説明

軸受け構造、及び定着装置

【課題】異音の発生を低減することが可能な軸受け構造及び定着装置を提供すること。
【解決手段】ローラ部材6の端部分に固定されている環状部材11と、環状部材11の外周に遊嵌され、加熱ローラ1及び環状部材11を回転可能に支持するベアリング部材12と、環状部材11の外周面に設けられ、ベアリング部材12が、ローラ部材6の軸に沿って中央方向へ移動することを規制する規制部材11bと、ローラ部材6が配置されている筐体に固定され、且つベアリング部材12を遊嵌保持するベアリング保持部材13と、ベアリング部材12を規制部材11bに当接して、ベアリング部材12を規制部材11bの方向に付勢する弾性部材15とを備えた、軸受け構造10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受け構造、及びそれを用いた定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、及びファクシミリ等の画像形成装置では、給紙カセットに収納されている紙が、転写装置に搬送されて、トナー画像が転写される。次に、紙は定着装置に搬送され、定着装置において加熱及び加圧されることにより、転写されたトナー画像が紙に定着される。そして、最後にトナー画像が形成された紙は、装置外へと排出される。
【0003】
この定着装置としては、例えば、図11に示すような、ベルトを用いた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図11に示す定着装置には、加熱ローラ1001と、定着ローラ1002と、加熱ローラ1001と定着ローラ1002の間に巻き掛けられている無端ベルト1003と、無端ベルト1003を挟んで定着ローラ1002に圧接された加圧ローラ1004が設けられている。
【0005】
この加熱ローラ1001を回転可能とするために、環状部材やベアリング部材等が設けられている。
【0006】
図12は、加熱ローラ1001及びそれを支持する軸受け構造1100を示す断面構成図である。加熱ローラ1001は、筒状部材1005と、筒状部材1005の内側に設けられているハロゲンヒーター1006から構成されている。又、従来の軸受け構造は、筒状部材1005の端に固定された環状部材1007と、環状部材1007に嵌め込まれたベアリング部材1008とを有している。環状部材1007の表面には、ベアリング部材1008が軸1001aに沿って中央側へ移動することを規制する規制部材1007aが形成されている。
【0007】
また、円形状の開口を有する板状のベアリング保持部材1009が設けられており、その開口内にベアリング部材1008が配置されている。更に、このベアリング保持部材1009は、定着装置の筐体に固定されている。
【0008】
また、加熱ローラ1001の軸1001a方向への移動を制限するカバー部材1010が設けられており、このカバー部材1010は、ベアリング保持部材1009に固定されている。更に、ベアリング保持部材1009は、定着装置の筐体に固定されている。
【0009】
以上のような構成によって、ベアリング部材1008は、その上下左右の移動が制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−263054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のような定着装置では、部品の製造誤差及び熱膨張などを考慮して、ベアリング部材1008の内径は、環状部材1007の外径よりも若干大きく設計されている。又、ベアリング保持部材1009の開口部分の径もベアリング部材1008の外径よりも若干大きく形成されている。
【0012】
そのため、ベアリング部材1008と環状部材1007の間(図中S参照)、及びベアリング部材1008とベアリング保持部材1009の間(図中T参照)に隙間が生じることになる。
【0013】
このような状態で、筒状部材1005が回転すると、ベアリング部材1008が左右に傾き、環状部材1007やベアリング保持部材1009に接触して異音が発生していた。
【0014】
本発明は、従来の軸受け構造の課題を考慮して、異音の発生を低減することが可能な軸受け構造及び定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
ローラ部材の端部分に固定されている環状部材と、
前記環状部材の外周に遊嵌され、前記ローラ部材及び前記環状部材を回転可能に支持するベアリング部材と、
前記環状部材の外周面に設けられ、前記ベアリング部材が、前記ローラ部材の軸に沿って中央方向へ移動することを規制する規制部材と、
前記ローラ部材が配置されている筐体に固定され、且つ前記ベアリング部材を遊嵌保持するベアリング保持部材と、
前記ベアリング部材を前記規制部材に当接させ、前記ベアリング部材を前記規制部材の方向に付勢する弾性部材とを備えた、軸受け構造である。
【0016】
又、第2の本発明は、
