説明

転写装置および画像形成装置

【課題】液体現像剤による像を担持する像担持ローラーが移動しても、像担持ローラーとクリーニング部材との相互の位置調整を容易にして相互位置関係をくずすことなく、良好なクリーニング性を確保しつつ、小型コンパクトに形成する。
【解決手段】回動軸15fを中心に回動しかつトナー及びキャリアー液を含む液体現像剤の像が転写材Sに転写された後の転写ローラー9にキャリアー液を塗布するキャリアー液塗布ローラー15eと、クリーニング部材支持部13に回動軸14fにより支持されて転写ローラー9に残留する残留トナーを除去する転写ローラークリーニングローラー14cと、クリーニング部材支持部13が回動するとき、転写ローラークリーニングローラー14cの移動量より大きい移動量のキャリアー液塗布ローラー15eとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて現像された像が転写ローラーに転写されるとともに、転写ローラーに転写された像が転写紙等の転写材に転写された後、塗布ローラーでクリーニング液を転写ローラーに塗布して転写ローラーに残留する残留トナーを除去するクリーニング装置を有する転写装置およびこれを備える画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体に形成された潜像を液体トナーにより現像して形成されたトナー像が転写紙等の転写材に転写されるとともに、トナー像が転写材に転写された後、感光体にキャリアー液が塗布されて転写ローラーに残留する残留トナーを除去する感光体クリーニング部を備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置の感光体クリーニング部では、トナー像が転写材に転写された後の感光体にキャリアー液が塗布されることで残留トナーの付着力が弱められ、この状態で感光体に付着する残留トナーおよびキャリアー液が感光体クリーニングブレードで掻き取られる。また、感光体クリーニングブレードで掻き取られなかった残留トナーおよびキャリアー液は感光体クリーニングローラーで掻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−77632号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、感光体の交換や転写材の厚みに応じた位置調整等のため感光体の位置が移動されたとき、クリーニング液塗布ローラーおよび感光体クリーニングローラーによる感光体のクリーニング性を良好に確保するために、クリーニング液塗布ローラーおよび感光体クリーニングローラーと感光体との位置調整が必要となる。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の感光体クリーニング部では、クリーニング液塗布ローラーと感光体クリーニングローラーとが個別に配設されている。このため、クリーニング液塗布ローラーおよび感光体クリーニングローラーと感光体との位置調整が煩雑となる。しかも、クリーニング液塗布ローラーと感光体クリーニングローラーとが個別に配設されることで、各ローラーの支持構造が複雑となるばかりでなく、感光体クリーニング部が大型になる。
【0007】
また、感光体クリーニングローラーに加えて感光体クリーニングブレードが配設されている。このようなクリーニングブレード方式は、面圧がクリーニングローラー方式に比べて比較的高い。液体現像方式においては対象が液体であるので、クリーニング性能を確保することは難しい。そこで、ゴムのクリーニングブレードにより液体現像剤を掻き落とす方法が有効であることが知られている。しかし、このようにクリーニングブレードが更に配設されたのでは、感光体クリーニング部が更に一層大型になる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体現像剤による像を担持する像担持ローラーが移動しても、像担持ローラーとクリーニング部材との相互の位置調整を容易にして相互位置関係をくずすことなく、良好なクリーニング性を確保
しつつ、小型コンパクトに形成することのできるクリーニング装置を有する転写装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本発明に係るクリーニング装置を有する転写装置および画像形成装置によれば、第1の回動軸により回転するとともにトナーおよびキャリアー液を含む液体現像剤の像が転写材に転写された後の像担持ローラーにクリーニング液を塗布するクリーニング液塗布ローラーと、第2の回動軸によりクリーニング液が塗布された像担持ローラーに回転するように当接されて像担持ローラーに残留する残留トナーを除去する像担持ローラークリーニングローラーと、第3の回動軸により回動して像担持ローラーに位置決めされるとともにクリーニング液塗布ローラーおよび像担持ローラークリーニングローラーを支持するクリーニング部材支持部とを有する。そして、液体現像剤の像が転写材に転写された後の像担持ローラーに、クリーニング液がクリーニング液塗布ローラーにより像担持ローラーの外周面に塗布される。これにより、転写後に像担持ローラーの外周面に残留する残留トナーの付着力が弱くなる。したがって、像担持ローラークリーニングローラーにより、付着力が弱められた残留トナー、キャリアー液、およびクリーニング液が像担持ローラーの外周面から効果的に擦り取ることが可能となる。
【0010】
また、クリーニング部材支持部が回動するとき、像担持ローラークリーニングローラーの移動量がクリーニング液塗布ローラーの移動量より小さい。これにより、像担持ローラークリーニングローラーの像担持ローラーに対する面圧を大きくすることが可能となるとともに、クリーニング液塗布ローラーの像担持ローラーに対する面圧を小さくすることが可能となる。その結果、クリーニング液塗布ローラーによる良好なキャリアー液塗布性および像担持ローラークリーニングローラーによる良好なクリーニング性を簡単な構成で得ることができる。特に、像担持ローラークリーニングローラーの方がクリーニング液塗布ローラーより第3の回動軸に近くすることで、クリーニング部材支持部が像担持ローラーの移動に追従して移動するときは、剛性が確保しやすい上に力関係が安定する。これにより、像担持ローラークリーニングローラーの像担持ローラーに対する面圧を安定的に大きくすることが可能となり、像担持ローラークリーニングローラーによるクリーニング性を簡単な構成で良好にすることができる。
【0011】
更に、第2の回動軸が第3の回動軸の近傍に配設されることで、像担持ローラーと像担持ローラークリーニングローラーとの間のクリーニングニップで発生する摩擦力によるモーメントを小さくすることができる。これにより、像担持ローラークリーニングローラーのびびり振動が発生しにくくなるので、振動の伝播によるクリーニング液塗布ローラーによるクリーニング液の塗布むらをなくすことができるとともに、像担持ローラークリーニングローラーによる像担持ローラーに対する面圧を上げることが可能となり、付着する残留トナーおよびキャリアー液の除去を安定して行うことができる。特に、第3の回動軸と第2の回動軸とが同軸に形成することで、フレーム支持レバーにかかる摩擦力によるモーメントをほとんど生じさせなくすることが可能となる。クリーニング部材支持部は像担持ローラーに更に一層安定して当接保持される。
【0012】
