説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられ、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するための転写装置であって、厚みの大きな被記録体に転写する場合における転写の安定性を向上するための転写装置及びこれを有するかかる画像形成装置の提供。
【解決手段】転写バイアスが印加されたときに像担持体11と転写部材17との間の通電状態を維持するように、像担持体11と転写部材17との間に被記録体が位置する第1の状態で像担持体11側と転写部材17側との接触を維持する弾性部材55が、付勢手段53により像担持体11と転写部材17とが互いに当接した第2の状態で第1の状態における弾性部材55の状態よりも圧縮された状態となり、第2の状態における弾性部材55の抵抗値は、転写部材17の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定されている転写装置51。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に備えられ、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するための転写装置及びこれを有するかかる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置において、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するため、像担持体との間に転写紙等の被記録体を挟む転写ローラを備えた転写装置が用いられている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)。
【0003】
このような転写装置は、像担持体との間に被記録体を挟むことによって像担持体と転写ローラとの間隔が変化すること等を考慮して、転写ローラを像担持体に接離するように備えている(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)。なお、像担持体と転写ローラとの間に被記録体を通過させる場合には、被記録体の先端が像担持体と転写ローラとの間に進入したときに、像担持体と転写ローラとを離間させる向きの力が作用する。
【0004】
一方、近年、かかる画像形成装置において、たとえば坪量349g/cmといった、厚紙の中でも厚みがとくに大きい超厚紙への画像形成に対応することが要求されるようになってきており、このような画像形成を行う場合には、像担持体と転写ローラとの間に超厚紙を通紙することとなる。
【0005】
そうすると、像担持体と転写ローラとの間に被記録体を通過させる場合、とくに超厚紙のような厚紙の通紙を行う場合には、上記作用による力が大きく働き、転写ローラが、像担持体や被記録体から離間する状態が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる状態が生じると、像担持体と転写ローラとの間に、転写を行うためのバイアスが印加されている場合、バイアス制御異常が生じ得る。すなわち、たとえば、かかるバイアスの制御を、像担持体と転写ローラとの間に流れる電流に基づく電圧制御によって行っている場合には、かかる状態が生じると像担持体と転写ローラとの間に電流が流れなくなることにより、かかる電圧制御に支障をきたすという問題が生じることが考えられる。そして、この問題が生じた場合の最悪のケースとして、電圧制御の異常検知により画像形成装置が停止し、サービスマン等によるメンテナンスを要する事態に陥ることとなり得る。このような事態が発生すると、ユーザの信頼性を著しく低下させることとなる。
【0007】
この問題を解決するための方策として、像担持体と転写ローラとの間に常に電流が流れるように何らかの部材を介在させることも考えられるが、単にそのような部材を用いると、リークによる制御異常が生じかねず、また、像担持体と転写ローラとの間隔が変化する構成、及びこの構成によって上述の状態が生じ得ることに起因して、他にも不具合が発生する場合がある。すなわち、上述のような電圧制御を行う場合、そのような部材を用いても、転写ローラが像担持体や被記録体から離間する状態が生じることによってかかる電流の値に大きな変化が生じたり、かかる間隔による変形に起因して像担持体と転写ローラとの間の抵抗が大きく変化したりする場合には、バイアスが安定せず、転写不良を生じ得る。
【0008】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に備えられ、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するための転写装置であって、厚みの大きな被記録体に転写する場合における転写の安定性を向上するための転写装置及びこれを有するかかる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体との間で被記録体を挟む転写部材と、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材との間に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材とが互いに当接するように付勢する付勢手段と、前記転写部材が像担持体との間で被記録体を挟む領域の外側に設けられ、前記転写バイアス印加手段により前記転写バイアスが印加されたときに像担持体と前記転写部材との間の通電状態を維持するように、像担持体と前記転写部材との間に被記録体が位置する第1の状態で像担持体側と前記転写部材側との接触を維持する弾性部材とを有し、この弾性部材は、前記付勢手段により像担持体と前記転写部材とが互いに当接した第2の状態で第1の状態における同弾性部材の状態よりも圧縮された状態となり、第2の状態における同弾性部材の抵抗値は、前記転写部材の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定されている転写装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体との間で被記録体を挟む転写部材と、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材との間に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材とが互いに当接するように付勢する付勢手段と、前記転写部材が像担持体との間で被記録体を挟む領域の外側に設けられ、前記転写バイアス印加手段により前記転写バイアスが印加されたときに像担持体と前記転写部材との間の通電状態を維持するように、像担持体と前記転写部材との間に被記録体が位置する第1の状態で像担持体側と前記転写部材側との接触を維持する弾性部材とを有し、この弾性部材は、前記付勢手段により像担持体と前記転写部材とが互いに当接した第2の状態で第1の状態における同弾性部材の状態よりも圧縮された状態となり、第2の状態における同弾性部材の抵抗値は、前記転写部材の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定されている転写装置にあるので、第2の状態における抵抗値が、転写部材の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定された弾性部材により、厚みの大きな被記録体に転写する場合でも、像担持体側と転写部材側との接触を維持することにより、転写バイアス印加手段により転写バイアスが印加されたときの像担持体と転写部材との間の通電状態を安定的に維持することで、転写の安定性を向上することが可能であり、良好な画像形成に寄与し得る転写装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一例の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた像担持体及び転写装置並びに像担持体の周りの構成を示す概略正面図である。
【図3】図2に示した転写装置の第2の状態を模式的に示した概略正断面図である。
【図4】図2に示した転写装置の第1の状態であって転写部材が被記録体に当接している場合を模式的に示した概略正断面図である。
【図5】図2に示した転写装置の第1の状態であって転写部材が被記録体から離間している場合を模式的に示した概略正断面図である。
【図6】図2に示した転写装置に備えられた転写部材及び弾性部材の概略正断面図である。
【図7】転写ローラの抵抗値と転写率との関係を示した概念図である。
【図8】従来の構成の転写装置による不具合を説明するための転写装置の状態を示した模式図である。
【図9】従来の構成の転写装置による不具合を説明するための転写装置の制御態様を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことが可能になっているカラーデジタル複合機であるが、他の画像形成装置、すなわち、モノクロ機や、複写機、プリンタ、ファクシミリの単体、あるいは複写機とプリンタとの複合機等他の複合機であっても良い。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
【0013】
