説明

転写装置および画像形成装置

【課題】キャリアー液の塗布により像担持体ローラーのクリーニングを良好に行いつつ、キャリアー液による内部の汚染を抑制する。
【解決手段】転写ローラー9の回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面よりも鉛直方向の下方で像を転写材12に転写する二次転写部10と、二次転写部10よりも鉛直方向の上方で転写ローラー9にキャリアー液を塗布するとともに、転写ローラー9の回転が停止した時に転写9と当接して停止するキャリアー液塗布ローラー14dと、キャリアー液塗布ローラー14dの当接位置よりも鉛直方向の上方で、鉛直方向の上方から下方に移動する周面が転写ローラー9と当接して転写ローラー9をクリーニングする転写ローラークリーニングローラー15bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて形成されたトナー像を転写紙等の転写材に転写する転写ローラーを有する転写装置およびこれを備える画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて形成されたトナー像を転写紙等の転写材に転写する転写ローラーと、トナー像を転写材に転写した後の転写ローラーにキャリアー液を塗布するキャリアー液塗布部と、キャリアー液塗布部でキャリアー液が塗布された転写ローラーをクリーニングする転写ローラークリーニング部とを有する転写装置およびこれを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の転写装置では、転写ローラークリーニング部により転写ローラーがクリーニングされる前にキャリアー液塗布部でキャリアー液が転写ローラーに塗布される。これにより、転写後に転写ローラーに残留する残留トナーが、塗布されたキャリアー液により軟化することで除去されやすくなる。したがって、除去されやすくなった残留トナーは、転写ローラークリーニング部の転写ローラークリーニングローラーで除去された後転写ローラークリーニングブレードで回収される。この特許文献1に記載の転写装置では、転写ローラーおよびトナー像の転写材への転写部が感光体ドラムより鉛直方向の上方に配設される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−122252号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置においては、レイアウトと等の関係から感光体が転写ローラーの鉛直方向の上方に配設されるとともに、トナー像の転写材への転写部が転写ローラーの鉛直方向の下方方に配設される下部転写構造の画像形成装置が求められる場合がある。
【0006】
そこで、このような下部転写構造の画像形成装置に特許文献1に記載の転写装置を適用することが考えられる。しかしながら、下部転写構造の画像形成装置に特許文献1に記載の転写装置を単に適用すると、次の課題が生じる。
【0007】
すなわち、転写ローラークリーニング部において転写ローラークリーニングブレードが転写ローラークリーニングローラーの上方に位置するようになる。一方、下部転写構造の画像形成装置においては、転写ローラーと転写ローラークリーニングローラーとのニップ(当接部)の上下にキャリアー液が溜まるというニップ溜まりが生じやすい。このようにニップ溜まりが生じると、画像形成動作の終了で転写ローラーおよび転写ローラークリーニングローラーの各回転が停止したとき、ニップ溜まりのキャリアー液が残留トナーとともに転写ローラーの周面を伝わって鉛直下方に垂れる。
【0008】
しかし、前述のように転写ローラークリーニングブレードが転写ローラークリーニングローラーの上方に位置するため、垂れ落ちるキャリアー液および残留トナーを転写ローラークリーニングブレードでせき止めることができない。このため、垂れ落ちたキャリアー液および残留トナーにより、転写ローラーの鉛直方向の下方に位置する転写部が汚染され
るという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャリアー液の塗布により転写ローラーのクリーニングを良好に行いつつ、キャリアー液および残留トナーによる転写部の汚染を抑制することのできる転写装置およびこれを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写装置および画像形成装置では、転写部が液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーの回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面よりも鉛直方向の下方で像担持体ローラーと当接して像を転写材に転写する。また、キャリアー液塗布ローラーが転写部よりも鉛直方向の上方で像担持体ローラーと当接して像担持体ローラーにキャリアー液を塗布するとともに、像担持体ローラーの回転が停止した時には像担持体ローラーと当接した状態で停止する。更に、クリーニングローラーが像担持体ローラーの回転方向と同方向に回転するとともに、クリーニングローラーの周面がキャリアー液塗布ローラーの像担持体ローラーへの当接位置よりも鉛直方向の上方で像担持体ローラーと当接しかつ鉛直方向の上方から下方に移動して像担持体ローラーをクリーニングする。したがって、像担持体ローラーとクリーニングローラーとのニップから垂れ落ちるキャリアー液、および、像担持体ローラーおよびクリーニングローラー間のニップと像担持体ローラーおよびキャリアー液塗布ローラー間のニップとの間の像担持体ローラーに付着する微量のキャリアー液を、クリーニングローラーより鉛直下方に位置するキャリアー液塗布ローラーによりせき止めて回収することが可能となる。これにより、キャリアー液が垂れ落ちることによる像担持体ローラーより鉛直方向の下方に位置する転写部の汚染を効果的に抑制することができる。こうして、キャリアー液を転写後の像担持体ローラーに塗布することで像担持体ローラーのクリーニングを良好に行うことができるとともに、キャリアー液による装置内部の汚染を抑制すること可能となる。