更に、このように像担持ローラークリーニングローラーによる良好なクリーニング性が得られることから、クリーニングブレードを用いなくても済ませることが可能となる。したがって、クリーニングブレードにより像担持ローラーに与えられるダメージを抑制することができる。これにより、像担持ローラークリーニング装置の構成を更に簡単にすることができる。特に、像担持ローラーが凹部を有している場合、この凹部がクリーニングブレードに対向するときは、クリーニングブレードを離当接機構により像担持ローラーから離間させる必要がある。しかし、本発明では前述のようにクリーニングブレードを設けないので、離当接機構が不要となり、像担持ローラークリーニング装置の構成を更に簡単に
することができる。
【0013】
更に、クリーニング部材支持部が第3の回動軸により回動することで、像担持ローラーに対して位置決めされる。その場合、像担持ローラーが凹部を有していても、この凹部の位置に関係なくクリーニング部材支持部を像担持ローラーに対して位置決めすることが可能となる。したがって、像担持ローラーが移動しても、クリーニング部材支持部がこの像担持ローラーの移動に追従して像担持ローラーに対して一定位置または略一定位置に位置決めすることができる。これにより、像担持ローラークリーニングローラーおよびクリーニング液塗布ローラーを、ともに像担持ローラーに対して簡単に位置決めすることが可能となる。その結果、像担持ローラーを転写材の厚みに応じて、潜像担持体との当接を保ったまま移動させたり、像担持ローラーを潜像担持体の交換時に大きく移動させる際にも、像担持ローラーに対する像担持ローラークリーニングローラーおよびクリーニング液塗布ローラーの位置がほとんど変化しないので、クリーニング液塗布ローラーのクリーニング液塗布性を良好に保持することができるとともに、像担持ローラークリーニングローラーのクリーニング性を良好に保持することができる。
【0014】
また、クリーニング装置全体を像担持ローラーに対して離接させることも容易であるので、像担持ローラーの表面のブランケットを簡単な操作で交換でき、操作性が向上する。
【0015】
特に、クリーニング部材支持部が、装置本体に回動するように支持されるフレーム支持レバーに略平行移動するように支持されることで、クリーニング部材支持部を像担持ローラーに対して一層安定しかつ一層正確に位置決めすることが可能となる。
【0016】
更に、像担持ローラークリーニングローラーおよびクリーニング液塗布ローラーが、回動可能な共通のクリーニング部材支持部に支持される。したがって、像担持ローラークリーニングローラーおよびクリーニング液塗布ローラーを有する像担持ローラークリーニング装置を単純な構成で小型コンパクトに形成することができる。そのうえ、像担持ローラークリーニング装置を単純な構成で小型コンパクトに形成することで、画像形成装置および像担持ローラークリーニング装置の信頼性をともに向上することができるとともに省スペース化を図ることができ、しかも画像形成装置および像担持ローラークリーニング装置を安価に製造することができる。
【0017】
更に、第2の回動軸がクリーニングニップにおける像担持ローラーと像担持ローラークリーニングローラーとの共通の仮想接線の方向(つまり、クリーニングニップから摩擦力の作用線上または略作用線上)となる位置に配設される。これにより、摩擦力を第2の回動軸にほとんどそのまま支持させることが可能となる。その結果、像担持ローラーと像担持ローラークリーニングローラーとの間に生じる摩擦力によるモーメントを効果的に小さくすることができる。したがって、像担持ローラークリーニングローラーによる像担持ローラーに付着する残留トナーおよびキャリアー液を更に一層安定して行うことができる。
【0018】
更に、フレーム支持レバーは、像担持ローラーと像担持ローラークリーニングローラーとの仮想接線の方向に対して傾斜することで、前述の摩擦力の方向に対して傾斜されて設けられる。像担持ローラークリーニングローラーによる像担持ローラーのクリーニング動作時に、フレーム支持レバーは摩擦力により圧縮力が加えられるが、この圧縮力によりフレーム支持レバーはクリーニング部材支持部に反力を作用する。このとき、フレーム支持レバーが摩擦力の作用方向に対して傾斜されることで、像担持ローラー方向の反力の成分の力が生じる。この力により、クリーニング部材支持部は、像担持ローラーの回転方向に離間する第1および第2の支持ローラーを介して像担持ローラーに更に一層安定して当接保持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかるクリーニング装置を有する転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の転写ローラークリーニング部の一部の変形例を示す図である。
【図3】図2に示す例の転写ローラークリーニング部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。以下の説明において、各回転方向および各移動方向は、各図に矢印で示された方向である。
【0022】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、静電潜像を担持する潜像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は図示しない駆動源により駆動されて反時計回りに回転する。
【0023】
感光体2の周囲には帯電部3が配設されている。更に、帯電部3から、感光体2の回転方向に向かって、順に、露光部4、現像部5、感光体スクイーズ部6、一次転写部7、および感光体クリーニング部8が配設されている。なお、図1に図示されないが、一次転写部7と感光体クリーニング部8との間には、感光体2を除電する除電部が配設される。
【0024】
帯電部3はスコロトロンまたはコロトロン等の帯電部材で、感光体2の表面を一様に帯電する。また、露光部4はレーザー光等の潜像形成部材で、感光体2の一様帯電された表面に、静電潜像を形成する。
【0025】
現像部5は、液体現像剤貯留部5a、アニロックスローラー5b、現像剤量規制部材5c、中間ローラー5d、現像ローラー5e、中間ローラークリーニング部5f、現像ローラークリーニング部5g、および液体現像剤回収部5hを有する。液体現像剤貯留部5aは撹拌ローラー5iで撹拌されたトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を貯留する。アニロックスローラー5bは反時計回りに回転されて液体現像剤貯留部5aに貯留されている液体現像剤を汲み上げる。現像剤量規制部材5cはアニロックスローラー5bで汲み上げられた液体現像剤の量を規制する。中間ローラー5dは反時計回りに回転される。そして、中間ローラー5dには、現像剤量規制部材5cで量規制されるとともにアニロックスローラー5cにより搬送される液体現像剤が供給される。現像ローラー5eは時計回りに回転されて中間ローラー5dから液体現像剤が供給される。そして、現像ローラー5eと感光体2とで形成される現像ニップにおいて、現像ローラー5eは供給された液体現像剤で感光体2に形成された静電潜像を現像して感光体2にトナー像を形成する。
【0026】
中間ローラークリーニング部5fは中間ローラー5dをクリーニングする。すなわち、中間ローラークリーニング部5fは、現像ローラー5eに液体現像剤を供給した後の中間ローラー5dに残留する液体現像剤を中間ローラークリーニングブレード5jで除去する。現像ローラークリーニング部5gは現像ローラー5eをクリーニングする。すなわち、現像ローラークリーニング部5gは、感光体2の静電潜像を現像した後の現像ローラー5eに残留する液体現像剤を現像ローラークリーニングローラー5kで除去する。そして、現像ローラークリーニングローラー5kに付着した液体現像剤は現像ローラークリーニングブレード5mで除去される。液体現像剤回収部5hは中間ローラークリーニング部5fで除去された液体現像剤および現像ローラークリーニング部5gで除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0027】
