説明

転写成膜装置

【課題】気泡の巻き込みが無く、貼付と剥離が容易であり、大型基板に対応できる転写成膜装置を提供する。
【解決手段】配置台12上に転写リボン34を装着した転写ヘッド151〜153を配置し、透明部材33で転写リボン34を押圧し、転写リボン34表面のインク層42を転写対象物16に接触させて、転写リボン34の裏面にレーザ光を照射し、インク層42の裏面にレーザ光が照射された部分を転写対象物16の表面に転写する。転写リボン34の転写に使用した部分は移動させ、新しい部分を透明部材33で転写対象物16に接触させて、次の転写を行う。細長の転写リボン34を使用しているので、気泡が巻き込まれることはなく、また、大型基板への転写が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜を形成する技術分野に係り、特に、転写リボン上に形成されたインク層を、転写対象物に転写して薄膜を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、転写シートにレーザを照射し、転写シートに形成されたインク層を基板に転写する技術があり、基板と同程度の大きさの転写シートを基板に貼付し、レーザ照射位置を変えて基板上の所望の位置にインク層を転写する。
転写シートが大きいと、貼付の際に気泡を巻き込む虞があり、また、転写後に転写シートを基板から剥離させる処理も困難である。
【0003】
また、転写シートを貼付する前に脱ガス処理を行わないと、水分等の不純物が転写した薄膜に混入し、膜質が悪くなるが、大きな転写シートの脱ガス処理は高コストである。
他方、転写方法ではなく、真空蒸着方法によって基板表面の所望位置に薄膜を形成しようとすると、微細なパターンのマスクが必要になり、蒸発源からの熱による変形等により、形成される薄膜の位置がずれてしまう。
熱による変形のため、マスクの大型化は困難であり、基板の大型化に対応することができないと言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3290375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の不都合を解決することを課題としており、気泡の巻き込みが無く、貼付と剥離が容易であり、大型基板に対応できる転写成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、転写対象物を配置する配置台と、前記配置台上に配置された転写ヘッドと、前記配置台上に配置された前記転写対象物と前記転写ヘッドとを相対移動させる相対移動装置と、を有し、前記転写ヘッドの筺体には、前記筺体に設けられ、前記配置台に対面する位置に配置された透明部材と、表面にインク層を有する転写リボンが、裏面が前記透明部材に向けられ、前記透明部材と前記配置台との間の位置を通って配置されるテープ走行装置と、前記透明部材を透過させて、前記転写リボンの裏面の一部にレーザ光を照射するレーザ光照射装置とが設けられた転写成膜装置である。
また、本発明は、前記テープ走行装置は、前記透明部材と前記配置台との間で、前記転写リボンを走行させるように構成された転写成膜装置である。
また、本発明は、前記レーザ光照射装置を移動させ、前記転写リボンの前記裏面上での前記レーザ光の照射位置を変更させるレーザ光照射位置移動装置が設けられた転写成膜装置である。
また、本発明は、前記レーザ光が照射される前記転写対象物の表面上を撮影できる撮像装置と、前記撮像装置の撮像結果と予め記憶されたパターンとを照合して前記レーザ光照射装置の位置の誤差を検出する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記誤差を小さくするように前記レーザ光照射位置移動装置を動作させる転写成膜装置である。
また、本発明は、前記転写ヘッドを前記配置台に対して移動させ、前記転写ヘッドの前記転写リボンを、前記配置台に配置された前記転写対象物に接触させ、移動させるヘッド移動装置を有する転写成膜装置である。
また、本発明は、複数の前記転写ヘッドが、同じ配置台に対面して配置された転写成膜装置である。
【発明の効果】
【0007】
細長の転写リボンによって、転写対象物表面の所望位置に所望の形状、面積でインク層を転写することができるから大型基板の表面にパターニングした有機薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a):本発明の第一例の転写成膜装置の内部平面図 (b):転写対象物を配置した本発明の第一例の転写成膜装置の内部平面図
【図2】転写ヘッドの内部構造図
【図3】転写リボンの断面図
【図4】転写対象物を説明するための図
【図5】本発明の第二例の転写成膜装置の内部平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)は、本発明の転写成膜装置2を示している。
