説明

軸受、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】回転部材の軸部に摺接部材を摺接させることで、摺接部材や軸部から削り粉等が生じても、それが下方の部材に付着する不具合が生じにくい、軸受、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ローラ12(回転部材)の軸部12aが回転可能に保持される軸受22であって、軸部12aの端面に電極板30(摺接部材)が摺接する位置の下方の空間に向けて突出するとともに、その位置に落下する落下物が捕集される受皿部22cを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転部材の軸部を回転可能に保持する軸受と、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置と、そこに着脱可能に設置されるプロセスカートリッジと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、帯電ローラ等の回転部材における軸部の端面に電極板(電極)を摺接させて、画像形成装置本体側から電極板を介して帯電ローラに所定の帯電バイアスを印加する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1等において、帯電ローラは、その軸部が軸受によって回転可能に保持されて、像担持体としての感光体ドラムに接触(又は、非接触で対向)するように配設されている。また、帯電ローラの軸部の端面に電極板の先端部が所定の圧力で圧接するように、電極板が設置されている。そして、画像形成装置本体の電源部から電極板を介して帯電ローラに所定の電圧(帯電バイアス)が印加されることで、帯電ローラによって感光体ドラムの表面が帯電されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、帯電ローラが回転することで、帯電ローラの軸部の端面に摺接する電極板から削り粉が発生してしまうという不具合があった。そして、このような削り粉が下方に落下して、感光体ドラム(像担持体)に付着してしまうと、感光体ドラム上に形成されるトナー像に異常画像が発生してしまうことがあった。
【0005】
このような問題は、帯電ローラが高速で回転される高速機では、軸部と電極板との摺動抵抗が大きくなるため、特に無視できないものになっていた。
また、このような問題は、帯電ローラにおける軸部の端面に電極板を摺接させる場合に限定されることなく、種々の回転部材の軸部に摺接部材を摺接させる場合には共通して起こりうるものである。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、回転部材の軸部に摺接部材を摺接させることで、摺接部材や軸部から削り粉等が生じても、それが下方の部材に付着する不具合が生じにくい、軸受、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかる軸受は、回転部材の軸部が回転可能に保持される軸受であって、前記軸部に摺接部材が摺接する位置の下方の空間に向けて突出するとともに、その位置に落下する落下物が捕集される受皿部を備えたものである。
【0008】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットであるものと定義する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、回転部材の軸部が回転可能に保持される軸受において、軸部に摺接部材が摺接する位置の下方の空間に向けて突出して、その位置に落下する落下物を捕集する受皿部を設けている。これにより、回転部材の軸部に摺接部材を摺接させることで、摺接部材や軸部から削り粉等が生じても、それが下方の部材に付着する不具合が生じにくい、軸受、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】プロセスカートリッジを示す概略斜視図である。
【図4】プロセスカートリッジの内部の構成を示す概略側面図である。
【図5】プロセスカートリッジの内部の構成の一部を示す斜視図である。
【図6】プロセスカートリッジの内部の構成の一部を示す正面図である。
【図7】画像形成装置本体の本体電極板の近傍を示す斜視図である。
【図8】電極板が本体電極板に接続されていく状態を示す概略側面図である。
【図9】別形態の軸受の近傍を示す概略斜視図である。
【図10】さらに別形態の軸受の近傍を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ(タイミングローラ)、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電ローラ(帯電部)、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15はプロセスカートリッジ(着脱ユニット)、を示す。
【0013】
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