更に、感光体スクイーズ部6は、第1の感光体スクイーズ部6a、第2の感光体スクイーズ部6b、第1の感光体スクイーズローラー6c、第2の感光体スクイーズローラー6d、第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6e、第1の感光体スクイーズ貯留部6f、第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6g、第2の感光体スクイーズ貯留部6hを有する。
【0028】
第1の感光体スクイーズローラー6cは現像ニップから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第1の感光体スクイーズローラー6cは感光体2をスクイーズして現像部5から現像された液体現像剤のキャリアー液および非画像部のトナー等を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6eは第1の感光体スクイーズローラー6cをクリーニングして、第1の感光体スクイーズローラー6cに付着する液体現像剤を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6eで除去された液体現像剤は第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留される。第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0029】
第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cでスクイーズされた感光体2をスクイーズして液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gは第2の感光体スクイーズローラー6dをクリーニングして、第2の感光体スクイーズローラー6dに付着する液体現像剤を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gで除去された液体現像剤は第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留される。第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0030】
一次転写部7には、時計回りに回転する転写ローラー9が配設される。図2および図3に示すように、転写ローラー9は、剛体の円柱状の基材9aおよび一定厚みまたは略一定厚みのゴム等の弾性部材であるブランケットシート9bを有する。基材9aはその軸方向両端部に設けられるとともに連続した横断面円形の外周面で形成された一対の第1および第2の支持ローラー当接部9c,9d、および軸方向で第1および第2の支持ローラー当
接部9c,9dの間の外周部に設けられた凹部9eを有する。ブランケットシート9bは
、その両端部がそれぞれ凹部9e内に軸方向に延設された一対の巻取軸9f、9gに巻き取られて交換可能に固定される。したがって、この凹部9eにより転写ローラー9の外周面に不連続部が形成される。そして、ブランケットシート9bは所定の張力が付与されて凹部9eと第1および第2の支持ローラー当接部9c,9dとを除く基材9aの外周面の
一部に密着して巻き付けられて貼着される。その場合、基材9aの外周面に貼着されたブランケットシート9bの外径と第1および第2の支持ローラー当接部9c,9dの各外径
とが同じまたは略同じにされている。
【0031】
更に、転写ローラー9の凹部9eにはシート状のカバー部材9hが設けられる。このカバー部材9hは凹部9eの開口端の内側近傍においてブランケットシート9bの両端部間の間隙を覆うように配設される。
【0032】
一次転写部7では、感光体2と転写ローラー9がそれぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体(不図示)に回転可能に軸支されている。その場合、図1に示すように感光体2と転写ローラー9との食い込みにより、一次転写ニップ7aが形成される。そして、一次転写ニップ7aにより、感光体2に転写されたトナー像が転写ローラー9に転写される。すなわち、この例の画像形成
装置1では、転写ローラー9は、液体現像剤で現像されたトナー像を担持する本発明の像担持ローラーを構成する。
【0033】
一次転写部7より転写ローラー9の回転方向に向かって所定の位置に二次転写部10が配設される。二次転写部10は転写ローラー9と二次転写ローラー11を有する。そして、転写ローラー9と二次転写ローラー11は、それぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体に回転可能に軸支されている。その場合、転写ローラー9と二次転写ローラー11との食い込みにより、二次転写ニップ10aが形成される。そして、二次転写ニップ10aにより、転写ローラー9に転写されたトナー像が転写紙等の転写材Sに転写される。図示しないが、二次転写部10で転写材Sに転写されたトナー像は、液体現像剤を用いた従来の画像形成装置と同様に定着部で定着される。これにより、画像が転写材Sに形成される。
【0034】
感光体クリーニング部8は感光体2をクリーニングする。すなわち、感光体クリーニング部8は、一次転写後に感光体2に残留する液体現像剤を感光体クリーニングブレード8aで除去する。そして、除去された液体現像剤は液体現像剤回収部8bに貯留される。
【0035】
図1に示すように二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側には、転写ローラー9のクリーニング装置である転写ローラークリーニング部12が配設される。この転写ローラークリーニング部12は、二次転写後で一次転写前の転写ローラー9の外周面をクリーニングする。転写ローラークリーニング部12は、クリーニング部材支持部13、残留トナー擦り切り部14、およびキャリアー液塗布部15を備える。そして、二次転写部10と転写ローラークリーニング部12とにより本発明の転写装置が構成される。
【0036】
クリーニング部材支持部13は、一対の第1および第2の支持フレーム13a,13b
、本発明の第3の回動軸である回動軸13c、リンクレバーとして機能する一対の第1および第2のフレーム支持レバー13d,13e、レバー支持軸13f、第1ないし第4の
支持ローラー13g,13h;13i,13j、および支持フレーム付勢スプリング13k,13mを有する。第1および第3の支持ローラー13g,13iと第2および第4の支持
ローラー13h,13jは、それぞれ、転写ローラー9の回転方向に距離をとって設けて
いる。したがって、第1および第3の支持ローラー13g,13iは、本発明の第1の支
持ローラーを構成しているとともに、第2および第4の支持ローラー13h,13jは、
本発明の第2の支持ローラーを構成している。
【0037】
第1および第2の支持フレーム13a,13bは同じ形状で同じサイズに形成され、そ
れぞれ第1ないし第4のアーム部13a1,13a2;13b1,13b2を有する略コ字状ま
たは略U字状に形成されている。その場合、第1のアーム部13a1が第2のアーム部1
