転写装置、画像形成装置
【課題】像担持体ベルトに形成されたトナー像が転写材に転写された後、転写材が像担持体ベルトから分離されることなく、像担持体ベルトに貼り付いたままの状態となってしまう場合がある。
【解決手段】像を担持する像担持体ベルト40と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第1ローラーとしての駆動ローラー50と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第2ローラー30と、像担持体ベルト40と転写材Sを介して鉛直方向D7の上端部が、駆動ローラー50の鉛直方向D7の下方の周面と当接して像を転写材Sに転写する転写ローラー61と、像担持体ベルト40を介した駆動ローラー50と転写ローラー61との当接部よりも鉛直方向D7の下方で、転写ローラー61の回転中心軸を通る仮想鉛直線V1に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面Hよりも上方に配設され、像が転写された転写材Sをガイドするガイド部80と備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像を担持する像担持体ベルト40と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第1ローラーとしての駆動ローラー50と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第2ローラー30と、像担持体ベルト40と転写材Sを介して鉛直方向D7の上端部が、駆動ローラー50の鉛直方向D7の下方の周面と当接して像を転写材Sに転写する転写ローラー61と、像担持体ベルト40を介した駆動ローラー50と転写ローラー61との当接部よりも鉛直方向D7の下方で、転写ローラー61の回転中心軸を通る仮想鉛直線V1に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面Hよりも上方に配設され、像が転写された転写材Sをガイドするガイド部80と備えた画像形成装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
露光部によって像担持体に静電潜像を形成し、現像装置によってその静電潜像を現像して可視化し、さらに転写装置によってそのトナー像を紙等の転写材に転写する画像形成装置が提案されている。例えば、特許文献1では、像担持体上のトナー像を複数のローラーに張架した像担持体ベルトに転写し、像担持体ベルトに転写されたトナー像をさらに紙などの転写材に転写する転写装置を備えた画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−243129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような転写装置では、像担持体ベルトに形成されたトナー像が転写材に転写された後、転写材が像担持体ベルトから分離されることなく、像担持体ベルトに貼り付いたままの状態となってしまう場合がある。そのため、転写材を転写装置の後工程として備えられた装置、例えば、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]像を担持する像担持体ベルトと、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラーと、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーと、前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、を備えたことを特徴とする転写装置。
【0007】
この構成によれば、像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、第1ローラーの鉛直方向の下方の周面と当接して像を転写材に転写する転写ローラーを備える。これにより、像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながら搬送されると、像が転写された転写材の先端が、自重により鉛直方向に垂れ下がる。そのため、転写材が像担持体ベルトに貼りついてしまうことが抑制される。
【0008】
また、像担持体ベルトを介した第1ローラーと転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、像が転写された転写材をガイドするガイド部を備える。これにより、転写材が像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながらさらに搬送されると、転写材の先端がガイド部の鉛直方向に対して垂直方向の面に沿って進み、転写材が搬送方向に案内される。そのため、転写材を転写装置から、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【0009】
[適用例2]前記転写ローラーは、前記転写ローラーの周面に凹部を設け、前記凹部に前記転写材を前記像担持体ベルトから剥離する転写材剥離部を備えた上記転写装置。
【0010】
この構成によれば、転写材を像担持体ベルトから確実に剥離できる。
【0011】
[適用例3]前記第2ローラーは前記第1ローラーの前記鉛直方向の上方に配設される上記転写装置。
この構成によれば、転写装置における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0012】
[適用例4]前記第2ローラーの回転中心軸は前記第1ローラーの前記回転中心軸を通る前記仮想鉛直線上もしくは前記仮想鉛直線の近傍に配設される上記転写装置。
この構成によれば、転写装置における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0013】
[適用例5]潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体ベルト、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラー、及び前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーを有するベルトユニットと、前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、前記ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
この構成によれば、像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、第1ローラーの鉛直方向の下方の周面と当接して像を転写材に転写する転写ローラーを備える。これにより、像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながら搬送されると、像が転写された転写材の先端が、自重により鉛直方向に垂れ下がる。そのため、転写材が像担持体ベルトに貼りついてしまうことが抑制される。
【0015】
また、像担持体ベルトを介した第1ローラーと転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、像が転写された転写材をガイドするガイド部を備える。これにより、転写材が像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながらさらに搬送されると、転写材の先端がガイド部の鉛直方向に対して垂直方向の面に沿って進み、転写材が搬送方向に案内される。そのため、転写材を転写装置から、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図2】第2実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図3】転写ローラーの外観斜視図。
【図4】軸方向から見た転写ローラーの断面図。
【図5】軸方向から見た転写ローラーの一部断面図。
【図6】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図7】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図8】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図9】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図10】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図11】第3実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図12】転写材把持部材と剥離部材との干渉を防止するガイド部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施例における画像形成装置1の主要構成要素を示した図である。画像形成装置1は、単色の画像を形成し、本実施例ではモノクロの画像を形成する。
