっても、高額商品、例えば高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品又は宝飾品等の、しばしば高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等、また量産品でも有名ブランドのもの、例えばオーディオ製品、電化製品等、またはそれらに吊り下げられるタグ、さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト又はゲームソフト等が記録された記憶媒体、又はそれらのケース等にも適用することができる。さらにまた、プリンター用のトナーや用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品など、偽造による損害を防止する目的でそのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる物品にも適用することができる。さらに、一層高い信頼性を必要とする社会的価値の非常に高いもの、例えば有名創作者による絵画、彫刻等の芸術品、世界的にその存在を認識されている古美術品、宝飾品、100年近く熟成されたワイン等の再び製造することが非常に困難な農産品、さらには、真正なものが世の中に僅かしか存在しないために高価なもの、または、真正なものが世の中に1つしか存在しない性質の書類等(契約書、遺言状等)にも好適に適用することができる。
【0004】
従来、上記物品の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。これらの真正性識別対象物には、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−155199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決し、偽造が困難であり、信頼性の高い認証用情報媒体を備え、上記物品の真正性を保証する能力の高い転写体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々研究の結果、転写基材上に、少なくともホログラム形成層、反射性薄膜層、核酸含有インキ層、及び接着剤層を順に積層した転写体であって、該核酸含有インキ層は、核酸と蛍光染料とを含む核酸含有インキ組成物からなり、該反射性薄膜層上に部分的に設けられており、該核酸含有インキ層の屈折率と該接着剤層の屈折率との差は、0.1以下であることを特徴とする転写体が、上記の目的を達成することを見出した。
【0008】
本発明の転写体は、転写基材上に、ホログラム形成層、反射性薄膜層及び核酸含有インキ層を順に積層し、次いで、接着剤層を積層する前に、核酸含有インキ層を設けた部分と設けていない部分とからなる反射性薄膜層上の凹凸を平滑化するために、凹部を埋設するための平滑化層を積層してもよい。
【0009】
また、本発明において、上記平滑化層は、接着剤層と同じ樹脂組成物で形成されてもよい。
さらに、転写基材とホログラム形成層との間に、さらに剥離層を有してもよい。
また、転写基材とホログラム形成層との間、また剥離層が存在する場合は、剥離層とホログラム形成層との間に、ホログラム形成層の表面を覆う保護層を設けてもよい。
核酸含有インキ層を設けた部分の位置を検出するために、検出用マークを、ホログラム形成層や他の層中に設けることもできる。
また、いずれか1つの層、特に核酸含有インキ層と転写基材との間のいずれかの層において、紫外線吸収剤を含有させることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転写体は、上記特定の層構成を有し、特に、核酸含有インキ層が、反射性薄膜層と接着剤層との間に設けられているため、核酸含有インキ層が剥がれて消失することがない。
また、本発明の転写体が物品上に適用された状態において、核酸含有インキ層は、ホログラム形成層及び反射性薄膜層よりも内部に位置するため、部分的に設けられた核酸含有インキ層が転写体中のどこに位置するかは、ホログラム再生画像及び反射性薄膜により隠蔽され、視認されにくい。したがって、核酸含有インキ層を極めて小さい領域に設け、且つその中に含有される核酸濃度を検出限界に設定することにより、本発明の転写体に含まれる核酸の不正入手を防止することができる。
【0011】
さらに、核酸含有インキ層及び接着剤層が透明であり、且つ該核酸含有インキ層の屈折率と該接着剤層の屈折率との差を0.1以下とすることにより、これらの境界線が形成されず、偽造防止性が一層向上する。
また、接着剤層を積層する前に、核酸含有インキ層を設けた部分と設けていない部分とからなる反射性薄膜層上の凹凸を平滑化するために、凹部を埋設するための平滑化層を積層することにより、各層の厚みを正確に再現することが可能となり、凹凸のない、表面平滑な転写体を得られ、転写性の劣化を防ぐことができる。ここで、核酸含有インキ層の屈折率と平滑化層の屈折率との差は0.1以下とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明の転写体において、核酸含有インキは、接着剤層及び/又は平滑化層を形成する樹脂組成物中に埋設されている。このような条件下で、核酸は極めて安定に保持され、したがって、長期にわたって配列情報を維持し、すなわち物品の真正性を保証する能力を維持することができる。
【0013】
さらに、本発明の転写体がn塩基(対)の長さを有する核酸を含有する場合、該核酸は、4n通りと極めて多くの配列組み合わせが可能であるため、当該転写体は、真贋判定だけに限らず、個体情報の識別にも適用することができる。
また、本発明の転写体を適用した物品は、三段階で、すなわち第一段階ではホログラム画像を目視で確認することにより、そして第二段階では、特定の位置から特定の蛍光波長を検出する簡易判定方法により、さらに第三段階では、部分的に破壊して核酸を採取し、該核酸が正当な配列情報を有しているかどうかを検査することにより、物品の真正性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる転写体の層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
