説明

転動材料をパイルに貯蔵し、パイルから回収するための装置

本発明は、木材チップ、樹皮、又は穀物などの転動材料をパイル10に積み上げ、前記パイル10から貯蔵地点よりも下方に配置されるコンベア20に回収するための装置に関し、この装置は、中央ブーム30の鉛直方向軸線に対して互いに独立に回転可能であるように蝶番により取り付けられるスタッカ・ブーム40及びリクレイマ・ブーム50を支持する中央柱30を備える。この装置の特徴的な機構は、中央柱30に対して蝶番で取り付けられる少なくとも1つの点で、この支持部が中央柱30のフレームの周りに配置される支持ホイール60、60’、60’’上に在るように構成されることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動材料を屋外の貯蔵パイルに貯蔵するための装置に関し、より具体的には、材料を積み上げ、回収するための装置、すなわちスタッカ/リクレイマに係るものである。本発明は木材チップの貯蔵に係るものが最も好ましいが、樹皮、石炭、とうもろこし、又は細粒の材料などの他の粒状材料を貯蔵するためにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
貯蔵パイルは、材料を均質化するために、他方では混合を可能性にするために必要である。この種の貯蔵パイル用のスタッカ/リクレイマは、2つの主要部品、積み上げシステムと回収システムとを備える。このスタッカ/リクレイマは、例えば中央柱と、スタッカ・コンベア及びリクレイマ・コンベアとを備える。この中央柱は、上部のスタッカ・コンベア及び下部のリクレイマ・コンベアを同軸に支持する。このスタッカ・コンベアは、ばらの材料をパイルに加え、他方、リクレイマ・コンベアは、パイルからスタッカ/リクレイマの回転中心に向かって材料を搬送する。この回転中心で、払い出すべき材料は、地下払い出しコンベアに送られる。スタッカ及びリクレイマの両者は、中央柱の周りを独立に回転可能であり、最初にスタッカが中央柱の周りにアーチ形のパイルを形成し、引きつづきリクレイマがパイルの最初に築かれた部分から材料を排出する。したがって、このスタッカ/リクレイマは、実質的な先入れ先出し(FIFO)(FirstInFirstOut)動作を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの従来技術によるスタッカ/リクレイマでは、スタッカ・ブームは、最大で2.5メートルの直径を有し、中央柱の端部に配置される回転軸受により支持される。いくつかの公知の解決策によれば、この回転軸受は地表面に近接している。回転軸受は高価であり、購入注文からの納期は長期であり、最大で約2年掛かることさえある。この回転軸受が損傷した場合、交換は非常に骨が折れ、費用がかかる。このスタッカ・ブームは、中央柱内に配置されるコンクリート支持部により直接一点で支持される。その上、中央柱のコンクリート構造体は、回転蝶番まで延在する。ブームへの回転動力供給は、柱がコンクリート構造体のために中央柱の外側表面に伝統的に配置されてきた。この型式の中央柱構造体は、重く、その構築は高価である。
【0004】
従来技術の他の問題点は、いわゆる緊急回転を制御することが困難であることである。従来技術では、緊急回転が必要な場合、すなわち風が強い場合、ブーム回転機器の電気モータのブレーキが開にされる。しかし、この種の解決策は、回転速度を制御できないため電気モータ又は回転歯車を損傷させるリスクを伴う。前記部品が強風中に損傷して動かなくなる場合、急速な停止によって回転軸受が傷つけられる可能性があり、或いはスタッカ・パイル又は中央柱が、例えば捩じり又は回転によって損傷する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題に対する解決策を提供する。スタッカ/リクレイマの回転ブームを支持し、蝶番で取り付けるための完全に新規な様式の解決策が開発された。本発明によれば、スタッカ・ブーム及び/又はリクレイマ・ブームは、ブームと一緒に回転する支持ホイールに対してスタッカ/リクレイマの中央柱上で直接支持される。同じ種類及び同じサイズでもあるホイールを中央柱の全ての支持点に使用することができ、それによって支持ホイールの保守及び予備品の購入が容易になる。この支持ホイールは鋼から作られることが好ましい。
【0006】
本発明によって、交換が非常に困難でもあり壊れる虞のある回転軸受を削除することが可能になる。本発明の支持ホイールは分割することができ、それによって、中央柱の外側に設け、必要な場合に取り外すことが容易になる。また、1つの支持ホイールの交換は、中央柱の主要部品を取り外す必要なく可能である。
【0007】
ブーム及び回転蝶番の支持部がコンクリート支持部を必要とせず、本発明による支持ホイールが使用される場合、地表面よりも上方の中央柱の部分の構造体は、基本的に鋼により製造することができる。これは結果としてかなりより軽く、より安価な構造体になる。中央柱の構造体が鋼により作られると、動力供給は中央柱の内側に配置でき、これはコンクリート構造体を有する従来型の中央柱の場合よりも著しく安価な解決策になる。鋼構造体を有する中央柱の他の利点は、螺旋階段及び非常口を中央柱の内部に配置できることである。
【0008】
さらに、本発明によれば、スタッカ・ブームを互いに相当に離れた2つの点で支持ホイールにより中央柱に対して支持することができ、それによってこの構造体は著しくより堅固になる。その上、ワイヤから吊り下がる釣り合い錘をスタッカ・ブームの反対側の柱の側面に配置でき、それによって中央柱によって必要とされるスタッカ・ブーム及び支持部によって生じる荷重付加を減少させることができる。この支持ホイールは、鉛直方向荷重および水平方向荷重の両方を担うことができる。
【0009】