【0018】
画像形成部10について説明する。像担持体としての感光体11の外周には、回転方向D1に沿って、コロナ帯電器14、露光部としての露光ユニット15、現像ローラー21、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17、感光体クリーニングブレード13が配置されている。
【0019】
コロナ帯電器14は、感光体11と現像ローラー21とが当接するニップ部より感光体11の回転方向D1の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体11を帯電させる。
【0020】
露光ユニット15は、露光ユニット15に入力された画像信号に基づいて、コロナ帯電器14によって帯電された感光体11上に光を照射し、感光体11上に像としての静電潜像を形成する。
【0021】
感光体11は、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムである。
【0022】
現像ローラー21は、液体現像剤を担持し、液体現像剤により感光体11上に形成された静電潜像が顕在化される。
【0023】
第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17は、感光体11に現像されたトナー像の余剰キャリアを回収する。第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17は、感光体11に当接して回転する弾性ローラー部材から成り、感光体11上に現像されたトナー像から余剰なキャリア及び不要なトナーを回収し、顕像(トナー像)内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17には、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0024】
第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17を経た感光体11の表面は、感光体11が回転方向D1に回転することによって、転写部材としての一次転写ローラー41と対向し、像担持体ベルト40と当接する一次転写位置Aに進入する。一次転写位置Aでは、一次転写ローラー41と感光体11によって挟まれた像担持体ベルト40が、一次転写ローラー41と感光体11に押し付けられながら回転し、一次転写ローラー41に印加される転写バイアスの作用によって、感光体11に現像されたトナー像が像担持体ベルト40に一次転写像として転写される。
【0025】
感光体クリーニングブレード13は、感光体11と当接し、感光体11上のキャリア成分が多い液体現像剤をクリーニングする。
【0026】
本実施例における画像形成部10は、感光体11、感光体クリーニングブレード13、コロナ帯電器14、露光ユニット15、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17を含んで構成される。
【0027】
現像装置20は、液体現像剤を担持する現像ローラー21、液体現像剤を現像ローラー21に塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー23と、現像ローラー21に塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード(不図示)と、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックスローラー23に供給するオーガ24、現像ローラー21に担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22、現像ローラー21のクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード26、ブラック(K)の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器25を備える。
【0028】
第1ローラーとしての駆動ローラー50の回転軸51は、画像形成装置1の筐体(不図示)に備えられた軸受け部(不図示)によって回転可能に支持される。駆動ローラー50は、モーター(不図示)によって駆動される。第2ローラー30の回転軸31は、画像形成装置1の筐体に備えられた軸受け部(不図示)によって回転可能に支持される。第2ローラー30と駆動ローラー50は、それぞれの回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V1が鉛直方向D7になるように、直列に並ぶ。
【0029】
像担持体ベルト40は、第2ローラー30と駆動ローラー50に巻きかけられる。像担持体ベルト40は、駆動ローラー50によって回転駆動される。
【0030】
転写ローラー61の回転軸61aは、回転軸60を有する支持部62によって支持される。転写ローラー61は、回転軸60を中心として回動され、支持部62に備えられたバネ66などの付勢手段によって、駆動ローラー50の鉛直方向D7における下端部に像担持体ベルト40を介して押し当てられる。
【0031】
一次転写位置Aは、像担持体ベルト40を挟んで感光体11と一次転写ローラー41とが対向配置され、感光体11と像担持体ベルト40とが当接する位置である。像担持体ベルト40は、エンドレスのベルトであり、一次転写位置Aで感光体11と当接しながら、駆動ローラー50により回転駆動される。一次転写位置Aでは、感光体11上に現像されたモノクロのトナー像が像担持体ベルト40上に転写されて、像担持体ベルト40上にモノクロのトナー像が形成される。
【0032】
二次転写位置Bは、像担持体ベルト40を挟んで転写ローラー61と駆動ローラー50とが対向する位置で、転写ローラー61と像担持体ベルト40とが当接するニップ部の位置である。像担持体ベルト40を介して、転写ローラー61と駆動ローラー50とが二次転写位置Bで当接しながら、回転方向D4、回転方向D3にそれぞれ回転し、二次転写位置Bにおいて、像担持体ベルト40上に形成されたモノクロのトナー像が、搬送方向D6から供給される紙、フィルム、布等の転写材Sに転写される。
【0033】
搬送方向D6における二次転写位置Bの下流に備えられた定着装置(不図示)は、例えば定着ローラー90,91などから構成され、転写材S上に転写されたモノクロのトナー像を転写材Sに融着させて定着させる。
【0034】
像担持体ベルト40の回転周方向D2における二次転写位置Bの下流側には、駆動ローラー50に対向する位置で、像担持体ベルト40に当接するクリーニング部としての像担持体ベルトクリーニングブレード52が備えられる。像担持体ベルトクリーニングブレード52は、筐体に固定された支持部53に支持される。像担持体ベルト40が回転周方向D2に回転すると、像担持体ベルトクリーニングブレード52によってクリーニングが実施され、像担持体ベルト40に残った液体現像剤が除去される。
【0035】
像担持体ベルト40は、ポリイミド基層上にポリウレタンの弾性中間層を設け、さらにその上にPFA表層が設けられている三層構造となっている。像担持体ベルト40は、ポリイミド基層側において駆動ローラー50、第2ローラー30で張架され、PFA表層側においてトナー像が転写されるようにして用いられる。
【0036】
感光体11は、像担持体ベルト40の回転周方向D2において、像担持体ベルトクリーニングブレード52より下流側で、第2ローラー30より上流側に備えられる。
【0037】
ガイド部80は、鉛直方向D7に対して垂直方向の面81を有する。面81は、鉛直方向D7における上端部すなわち二次転写位置Bより下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設される。これにより、転写ローラー61と像担持体ベルト40によって挟まれた転写材Sが、転写ローラー61の回転に伴って搬送されると、二次転写位置Bを通過した転写材Sの先端部Saは、ガイド部80に形成された面81によって搬送方向D5に案内される。
【0038】
以上説明した本実施例における図1の転写装置100は、像を担持する像担持体ベルト40と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第1ローラーとしての駆動ローラー50と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第2ローラー30と、像担持体ベルト40と転写材Sを介して鉛直方向D7の上端部が、駆動ローラー50の鉛直方向D7の下方の周面と当接して像を転写材Sに転写する転写ローラー61と、像担持体ベルト40を介した駆動ローラー50と転写ローラー61との当接部よりも鉛直方向D7の下方で、転写ローラー61の回転中心軸を通る仮想鉛直線V1に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面Hよりも上方に配設され、像が転写された転写材Sをガイドするガイド部80と、を備える。
【0039】
