説明

転造加工用潤滑油及び転造加工方法

【課題】加工性能に優れた転造加工用潤滑油、特に、加工精度が高く、ウォームの転造加工において、ウォーム歯面底部における剥離の発生を抑制し、歯車の外観を高めることができる転造加工用潤滑油を提供すること、及び前記転造加工用潤滑油を用いた加工性能が高い転造加工方法を提供すること。
【解決手段】鉱油及び/又は合成油を主成分として含有し、摩擦係数が0.2以上であることを特徴とする転造加工用潤滑油、及び該転造加工用潤滑油を用いる転造加工方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転造加工用潤滑油及び該潤滑油を用いた転造加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転造加工は、転造工具であるダイスを被加工材に押し付け、摩擦力と接線力を使って被加工材を回転させながら目的とする形状に成型する塑性加工の一つである。この転造加工の利点としては圧縮残留応力を与えながら加工することができ、切削加工のように切屑を出さない加工であるため、被加工材の節約ができ、また、加工品の製造工程において、さらに研削や熱処理等の工程を要する切削加工によるよりも簡素であるため、省資源、生産効率の向上の点から注目されている。
ところで、転造加工に用いられる潤滑油には、過酷な潤滑条件下において、工具摩耗を低減しつつ、同時に加工製品の形状を制御し、かつ面粗さを良好にするなど、高い加工性能を有することが求められる。
したがって、従来の転造加工油は、加工性能を高め、転造工具の寿命を伸ばすことを目的として、油性剤や極圧剤を含有し、加工性を高めた潤滑油が用いられてきた。例えば、特許文献1には、モノエステル、ジカルボン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、トリアゾール化合物などの油性剤や極圧剤を含有する転造加工油が開示されている。
また、同様の理由から、従来、転造加工用潤滑油としては、油性剤や極圧剤を含有し、加工性能が高い切削加工油など金属加工用潤滑油を転造加工用の潤滑油に転用して使用することが多かった。例えば、特許文献2や特許文献3は、切削油の発明について、その切削油を転造加工にも転用できる旨の記載がある(例えば、特許文献2段落〔0109〕、特許文献3段落〔0158〕参照)。
【0003】
一方、転造加工は、ねじ加工、ギヤ加工、溝加工、バニシング加工などに適用されているが、いずれの加工においても高い加工性能が要求される。
転造加工の中でも、加工の難度が高いとされるウォームの加工については、特に、歯面の硬度が高く、面粗さが小さい、歯車精度が高い加工品が得られることが要求されている。
このような要求に対し、ウォームの歯車精度を向上させる加工方法として、加工量、すなわち一度にダイスを押し込む量を少なくし、同時にダイスの回転数を多くする加工方法が有効であることが、経験的に知られている。
しかしながら、ウォームの転造加工において、ダイスの回転数を多くすると、ウォームの歯面底部に剥離が発生することが分かった。つまり、加工したウォームの歯面底部に剥離が発生して、外観が不良の加工製品を得る結果となってしまう。しかも、この剥離発生現象は、転造加工油の極圧性などを高めても抑えることができず、その解決策が見出せない状況にあった。
このような状況から、ねじ加工、ギヤ加工、溝加工、バニシング加工などにおいて、さらに、加工性能が良好な転造用潤滑油及び転造加工方法が求められており、特に、加工精度が高く、歯面底部に発生する剥離を抑制できるウォームの転造加工用潤滑油、及びウォームの転造加工方法の提案が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2009/119669号公報
【特許文献2】特開2005−187650号公報
【特許文献3】特開2005−272818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加工性能に優れた転造加工用潤滑油、特に、加工精度が高く、ウォームの転造加工において、ウォーム歯面底部における剥離の発生を抑制し、歯車の外観を高めることができる転造加工用潤滑油を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、前記転造加工用潤滑油を用いた加工性能が高い転造加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、意外なことに、転造加工用潤滑油として、摩擦係数が一定の値以上のものを用いることによって上記目的を有効に達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
1.鉱油及び/又は合成油を主成分として含有し、摩擦係数が0.2以上であることを特徴とする転造加工用潤滑油、
2.摩擦係数が0.2〜0.4である上記1に記載の転造加工用潤滑油、
3.40℃における動粘度が2〜15mm2/sである上記1又2に記載の転造加工用潤滑油、
4.摩擦係数向上剤を配合してなる上記1〜3のいずれかに記載の転造加工用潤滑、
5.ねじ加工、ギヤ加工、溝加工、もしくはバニシ加工に用いられる上記1〜4のいずれかに記載の転造加工用潤滑油、
6.ウォームの加工に用いられる上記1〜5のいずれかに記載の転造加工用潤滑油、
7.上記1〜6のいずれかに記載の転造加工用潤滑油を用いる転造加工方法、
8.転造加工が、ウォームの加工である上記7に記載の転造加工方法、