前記ローラ部材が、その軸方向に移動することを制限するカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記筐体又は前記ベアリング保持部材に固定され、
前記弾性部材は、前記カバー部材に固定されている、第1の本発明の軸受け構造である。
【0017】
又、第3の本発明は、
前記弾性部材は、前記環状部材に固定されている、第1の本発明の軸受け構造である。
【0018】
又、第4の本発明は、
前記ローラ部材は、定着装置の加熱ローラに用いられる筒状の部材である、第1〜3のいずれかの本発明の軸受け構造である。
【0019】
又、第5の本発明は、
転写材に現像剤を定着するための定着装置であって、
定着ローラと、
第4の本発明の軸受け構造と、
前記軸受け構造によって前記定着装置の筐体に配置されたローラ部材、及び前記ローラ部材の内側に設けられた加熱部を有する加熱ローラと、
前記定着ローラと前記加熱ローラの間に捲き掛けられている無端ベルトと、
前記無端ベルトを挟んで前記定着ローラを押圧している加圧ローラとを備えた、定着装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異音の発生を低減することが可能な軸受け構造及び定着装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における定着装置の正面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における定着装置の加熱ローラ1及び定着ローラ2が取り付けられた部分の外観図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における軸受け構造10の分解図
【図4(a)】本発明にかかる実施の形態1における加熱ローラ1及び軸受け構造10の平断面図
【図4(b)】図4(a)の部分拡大図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における軸受け構造10の正面図
【図6】本発明にかかる実施の形態2における加熱ローラ1及び軸受け構造20の平断面図
【図7】本発明にかかる実施の形態2における弾性部材25及び取付部材26の外観図
【図8】図6の部分拡大図
【図9】(a)本発明にかかる実施の形態2における軸受け構造20の変形例を示す部分拡大平断面図、(b)本発明にかかる実施の形態2における軸受け構造20の変形例を示す部分拡大平断面図
【図10】本発明にかかる実施の形態1の変形例における加熱ローラ1及び軸受け構造10の平断面図
【図11】従来の定着装置の正面構成図
【図12】従来の軸受け構造を説明するための平断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明にかかる実施の形態の定着装置について説明するとともに、本発明の軸受け構造の一例についても述べる。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1における定着装置の正面構成図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態1の定着装置には、加熱ローラ1と、定着ローラ2と、加熱ローラ1と定着ローラ2の間に巻き掛けられた無端ベルト3と、無端ベルト3を介して定着ローラ2を押圧する加圧ローラ4が設けられている。又、加熱ローラ1には、その内側にハロゲンヒーター5が設けられている。
【0025】
本実施の形態1の定着装置では、ハロゲンヒーター5の熱によって無端ベルト3が加熱され、その熱によって、定着ローラ2と加圧ローラ4の間のニップ部Nを通過する紙30が加熱される。又、ニップ部Nを通過する紙30は、加圧ローラ4によって圧力も加えられる。この加熱と加圧によって、転写されたトナー31が紙に定着される。このトナー31が本発明の現像剤の一例に相当し、紙30が本発明の転写材の一例に相当する。
【0026】
尚、定着ローラ2は、鉄、ステンレスなどが基材として用いられ、基材の表面上にSiゴムなどで形成された断熱弾性層が形成されている。また、無端ベルト3の蛇行を防ぐために、基材または断熱弾性層の表面にフッ素樹脂加工が施されていても良い。
【0027】
又、加圧ローラ4も基材としての金属層が用いられ、金属層上にニップ部Nを形成するための弾性層であるシリコンゴム層が形成されている。更に、シリコンゴム層上にフッ素樹脂加工が施されている。
【0028】
又、無端ベルト3の基材としては、例えば、ポリイミド樹脂ベルトや、ステンレス鋼、ニッケル鋼などの薄肉金属ベルトが用いられる。無端ベルト3の基材上に弾性層となるシリコンゴム層が形成され、シリコンゴム層の表面には、紙が貼り付かないようにするためにフッ素樹脂加工が施されている。
【0029】
又、加熱ローラ1は、筒状のローラ部材6と、筒状のローラ部材6の内側に配置された2本のハロゲンヒーター5によって構成されている。このローラ部材6には、鉄、ステンレス、アルミニウム等が基材として用いられ、PFAなどのフッ素樹脂加工が施されている。尚、本実施の形態2のハロゲンヒーター5が、本発明の加熱部の一例に相当する。
【0030】