【0014】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0015】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0016】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0017】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の反時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電ローラ12(回転部材)との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0018】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0019】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0020】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0021】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニングブレード15a(クリーニング部)との対向位置に達する。そして、クリーニングブレード15aで、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0022】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0023】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0024】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0025】
次に、図2にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電する回転部材としての帯電ローラ12、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する現像装置13(現像部)、感光体ドラム11上の未転写トナーを回収するクリーニングブレード15a(クリーニング部)、感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16(潤滑剤供給部)、帯電ローラ12をクリーニングするクリーニングローラ21、等の構成部材で構成されている。
そして、本実施の形態では、作像部の構成部材のうち、感光体ドラム11と帯電ローラ12とクリーニングブレード15a(クリーニング部)と潤滑剤供給装置16とクリーニングローラ21とが、プロセスカートリッジ15として一体化されていて、プロセスカートリッジ15(着脱ユニット)として装置本体1に着脱可能に構成されている。また、現像装置13は、プロセスカートリッジ15とは別のユニットとして、装置本体1に対して着脱可能に構成されている。
なお、各色の作像部(又は、プロセスカートリッジ)はほぼ同一構造であるために、図2〜図9にて作像部やプロセスカートリッジは符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
また、プロセスカートリッジ15は、概ね、図3に示すような外観をなしている。
【0026】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けた構成部材である。
図示は省略するが、感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、保護層(表面層)が順次積層されている。
感光体ドラム11の導電性支持体(基層)としては、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料を用いることができる。
【0027】
回転部材としての帯電ローラ12は、軸部12a(導電性芯金)の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材であって、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向下流側において感光体ドラム11に対して微小なギャップをあけて対向するように配設されている。なお、本実施の形態において、帯電ローラ12は、軸受22(帯電ローラ軸受部22a)を介してスプリング24(付勢部材)によって感光体ドラム11に向けて付勢されて、軸部12aに挿設されたコロ25が感光体ドラム11に接触することで、感光体ドラム11に対して微小なギャップをあけて対向している(図4を参照できる)。また、帯電ローラ12には、軸受22(クリーニングローラ軸受部22b)によって重力方向に移動可能に保持されたクリーニングローラ21が圧接している(図4を参照できる。)。
そして、帯電ローラ12には、装置本体1に設置された不図示の電源部から本体電極板110、電極板30(摺接部材)を介して所定の電圧(帯電バイアス)が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
なお、本実施の形態では、帯電ローラ12を感光体ドラム11に対して微小ギャップをあけて非接触で対向させているが、帯電ローラ12を感光体ドラム11に接触させることもできる。
【0028】
現像装置13は、現像ローラ13aが感光体ドラム11に接触するように配置されていて、双方の部材の間には現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーT(1成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。
詳しくは、図2を参照して、本実施の形態における現像装置13は、1成分現像方式の現像装置であって、現像ローラ13a(現像剤担持体)、供給ローラ13b、薄層化部材としてのドクターブレード13c、撹拌部材13d、等で構成されている。
【0029】
このように構成された現像装置13は、次のように動作する。
