説明

軸体ロック装置

【課題】狭い場所での作業性が良く、泥や砂を噛み込んでも泥や砂を除去しやすく、軸体(推進体)をボデーから抜いた時にスリーブの脱落を防ぐ。
【解決手段】軸体22が貫通しかつその移動を許容する方向に向かって拡径するテーパ面16を有するボデー14と;テーパ面16に固定され、軸体22の移動を許容する方向側を周方向に幅広とした複数のガイド50と;テーパ面16の拡径方向へのスライドにより軸体22を解放すると共にその側面がガイド50の側面と協働して形成する係合手段によって内側への脱落が防止される複数のスリーブ18と;スリーブ18をそのスライド方向の所定範囲内で移動させて軸体22のロックおよび解放を行うスリーブ開閉手段20と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸体の一方向への移動を規制し、他方への移動を許容する軸体ロック装置に関し、特に軸体に係脱するスリーブが軸体を抜いた状態で脱落しないようにした軸体ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パイプや棒などの軸体に係合して軸体をロック(クランプ、固定)したり、ロックした軸体を一方向に送り出す(押し込みまたは引き抜く)装置が公知である。例えば軸体となるドリルの刃を回転駆動軸にと固定するコレットチャックが広く用いられている。このドリル用のチャックではコレットの外周面をテーパ面とし、コレットホルダの内面をこのテーパ面に当接させてドリル刃を把持するものである。ここにコレットホルダはコレットにねじで結合され、コレットホルダの回転によってドリル刃を着脱する。
【0003】
また土中にガス管や水道管などを敷設するために、軸体となる推進体を土中に推進させて地中孔を水平に形成する一方、この推進体をその先端にポリエチレン管などの埋設管を接続して引き戻すことによって埋設管を敷設する装置が公知である(特許文献1,2)。すなわち地面に設けた竪坑(ピット)から横向きに推進体を押し出して別の竪坑に到達させ、突出した先端にポリエチレン管の一端を掛け止めて推進体を引き戻すものである。
【0004】
この種の装置では、推進体を推進させながら後尾に次の推進体を順次継ぎ足していくが、最後尾の推進体を軸体ロック装置(クランプ機構ともいう。)で把持しつつこの軸体ロック装置を押し引きするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−177382
【特許文献2】特開平11−287088
【0006】
特許文献1のものは、推進体の後端を油圧式のクランプ機構で把持しつつこのクランプ機構を正逆転可能な油圧モータと送りねじ機構によって押し引き(進退動)させるものである。
【0007】
特許文献2のものは、油圧シリンダにより進退動するチャック付き方ホルダー(20)に推進体(穿孔ヘッド部材11、延伸部材18、引き込み部材19)を把持する。ここにチャック付きホルダー(20)は、偏芯カム(22)をレバー(24)で回動させることにより推進体を部材受け(21)と偏芯カム(22)との間に保持するものである。また推進体の先端にポリ塩化ビニル管を取り付けて推進体を引き戻す場合は、油圧シリンダを含む本体(11)を前後逆向きに配置し直す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
土中埋設管の敷設工事では推進体やその押し引き装置には泥や砂が付着するから、推進体を把持するロック機構は泥や砂を噛み込んでも容易に除去できることが必要になる。推進体はその土中への押し込み時には順に後尾に他の推進体を接続し、引き出し時には逆に切り離してゆくが、この接続・切り離し時にはロック装置は推進体を一時解放する必要がある。このためロック装置は簡単な操作で推進体をロックしたり解放できることが望ましい。
【0009】
前記ドリル用のコレットチャックは、コレットとコレットホルダのテーパ面に泥や砂を噛み込むとその除去が面倒であり、推進体のロック・解放時にコレットホルダを回転しなければならない。このため狭い場所での作業性が悪いという問題がある。
【0010】
特許文献1のものは油圧式のクランプ機構を用いるが、この機構は後尾の推進体の後端部が入る凹部(六角孔状凹部10A)を設けてこの凹部に油圧ピストンで保持するものであるため、構造が複雑で大型化する。またこの装置は狭い竪坑内で使用するから大型化すると竪坑内での作業性が非常に悪くなる。
【0011】