この構成によれば、像担持体ベルト40と転写ローラー61に挟まれながら搬送されることにより像が転写された転写材Sの先端が、自重により鉛直方向D7に垂れ下がる。そのため、転写材Sが像担持体ベルト40に貼りついてしまうことが抑制される。
【0040】
また、転写材Sが像担持体ベルト40と転写ローラー61に挟まれながらさらに搬送されると、転写材Sの先端がガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に沿って進み、転写材Sが搬送方向D5に案内される。そのため、転写材Sを転写装置100から、定着ローラー90,91などを用いて転写材Sに形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【0041】
また、第2ローラー30の回転軸31の回転中心軸は、駆動ローラー50の回転軸51の回転中心軸を通る仮想線V1上もしくは仮想線V1の近傍に配設される。この構成によれば、画像形成装置1における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0042】
(第2実施例)
第2実施例では、転写ローラー61に形成された凹部63内に、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部を備えた画像形成装置について説明する。
【0043】
図2は、第2実施例における画像形成装置1aの主要構成要素を示した図である。第2実施例における転写ローラー61には、凹部63が形成される。凹部63内には、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79が備えられる。
【0044】
本実施例の転写装置100aの第1ローラーとしての駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜するように備えられる。第2ローラー30、駆動ローラー50には、像担持体ベルト40が巻きかけられる。
【0045】
画像形成部10aにおけるコロナ帯電器14、露光部としての露光ユニット15、現像ローラー21、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17、感光体クリーニングブレード13は、第1実施例の図1の画像形成部10におけるそれぞれの構成と同じであるが、感光体11の外周における配置が異なる。
【0046】
現像装置20aにおける現像ローラー21、アニロックスローラー23、現像ローラー21に塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード(不図示)、オーガ24、コンパクションコロナ発生器22、現像ローラークリーニングブレード26、現像剤容器25は、第1実施例の図1の現像装置20におけるそれぞれの構成と同じであるが、感光体11の外周における配置が異なる。
【0047】
図3は、転写ローラー61の外観斜視図であり、図4は、回転軸61aの軸方向から見た転写ローラー61の断面図であり、図5は、回転軸61aの軸方向から見た転写ローラー61の一部断面図である。
【0048】
転写ローラー61は、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79を収容する空間である凹部63を有している。図3の凹部63は、転写ローラー61の軸方向に延設されている。転写ローラー61は、導電性の基材61bの円弧部の外周面に巻きかけられた弾性部材としてのゴムシート61cを有している。
【0049】
転写面61gは、基材61bの円弧部にゴムシート61cが巻きかけられたことによって円弧部が形成された転写ローラー61の外周面を示す。ゴムシート61cの転写面61gは、像担持体ベルト40に当接する。
【0050】
ゴムシート61cにより転写ローラー61の円弧部の外周面に抵抗層が形成されている。ゴムシート61cは、基材層、弾性層及び表層の三層構造を有する。基材層は、厚さ約80〜90μmであり、例えば、ポリイミド樹脂を用いて形成されている。弾性層は、厚さ約0.5〜5mmであり、例えば、ウレタンゴムを用いて形成されている。また、表層は、厚さ約5〜25μmであり、例えば、フッ素ゴムを用いて形成されている。ゴムシート61cの体積抵抗率は1×106〜1×1011Ωとする。
【0051】
図4に示されるように、ゴムシート61cは、両端部61d,61eが基材61bに形成された凹部63内の壁面61b1,61b2に固定され、他の部分は巻きかけられているだけで、基材61bに接着や固定されていない。例えば、ゴムシート61cの両端部61d,61e上にプレート61h,61jを回転軸61aの方向に延設し、ビス61kやネジ等で基材61bに留めるとよい。また、プレート61h,61jには、それぞれ凸部61h1,61j1が形成され、凸部61h1,61j1がゴムシート61cにめり込むことにより、プレート61h,61jは、強固に固定される。なお、ゴムシート61cの両端部61d,61eの凹部63への固定は、これに限らず、他の方法を用いてもよい。
【0052】
図5に示すように、凹部63内には、転写材把持部材64および転写材把持部材64が着座する把持部材受け部材65が配設されている。転写材把持部材64は、転写ローラー61の軸方向に沿って配設され、任意の個数設けることができる。各転写材把持部材64は金属の薄い帯状板から同じ形状又は同じ大きさに形成される。各転写材把持部材64は同じ形状及び同じ大きさに形成されてもよい。
【0053】
一例として、転写材把持部材64はクランク状に折り曲げられて形成される。転写材把持部材64の一端部は固定端部64aであり、また、転写材把持部材64の他端部は、把持部材受け部材65に着離座する保持部64bである。この保持部64bは把持部材受け部材65との間に転写材Sの先端部Saを挟圧して保持する。更に、転写材把持部材64は、固定端部64aと保持部64bとの間に形成された屈曲部64cを有する。
【0054】
図3に示すように、把持部材受け部材65は転写ローラー61の軸方向に沿って、転写材把持部材64に対応した個数配設されている。また、凹部63内には、剥離部材79が配設されている。図3に示すように、剥離部材79は、転写ローラー61の軸方向に沿って配設されている。剥離部材79は、任意の個数設けることができる。また、隣接する剥離部材79間に、把持部材受け部材65が位置するように配設されている。各剥離部材79は金属の薄い帯状平板から同じ形状で同じ大きさに形成されている。図示しないが、各剥離部材79は連結部で一体に連結されて櫛歯状に形成されている。
【0055】
仮想円弧61fは、ゴムシート61cによって形成される外周面である転写面61gの外周面を凹部63の空間領域にも延長した円弧であり、すなわち転写面61gの円弧部の半径と同じ半径の円弧であり、凹部63における仮想上の円弧である。図4に示されるように、転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79は、仮想円弧61f内に位置するように凹部63に配設される。
【0056】
図6〜図10は、回転軸61aの軸方向から見た図で、転写ローラー61の回転に伴って、転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79の姿勢が変わる様子を説明する図である。図2の二次転写位置Bでのトナー像の転写材Sへの転写について、図6〜図10を参照し説明する。
【0057】
図2の駆動ローラー50の回転により像担持体ベルト40が回転開始すると、転写ローラー61も回転する。このとき、図6に示すように、転写材把持部材64の保持部64bは把持部材受け部材65に着座している。また、剥離部材79は退避位置に設定されている。この状態では、転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79は、仮想円弧61f内に位置する。
【0058】
像担持体ベルト40に担持されたトナー像が二次転写位置Bに接近するにつれて、各転写材把持部材64は把持部材受け部材65から離座開始する。
【0059】
図7に示すように、解放位置に設定された転写材把持部材64は、転写ローラー61の回転により転写材Sの供給位置に接近する。この時、転写材把持部材64の保持部64bの先端は、仮想円弧61fから突出する位置にあるが、像担持体ベルト40との当接位置に達していないため、保持部64bの先端が像担持体ベルト40と接触することはない。一方、転写材Sが転写ローラー61の方へ供給されるとともに、像担持体ベルト40に担持されたトナー像が二次転写位置Bの方へ接近してくる。
【0060】
転写材Sの先端部Saが転写材把持部材64と把持部材受け部材65との間に進入して転写材把持部材64の保持部64bと屈曲部64cの境界に当接する。すると、転写ローラー61の周速と転写材Sの移動速度との速度差により、転写材Sの先端が保持部64bと屈曲部64cの境界に当接して転写材把持部材64に対して位置決めされるとともに、転写材Sの先端部Saが撓む。
【0061】