<1> 本発明の転写体の層構成
本発明にかかる転写体としては、例えば、図1に示すように、転写基材1、ホログラム形成層2、反射性薄膜層3、接着剤層4、反射性薄膜層3と接着剤層4との間に部分的に設けられた核酸含有インキ層5からなることを基本構造とする転写体を挙げることができる。
また別の例としては、核酸含有インキ層を設けた部分と設けていない部分とからなる反射性薄膜層上の凹凸を平滑化するために、凹部を埋設するための平滑化層を積層し、次いで接着剤層を積層した転写体を挙げることができる。
また別の例としては、転写基材1とホログラム形成層2との間に剥離層及び保護層を設け、転写基材/剥離層/保護層/ホログラム形成層/反射性薄膜層/核酸含有インキ層/接着剤層の層構成を有する転写体とすることもできる(以下本発明において、層間に使用する「/」は層間の境界面を意味する)。ここでさらに、剥離層及び保護層のいずれか一方を有しない層構成も、本発明の態様の1つである。
【0016】
<2> 転写基材
本発明の転写体において使用される転写基材は、転写体の製造時に、被転写体へ転写される転写層を積層するための支持体となるものである。本発明の転写体を、被転写体となる物品上に、その接着剤層が物品表面と対向するように重ね合わせ、転写層を、支持体たる転写基材から物品表面に転写印刷し、その後、転写基材1を剥離して取り除く。
転写基材としては、製造時の加工に耐える機械的強度、耐熱性、耐溶剤性があれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
該転写基材の厚さは、その強度及び熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更することができるが、通常2〜50μm程度が適当であり、転写性の点で好ましくは2.5〜12μmである。50μmより厚いと、転写印刷時に熱の伝達が悪くなる恐れがあり、また2μm未満であると、基材としての機械的強度が不足しやすい。
【0017】
<3> 剥離層
本発明の転写体の転写印刷時の加熱により、転写基材から、被転写体である物品へ転写する転写層の一部を構成する層として、場合により、基材と直接に接する層として剥離層を形成してもよい。この剥離層を有していることにより、その熱転写シートから転写層を確実に、かつ容易に被転写体へ転写させることができる。当分野で一般的に用いられる剥
離層を使用することができ、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等のワックス類や、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、硝化綿等の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
【0018】
また、剥離層はバインダー樹脂と離型性材料とから形成できる。そのバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは熱硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等が使用できる。さらに、後記で説明する保護層やホログラム形成層を構成する電離放射線硬化性樹脂を使用することもできる。また、離型性材料としては、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂、タルクやシリカの微粉末、界面活性剤や金属セッケン等の潤滑等が使用できる。
剥離層は、上記の必要な材料を適当な溶剤により、溶解または分散させて剥離層用塗工液を調製し、これを転写基材上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。その乾燥後の厚さは、通常0.1〜10g/m2であるが、適宜調整することができる。剥離層の厚さは適宜設定することができるが、剥離性及び転写性の点で、通常0.1〜1μm程度が適当である。
【0019】
<4> 保護層
本発明の転写体の転写基材上に設ける転写層の一部を構成する層として、以下に説明するホログラム形成層と直接に接し、該層を保護するための層として、場合により、保護層を形成してもよい。該ホログラム形成層の耐擦過性や、耐水性等の耐久性向上に寄与するものである。この保護層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物や、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。このほかに必要に応じて、紫外線吸収剤、有機フィラー及び/又は無機フィラーを適宜添加することができる。
【0020】
また、電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。紫外線遮断性樹脂や、紫外線吸収剤を含有する保護層は、特に、以下に説明する核酸含有インキ層に耐光性を付与し、含有される核酸の配列情報媒体としての機能を長期にわたって維持することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。例えば、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系の様な従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
【0021】
保護層は、上記に記載した保護層形成用樹脂と必要に応じて、紫外線吸収剤、有機フィラー及び/又は無機フィラー等の添加剤を加え、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、保護層形成用樹脂組成物を調製し、これを、上記の転写基材に、又は剥離層を設けた場合は剥離層上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。保護層は任意の厚みに形成することができるが、保護能及び転写性の点で、通常0.1〜1μm程度が適当である。