この転写成膜装置2は、転写チャンバー11を有しており、該転写チャンバー11の内部には、転写対象物を配置する配置台12が配置されている。
転写チャンバー11には、ブリッジ移動装置13が設けられており、このブリッジ移動装置13には、配置台12の上に配置されたブリッジ14が取り付けられている。
【0010】
配置台12は、四辺形形状であり、ブリッジ14は、配置台12の四辺のうち、互いに平行な二辺と平行にされており、ブリッジ移動装置13によって、二辺の間を往復移動できるようにされている。
ブリッジ14には、一個又は複数個の転写ヘッド151〜153が配置され、各転写ヘッド151〜153は、配置台12に配置した転写対象物と対面するように構成されており、ブリッジ移動装置13によってブリッジ14が移動されると、各転写ヘッド151〜153は、同一方向に同速度で移動される。
【0011】
このブリッジ14には同じ構造の転写ヘッド151〜153が3個設けられており、転写ヘッド151〜153の構造を説明すると、図2を参照し、同図の符号15は同じ構造の3個の転写ヘッド151〜153のうちの一台の転写ヘッドを示している。
転写ヘッド15は、筺体31を有しており、筺体31の下端位置には、枠体32によって、板状の透明部材33が取り付けられている。
【0012】
透明部材33と離間した位置には、細長の転写リボン34を巻き回して形成したリボンロール35が装着される送りローラ36が設けられている。
送りローラ36にリボンロール35を装着し、リボンロール35から転写リボン34の端部をリボンロール35から剥離させ、透明部材33の片側から、透明部材33と配置台12の間に入れ、送りローラ36に装着したリボンロール35から転写リボン34を巻き出して、転写リボン34の端部を透明部材33と配置台12の間を通して反対側に引き出す。
【0013】
転写リボン34の端部が引き出された位置の付近には、リボンロール35から引き出された転写リボン34の端部が固定される巻取ロール37が設けられている。
巻取ロール37は回転モータ44に接続されており、所望の時に所望量回転するように構成されており、転写リボン34の端部を固定して回転モータ44を動作させると、送りローラ36が転写リボン34によって引かれ、巻取ロール37の回転に応じて回転し、転写リボン34がリボンロール35から巻き出される。巻き出された転写リボン34は筐体31内を走行し、透明部材33と配置台12との間を通過して、巻取ロール37に巻き取られるようになっている。
【0014】
転写リボン34が透明部材33と配置台12の間に進入する位置と、透明部材33と配置台12の間から転写リボン34が排出されて来る位置には、補助ロール46がそれぞれ設けられており、転写リボン34の裏面が補助ロール46にそれぞれ接触し、透明部材33表面と平行にされており、転写リボン34は、補助ロール46を回転させながら走行して、転写リボン34裏面と補助ロール46との間は擦れないようになっている。
【0015】
透明部材33のうち、転写リボン34が走行する面とは反対の面側には、レーザ照射装置38が配置されている。レーザ照射装置38の射出口39は、透明部材33に向けられており、レーザ照射装置38からレーザ光が射出されると、レーザ光は、枠体32の中空内部を通過して透明部材33に照射される。枠体32は、ここでは無底の筒状である。
【0016】
透明部材33はレーザ光を透過させる特性を有しており、透明部材33に照射されたレーザ光は透明部材33を透過し、透明部材33と配置台12との間に位置する転写リボン34の裏面に照射される。
転写リボン34は、基材テープ41を有しており、基材テープ41上にはインク層42が設けられている。
【0017】
図1(b)の符号16は、配置台12上に配置された転写対象物であり、インク層42を転写対象物16表面に転写する際には、転写ヘッド151〜153は転写対象物16表面の所望位置に移動され、転写リボン34は、インク層42が配置台12上の転写対象物16と対面し、基材テープ41は、透明部材33と対面するようにされている。
【0018】
各転写ヘッド151〜153では、透明部材33は、枠体32を介して、押圧装置45に取り付けられており、押圧装置45によって透明部材33が移動され、透明部材33が筐体31から突き出される量を変更できるようになっている。配置台12上に転写対象物16が配置された状態で、押圧装置45によって透明部材33を配置台12方向に移動させると、透明部材33と共に転写リボン34も移動し、インク層42の表面が転写対象物16の表面に接触する。転写リボン34は、透明部材33によって、転写対象物16の表面に押圧された状態になる。
【0019】
転写リボン34の構成を図3に示す。
