説明

軸受機構、モータおよび記録ディスク駆動装置

【課題】固定ネジを用いてシャフトがプレートに固定される軸受機構において、固定ネジに起因する軸受機構の性能低下を防止する。
【解決手段】モータ1の軸受機構10は、フランジ部221が形成された固定シャフト22、固定シャフト22の段部に取り付けられた抜止部材23、ハブが形成されたスリーブ部材31、および、固定シャフト22をベースプレート21aに固定する固定ネジ26を備え、スリーブ部材31の内側面と固定シャフト22との間にラジアル動圧軸受機構410が形成され、フランジ部221とスリーブ部材31の下端面311との間にスラスト動圧軸受機構420が形成される。軸受機構10ではフランジ部221が固定シャフト22に一体的に設けられて剛性が高められるため、固定ネジ26による締結に起因するスラスト動圧軸受機構420の性能低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータおよびモータに設けられる流体動圧を利用した軸受機構に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードディスク装置等の記録ディスク駆動装置は、記録ディスクを回転駆動するスピンドルモータ(以下、「モータ」という。)を備えており、モータの軸受機構の1つとして、流体動圧を利用する軸受機構が採用されている。このような、流体動圧を利用する軸受機構では、多くの場合、シャフトやシャフトに接続された部位とシャフトが挿入されるスリーブとの間にスラスト動圧軸受機構およびラジアル動圧軸受機構が構成される。
【0003】
特許文献1では、インナスリーブとアウタスリーブとを組み合わせたスリーブにシャフトが挿入される軸受機構が開示されており、シャフトの外周面とインナスリーブの内周面との間にラジアル軸受が形成され、インナスリーブの上端面および下端面にそれぞれスラスト軸受が形成される。また、インナスリーブとアウタスリーブとの間には上下に連通する流路が設けられ、インナスリーブの上端面に対向するシール板とアウタスリーブとの間、および、インナスリーブの下端面に対向するシャフトのフランジ部とアウタスリーブとの間に環状のテーパシールが形成される。また、特許文献2では、特許文献1のインナロータとアウタロータとを一体化させたものが開示されている。
【0004】
一方、特許文献3では、シャフトの両端部にフランジ部材を設け、シャフトとハブとの間にラジアル動圧発生部を設け、下側のフランジ部材とハブとの間にスラスト動圧発生部を設けた軸受機構が開示されている。
【特許文献1】特開2005−48890号公報
【特許文献2】特開2002−70849号公報
【特許文献3】特開2005−339716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、記録ディスク駆動装置は携帯電話、携帯音楽プレーヤ等にも搭載されており、小型かつ薄型の記録ディスク駆動装置が求められているため、記録ディスク駆動装置の駆動源であるモータについても同様に、更なる小型化および薄型化が要求されている。また、1インチ以下の記録ディスク駆動装置に用いられるモータの場合、ヘッド進入時のヘッドサスペンションからの反力による荷重により、ロータにモーメントが作用する。そのモーメントよって軸受機構を構成する部材間で接触が発生した場合、接触による異常振動が発生し、読み出し/書き込みが不能となる。このため、上記モーメントにより軸受内の接触が生じないことや軸受機構の損失を小さくして消費電力を抑えることも要求されている。
【0006】
ところで、特許文献1のようにスリーブの上下2カ所にスラスト動圧軸受機構を設けるためにはスリーブの上下面間の寸法を厳密に管理する必要がある。ところが、モータが極端に小型化および薄型化される場合、このような高精度な加工および組み立ては困難となる。また、2つのスラスト動圧軸受機構を設けると軸受機構全体によるエネルギー損失も大きくなる。さらに、特許文献1のモータでは抜止用の部材をシャフトに取り付ける際のこの部材の位置調整を厳密に制御する必要も生じる。
【0007】
一方、モータを薄型化する場合、シャフトを可能な限り短くすることが求められ、シャフトを圧入で薄いプレート状の部材に取り付けることが困難となり、溶接といった他の作業も繁雑なものとなってしまう。特許文献3ではこのような問題を回避するため、シャフトの両端が筐体の上下に固定ネジにより簡単に固定されるようになっている。
【0008】