【0022】
<5> ホログラム形成層
本発明の転写体の転写基材上に設ける転写層の一部を構成する層として、上記転写基材上に、又は剥離層を設けた場合は剥離層上に、及び/又は保護層を設けた場合は保護層上に、ホログラムを形成するホログラム形成層が設けられる。
本発明の転写体において、ホログラム形成層により形成されるホログラムは、従来より既知のいかなるホログラムであってもよく、またそれらの組み合わせであってもよい。例えば、その表面に凹凸が賦型された表面レリーフ型ホログラム形成層であってよく、また、その形成材料内に干渉縞が記録されることによりホログラムが形成されていることを特徴とする体積型ホログラム形成層であってもよい。特に、表面レリーフ型ホログラムは、熱による転写印刷に際して箔切れがよい点において好ましい。
【0023】
表面レリーフ型ホログラム形成層
表面レリーフ型ホログラム形成層の材料としては、従来より表面レリーフ型ホログラム形成のために用いられる種々の樹脂、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の各種樹脂材料が選択可能である。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独、若しくは2種以上の共重合体として使用される。また、これらの樹脂は単独、若しくは2種以上を各種イソシアネート樹脂や、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱あるいは紫外線硬化剤を配合しても良い。
【0024】
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。これらの電離放射線硬化性樹脂に、架橋構造、粘度の調整等を目的として、下記のようなその他の単官能又は多官能モノマー、オリゴマー等を包含させることができる。例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0025】
さらに、表面レリーフ型ホログラム形成層を形成する際に、該形成材料に、表面に凹凸が形成されているプレスタンパーを圧着させ、凹凸を該形成材料表面に形成するが、この時、該形成材料が該プレスタンパーより容易に剥離できるように、予め離型剤を含有させることもできる。用いられる離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと呼ぶ)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
【0026】
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフ型ホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフ型ホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
表面レリーフ型ホログラム形成層の厚さは、通常0.1〜5μm、特に0.1〜3μm程度であるが、ホログラムの形成が可能であれば厚みに制限はなく、適宜調整することができる。
【0027】
体積型ホログラム形成層
体積型ホログラム形成層の材料としては、従来より体積型ホログラム形成のために用いられる種々の材料が選択可能であり、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等公知の体積ホログラム記録材料が挙げられ、特に、乾式の体積位相型ホログラム記録用途の感光性材料であり、マトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素とからなるものが挙げられる。
光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー、及びそれらの混合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メルカプトベンズイミダゾール、イミダゾール二量体類等が例示される。
増感色素としては、チオピリリウム塩類、メロシアニン類、キノリン類、ケトクマリン類、チオキサンテン類、シアニン類、ローダミン類、ジフェニルヨードニウム塩類等が例示される。
【0028】
マトリックスポリマーとしては、ポリメタクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化合物、トリアセチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタク
リル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも一つを重合成分とする共重合体等又はそれらの混合物が用いられる。
【0029】
光重合可能な化合物は、バインダー樹脂100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で使用される。光重合開始剤は、バインダー樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは5〜10重量部の割合で使用される。増感色素は、バインダー樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部の割合で使用される。
体積型ホログラム形成層の厚さは、通常1〜100μm、特に2〜40μm程度であるが、ホログラムの形成が可能であれば厚みに制限はなく、適宜調整することができる。
【0030】
<6> 反射性薄膜層
本発明の転写体において、上記で転写基材上又は剥離層上又は保護層上に設けたホログラム形成層の上に、ホログラムの反射及び/又は回折効果を高めるために、一部または全面に反射性薄膜層を形成する。形成方法としては、昇華、蒸着、CVD(化学蒸着)、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法が使用可能である。