【0011】
また、制御部が、画像形成動作終了時にキャリアー液塗布部のキャリアー液塗布ローラーがキャリアー液を、液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーに塗布することを停止させる。これにより、キャリアー液塗布ローラーによりキャリアー液が像担持体ローラーの外周面に塗布されない。そして、制御部がキャリアー液塗布ローラーの回転停止から所定時間経過した後にクリーニングローラーの回転を停止させる。したがって、キャリアー液が像担持体ローラーの外周面に塗布されないことから、像担持体ローラーとクリーニングローラーとのニップにおけるキャリアー液のニップ溜まりの発生を抑制することが可能となる。これにより、像担持体ローラーとクリーニングローラーとのニップに溜まるキャリアー液が垂れ落ちることによる転写部の汚染をさらに効果的に抑制することができる。
【0012】
更に、制御部が、キャリアー液供給部材によるキャリアー液塗布ローラーへのキャリアー液の供給を停止させた後に、像担持体ローラーの回転を停止させる。これにより、像担持体ローラーとクリーニングローラーとのニップに生じるキャリアー液のニップ溜まりの発生を抑制することができる。
【0013】
更に、キャリアー液塗布ローラーの軸方向の幅が像担持体ローラークリーニングローラーの軸方向の幅より短くされる。これにより、キャリアー液塗布ローラーにより像担持体ローラーに塗布されたキャリアー液を像担持体ローラークリーニングローラーにより確実に回収することが可能となる。
【0014】
更に、キャリアー液として、画像形成に用いられる液体現像剤のキャリアー液が用いられることで、特別のキャリアー液を用いる必要をなくすことが可能となる。これにより、
転写後の像担持体ローラーに付着する残留トナーの除去にかかるコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる転写装置の実施の形態の第1例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】第1例の転写ローラーのブランケットシート、キャリアー液塗布ローラー、および転写ローラークリーニングローラーの各幅の関係を説明する図である。
【図3】第1例のキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図である。
【図4】図3における各制御のタイミングチャートを示す図である。
【図5】本発明にかかる転写装置の実施の形態の第2例におけるキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図である。
【図6】第2例におけるこれらの制御のタイミングチャートを示す図である。
【図7】本発明にかかる転写装置の実施の形態の第3例におけるキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図である。
【図8】第3例におけるこれらの制御のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の第1例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。以下の説明において、各回転方向および各移動方向は、各図に矢印で示された方向である。
【0017】
図1に示すように、この第1例の画像形成装置1は、静電潜像を担持する潜像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は図示しない駆動源により駆動されて反時計回りに回転する。感光体2の周囲には、それぞれ、帯電部3が配設されている。更に、帯電部3から、感光体2の回転方向に向かって、順に、露光部4、現像部5、感光体スクイーズ部6、一次転写部7、および感光体クリーニング部8が配設されている。なお、図1に図示されないが、一次転写部7と感光体クリーニング部8との間には、感光体2を除電する除電部が配設される。
【0018】
帯電部3はスコロトロンまたはコロトロン等の帯電部材で、感光体2の表面を一様に帯電する。また、露光部4はレーザー光等の潜像形成部材で、感光体2の一様帯電された表面に、静電潜像を形成する。
【0019】
現像部5は現像ローラー5aを有する。この現像ローラー5aには、現像部5に配設された図示しない液体現像剤貯留部に貯留されたトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤が供給される。そして、現像ローラー5aと感光体2とで形成される現像ニップ5bにおいて、現像ローラー5aは供給された液体現像剤のトナーで感光体2に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光体2にトナー像が形成される。
【0020】
更に、感光体スクイーズ部6は、第1の感光体スクイーズ部6aと、第2の感光体スクイーズ部6bと、感光体スクイーズ貯留部6cとを有する。第1の感光体スクイーズ部6aは、第1の感光体スクイーズローラー6dを有する。この第1の感光体スクイーズローラー6dは現像ニップ5bより感光体2の回転方向側の所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第1の感光体スクイーズローラー6dは感光体2をスクイーズして現像部5から現像された液体現像剤のキャリアー液および非画像部のトナー等を除去する。第2の感光体スクイーズ部6bは、第2の感光体スクイーズローラー6eを有する。この第2の感光体スクイーズローラー6eは第1の感光体スクイーズローラー6
dから感光体2の回転方向側の所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第2の感光体スクイーズローラー6eは第1の感光体スクイーズローラー6dでスクイーズされた感光体2をスクイーズして液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。感光体スクイーズ貯留部6cは、第1および第2の感光体スクイーズローラー6d,