しかしながら、シャフトの上下と筐体とを固定ネジにて固定する場合、シャフト内部に固定ネジによる応力が発生するため、シャフトやフランジ部材に歪みが生じやすく、フランジ部材とハブとの間のスラスト動圧軸受機構に許容されない歪みが生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型かつ薄型のモータに採用される軸受機構であって、固定ネジを用いてシャフトがプレートに取り付けられるものにおいて、固定ネジに起因する軸受機構(特に、スラスト動圧軸受機構)の性能低下を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、電動式のモータに用いられる流体動圧を利用した軸受機構であって、一端に中心軸から外側へ広がるフランジ部を一体的に有する固定シャフトと、前記中心軸に沿って前記固定シャフトの前記一端に螺合されることにより、前記固定シャフトの前記一端をプレートに固定する固定ネジと、前記固定シャフトに挿入され、一の端面が前記フランジ部と対向するスリーブ部材と、前記固定シャフトと前記スリーブ部材の内周面との間に形成されたラジアル動圧軸受機構と、前記スリーブ部材の前記一の端面と前記フランジ部との間に形成されたスラスト動圧軸受機構とを備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軸受機構であって、前記中心軸に沿って前記固定シャフトの他端に螺合されることにより、前記固定シャフトの前記他端をもう1つのプレートに固定するもう1つの固定ネジをさらに備える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の軸受機構であって、前記固定シャフトが、前記他端に径を減少させた段部を有し、前記軸受機構が、前記固定シャフトの前記段部に取り付けられ、前記スリーブ部材の前記一の端面とは反対側の他方の端面と対向する環状の抜止部材をさらに備える。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の軸受機構であって、前記スリーブ部材が、前記一の端面とは反対側の他方の端面または前記ラジアル動圧軸受機構の前記他方の端面側の部位と、前記一の端面とを連絡することにより、前記ラジアル動圧軸受機構の間隙および前記スラスト動圧軸受機構の間隙と共に潤滑油が連続して満たされる循環径路を形成する連通孔を備える。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の軸受機構であって、前記スリーブ部材が、前記一の端面から突出して前記フランジ部の外周面を覆う環状突出部をさらに備え、前記フランジ部と前記環状突出部との間に前記スリーブ部材の前記一の端面から離れるに従って漸次拡大するテーパ間隙が形成され、前記テーパ間隙に前記スラスト動圧軸受機構から連続する潤滑油によりテーパシールが形成される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の軸受機構であって、前記ラジアル動圧軸受機構において、前記中心軸方向に関して動圧が極大となる位置が1つのみである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の軸受機構であって、スラスト方向の力の受ける動圧軸受機構が、前記スラスト動圧軸受機構のみである。
【0017】
請求項8に記載の発明は、電動式のモータであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の軸受機構と、前記固定シャフトの前記一端が前記固定ネジにより固定されるプレートと、電機子と、前記スリーブ部材に取り付けられ、前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石とを備える。
【0018】
請求項9に記載の発明は、記録ディスク駆動装置であって、情報を記録する記録ディスクと、前記記録ディスクを回転する請求項8に記載のモータと、前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うヘッド部と、前記ヘッド部を前記記録ディスクおよび前記モータに対して移動するヘッド部移動機構とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、固定シャフトにフランジ部を一体的に設けることにより、固定シャフトの剛性を向上することができ、固定シャフトを固定ネジによりプレートに固定してもスラスト動圧軸受機構の性能低下を防止することができる。
【0020】
また、請求項2の発明では、固定シャフトの高さを低く抑えてモータを薄型化することができ、請求項3の発明では、抜止部材を容易に固定シャフトに取り付けることができる。
【0021】
請求項4の発明では、ラジアル動圧軸受機構およびスラスト動圧軸受機構に気泡が滞留することが防止され、請求項5の発明では、潤滑油内に発生した気泡を排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る電動式のスピンドルモータ1(以下、「モータ1」という。)を備える記録ディスク駆動装置60の内部構成を示す図である。記録ディスク駆動装置60はいわゆるハードディスク装置であり、情報を記録する円板状の記録ディスク62、記録ディスク62に対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部63、記録ディスク62を保持して回転する電動式のモータ1、並びに、記録ディスク62、アクセス部63およびモータ1を内部空間110に収容するハウジング61を備える。
【0023】