まず、現像装置13内に供給され収容されたトナーの一部が、供給ローラ13bに担持される。供給ローラ13bに担持されたトナーは、現像ローラ13aとの圧接部で摩擦帯電された後に、現像ローラ13a上に移動して担持される。その後、現像ローラ13a上に担持されたトナーは、ドクターブレード13cの位置で、薄層化・均一化された後に、感光体ドラム11との当接位置(現像領域)に達する。そして、この位置で、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0030】
なお、本実施の形態において、画質向上のために、円形度が0.98以上の球形トナーをトナーTとして使用している。「円形度」は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」(東亜医用電子社製)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。)を0.1〜0.5ml加えて、さらに測定試料(トナー)を0.1〜0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、分散液濃度が3000〜10000個/μlとなるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。
【0031】
球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法によって形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたもの等を用いることができる。
このような球形トナーを用いる場合、従来は、クリーニングブレード15aと感光体ドラム11との僅かな隙間に入り込んでやがてその隙間をすり抜けてクリーニング不良が生じることがあった。しかし、本実施の形態では、潤滑剤供給装置16によって潤滑剤を感光体ドラム11表面に塗布して、感光体ドラム11上におけるトナー剥離性(除去性)を向上させるために、クリーニング不良の発生が抑止される。
【0032】
クリーニングブレード15aは、潤滑剤供給装置16に対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。クリーニングブレード15aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー等の付着物が機械的に掻き取られてプロセスカートリッジ15内に回収されることになる。そして、プロセスカートリッジ15内に回収されたトナーは、廃トナーとして廃トナー回収容器(不図示である。)に向けて搬送コイル15bによって搬送される。ここで、感光体ドラム11上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、記録媒体P(用紙)から生じる紙粉、帯電ローラ12aによる放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等がある。
また、本実施の形態におけるクリーニングブレード15aは、潤滑剤供給ローラ16aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化する薄層化ブレードとしても機能する。
【0033】
潤滑剤供給装置16は、固形潤滑剤16b、感光体ドラム11と固形潤滑剤16bとに摺接する潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ状ローラ)、固形潤滑剤16bを保持する保持部材16e、固形潤滑剤16bとともに保持部材16eを潤滑剤供給ローラ16aに向けて付勢する付勢手段としての圧縮スプリング16c、等で構成される。
このように構成された潤滑剤供給装置16によって、感光体ドラム11上に潤滑剤が供給される。そして、潤滑剤供給装置16の下流側に配設されたクリーニングブレード15aによって、感光体ドラム11上に供給された潤滑剤が薄層化される。
【0034】
ここで、潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ状ローラ)は、長さ(毛足)が0.2〜20mm(好ましくは、0.5〜10mm)の範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたものを芯金上にスパイラル状に巻き付けたものである。
ブラシ毛の長さが20mmを超えると、経時における感光体ドラム11との繰り返し摺擦によって、ブラシ毛が所定方向に倒毛して、固形潤滑剤16bの掻取性や感光体ドラム11からのトナー除去性が低下してしまう。これに対して、ブラシ毛の長さが0.2mm未満であると、固形潤滑剤16bや感光体ドラム11に対する物理的な当接力が不足してしまう。したがって、ブラシ毛の長さは上述の範囲であることが好ましい。
【0035】
潤滑剤供給ローラ16aは、図2の反時計方向に回転する感光体ドラム11に対してカウンタ方向で接触するように回転する(図2の反時計方向の回転である。)。また、潤滑剤供給ローラ16a(ブラシ毛)は、固形潤滑剤16bと感光体ドラム11とに摺接するように配置されていて、潤滑剤供給ローラ16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その掻き取った潤滑剤を感光体ドラム11との摺接位置まで搬送した後に、その潤滑剤を感光体ドラム11上に塗布する。
固形潤滑剤16bの後方部には,潤滑剤供給ローラ16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング16cが配置されていて、保持部材16eに保持(貼着)された状態の固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aに向けて付勢している。
【0036】