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをも記録シートであるシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。厚紙には、坪量349g/cmといった、厚紙の中でも厚みがとくに大きい超厚紙を含む。画像形成装置100は、記録媒体としての記録体である記録紙たる転写紙の両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。なお、画像形成装置100は、高画質機であり、後述するように、普及機と異なる部分を有している。
【0014】
画像形成装置100は、上下方向において中央位置を占めプリンタ部として機能する本体101と、本体101の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての読取装置21および原稿を積載され積載された原稿を読取装置21に向けて送り出すADFといわれる原稿自動搬送装置である自動原稿給紙装置22と、本体101の下側に位置し第1の像担持体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと像搬送体としての被転写体であり被記録体たる第2の像担持体である転写ベルト11との間に向けて搬送される被転写体であり被記録体である転写紙を積載した給紙テーブルとしての給紙装置であるシート給送装置23とを有している。
【0015】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の感光体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム型の画像形成装置である。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、互いに同一径であり、画像形成装置100の本体101の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルト状の中間転写体たる中間転写ベルトとしての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
【0016】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら図中時計方向である矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成され各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に担持された像である可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙に一括転写されるようになっている。このように画像形成装置100は中間転写方式である間接転写方式を採用している。よって画像形成装置100はタンデム型間接転写方式の電子写真装置となっている。
【0017】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設され転写ベルト11の内周面に接触配置された転写チャージャとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの真下の位置すなわち1次転写位置である転写位置にて行われる。
【0018】
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像形成手段である画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0019】
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される画像形成部としての作像部60と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの下方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットであるベルトユニットとしての転写ユニットたる転写ベルトユニット10と、転写ベルト11を挟んで作像部60と反対の側において、転写ベルト11に対向して配設され、転写ベルト11に当接し、転写ベルト11への当接位置において転写ベルト11と同方向に回転して中間転写ベルト11に担持されたトナー像を転写紙に転写する第2の転写部材としてのローラ状の部材として構成された紙転写ローラである2次転写ローラ17を備えた転写装置である2次転写装置51と、2次転写装置51によって転写ベルト11上のトナー像を転写されたシートを搬送する搬送装置76とを有している。
【0020】
画像形成装置100はまた、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された書き込み手段である光書き込み装置としての光書き込みユニットたる露光装置である光走査装置8と、シート給送装置23から搬送されてきた転写紙を、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に向けて繰り出すレジストローラ対13と、転写紙の先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0021】
画像形成装置100はまた、搬送装置76によって転写ベルト11上のトナー像を転写された状態で搬送されてきた転写紙が進入し、転写紙にトナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着手段である定着装置6と、定着済みの転写紙を本体101外に排出する排紙経路と再度レジストローラ対13に向けて搬送する反転経路とを備え転写紙を何れかの経路に搬送する排紙ユニット79と、2次転写装置51、搬送装置76および定着装置6の下方に、作像部60と平行に配設され、転写紙の両面に画像を記録すべく、排紙ユニット79が一方の面に画像を形成された転写紙を反転経路に搬送した場合に、その転写紙をスイッチバックして上下反転させ、再度、レジストローラ対13に向けて搬送する再給紙ユニットとしてのシート反転装置である両面ユニット96とを有している。
【0022】
画像形成装置100はまた、本体101外部に配設され画像形成済みの転写紙を積載するスタック部としての排紙トレイ75と、図1における本体101の右側面に配設された手差し給紙装置33と、画像形成装置100の操作を行う図示しない操作パネルと、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部としての制御手段99と、図示しないトナー回収用ボトルである廃トナータンクとを有している。
【0023】
図2に示すように、転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、転写ベルト11のループ内側に配設され転写ベルト11を転写ベルト11の裏側で感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧した1次転写手段としての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられ転写ベルト11を同図に示されているように逆三角形状の形状になる姿勢で掛け回した第1ないし第3の支持ローラとしてのベルト支持ローラである、転写ベルト11を回転駆動する回転駆動ローラとしての張架ローラである駆動ローラ72、2次転写対向ローラとしての斥力ローラである転写入口ローラ73および従動ローラであるテンションローラ74と、テンションローラ74との間に転写ベルト11を挟み込み転写ベルト11表面をクリーニングするクリーニング手段としてのベルトクリーニング装置である中間転写体クリーニング装置たる中間転写ベルトクリーニング装置14とを有している。
【0024】
転写ベルトユニット10はまた、A1方向において作像部60よりも下流側且つ2次転写ローラ17よりも上流側、具体的には駆動ローラ72に対向する位置で転写ベルト11の外周面に対向して配設され転写ベルト11上のトナー像を光学的に検知するための検知部たる検知ユニットとしての反射型光学センサである反射型濃度センサたる光学センサ50と、駆動ローラ72を回転駆動することで転写ベルト11をA1方向に無端移動させる図示しないベルト駆動モータと、画像形成が2色以上の多色画像で行われるか黒色のみの単色画像すなわちモノクロ画像で行われるかに応じて転写ベルト11等を変位させる図示しない転写ベルトユニット駆動手段と、光学センサ50を転写ベルト11から離間した位置において所定距離を保つように保持した図示しない保持部材とを有している。なお回転駆動ローラはテンションローラ74または転写入口ローラ73によって構成してもよく、この場合はその他のローラが従動回転する従動ローラとなる。
【0025】
転写ベルト11は、本形態では多層構造を採っている。具体的には、転写ベルト11は、伸びの少ないフッ素樹脂によって形成されたベース層と、フッ素系樹脂によって形成され表面を構成したコート層とを有している。ベース層は他にPVDFシート、ポリイミド系樹脂によって形成しても良い。コート層の材料はフッ素系樹脂に限らない。転写ベルト11は単層構造であっても良い。転写ベルト11を単層構造とする場合には、PVDF、PC、ポリイミド等の材質を用いる。なお転写ベルト11の材料として以上述べたものは例示であり、転写ベルト11の材料はこれらに特定されるものではない。