9.ダイスの押し込み速度が0.02〜8m/s、ダイスの回転数が5〜550rpm、かつダイスの周速が0.04〜3.14m/sの条件下で加工する上記8に記載のウォームの転造加工方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工性能に優れた転造加工用潤滑油、特に、加工精度が高く、ウォームの転造加工において、ウォーム歯面底部における剥離の発生を抑制し、歯車の外観を高めることができる転造加工用潤滑油を提供することができる。
また、本発明によれば、前記転造加工用潤滑油を用いた加工性能が高い転造加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例で用いた工具(丸ダイス)の形状を示す図である。
【図2】本発明の実施例で用いた被加工材の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔転造加工用潤滑油〕
本発明は、鉱油及び/又は合成油を主成分として含有し、摩擦係数が0.2以上であることを特徴とする転造加工用潤滑油である。
以下、転造加工が、ウォームの転造加工である場合について、本発明の転造加工用潤滑油(以下、「潤滑油」と略称することがある)について説明する。
本発明の潤滑油は、鉱油及び/又は合成油を主成分として含有する。
本発明において主成分とは、潤滑油全量基準で、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、100質量%、つまり鉱油及び/又は合成油からなる潤滑油であってもよい。
【0011】
前記鉱油としては、例えば、原油の常圧蒸留留分、もしくは常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた留分、又はそれらの留分を水素化脱硫、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化脱ろう、溶剤脱ろう、水素化精製、白土処理、硫酸洗浄等の処理を1又は2以上行って精製したナフテン系鉱油やパラフィン系鉱油が挙げられる。また、鉱油系ワックスを異性化することによって得られるワックス異性化イソパラフィン系鉱油(ワックス異性化鉱油)も好適なものとして挙げられる。
【0012】
一方、合成油としては、例えば、ポリブテン又はその水素化物、1−デセンオリゴマー等炭素数8〜14のα−オレフィンのオリゴマー(ポリα−オレフィン)又はその水素化物等の脂肪族系合成油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族系合成油、シクロヘキサン環等を有する炭化水素等のナフテン系合成油が例示できる。
これらの鉱油や合成油の中でも、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、ポリブテン又はその水素化物、炭素数8〜14のα−オレフィンのオリゴマー又はその水素化物が好ましい。
【0013】
本発明の潤滑油では、鉱油、合成油の1種を単独で、又はこれらの中から選ばれる2種以上を混合して用いることができる。即ち、1種又は2種以上の鉱油を用いてもよく、1種又は2種以上の合成油を用いてもよく、1種以上の鉱油と1種以上の合成油とを混合して用いてもよい。
【0014】
本発明の潤滑油は、摩擦係数が0.2以上であることが必要である。摩擦係数が0.2未満の潤滑油では、加工性能が低下することがある。例えば、ウォーム加工において摩擦係数が0.2未満の潤滑油を用いると、被加工材とダイスの間で滑りが発生し、転造加工したウォームの歯面底部に剥離が発生して、外観が不良な加工品になることがある。
一方、潤滑油の摩擦係数の上限については、特に制限はないが、入手の容易性の観点から、およそ0.4であることが好ましい。したがって、本発明の潤滑油の摩擦係数は、0.2〜0.4であることがより好ましく、特に、0.20〜0.40であることが好ましい。
なお、上記摩擦係数は、JASO−M314−88に規定される「曾田式振子試験法」で、油温60℃の条件で測定した値である。
【0015】
本発明の潤滑油は、40℃における動粘度が、2〜15mm2/sであることが好ましい。潤滑油の40℃における動粘度が2mm2/s以上であれば、潤滑油の蒸発損失による加工性の低下を招く恐れがなく、15mm2/s以下であれば、潤滑油の流動抵抗が過大になる恐れもない。このようなことから、潤滑油の40℃における動粘度は、3〜10mm2/sであることがより好ましい。
【0016】
本発明においては、さらに潤滑油の摩擦係数を高める目的で、摩擦係数向上剤を配合することができる。本発明における摩擦係数向上剤の代表例としては、例えば、金属系清浄剤やビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体が挙げられる。
前記金属系清浄剤としては、Ca、Mg、Ba等のアルカリ土類金属を含有するスルフォネート、フェネート、及びサリチレートが好適なものとして挙げられる。これらは、中性、塩基性、過塩基性のいずれであってもよい。中でも、過塩基性、例えば、過塩素酸法による塩基価が200mgKOH/g以上、より好ましくは300mgKOH/g以上、特に300〜500mgKOH/gのCaスルフォネート、Caフェネート、Caサリチレートなどが好ましく、特にCaスルフォネートが好ましい。
【0017】