続いて、転写材Sの一部は転写ローラー61の転写面61gに当接するとともにこの転写面61gに沿って湾曲する。各転写材把持部材64は把持部材受け部材65に接近開始する。そして、図8に示すように、各転写材把持部材64は転写材Sの先端部Saを把持部材受け部材65に押圧して保持した状態となる。この状態では、保持部64bは、転写面61gの仮想円弧61f内に位置するので、保持部64bが像担持体ベルト40と接触することはない。こうして、転写材Sが転写ローラー61に対して位置決めされるとともに、転写ローラー61の回転とともに確実に二次転写位置Bの方へ移動する。このとき、剥離部材79は退避位置に保持される。
【0062】
像担持体ベルト40のトナー像は転写ニップとなる二次転写位置Bで転写材Sに転写される。転写材把持部材64の保持部64b及び転写材Sの先端部Saが二次転写位置Bを通過すると、図9に示すように、転写材把持部材64が把持部材受け部材65から離れる方向に移動開始し、転写材Sの先端部Saが解放される。次いで、転写ローラー61の更なる回転で、剥離部材79が突き出し位置に設定される。この状態で、転写材把持部材64及び剥離部材79の先端は、転写面61gの仮想円弧61fから突出する位置にあるが、像担持体ベルト40との当接位置が過ぎた後なので、転写材把持部材64、把持部材受け部材65及び剥離部材79の先端が像担持体ベルト40に接触することはない。
【0063】
図10に示すように、ガイド部80における面81が、鉛直方向D7における転写ローラー61の上端部(二次転写位置B)より下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設される。
【0064】
転写材Sは、二次転写位置Bで像担持体ベルト40と転写ローラー61によって挟まれながら搬送方向D5に搬送され、転写材Sの先端部Saは、ガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に沿って、搬送方向D5に案内される。すなわち、像担持体ベルト40のトナー像が転写材Sに二次転写されながら、転写材Sの転写終了部分の剥離が行われる。
【0065】
こうして、転写材Sの先端部Saは、ガイド部80の面81における搬送方向D5へ誘導される。駆動ローラー50と転写ローラー61のニップ部で挟圧されている転写材Sは、駆動ローラー50および転写ローラー61の更なる回転により、定着ローラー90,91などを用いて転写材Sに形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送される。
【0066】
図12は、転写ローラー61とガイド部80の先端部と間隔をできる限り狭くしつつ、転写材把持部材64と剥離部材79との干渉を防止するガイド部80の実施形態を示す図である。図12に示すように、ガイド部80の転写ローラー61側の先端には、転写ローラー61の転写材把持部材64と剥離部材79の配置に応じた位置に、把持部材回避通路82aと剥離部材回避通路82bとが交互に櫛歯状に形成される。ガイド部80の先端に把持部材回避通路82aと剥離部材回避通路82bが櫛歯状に形成することにより、転写ローラー61とガイド部80の先端との間の間隔を狭めることができ、剥離部材79で剥離された転写材Sの転写ローラー61への巻き付きを防止することが可能となる。
【0067】
図6〜図10を参照し説明したように、転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79は、像担持体ベルト40と接触することが無いように凹部63内に備えられる。
【0068】
以上説明した本実施例における転写装置100aは、転写ローラー61に凹部63を設け、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79を凹部63に備える。
【0069】
この構成によれば、転写材Sの先端部Saをガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に案内することが確実にできる。
【0070】
また、第2ローラー30は、駆動ローラー50の鉛直方向D7の上方に配設される。駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜するようにして並ぶ。この構成によれば、画像形成装置1aにおける鉛直方向D7の長さおよび鉛直方向D7と直角方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0071】
(第3実施例)
第3実施例では、複数の画像形成部と現像装置が像担持体ベルトの回転周方向において直列に並ぶ画像形成装置について説明する。図11は、第3実施例における画像形成装置1bを構成する主要構成要素を示した図である。
【0072】
転写装置100bを構成する第1ローラーとしての駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の中心を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜しているように備えられる。像担持体ベルト40は、第2ローラー30と、駆動ローラー50に巻きかけられる。
【0073】
第2実施例の転写装置100aと同様に、本実施例における転写装置100bの転写ローラー61の凹部63には、転写材剥離部を構成する転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79が備えられる。転写ローラー61は、回転軸60を中心として回動され、支持部62に備えられたバネ66などの付勢手段によって、駆動ローラー50に押し当てられる。
【0074】
また、第1実施例、第2実施例と同様に、転写装置100bは、一次転写像を二次転写像として転写材Sに転写する転写ローラー61と、鉛直方向D7における上端部(二次転写位置B)より下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設され、二次転写位置Bを過ぎ、二次転写像が形成された転写材Sを搬送方向D5に案内するガイド部80を備える。
【0075】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kが、像担持体ベルト40の回転周方向D2に沿って、すなわち鉛直方向D7に対して傾斜した直線V2と平行の列に並んで備えられる。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、第2実施例での図2の画像形成部10aの構成と同じである。
【0076】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kの鉛直方向D7の下方には、現像装置20Y,20M,20C,20Kが、鉛直方向D7に対して傾斜した直線V2と平行の列に並んで備えられる。現像装置20Y,20M,20C,20Kは、第2実施例での図2の現像装置20aの構成と同じである。
【0077】
第1実施例で説明したように、画像形成部10Y,10M,10C,10Kによる画像形成及び現像装置20Y,20M,20C,20Kによる現像プロセスによって、それぞれの感光体11Y、11M、11C、11K上にイエロー(Y),マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が各々形成される。
【0078】
像担持体ベルト40は、像担持体当接部としての一次転写ローラー41Y,41M,41C,41Kと対向するイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)各色の一次転写位置AY,AM,AC,AKのニップ部を通過すると、各色の感光体11Y,11M,11C,11K上のトナー像が一次転写像として転写され、色重ねされて二次転写位置Bのニップ部に進入する。
【0079】
二次転写位置Bのニップ部では、像担持体ベルト40上の一次転写像が、方向D6から搬送される転写材Sに二次転写像として転写されてカラー画像が形成される。
【符号の説明】
【0080】
1,1a,1b…画像形成装置、11…感光体、30…第2ローラー、40…像担持体ベルト、50…駆動ローラー、61…転写ローラー、63…凹部、64…転写材把持部材、65…把持部材受け部材、79…剥離部材、80…ガイド部、81…面、100,100a,100b…転写装置、D5…搬送方向、D7…鉛直方向、H…仮想の水平面、S…転写材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
露光部によって像担持体に静電潜像を形成し、現像装置によってその静電潜像を現像して可視化し、さらに転写装置によってそのトナー像を紙等の転写材に転写する画像形成装置が提案されている。例えば、特許文献1では、像担持体上のトナー像を複数のローラーに張架した像担持体ベルトに転写し、像担持体ベルトに転写されたトナー像をさらに紙などの転写材に転写する転写装置を備えた画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−243129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような転写装置では、像担持体ベルトに形成されたトナー像が転写材に転写された後、転写材が像担持体ベルトから分離されることなく、像担持体ベルトに貼り付いたままの状態となってしまう場合がある。そのため、転写材を転写装置の後工程として備えられた装置、例えば、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]像を担持する像担持体ベルトと、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラーと、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーと、前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、を備えたことを特徴とする転写装置。