6eにより除去された液体現像剤を貯留する。
【0021】
一次転写部7には、本発明の像担持体ローラーである時計回りに回転軸で回転する転写ローラー9が配設される。転写ローラー9は、円柱状の基材9aと、一定厚みまたは略一定厚みの弾性部材であるブランケットシート9bとを有する。ブランケットシート9bは基材9aの外周面に密着して巻き付けられて貼着される。
【0022】
一次転写部7では、転写ローラー9はその回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の上方で感光体2と当接する。その場合、一次転写部7では、感光体2と転写ローラー9が互いに圧接されており、これにより一次転写ニップ7aが形成される。そして、一次転写ニップ7aにより、感光体2に転写されたトナー像が転写ローラー9に転写される。
【0023】
一次転写部7より転写ローラー9の回転方向に向かって所定の位置に二次転写部10が配設される。この二次転写部10は転写ローラー9と二次転写ローラー11を有する。二次転写部10では、転写ローラー9はその回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の下方で二次転写ローラー11と当接する。その場合、二次転写部10では、転写ローラー9と二次転写ローラー11は互いに圧接されており、これにより二次転写ニップ10aが形成される。そして、二次転写ニップ10aにより、転写ローラー9に転写されたトナー像が転写紙等の転写材12に転写される。トナー像が転写された転写材12は搬送ベルト等の転写材搬送部13によって、図示しないが液体現像剤を用いた従来の画像形成装置と同様に定着部に搬送される。そして、転写材12に転写されたトナー像が定着部で定着される。これにより、画像が転写材12に形成される。
【0024】
転写ローラー9の周囲には、キャリアー液塗布部であるキャリアー液塗布部14と、転写ローラークリーニング部15とが配設される。キャリアー液塗布部14は、二次転写ニップ10aより転写ローラー9の回転方向側に配設される。このキャリアー液塗布部14は、塗布部本体フレーム14a、キャリアー液貯留部14b、キャリアー液供給ローラーであるキャリアー液供給ローラー14c、およびキャリアー液塗布ローラー14dを有する。塗布部本体フレーム14aは画像形成装置1の装置本体に固定された支持フレーム16に回動軸14eにより回転するように設けられる。
【0025】
キャリアー液貯留部14bは塗布部本体フレーム14aに少なくともキャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向真下位置にするようにして設けられて、転写ローラー9に塗布するキャリアー液を貯留する。その場合、転写ローラー9に塗布するキャリアー液は、装置本体に設けられた図示しないキャリアー液貯蔵部から適量ずつキャリアー液貯留部14bに供給される。または、転写ローラー9に塗布するキャリアー液は、感光体スクイーズ貯留部6cにスクイーズされて回収されたキャリアー液や後述する転写ローラークリーニングローラー15bでクリーニングされて回収されたキャリアー液を再使用することもできる。これらの回収されたキャリアー液を再使用するときは、トナーをフィルタでろ過することによって除去する機構を、液体現像回収部とキャリアー液貯留部14bの間に設けてもよい。これらの回収キャリアー液を用いることで、新品のキャリアー液の使用が抑制されるとともに廃棄されるキャリアー液の量が抑制される。キャリアー液供給ローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー14dは塗布部本体フレーム14aに、互いにトレイル回転回転するように設けられる。その場合、キャリアー液塗布ローラー14dは転写ローラー9の回転に対してトレイル回転する。すなわち、キャリアー液塗布ローラー1
4dは転写ローラー9の周面の移動方向と同方向に回転する。これらのキャリアー液供給ローラー14cの幅およびキャリアー液塗布ローラー14dの幅は互いに同じ幅にされている。
【0026】
スプリング14fの付勢力で塗布部本体フレーム14aが回動軸14eを中心に図1において反時計回りに回動するように付勢されることで、キャリアー液塗布ローラー14dが、二次転写部10よりも鉛直方向の上方で転写ローラー9の外周面に当接される。また、塗布部本体フレーム14aを回動させる図示しない電気駆動の塗布部本体フレーム駆動部により、塗布部本体フレーム14aがスプリング14fの付勢力に抗して回動軸14eを中心に図1において時計回りに回動されることで、キャリアー液塗布ローラー14dが転写ローラー9の外周面から離間する。そして、キャリアー液供給ローラー14cは回転することでキャリアー液貯留部14b内に貯留されたキャリアー液を汲み上げてキャリアー液塗布ローラー14dに供給する。また、キャリアー液塗布ローラー14dは転写ローラー9の外周面に当接した状態で回転することにより、キャリアー液供給ローラー14cから供給されたキャリアー液であるキャリアー液を転写ローラー9の外周面に塗布する。
なお、二次転写ローラー11と転写材搬送部13は、キャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向下方に配設される。
【0027】
転写ローラークリーニング部15は、キャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9との当接位置より転写ローラー9の回転方向側で、かつ一次転写ニップ7aより転写ローラー9の回転方向側と逆方向側に配設される。この転写ローラークリーニング部15は、クリーニング部本体フレーム15a、転写ローラークリーニングローラー15b、転写ローラークリーニングブレード15c、および転写ローラー9の液体現像剤回収部15dを有する。クリーニング部本体フレーム15aは支持フレーム16に回動軸15eにより回動するように設けられる。転写ローラークリーニングローラー15bはクリーニング部本体フレーム15aに回転するように設けられる。その場合、転写ローラークリーニングローラー15bは、キャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向上方に位置されている。また、転写ローラークリーニングローラー15bは図示しない転写ローラークリーニングローラー駆動部(例えば電動モーター)により、キャリアー液塗布ローラー14dと独立して回転される。