3a2より鉛直方向上方に位置するとともに、第3のアーム部13b1が第4のアーム部13b2より鉛直方向上方に位置する。そして、第1および第2の支持フレーム13a,13bは第1および第3のアーム部13a1,13b1において回動軸13cで互いに一体的に
支持されている。また、第1および第2の支持フレーム13a,13bは、それぞれ回動
軸13cを介して第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eの一端部に回動す
るように連結される。第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eの他端部は、
画像形成装置1の装置本体に取り付けられた支持部材1aにレバー支持軸13fを介して回動するように設けられる。これにより、第1および第2の支持フレーム13a,13b
は略平行移動するようにされている。
【0038】
第1および第2の支持フレーム13a,13bの第1ないし第4のアーム部13a1,1
3a2;13b1,13b2の先端部に、それぞれ第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jが、対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bの内面側も
しくは外面側(図示例では内面側)に位置して回転するように設けられる。そして、第1および第2の支持ローラー13g,13hは転写ローラー9の第1の支持ローラー当接部
9cの外周面に当接するとともに、第3および第4の支持ローラー13i,13jは転写
ローラー9の第2の支持ローラー当接部9dの外周面に当接する。その場合、第1の支持ローラー13gと第1の支持ローラー当接部9cとの当接位置は、第2の支持ローラー13hと第1の支持ローラー当接部9cとの当接位置より鉛直方向下方に位置する。また、第3の支持ローラー13iと第2の支持ローラー当接部9dとの当接位置は、第4の支持ローラー13jと第2の支持ローラー当接部9dとの当接位置より鉛直方向下方に位置する。
【0039】
また、第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jが第1および第2
の支持ローラー当接部9c,9dに当接した状態で、回動軸13cの位置は、第1の支持
ローラー13gと第1の支持ローラー当接部9cとの当接位置より鉛直方向上方に位置するとともに、第2の支持ローラー13hと第2の支持ローラー当接部9dとの当接位置より鉛直方向下方に位置する。その場合、回動軸13cの位置と第1の支持ローラー13gの第1の支持ローラー当接部9cへの当接位置との鉛直方向の距離は、回動軸13cの位置と第2の支持ローラー13hの第1の支持ローラー当接部9cへの当接位置との鉛直方向の距離より長い。同様に、回動軸13cの位置は、第3の支持ローラー13iと第2の支持ローラー当接部9dとの当接位置より鉛直方向上方に位置するとともに、第4の支持ローラー13jと第2の支持ローラー当接部9dとの当接位置より鉛直方向上方に位置する。その場合、回動軸13cの位置と第3の支持ローラー13iの第2の支持ローラー当接部9dへの当接位置との鉛直方向の距離は、回動軸13cの位置と第4の支持ローラー13jの第2の支持ローラー当接部9dへの当接位置との鉛直方向の距離より長い。
【0040】
各第1および第2の支持フレーム13a,13bと装置本体との間には、それぞれ第1
および第2の付勢スプリング13k,13mが縮設される。そして、各第1および第2の
支持フレーム13a,13bは、それぞれ第1および第2の付勢スプリング13k,13mの付勢力で回動軸13cを中心に反時計回りに回動するように付勢される。これにより、第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jが、それぞれ対応する転写
ローラー9の支持ローラー当接部9c,9dの外周面に所定の当接圧で当接する。その場
合、回動軸13cは鉛直方向(第1および第2の支持フレーム13a,13bの転写ロー
ラー9に向かう移動方向と略直交する方向)で第1および第2の支持ローラー13g,1
3hの間および鉛直方向で第3および第4の支持ローラー13i,13jの間に配設され
るので、各第1および第2の支持フレーム13a,13bから押圧力が、それぞれ第1な
いし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jに効果的に加えられる。
【0041】
したがって、第1および第2の支持フレーム13a,13bが凹部9eの位置に関係な
く転写ローラー9に対して位置決めされる。すなわち、転写ローラー9は転写ローラークリーニング部12との一定の相互位置関係を保持して回転される。しかも、転写ローラー9が所定量移動しても、第1および第2の支持フレーム13a,13bは第1および第2
の付勢スプリング13k,13mの付勢力により転写ローラー9の移動に追従する。
【0042】
残留トナー擦り切り部14は、二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側で、一次転写部7より転写ローラー9の回転方向側と反対方向側に配設される。この残留トナー擦り切り部14は、第1および第2の支持フレーム13a,13bの間に設けられる。残
留トナー擦り切り部14は、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14
b、転写ローラークリーニングローラー14c、転写ローラークリーニングブレード14d、転写ローラー9の液体現像剤回収部14e、本発明の第2の回動軸である回動軸14f、および第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hを有する

【0043】
第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは第1および第2の支持
フレーム13a,13bの第2および第4のアーム部13a2,13b2に回動軸14fにより回動するように設けられる。その場合、回動軸14fは第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eの回動軸13cの近傍に配設される。
【0044】
転写ローラークリーニングローラー14cは第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに回転するように設けられる。この転写ローラークリーニングローラ
ー14cの少なくとも表面層はゴム等の弾性材で形成されている。転写ローラークリーニングブレード14dは、転写ローラークリーニングローラー14cに当接されて第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに設けられる。液体現像剤回収部1
4eは、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに設けられる。
【0045】
第1および第2のクリーニング部付勢スプリング14g,14hは、それぞれ第1およ
び第2の支持フレーム13a,13bと第1および第2のクリーニング部本体フレーム1
4a,14bとの間に伸縮するように縮設される。したがって、第1および第2のクリー
ニング部本体フレーム14a,14bは、それぞれ対応する第1および第2のクリーニン
グ部本体付勢スプリング14g,14hの付勢力で回動軸14fを中心に回動するように