【0007】
この構成によれば、像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、第1ローラーの鉛直方向の下方の周面と当接して像を転写材に転写する転写ローラーを備える。これにより、像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながら搬送されると、像が転写された転写材の先端が、自重により鉛直方向に垂れ下がる。そのため、転写材が像担持体ベルトに貼りついてしまうことが抑制される。
【0008】
また、像担持体ベルトを介した第1ローラーと転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、像が転写された転写材をガイドするガイド部を備える。これにより、転写材が像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながらさらに搬送されると、転写材の先端がガイド部の鉛直方向に対して垂直方向の面に沿って進み、転写材が搬送方向に案内される。そのため、転写材を転写装置から、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【0009】
[適用例2]前記転写ローラーは、前記転写ローラーの周面に凹部を設け、前記凹部に前記転写材を前記像担持体ベルトから剥離する転写材剥離部を備えた上記転写装置。
【0010】
この構成によれば、転写材を像担持体ベルトから確実に剥離できる。
【0011】
[適用例3]前記第2ローラーは前記第1ローラーの前記鉛直方向の上方に配設される上記転写装置。
この構成によれば、転写装置における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0012】
[適用例4]前記第2ローラーの回転中心軸は前記第1ローラーの前記回転中心軸を通る前記仮想鉛直線上もしくは前記仮想鉛直線の近傍に配設される上記転写装置。
この構成によれば、転写装置における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0013】
[適用例5]潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体ベルト、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラー、及び前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーを有するベルトユニットと、前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、前記ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
この構成によれば、像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、第1ローラーの鉛直方向の下方の周面と当接して像を転写材に転写する転写ローラーを備える。これにより、像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながら搬送されると、像が転写された転写材の先端が、自重により鉛直方向に垂れ下がる。そのため、転写材が像担持体ベルトに貼りついてしまうことが抑制される。
【0015】
また、像担持体ベルトを介した第1ローラーと転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、像が転写された転写材をガイドするガイド部を備える。これにより、転写材が像担持体ベルトと転写ローラーに挟まれながらさらに搬送されると、転写材の先端がガイド部の鉛直方向に対して垂直方向の面に沿って進み、転写材が搬送方向に案内される。そのため、転写材を転写装置から、定着ローラーなどを用いて転写材に形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図2】第2実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図3】転写ローラーの外観斜視図。
【図4】軸方向から見た転写ローラーの断面図。
【図5】軸方向から見た転写ローラーの一部断面図。
【図6】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図7】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図8】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図9】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図10】転写材把持部材、把持部材受け部材、剥離部材の姿勢が変わる様子を説明する図。
【図11】第3実施例における画像形成装置の主要構成要素を示した図。
【図12】転写材把持部材と剥離部材との干渉を防止するガイド部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施例における画像形成装置1の主要構成要素を示した図である。画像形成装置1は、単色の画像を形成し、本実施例ではモノクロの画像を形成する。
【0018】
画像形成部10について説明する。像担持体としての感光体11の外周には、回転方向D1に沿って、コロナ帯電器14、露光部としての露光ユニット15、現像ローラー21、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17、感光体クリーニングブレード13が配置されている。
【0019】
コロナ帯電器14は、感光体11と現像ローラー21とが当接するニップ部より感光体11の回転方向D1の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体11を帯電させる。
【0020】
露光ユニット15は、露光ユニット15に入力された画像信号に基づいて、コロナ帯電器14によって帯電された感光体11上に光を照射し、感光体11上に像としての静電潜像を形成する。
【0021】
感光体11は、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムである。
【0022】
現像ローラー21は、液体現像剤を担持し、液体現像剤により感光体11上に形成された静電潜像が顕在化される。
【0023】
第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17は、感光体11に現像されたトナー像の余剰キャリアを回収する。第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17は、感光体11に当接して回転する弾性ローラー部材から成り、感光体11上に現像されたトナー像から余剰なキャリア及び不要なトナーを回収し、顕像(トナー像)内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17には、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0024】
第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17を経た感光体11の表面は、感光体11が回転方向D1に回転することによって、転写部材としての一次転写ローラー41と対向し、像担持体ベルト40と当接する一次転写位置Aに進入する。一次転写位置Aでは、一次転写ローラー41と感光体11によって挟まれた像担持体ベルト40が、一次転写ローラー41と感光体11に押し付けられながら回転し、一次転写ローラー41に印加される転写バイアスの作用によって、感光体11に現像されたトナー像が像担持体ベルト40に一次転写像として転写される。
【0025】
感光体クリーニングブレード13は、感光体11と当接し、感光体11上のキャリア成分が多い液体現像剤をクリーニングする。
【0026】
本実施例における画像形成部10は、感光体11、感光体クリーニングブレード13、コロナ帯電器14、露光ユニット15、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17を含んで構成される。
【0027】