【0028】
クリーニング部本体フレーム15aはスプリング15fの付勢力で回動軸15eを中心に図1において時計回りに回動するように付勢される。これにより、転写ローラークリーニングローラー15bが転写ローラー9の外周面に当接される。そして、転写ローラークリーニングローラー15bは転写ローラー9の外周面に当接された状態で、転写ローラー9の回転に対してカウンタ回転する。すなわち、転写ローラークリーニングローラー15bは転写ローラー9の回転と同方向に回転し、キャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9の当接位置よりも鉛直方向の上方で、周面が鉛直方向の下方から上方に移動する転写ローラー9と当接する。
【0029】
また、クリーニング部本体フレーム15aを回動させる図示しないクリーニング部本体フレーム駆動部により、クリーニング部本体フレーム15aがスプリング15fの付勢力に抗して回動軸15eを中心に図1において反時計回りに回動することで、転写ローラークリーニングローラー15bが転写ローラー9の外周面から離間する。その場合、転写ローラークリーニングローラー15bはキャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向の上方となるように配設される。具体的には、転写ローラークリーニングローラー15bの転写ローラー9との当接位置がキャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向の上方となるように配設される。
【0030】
そして、転写ローラークリーニングローラー15bはバイアスが印加されて、二次転写
終了後にキャリアー液塗布部14でキャリアー液が塗布された転写ローラー9をカウンタ回転でクリーニングする。すなわち、転写ローラークリーニングローラー15bの周面がキャリアー液塗布ローラー14dの転写ローラー9への当接位置よりも鉛直方向の上方で転写ローラー9と当接しかつ鉛直方向の上方から下方に移動して転写ローラー9をクリーニングする。これにより、転写ローラークリーニングローラー15bは転写ローラー9に残留する液体現像剤を除去する。転写ローラークリーニングブレード15cは転写ローラークリーニングローラー15bに当接されてクリーニング部本体フレーム15aに設けられる。この転写ローラークリーニングブレード15cは転写ローラークリーニングローラー15bをクリーニングして転写ローラークリーニングローラー15bに付着する液体現像剤を除去する。液体現像剤回収部15dはクリーニング部本体フレーム15aに設けられて、転写ローラークリーニングローラー15bから除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0031】
塗布部本体フレーム14aの回動軸14eおよびクリーニング部本体フレーム15aの回動軸15eは、ともに鉛直方向でキャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラークリーニングローラー15bとの中間位置に配設される。これにより、転写ローラークリーニングローラー15bは、キャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9との当接位置より鉛直方向の上方で転写ローラー9に当接される。また、キャリアー液塗布部14および転写ローラークリーニング部15は、それぞれ専用の回動軸14e,15eで支持され
るため単独で交換可能とされる。
【0032】
この例の画像形成装置1では、ブランケットシート9b、キャリアー液供給ローラー14c、キャリアー液塗布ローラー14d、および転写ローラークリーニングローラー15bの各軸方向の幅は次の関係に決められている。すなわち、図2に示すように、ブランケットシート9bの軸方向の幅WBが最も短い。また、キャリアー液供給ローラー14cお
よびキャリアー液塗布ローラー14dの軸方向の幅WCAは互いに同じ長さであるがブランケットシート9bの幅WBより長い。更に、転写ローラークリーニングローラー15bの
軸方向の幅WCLはキャリアー液供給ローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー14dの幅WCAより長い(すなわち、WB<WCA<WCL)。
【0033】
感光体クリーニング部8は感光体2をクリーニングする。すなわち、感光体クリーニング部8は、一次転写後に感光体2に残留する液体現像剤を感光体クリーニングブレード8aで除去する。そして、除去された液体現像剤は液体現像剤回収部8bに貯留される。
【0034】
次に、この例の画像形成装置1における、キャリアー液塗布ローラー14dによる転写ローラー9へのキャリアー液の塗布の制御および転写ローラークリーニングローラー15bによる転写ローラー9のクリーニングの制御について説明する。
図3はこれらのキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図、図4はこれらの制御のタイミングチャートを示す図である。
【0035】
図3に示すように、画像形成装置1は、転写ローラー回転位置検出部17、転写ローラー駆動部18、キャリアー液塗布部14に配設されたキャリアー液塗布ローラー駆動部19(本発明のキャリアー液塗布ローラー駆動部,転写ローラークリーニング部15に配設された転写ローラークリーニングローラー駆動部20、転写ローラークリーニング部15に配設された転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部21、および制御部22を有する。
【0036】