反射性薄膜層としては、ホログラム効果を発現できるものであればいかなるものも使用することができ、例えば、真空薄膜法などによる金属薄膜などの金属光沢反射性薄膜層、又は透明反射性薄膜層のいずれでもよい。
【0031】
透明反射性薄膜層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム形成層よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム形成層上に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう設ければよい。
【0032】
<7> 核酸含有インキ層
本発明の転写体において、反射性薄膜層上に、核酸含有インキ層が部分的に設けられる。本発明において、核酸含有インキ層は、核酸と蛍光染料とを含む核酸含有インキ組成物からなる層である。
【0033】
核酸
本発明において、核酸は、DNA(核内DNA及び核外DNAを含む)、RNA及びこれらの誘導体であって、天然由来及び人工型のいずれであってもよく、また、該核酸を構成するヌクレオチドは、天然に存在するものであっても、人工で製造されたものであってもよい。さらに、該核酸は、一本鎖断片及び二本鎖断片のいずれの形態であってもよく、またその長さは、真正性認証の用途に応じて、約100塩基/塩基対未満のオリゴマーであっても、それ以上のヌクレオチドからなるポリマーであってもよい。個体識別を目的とする場合には、好ましくは10塩基/塩基対以上、より好ましくは100塩基/塩基対以上の長さを有する核酸断片を使用することが好ましい。また、製造及び検出時の取り扱い性、並びに保存安定性、分解の受け易さ等の観点から、各断片の長さが1000塩基/塩
基対以下、さらに適当には500塩基/塩基対以下となるように合成するか、又は制限酵素で切断すると好適である。
【0034】
本発明において、生体、例えばヒトの細胞からDNAを注出し、これを例えば制限酵素により分解して得られるものを、核酸含有インキ組成物の他の成分と混合してもよい。また、その中の特定の配列、好ましくは特定の多型領域、好ましくはSTR配列をPCRで増幅して用いることもできる。さらに、ヒト以外の動物及び植物細胞由来のDNA又はRNAを用いることもできる。また一方で、従来より既知の化学合成法により合成された核酸を使用してもよい。
上述のようにして得られた核酸は、必要に応じて、1種類の配列を有する断片のみからなっても、それぞれ異なる配列を有する断片の混合物であってもよい。
本発明において、上記核酸は、核酸含有インキ組成物中の固形分100gに対して、1×10-2〜1×105μg、好ましくは1〜1×104μgの割合で配合されることが好ましい。核酸含有インキ層中に、1以上の核酸が含まれていることが必須であり、1×10-2μgより少ないと、転写体から核酸含有インキ層が設けられた特定部位を切り出し、核酸を採取して配列決定することが困難と成り得る。また、1×105μgより多いと、核酸含有インキ層を取り囲む接着剤層又は平滑化層との屈折率を合わせることが難しくなり、外部から視認し易くなるため、好ましくない。また、製造時に目的の組成物外へも核酸が混入してしまうコンタミネーションの確率も高くなる。
【0035】
蛍光染料
また、上記核酸含有インキ層を構成する核酸含有インキ組成物において、蛍光染料は、従来より一般的に用いられる種々の蛍光染料を使用してよい。
具体的には、有機蛍光染料および無機蛍光染料等が使用でき、有機蛍光染料としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物などが挙げられる。また、無機蛍光染料としては、例えば、Ca、Ba、Mg、Srなどの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることができる。
【0036】
さらに、核酸が二本鎖である場合には、その二重らせん構造内に入り込み、二本鎖核酸−蛍光染料複合体を形成する蛍光染料を好ましく使用することができる。本発明の核酸含有インキ組成物において、このような蛍光染料と二本鎖核酸との組み合わせを用いると、蛍光染料の有する電子雲が、二重らせん構造の塩基対の電子雲と強い相互作用を発揮し、該二重らせん構造を物理的に強固なものとし、分解に対する耐性及び安定性が高まる。このような蛍光染料としては、3次元立体構造をとらず、2次元平面構造であって、約0.4nm×1.0〜1.4nm程度のサイズを有し、ベンゼン環が3つ繋がるもの(アントラセン骨格、フェナントレン骨格)、又は2つのベンゼン環に一つのフェニル基が置換基として繋がるものを骨格とするものが挙げられる。具体的には、アントラセン骨格、フェナントレン骨格、ジベンゾフラン骨格、アントラキノン骨格、インジゴ、チオインジゴ骨格、ジフェニルメタン骨格、トリフェニルメタン骨格、キサンテン骨格、アントシアニン骨格、フルオロセイン骨格、ローダミン骨格、チアジン骨格、ベンジジン骨格、ジトリジン骨格、ジアニシジン骨格、ジアミノアクリジン骨格等に助色団等を置換したものが挙げられる。これらの蛍光染料は、炭素環又は複素環骨格が一平面を為し、その平面上にπ電子の繋がりからなる電子雲をその平面の上下に有し、この電子雲と、塩基対の電子雲とが0.2nm程度の距離にあって相互作用を発現し、且つ、蛍光染料の両端が、DNAらせん構造の柱を構成している燐酸・リボゾーム構造の酸素と相互作用する。フェナントレン骨格に一つのベンゼン環(フェニル基)が付加し、助色団として2つのアミノ基をもつ臭化エチジウム、アクリジンオレンジ、サイバーグリーンI及びII、ナフタレンジイミド骨格に置換基として、希土類錯体を付与した蛍光染料は、該複合体を形成することができる代表的な蛍光染料であり、またその物理的安定性から好適に使用することができる。
【0037】