この加熱ローラ1は、軸受け構造によって定着装置の筐体に回転可能に取り付けられている。
【0031】
図2は、本実施の形態における定着装置の加熱ローラ1及び定着ローラ2が取り付けられた部分の外観図である。加熱ローラ1は、軸受け構造10によって筐体9に取り付けられている。図2に示されているバネ部材8は、加熱ローラ1を定着ローラ2の反対方向に付勢することによって、無端ベルト3のテンションを保つために設けられている。
【0032】
図3は、加熱ローラ1と軸受け構造10の分解図である。又、図4(a)は、加熱ローラ1及び軸受け構造10の一方の端近傍の拡大構成図である。又、図4(b)は、図4(a)の部分拡大図である。尚、図3では、ハロゲンヒーター5は省略している。
【0033】
図3及び図4に示すように、軸受け構造10には、筒状のローラ部材6の端部分に嵌め込まれる環状部材11が設けられている。この環状部材11の内径は、ローラ部材6の外径よりも若干小さく形成されており、環状部材11には、その軸方向に形成された切り込み11cが形成されている。この切り込み11cを開いて、ローラ部材6の端を環状部材11の内側に差し込むことによって、ローラ部材6の端に環状部材11が固定される。
【0034】
また、図4(a)、(b)に示すように、環状部材11の端部11aは、軸1a方向に向かって突出しており、この端部11aにローラ部材6の端6aが当接している。尚、図4(a)中、7はフッ素樹脂加工が施されているコーティング部を示しており、ローラ部材6の表面の、環状部材11が取り付けられる部分には、フッ素樹脂加工は施されていない。
【0035】
また、環状部材11の外周面にはベアリング部材12が設けられている。図4(b)に示すように、このベアリング部材12は、内輪121と、外輪122と、端面部123が設けられており、外輪122と端面部123は固定されている。すなわち、外輪122と端面部123は一体として動作する。この内輪121と外輪122の間にボール124が設けられている。この構成により、例えば外輪122及び端面部123を固定した状態で、内輪121を動かすことが出来る。
【0036】
又、図3及び図4(a)、(b)に示すように、ローラ部材6の回転に伴って、ベアリング部材12が、軸1aの中央側(図4(a)中矢印A参照)へ移動することを規制するために突起状の規制部材11bが、環状部材11の外周表面に形成されている。
【0037】
また、図3及び図4(a)、(b)に示すように、円形状の開口部13aが形成されている板状のベアリング保持部材13が設けられており、この開口部13a内にベアリング部材12が配置されている。
【0038】
ここで、部品の交差を考慮して、ベアリング部材12の内径は、環状部材11の外径よりも若干大きく設計されている。そのため、環状部材11の外周面とベアリング部材12の内周面の間に隙間Sが形成される部分が生じる。また、部品交差を考慮して、開口部13aの径も、ベアリング部材12の外径よりも若干大きく設計されている。このため、ベアリング部材12の外面とベアリング保持部材13の内面の間には、隙間Tが形成される部分が生じる。尚、図4(a)、(b)では、説明のために隙間S、Tは強調して示されている。又、この隙間S、Tは、部品毎によって大きさが異なる。
【0039】
尚、本発明の環状部材の外周に遊嵌されることの一例は、本実施の形態では、隙間Sが生じた状態で、ベアリング部材12が環状部材11に嵌め込まれることに相当する。更に、本発明のベアリング部材を遊嵌保持することの一例は、本実施の形態では、隙間Tが生じている状態で、ベアリング保持部材13の開口部13aにベアリング部材12が配置されていることに相当する。
【0040】
又、軸受け構造10には、加熱ローラ1及びベアリング部材12の軸1aの端方向(図4(a)中矢印B参照)への移動を制限するためのカバー部材14が設けられている。このカバー部材14には、図3に示すようにネジ孔14b、凹部14c、突起14d等が形成されている。一方、ベアリング保持部材13には、ネジ孔13b、凸部13c、及び貫通孔13dが形成されている。このネジ孔13b、14bを通してネジが挿入され、凸部13cが凹部14cに嵌合し、貫通孔13dに突起14dが挿入されること等により、ベアリング保持部材13にカバー部材14が固定される。尚、図2では、カバー部材14のネジ孔14b及び突起14d近傍は省略されている。又、他にネジ止め箇所などが設けられていても良い。
【0041】
このカバー部材14には、ベアリング部材12を規制部材11bに当接させ、ベアリング部材12を規制部材11b方向に付勢する弾性部材15が設けられている。
【0042】
図5は、加熱ローラ1及び軸受け構造10の正面図である。図5では、カバー部材14のネジ孔14b及び突起14dの周囲は省略されている。
【0043】