転写ローラー回転位置検出部17は制御部22に電気的に接続され、転写ローラー9の回転位置を検出して回転位置検出信号を制御部22に出力する。転写ローラー回転位置検出部17としては、例えば転写ローラー9の回転位置を検出する公知の回転検出センサー
を用いることができる。制御部22は、転写ローラー回転位置検出部17で検出された転写ローラー9の回転位置、この制御部22内のメモリーに予め記憶されている転写ローラー9の回転位置と転写ローラー9の外周面の画像領域(トナー像が転写される領域)との関係、および同じくメモリーに予め記憶されている塗布ニップ位置に基づいて、転写ローラー9の画像領域の終端位置(画像領域の転写ローラー回転方向側と逆方向側端位置)がキャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9との塗布ニップを通過したことを判断する。
【0037】
転写ローラー駆動部18は転写ローラー9を回転駆動する駆動モーターで構成され、制御部22に電気的に接続される。また、キャリアー液塗布ローラー駆動部19はキャリアー液塗布ローラー14dを回転駆動する駆動モーターで構成され、制御部22に電気的に接続される。更に、転写ローラークリーニングローラー駆動部20は転写ローラークリーニングローラー15bを回転駆動する駆動モーターで構成され、制御部22に電気的に接続される。更に、転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部21は制御部22に電気的に接続されて、転写ローラー9のクリーニング時に転写ローラークリーニングローラー15bにバイアスを印加する。
【0038】
少なくとも画像形成装置1の画像形成動作時に、キャリアー液塗布ローラー14dおよび転写ローラークリーニングローラー15bはともに転写ローラー9の外周面に当接される。そして、制御部22は画像形成動作時に、転写ローラー駆動部18、キャリアー液塗布ローラー駆動部19,転写ローラークリーニングローラー駆動部20、および転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部21を駆動する。これにより、転写ローラー9、キャリアー液塗布ローラー14d、転写ローラークリーニングローラー15bがそれぞれ図1に矢印で示す方向に回転する。なお、図3には図示しないが、このとき制御部22はキャリアー液供給ローラー駆動部も駆動し、キャリアー液供給ローラー14cも回転する。
【0039】
一次転写部7dで転写ローラー9に転写されたトナー像が二次転写部10で転写材12に転写された後(つまり、二次転写ニップ10a通過後)、キャリアー液塗布ローラー14dによりキャリアー液が転写ローラー9の外周面に塗布される。次いで、キャリアー液が塗布された転写ローラー9の外周面が転写ローラークリーニングローラー15bによりカウンタ回転でクリーニングされる。これにより、転写ローラークリーニングローラー15bは、転写ローラー9の外周面に残留する残留トナーおよび残留キャリアー液を塗布されたキャリアー液とともに除去する。
【0040】
制御部22は転写ローラー9の画像領域の前述の終端が二次転写ニップ10aを通過したと判断すると、キャリアー液塗布ローラー駆動部19の駆動を停止する。すると、図4に示すようにキャリアー液塗布ローラー14dの回転が停止する。しかし、制御部22はキャリアー液塗布ローラー駆動部19の駆動を停止させても、転写ローラー駆動部18の駆動、転写ローラークリーニングローラー駆動部20の駆動、および転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部21の駆動を停止させない。これにより、転写ローラー9および転写ローラークリーニングローラー15bがともに依然として回転するとともに、転写ローラークリーニングローラー15bにバイアスが依然として印加される。したがって、キャリアー液塗布ローラー14dによるキャリアー液の転写ローラー9への塗布は終了するが、バイアスを印加された転写ローラークリーニングローラー15bにより転写ローラー9のクリーニングは依然として行われる。その結果、転写ローラー9に対してカウンタ回転する転写ローラークリーニングローラー15bにより、転写ローラー9上のトナーおよびキャリアー液が擦り取られる。
【0041】
しかし、転写ローラークリーニングローラー15bと転写ローラー9とのニップにはキ
ャリアー液が溜まったニップ溜まりが生じる。そして、転写ローラー9の回転停止時にニップ溜まりのキャリアー液が転写ローラー9の周面を伝わって滴り落ちる。そこで、この例の画像形成装置1では、キャリアー液塗布ローラー14dが転写ローラークリーニングローラー15bの鉛直方向下方に配設されていることから、転写ローラー9の回転停止時にニップ溜まりからのこのキャリアー液の液だれをキャリアー液塗布ローラー14dでせき止める。キャリアー液塗布ローラー14dでせき止められたキャリアー液は、フィルタでろ過されてキャリアー液貯留部14bに回収される。その場合、キャリアー液の塗布停止後に転写ローラークリーニングローラー15bが停止されることで、キャリアー液のニップ溜まりの量が低減され、キャリアー液塗布ローラー14dによるキャリアー液のせき止めが容易となる。
【0042】
キャリアー液塗布ローラー14dでキャリアー液をせき止めらるために、制御部22は、キャリアー液塗布ローラー駆動部19の駆動停止後(つまり、キャリアー液塗布ローラー14dの回転停止後)に経過した時間が、予め定められて制御部22のメモリーに予め記憶されたニップ溜まり解消時間になったと判断すると、転写ローラークリーニングローラー駆動部20の駆動および転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部21の駆動を停止する。このとき、ニップ溜まり解消時間は、転写ローラークリーニングローラー15bと転写ローラー9とのニップにおける転写ローラー9の回転方向側と逆方向側に溜まったトナーおよびキャリアー液を含む液体現像剤(つまり、液体現像剤のニップ溜まり)がキャリアー液塗布ローラー14dによってせき止められるに要すると想定される時間である。このニップ溜まり解消時間は、使用されるトナーの種類や転写条件により変化するキャリアー液塗布ローラー14dのキャリアー液塗布量(例えば、トナーが固着しやすい場合ほど、キャリアー液の塗布量が増える)、あるいは転写ローラークリーニングローラー15bによるクリーニング効率に基づいて定められる。