【0026】
転写ベルトユニット駆動手段は、画像形成が2色以上の多色画像で行われるときには、転写ベルト11が図1に示すように張架される態位としてこの上側の略水平な展張面に転写ベルト11を各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに接触させ、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、同図左方を下側に変位させるようにして転写ベルト11を感光体ドラム20Y、20M、20Cから離間させ転写ベルト11が各感光体ドラム20BKのみに接触する態位とする。なお、画像形成がモノクロ画像で行われるときには、感光体ドラム20Y、20M、20Cの回転をはじめとして画像ステーション60Y、60M、60Cの各構成の動作が停止される。このような構成においては、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKは、A1方向上流から、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの順で横に並べ、後述のような現像を行うことが好ましいが、何れにしても、作像部60は、テンションローラ72と駆動ローラ74との間に張り渡した転写ベルト11上に配置される。また、このように、画像を形成する色の順番は、画像形成装置100の持つ狙いや特性によって異なってくるものであり、限定されるものではない。
【0027】
2次転写ローラ17は、転写ベルト11の下方に配設されており、転写入口ローラ73による転写ベルト11の掛け回し箇所において転写ベルト11の表面側から転写ベルト11に当接して、転写入口ローラ73との間に転写ベルト11を挟み込んでおり、この挟み込みにより、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが接触する2次転写部としての2次転写ニップを形成している。
【0028】
このように、2次転写ローラ17は、転写ベルト11を挟んで転写入口ローラ73に対向するように配設されており、転写ベルト11上に担持されたトナー像を転写紙に転写するために、転写ニップにおいて転写ベルト11との間で転写紙を挟むようになっている。
【0029】
2次転写ローラ17は、画像形成装置100が高画質機であることに伴って、比較的硬度の高いゴム材料によってソリッドタイプで構成されており、普及機に用いられる材料よりゴム硬度が高くなっている。2次転写ローラ17の硬度は、具体的には、一般的なソリッドタイプの硬度である50Hs JIS−A程度か、これを上回る程度となっている。2次転写ローラ17の材質は、具体的には、EPDMとなっているが、他に、ウレタンゴム、NBR等であっても良い。
【0030】
その他、2次転写ローラ17の抵抗値は、105.5Ωとなっている。ただし、2次転写ローラ17の抵抗値は、画像形成装置100を構成するシステムの一部としてこの抵抗値を評価することによって決定されるものであり、通常、10Ω以上1010Ω以下の範囲で適宜設定される。この範囲で設定されるのは、かかる抵抗値を超えると低抵抗の転写紙を通紙したときにバイアスが漏れてリークが発生し、かかる抵抗値を下回るとバイアスが掛からなく現象が見られるためである。なお、この抵抗値の測定方法は、2次転写ローラ17を電極板に乗せ、何れか一方からバイアスを印加したときの抵抗値を、電流もしくは電圧を用いて計算して得るものである。
【0031】
図2に示すように、2次転写装置51は、2次転写ローラ17の他、転写ベルト11上に担持されたトナー像を転写紙に転写するために転写入口ローラ73と2次転写ローラ17との間に電圧を印加することで転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に転写バイアスである2次転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段としての2次転写バイアス印加手段52と、2次転写ローラ17をクリーニングする2次転写クリーニング装置18とを有している。
【0032】
よって、2次転写装置51は、2次転写バイアス印加手段52により、2次転写ニップに2次転写バイアスを印加し、後述するようにして転写ベルト11上に担持された最大4色のトナー像を、転写ベルト11側から2次転写ローラ17側に向けて静電移動させる、2次転写電界を形成する。このようにして、かかるトナー像は、後述するようにしてレジストローラ13により転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に搬送されてきた転写紙に、2次転写電界、ニップ圧によって転写される。
【0033】
2次転写バイアス印加手段52は、本形態では、2次転写ローラ17に、トナーと逆極性のバイアスを印加する引力転写方式である引力バイアス方式による転写を行うように構成されているが、転写入口ローラ73に、トナーと同極性のバイアスを印加する斥力転写方式である斥力バイアス方式による転写を行うように構成しても良い。
【0034】
2次転写バイアス印加手段52は、制御手段99により、電圧がモニターされ、その動作時であるバイアス印加時に流れる電流が一定となるように、制御手段99により印加する電圧を制御される。
2次転写装置51については、後にさらに詳しく述べる。
【0035】
図1に示すように、搬送装置76は、その上面側で転写紙を搬送する用紙搬送ベルトとしての搬送ベルト5と、搬送ベルト5を巻き掛けた張架ローラである、駆動ローラ15及び従動ローラ16と、2次転写ベルト5に対向して配設され転写ベルト11を介して押圧された対向ローラとしてのバックアップローラである転写入口ローラ73と、トナーと逆極性の2次転写バイアスを駆動ローラ15に印加する図示しない電源とを有している。
【0036】
中間転写ベルトクリーニング装置14は、A1方向において2次転写ニップの下流側であって、1次転写が行われる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの対向領域のうちA1方向において最上流となる感光体ドラム20Yと1次転写ローラ12Yとの対向領域よりも上流側の位置において、転写ベルト11上に残留している残留トナー等を除去することで転写ベルト11をクリーニングするものである。
【0037】
中間転写ベルトクリーニング装置14は、図示を省略するが、転写ベルト11にかかる位置で当接したクリーニング部材としての導電性のブラシローラであるファーブラシと、このファーブラシに当接しファーブラシに付着した残留トナー等を掻き落とすブレードと、ファーブラシを随時転写ベルト11に接離させる当接・離間手段と、ファーブラシに、転写ベルト11上のトナーを移動させる向きの電圧を印加する電圧印加装置と、ブレードによってファーブラシから掻き落とされた残留トナー等を中間転写ベルトクリーニング装置14の奥側すなわち図1の紙面奥側に搬送する搬送部材とを有している。ファーブラシは、転写ベルト11に対して接触してカウンタ方向に回転するように設けられている。
【0038】
中間転写ベルトクリーニング装置14は、転写ベルト11のA1方向への回転とともに、ファーブラシを用いて転写ベルト11表面のクリーニングを静電的に行い、このクリーニングにより転写ベルト11からファーブラシ側に転移した残留トナー等をさらにブレードにより掻き落とす。掻き落とされた残留トナー等は、搬送部材によって搬送されて重力により下方へ落下して廃トナータンク内へと収容される。
【0039】
廃トナータンクは内部の残留トナー等の量を検知する回収トナー量検知手段を有しており、回収トナー量検知手段によって残留トナー等が廃トナータンク内部で満杯となったことが検知されると、画像形成装置100が停止され、残留トナー等が廃トナータンクからあふれることが防止されるようになっている。
【0040】
中間転写ベルトクリーニング装置14の構成はこれに限らず、クリーニング部材として、ウレタン等によって形成され、A1方向に対しカウンタ方向に当接されたブレード状の部材や、ローラを、上述のファーブラシに代えてあるいは上述のファーブラシとともに備え、静電的に残留トナー等を回収するものであっても良い。
【0041】
定着装置6は、搬送装置76による転写紙の搬送方向における2次転写装置51及び搬送装置76の下流側に配設されている。定着装置6は、熱源を内部に有する加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト64と、加熱ローラ62とともに定着ベルト64を巻き掛けた定着ローラ65と、定着ローラ65との間で定着ベルト64に圧接し圧接部である定着部としての定着ニップを形成する加圧ローラ63とを有している。加熱ローラ62と、定着ベルト64と、定着ローラ65とは、定着ベルト64が無端移動するベルトユニットを構成している。定着装置6は、トナー像を担持した転写紙を定着ニップに通すことで、熱と圧力との作用により、すなわち加圧や加熱の処理により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。このように、定着装置6は、定着ベルト64を用いたベルト定着方式を採用しているが、定着ベルト64でなくローラ状の定着部材を用いたローラ定着方式を採用しても良い。
【0042】