特許文献2のものは、1つの偏芯カムを用いるから構造が簡単で小型化に適するが、推進体との接触点が二ヶ所になり1つの偏芯カムによる把持力は十分大きくするのが困難である。このため、大きな押し込み力や引き戻し力が加わる時に把持力が不足することが考えられる。特に泥水が付着する使用条件下では推進体が滑る恐れが有り得る。また長期間の繰り返し使用により偏芯カムと推進体を受ける受け部材の摩耗が早く進み、耐久性が劣るという問題もある。
【0012】
一方従来より、ボデーに形成したテーパ面と推進体との間に3個のスリーブを嵌合させ、これらのスリーブをテーパ面の小径側へ押し込むことにより推進体を把持し、スリーブをテーパ面の大径側へ引き出すことにより推進体を解放するものが考えられる。しかしこの場合は推進体がボデーに入っていない時にスリーブが内側へ脱落するのを防ぐため、スリーブの内周面に環状の溝を形成してこの溝に拡径するリング状ばねを装填する必要がある。このリング状ばねによって3つのスリーブを常にテーパ面に押し付けて保持するものである。
【0013】
この様な3個のスリーブを用いるものでは、リング状ばねの周りに泥や砂が噛み込みやすく、またその除去が困難になる。このため何度も推進体をロック・解放する場合に作業を中断しなければならず作業能率が悪くなる。またリング状ばねが折れたり外れた場合にはスリーブが脱落してしまい、作業の中断時間が長くなる。
【0014】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、狭い場所での作業性が良く、泥や砂を噛み込んでも泥や砂を除去しやすく、構造が単純で小型化に適し、十分な保持力を発生させることができ、軸体(推進体)をボデーから抜いた時にもスリーブの脱落防止用のリング状ばねを用いることなくスリーブの脱落を防ぐことができ、さらに耐久性にも優れる軸体ロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明によればこの目的は、軸体の一方向への移動を許容し反対方向への移動を規制するように、前記軸体をロックまたは解放する軸体ロック装置において、
前記軸体が貫通しかつその移動を許容する方向に向かって拡径するテーパ面を有するボデーと;
前記テーパ面の中心軸線を中心にして周方向に間隔を空けて前記ボデーに固定され、前記軸体の移動を許容する方向側を周方向に幅広とした複数のガイドと;
前記ガイドの間にスライド可能に装填され、前記テーパ面の縮径方向へのスライドによりその外周面が前記テーパ面にガイドされてその内周面が前記軸体を保持し、前記テーパ面の拡径方向へのスライドにより前記軸体を解放すると共にその側面が前記ガイドの側面と協働して形成する係合手段によって内側への脱落が防止される複数のスリーブと;
前記スリーブをそのスライド方向の所定範囲内で移動させて前記軸体のロックおよび解放を行うスリーブ開閉手段と;
を備えることを特徴とする軸体ロック装置、
により達成される。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、ボデーのテーパ面に固定した複数のガイドの側面とスライドする複数のスリーブの側面との協働により機能を発揮する係合手段を設け、この係合手段によりスリーブの脱落、特に軸体を抜いた状態での脱落を防止する。ここにスリーブのスライド範囲(可動範囲)はスリーブ開閉手段で規制され、スリーブは係合手段によってガイドから脱落するのが防止される。
【0017】
このためスリーブをスリーブ開閉手段でスライド方向に移動させることによって軸体のロック・解放が行えるから、コレットチャックのようにコレットホルダを回転させる必要が無く狭い場所での作業性がよい。スリーブは軸体を抜いた状態でスリーブ開閉手段により前後に繰り返しスライドさせることにより、スリーブとテーパ面との間に入った泥や砂を容易に除去することができる。
【0018】
スリーブはスリーブ開閉手段で前後にスライドさせるから、油圧式チャックを用いるもの(特許文献1参照)に比べて構造が簡単であり小型化に適する。このため狭い場所(竪坑内など)での作業性が良い。
【0019】
軸体を掴むスリーブは3個以上に増やすことができるので、軸体を周方向の三ヶ所以上で把持することができる。このため強い保持力を発生させることができると共に、スリーブの把持位置が3ヶ所以上になるのでスリーブの摩耗が少なくなり、耐久性に優れる。さらに軸体を抜いた時には、スリーブはガイドの側面とで形成される係合手段によりその脱落が防止される。このためスリーブの脱落防止用のリング状ばねが不要になり、構造が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例の正面図と、ガイドおよびスリーブの単体図