図2〜5に示すように、弾性部材15は、カバー部材14の左右のそれぞれの端に設けられており、折れ曲がった細長い部材によって形成されている。この弾性部材15は、図4(b)に示すように、加熱ローラ1の軸1aと垂直に、カバー部材14の外側に向けて突出した第1部分15bと、第1部分15bの先端から加熱ローラ1側に向けて内側に折れ曲がった第2部分15cによって構成されており、第2部分15cの先端15aがベアリング部材12を押圧している。ここで、内側とは、図4(a)中、カバー部材14の周縁14aから軸1aの方向(矢印C方向)を示し、外側とは、カバー部材14の周縁14aから軸1aの反対方向(矢印D方向)を示すものとする。
【0044】
この弾性部材15は、このような形状によって第1部分の根元を基準に全体が矢印B方向に撓むことにより弾性力が生じ、ベアリング部材12を規制部材11bに当接させ、ベアリング部材12を規制部材11bの方向に付勢している。尚、弾性部材15は、その先端15aがベアリング部材12の端面部123に当接している。
【0045】
本実施の形態では、定着ローラ2又は加圧ローラ4が、図示しない駆動手段によって回転することによって無端ベルト3が回転し、加熱ローラ1のローラ部材6が回転することになる。
【0046】
ここで、ローラ部材6の回転とともにローラ部材6に固定されている環状部材11も回転する。この際、内輪121は、環状部材11に伴って回転し、外輪122及び端面部123はベアリング保持部材13及び弾性部材15によって位置が保持されるため静止することになる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の軸受け構造10では、ベアリング部材12が弾性部材15によって規制部材11bに当接され、ベアリング部材12が規制部材11bの方向に付勢されているため、製造時の部品交差を考慮した設計を行った場合でも、ベアリング部材12のスラスト方向の移動が規制され、ローラ部材6の回転によってベアリング部材12が傾かないため、異音の発生を低減することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態1の軸受け構造10は加熱ローラ1に適用されていたが、加熱ローラに限らず、加圧ローラ4及び定着ローラ2に適用してもよく、筒状でないローラにも適用することが出来る。
【0049】
(実施の形態2)
以下に、本発明にかかる実施の形態2の軸受け構造について説明する。本実施の形態2の軸受け構造は、実施の形態1と基本的な構造は同様であるが、実施の形態1と異なり、弾性部材15が環状部材11側に固定されている点が異なる。そのため、本相違点を中心に説明する。
【0050】
図6は、本実施の形態2の軸受け構造20の平断面図である。図6に示すように、本実施の形態2の軸受け構造20には、実施の形態1の軸受け構造10のカバー部材14と異なり、弾性部材を備えていないカバー部材24が設けられている。又、本実施の形態2の軸受け構造20では、弾性部材25は、取付部材26を介して環状部材11の端部11aに固定されている。
【0051】
図7は、弾性部材25と取付部材26の斜視図である。取付部材26は、円環部27と、環状部材11の端部11aに嵌合する嵌合部28とから構成されている。弾性部材25は、円環部27の左右から外側に向けて突出した第1部分25bと、第1部分15bの先端から加熱ローラ1側に向けて内側に折れ曲がった第2部分25cによって構成されている。
【0052】
また、図6及び図7に示すように、嵌合部28は対向して2つ形成されており、加熱ローラ1の中央方向(図6の矢印A参照)に向かって円環部27から突出し、その先端部28aは矢印の形状に形成されている。この2つの嵌合部28は、円環部27の中心方向(矢印E参照)に撓むことが可能であり、この撓みによって嵌合部28を環状部材11の端部11aに差し込むことが出来る。
【0053】
図8は、図6の部分拡大図である。
【0054】
図7及び図8に示すように、先端部28aの根元から円環部27までの幅Laが、環状部材11の端部11aの幅Lbと同じ幅に形成されている。また、本実施の形態2では、弾性部材25の先端25aは、実施の形態1と異なり内輪121に当接しており、ベアリング部材12を規制部材11bに当接させ、ベアリング部材12を規制部材11bの方向に付勢している。
【0055】
本実施の形態2では、ローラ部材6の回転とともにローラ部材6に固定されている環状部材11も回転する。この環状部材11の回転に伴って、内輪121と、内輪121に当接している弾性部材25も回転する。一方、外輪122及び端面部123はベアリング保持部材13によって位置が保持されるため静止することになる。
【0056】
以上のように、本実施の形態2の軸受け構造20においても、ベアリング部材12のスラスト方向の移動が規制され、ローラ部材6の回転によってベアリング部材12が傾かないため、異音の発生を低減することが可能となる。
【0057】
尚、部品交差を考慮して、矢印形状の先端部28aから円環部27までの幅Laを端部11aの幅Lbより若干大きく形成しておいてもよい。このような場合でも、図9(a)に示すように、弾性部材15のベアリング部材12に対する押圧により、弾性部材15が矢印B方向に撓み、先端部28aにも矢印B方向に力が働いて先端部28aが端部11aに押し付けられることになるため、弾性部材25を環状部材11に取り付けることが可能となる。尚、図9(a)における弾性部材25の撓みは、強調して示されたものであり、上述した図2〜8の弾性部材15、25では撓みを強調して示していないが、同様に撓んでいるものとする。