光走査装置8は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、光書込処理を施して静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしてのレーザー光であるビームLY、LM、LC、LBKを発する図示しない光源を有している。
【0043】
ビームLY、LM、LC、LBKは、読取装置21で読み取られた原稿、ファクシミリにおける受信データ、PC等の外部入力装置から入力される画像情報に基づいて生成される各色の版を構成する、形成すべき画像に対応した電子情報である画像信号が光情報に変換されたものである。
【0044】
光走査装置8は、制御手段99によって光源の駆動が制御されることで、光源からビームLY、LM、LC、LBKを出射し、かかる光情報を感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に潜像として固定するものである。なお、光源は、光走査装置8のようなレーザー方式に限定されず、LED方式など他の方式を用いた露光装置であっても良い。
【0045】
図1に示すように、排紙ユニット79は、定着装置6から搬送されてきた定着済みの転写紙を、両面ユニット96に向けて搬送する搬送ローラ97と、本体101外に排出する排出ローラ対としての排紙ローラ98と、定着済みの転写紙を搬送ローラ97のある排紙経路に導いて本体101外に排出するか、排紙ローラ98のある反転経路に導いて両面ユニット96に進入させるかを切り換える切換爪94とを備えている。
【0046】
両面ユニット96は、排紙ユニット79から搬送されてきた、一方の面に画像形成された転写紙を一旦積載する給紙ボックスとしてのトレイ92と、トレイ92上の転写紙をスイッチバックさせる反転ローラ93と、反転ローラ93によってスイッチバックされた転写紙をレジストローラ13に向けて送り出す給紙ローラ95等を有している。
【0047】
シート給送装置23は、複数枚の転写紙を紙束の状態で収容可能な給紙トレイとしての給紙カセット25を鉛直方向に複数重なるように多段に配設された給紙ボックスとしてのペーパーバンク26と、給紙カセット25に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給送ローラ24により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ27と、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙が通過する給紙路29とを有している。
【0048】
給紙路29は、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出された転写紙をレジストローラ対13に向けて搬送する搬送手段としての搬送ローラ28と、転写紙の搬送方向下流端言い換えると末端の付近に位置するレジストローラ13とを備え、搬送ローラ28によって搬送される転写紙シート給送装置23から本体101内に連続するように設けられており、本体101内の給紙路29にも搬送ローラ28が配設されている。
【0049】
シート給送装置23は、給送ローラ24が図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ27が作用することにより、最上位の転写紙を給紙路29内に導き、搬送ローラ28の回転によりレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められスキューが修正されるようになっている。
【0050】
手差し給紙装置33は、転写紙を積載する給紙ボックスとしての手差しトレイ34と、手差しトレイ34に積載された転写紙のうち最上位の転写紙の上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ35と、給送ローラ35により繰り出された転写紙を1枚ずつ分離する分離ローラ36と、手差しトレイ34上に転写紙が載置されたことを検知する図示しない用紙センサとを有している。
【0051】
手差し給紙装置33は、給送ローラ35が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ36が作用することにより、最上位の転写紙を、本体101内の、給紙路29に合流した手差し給紙路に送り出し、給紙路29内に導くとともにレジストローラ対13に向けて給送し、搬送された転写紙がレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
【0052】
読取装置21は、原稿を載置するコンタクトガラス21a、コンタクトガラス21aに載置された原稿に光を照射する図示しない光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する図示しない第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体21b、第1走行体21bの反射体によって反射された光を反射する図示しない第2の反射体を備えた第2走行体21c、第2走行体21cからの光を結像するための結像レンズ21d、結像レンズ21dを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ21e等を備えている。
【0053】
読取装置21は、読み取りセンサ21eで読み取った原稿の画像情報を制御手段99に送信する。
自動原稿給紙装置22は原稿を載置する原稿台22aを有している。自動原稿給紙装置22は読取装置21に対して回動自在であって、上方に向けて回動したときコンタクトガラス21aを露出させるようになっている。
【0054】
操作パネルは、液晶ディスプレイ、複写を開始するためのコピースタートスイッチ等として機能するスタートボタン、複写枚数等を入力するためのテンキー等の各種キーボタン等を有する操作表示部となっている。操作パネルにおいては、画像形成を多色画像で行うかモノクロ画像で行うかを指定可能となっているとともに、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードを設定可能となっている。片面プリントモードには、ダイレクト排出モード、反転排出モード、反転デカール排出モードが含まれ、このうちの1つが選択される。
制御手段99は、CPU、記憶手段としてのメモリであるROM、RAM等を備えている。
【0055】
画像ステーション60Y、60M、60C、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、画像ステーション60Yを除く他の画像ステーション60M、60C、60BKの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーション60M、60C、60BKの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、M、C、BKが付されたものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
【0056】
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその移動方向である回転方向B1に沿って、第1の転写部材としての1次転写ローラ12Yを備えた転写装置である1次転写装置51Yと、クリーナ部たるクリーニング手段としての感光体クリーニング装置である1次転写クリーニング装置たるクリーニング装置70Yと、除電部たる除電手段としての除電装置90Yと、帯電部たる帯電手段である帯電ユニットとしての帯電器たる帯電装置30Yと、現像部たる現像手段としての現像ユニットである現像装置80Yとを有している。
【0057】
画像ステーション60Yはまた、感光体ドラム20Yの周囲のこれらの構成を一体化したカートリッジケース59Yと、感光体ドラム20YをB1方向に回転駆動する図示しない駆動手段とを有している。
【0058】
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとはカートリッジケース59Yによって一体化されており、プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yを構成している。プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、カートリッジケース59Yを、本体101に固定された図示しないガイドレールに沿って本体101に対して引き出し自在であるとともに、本体101に押し込むことが可能であり、本体101に対して着脱自在に設置され、適時、交換可能となっている。
【0059】
プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、本体101に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことが可能であるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。またプロセスカートリッジの要素である各部の寿命が同等とされているため、不要な交換が防止、抑制され、さらに好ましい構成となっている。
【0060】