本発明において、核酸含有インキ組成物は、その物理的安定性の観点から、二本鎖DNAと、二重らせん構造中に入り込んで複合体を形成することができる蛍光染料との組み合わせを含有することが好ましい。このようなDNA含有インキ組成物は、本発明の転写体において、接着剤層や平滑化層の樹脂組成物に被覆されて存在する条件下で、極めて長期にわたって、高い構造安定性を示し、優れた耐光性及び耐候性といった保存安定性を有する。
さらに、二重らせん構造中に入り込んで複合体を形成する上記蛍光染料は、その際に、非共有結合性の相互作用による影響を受け、蛍光を発光する励起状態−基底状態間のエネルギーギャップが狭められ、蛍光波長の長波長シフトが発現する。例えば、アクリジンオレンジは、通常は励起光460nmに対して、650nmの蛍光を発するが、二重らせん構造中に入り込んで複合体を形成すると、励起光500nmに対して526nmの蛍光を発するようになる。この波長のシフトを厳密に管理することによって、例えば、転写層を切出して核酸を採取する破壊検査を行わずとも、特定の部分に特定の励起波長を照射することによって、特定の蛍光波長を発するかどうかの非破壊検査が可能になる。
【0038】
本発明において、上記蛍光染料は、核酸含有インキ組成物中の固形分100gに対して、0.001〜1000μg、好ましくは、0.01〜100μgの割合で配合されることが好ましい。0.001μgより少ないと、真正性を判定する際の信頼性が不十分となるため、また、1000μgより多いと、核酸に取り込まれていない蛍光染料の割合が増加し、その安定性が低下するとともに、蛍光染料そのものの存在自体が露呈しやすくなるため、好ましくない。
【0039】
核酸含有インキ組成物
上記の核酸及び蛍光染料を、従来より既知の方法によりインキ化することができる。例えば、核酸及び蛍光染料を、溶媒、及びその他の成分、例えばビヒクル及び種々の添加剤と適宜混合し、インキ組成物とすることができる。
溶媒としては、核酸を溶解又は懸濁させるために使用される種々の溶媒を適宜に使用することができ、例えば、滅菌水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールなど)、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなど)、ケトン(例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど)及び芳香族溶剤(トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレンなど)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
ビヒクルとしては、インキ組成物において一般的に用いられる樹脂を適宜に使用することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリヘキシジルメタクリレート(n=1.54)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース樹脂(n=1.54)、メチルセルロース樹脂(n=1.50)、セルロース樹脂(n=1.54)、セルロース・アセテートプロピオネート樹脂(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ樹脂(n=1.61)、フェノール樹脂(n=1.60)等、またはこれらの混合物を用いることができる。本発明においては、当該核酸含有インキ層の屈折率と、後述の接着剤層又は平滑化層の屈折率との差が0.1以下、好ましくは0.03以下となるように、これらの樹脂及び樹脂混合物
が選択される。好ましい態様の1つとして、接着剤層及び/又は平滑化層を形成する樹脂組成物と同一の樹脂組成物を使用することにより、屈折率差を小さくすることができる場合もある。
【0041】
上記の核酸、溶媒及びビヒクルを含む混合物にさらに種々の既知の添加剤、例えば流動性調整剤、乾燥調整剤、及び加工調整剤等を含有させてもよい。
また、核酸は、適宜、界面活性剤処理、ヒアルロン酸等による保湿処理、又はフリーズドライ処理に付した後で、上記ビヒクル及びその他の成分と混合してもよい。特に、界面活性剤で処理することにより、ビヒクルへの分散性が高まる。また、フリーズドライ処理に付すことにより、特に核酸が二本鎖DNAである場合には、その二重らせん構造が好ましく維持され、蛍光染料がその中に取り込まれることにより、耐光性及び耐候性が一層高まる。
【0042】
層形成
本発明の転写体において、上記のようにして得られた核酸含有インキ組成物を、反射性薄膜層上の任意の部分に、任意の厚さで、適宜に印刷形成することができる。印刷形成は、例えばグラビアコーティング方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、スクリーン印刷方式、カーテンコート方式、インクジェット方式等を使用することができる。
本発明の転写体は、従来の偽造防止技術より著しく高い信頼性を必要とするものであって、転写体中に含有される核酸濃度を、検出限界に近づけることにより、その効果は一層高まる。したがって、誤検出を限りなくゼロとし、精密な検出を行うために、核酸の僅かなコンタミネーションをも防ぐことが重要となる。このことから、印刷基材、印刷版、インキ等全てをバッチ式処理することが可能であるスクリーン印刷方式は、核酸のコンタミネーションを防ぎ、且つ反射性薄膜層上の目的の位置に正確にスポット印刷を行うことができるため、本発明において特に好適に用いることができる。特に、使用する核酸含有インキ組成物の飛沫の空中浮遊等による付着等を蛍光検出等により確認する場合には、検出精度の高いステンレススクリーン印刷方式を好適に使用することができる。また、スクリーン印刷を実施する際、そのインキ供給ユニットを完全密閉型とし、スクリーン版の印刷領域の周辺を隔離することも容易である。特に、本発明の核酸含有インキ層の印刷領域は小面積であることが望ましく、10μm2程度の大きさで1箇所に印刷することも、スクリーン印刷方式では可能である。
【0043】