【0058】
又、本実施の形態2では、端面部123が外輪122と固定されているベアリング部材12を用いたが、端面部123が内輪121と固定されているベアリング部材12´を用いても良い。この場合、端面部123は内輪121とともに回転するため図9(b)に示すように、弾性部材25´は、その先端25a´で端面部123を押圧するように形成されていてもよい。
【0059】
又、本実施の形態2では、弾性部材25は取付部材26を介して環状部材11に間接的に固定されているが、弾性部材25を環状部材11に直接固定するようにしても良い。
【0060】
尚、上記実施の形態1、2では、弾性部材15、25は、その全体が撓むと説明したが、第1部分15b、25bが剛性を有し、内側に折れ曲がった第2部分15c、25cのみが撓むように形成されていても良い。
【0061】
更に、上記実施の形態1、2で示した弾性部材15、25の形状に限らなくても良く、要するにベアリング部材12を規制部材11bに当接させ、ベアリング部材12を規制部材11b側に付勢することが出来さえすればよい。例えば、図10に示すような形状であってもよい。図10は、図4に示す弾性部材15の形状を変更したものである。図10に示す弾性部材15´は、板バネのようにVの字形状に形成されている。
【0062】
また、上記実施の形態1、2では、カバー部材14、24はベアリング保持部材13に固定されていたが、直接筐体9に固定されていても良い。
【0063】
また、上記実施の形態1、2では、カバー部材14、24と、ベアリング保持部材13は別々の部材であるが、一体化された部材であってもよい。
【0064】
また、上記実施の形態で説明した定着装置に限らず、無端ベルト3を用いない構成であってもよい。この構成では、加熱ローラ1の表面に弾性層を設け、更にフッ素樹脂加工を施したローラが、定着ローラ2の代わりに配置される。尚、この場合、図2に示したバネ部材8は設ける必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の軸受け構造及び定着装置は、異音の発生を低減することが可能な効果を有し、プリンタ、複写機およびファクシミリなどの画像形成装置、およびそれらに用いる定着装置等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 加熱ローラ
2 定着ローラ
3 無端ベルト
4 加圧ローラ
5 ハロゲンヒーター
6 ローラ部材
7 コーティング部
8 バネ部材
9 筐体
10 軸受け構造
11 環状部材
12 ベアリング部材
13 ベアリング保持部材
14 カバー部材
15、25 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部材の端部分に固定されている環状部材と、
前記環状部材の外周に遊嵌され、前記ローラ部材及び前記環状部材を回転可能に支持するベアリング部材と、
前記環状部材の外周面に設けられ、前記ベアリング部材が、前記ローラ部材の軸に沿って中央方向へ移動することを規制する規制部材と、
前記ローラ部材が配置されている筐体に固定され、且つ前記ベアリング部材を遊嵌保持するベアリング保持部材と、
前記ベアリング部材を前記規制部材に当接させ、前記ベアリング部材を前記規制部材の方向に付勢する弾性部材とを備えた、軸受け構造。
【請求項2】
前記ローラ部材が、その軸方向に移動することを制限するカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記筐体又は前記ベアリング保持部材に固定され、
前記弾性部材は、前記カバー部材に固定されている、請求項1記載の軸受け構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記環状部材に固定されている、請求項1記載の軸受け構造。
【請求項4】
前記ローラ部材は、定着装置の加熱ローラに用いられる筒状の部材である、請求項1〜3のいずれかに記載の軸受け構造。
【請求項5】
転写材に現像剤を定着するための定着装置であって、
定着ローラと、
請求項4記載の軸受け構造と、
前記軸受け構造によって前記定着装置の筐体に配置されたローラ部材、及び前記ローラ部材の内側に設けられた加熱部を有する加熱ローラと、
前記定着ローラと前記加熱ローラの間に捲き掛けられている無端ベルトと、
前記無端ベルトを挟んで前記定着ローラを押圧している加圧ローラとを備えた、定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217587(P2010−217587A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65097(P2009−65097)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】