【0043】
こうして、図4に示すように転写ローラークリーニングローラー15bの回転が停止するとともに、転写ローラークリーニングローラー15bへのバイアスの印加が停止する。そして、図4に示すようにキャリアー液塗布ローラー14dの回転が停止した後、転写ローラークリーニングローラー15bの回転が停止するまでの時間は、キャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9との当接位置から転写ローラークリーニングローラー15bと転写ローラー9との当接位置までの転写ローラー9の外周面の円弧の長さ(弧長)を転写ローラー9の周速度(プロセス速度)で除算して得られる時間と、ニップ溜まり解消時間との和で与えられる(弧長/転写ローラー周速度)。
【0044】
更に、制御部22は、転写ローラークリーニングローラー駆動部20の駆動停止と同時にあるいは転写ローラークリーニングローラー駆動部20の駆動停止以後に転写ローラー駆動部18の駆動を停止する。これにより、転写ローラー9の回転が転写ローラークリーニングローラー15bの回転停止と同時にあるいは転写ローラークリーニングローラー15bの回転停止以後に停止される。こうして、画像形成動作が終了する。そして、転写ローラー9、キャリアー液塗布部14、転写ローラークリーニング部15、転写ローラー回転位置検出部17、および制御部22により、この例における本発明の転写装置が構成される。
【0045】
この例の転写装置および画像形成装置1によれば、二次転写部10において、転写材12が転写ローラー9の回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面よりも鉛直方向の下方で転写ローラー9と当接して像が転写材12に転写される。また、キャリアー液塗布ローラー14dが二次転写部10よりも鉛直方向の上方で転写ローラー9と当接して転写ローラー9にキャリアー液を塗布するとともに、転写ローラー9の回転が停止した時には転写ローラー9と当接した状態で停止する。更に、転写ローラークリーニングローラー15bが転写ローラー9の回転方向と同方向に回転するとともに、転写ローラークリーニングロ
ーラー15bの周面がキャリアー液塗布ローラー14dの転写ローラー9への当接位置よりも鉛直方向の上方で転写ローラー9と当接しかつ鉛直方向の上方から下方に移動して転写ローラー9をクリーニングする。したがって、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップから垂れ落ちるキャリアー液、および、転写ローラー9および転写ローラークリーニングローラー15bのニップと転写ローラーおよびキャリアー液塗布ローラー14dのニップとの間の転写ローラー9に付着する微量のキャリアー液を、転写ローラークリーニングローラー15bより鉛直下方に位置するキャリアー液塗布ローラー14dによりせき止めて回収することが可能となる。これにより、キャリアー液が垂れ落ちることによる転写ローラー9より鉛直方向の下方に位置する転写部の汚染を効果的に抑制することができる。こうして、キャリアー液を転写後の転写ローラー9に塗布することで転写ローラー9のクリーニングを良好に行うことができるとともに、キャリアー液による装置内部の汚染を抑制すること可能となる。
【0046】
また、転写ローラー9の画像領域終端が二次転写ニップ10aを通過して画像形成動作が終了する際に、キャリアー液塗布部14のキャリアー液塗布ローラー14dの回転を停止する。これにより、キャリアー液塗布ローラー14dによりキャリアー液が転写ローラー12の外周面に塗布されない。そして、キャリアー液塗布ローラー14dの回転停止から所定時間経過した後に転写ローラークリーニング部15の転写ローラークリーニングローラー15bの回転を停止する。したがって、キャリアー液が転写ローラー12の外周面に塗布されないことから、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップの転写ローラー回転方向側と逆方向側にキャリアー液のニップ溜まりの発生を抑制することが可能となる。これにより、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップの転写ローラー回転方向側と反対側に溜まるキャリアー液が垂れ落ちることを防止することができる。その結果、垂れ落ちるキャリアー液により装置内が汚染されることをより効果的に抑制することができる。こうして、キャリアー液を二次転写後の転写ローラー9に塗布することで転写ローラー9のクリーニングを良好に行うことができるとともに、キャリアー液による装置内部の汚染を抑制すること可能となる。
【0047】
また、転写ローラークリーニングローラー15bがキャリアー液塗布ローラー14dより鉛直方向上方に配設される。これにより、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップから垂れ落ちるキャリアー液、および、転写ローラー9および転写ローラークリーニングローラー15b間のニップと転写ローラー9およびキャリアー液塗布ローラー14d間のニップとの間の転写ローラー9に付着する微量のキャリアー液を、転写ローラークリーニングローラー15bより鉛直下方に位置するキャリアー液塗布ローラー14dにより回収することが可能となる。これにより、キャリアー液が垂れ落ちることによる装置内の汚染を更に一層効果的に抑制することができる。
【0048】
更に、キャリアー液塗布ローラー14dの幅WCAが転写ローラークリーニングローラー15bの幅WCLより短い。これにより、キャリアー液塗布ローラー14dにより転写ローラー9に塗布されたキャリアー液を転写ローラークリーニングローラー15bにより確実に回収することが可能となる。
【0049】