また、前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を2個以上有する化合物が好適なものとして挙げられる。中でも、例えば、2−メチル−3−メチル−2−〔(3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)メチル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−メチル−3−メチル−2−〔(2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イル)メチル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を2個有する総炭素数15〜22の化合物が好ましい。
【0018】
本発明においては、上記金属系清浄剤もしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体から選ばれる1種又は2種以上の摩擦係数向上剤を配合することができる。この摩擦係数向上剤の配合量は、潤滑油全量を基準として、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。摩擦係数向上剤の配合量が1質量%以上であれば、さらなる摩擦係数増大効果が認められ、30質量%を超えて配合しても、経済的に見合う著しい効果の上昇は期待できない。
【0019】
本発明で用いる潤滑油は、摩擦係数が上記の規定を満たすかぎり、その他各種の添加剤を配合してもよい。そのような添加剤としては、例えば、油性剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤などが挙げられる。
前記油性剤としては、例えば、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチルなどの炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸と炭素数1〜24の脂肪族アルコールから得られる脂肪酸モノエステルがあげられる。その油性剤の配合量は、潤滑油全量基準で1〜20質量%の範囲であることが好ましく、3〜15質量%範囲であることがより好ましい。
【0020】
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の配合量は潤滑油全量を基準として0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.2〜2.0質量%であることがより好ましい。
前記腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンズイミダゾール系、ベンゾチアゾール系、チアジアゾール系腐食防止剤が挙げられる。その配合量は、潤滑油全量を基準として0.05〜10質量%の範囲であることが好ましく、好ましくは0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
また、前記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、フルオロエーテルなどが挙げられる。その配合量は、潤滑油全量を基準として0.00001〜10質量%の範囲が好ましく、0.0001〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
【0021】
〔転造加工方法〕
本発明の転造加工方法は、上記転造加工用潤滑油を用いて、転造加工を行うものである。
転造加工方法には、ねじ加工、ギヤ加工、溝加工、及びバニシング加工などが含まれる。ねじ加工としてはリードスクリューやボールねじの加工、ギヤ加工としてはウォームの加工、溝加工としては変動ピッチ溝加工、バニシング加工としては歯車類のバニシング転造加工などが挙げられる。
【0022】
本発明の転造加工用潤滑油を用いる転造加工方法が、ウォームの転造加工である場合は、ダイスの押し込み速度とダイスの回転数等を下記の(1)及び(2)の要件を満たす加工条件で加工することが好ましい。
(1)ダイスの押し込み速度
押し込み速度は、0.02〜8m/sであることが好ましく、0.3〜2m/sであることがより好ましい。
(2)ダイスの回転数と周速
ダイスの回転数が、5〜550rpm、又は周速が0.04〜3.14m/sでありことが好ましい。
上記(1)のように、ダイスの押し込み速度が小さく、かつ(2)のようにダイスの回転数が高い、又は周速が速いことにより、加工品の歯車精度を高めることができる。また、そのような加工条件下で、上記ウォームの転造加工用潤滑油を用いることによって、ウォームの歯面底部における剥離の発生が抑制される。したがって、歯面底部における剥離の発生を抑制し、面粗さが小さいウォームの転造加工が可能である。
【0023】
しかも、このようなウォームの転造加工方法は、切削加工による加工方法と比較して、切屑がでないため加工材料の歩留まりが高く、材料の経費節減できるため省資源に貢献でき、また、切削加工と比較して、高速で加工することができ、加工時間を短縮することができる。
さらに、切削加工では、切削加工後に熱処理加工や、研削加工を要することが多いのに対し、このようなウォームの転造加工方法は、そのような工程を省略することができる可能性もあり、ウォームの製造時間を大幅に短縮することも期待できる。
【実施例】
【0024】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1
第3表に示す構成成分を第3表に示す割合で配合して、各転造加工用潤滑油を準備した。次いで、下記に示す方法でその性状・物性を測定し性能を評価した。結果を第1表に示す。