現像装置20は、液体現像剤を担持する現像ローラー21、液体現像剤を現像ローラー21に塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー23と、現像ローラー21に塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード(不図示)と、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックスローラー23に供給するオーガ24、現像ローラー21に担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22、現像ローラー21のクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード26、ブラック(K)の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器25を備える。
【0028】
第1ローラーとしての駆動ローラー50の回転軸51は、画像形成装置1の筐体(不図示)に備えられた軸受け部(不図示)によって回転可能に支持される。駆動ローラー50は、モーター(不図示)によって駆動される。第2ローラー30の回転軸31は、画像形成装置1の筐体に備えられた軸受け部(不図示)によって回転可能に支持される。第2ローラー30と駆動ローラー50は、それぞれの回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V1が鉛直方向D7になるように、直列に並ぶ。
【0029】
像担持体ベルト40は、第2ローラー30と駆動ローラー50に巻きかけられる。像担持体ベルト40は、駆動ローラー50によって回転駆動される。
【0030】
転写ローラー61の回転軸61aは、回転軸60を有する支持部62によって支持される。転写ローラー61は、回転軸60を中心として回動され、支持部62に備えられたバネ66などの付勢手段によって、駆動ローラー50の鉛直方向D7における下端部に像担持体ベルト40を介して押し当てられる。
【0031】
一次転写位置Aは、像担持体ベルト40を挟んで感光体11と一次転写ローラー41とが対向配置され、感光体11と像担持体ベルト40とが当接する位置である。像担持体ベルト40は、エンドレスのベルトであり、一次転写位置Aで感光体11と当接しながら、駆動ローラー50により回転駆動される。一次転写位置Aでは、感光体11上に現像されたモノクロのトナー像が像担持体ベルト40上に転写されて、像担持体ベルト40上にモノクロのトナー像が形成される。
【0032】
二次転写位置Bは、像担持体ベルト40を挟んで転写ローラー61と駆動ローラー50とが対向する位置で、転写ローラー61と像担持体ベルト40とが当接するニップ部の位置である。像担持体ベルト40を介して、転写ローラー61と駆動ローラー50とが二次転写位置Bで当接しながら、回転方向D4、回転方向D3にそれぞれ回転し、二次転写位置Bにおいて、像担持体ベルト40上に形成されたモノクロのトナー像が、搬送方向D6から供給される紙、フィルム、布等の転写材Sに転写される。
【0033】
搬送方向D6における二次転写位置Bの下流に備えられた定着装置(不図示)は、例えば定着ローラー90,91などから構成され、転写材S上に転写されたモノクロのトナー像を転写材Sに融着させて定着させる。
【0034】
像担持体ベルト40の回転周方向D2における二次転写位置Bの下流側には、駆動ローラー50に対向する位置で、像担持体ベルト40に当接するクリーニング部としての像担持体ベルトクリーニングブレード52が備えられる。像担持体ベルトクリーニングブレード52は、筐体に固定された支持部53に支持される。像担持体ベルト40が回転周方向D2に回転すると、像担持体ベルトクリーニングブレード52によってクリーニングが実施され、像担持体ベルト40に残った液体現像剤が除去される。
【0035】
像担持体ベルト40は、ポリイミド基層上にポリウレタンの弾性中間層を設け、さらにその上にPFA表層が設けられている三層構造となっている。像担持体ベルト40は、ポリイミド基層側において駆動ローラー50、第2ローラー30で張架され、PFA表層側においてトナー像が転写されるようにして用いられる。
【0036】
感光体11は、像担持体ベルト40の回転周方向D2において、像担持体ベルトクリーニングブレード52より下流側で、第2ローラー30より上流側に備えられる。
【0037】
ガイド部80は、鉛直方向D7に対して垂直方向の面81を有する。面81は、鉛直方向D7における上端部すなわち二次転写位置Bより下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設される。これにより、転写ローラー61と像担持体ベルト40によって挟まれた転写材Sが、転写ローラー61の回転に伴って搬送されると、二次転写位置Bを通過した転写材Sの先端部Saは、ガイド部80に形成された面81によって搬送方向D5に案内される。
【0038】
以上説明した本実施例における図1の転写装置100は、像を担持する像担持体ベルト40と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第1ローラーとしての駆動ローラー50と、像担持体ベルト40を巻き掛ける第2ローラー30と、像担持体ベルト40と転写材Sを介して鉛直方向D7の上端部が、駆動ローラー50の鉛直方向D7の下方の周面と当接して像を転写材Sに転写する転写ローラー61と、像担持体ベルト40を介した駆動ローラー50と転写ローラー61との当接部よりも鉛直方向D7の下方で、転写ローラー61の回転中心軸を通る仮想鉛直線V1に垂直な回転中心軸を含む仮想水平面Hよりも上方に配設され、像が転写された転写材Sをガイドするガイド部80と、を備える。
【0039】
この構成によれば、像担持体ベルト40と転写ローラー61に挟まれながら搬送されることにより像が転写された転写材Sの先端が、自重により鉛直方向D7に垂れ下がる。そのため、転写材Sが像担持体ベルト40に貼りついてしまうことが抑制される。
【0040】
また、転写材Sが像担持体ベルト40と転写ローラー61に挟まれながらさらに搬送されると、転写材Sの先端がガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に沿って進み、転写材Sが搬送方向D5に案内される。そのため、転写材Sを転写装置100から、定着ローラー90,91などを用いて転写材Sに形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送させることができる。
【0041】
また、第2ローラー30の回転軸31の回転中心軸は、駆動ローラー50の回転軸51の回転中心軸を通る仮想線V1上もしくは仮想線V1の近傍に配設される。この構成によれば、画像形成装置1における水平方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0042】
(第2実施例)
第2実施例では、転写ローラー61に形成された凹部63内に、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部を備えた画像形成装置について説明する。
【0043】
図2は、第2実施例における画像形成装置1aの主要構成要素を示した図である。第2実施例における転写ローラー61には、凹部63が形成される。凹部63内には、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79が備えられる。
【0044】
本実施例の転写装置100aの第1ローラーとしての駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜するように備えられる。第2ローラー30、駆動ローラー50には、像担持体ベルト40が巻きかけられる。
【0045】
画像形成部10aにおけるコロナ帯電器14、露光部としての露光ユニット15、現像ローラー21、第1感光体スクイーズローラー16、第2感光体スクイーズローラー17、感光体クリーニングブレード13は、第1実施例の図1の画像形成部10におけるそれぞれの構成と同じであるが、感光体11の外周における配置が異なる。
【0046】
現像装置20aにおける現像ローラー21、アニロックスローラー23、現像ローラー21に塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード(不図示)、オーガ24、コンパクションコロナ発生器22、現像ローラークリーニングブレード26、現像剤容器25は、第1実施例の図1の現像装置20におけるそれぞれの構成と同じであるが、感光体11の外周における配置が異なる。
【0047】
図3は、転写ローラー61の外観斜視図であり、図4は、回転軸61aの軸方向から見た転写ローラー61の断面図であり、図5は、回転軸61aの軸方向から見た転写ローラー61の一部断面図である。
【0048】
転写ローラー61は、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79を収容する空間である凹部63を有している。図3の凹部63は、転写ローラー61の軸方向に延設されている。転写ローラー61は、導電性の基材61bの円弧部の外周面に巻きかけられた弾性部材としてのゴムシート61cを有している。