プロセスカートリッジとしての画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとのうち、少なくとも感光体ドラム20Yが、クリーニング装置70Yと、除電装置90Yと、帯電装置30Yと、現像装置80Yとのうちの少なくとも1つと一体化されることによって構成され、本体101に着脱自在に設置されるユニットである。なお5つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される作像部60全体をプロセスカートリッジとして、これらが一体で本体101に対して着脱自在となっていても良い。
【0061】
1次転写ローラ12Yが転写ベルト11を感光体ドラム20Yに向けて押圧して形成された、転写ベルト11と感光体ドラム20Yとの当接位置である1次転写ニップは、感光体ドラム20Y上のトナー像が転写ベルト11に転写される転写位置を構成している。
【0062】
1次転写装置51Yは、1次転写ローラ12Yの他、感光体ドラム20Y上に担持されたトナー像を転写ベルト11に転写するために感光体ドラム20Yと1次転写ローラ12Yとの間に電圧を印加することで感光体ドラム20Yと転写ベルト11との間に転写バイアスである1次転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段としての1次転写バイアス印加手段52Yを有している。1次転写バイアス印加手段52Yは、トナーの正規の帯電極性である負極性と逆極性である正極性の1次転写バイアスを、定電圧制御により1次転写ローラ12Yに印加するようになっている。
【0063】
よって、1次転写装置51Yは、1次転写バイアス印加手段52Yにより、1次転写ニップに1次転写バイアスを印加し、後述するようにして感光体ドラム20Y上に担持されたイエロー色のトナー像を、感光体ドラム20Y側から転写ベルト11側に向けて静電移動させる、1次転写電界を形成する。このようにして、かかるトナー像は、転写ベルト11に、1次転写電界、ニップ圧によって転写される。
【0064】
除電装置90Yは、感光体ドラム20Yの表面に近接して配設された図示しない除電ランプを備えており、感光体ドラム20Yの表面を除電して電気的に清浄な状態とすることでかかる表面の電位を初期化するものである。
【0065】
帯電装置30Yは、図示を省略するが、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する帯電部材としての帯電ローラと、帯電ローラに当接し従動回転する帯電クリーニング部材としてのクリーニングローラとを有している。
【0066】
帯電ローラには、直流に交流成分の帯電バイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、除電装置90Yによって除電された感光体ドラム20Yの表面を所定の極性に一様に帯電するようになっている。
【0067】
クリーニングローラは帯電ローラに従動回転することで帯電ローラをクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、非接触のスコロトロンチャージャを採用したものであっても良い。
【0068】
現像装置80Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設されたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤である現像剤を担持する現像部材としての現像ローラ81Yと、現像ローラ81Yに直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、トナーを収容した図示しないトナーカートリッジと、現像装置80Y本体内の現像剤中のトナーのキャリアに対する重量パーセントであるトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度検知手段と、トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が所定濃度となるようにすなわちトナー濃度検知手段による検知信号によって示される値が所定の制御目標値となるようにトナーカートリッジから現像装置80Y本体内にトナーを補給する図示しないトナー補給手段とを有している。現像剤は、磁性キャリアと、正規の帯電極性がマイナスのカラートナーであるイエロートナーとを含む二成分現像剤である。バイアス印加手段によって印加される現像バイアスは直流成分でなく交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
【0069】
感光体ドラム20Yの表面の、帯電装置30Yと現像装置80Yとの間には光走査装置8Yから出射されたビームLYが照射され、帯電装置30Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面の被走査面が露光され、現像装置80Yによってイエロートナー像として可視像化される、画像情報に応じた静電潜像を書き込まれるようになっており、このビームLYが照射される部分は露光部となっている。
【0070】
クリーニング装置70Yは、その先端が感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の転写残留物である転写残トナー、キャリア、紙粉等の異物を掻き取って回収しクリーニングするクリーニング部材としての図示しないクリーニングブレードと、回収した転写残トナーを廃トナータンクに搬送して回収する図示しない廃トナー搬送手段とを有している。クリーニング装置70Yは、クリーニングブレードとともにあるいはクリーニングブレードに代えてファーブラシローラを用いてもよいし、磁気ブラシクリーニング方式を採用しても良い。
【0071】
以上のような構成の画像ステーション60Yにおいては、画像形成時において、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8Yからの光の露光走査により、露光部言い換えると照射部における感光体ドラム20Yの電位が減衰してイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Yによりイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色のトナー像を1次転写装置51Yによって形成される一次転写電界、ニップ圧により、A1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置70Yにより除去されて除電装置90Y、帯電装置30Yによる次の除電、帯電に供される。
【0072】
このような構成の画像形成装置100において、複写を行うときには、自動原稿給紙装置22の原稿台22aに原稿をセットするか、自動原稿給紙装置22を上方に回動してコンタクトガラス21a上に原稿を載置したうえで自動原稿給紙装置22を下方に回動して閉じ原稿を押さえた状態としたうえで、操作パネルのスタートボタンを押下する。なお、自動原稿給紙装置22にセットされる原稿は、たとえば束状のシート原稿であり、コンタクトガラス21a上にセットされる原稿は、たとえば本状に綴じられている片綴じ原稿である。画像形成装置100をプリンタとして使用する場合には、画像形成装置100に接続したPC等の外部入力装置において画像形成を行う画像データを選択、入力等したうえで画像形成開始の操作を行う。
【0073】
複写を行う場合であって、原稿を原稿台22aにセットした場合には、セットした原稿がコンタクトガラス21a上に送り出されてから読取装置21による原稿の読み取りが行われ、また、原稿をコンタクトガラス21a上に載置したときにはスタートボタンの押下によって読取装置21による原稿の読み取りが行われ、画像データが生成される。
【0074】
読取装置21による原稿の読み取りは次のように行われる。スタートボタンの押下によって第1走行体21bおよび第2走行体21cがコンタクトガラス21aに載置された原稿の原稿面に沿って走行を開始し、第1走行体21bにより、光源から発した光を原稿面で反射させるとともに、得られた反射光を第2走行体21cに向けて反射する。この第1走行体21bからの折り返し光は、第2走行体21cによってさらに折り返された後、結像レンズ21dを通して読み取りセンサ21eに入射し、これにより原稿内容が読み取られる。
【0075】
生成された画像データ又は入力された画像データに基づいて、上述の構成の画像ステーション60Y、60M、60C、60BKが作動する。また、かかる原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジである画像ステーション60Y、60M、60C、60BK内の各機器や、転写ベルトユニット10、2次転写ユニット76、定着装置6等がそれぞれ駆動を開始する。
【0076】
画像ステーション60Yにおいては、上述したように、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電されて一様帯電処理が行われ、光走査装置8により静電潜像を形成されて光書込処理が行われ、この静電潜像を現像装置80Yによりイエロー色のトナーにより現像されて現像処理が行われ、イエロー色のトナー像を1次転写ローラ12Yによって転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置70Yにより除去されて除電装置90Y、帯電装置30Yによる次の除電、帯電に供される。