なお、第1表の構成成分は、以下のものを用いた。
(1)ナフテン系鉱油:第2表に示す性状を有するナフテン系鉱油
(2)パラフィン系鉱油:第2表に示す性状を有するパラフィン系鉱油
(3)イソパラフィン系合成油:第2表に示す性状を有する合成油、商品名「IPソルベント1620」、出光興産株式会社製)
(4)摩擦係数向上剤I:カルシウムスルホネート(Chemtura Corporation製、塩基価(過塩素酸法)400mgKOH/g)
(5)摩擦係数向上剤II:ビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体(2−メチル−3−メチル−2−[(3−メチルビシクロ[2.2.1]へプト−2−イル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(出光興産株式会社製))
(6)油性剤:ブチルステアレート(花王株式会社製)
(7)極圧剤:ジオクチルポリスルフィド(DIC株式会社製)
【0025】
<性状・物性の測定方法>
(1)摩擦係数
JASO−M314−88に規定される「曾田式振り子試験」に準拠し、曾田式振り子試験機(II型)を用いて、油温60℃で測定した。
(2)動粘度
JIS K2283に準拠して測定した。
(3)密度
JIS K 2249に準拠して測定した。
【0026】
<性能の評価方法>
(4)ウォームギヤの転造加工試験
(i)試験装置及び試験条件
転造加工機 :株式会社ニッセー製 GA−330A
ダイス :図1に示す形状を有し、第1表に示す仕様の丸ダイス
被加工材料 :図2に示す形状で、材質がS45Cである被加工材料
加工部品形状 :ウォーム
押込み速度 :0.14m/s
ダイス回転数 :15rpm
潤滑油供給方法:自動(装置付属の給油機にて噴射)
(ii)評価方法
転造加工したウォームについて、歯面底部に発生した剥離の重量を測定し、さらにウォームの外観(剥離面積の割合)を評価した。
(剥離の重量測定方法)
エー・アンド・ディ製電子天秤HM−202を用いて、試験前後の被加工材料の重量を測定し、その重量差を剥離量とした。
(ウォームの外観評価方法)
剥離面積の割合を測定し、下記の評価基準に基づいて、結果を対応する○〜×で表示した。
外観評価基準
○: 剥離面積が5%以下
△: 剥離面積が5%超20%未満
×: 剥離面積が20%以上
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
第3表によれば、摩擦係数が0.2以上の潤滑油を用いてウォームの転造加工をすると、剥離重量が極めて少なく、ウォームの外観も良好であることが分かる(実施例1〜7)。これに対し、摩擦係数が0.2未満の潤滑油を用いた場合は、剥離重量が多く、ウォームの外観も好ましくない(比較例1)。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、加工性能に優れた転造加工用潤滑油、特に、加工精度が高く、ウォームの転造加工において、ウォーム歯面底部における剥離の発生を抑制し、歯車外観を高めることができる転造加工用潤滑油を提供することができる。また、前記転造加工用潤滑油を用いた加工性能が高い転造加工方法を提供することができる。したがって、省資源で効率的にウォームなどを製造できる転造加工用潤滑油及び転造加工方法として有効に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱油及び/又は合成油を主成分として含有し、摩擦係数が0.2以上であることを特徴とする転造加工用潤滑油。
【請求項2】
摩擦係数が0.2〜0.4である請求項1に記載の転造加工用潤滑油。
【請求項3】
40℃における動粘度が2〜15mm2/sである請求項1又2に記載の転造加工用潤滑油。
【請求項4】
摩擦係数向上剤を配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の転造加工用潤滑油。
【請求項5】
ねじ加工、ギヤ加工、溝加工、もしくはバニシ加工に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の転造加工用潤滑油。
【請求項6】
ウォームの加工に用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の転造加工用潤滑油。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の転造加工用潤滑油を用いる転造加工方法。
【請求項8】
転造加工が、ウォームの加工である請求項7に記載の転造加工方法。
【請求項9】
ダイスの押し込み速度が0.02〜8m/s、ダイスの回転数が5〜550rpm、かつダイスの周速が0.04〜3.14m/sの条件下で加工する請求項8に記載のウォームの転造加工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−28769(P2013−28769A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167468(P2011−167468)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(594167141)株式会社ニッセー (13)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】