本実施の形態では、固形潤滑剤16bを主としてステアリン酸亜鉛で形成している。詳しくは、固形潤滑剤16bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解したもので、塗りすぎによる副作用がなく、充分な潤滑性があるものが好適である。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、感光体ドラム11表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に感光体ドラム11表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に感光体ドラム11表面を覆うことができる。
【0037】
なお、固形潤滑剤16bとしては、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を使用して良い。他にも、脂肪酸基として、カプリル酸、リノレン酸、コリノレン酸等を使用することができる。さらに、カンデリラワックス、カンルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、おおば油、みつろう、ラノリン等のワックスを使用することもできる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性が良い。
【0038】
固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aを介して感光体ドラム11表面に塗布すると、感光体ドラム11表面には粉体状の潤滑剤が塗布されるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、クリーニングブレード15aが潤滑剤を均一化する薄層化ブレードとしても機能することになる。クリーニングブレード15aにより、感光体ドラム11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。
このとき、潤滑剤供給ローラ16aにより塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほど、クリーニングブレード15aにより感光体ドラム11上に分子膜レベルで薄膜化される。
【0039】
以下、図4〜図8等を用いて、本実施の形態において特徴的な、プロセスカートリッジ15や画像形成装置1の構成・動作について詳述する。
先に説明したように、プロセスカートリッジ15は、画像形成装置本体1に対して着脱可能に設置される。詳しくは、図1の装置本体1において、不図示の本体カバーが開放された状態で、各色のプロセスカートリッジ15がそれぞれ+X方向に装着されることになる(又は、−X方向に離脱されることになる。)。
図示は省略するが、プロセスカートリッジ15は、装置本体1の案内レールに沿うように装着されて、装置本体1における位置が定められる。そして、装置本体1へのプロセスカートリッジ15の装着動作にともない、プロセスカートリッジ15に設置した摺接部材としての電極板30(図3〜図5等をも参照できる。)が、図8に示すように、画像形成装置本体1において電圧印加された本体電極板110(図7をも参照できる。)に電気的に接続されることになる。
【0040】
図4、図5に示すように、電極板30(摺接部材)は、プロセスカートリッジ15を構成する回転部材としての帯電ローラ12に電気的に接続されている。詳しくは、電極板30(摺接部材)は、帯電ローラ12(回転部材)における一端側(図4の右側である。)の軸部12aの端面に摺接(接触)するように配設されている。
電極板30は、ステンレス鋼等のバネ性を有する板状の金属材料に曲げ加工を施したものである。電極板30の板厚は、0.05〜0.2mm程度が好ましく、本実施の形態では0.1mmに設定されている。そして、電極板30は、プロセスカートリッジ15のサイドカバー15d(図3を参照できる。)の内壁面に沿うように保持された状態で付勢部材としての圧縮スプリング24によって内壁面に押し付けられるように固定保持される。なお、図3を参照して、サイドカバー15dは、プロセスカートリッジ15の主たる筐体として機能するケース15cの側方を覆うように設置されている。
【0041】
さらに具体的に、摺接部材としての電極板30には、図5に示すように、第1接触部30aや第2接触部30b等が曲げ加工によって形成されている。
電極板30の第1接触部30aは、所定方向(図8(B)の矢印方向である。)に弾性変形した状態で装置本体1の本体電極板110に接触する。詳しくは、図3に示すように、プロセスカートリッジ15のサイドカバー15dには、電極板30の第1接触部30aが露呈する開口部15d1が形成されている。そして、図3に示すプロセスカートリッジ15が装置本体1にて+X方向に装着されると、開口部15d1から露呈した電極板30の第1接触部30aが、装着方向奥側に設置された本体側板100の保持部100aに保持された本体電極板110(図7を参照できる。)に接触することになる。このとき、図8(A)から図8(B)に示すように、プロセスカートリッジ15の装着動作にともない、第1接触部30aが本体電極板110に接触すると、本体電極板110によって第1接触部30aが押動されて図8(B)の矢印方向に弾性変形することになる。このように、第1接触部30aが弾性変形して本体電極板110に接触することで、双方の電極30、110の導通が確実にとれるとともに、双方の電極30、110の接触が装置本体1へのプロセスカートリッジ15の装着を妨げる不具合が抑止されることになる。
【0042】