【0077】
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいてもその状態が良好に保たれながら同様に各色のトナー像が良好に形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12M、12C、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。このとき、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、トナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性の電圧が印加されるようになっている。
【0078】
転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像によって構成された4色重ね合わせトナー像すなわち4色トナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ17との対向位置である2次転写ニップまで移動し、転写ベルト11に密着した転写紙に、ニップ圧や転写用電界である2次転写電界の作用によって2次転写され、転写紙上にフルカラー画像が担持される。
【0079】
転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に搬送されてきた転写紙は、スタートボタンの押下により、画像情報に応じたサイズに応じてシート給送装置23の1つの給送ローラ24が選択されこの回転によって対応する給紙カセット25から繰り出されてフィードされたものであるか、または、手差し給紙装置33の給送ローラ35の回転によって手差しトレイ34から繰り出されてフィードされたものであるか、または、両面ユニット96から給紙ローラ95によって繰り出されてフィードされたものであるかの何れかであって、レジストローラ対13によって、そのローラ間に挟み込まれ、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ17に対向するタイミングで送り出されたものである。かかるフィード動作は、上述の原稿読取動作と略同時に開始される。
【0080】
転写紙は、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、搬送装置76によって搬送されて定着装置6に送り込まれ、定着ベルト64と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙上に良好なカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙は、切換爪94の態位に応じて、排紙ローラ98を経由して排紙トレイ75上にスタックされるか、または搬送ローラ97を経て両面ユニット96に進入して再度レジストローラ対13に戻され、2次転写ニップおよび定着装置6を再経由する両面画像形成に備える。
【0081】
一方、1次転写を終えた感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、クリーニング装置70Y、70M、70C、70BKによってこれに残留する転写残トナー等を除去されてクリーニングされ、次の画像形成に備える。また、2次転写を終えた転写ベルト11は、中間転写ベルトクリーニング装置14によってこれに残留する残留トナー等といわれる転写残トナー等を除去されてクリーニングされ、次の画像形成に備える。
【0082】
このような画像形成動作を良好に行うにあたって、2次転写のときに転写ベルト11と2次転写ローラ17とにより転写紙を密着した状態で挟むことは、転写ベルト11上のトナー像を転写紙に良好に転写するために重要である。
【0083】
ところで、転写ベルト11と2次転写ローラ17とにより転写紙を挟む場合には、転写紙の厚み分だけ、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが離間することとなる。しかし、転写ベルト11と2次転写ローラ17との両者が定位置で回転するとすれば、かりに2次転写ローラ17を弾性体によって構成して2次転写ローラ17が弾性的に転写紙の厚み分だけ圧縮変形するようになっているとしても、圧縮変形に必要とされる応力が転写紙の搬送抵抗となり、2次転写ニップへの転写紙の進入不良が生じて、ジャム等の不具合が発生し得る。
【0084】
そこで、2次転写装置51は、2次転写ニップへの転写紙の進入を容易にするために、2次転写ローラ17を、転写入口ローラ73及び転写ベルト11に接離自在に支持した図示しない長孔等を備えた支持部材を備えているとともに、図3に示すように、転写ベルト11上に担持されたトナー像を転写紙に転写するために転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに当接するように2次転写ローラ17を転写入口ローラ73及び転写ベルト11に向けて付勢した付勢部材としての加圧バネであるバネ53を備えている。バネ53の付勢力より、同図に示されているように、転写紙Sが2次転写ニップに進入していない状態では、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに当接し圧接状態となった第2の状態が形成される。
【0085】
同図において、符号54は、2次転写ローラ17の回転中心となるように2次転写ローラ17を支持した芯金である支持軸を示している。バネ53は、一対備えられ、支持軸54の両端部を転写入口ローラ73の回転中心に向けて付勢している。支持軸54は、2次転写ローラ17を固定されており、端部が支持部材に回転自在に支持されている。これにより、2次転写ローラ17は支持部材に回転自在に支持されている。なお、図3に示した状態において、2次転写ローラ17は、バネ53の付勢力によって転写ベルト11に圧接しているとともに転写ベルト11を介して転写入口ローラ73に圧接していることにより、実際には弾性変形しているが、図においてはこの変形の図示を省略している。このことは図4においても同様である。
【0086】
このような構成により、2次転写ニップに転写紙が進入すると、第2の状態から、図4に示すように、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが転写紙の進入によって互いに離間し、転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に転写紙が位置する第1の状態が形成されるようになっている。
【0087】
なお、本形態では、図3に示すように、バネ53は、2次転写ニップに転写紙が進入していない非転写時においても、2次転写ローラ17を転写ベルト11に当接させ第2の状態を形成するようになっており、2次転写ローラ17が、非転写時において常時、転写ベルト11に圧接するようになっているが、2次転写装置51は、このような当接状態、圧接状態が、転写時のみに得られるように構成されていても良い。このように構成されている場合も、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに当接した状態を第2の状態というものとする。
【0088】
このように、バネ53が備えられていることにより、2次転写ローラ17は、転写入口ローラ73及び転写ベルト11に対して接離自在に支持されているものの、通常は、図4に示すように、2次転写ニップに進入してきた転写紙に密着するとともに、転写紙を転写ベルト11及び転写ベルト11上のトナー像に密着させ、良好な定着に寄与する。
【0089】
ところが、バネ53を備えているにもかかわらず、第1の状態となったとき、すなわち転写紙が2次転写ニップに進入してきたときに、2次転写ローラ17が、図5に示すように、転写紙から、最大で転写紙1枚程度の隙間で離間する可能性があり、このように離間すると、2次転写装置51が、単に、すでに述べた構成となっているとするとすれば、2次転写バイアス印加手段52によるバイアス印加不良が生じ得る。この現象について説明すると次のとおりである。
【0090】
転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に転写紙を通過させる場合には、転写紙の先端が2次転写ニップに進入した瞬間、転写ベルト11と2次転写ローラ17とを離間させる向きの力が作用し、バネ53の付勢力に抗して2次転写ローラ17が押し下げられ、図8に示すように、2次転写ローラ17の離れ現象、すなわち2次転写ローラ17が転写ベルト11や転写紙から離間する状態が、ほんの僅かな時間ではあるが、生じる可能性がある。
【0091】
とくに、画像形成装置100において画像形成可能となっている超厚紙のような厚紙に画像形成を行うときは、かかる作用による力が大きく働き、2次転写ローラ17が、転写ベルト11や転写紙から離間する状態が生じやすい。
【0092】
さらに、画像形成装置100は高画質機であり、2次転写ローラ17が比較的硬度の高いゴム材料で形成されていることにより、ゴム硬度が低い場合よりも、かかる作用による力が大きく働き易いため、転写ベルト11や転写紙から離間する状態が生じやすい。
【0093】