更に、制御部22が、キャリアー液供給ローラー14cによるキャリアー液塗布ローラー14dへのキャリアー液の供給を停止させた後に、転写ローラー9の回転を停止させる。これにより、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップに生じるキャリアー液のニップ溜まりの発生を抑制することができる。
【0050】
しかも、制御部22がキャリアー液塗布部14の構成部材であるキャリアー液塗布ローラー14dを単に制御することで、キャリアー液の転写ローラー9への塗布停止を簡単に行うことが可能となるとともに、キャリアー液の塗布停止のための専用の特別な部材を用
いる必要はないので、キャリアー液の転写ローラー9への塗布停止を簡単な構造で安価に実現することができる。
【0051】
また、制御部22が、転写ローラー9の画像領域の転写ローラー回転方向の終端が、二次転写ニップ10aを通過したことで、画像形成動作終了時を判断する。これにより、キャリアー液の塗布を効率よく行うことが可能となり、キャリアー液の塗布量を低減することが可能となる。
【0052】
更に、キャリアー液として、画像形成に用いられる液体現像剤のキャリアー液が用いられることで、特別のキャリアー液を用いる必要をなくすことが可能となる。これにより、転写後の転写ローラー9に付着する残留トナーの除去にかかるコストを低減することができる。
【0053】
第1例の転写装置および画像形成装置1の他の作用効果は、二次転写後にキャリアー液塗布ローラーで転写ローラーにキャリアー液を塗布して転写ローラーに付着する残留トナーを、転写ローラークリーニングローラーで除去する従来の転写装置およびこれを備える従来の画像形成装置と同じである。
【0054】
図5は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の第2例におけるキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図、図6は第2例におけるこれらの制御のタイミングチャートを示す図である。
【0055】
図5に示すように、第2例の転写装置および画像形成装置1は、キャリアー液塗布ローラー離当接駆動部であるキャリアー液塗布ローラー離当接駆動部23を有する。このキャリアー液塗布ローラー離当接駆動部23は、塗布部本体フレーム14aを回動させる前述の第1例の塗布部本体フレーム駆動部と同じである。キャリアー液塗布ローラー離当接駆動部23は制御部22に電気的に接続される。
【0056】
そして、第2例の転写装置および画像形成装置1では、制御部22は画像形成動作時に転写ローラー9の画像領域の前述の終端が塗布ニップを通過したと判断すると、キャリアー液塗布ローラー離当接駆動部23を駆動する。すると、塗布部本体フレーム14aがスプリング14fの付勢力に抗して回動軸14eを中心に図1において時計回りに所定回動量だけ回動する。これにより、図6に示すようにキャリアー液塗布ローラー14dが転写ローラー9の外周面から離間する。したがって、キャリアー液塗布ローラー14dによるキャリアー液の転写ローラー9への塗布は終了する。
【0057】
なお、この第2例の転写装置および画像形成装置1では、キャリアー液塗布ローラー14dが転写ローラー9から離間される前に、キャリアー液塗布ローラー14dの回転を停止することもできる。すなわち、制御部22は転写ローラー9の画像領域の前述の終端が塗布ニップを通過したと判断したとき、まずキャリアー液塗布ローラー14dの回転を停止し、その後でキャリアー液塗布ローラー14dを転写ローラー9から離間させる。しかし、キャリアー液塗布ローラー14dの回転は停止させないほうが、キャリアー液塗布ローラー14dとブランケットシート9bとの間で生じる摩擦が抑制されるので好ましい。
この第2例の転写装置および画像形成装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、前述の第1例と同じである。
【0058】
図7は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の第3例におけるキャリアー液塗布制御および転写ローラーのクリーニング制御を行うためのブロック図、図8は第3例におけるこれらの制御のタイミングチャートを示す図である。
【0059】
図7に示すように、第3例の転写装置および画像形成装置1は、キャリアー液供給ローラー駆動部であるキャリアー液供給ローラー駆動部24を有する。このキャリアー液供給ローラー駆動部24は、キャリアー液供給ローラー14cを転写ローラー9および転写ローラークリーニングローラー15bと独立して回転させる。キャリアー液供給ローラー駆動部24は制御部22に電気的に接続される。
【0060】
そして、第3例の転写装置および画像形成装置1では、制御部22は画像形成動作時に転写ローラー9の画像領域の前述の終端が塗布ニップを通過したと判断すると、キャリアー液供給ローラー駆動部24を駆動する。すると、図8に示すようにキャリアー液供給ローラー14cが停止する。これにより、キャリアー液貯留部14bに貯留されているキャリアー液はキャリアー液供給ローラー14cによりキャリアー液塗布ローラー14dに供給されない。したがって、キャリアー液塗布ローラー14dによるキャリアー液の転写ローラー9への塗布は終了する。その後、転写ローラー9および転写ローラークリーニングローラー15bの回転が停止する。転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー15bとのニップに生じるキャリアー液のニップ溜まりの発生が抑制される。
【0061】
なお、この第3例の転写装置および画像形成装置1では、キャリアー液供給ローラー14cが停止した後、キャリアー液塗布ローラー14dの回転を停止することもできる。すなわち、制御部22は転写ローラー9の画像領域の前述の終端が塗布ニップを通過したと判断したとき、まずキャリアー液供給ローラー14cの回転を停止し、その後でキャリアー液塗布ローラー14dの回転を停止させる。このようにキャリアー液塗布ローラー14dの回転が停止されることで、キャリアー液供給ローラー14cとキャリアー液塗布ローラー14dとの間のニップよりキャリアー液供給ローラー回転方向側と逆方向側のキャリアー液供給ローラー14cに残存するキャリアー液およびキャリアー液塗布ローラー14dに残存するキャリアー液がキャリアー液塗布ローラー14dにより転写ローラー9に供給されることが抑制される。しかし、キャリアー液塗布ローラー14dの回転は停止させないほうが、残存するキャリアー液は転写ローラー9に供給されるが、キャリアー液塗布ローラー14dと転写ローラー9のブランケットシート9bとの間で生じる摩擦が抑制されるので好ましい。