基材テープ41は、樹脂から成る樹脂テープ51と、樹脂テープ51の表面に形成された熱変換層53と、熱変換層53の表面に形成された剥離層52とを有しており、インク層42は剥離層52の表面に形成されている。
【0020】
転写リボン34に、インク層42とは反対側の面にレーザ光が照射されると、レーザ光が照射された部分の熱変換層53は昇温する。熱は剥離層52に伝達し、剥離層52とインク層42の接着力を弱くさせ、インク層42は転写対象物16に粘着し、転写リボン34と転写対象物16が離れると、転写対象物16に接着した部分が転写リボン34から転写対象物16に転写される。
【0021】
レーザ照射装置38は照射位置移動装置43に取り付けられており、レーザ照射装置38は照射位置移動装置43によって射出口39の向きが変えられ、レーザ光を射出する方向を変更できるようにされている。
透明部材33と対面する転写リボン34の裏面の所望位置に、透明部材33を透過させて、レーザ光を照射することができる。
【0022】
また、照射位置移動装置43により、レーザ光の照射位置は、射出しながら移動できるようにされており、レーザ光を照射しながら照射位置を移動させることで、所望の形状、面積のインク層42を転写対象物16に転写して、転写対象物16にその大きさの薄膜を形成することができる。
【0023】
透明部材33を転写リボン34と共に上昇させ、転写リボン34表面を転写対象物16から離間させると、転写されたインク層42は、転写対象物16上に薄膜として残り、転写対象物16から離間された転写リボン34のインク層42には、インク層42が欠落した部分が散在された状態になっている。
【0024】
各転写ヘッド151〜153は、ブリッジ14に設けられたヘッド移動装置17に取り付けられており、ブリッジ14の長手方向に沿って、配置台12に配置された転写対象物16表面と平行に、個別に移動できるようにされており、各転写ヘッド151〜153で、同じ転写対象物16に対して、それぞれインク層42の転写を行うことができる。
【0025】
なお、透明部材33によって転写リボン34を押圧して転写対象物16に接触させたときに、インク層42は、転写対象物16の表面に形成された溝や穴の底面には接触しないが、溝や穴の底面に転写させたい場合は、転写させたい場所上に位置する転写リボン34の裏面にレーザ光を照射し、熱変換層53の発熱によってインク層42を蒸発させてインク層42の蒸気を発生させると、蒸発した部分のインク層42と対面する溝底面や穴底面に蒸気が到達し、付着して薄膜が形成されるので、溝や穴の底面にも、インク層42を転写することができる。
【0026】
なお、上記転写リボン34では、樹脂テープ51のインク層42とは反対側の面には保護層54が形成されており、転写リボン34が透明部材33と接触しても、転写リボン34が損傷しないようになっている。
【0027】
この転写成膜装置2によって、転写対象物16の表面に薄膜を形成する工程を説明する。
図1を参照し、転写チャンバー11には真空排気装置21とガス導入装置22とが接続されており、真空排気装置21を動作させ、転写チャンバー11の内部を真空排気した後、ガス導入装置22からN2ガス、Arガス、Neガス、CO2ガス等の、転写対象物16に対して化学的に不活性なパージガスを転写チャンバー11の内部に導入し、転写チャンバー11の内部をパージガス雰囲気にする。転写リボン34は転写対象物16と比較すると小型であり、脱ガスは容易である。
【0028】
各転写ヘッド151〜153の転写リボン34は、予め脱ガスされている。
ブリッジ移動装置13によってブリッジ14を移動させ、ブリッジ14と各転写ヘッド151〜153を、配置台12上の転写対象物16が配置される領域以外の場所に退避させ、転写チャンバー11の内部のパージガス雰囲気を維持しながら転写対象物16を搬入し、配置台12上に配置し、静電吸着装置によって、転写対象物16を吸着する。
この転写対象物16は、ガラス基板上に正孔注入層と、正孔輸送層とが積層されており、薄膜を形成する位置は、図4に示すように、行列状に配置されている。
【0029】
転写成膜装置2には、制御装置19が設けられており、転写ヘッド151〜153とブリッジ14の移動等の動作は、制御装置19によって制御されている。
制御装置19は、先ず、各転写ヘッド151〜153の透明部材33を上昇させ、透明部材33を配置台12上の転写対象物16表面から離間する高さに位置させると共に、ヘッド移動装置17とブリッジ移動装置13とによって、転写ヘッド151〜153と転写対象物16とを相対移動させ、転写ヘッド151〜153を転写対象物16の所望位置上へ移動させる。
【0030】
筺体31の内部には、レーザ光の照射位置を含む範囲を撮影する撮像装置30を有しており、撮像装置30は、配置台12上に配置された転写対象物16の表面パターンを撮影し、撮影結果を制御装置19に出力する。
【0031】