そして、2次転写バイアス印加手段52は、バイアス印加時に流れる電流が一定となるように電圧を制御されることから、かかる状態が生じ、2次転写ローラ17側と転写ベルト11側とが完全に離れると、かかる電流が流れなくなることとなって、バイアス制御異常が生じ得る。
【0094】
すなわち、転写バイアスが定電流となるように制御される場合、図9に示すように、2次転写ローラ17と転写ベルト11とが密着して2次転写ローラ17側と転写ベルト11側との間で通常の電圧が流れ、通常の転写バイアスVtが掛けられた第2の状態から、時間Tにおいて、第1の状態となり、この状態において2次転写ローラ17が対向部材である転写ベルト11から完全に離れた上述の状態となると、転写バイアス、ここでは転写電流を一定にするために、電圧は上昇する。
【0095】
しかしながら、2次転写ローラ17が転写ベルト11側から離れている状態では、電圧をいくら上げても電流は設定した値にならず、バイアス印加不良が生じる。すなわち、電源電圧側でスレッシュ電圧Vsを決めておき、このスレッシュ電圧Vsがある決められた時間Δt掛かり続けた時にバイアス異常と判断するように設定され、バイアス異常判断を行うこととなっているとすると、2次転写ローラ17が転写ベルト11側から離れている状態が時間Δt継続すると、バイアス異常判断が行われることとなる。そして、このバイアス異常判断が行われると画像形成装置100が異常停止する場合、サービスマンコールを要する事態となり得る。また、かかる状態では、転写紙の搬送が行われないことにもなり得る。
【0096】
そこで、画像形成装置100においては、第1の状態で転写ベルト11側と2次転写ローラ17側との接触を維持し、通電状態を維持する弾性部材としてのスポンジ状の部材であり中空のローラ状の弾性ローラとして構成されたスポンジローラ55を、図3ないし図5に示すように、2次転写ローラ17と同軸上すなわち支持軸54上に有している。スポンジローラ55は、一対備えられている。何れのスポンジローラ55も、転写ベルト11に対向する位置に設けられ、転写ベルト11に、転写ベルト11が転写入口ローラ73に巻き掛けられた位置で当接することで、第1の状態で転写ベルト11との接触を維持するようになっている。
【0097】
かかる接触を維持するため、図6に示すように、各スポンジローラ55の外径D2は、2次転写ローラ17の外径D1よりも、1mm以上4mm以下の範囲で大きくされている。この範囲は、第1の状態において2次転写ローラ17が転写ベルト11から離間する最大量を見込んだものである。よって、2次転写ローラ17が転写ベルト11から最大量で離間しても、スポンジローラ55は転写ベルト11と接する。
【0098】
このような構成により、バネ53の付勢力により2次転写ローラ17が転写ベルト11に当接した第2の状態において、スポンジローラ55は、バネ53の付勢力により圧縮された状態となっており、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに接離する方向における、スポンジローラ55の圧縮量すなわち転写ベルト11に当接する部分での最大の圧縮量は、1mm以上4mm以下となっている。
【0099】
そして、第1の状態において、2次転写ローラ17が転写ベルト11から最大量で離間した場合であって、スポンジローラ55がバネ53の付勢力から開放された場合であっても、図5に示すように、スポンジローラ55は転写ベルト11に接する。なお、第1の状態において、2次転写ローラ17が転写ベルト11から最大量で離間した場合であっても、スポンジローラ55の径によっては、スポンジローラ55がバネ53の付勢力から開放されない場合があり、この場合には、スポンジローラ55は、転写ベルト11との当接により圧縮された状態を維持されることとなる。
【0100】
このようにして、スポンジローラ55と転写ベルト11との接触が維持されることにより、2次転写ローラ17側と転写ベルト11側との接触が維持され、転写バイアスが必ずかかるようになる。
【0101】
ただし、スポンジローラ55の抵抗値如何では、2次転写バイアス印加手段52によるバイアス印加時に転写ベルト11側と2次転写ローラ17側との間でのリークを生じ得る。また、スポンジローラ55は、第1の状態と第2の状態とでは、2次転写ローラ17と転写ベルト11との間の距離に応じて弾性変形することとなるため、この弾性変形に伴ってスポンジローラ55の抵抗値が適正値から外れると、上述のリークが生じ、あるいは、上述した、バイアス印加不良が生じる原理と同様の原理により、バイアスが安定せず、転写不良を生じる可能性がある。
【0102】
このような不具合を回避するためには、第2の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値は、2次転写ローラ17の抵抗値と同じであることが望ましい。しかし、第2の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値を、2次転写ローラ17の抵抗値と厳密に同一にすることは困難であり、また厳密に同一にしなくとも、かかる不具合が実質的に回避可能であることは明らかである。そこで、第2の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値は、2次転写ローラ17の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定され、これらの抵抗値がほぼ同一視される大きさとされている。この数値範囲の設定の理由を図7に沿って説明すると次のとおりである。
【0103】
同図は、2次転写ローラ17の抵抗値を、本形態における2次転写ローラ17の抵抗値である105.5Ω前後で変化させた場合の転写率の変化を示している。同図から明らかなように、2次転写ローラ17の抵抗値が大凡10Ωから10Ωである範囲すなわちΩの単位で1桁未満の範囲では、転写率に変化はない。このことは、第2の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値を、2次転写ローラ17の抵抗値と1桁未満の範囲に設定すれば、第1の状態となっても転写率が安定した状態となること、さらには異常画像の防止性が向上することを意味している。
【0104】
スポンジローラ55の抵抗値を第2の状態を基準として規定したのは次の理由による。
まず、スポンジローラ55の抵抗値は、圧縮の度合いに応じて変化する。具体的には、スポンジローラ55は、圧縮されると抵抗値が下がる。これは、スポンジローラ55に含まれる抵抗制御剤の分散状態が密になるためと考えられる。このように、スポンジローラ55の抵抗値は、第1の状態と第2の状態とで変化するという事情がある。
【0105】
そして、第1の状態において生じ得る2次転写ローラ17と転写紙との間の間隙の大きさは、最大でも転写紙1枚程度であるため、かかる範囲内に設定すれば、スポンジローラ55が変形しても、転写率の変化が十分に抑制される。その一方で、第1の状態でのスポンジローラ55の変形量は、かかる間隙の大きさに左右されるため第1の状態を基準としてスポンジローラ55の抵抗値を規定することが難しいとともに、スポンジローラ55が外力を受けない状態での抵抗値を基準とするとすれば、スポンジローラ55のかかる状態での径が大きい場合には、第2の状態としたときにスポンジローラ55の抵抗値が大きく変化する可能性があるためである。
【0106】
このように、スポンジローラ55は、第2の状態において、第1の状態におけるスポンジローラ55の状態よりも圧縮された状態となり、第1の状態における抵抗値よりも抵抗値が低下して、2次転写ローラ17の抵抗値との差が1桁未満となるように設定されている。2次転写ローラ17の抵抗値が10Ω以上1010Ω以下の範囲で設定され得ることから、スポンジローラ55の抵抗値は10Ω以上1010Ω以下の範囲で設定される。
【0107】
このような抵抗値の設定を行うことを容易にするため、また抵抗値の環境要因に対する変化特性が同一となることから、スポンジローラ55は、2次転写ローラ17の材質と同じ材質とされている。本形態では、2次転写ローラ17の材質がEPDMとなっているため、スポンジローラ55の材質もEPDMであり、この材質を発砲させてスポンジ状とすることでスポンジローラ55が形成されている。
【0108】
スポンジローラ55が転写紙の搬送の妨げとなることのないように、スポンジローラ55は、図4(b)、図5(b)に示すように、主走査方向に対応した図4(b)、図5(b)の左右方向において、2次転写ローラ17が転写ベルト11との間で転写紙を挟む領域である通紙領域の外側に設けられている。ただし、スポンジローラ55が当接を維持する部材である当接部材は、スポンジローラ55の当接が維持されることにより転写ベルト11と2次転写ローラ17との通電状態が維持される部材であればよいため、転写ベルト11自身に限られず、たとえば、転写ベルト11の端部で露出するようにした転写入口ローラ73であっても良いし、転写入口ローラ73と同軸的に設けられた別部材であっても良い。
【0109】
さらに、スポンジローラ55を、転写入口ローラ73と同軸的に設けるなどして転写ベルト11側に設けても良く、この場合の当接部材は、2次転写ローラ17であっても良いし、2次転写ローラ17自身に限られず、たとえば、2次転写ローラ17と同軸的に設けられた別部材であっても良い。
【0110】