【0049】
転写面61gは、基材61bの円弧部にゴムシート61cが巻きかけられたことによって円弧部が形成された転写ローラー61の外周面を示す。ゴムシート61cの転写面61gは、像担持体ベルト40に当接する。
【0050】
ゴムシート61cにより転写ローラー61の円弧部の外周面に抵抗層が形成されている。ゴムシート61cは、基材層、弾性層及び表層の三層構造を有する。基材層は、厚さ約80〜90μmであり、例えば、ポリイミド樹脂を用いて形成されている。弾性層は、厚さ約0.5〜5mmであり、例えば、ウレタンゴムを用いて形成されている。また、表層は、厚さ約5〜25μmであり、例えば、フッ素ゴムを用いて形成されている。ゴムシート61cの体積抵抗率は1×106〜1×1011Ωとする。
【0051】
図4に示されるように、ゴムシート61cは、両端部61d,61eが基材61bに形成された凹部63内の壁面61b1,61b2に固定され、他の部分は巻きかけられているだけで、基材61bに接着や固定されていない。例えば、ゴムシート61cの両端部61d,61e上にプレート61h,61jを回転軸61aの方向に延設し、ビス61kやネジ等で基材61bに留めるとよい。また、プレート61h,61jには、それぞれ凸部61h1,61j1が形成され、凸部61h1,61j1がゴムシート61cにめり込むことにより、プレート61h,61jは、強固に固定される。なお、ゴムシート61cの両端部61d,61eの凹部63への固定は、これに限らず、他の方法を用いてもよい。
【0052】
図5に示すように、凹部63内には、転写材把持部材64および転写材把持部材64が着座する把持部材受け部材65が配設されている。転写材把持部材64は、転写ローラー61の軸方向に沿って配設され、任意の個数設けることができる。各転写材把持部材64は金属の薄い帯状板から同じ形状又は同じ大きさに形成される。各転写材把持部材64は同じ形状及び同じ大きさに形成されてもよい。
【0053】
一例として、転写材把持部材64はクランク状に折り曲げられて形成される。転写材把持部材64の一端部は固定端部64aであり、また、転写材把持部材64の他端部は、把持部材受け部材65に着離座する保持部64bである。この保持部64bは把持部材受け部材65との間に転写材Sの先端部Saを挟圧して保持する。更に、転写材把持部材64は、固定端部64aと保持部64bとの間に形成された屈曲部64cを有する。
【0054】
図3に示すように、把持部材受け部材65は転写ローラー61の軸方向に沿って、転写材把持部材64に対応した個数配設されている。また、凹部63内には、剥離部材79が配設されている。図3に示すように、剥離部材79は、転写ローラー61の軸方向に沿って配設されている。剥離部材79は、任意の個数設けることができる。また、隣接する剥離部材79間に、把持部材受け部材65が位置するように配設されている。各剥離部材79は金属の薄い帯状平板から同じ形状で同じ大きさに形成されている。図示しないが、各剥離部材79は連結部で一体に連結されて櫛歯状に形成されている。
【0055】
仮想円弧61fは、ゴムシート61cによって形成される外周面である転写面61gの外周面を凹部63の空間領域にも延長した円弧であり、すなわち転写面61gの円弧部の半径と同じ半径の円弧であり、凹部63における仮想上の円弧である。図4に示されるように、転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79は、仮想円弧61f内に位置するように凹部63に配設される。
【0056】
図6〜図10は、回転軸61aの軸方向から見た図で、転写ローラー61の回転に伴って、転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79の姿勢が変わる様子を説明する図である。図2の二次転写位置Bでのトナー像の転写材Sへの転写について、図6〜図10を参照し説明する。
【0057】
図2の駆動ローラー50の回転により像担持体ベルト40が回転開始すると、転写ローラー61も回転する。このとき、図6に示すように、転写材把持部材64の保持部64bは把持部材受け部材65に着座している。また、剥離部材79は退避位置に設定されている。この状態では、転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79は、仮想円弧61f内に位置する。
【0058】
像担持体ベルト40に担持されたトナー像が二次転写位置Bに接近するにつれて、各転写材把持部材64は把持部材受け部材65から離座開始する。
【0059】
図7に示すように、解放位置に設定された転写材把持部材64は、転写ローラー61の回転により転写材Sの供給位置に接近する。この時、転写材把持部材64の保持部64bの先端は、仮想円弧61fから突出する位置にあるが、像担持体ベルト40との当接位置に達していないため、保持部64bの先端が像担持体ベルト40と接触することはない。一方、転写材Sが転写ローラー61の方へ供給されるとともに、像担持体ベルト40に担持されたトナー像が二次転写位置Bの方へ接近してくる。
【0060】
転写材Sの先端部Saが転写材把持部材64と把持部材受け部材65との間に進入して転写材把持部材64の保持部64bと屈曲部64cの境界に当接する。すると、転写ローラー61の周速と転写材Sの移動速度との速度差により、転写材Sの先端が保持部64bと屈曲部64cの境界に当接して転写材把持部材64に対して位置決めされるとともに、転写材Sの先端部Saが撓む。
【0061】
続いて、転写材Sの一部は転写ローラー61の転写面61gに当接するとともにこの転写面61gに沿って湾曲する。各転写材把持部材64は把持部材受け部材65に接近開始する。そして、図8に示すように、各転写材把持部材64は転写材Sの先端部Saを把持部材受け部材65に押圧して保持した状態となる。この状態では、保持部64bは、転写面61gの仮想円弧61f内に位置するので、保持部64bが像担持体ベルト40と接触することはない。こうして、転写材Sが転写ローラー61に対して位置決めされるとともに、転写ローラー61の回転とともに確実に二次転写位置Bの方へ移動する。このとき、剥離部材79は退避位置に保持される。
【0062】
像担持体ベルト40のトナー像は転写ニップとなる二次転写位置Bで転写材Sに転写される。転写材把持部材64の保持部64b及び転写材Sの先端部Saが二次転写位置Bを通過すると、図9に示すように、転写材把持部材64が把持部材受け部材65から離れる方向に移動開始し、転写材Sの先端部Saが解放される。次いで、転写ローラー61の更なる回転で、剥離部材79が突き出し位置に設定される。この状態で、転写材把持部材64及び剥離部材79の先端は、転写面61gの仮想円弧61fから突出する位置にあるが、像担持体ベルト40との当接位置が過ぎた後なので、転写材把持部材64、把持部材受け部材65及び剥離部材79の先端が像担持体ベルト40に接触することはない。
【0063】
図10に示すように、ガイド部80における面81が、鉛直方向D7における転写ローラー61の上端部(二次転写位置B)より下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設される。
【0064】
転写材Sは、二次転写位置Bで像担持体ベルト40と転写ローラー61によって挟まれながら搬送方向D5に搬送され、転写材Sの先端部Saは、ガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に沿って、搬送方向D5に案内される。すなわち、像担持体ベルト40のトナー像が転写材Sに二次転写されながら、転写材Sの転写終了部分の剥離が行われる。
【0065】
こうして、転写材Sの先端部Saは、ガイド部80の面81における搬送方向D5へ誘導される。駆動ローラー50と転写ローラー61のニップ部で挟圧されている転写材Sは、駆動ローラー50および転写ローラー61の更なる回転により、定着ローラー90,91などを用いて転写材Sに形成されたトナー像を融着させるための定着装置側に搬送される。
【0066】
図12は、転写ローラー61とガイド部80の先端部と間隔をできる限り狭くしつつ、転写材把持部材64と剥離部材79との干渉を防止するガイド部80の実施形態を示す図である。図12に示すように、ガイド部80の転写ローラー61側の先端には、転写ローラー61の転写材把持部材64と剥離部材79の配置に応じた位置に、把持部材回避通路82aと剥離部材回避通路82bとが交互に櫛歯状に形成される。ガイド部80の先端に把持部材回避通路82aと剥離部材回避通路82bが櫛歯状に形成することにより、転写ローラー61とガイド部80の先端との間の間隔を狭めることができ、剥離部材79で剥離された転写材Sの転写ローラー61への巻き付きを防止することが可能となる。
【0067】
図6〜図10を参照し説明したように、転写材把持部材64、把持部材受け部材65および剥離部材79は、像担持体ベルト40と接触することが無いように凹部63内に備えられる。
【0068】