制御装置19には、転写対象物16の表面パターンは予め記憶されており、制御装置19は、各転写ヘッド151〜153を移動させ、各転写ヘッド151〜153を転写対象物16の表面のうち、転写を開始する領域の真上に配置した後、撮像装置30によって、転写を開始すべき領域の全部又は一部を撮像し、撮像結果を制御装置19に出力する。
【0032】
制御装置19には、予め転写対象物16の基準パターンが記憶されており、撮像装置30から入力された撮像結果が示すパターンと、記憶する基準パターンとを比較すると、転写対象物16とレーザ照射装置38との位置関係が分かるようになっており、入力された撮像結果のパターンと、記憶する基準パターンとの比較から、レーザ照射装置38が撮像した部分の位置の誤差を算出し、照射位置移動装置43を動作させて誤差が小さくなる方向に射出口39を移動させて、正確な位置にレーザ光を照射できるように構成されている。
【0033】
ここでは各転写ヘッド151〜153には、それぞれ異なる色の転写リボン34が装着されており、各転写ヘッド151〜153が、転写リボン34の色に対応する領域の真上に配置された後、各転写ヘッド151〜153は透明部材33をそれぞれ降下させ、透明部材33によって転写リボン34を押圧し、透明部材33と転写対象物16との間に位置する転写リボン34のインク層42を、転写対象物16の表面に接触させる。
【0034】
図4は、転写対象物16表面の一部を示しており、同図中で、符号61は転写対象物16上で薄膜が転写される位置である転写地点を示しており、符号62は、転写リボン34のインク層42から薄膜の転写中の転写地点を示している。転写リボン34の表面うち、転写対象物16と透明部材33との間に位置する範囲内には、複数個の転写地点61が含まれている。
【0035】
この転写成膜装置2では、R、G、Bの3色の転写リボン34が使用されており、一色の転写リボン34は、1/3の転写地点61上に、転写リボン34のインク層42の薄膜を転写するようになっている。
転写リボン34のうち、転写できる転写地点61の真上に位置する部分にレーザ光を照射し、インク層42を部分的に転写させて転写対象物16表面に薄膜を形成する。レーザ光を照射する位置を変える際には、照射位置移動装置43によってレーザ照射装置38の向きを変え、レーザ光が照射される位置を変更する。
【0036】
符号62は、レーザ光を照射中の転写リボン34からインク層42の薄膜が転写されている転写地点を示している。
各転写ヘッド151〜153においても、レーザ光の照射による転写が行われており、各転写ヘッド151〜153では、透明部材33と対面し、転写可能な転写地点61に薄膜を転写させると、透明部材33を上方に移動させ、転写リボン34を転写対象物16の表面からそれぞれ離間させる。
【0037】
インク層42のうち、転写対象物16にインク層42が転写された部分では、インク層42の下層(ここでは剥離層52)が露出しており、その部分の裏面にレーザ光が照射されても、転写対象物16にインク層42が転写されないようになっている。
【0038】
従って、転写リボン34が転写対象物16から離間された後、巻取ロール37を回転させ、転写リボン34のうち、インク層42が転写された部分を含む領域を、透明部材33と転写対象物16との間から移動させ、インク層42が位置する部分を透明部材33と転写対象物16との間に配置する。
【0039】
このような転写リボン34の移動とは別に、各転写ヘッド151〜153と転写対象物16とを相対移動させ、未成膜の転写地点61を含む範囲上に透明部材33が位置したところで、透明部材33を降下させ、透明部材33と転写対象物16とで転写リボン34を挟み、レーザ光を転写位置上の転写リボン34の裏面に照射し、転写地点61上への転写を行う。
【0040】
このように、各転写ヘッド151〜153は、移動と転写を繰り返し、各転写地点61上へ薄膜が転写されると、ブリッジ14と転写ヘッド151〜153は、転写対象物16を配置する領域の外部に退避され、薄膜が転写された転写対象物16は、未成膜の転写対象物16と交換され、転写作業が続行される。
なお、配置台12の内部には、温度制御装置(不図示)が設けられており、転写対象物16を加熱と冷却を行うことで、温度を一定にしながら転写を行うことができる。
【0041】
上記例では、配置台12が転写チャンバー11に対して静止し、ブリッジ14が配置台12と転写チャンバー11とに対して移動することで、配置台12上の転写対象物16とブリッジ14に設けられた転写ヘッド151〜153とが相対的に移動したが、転写対象物16を転写チャンバー11に対して移動させる基板移動装置を設け、ブリッジ14を転写チャンバー11に対して静止させて、転写対象物16と転写ヘッドとを相対的に移動させるようにしてもよい。
【0042】
図1(a)、(b)中、符号18はインク交換が行われるときに転写ヘッド151〜153が位置する場所に配置された交換装置を示している。