付勢される。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cは凹部9eを除く転写ローラー9の連続した外周面のブランケットシート9bに予め定められた所定の定荷重の当接力で当接する。これにより、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14cとの間には、クリーニングニップが形成される。また、転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9のブランケットシート9bに当接した状態で、転写ローラー9の回転に対してカウンタ回転する。
【0046】
転写ローラークリーニングローラー14cが転写ローラー9の回転に対してカウンタ回転することで、図2に示すように転写ローラークリーニングローラー14cにはクリーニングニップにおいて転写ローラー9との摩擦で摩擦力Fが作用する。この摩擦力Fは、クリーニングニップにおける転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14cとの共通の仮想接線の方向で転写ローラー9の回転方向側の向き(図2で矢印で示す向き)となる。このため、転写ローラークリーニングローラー14cの弾性材は柔らかいと、この摩擦力で転写ローラー9の回転方向側に押されるので、転写ローラークリーニングローラー14cのクリーニング動作が安定しなくなる。そこで、転写ローラークリーニングローラー14cが安定してクリーニング動作を行うために、転写ローラークリーニングローラー14cには比較的剛性の高い弾性材が用いられる。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cは、その表面層が高い剛性で保持される。
【0047】
また、この例の画像形成装置1では、回動軸14fは、図2に示す転写ローラークリーニングローラー14cおよび後述するキャリアー液塗布ローラー15eが転写ローラー9のブランケットシート9bに当接した状態でクリーニングニップから摩擦力Fの作用線上または略作用線上(つまり、クリーニングニップにおける転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14cとの共通の仮想接線の方向)となる位置に配設される。これにより、摩擦力Fは第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bを介し
て回動軸14fにほとんどそのまま支持される。その結果、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bへの摩擦力Fによるモーメントが小さくなる。したがっ
て、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに支持された転写ロー
ラークリーニングローラー14cが安定して転写ローラー9に当接される。
【0048】
更に、回動軸14fを第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eの回動軸1
3cの近傍に配設することで、第1および第2の支持フレーム13a,13bへの摩擦力
Fによるモーメントを効果的に小さくできる。特に、転写ローラークリーニングローラー14cによるクリーニング方式の場合、良好なクリーニング性を確保するために転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接力をクリーニングブレードによるクリーニング方式に比べて大きくする必要がある。さらに、転写ローラークリーニングローラー14cとブランケットシート9bとの当接が比較的摩擦係数の高い材料どうしの当接であるとともに、転写ローラークリーニングローラー14cが転写ローラー9の回転方向に対してカウンタ方向に回転するので、摩擦力Fが大きくならざるを得ない。しかし、前述のように、回動軸14fが回動軸13cの近傍に配設されているので、摩擦力Fによるモーメントを小さくすることができ、影響を小さくすることができる。
【0049】
更に、第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eの回動軸13が回動軸14
fの近傍に位置することから、第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eにか
かる摩擦力Fによるモーメントが軽減する。これにより、第1および第2の支持フレーム13a,13bは第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jを介して転写ローラー9に安定して当接保持される。特に、図2および図3に示すように回動軸13cと回動軸14fとが同軸に形成することで、第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eにかかる摩擦力Fによるモーメントがほとんど生じなく、第1および第2の支
持フレーム13a,13bは第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jを介して転写ローラー9に更に一層安定して当接保持される。
【0050】
更に、第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eは摩擦力Fの方向に対して
若干傾斜されて設けられる。第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eは摩擦
力Fにより圧縮力を加えられる。このとき、この圧縮力により第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eは第1および第2の支持フレーム13a,13bに反力を作用する。そこで、前述のように第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eが摩擦力
Fの方向に対して傾斜されることで、転写ローラー9方向の反力の成分の力が生じる。この力により、第1および第2の支持フレーム13a,13bは第1ないし第4の支持ロー
ラー13g,13h;13i,13jを介して転写ローラー9に更に一層安定して当接保持
される。
【0051】
更に、転写ローラークリーニングローラー14cには、転写ローラー9のクリーニング動作時にバイアスが印加される。その場合、転写ローラー9に印加されるバイアスは、トナーの帯電電位の極性と逆の極性の電位が好ましい。このように、トナーの電位の極性と逆の極性のバイアスが転写ローラークリーニングローラー14cに印加されることで、転写ローラークリーニングローラー14cのクリーニング性が向上される。
【0052】
また、凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cは凹部9e内に進入する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cはカバー部材9hには当接しないように、その進入量が予め定められた所定の最大進入量に規制される。これにより、凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向するとき、転写ローラークリーニングローラー14cを転写ローラー9から離間させる機構が不要となる。
【0053】