ここで、本実施の形態において、本体電極板110は、板厚が0.5mm程度のステンレス鋼等の金属材料(板金)からなる比較的剛性の高い棒状部材である。また、本体電極板110は、装置本体1において不図示の電源部に接続されていて、所定の電圧(帯電バイアス)が給電される。また、電極板30の第2接触部30bは、図4、図5に示すように、軸受22(帯電ローラ軸受部22a)に回転可能に保持された帯電ローラ12の軸部12aの端面に接触しており、電極板30が帯電ローラ12に電気的に接続されている。このような構成により、装置本体1に装着された状態のプロセスカートリッジ15の帯電ローラ12に、装置本体1側から本体電極板110、電極板30を介して、所定の電圧(帯電バイアス)が印加されることになる。
また、本実施の形態では、軸受22(帯電ローラ軸受部22a)が導電性樹脂材料で形成され、圧縮スプリング24が導電性金属材料で形成されている。そのため、装置本体1に装着された状態のプロセスカートリッジ15の帯電ローラ12に、装置本体1側から本体電極板110、電極板30、圧縮スプリング24、軸受22を介して、上述した経路とは異なる経路でも、帯電バイアスが印加されることになる。これにより、仮に第2接触部30bと軸部12aとの間に接触不良が生じてしまっても、帯電ローラ12に帯電バイアスが印加されなくなる不具合を防止することができる。
【0043】
さらに、図4を参照して、装置本体1へのプロセスカートリッジ15の装着動作にともない、プロセスカートリッジ15の感光体ドラム11の装着方向奥側(回転軸方向の一端側)のフランジの内周部に形成した駆動伝達部としてのカップリング11aが、本体側板100に設置された本体側カップリング115に嵌合する。
なお、カップリング11aは、図3に示すサイドカバー15dの開口部(不図示である。)から外部(装置本体1の本体カップリング115の側である。)に露呈するように形成されている。カップリング11aには、回転方向に間隔をあけて配列された複数の爪部が+X方向に突出するように形成されている。
また、図示は省略するが、装置本体1の本体側板100には、モータ軸に本体側カップリング115が設置された駆動モータが固設されている。また、本体側カップリング115には、回転方向に間隔をあけて配列された複数の爪部が−X方向に突出するように形成されていて、この爪部が感光体ドラム11のカップリング11aの爪部に噛み合って駆動が伝達されることになる。
【0044】
そして、このようにカップリング11a(駆動伝達部)と本体カップリング115とが噛み合った状態で、画像形成装置本体1の駆動モータから本体カップリング115、カップリング11aを介して感光体ドラム11(像担持体)に駆動力が伝達されて、感光体ドラム11が所定方向(図2の反時計方向である。)に回転することになる。さらに、感光体ドラム11から複数の従動回転体としての帯電ローラ12、搬送スクリュ15b、潤滑剤供給ローラ16aにそれぞれ駆動力が伝達されて、それらの従動回転体12、15b、16aがそれぞれ所定方向に従動回転することになる。
【0045】
詳しくは、図4を参照して、像担持体としての感光体ドラム11の回転軸方向両端部には、それぞれ、ハスバ歯車11b、11cが設置されている。
具体的に、感光層等が形成された円筒状(ドラム状)のドラム主部の一端側には、外周部に第1ハスバ歯車11bが形成されて内周部にカップリング11aが形成されたフランジが、圧入接着されている。また、ドラム主部の他端側には、外周部に第2ハスバ歯車11cが形成されたフランジが、圧入接着されている。
一方、帯電ローラ12における他端側の軸部には、感光体ドラム11の第2ハスバ歯車11cに噛合するハスバ歯車12b(帯電ローラ用ハスバ歯車)が設置されている。また、図示は省略するが、潤滑剤供給ローラ16aにおける一端側の軸部には、感光体ドラム11の第1ハスバ歯車11bに噛合するハスバ歯車(潤滑剤供給ローラ用ハスバ歯車)が設置されている。さらに、図示は省略するが、搬送スクリュ15bにおける一端側の軸部には、潤滑剤供給ローラ用ハスバ歯車に噛合するハスバ歯車(搬送スクリュ用ハスバ歯車)が設置されている。
【0046】
このような構成により、画像形成装置本体1の駆動モータ116から本体カップリング115、カップリング11aを介して感光体ドラム11に駆動力が伝達されると、感光体ドラム11から第2ハスバ歯車11c、帯電ローラ用ハスバ歯車12bを介して帯電ローラ12に駆動力が伝達され、感光体ドラム11から第1ハスバ歯車11b、潤滑剤供給ローラ用ハスバ歯車を介して潤滑剤供給ローラ16aに駆動力が伝達され、さらに潤滑剤供給ローラ用ハスバ歯車、搬送スクリュ用ハスバ歯車を介して搬送スクリュ15bに駆動力が伝達される。そして、それぞれの従動回転体12、15b、16aが所定方向に回転することになる。
【0047】
ここで、本実施の形態では、帯電ローラ12に設置されたハスバ歯車12b(帯電ローラ用ハスバ歯車)に作用する力によって帯電ローラ12が回転軸方向にスラスト移動する方向が一端側から離れる方向(図3の−X方向である。)になるように形成されている。具体的に、帯電ローラ用ハスバ歯車12bのネジレ方向が左方向になるように設定されていて感光体ドラム11から帯電ローラ12に伝達される駆動力を帯電ローラ用ハスバ歯車12bの歯面が受けると、その歯面の傾斜方向によってその反力が+X方向に作用することはなく−X方向に作用することになる。
このように帯電ローラ12は、プロセスカートリッジ15の駆動が開始されると、−X方向(図3の白矢印方向である。)にスラスト移動することになるため、+X方向側にて軸部12aに接触する電極板30(第2接触部30b)の接触圧が強くなりすぎて電極板30や軸部12aが削れてしまう不具合を軽減することができる。
なお、帯電ローラ用ハスバ歯車12bには駆動伝達によって+Z方向にも力が作用することになるが、圧縮スプリング24のスプリング力が−Z方向に充分に作用しているため、帯電ローラ12と感光体ドラム11との所望のギャップは維持されることになる。