上記転写成膜装置2では、転写リボン34を交換する交換装置18により、転写ヘッド151〜153を取り外さなくても、転写チャンバー11内で転写リボン34を交換できるようにされている。
また、上記例では、転写対象物16はガラス基板上に正孔移動層等の有機薄膜が形成された基板が用いられたが、フィルム状の転写対象物にインク層42を転写することもできる。
【0043】
図5の転写装置3では、転写チャンバー71内で、長尺フィルム状の転写対象物76が走行できるようにされており、その転写対象物76と対面して、複数(ここでは3台)のブリッジ741〜743が互いに平行に配置されている。移動に関する装置の説明は省略するが、各ブリッジ741〜743には、それぞれ転写ヘッド751〜753が取り付けられ、転写ヘッド751〜753はブリッジ741〜743に沿って、互いに平行に移動できるようにされている。
【0044】
転写対象物76は、各転写ヘッド751〜753と対面する部分では、転写対象物76の長手方向に平行な方向に直線移動するようにされており、各ブリッジ741〜743は、各ブリッジ741〜743に設けられた転写ヘッド751〜753が、転写対象物76の移動方向と直角な方向に移動するように配置されている。
【0045】
ここではブリッジ741〜743は、転写対象物76の移動方向と平行に移動するようにされており、転写対象物76と、ブリッジ741〜743と、転写ヘッド751〜753の移動により、各転写ヘッド751〜753を、転写対象物76の所望位置と対面させることができる。従って、制御装置79によって、各転写ヘッド751〜753の転写リボン34のインク層42は、転写対象物76上の所望位置に転写できる。
なお、転写リボン34上のインク層42は、塗布方法や蒸着方法等の薄膜形成方法によって、基材テープ41上に形成することができる。
【符号の説明】
【0046】
2……転写成膜装置
12……配置台
13……ブリッジ移動装置
151〜153、751〜753……転写ヘッド
16、76……転写対象物
17……ヘッド移動装置
30……撮像装置
31……筐体
33……透明部材
34……転写リボン
42……インク層
43……照射位置移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写対象物を配置する配置台と、
前記配置台上に配置された転写ヘッドと、
前記配置台上に配置された前記転写対象物と前記転写ヘッドとを相対移動させる相対移動装置と、
を有し、
前記転写ヘッドの筺体には、
前記筺体に設けられ、前記配置台に対面する位置に配置された透明部材と、
表面にインク層を有する転写リボンが、裏面が前記透明部材に向けられ、前記透明部材と前記配置台との間の位置を通って配置されるテープ走行装置と、
前記透明部材を透過させて、前記転写リボンの裏面の一部にレーザ光を照射するレーザ光照射装置とが設けられた転写成膜装置。
【請求項2】
前記テープ走行装置は、前記透明部材と前記配置台との間で、前記転写リボンを走行させるように構成された請求項1記載の転写成膜装置。
【請求項3】
前記レーザ光照射装置を移動させ、前記転写リボンの前記裏面上での前記レーザ光の照射位置を変更させるレーザ光照射位置移動装置が設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の転写成膜装置。
【請求項4】
前記レーザ光が照射される前記転写対象物の表面上を撮影できる撮像装置と、
前記撮像装置の撮像結果と予め記憶されたパターンとを照合して前記レーザ光照射装置の位置の誤差を検出する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記誤差を小さくするように前記レーザ光照射位置移動装置を動作させる請求項3記載の転写成膜装置。
【請求項5】
前記転写ヘッドを前記配置台に対して移動させ、前記転写ヘッドの前記転写リボンを、前記配置台に配置された前記転写対象物に接触させ、移動させるヘッド移動装置を有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の転写成膜装置。
【請求項6】
複数の前記転写ヘッドが、同じ配置台に対面して配置された請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の転写成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73822(P2013−73822A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212649(P2011−212649)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】