その上、この支持ホイールは鉛直調節部を有し、それを用いて2つの点で支持されるスタッカ・ブームによって生じる鉛直方向の力を、スタッカ・ブームが結合される支持ホイールに、好ましくは最上部の支持ホイールおよび中間の支持ホイールに、均一に分布させることができる。この支持ホイールとブームは、蝶番継ぎ手により結合され、それによってブームの位置を支持ホイールに対して変更し、他方ではブームから支持ホイールに集中化される鉛直方向の力を鉛直方向支持ホイール同士の間で平衡させることができる。
【0010】
支持ホイールを用いることによって、通常条件下での確実な回転のみならず過度の強風の場合にも、スタッカ・ブームの安全な緊急回転を行うことが可能になる。本発明の解決策によれば、少なくとも1つの支持ホイールに油圧回転シリンダ及び把持部を有するブレーキが備えられる。この回転シリンダの把持部は、シリンダ内に圧力が存在するとブームの回転動作を中央柱の支持フランジに固着させ、圧力がない場合はばね荷重によって開にする。
【0011】
このブレーキの把持部は、シリンダ内に圧力が存在しない場合にばねを用いて順に固定され、圧力が掛かっていると開にされる。このように、このシステムは安全であり、油圧又は動力供給の不具合状況で障害が存在する場合でさえ、ブームを1つの位置に固定する。本発明によるスタッカは、最大で約75キロメートル/時間までの風速で動作する。75キロメートル/時間よりも速い風速では、油圧ブレーキおよび把持部は固定され、スタッカ・ブームをその位置に保持し、遂には風力が十分強くなると、油圧ブレーキが支持ホイールを能動的に減速させるので、ブームの支持ホイールをゆっくりと回転させる。すなわち、把持部を有するこの油圧ブレーキは、ブームが風と一緒に、おそらくは加速的な速度で、自由に回転することを許さず、能動的にこの動作を減速させる。この減速させる支持ホイールは、中央柱の最上部の支持ホイールであることが好ましい。
【0012】
以下に本発明を、添付の図面を参照してより詳細に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるスタッカ/リクレイマの中央柱並びにスタッカ・ブーム及びリクレイマ・ブームの支持部を側面で示す図。
【図2a】本発明の好ましい実施例による支持ホイールを上方から示す図。
【図2b】本発明の好ましい実施例による支持ホイールを側面で示す図。
【図3a】本発明の別の好ましい実施例による支持ホイールを上方から示す図。
【図3b】本発明の別の好ましい実施例による支持ホイールを側面で示す図。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の好ましい実施例による一解決策を示す。この装置は、木材チップなどの転動材料(転がり動く材料、rolling material)をパイル10に積み上げ、貯蔵地点よりも下方の払い出し排出コンベア20にパイル10から回収する。このスタッカ/リクレイマは中央柱30を備え、この中央柱30にスタッカ・ブーム(スタッカ腕部)40及びリクレイマ・ブーム(リクレイマ腕部)50が支持される。さらにこの装置は、釣り合いホッパー80を備える。図では、スタッカ・ブーム40は、2つの点で支持ホイール60、60’上で中央柱30に支持される。本発明によれば、リクレイマ・ブーム50も、図示されるような対応する支持ホイール60’’上で中央柱に支持される。これらの支持ホイール60、60’及び60’’は全て類似であり、同じサイズであることができ、それによって保守及び予備品の購入がより容易になる。鉛直方向でのブーム40、50と支持ホイール60、60’、60’’との結合の間隔は、少なくとも1つの調節板を用いて個別に調整可能である。この方法によって、スタッカ・ブーム40の鉛直方向荷重を、2つの支持ホイール60及び60’に均一に分布させることができる。
【0015】
本発明による解決策によれば、中央柱30からの非常口90が、スタッカ・ブーム40の支持ホイール60、60’同士の間に配置される。
【0016】
図2a及び図2bは、本発明の好ましい実施例による支持ホイール60’、60’’を上方から及び側面で示す。これらは、スタッカ・ブーム及び/又はリクレイマ・ブームの支持に使用される。図の支持ホイールは、4つの鉛直方向支持ホイール62と4つの水平方向支持ホイール64とを備える。このホイールの数は、必要に応じて変更できる。鉛直方向支持ホイールは支持フランジ70’、70’’上を転がり、水平方向支持ホイールは支持フランジの外周上を転がる。これらの支持フランジ70’、70’’は、鋼構造の中央柱30に溶接によって結合されることが好ましく、面倒なグラウトの必要はない。ブームを支持するこの種の構造体は、グラウトされたバーの両側に横方向の支持ホイールが必要とされ、大きな支持ホイールがその上で移動する従来技術と比較して、中央柱の周りの空間も節約することができる。
【0017】
図3a及び図3bは、本発明の別の好ましい実施例による支持ホイール60を上方から及び側面で示す。これらは、スタッカ・ブーム及び/又はリクレイマ・ブームの支持部に使用される。この支持ホイールは、油圧シリンダであることが好ましい回転シリンダ66と、シリンダのピストン・ロッドの端部に結合された回転把持部68とを備え、これらを用いて支持フランジを引っ張る又は押すことによって、支持されるスタッカ・ブーム40を中央柱に対して回転させることができ、必要な場合緊急回転を制御することができる。制動把持部69は、支持ホイールに固定される。回転把持部とは逆に、この制動把持部は、油圧圧力がない場合にはばね荷重によって支持フレームに対して閉じられ、圧力が掛かっている場合は把持部に対して開いている。図3bは、同じ支持ホイールを側面で示す。
【0018】
上記説明は最も好ましいと思われる現在の知識に照らした本発明の一実施例に関するが、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ定義される最も広い考え得る範囲内で多くの異なる方法で改変することができることは当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば木材チップ、樹皮、又はとうもろこしなどの転動材料をパイル(10)に貯蔵し、前記パイル(10)から貯蔵地点よりも下方のコンベア(20)に回収するための装置であって、スタッカ・ブーム(40)及びリクレイマ・ブーム(50)が中央柱(30)の鉛直方向軸線に対して独立に回転可能に蝶番により支持される前記中央柱(30)を有する装置において、