キャリアー液塗布部15はクリーニング液塗布部である。キャリアー液塗布部15は、二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側で残留トナー擦り切り部14より転写ローラー9の回転方向側と反対方向側に配設される。このキャリアー液塗布部15は、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15b、キャリアー液貯留部15c、キャリア
ー液供給ローラー15d、キャリアー液塗布ローラー15e、本発明の第1の回動軸である回動軸15f、および第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15h(符
号15hは図示しないが、第2の支持フレーム13b側に配設される第2の塗布部本体付
勢スプリングを示し、第1の支持フレーム13b側に配設される第1の塗布部本体付勢スプリング15gと同じである。説明の便宜上、明細書では符号15hを用いる。)を有する。
【0054】
第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは第1および第2の支持フレーム
13a,13bの第2および第4のアーム部13a2,13b2に回動軸15fにより回動するように設けられる。その場合、回動軸13cと第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bの回動軸15fとの間の距離は、回動軸13cと第1および第2のクリーニ
ング部本体フレーム14a,14bの回動軸14fとの間の距離にくらべてはるかに長い
。つまり、回動軸14fは回動軸15fより回動軸13cに近い。
【0055】
キャリアー液貯留部15cは第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに設
けられて、転写ローラー9に塗布するクリーニング液であるキャリアー液を貯留する。キャリアー液供給ローラー15dは第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに
回転するように設けられる。そして、キャリアー液供給ローラー15dは回転することでキャリアー液貯留部15c内に貯留されたキャリアー液を汲み上げてキャリアー液塗布ローラー15eに供給する。
【0056】
キャリアー液塗布ローラー15eはキャリアー液供給ローラー15dに当接されて第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに設けられる。キャリアー液供給ローラ
ー15dおよびキャリアー液塗布ローラー15eは互いにトレイル回転するように設けられるとともに、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の回転に対してトレイル回転する。
【0057】
また、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラークリーニングローラー14cより鉛直方向下方となるように配設される。具体的には、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9との当接位置が転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9との当接位置より鉛直方向下方となるように配設される。
【0058】
第1および第2の塗布部付勢スプリング15g,15hは、それぞれ第1および第2の
支持フレーム13a,13bと第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bとの間に伸縮するように縮設される。これにより、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hは、それぞれ対応する第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに付勢力を作用する。
【0059】
第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは、それぞれ対応する第1および
第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力で回動軸15fを中心に回動す
るように付勢される。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eは凹部9eを除く転写ローラー9の連続した外周面のブランケットシート9bに予め定められた所定の定荷重で当接する。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接荷重は転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接荷重に比べて小さい。また、キャリアー液塗布ローラー15eと転写ローラー9との間にはキャリアー液が介在しているので、キャリアー液塗布ローラー15eと転写ローラー9との間の摩擦力はほとんど発生しない。したがって、摩擦力による力は回動軸15fにほとんど加えられない。
【0060】
また、凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eは凹部9e内に進入する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの進入量は前述の転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への最大進入量より小さい予め定められた最大進入量に規制される。
【0061】
この例の画像形成装置1では、第1および第2の支持フレーム13a,13bの回動支
点である回動軸13fと転写ローラークリーニングローラー14cとの間の最大距離が、回動軸13fとキャリアー液塗布ローラー15eとの間の最小距離より短い。つまり、回動軸13fを中心とする第1および第2の支持フレーム13a,13bの回動による転写
ローラークリーニングローラー14cの移動量は、回動軸13fを中心とする第1および第2の支持フレーム13a,13bの回動によるキャリアー液塗布ローラー15eの移動
量より小さい。
【0062】
これにより、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの付
勢力による転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への転写ローラークリーニングローラー当接力と、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,1
5hの付勢力によるキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9へのキャリアー液塗布ローラー当接力とが等しいまたは略等しいとした場合、転写ローラークリーニングローラー当接力がキャリアー液塗布ローラー当接力より大きくなる。これにより、二次転写後に転写ローラー9に残留する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)および塗布されたキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cと転写ローラー9との間をほとんど通過しない。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニング性が良好になる。また、キャリアー液塗布ローラー当接力が比較的小さいことから、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布性が良好になる。こうして、第1および第2の支持フレーム13a,13bが転写ローラー