この第3例の転写装置および画像形成装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、前述の第1例と同じである。
【0062】
なお、本発明の転写装置および画像形成装置は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、前述の実施の形態の各例ではキャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに供給するキャリアー液供給部材としてキャリアー液供給ローラー14cを用いているが、キャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに滴下するキャリアー液滴下部材等の他のキャリアー液供給部材を用いることもできる。また、前述の実施の形態の各例では液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーを転写ローラー9に適用して説明しているが、本発明の像担持体ローラーは感光体2に適用することもできる。要は、本発明の転写装置および画像形成装置は、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…画像形成装置、2…感光体、3…帯電部、4…露光部、5…現像部、5a…現像ローラー、7…一次転写部、8…感光体クリーニング部、9…転写ローラー、9a…基材、9b…ブランケットシート、10…二次転写部、10a…二次転写ニップ、11…二次転写ローラー、12…転写材、14…キャリアー液塗布部、14a…塗布部本体フレーム、14b…キャリアー液貯留部、14c…キャリアー液供給ローラー、14d…キャリアー液塗布ローラー、14e…回動軸、14f…スプリング、15…転写ローラークリーニング部、15a…クリーニング部本体フレーム、15b…転写ローラークリーニングローラー
、15c…転写ローラークリーニングブレード、15e…回動軸、15f…スプリング、17…転写ローラー回転位置検出部、18…転写ローラー駆動部、19…キャリアー液塗布ローラー駆動部,20…転写ローラークリーニングローラー駆動部、21…転写ローラークリーニングローラーバイアス印加部、22…制御部、23…キャリアー液塗布ローラー離当接駆動部、24…キャリアー液供給ローラー駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーと、
前記像担持体ローラーの回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面よりも鉛直方向の下方で前記像担持体ローラーと当接して前記像を転写材に転写する転写部と、
前記転写部よりも鉛直方向の上方で前記像担持体ローラーと当接し、前記像担持体ローラーにキャリアー液を塗布するとともに、前記像担持体ローラーの回転が停止した時に前記像担持体ローラーと当接して停止するキャリアー液塗布ローラーと、
前記像担持体ローラーの回転方向と同方向に回転し、前記キャリアー液塗布ローラーの当接位置よりも鉛直方向の上方で、鉛直方向の上方から下方に移動する周面が前記像担持体ローラーと当接して前記像担持体ローラーをクリーニングするクリーニングローラーと、
を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリアー液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
回転軸で回転し、前記回転軸を通る仮想鉛直面に垂直な仮想水平面の鉛直方向の上方で、前記現像部で現像された像が転写される像担持体ローラーと、
前記仮想水平面よりも鉛直方向の下方で前記像担持体ローラーと当接して前記像を転写材に転写する転写部と、
前記転写部よりも鉛直方向の上方で前記像担持体ローラーと当接し、前記像担持体ローラーにキャリアー液を塗布するとともに、前記像担持体ローラーの回転が停止した時に前記像担持体ローラーと当接して停止するキャリアー液塗布ローラーと、
前記像担持体ローラーの回転方向と同方向に回転し、前記キャリアー液塗布ローラーの当接位置よりも鉛直方向の上方で、鉛直方向の上方から下方に移動する周面が前記像担持体ローラーと当接して前記像担持体ローラーをクリーニングするクリーニングローラーと、
を備えること特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリアー液塗布ローラーにキャリアー液を供給するキャリアー液供給部材と、
前記キャリアー液供給部材によるキャリアー液塗布ローラーへのキャリアー液の供給を停止させた後に、前記クリーニングローラーの回転を停止させる制御部と、
を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記キャリアー液供給部材による前記キャリアー液塗布ローラーへのキャリアー液の供給を停止させた後に、前記像担持体ローラーの回転を停止させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリアー液塗布ローラーの軸方向の幅は、前記クリーニングローラーの軸方向幅より短い請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−208347(P2012−208347A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74395(P2011−74395)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】