上記核酸含有インキ層は、含有される核酸のサイズ及び濃度に応じて、適宜の厚さで形成することができるが、検出適性及び隠蔽性の観点から、0.1〜5μm、特に0.1〜2μmの厚さで形成することが好ましい。同様に、10〜5×108μm2、より好ましくは100〜5×106μm2の面積に形成することが好ましい。そしてこのときに、核酸含有インキ層の占有面積1cm3あたりに1012〜1020個、好ましくは1012〜1015個の核酸断片が存在するように、核酸のサイズ、濃度及び形成面積、形成厚さを調整することが好ましい。
【0044】
<8> 接着剤層
本発明の転写体において、反射性薄膜層上に、上記核酸含有インキ層を部分的に設けた後で、接着剤層が設けられる。
該接着剤層は、常温または常圧では接着性がなく、加熱または加圧した時にのみ接着力を発揮する感熱または感圧接着剤であれば特に限定されない。例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム系;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系;ポリイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系;ポリアクリルアミド、ポリメチロールアクリルアミド等のポリアミド系;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系;ポリビニルブチラール、酢酸ビニル/アクリル酸オクチル、酢酸ビニル/アクリル酸ブチル、塩化ビニリデン/アクリル酸ブチル等の他のビニル系;ポリスチレン等の芳香族ビニル系;及びポリ塩化オレフィン等が挙げられ、これらの中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、接着剤層としての屈折率が、隣接する拡散含有インキ層の屈折率と、そしてさらに平滑化層が存在する場合には平滑化層の屈折率と、差が0.1以下、特に0.03以下となるように、接着剤組成物を構成する樹脂を選択する必要がある。そしてまた、転写箔又は転写リボンとしての使用に際し、反射性薄膜層との十分な密着性を確保できるように選択する必要がある。
【0045】
上記のような樹脂を熱で熔融させて液状とし、ロールコート法、コンマコート法、ホットマルトアプリケーター法等で、塗布し冷却すればよい。
接着剤層の厚さは適宜に設定することができるが、好ましくは1〜5μm、特に好ましくは2〜4μmである。1μm以下であると、十分な接着性が得られない場合があり、また5μm以上であると、加熱又は加圧時に箔切れが悪い場合がある。
上記接着剤層を構成する接着剤組成物中に、必要に応じて、白色顔料、体質顔料、蛍光増白剤等の種々の添加剤を加えてもよい。
なお、感熱又は感圧接着剤以外にも、種々の任意の粘着剤を使用することも可能ではあるが、その場合には、物品表面に適用する際に剥離される剥離フィルムが、層表面に貼着されて用いられる。
【0046】
<9> 平滑化層
本発明の転写体において、反射性薄膜層上に、上記核酸含有インキ層を部分的に設けた後、必要に応じて、核酸含有インキ層を設けた部分と設けていない部分とからなる反射性薄膜層上の凹凸を平滑化するために、凹部を埋設するための平滑化層を積層し、その後で、上記接着剤層を積層してもよい。
該平滑化層は、凹凸を平坦化させる目的で塗工するものであれば、いかなる樹脂又は樹脂組成物も使用することができるが、ただし、平滑化層の屈折率と、核酸含有インキ層の屈折率との差が0.1以下、好ましくは0.03以下となるように、樹脂を選択する必要がある。ホログラム形成層、核酸含有インキ層及び接着剤層において使用するものと同一の樹脂組成物を使用することができ、好適には、接着剤層を形成する樹脂組成物と同一の組成を使用してもよい。
【0047】
平滑化層は、液状とした樹脂組成物などを用いて、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布・乾燥・硬化させることにより形成することができる。平滑化層の厚さは、核酸含有インキ層の厚さ等に応じて適宜定めることができる。
接着剤層を設ける前に当該平滑化層を設けることにより、最終的に得られる接着剤層の平滑性が高まり、凹凸のない均一な表面が得られる。これにより、転写印刷時に熱及び圧が均一にかかるため、転写品質が向上される。また、例えば被転写体たる物品が、用紙基材のように多孔質高分子材料ではなく、例えばカード基材等であって接着剤樹脂を吸収しにくい場合、当該平滑化層を1層又は2層以上設けることにより、核酸含有インキ層へのアクセス性を低下させることにより、隠蔽性を高めることができる。
【0048】
<10> 物理的安定性
本発明のような偽造防止分野において、転写体には、通常1年以上、さらには5年以上の安定した真正性保証能力が求められる。本発明の構成を有することにより、比較的易分解性とされる核酸であっても、上記要求に耐える耐候性、耐光性、物理的安定性を発揮することができる。なお、転写層を構成する各層、すなわち、剥離層、保護層、ホログラム形成層、反射性薄膜層、核酸含有インキ層、平滑化層及び接着剤層のうちの少なくとも1
つの層に、紫外線吸収剤を含有させることにより、紫外線等による経時劣化を抑制し、含有される核酸の物理的安定性を更に高め、配列情報を長期にわたって保存することができる。
【0049】
当該紫外線吸収剤は、従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤で、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系が挙げられる。有機フィラー及び/又は無機フィラーとしては、具体的にはポリエチレンワックス、ビスアマイド、ナイロン、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイクロシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粉末等が挙げられるが、特に限定はされず何でも使用できる。紫外線吸収剤は、層の透明性が保たれる範囲で適宜に添加することができ、好ましくは、各層を構成する組成物中の固形分100gに対して、0.01〜0.05gの割合で配合される。