クリーニング部14とキャリアー液塗布部15とに共通に用いられても、転写ローラー9の良好なクリーニング性および転写ローラー9への良好なキャリアー液塗布性が実現される。
【0063】
特に、この例の画像形成装置1では、転写ローラークリーニングローラー14cの方がキャリアー液塗布ローラー15eより、回動軸13に近い。したがって、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14g,14hの付勢力による転写ローラークリー
ニングローラー14cの転写ローラー9への転写ローラークリーニングローラー当接力を、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15g,15hの付勢力によるキャリアー
液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接力より大きくすることができる。
【0064】
これにより、第1および第2の支持フレーム13a,13bが転写ローラークリーニン
グ部14とキャリアー液塗布部15とに共通に用いられても、転写ローラー9のクリーニング性および転写ローラー9へのキャリアー液塗布性をともに更に良好にすることが可能となる。
【0065】
このように構成されたこの例の転写装置および画像形成装置1によれば、キャリアー液塗布ローラー15eにより、キャリアー液が二次転写ニップ10aを通過した転写ローラー9の外周面に塗布される。これにより、二次転写後に転写ローラー9の外周面に残留する残留トナーの付着力が弱くなる。したがって、転写ローラークリーニングローラー14cにより、付着力が弱められた残留トナーおよびキャリアー液が転写ローラー9の外周面から効果的に擦り取ることが可能となる。
【0066】
また、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bの回動軸14fが
、クリーニング部材支持部13の回動軸13cの近傍に設けられるとともに、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bの回動軸15fが回動軸14fより回動軸13
cから長く離れた位置に設けられる。したがって、転写ローラークリーニングローラー14cの方がキャリアー液塗布ローラー15eより回動軸13cに近いので、剛性が確保しやすい上に、力関係が安定する。これにより、転写ローラークリーニングローラー14c
の転写ローラー9に対する面圧を安定的に大きくすることが可能となる。更に、回動軸14fが回動軸13cの近傍に配設されることで、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14eとの間のクリーニングニップで発生する摩擦力Fによるモーメントを小さくすることができる。これにより、転写ローラークリーニングローラー14eのびびり振動を発生しにくくすることが可能となる。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9に対する面圧を小さくすることが可能となる。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eによる良好なキャリアー液塗布性および転写ローラークリーニングローラー14cによる良好なクリーニング性を簡単な構成で得ることができる。
【0067】
更に、このように転写ローラークリーニングローラー14cによる良好なクリーニング性が得られることから、クリーニングブレードを用いなくても済ませることが可能となる。これにより、転写ローラー9のブランケットシート9bにダメージを与えることを抑制することができる。これにより、転写ローラークリーニング部12の構成を更に簡単にすることができる。特に、この例の画像形成装置1の転写ローラー9のように凹部9eを有している場合、この凹部9eがクリーニングブレードに対向するときは、クリーニングブレードを離当接機構により転写ローラー9から離間させる必要がある。しかし、このようにクリーニングブレードが設けられないので、離当接機構が不要となり、転写ローラークリーニング部12の構成を更に簡単にすることができる。
【0068】
更に、残留トナー擦り切り部14およびキャリアー液塗布部15をともに支持するクリーニング部材支持部13が、回動する第1および第2のフレーム支持レバー13d,13
eに支持される。クリーニング部材支持部13に設けられた第1ないし第4の支持ローラー13g,13h;13i,13jは支持フレーム付勢スプリング13kの付勢力により転
写ローラー9の第1および第2の支持ローラー当接部9c,9dに当接される。これによ
り、第1および第2の支持フレーム13a,13bを転写ローラー9に対して位置決めす
ることが可能となる。特に、この例の画像形成装置1では、転写ローラー9がブランケットシート9bを交換可能にするために凹部9eを有しているが、この凹部9eの位置に関係なく第1および第2の支持フレーム13a,13bを転写ローラー9に対して位置決め
することが可能となる。したがって、転写ローラー9が移動しても、第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eがこの転写ローラー9の移動に追従して転写ローラー9
に対して一定位置または略一定位置に位置決めすることができる。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eを、ともに転写ローラー9に対して簡単に位置決めすることが可能となる。その結果、転写ローラー9が交換や転写材の厚みによって若干移動しても、転写ローラー9に対する転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eの位置がほとんど変化しないので、キャリアー液塗布ローラー15eのキャリアー液塗布性を良好に保持することができるとともに、転写ローラークリーニングローラー14cのクリーニング性を良好に保持することができる。
【0069】
特に、クリーニング部材支持部13が、回動軸13fを中心に回動する第1および第2のフレーム支持レバー13d,13eに略平行移動するように支持される。したがって、
クリーニング部材支持部13を転写ローラー9に対して一層安定しかつ一層正確に位置決めすることが可能となる。
【0070】
更に、転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15eが、回動可能な共通の第1および第2の支持フレーム13a,13bに支持される。し
たがって、転写ローラークリーニングローラー14cおよびキャリアー液塗布ローラー15を有する転写ローラークリーニング部12を単純な構成で小型コンパクトに形成することができる。そのうえ、転写ローラークリーニング部12を単純な構成で小型コンパクトに形成することで、画像形成装置1および転写ローラークリーニング部12の信頼性をと
もに向上することができるとともに省スペース化を図ることができ、しかも画像形成装置1および転写ローラークリーニング部12を安価に製造することができる。
【0071】
更に、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bの回動軸14fが