【図2】図1におけるII−II線断面図
【図3】ガイドの正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】ロック状態を示す側断面図
【図6】図5におけるVI−VI線断面図
【図7】開放状態を示す側断面図
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図
【図9】本実施例のスリーブ開閉手段を示す正面図
【図10】図9における左側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明は土中埋設管の敷設工事に用いる推進体の押し引き装置に適するものであるが、本発明はこれに限らずパイプや棒状の部材をロックしたりロック解除したりするものに適用できる。例えば、風呂場におけるシャワーの保持位置を上下の所望の高さにセットしたり、スポットライトを壁面に固定したパイプの自由な高さにセットするなど多種の用途があり、本発明はこれらを包含する。
【0022】
係合手段は、互いに対向するスリーブの側面とガイドの側面とを、テーパ面の中心軸線が垂直となる平面上で、テーパ面の中心軸線よりスリーブ側へ偏芯した位置を中心とする半径とほぼ平行にする(すなわち、テーパ面の中心軸線が垂直となる平面上で、テーパ面の中心軸線よりスリーブ側へ偏芯した位置を通り前記中心軸線とほぼ平行な平面と平行にする)ことにより構成することができる(請求項2)。この半径は、中心軸線側から見てスリーブの内周面の幅(中心軸線に直交する方向の幅)が、テーパ面側の幅よりも小さくなるとともに、このスリーブを挟む一対のガイドの側面の間隙(周方向の間隙)は中心軸線側が狭くなる。このため、スリーブが内側(中心線側)に脱落するのが防止される。またこの場合は、スリーブとガイドの側面が互いに接近または摺動する平面になるから、この間隙にもしも泥や砂を噛み込んでも除去しやすい。
【0023】
ここにスリーブとガイドの側面の一方または両方が偏芯した位置付近を通れば足りる。「ほぼ平行」の意味も軸体が無い時にスリーブがガイドの間から脱落しないようにするという本発明の目的・効果から明らかである。
【0024】
係合手段は、スリーブとガイドの側面を前記のように所定角度を持った平面で形成するのに換えて、一方の側面に設けたキー溝と他方の側面に設けたこれに係合するキーとで構成しても良い。この場合キー溝とキーは、スリーブのスライドに伴ってスリーブがテーパ面にほぼ沿って競り上がる(または下がる)傾きにする。
【0025】
係合手段は、スリーブが軸体の移動を許容する方向(軸体を解放する方向)に移動する時にテーパ面のテーパ角を超えない競り上げ角度を持って前記スリーブを外周側へ競り上げることが必要である(請求項3)。このようにすればスリーブがテーパ面と係合手段の間にロックされることがないからである。
【0026】
係合手段は、スリーブが軸体を保持した状態でスリーブの側面とガイドの側面との間に間隙を形成するのが望ましい(請求項4)。間隙は僅かで足り、この間隙によってスリーブが軸体をロックした状態でテーパ面に確実に接触しスリーブを確実に軸体に押し付けることができる。
【0027】
同一形状の3個のガイドと、同一形状の3個のスリーブとを備え、これらガイドとスリーブを周方向に交互に配設し、各スリーブの両側面を異なる2個のガイドの側面に対向させれば、軸体は3個のスリーブで把持することができ、把持力を十分に大きくすることができる(請求項5)。ガイドとスリーブの数はこれに限られないのは勿論である。
【0028】
スリーブ開閉手段は、テーパ面の中心軸線と平行方向に進退動可能にボデーに保持されたスリーブ開閉キーと、前記スリーブ開閉キーに固定されそれぞれのスリーブに係合してスリーブを進退動させるプッシュ部材と、を備えるように構成することができる(請求項6)。この場合スリーブ開閉キーは、テーパ面の中心軸線に直交する揺動軸によってボデーに揺動自在に保持されたハンドルレバーにより進退動させることができる(請求項7)
【0029】
プッシュ部材は、スリーブ開閉キーの両端に固定されボデーの両端に対向する一対のリング部材に取り付けられ、一方の前記リング部材に取り付けられるプッシュ部材は前記スリーブとの間隔を調整可能な調整ボルトとするのが良い(請求項8)。調整ボルトによって、スリーブが軸体をロックする位置の正確な位置決めを行うことができる。
【実施例1】
【0030】