以上説明した本実施例における転写装置100aは、転写ローラー61に凹部63を設け、転写材Sを像担持体ベルト40から剥離する転写材剥離部としての転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79を凹部63に備える。
【0069】
この構成によれば、転写材Sの先端部Saをガイド部80の鉛直方向D7に対して垂直方向の面81に案内することが確実にできる。
【0070】
また、第2ローラー30は、駆動ローラー50の鉛直方向D7の上方に配設される。駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の回転中心軸を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜するようにして並ぶ。この構成によれば、画像形成装置1aにおける鉛直方向D7の長さおよび鉛直方向D7と直角方向の長さが長くなることを抑制できる。
【0071】
(第3実施例)
第3実施例では、複数の画像形成部と現像装置が像担持体ベルトの回転周方向において直列に並ぶ画像形成装置について説明する。図11は、第3実施例における画像形成装置1bを構成する主要構成要素を示した図である。
【0072】
転写装置100bを構成する第1ローラーとしての駆動ローラー50、第2ローラー30は、回転軸31,51の中心を結ぶ直線V2が鉛直方向D7に対して傾斜しているように備えられる。像担持体ベルト40は、第2ローラー30と、駆動ローラー50に巻きかけられる。
【0073】
第2実施例の転写装置100aと同様に、本実施例における転写装置100bの転写ローラー61の凹部63には、転写材剥離部を構成する転写材把持部材64、把持部材受け部材65、剥離部材79が備えられる。転写ローラー61は、回転軸60を中心として回動され、支持部62に備えられたバネ66などの付勢手段によって、駆動ローラー50に押し当てられる。
【0074】
また、第1実施例、第2実施例と同様に、転写装置100bは、一次転写像を二次転写像として転写材Sに転写する転写ローラー61と、鉛直方向D7における上端部(二次転写位置B)より下側で、鉛直方向D7に対して垂直で転写ローラー61の回転中心を通る仮想水平面Hよりも上側の位置に配設され、二次転写位置Bを過ぎ、二次転写像が形成された転写材Sを搬送方向D5に案内するガイド部80を備える。
【0075】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kが、像担持体ベルト40の回転周方向D2に沿って、すなわち鉛直方向D7に対して傾斜した直線V2と平行の列に並んで備えられる。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、第2実施例での図2の画像形成部10aの構成と同じである。
【0076】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kの鉛直方向D7の下方には、現像装置20Y,20M,20C,20Kが、鉛直方向D7に対して傾斜した直線V2と平行の列に並んで備えられる。現像装置20Y,20M,20C,20Kは、第2実施例での図2の現像装置20aの構成と同じである。
【0077】
第1実施例で説明したように、画像形成部10Y,10M,10C,10Kによる画像形成及び現像装置20Y,20M,20C,20Kによる現像プロセスによって、それぞれの感光体11Y、11M、11C、11K上にイエロー(Y),マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が各々形成される。
【0078】
像担持体ベルト40は、像担持体当接部としての一次転写ローラー41Y,41M,41C,41Kと対向するイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)各色の一次転写位置AY,AM,AC,AKのニップ部を通過すると、各色の感光体11Y,11M,11C,11K上のトナー像が一次転写像として転写され、色重ねされて二次転写位置Bのニップ部に進入する。
【0079】
二次転写位置Bのニップ部では、像担持体ベルト40上の一次転写像が、方向D6から搬送される転写材Sに二次転写像として転写されてカラー画像が形成される。
【符号の説明】
【0080】
1,1a,1b…画像形成装置、11…感光体、30…第2ローラー、40…像担持体ベルト、50…駆動ローラー、61…転写ローラー、63…凹部、64…転写材把持部材、65…把持部材受け部材、79…剥離部材、80…ガイド部、81…面、100,100a,100b…転写装置、D5…搬送方向、D7…鉛直方向、H…仮想の水平面、S…転写材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体ベルトと、
前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラーと、
前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーと、
前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、
を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記転写ローラーは、前記転写ローラーの周面に凹部を設け、前記凹部に前記転写材を前記像担持体ベルトから剥離する転写材剥離部を備えた請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記第2ローラーは前記第1ローラーの前記鉛直方向の上方に配設される請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記第2ローラーの回転中心軸は前記第1ローラーの前記回転中心軸を通る前記仮想鉛直線上もしくは前記仮想鉛直線の近傍に配設される請求項3に記載の転写装置。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体ベルト、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラー、及び前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーを有するベルトユニットと、
前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、
前記ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像を担持する像担持体ベルトと、
前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラーと、
前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーと、
前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、
を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記転写ローラーは、前記転写ローラーの周面に凹部を設け、前記凹部に前記転写材を前記像担持体ベルトから剥離する転写材剥離部を備えた請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記第2ローラーは前記第1ローラーの前記鉛直方向の上方に配設される請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記第2ローラーの回転中心軸は前記第1ローラーの前記回転中心軸を通る前記仮想鉛直線上もしくは前記仮想鉛直線の近傍に配設される請求項3に記載の転写装置。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記潜像担持体に現像された像が転写される像担持体ベルト、前記像担持体ベルトを巻き掛ける第1ローラー、及び前記像担持体ベルトを巻き掛ける第2ローラーを有するベルトユニットと、
前記像担持体ベルトと転写材を介して鉛直方向の上端部が、前記第1ローラーの前記鉛直方向の下方の周面と当接して前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
前記像担持体ベルトを介した前記第1ローラーと前記転写ローラーとの当接部よりも鉛直方向の下方で、前記転写ローラーの回転中心軸を通る仮想鉛直線に垂直な前記回転中心軸を含む仮想水平面よりも上方に配設され、前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド部と、
前記ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−22185(P2011−22185A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164536(P2009−164536)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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