【0050】
<11> 検出
上記で、核酸含有インキ層は好ましくは小面積に設けられ、且つ外部から視認されにくいため、偽造しようとする者だけでなく、正当な検出者にとっても不便が生じる場合もある。したがって、そのような不便を解消するために、転写層を構成する少なくとも1つの層に、核酸含有インキ層を設けた部分の位置を検出するための1つ又は複数の検出用マークを設けてもよい。これにより、正当な検出者は、当該検出用マークを基準に、本発明の転写体からの転写層が適用された物品の位置合わせを行い、核酸含有インキ層を設けた部分に蛍光が検出されるかどうか、またその蛍光波長が真正なものであるかどうか、さらに当該部分に含有される核酸が正当な配列情報を有しているかどうか、を検査することができる。
【0051】
このような検出用マークとしては、目視可能な印刷、切り欠き、ホログラム画像の一部等によるものであってもよく、又はレーザー再生ホログラムのように、通常の環境下では視認できないものであってもよい。
さらに、情報の漏出に対抗し、核酸の不正入手を防ぐために、核酸を含有せず蛍光染料のみを含有するインキ組成物を転写体中の一部分又はそれ以上の部分に設け、検出を複雑化してもよい。
【実施例】
【0052】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
転写基材として厚さ12μmのPETフィルムの表面に、メラミン系樹脂からなる熱硬化性樹脂組成物(ザ・インクテック株式会社製、ユピマーLZ)を塗布し、次いで、該塗布面に、画像位置検知パターン(1000μm×500μmサイズの回折格子)を有する表面レリーフ型ホログラム複製用型の型面を接触させ、加熱硬化処理に付すことによって表面レリーフ型ホログラムを形成し、厚さ3μmのホログラム形成層を得た。
次いで、このレリーフ型ホログラムが形成された面にZnSを真空蒸着して、厚み50nmの反射性透明薄膜層を形成した。
【0053】
一方、滅菌水74μl中のサケ白子由来DNA(株式会社ニチロ製、サケ白子から抽出したDNA溶液、300bp以下に断片化されている)1.3mg(塩基4000nmol)の溶液、及び、滅菌水3μl中の蛍光染料(アクリジンオレンジ)20nmol(1%/塩基対)の溶液、及び、滅菌水24μl中のアルキル脂質(C18 lipid)6000nmol(1塩基に対して1.5倍)の溶液、を用意し、これらを混合し、沈殿物を回収することによって過剰のアルキル脂質を除去し、洗浄し、凍結乾燥後、界面活性剤処理したDN
A・蛍光染料複合体28mgを得た。得られた複合体1mgをエタノール50μl中に溶解し、セルロース樹脂/アクリル樹脂(2:1)10g及びエタノール/酢酸エチル(2:1)1gと混合し、核酸含有インキ組成物を得た。
【0054】
得られた核酸含有インキ組成物を、画像位置検知パターンを検知しながら反射性薄膜層上の所定の位置にシルクスクリーン印刷し、50℃で10分間乾燥後、200μm×200μmの大きさの核酸含有インキ層(厚さ2μm、屈折率n=1.55)を形成した。
その上に下記組成の接着剤組成物を塗工し、70℃で10分間乾燥させて、接着剤層(厚さ3μm、屈折率n=1.56)を形成し、本発明の転写体を得た。
<接着剤組成物>
・セルロース樹脂/アクリル樹脂(2:1)(株式会社セイコーアドバンス社製、STR T475) 30質量部
・体質顔料(炭酸カルシウム) 5質量部
・メチルイソブチルケトン 25質量部
・酢酸エチル 40質量部
【0055】
上記で得られた本発明の転写体を、その接着剤層と被転写体表面とが対向するように重ね合わせ、サーマルプリンターにより転写形成したところ、目視により良好なホログラム再生画像が確認された。次いで、励起波長:500nmを照射し、526nmの蛍光を所定の位置から確認した。さらに、当該部分を切り出し、DNAを溶解抽出し、PCR増幅処理し、DNAシークエンサーにて含有DNA断片の塩基配列を読み取り、目的のサケ白子由来DNAであることを確認した。
【0056】
また別に、JIS L0843に準拠し、キセノンアーク灯に対する染色堅ろう度試験方法に基づき、放射照度を0.35W/m2(340nm)として、キセノンアーク灯で露光試験を行った。100時間露光後に、上記と同様にDNA含有部分を切り出し、DNAを溶解抽出し、PCR増幅処理し、DNAシークエンサーにて含有DNA断片の塩基配列を読み取ったところ、目的のサケ白子由来DNAであることが確認された。
【0057】
(実施例2)
核酸含有インキ組成物中の蛍光染料として、アクリジンオレンジの代わりにピロニン20nmol(1%/塩基対)/9μl滅菌水を使用し、実施例1と同様にして本発明の転写体を得、被転写体表面に転写印刷した。
目視により良好なホログラム再生画像が確認され、また、励起波長:564nmを照射したところ、576nmの蛍光を所定の位置から確認した。さらに、当該部分を切り出し、DNAを溶解抽出し、PCR増幅処理し、DNAシークエンサーにて含有DNA断片の塩基配列を読み取り、サケ白子由来DNAであることを確認した。また実施例1と同様にキセノンアーク灯で露光試験を行ったところ、100時間露光後にも、目的の塩基配列を読み取ることができた。
【0058】
(実施例3)
実施例1と同様にして、転写基材上にホログラム形成層及び反射性薄膜層を形成し、調製した核酸含有インキ組成物を、該反射性薄膜層上の所定の位置にシルクスクリーン印刷し、50℃で10分間乾燥後、1000μm×1000μmの大きさの核酸含有インキ層(厚さ2μm、屈折率n=1.55)を形成した。
【0059】
次いで、核酸含有インキ層を形成していない部分に下記組成の樹脂組成物を塗工し、平滑化層(厚さ2μm、屈折率n=1.56)を形成し、平滑面を得た。
<樹脂組成物>
・セルロース樹脂/アクリル樹脂(2:1)(株式会社セイコーアドバンス社製、S
TR T475) 30質量部
・体質顔料(炭酸カルシウム) 5質量部
・メチルイソブチルケトン 25質量部
・酢酸エチル 40質量部
【0060】