第1および第2の支持フレームの回動軸13cの近傍に配設される。したがって、転写ローラー9のブランケットシート9bと転写ローラークリーニングローラー14cとの間のクリーニングニップで発生する摩擦力Fによる第1および第2の支持フレーム13a,1
3bに働くモーメントを小さくすることができる。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eによるキャリアー液の塗布を安定して行うことができるとともに、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9に付着する残留トナーおよびキャリアー液を安定して行うことができる。
【0072】
更に、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bの回動軸14fが
クリーニングニップから摩擦力Fの作用線上または略作用線上(つまり、クリーニングニップにおける転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14cとの共通の仮想接線の方向)となる位置に配設される。これにより、摩擦力Fを第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bを介して回動軸14fにほとんどそのまま支持させ
ることが可能となる。その結果、転写ローラー9と転写ローラークリーニングローラー14cとの間に生じる摩擦力Fによる第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bへのモーメントを効果的に小さくすることができる。したがって、転写ローラー
クリーニングローラー14cによる転写ローラー9に付着する残留トナーおよびキャリアー液を更に一層安定して行うことができる。
【0073】
なお、本発明の転写装置および画像形成装置は、前述の実施の形態の例に限定されることはない。例えば、前述の実施の形態の例ではキャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに供給するキャリアー液供給部材としてキャリアー液供給ローラー15dを用いているが、キャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに滴下するキャリアー液滴下部材等の他のキャリアー液供給部材を用いることもできる。また、前述の実施の形態の例では残留トナーを容易に除去することを可能にするためにキャリアー液を用いているが、トナーを除去する公知の他のクリーニング液を用いることもできる。更に、前述の実施の形態の例では像担持ローラーとして転写ローラー9を用いているが、像担持ローラーとしては感光体ドラムを用いることもできる。この場合には、画像形成装置に転写ローラー9が設けられてもよいし、また、転写ローラー9が設けられなくてもよい。更に、像担持ローラーは凹部を有さない像担持ローラーでもよい。要は、本発明の転写装置および画像形成装置は、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、2…感光体、3…帯電部、4…露光部、5…現像部、6…感光体スクイーズ部、7…一次転写部、8…感光体クリーニング部、5e…現像ローラー、6a…第1の感光体スクイーズローラー、6c…第2の感光体スクイーズローラー、9…転写ローラー、9a…基材、9b…ブランケットシート、9c,9d…支持ローラー当接部、9e
…凹部、10…二次転写部、10a…二次転写ニップ、11…二次転写ローラー、12…転写ローラークリーニング部、13はクリーニング部材支持部、13cは回動軸、13d,13eはフレーム支持レバー、13fはレバー支持軸、13g,13h,13i,13jは支持ローラー、13k,13mは支持フレーム付勢スプリング、14は残留トナー擦り切
り部、14a,14bはクリーニング部本体フレーム、14cは転写ローラークリーニン
グローラー、14fは回動軸、14g,14hはクリーニング部本体付勢スプリング、1
5はキャリアー液塗布部、15a,15bは塗布部本体フレーム、15eはキャリアー液
塗布ローラー、15fは回動軸、15g,15hはクリーニング部本体付勢スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤で現像された像を担持して回転する像担持ローラーと、
前記像担持ローラーにクリーニング液を塗布するクリーニング液塗布ローラーを有し、第1の回動軸で回動する塗布部と、
前記クリーニング液塗布ローラーで前記クリーニング液が塗布された前記像担持ローラーに当接して前記像担持ローラーをクリーニングするクリーニングローラーを有し、第2の回動軸で回動するクリーニング部と、
前記クリーニング液塗布ローラーの前記第1の回動軸及び前記クリーニングローラーの前記第2の回動軸を支持するとともに、第3の回動軸で回動して前記クリーニング液塗布ローラーを前記クリーニングローラーよりも大きな移動量で移動させるクリーニング部材支持部と、
を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤で前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
前記現像部で現像された像が転写される像担持ローラーと、
前記像担持ローラーにクリーニング液を塗布するクリーニング液塗布ローラーを有して第1の回動軸で回動する塗布部と、
前記クリーニング液塗布ローラーで前記クリーニング液が塗布された前記像担持ローラーに当接して前記像担持ローラーをクリーニングするクリーニングローラーを有して第2の回動軸で回動するクリーニング部と、
前記塗布部及び前記クリーニング部を支持するとともに、第3の回動軸で回動して前記クリーニング液塗布ローラーを前記クリーニングローラーよりも大きな移動量で移動させるクリーニング部材支持部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記第3の回動軸と前記第2の回動軸との間の距離は、前記第3の回動軸と前記第1の回動軸との間の距離よりも短い請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の回動軸と前記第3の回動軸とは同軸である請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の回動軸は、前記像担持ローラーと前記クリーニングローラーとが当接して形成されるクリーニングニップを通る前記像担持ローラーの仮想接線の方向に設けられる請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング部材支持部を支持して回動させるフレーム支持レバーを有する請求項2ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング部材支持部は、前記像担持ローラーと当接もしくは離間する第1の支持ローラー、及び前記像担持ローラーと当接もしくは離間する第2の支持ローラーを有し、
前記第3の回動軸は、前記第1の支持ローラーと前記第2の支持ローラーとの間に配設される請求項2ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−220535(P2012−220535A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82919(P2011−82919)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】