【0048】
ここで、図4〜図6を参照して、本実施の形態において、帯電ローラ12の軸部12aを回転可能に保持する一端側の軸受22(図4の右側に設置された軸受22である。)には、帯電ローラ軸受部22a、クリーニングローラ軸受部22b、受皿部22c等が一体的に形成されている。また、帯電ローラ12の軸部12aを回転可能に保持する他端側の軸受23(図4の左側に設置された軸受22である。)にも、帯電ローラ軸受部、クリーニングローラ軸受部等が一体的に形成されている。他端側の軸受23は、受皿部22cが設置されていない点と、左右対称に形成されている点と、を除き、一端側の軸受22とほぼ同じように構成されているため、以下その説明を省略する。
【0049】
軸受22の帯電ローラ軸受部22aは、帯電ローラ12の軸部12aが挿入される穴部が形成されていて、帯電ローラ12のスベリ軸受として機能する部分である。帯電ローラ軸受部22aの側方には溝部が形成されていて、この溝部がプロセスカートリッジ15のカバー15cの内壁面に形成された凸状のレール部(不図示である。)に嵌合することで、プロセスカートリッジ15において軸受22(帯電ローラ12)が感光体ドラム11に向けてスライド移動可能に保持されている。そして、圧縮スプリング24のスプリング力によって軸受22(帯電ローラ12)が感光体ドラム11に向けて付勢されて、帯電ローラ12の軸部12aに挿設されたコロ25(帯電ローラ12の外径よりも若干大きな外径になるように形成されている。)が感光体ドラム11に当接することで、感光体ドラム11に対して所望の微小ギャップをあけて帯電ローラ12が設置されることになる。そして、帯電ローラ12は、先に説明したように、感光体ドラム11からハスバ歯車12bへの駆動伝達によって、図2の時計方向に回転することになる。
【0050】
軸受22のクリーニングローラ軸受部22bは、クリーニングローラ21の軸部が挿入される長穴部(長手方向が鉛直方向になるように形成されている。)が形成されていて、クリーニングローラ21が自重で帯電ローラ12に当接して帯電ローラ12の回転に連動して摩擦抵抗によってクリーニングローラ21を連れ回りさせる軸受として機能する部分である。このような構成により、クリーニングローラ21を駆動するためのギア等の部材が不要になるため、プロセスカートリッジ15を低コスト化・小型化することができる。
なお、クリーニングローラ21は、軸部(芯金)上にメラミン樹脂発泡体等からなる弾性発泡層が形成されたローラ部材であって、帯電ローラ12の表面をクリーニングするためのものである。
【0051】
図4〜図6を参照して、軸受22の受皿部22cは、帯電ローラ12(回転部材)の軸部12aの端面に電極板30(摺接部材)が摺接する位置の下方の空間に向けて突出するように形成されている。すなわち、受皿部22cは、軸部12aと電極板30との摺接位置の下方空間を覆うように皿状に形成されて、その位置(上面)に落下する落下物を捕集できるように形成されている。
このような構成により、帯電ローラ12が回転することによって、その軸部12aの端面に電極板30が摺接して電極板30や軸部12aから削り粉が生じてしまっても、その削り粉は、落下物として、下方に位置する感光体ドラム11上に落下・付着することなく、軸受22の受皿部22c上に落下して捕集されることになる。これにより、感光体ドラム11に金属材料の削り粉が付着して感光体ドラム11上に形成されるトナー像に異常画像が発生してしまう不具合を防止することができる。
【0052】
なお、このように電極板30と軸部12aとの摺接位置から生じた削り粉が感光体ドラム11に付着する不具合を確実に防止するために、軸受22の受皿部22cを、帯電ローラ12の回転軸方向に直交する断面でみたときに、図6に示すように、少なくとも軸部12aの下方の領域と感光体ドラム11に対向する領域とを覆うように形成することが好ましい。
【0053】
また、受皿部22c(捕集部)の上面に堆積した削り粉(落下物)が、受皿部22cからこぼれ落ちたり飛散したりしないように、受皿部22cの上面を粘性材料で形成することが好ましい。具体的には、受皿部22cの上面に接着剤等の粘性材料を塗布しておいたり、受皿部22cの上面に両面テープ等の粘性部材を貼着しておいたりすることができる。このような構成により、受皿部22c上に落下した削り粉は受皿部22cの上面に粘着して、そこからこぼれ落ちたり飛散したりしにくくなる。
【0054】
また、本実施の形態において、電極板30と軸部12aと摺接によって削り粉が生じにくくするために、軸部12aの先端や第2接触部30bの先端の形状を半球状に形成して、双方の部材12a、30の接触面積を小さくすることができる。さらには、電極板30と軸部12aとの摺接位置に導電性グリースを塗布することもできる。
【0055】
なお、軸受22に形成した受皿部22cの形状は、本実施の形態のものに限定されることなく、例えば、図9に示すように、軸受22から突出する軸部12aの上面以外の範囲を覆うように袋状に形成することもできる。そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、図10に示すように、電極板30(第2接触部30b)が、軸部12aの端面ではなく、軸部12aの周面に摺接するように構成されている場合にも、その摺接位置の下方空間に向けて突出するように受皿部22cを形成することで、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、帯電ローラ12(回転部材)の軸部12aが回転可能に保持される軸受22において、軸部12aに電極板30(摺接部材)が摺接する位置の下方の空間に向けて突出して、その位置に落下する落下物を捕集する受皿部22cを設けている。