図9、10は本発明を適用した地中埋設管敷設用の推進体ロック装置10を示している。このロック装置10は図示しない台座に取り付けられ、油圧シリンダによって前進・後退する。台座は竪坑内に固定され、ロック装置10は油圧シリンダによって図10の右方向(矢印A方向)に軸体である推進体12を押し出す。推進体12は竪坑の直径よりも十分に短い推進体を順次継ぎ足してゆく。そのときにロック装置10は推進体12を解放して後尾側に後退し、再び推進体12をロックして前進し推進体12を地中に押し込んでゆく。また推進体12を引き戻す時には、ロック装置10を左右反転して推進体12を把持し、油圧シリンダによって引き戻す。
【0031】
図9、10において、符号14はボデーであり、このボデー14には矢印A方向(推進体12の押し出し方向)に向かって拡径するテーパ面16が形成されている。テーパ面16の勾配は例えば9°に設定されている(図2参照)。このテーパ面16と推進体12との間には後記するスリーブ18が装填されている。スリーブ18はスリーブ開閉手段20によって図10で左右にスライドされる。
【0032】
スリーブ開閉手段20は、テーパ面16の中心軸線22に直交する揺動軸24によってボデー14に軸止され下部がボデー14の両側に分岐したハンドルレバー26と、ボデー14の側面に中心軸線22と平行方向に進退動可能に保持された左右一対のスリーブ開閉キー28と、これらスリーブ開閉キー28の前後端に固定された一対のリング部材30、32と、両リング部材30、32に取り付けられそれぞれのスリーブ18の両端に係合する複数のプッシュ部材34、36とを有する。なお一方のプッシュ部材34は、スリーブ18との間隔を調整可能な調整ボルトである。
【0033】
ボデー14の下面には水平な回転板38が固定され、この回転板38の中心(ボデー14の垂直な中心線上にある。)には回転軸ピン40が下方に突出するように固定されている。この回転軸ピン40は油圧ピストンによってスライドするスライド部材(図示せず)に回転自在に支持されている。回転板38にはこの回転軸ピン40を挟んで対称位置に適宜数(例えば2本)の位置決めピン42、42が装着され、位置決めピン42を引き上げれば、回転板38は回転可能となり、図9、10の位置を左右反転できる。すなわち推進体12を矢印A方向に押し込む位置と、反矢印A方向に反転させて推進体12を引き抜く位置に切り替えることができる。なお回転板38は、他の適宜の固定手段を追加してその固定を確実にしておくのがよい。
【0034】
次に図1〜8を用いて、本発明のロック装置を説明する。図1の正面図は前記ボデー14に形成したテーパ面16を大径側から見た図である。すなわち図10で右側から見た図である。またガイド50とスリーブ18の単体図は、テーパ面16の中心軸線22側から見た図である。これらのガイド50とスリーブ18は正面図から明らかなようにテーパ面16の内面に密着するように円弧状に湾曲している。ガイド50は後面に向かって次第に幅が狭くなった、ほぼ扇形である。
【0035】
テーパ面16には3個のガイド50が周方向に等間隔に固定されている。ガイド50は図1で「正面」と書かれた幅(周方向の幅)が広い端面を正面側にしてテーパ面16にビスで固定される。スリーブ18は「正面」と書かれた端面が反対の「後面」と書かれた端面よりも幅がやや狭い。3個のスリーブ18はガイド50の間にそれぞれ装填される。
【0036】
ここに前記スリーブ18の左右の側面18Aは図1の正面図に示すように、中心軸線22が垂直となる平面上(図1の紙面上)で、テーパ面16の中心軸線22よりもスリーブ18側に変位した位置(スリーブ18に近い位置)を通り前記中心軸線22と平行な平面上に位置する。すなわち中心軸線22を中心とする小円52とスリーブ18の中心を通る線との交点54を中心とする半径上に位置する。また正面側の端面では両側面18A、18Aが交点54に向かって挟む角度は60°である。
【0037】
ガイド50の側面50A、50Aはスリーブ18の側面18A、18Aに平行であり、これらによって係合手段が形成される。また側面50A、50Aは、スリーブ18が推進体12を把持した状態で(図1の正面図参照)スリーブ18の側面18Aとの間に僅かな間隙Gを形成する。この間隙Gはスリーブ18が推進体12とテーパ面16との間に確実に挟持されるようにするためである。またこの間隙Gが大きすぎると、推進体18が無い時にスリーブ18がガイド50の間から脱落する。実施例では、直径36ミリメートルの推進体18に対してこの間隙Gを0.6ミリメートルにしている。また前記小円52の半径は4ミリメートルとしている。
【0038】