スポンジローラ55を、2次転写ローラ17側、転写ベルト11側の何れに設けるかによらず、スポンジローラ55が当接部材と当接する位置は、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに接離する方向において、2次転写ニップと異なる位置であっても良い。すなわち、たとえば、スポンジローラ55を2次転写ローラ17側に設け、転写入口ローラ73と同軸上に設けられた転写入口ローラ73とは別部材である当接部材との接触を維持する場合には、この当接部材の径は転写入口ローラ73の径と異なっていても良い。
【0111】
ただし、このような場合であっても、転写ベルト11と2次転写ローラ17とが互いに接離する方向における、スポンジローラ55の圧縮量すなわち転写ベルト11に当接する部分での最大の圧縮量は、1mm以上4mm以下とする。この範囲とすることによって、すでに述べたように、2次転写ローラ17が転写ベルト11から最大量で離間しても、スポンジローラ55と当接部材との当接状態が維持される。また、この範囲とすることで、第2の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値が、第1の状態におけるスポンジローラ55の抵抗値と大きく変化することが抑制され、上述したバイアス印加不良が生じることが防止される。
【0112】
すでに述べたように、スポンジローラ55は、2次転写バイアス印加手段52により転写バイアスが印加されたときに転写ベルト11と2次転写ローラ17と間の通電状態を維持するように、第1の状態で転写ベルト11側と2次転写ローラ17側との接触を維持する部材であって、この維持を行いながら、通紙の妨げとならないように、その配設位置を、通紙領域の外側とされている。
【0113】
スポンジローラ55は、スポンジローラ55を設けることによる、このような、通紙の妨げとならないようにするとの観点、さらには、転写性の変化による画質への影響を回避するとの観点から、その硬度が、2次転写ローラ17の硬度より十分に低くされている。具体的には、スポンジローラ55の硬度は、15〜35Hs ASKER−Cとされている。これにより、転写ベルト11及び2次転写ローラ17の回転による転写紙の搬送が、スポンジローラ55の転写ベルト11への当接によって影響を受けることがない。なお、硬度に関して、発泡体であるスポンジローラ55の硬度を規定したHs(ASKER−C)と、ソリッドタイプである2次転写ローラ17の硬度を規定したHs(JIS−A)とを単純に比較することは困難であるが、35Hs JIS−Aと50Hs ASKER−Cとでは、2倍以上の硬度差がある。
【0114】
スポンジローラ55は弾性体であり、またスポンジ状であるため、経時的にバネ53によって加えられる付勢力によって、経時的に変形し得る。すなわち、スポンジローラ55は、かかる付勢力によって繰り返し弾性変形するように押しつぶされることにより、永久ひずみが発生し、外径が変形してしまう可能性がある。この変形を生じると、転写ベルト11との接触が維持されなくなる可能性がある。
【0115】
たとえば、一般に、支持軸54に固定された2次転写ローラ17のように、ゴム製の部材を芯金に固定する場合には、接着剤を用いてかかる部材と芯金とを互いに固定してずれないようにする手法が採られる。しかしながら、スポンジローラ55については、かかる変形に鑑み、メンテナンス性を考慮して、支持軸54に対する接着剤による固定は行わず、支持軸54に対して軽圧入れで位置決めしている。具体的には、スポンジローラ55の内径を、支持軸54の外径より0.3mm以上3mm以下の範囲で小さく設定し、スポンジローラ55を支持軸54に圧入して位置決めを行うことで、位置ずれを防止ないし回避しつつ、スポンジローラ55を新規のものに容易に交換可能とし、スポンジローラ55の交換性を良好にしている。
【0116】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0117】
たとえば、本発明にかかる転写装置は、1次転写に適用可能である。この場合、像担持体は、たとえば上述の画像形成装置100における感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのような感光体等とし、被記録体は、たとえば上述の画像形成装置100における転写ベルト11のような中間転写体、あるいは1次転写で記録媒体に転写する装置においては記録媒体とする。
【0118】
画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
このような画像形成装置に用いる現像剤は、二成分現像剤に限らず、上述したのと同様のクリーニングレスとすることが可能な構成であれば一成分現像剤であっても良い。
【0119】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、プロッタであっても良く、また、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0120】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0121】
11 像担持体
17 転写部材、転写ローラ
51 転写装置
52 転写バイアス印加手段
53 付勢手段
54 支持軸
55 弾性部材、スポンジ状の部材、弾性ローラ
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特許第3825976号公報
【特許文献2】特開2010−276784号公報
【特許文献3】特開2008−009410号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体との間で被記録体を挟む転写部材と、
像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材との間に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、
像担持体上に担持された像を被記録体に転写するために像担持体と前記転写部材とが互いに当接するように付勢する付勢手段と、
前記転写部材が像担持体との間で被記録体を挟む領域の外側に設けられ、前記転写バイアス印加手段により前記転写バイアスが印加されたときに像担持体と前記転写部材との間の通電状態を維持するように、像担持体と前記転写部材との間に被記録体が位置する第1の状態で像担持体側と前記転写部材側との接触を維持する弾性部材とを有し、
この弾性部材は、前記付勢手段により像担持体と前記転写部材とが互いに当接した第2の状態で第1の状態における同弾性部材の状態よりも圧縮された状態となり、第2の状態における同弾性部材の抵抗値は、前記転写部材の抵抗値との差がΩの単位で1桁未満となるように設定されている転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記弾性部材は、前記転写部材の材質と同じ材質を用いて形成されたスポンジ状の部材であることを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の転写装置において、
前記弾性部材の硬度は、15〜35Hs ASKER−Cであることを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の転写装置において、
前記弾性部材は、像担持体と前記転写部材とが互いに当接する方向における、第2の状態での圧縮量が、1〜4mmであることを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか1つに記載の転写装置であって、前記弾性部材は、前記転写部材の材質と同じ材質を用いて形成されたスポンジ状の部材である転写装置において、
前記弾性部材は、中空のローラ状であり、その内径が同弾性部材を支持する支持軸の外径より0.5〜3mmの範囲で小さく、前記支持軸に圧入されていることを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の転写装置において、
第2の状態における同弾性部材の抵抗値は、10〜1010Ωの範囲内にあることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の転写装置において、
前記転写部材は、ローラ状の転写ローラであり、前記弾性部材は、同転写部材と同軸上に設けられている弾性ローラであることを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項1記載の転写装置において、
前記弾性ローラは、第1の状態で像担持体との接触を維持するように像担持体に対向する位置に設けられていることを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項1にないし8の何れか1つに記載の転写装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61603(P2013−61603A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201685(P2011−201685)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】