前記中央柱(30)に対する少なくとも1つの蝶番点で、支持部が、前記中央柱(30)のフレームの周りに配置される支持ホイール(60、60’、60’’)に配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記蝶番点で、前記スタッカ・ブーム(40)又は前記リクレイマ・ブーム(50)が、前記中央柱の前記支持ホイール(60、60’、60’’)によって支持されることを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記支持ホイール(60、60’、60’’)が、支持されるブームと一緒に前記中央柱の周りを回転するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された装置。
【請求項4】
前記支持ホイール(60、60’、60’’)が、支持フランジ(70、70’、70’’)に移動可能に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項5】
前記支持フランジ(70、70’、70’’)が前記中央柱に溶接によって固定されることを特徴とする請求項4に記載された装置。
【請求項6】
前記スタッカ・ブーム(40)が、前記中央柱(30)に2つの点で支持されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項7】
前記支持ホイール(60)に回転把持部(68)が備えられることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項8】
前記支持ホイール(60)に回転シリンダ(66)が備えられることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項9】
前記支持ホイール(60)に制動把持部(69)が備えられることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項10】
回転把持部(68)及び/又は回転シリンダ(66)及び/又は制動把持部(69)を有する前記支持ホイール(60)が、前記スタッカ・ブーム(40)の最上部の支持ホイールであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載された装置。
【請求項11】
前記スタッカ・ブーム(40)及びその下側の支持構造体の前記支持ホイール(60、60’)への結合が、直交する水平軸線に関して前記ブームに対する蝶番により行われることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項12】
前記リクレイマ・ブーム(50)の前記支持ホイール(60’’)への結合が、直交する水平軸線に関して前記ブームに対する蝶番により行われることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項13】
前記支持ホイール(60、60’、60’’)が鉛直方向支持ホイール(62)及び水平方向指示支持ホイール(64)を有することを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項14】
前記ブーム(40、50)と前記支持ホイール(60、60’、60’’)との結合距離が、鉛直方向で個別に調整可能であることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項15】
前記スタッカ・ブーム(40)の鉛直方向荷重が、少なくとも1つの中間プレートを用いて2つの支持ホイール(60、60’)に均一に分配されるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項16】
回転部品の駆動部用及び制御用の回転動力供給部が、前記中央柱の内部に配置されることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項17】
前記中央柱からの非常口(90)が、前記スタッカ・ブーム(40)の前記支持ホイール(60、60’)同士の間に配置されることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項18】
前記スタッカ・ブーム(40)の回転動作が、回転シリンダ(66)及び回転把持部(68)を用いて前記支持フランジ(70)を引く又は押すことによって実現されることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項19】
前記スタッカ・ブーム(40)を前記回転把持部(68)の位置に固定でき、緊急状況では、前記支持フランジ(70)を掴むばね荷重の掛けられた制動把持部(69)により固定できることを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載された装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2011−522762(P2011−522762A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513015(P2011−513015)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050494
【国際公開番号】WO2009/150300
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(500403468)