上記で得られた平滑面上に、下記組成の接着剤組成物を塗工し、70℃で10分間乾燥させて、接着剤層(厚さ1μm、屈折率n=1.56)を形成し、本発明の転写体を得た。
<接着剤組成物>
・セルロース樹脂/アクリル樹脂(2:1)(株式会社セイコーアドバンス社製、STR T475) 30質量部
・体質顔料(炭酸カルシウム) 5質量部
・イソプロピルアルコール 40質量部
・酢酸エチル 25質量部
【0061】
上記で得られた本発明の転写体を、その接着剤層と被転写体表面とが対向するように重ね合わせ、サーマルプリンターにより転写形成したところ、目視により良好なホログラム再生画像が確認された。次いで、励起波長:500nmを照射し、526nmの蛍光を所定の位置から確認した。さらに、当該部分を切り出し、DNAを溶解抽出し、PCR増幅処理し、DNAシークエンサーにて含有DNA断片の塩基配列を読み取り、サケ白子由来DNAであることを確認した。また実施例1と同様にキセノンアーク灯で露光試験を行ったところ、100時間露光後にも、目的の塩基配列を読み取ることができた。
【0062】
(実施例4)
実施例1と同様にして、本発明の転写体を得た。ただし、表面レリーフ型ホログラムを形成するときに、さらに、直径1mmサイズの円形再生像を結像するホログラムを、レーザー光干渉法により所定の位置に形成し、検出用マークを設けた。
実施例1と同様にして被転写体上に転写印刷し、ホログラム再生画像、蛍光、及びDNA配列を良好に確認した。検出用マークは、目視によっては確認されなかった。
【0063】
(実施例5)
以下の組成からなる保護層形成用樹脂組成物を調製し、転写基材上に塗布し、乾燥して、保護層(厚さ1.0μm)を設け、その上にホログラム形成層を形成することによって、転写基材とホログラム形成層との間に保護層を設けた以外は、実施例1と同様にして本発明の転写体を得た。
<保護層形成用樹脂組成物>
・アクリル樹脂(株式会社クラレ製、パラペットHR−S) 10質量部
・紫外線吸収剤(チバジャパン株式会社製、チヌビンPS) 0.1質量部
・メチルエチルケトン 10質量部
・マイクロシリカ 0.1質量部
実施例1と同様にして被転写体上に転写印刷し、ホログラム再生画像、蛍光、及びDNA配列を良好に確認した。また実施例1と同様にキセノンアーク灯で露光試験を行ったところ、100時間露光後にも、目的の塩基配列を読み取ることができた。
【0064】
(実施例6)
実施例1と同様にして、本発明の転写体を得た。ただし、核酸含有インキ層を部分的に設けるときに、反射性薄膜層上の別の位置に、下記組成の核酸非含有インキ組成物を印刷し、200μm×200μmの大きさの核酸非含有インキ層(厚さ2μm、屈折率n=1.55)を形成した。
<核酸非含有インキ組成物>
・蛍光染料(アクリジンオレンジ) 20nmol/3μl滅菌水
・セルロース樹脂/アクリル樹脂(2:1)(株式会社セイコーアドバンス社製、STR T475) 10g
・エタノール/酢酸エチル(2:1) 1g
実施例1と同様にして被転写体上に転写印刷し、ホログラム再生画像、蛍光、及びDNA配列を良好に確認した。核酸非含有インキ層を設けた部分からは、500nmの励起光照射に対し、蛍光は観察されなかった。その代わりに、460nmの励起光照射に対し、650nmの蛍光が観察された。
【符号の説明】
【0065】
1.転写基材
2.ホログラム形成層
3.反射性薄膜層
4.接着剤層
5.核酸含有インキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写基材上に、少なくともホログラム形成層、反射性薄膜層、核酸含有インキ層、及び接着剤層を順に積層した転写体であって、
該核酸含有インキ層は、核酸と蛍光染料とを含む核酸含有インキ組成物からなり、該反射性薄膜層上に部分的に設けられており、
該核酸含有インキ層の屈折率と該接着剤層の屈折率との差は、0.1以下であることを特徴とする、上記転写体。
【請求項2】
転写基材上に、ホログラム形成層、反射性薄膜層及び核酸含有インキ層を順に積層し、次いで、核酸含有インキ層を設けた部分と設けていない部分とからなる反射性薄膜層上の凹凸を平滑化するために、凹部を埋設するための平滑化層を積層し、さらに、接着剤層を積層した転写体であり、且つ、該核酸含有インキ層の屈折率と該平滑化層の屈折率との差は、0.1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の転写体。
【請求項3】
接着剤層と平滑化層とが、同じ樹脂組成物で構成されることを特徴とする、請求項2に記載の転写体。
【請求項4】
転写基材とホログラム形成層との間に、さらに剥離層を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写体。
【請求項5】
ホログラム形成層の、反射性薄膜層が位置する側と反対の面上に、さらに保護層を設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写体。
【請求項6】
上記の少なくとも1つの層に、核酸含有インキ層を設けた部分の位置を検出するための検出用マークを設けることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写体。
【請求項7】
上記の少なくとも1つの層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写体。
【請求項8】
核酸含有インキ層を、スクリーン印刷方式により形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の転写体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−161797(P2011−161797A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27391(P2010−27391)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】