この実施例の動作を図5〜8を用いて説明する。前記図9,10に示したハンドルレバー26をロック方向に傾ければ、スリーブ18は図5に示す矢印B方向に押される。スリーブ18はテーパ面16によって推進体12に押し付けられ、推進体12を保持(ロック)することができる。この時には図6に示すようにスリーブ18の側面18Aとガイド50の側面50Aとの間には僅かな間隙Gができる。
【0039】
ハンドルレバー26を反対方向の解放側へ揺動させれば、スリーブ18は図7に示すように矢印C方向に押される。この時スリーブ18の側面18Aがガイド50の側面50Aとの間隙を減少させ、この間隙が無くなるとスリーブとガイド50の側面同志が接触し、スリーブ18はガイド50の側面に案内されて推進体12から離れテーパ面16に沿ってスライドする。すなわちスリーブ18はテーパ面16に向かって競り上がる。図8はこの状態を示している。図7の矢印Dはこの時のスリーブ18の移動方向を示す。
【符号の説明】
【0040】
10 ロック装置
12 推進体(軸体)
14 ボデー
16 テーパ面
18 スリーブ
20 スリーブ開閉手段
22 テーパ面の中心軸線
24 揺動軸
26 ハンドルレバー
28 スリーブ開閉キー
30、32 リング部材
34、36 プッシュ部材
50 ガイド
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の一方向への移動を許容し反対方向への移動を規制するように、前記軸体をロックまたは解放する軸体ロック装置において、
前記軸体が貫通しかつその移動を許容する方向に向かって拡径するテーパ面を有するボデーと;
前記テーパ面の中心軸線を中心にして周方向に間隔を空けて前記ボデーに固定され、前記軸体の移動を許容する方向側を周方向に幅広とした複数のガイドと;
前記ガイドの間にスライド可能に装填され、前記テーパ面の縮径方向へのスライドによりその外周面が前記テーパ面にガイドされてその内周面が前記軸体を保持し、前記テーパ面の拡径方向へのスライドにより前記軸体を解放すると共にその側面が前記ガイドの側面と協働して形成する係合手段によって内側への脱落が防止される複数のスリーブと;
前記スリーブをそのスライド方向の所定範囲内で移動させて前記軸体のロックおよび解放を行うスリーブ開閉手段と;
を備えることを特徴とする軸体ロック装置。
【請求項2】
係合手段は、互いに対向する前記スリーブの側面とガイドの側面とを、テーパ面の中心軸線が垂直となる平面上で、テーパ面の中心軸線よりスリーブ側へ偏芯した位置を通り前記中心軸と平行な平面とほぼ平行にした請求項1の軸体ロック装置。
【請求項3】
係合手段は、スリーブが軸体の移動を許容する方向に移動する時にテーパ面のテーパ角を超えない競り上げ角度を持って前記スリーブを外周側へ競り上げる請求項1または2の軸体ロック装置。
【請求項4】
係合手段は、スリーブが軸体を保持した状態でスリーブの側面とガイドの側面との間に間隙を形成する請求項1〜3のいずれかの軸体ロック装置。
【請求項5】
同一形状の3個のガイドと、同一形状の3個のスリーブとを備え、これらガイドとスリーブが周方向に交互に配設され、各スリーブの両側面が異なる2個のガイドの側面に対向している請求項1〜4のいずれかの軸体ロック装置。
【請求項6】
スリーブ開閉手段は、テーパ面の中心軸線と平行方向に進退動可能にボデーに保持されたスリーブ開閉キーと、前記スリーブ開閉キーに固定されそれぞれのスリーブに係合してスリーブを進退動させるプッシュ部材と、を備える請求項1の軸体ロック装置。
【請求項7】
請求項6において、スリーブ開閉手段はさらに、テーパ面の中心軸線に直交する揺動軸によってボデーに揺動自在に保持されたハンドルレバーを備え、このハンドルレバーがスリーブ開閉キーを進退動させる軸体ロック装置。
【請求項8】
請求項6において、プッシュ部材は、スリーブ開閉キーの両端に固定されボデーの両端に対向する一対のリング部材に取り付けられ、一方の前記リング部材に取り付けられるプッシュ部材は前記スリーブとの間隔を調整可能な調整ボルトである軸体ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−185372(P2011−185372A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52111(P2010−52111)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(592118088)トキワ工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】