これにより、帯電ローラ12の軸部12aに電極板22を摺接させることで、電極板22や軸部12aから削り粉等が生じても、それが感光体ドラム11等の下方の部材に付着する不具合を生じにくくすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、作像部における感光体ドラム11、帯電ローラ12、クリーニングブレード15a(クリーニング部)、潤滑剤供給装置16を一体化してプロセスカートリッジ15を構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、現像装置13をもプロセスカートリッジ15の構成部材とすることもできる。さらに、作像部における各部11、12、13、15a、16をプロセスカートリッジの構成部材とせずに、それぞれ単体で装置本体1に着脱可能(交換可能)に設置される着脱ユニットとして構成することもできる。このような場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、1成分現像剤を用いる1成分現像方式の現像装置13が搭載された画像形成装置に対して本発明を適用したが、2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像装置13が搭載された画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト17を用いたタンデム型のカラー画像形成装置に対して本発明を適用した。これに対して、転写搬送ベルトを用いたタンデム型のカラー画像形成装置(転写搬送ベルトに対向するように並設された複数の感光体ドラム上のトナー像を、転写搬送ベルトによって搬送される記録媒体上に重ねて転写する装置である。)や、モノクロ画像形成装置等、その他の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、回転部材としての帯電ローラ12の軸部12aに摺接部材としての電極板30が摺接する構成において、帯電ローラ12の軸部12aを回転可能に保持する軸受22に対して本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の回転部材(例えば、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、等である。)の軸部に何らかの摺接部材(例えば、アース板等である。)が摺接する構成において、その回転部材の軸部を回転可能に保持する軸受に対して本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、回転部材に摺接部材が摺接する位置の下方の空間に向けて突出するように軸受に受皿部を形成することで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11M、11C、11B 感光体ドラム(像担持体)、
12 帯電ローラ(回転部材)、
12a 軸部、
12b ハスバ歯車、
15 プロセスカートリッジ、
21 クリーニングローラ、
22 軸受、
22a 帯電ローラ軸受部、 22b クリーニングローラ軸受部、
22c 受皿部、
24 圧縮スプリング(付勢部材)、
25 コロ、
30 電極板(摺接部材)、
30a 第1接触部、
30b 第2接触部、
100 本体側板、
110 本体電極板。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開平5−303263号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材の軸部が回転可能に保持される軸受であって、
前記軸部に摺接部材が摺接する位置の下方の空間に向けて突出するとともに、その位置に落下する落下物が捕集される受皿部を備えたことを特徴とする軸受。
【請求項2】
前記受皿部は、その上面が粘性材料で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
所定方向に回転する像担持体と、
前記像担持体の上方の位置に配設されるとともに、所定方向に回転して前記像担持体を帯電する帯電ローラと、
前記帯電ローラにおける一端側の軸部の端面に摺接するとともに、前記帯電ローラに所定の電圧を印加するための電極板と、
を備え、
前記回転部材は、前記帯電ローラであって、
前記摺接部材は、前記電極板であって、
請求項1又は請求項2に記載の軸受が前記帯電ローラの前記一端側の軸部に設置されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記軸受の前記受皿部は、前記帯電ローラの回転軸方向に直交する断面でみたときに、少なくとも前記軸部の下方の領域と前記像担持体に対向する領域とを覆うように形成されたことを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記帯電ローラは、前記像担持体に設置されたハスバ歯車に噛合するハスバ歯車が設置され、前記ハスバ歯車に作用する力によって当該帯電ローラが回転軸方向にスラスト移動する方向が前記一端側から離れる方向になるように形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項3〜請求項5のいずれかに記載のプロセスカートリッジを前記画像形成装置本体に備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−109191(P2013−109191A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254681(P2011−254681)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】