図1に示すように、ハウジング61は、上部に開口を有するとともにモータ1およびアクセス部63が内側の底面に取り付けられる無蓋箱状の第1ハウジング部材611、並びに、第1ハウジング部材611の開口を覆うことにより内部空間110を形成する板状の第2ハウジング部材612を備える。記録ディスク駆動装置60では、第1ハウジング部材611に第2ハウジング部材612が接合されてハウジング61が形成され、内部空間110は塵や埃が極度に少ない清浄な空間とされる。
【0024】
記録ディスク62は、モータ1の上側に載置されてクランパ621によりモータ1に固定される。アクセス部63は、記録ディスク62に近接するヘッド631およびヘッド631を支持するアーム632をヘッド部として有し、ヘッド部により情報の読み出しおよび/または書き込みが磁気的に行われる。また、アクセス部63は、アーム632を移動させることによりヘッド631を記録ディスク62およびモータ1に対して相対的に移動するヘッド部移動機構633を有する。これらの構成により、ヘッド631は回転する記録ディスク62に近接した状態で記録ディスク62の所要の位置にアクセスし、情報の読み出しおよび/または書き込みを行う。
【0025】
図2は、記録ディスク62(図1参照)の回転に使用されるモータ1の構成を示す縦断面図である。図2では、モータ1の中心軸J1を含む面における縦断面を示すが、切断面よりも奥側に位置する構成についても、その一部を破線にて描いている。図2に示すように、モータ1は、固定組立体であるステータ部2、および、回転組立体であるロータ部3を備えており、ロータ部3は、潤滑油による流体動圧を利用した軸受機構10(後述の固定シャフト22、スリーブ部材31、抜止部材23および固定ネジ26,27が主要部とされる。)を介して中心軸J1を中心にステータ部2に対して回転可能に支持される。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってロータ部3側を上側、ステータ部2側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0026】
ステータ部2は、ステータ部2の各部を保持するベース部であるベースプレート21a、一端がベースプレート21aの所定の取付位置に固定され、他端に径を減少させた段部222を有する固定シャフト22、固定シャフト22の段部222に取り付けられる環状の抜止部材23、固定シャフト22をベースプレート21aに固定する固定ネジ26、ベースプレート21aに取り付けられる電機子24、および、電機子24の上方に配置されて電機子24からの電磁ノイズを遮断する薄板状の磁気シールド板25を備える。ベースプレート21aは、第1ハウジング部材611(図1参照)の一部であり、アルミニウム、アルミニウム合金、または、磁性もしくは非磁性の鉄系金属の板状部材をプレス加工することにより第1ハウジング部材611の他の部位と一体的に形成される。
【0027】
固定シャフト22は、ベースプレート21aに固定される側の一端(下端)に中心軸J1から外側へ広がるフランジ部221をさらに備え、固定シャフト22内には中心軸J1に沿って貫通するネジ穴223が形成されている。固定ネジ26は中心軸J1に沿って固定シャフト22の下端に螺合され、ベースプレート21aが固定ネジ26の頭部とフランジ部221の下面との間に挟まれることにより固定シャフト22の下端がベースプレート21aに固定される。なお、ベースプレート21aに固定するために固定シャフト22の下端中央には下方に突出する突起が設けられるが、実質的に固定シャフト22の下端にフランジ部221が設けられるのであれば、厳密な意味での下端とフランジ部221の下面とが一致している必要はない。
【0028】
一方、軸受機構10は、中心軸J1に沿って固定シャフト22の上端に螺合されるもう1つの固定ネジ27を備え、第2ハウジング部材612の固定シャフト22近傍の部位(以下、「上部プレート21b」と呼ぶ。)が固定ネジ27の頭部と固定シャフト22の上端との間に挟まれることにより固定シャフト22の上端が上部プレート21bに固定される。なお、固定シャフト22および抜止部材23は、ステンレス鋼、または、快削性ステンレス鋼等により形成される。
【0029】
モータ1では、フランジ部221が固定シャフト22の一部として固定シャフト22に一体的に設けられる。これにより、シャフトとフランジ部とが別部材で形成される場合と比べて、フランジ部221の上面と中心軸J1との間に高精度な直角度を与えることができ、さらにフランジ部221と固定シャフト22の主要部分との間に強固な締結強度を得ることができる。また、軸受機構10およびモータ1を中心軸J1方向に対して薄型にすることができる。フランジ部221を一体的に有する固定シャフト22は、1つの元部材から切削により作製されてもよく、焼結等を含む成型工程により作製されてもよい。
【0030】
電機子24は、圧入または接着によりベースプレート21aに上側から取り付けられており、薄板状の珪素鋼板により形成された複数(本実施の形態では5枚)のコアプレートを積層してなるコア241を備え、コア241は、中心軸J1を中心に放射状に配置された複数のティース243、および、複数のティース243を外側から支持する(すなわち、各ティース243の中心軸J1から遠い側の端部を連結して支持する)リング状のコアバックを備える。コア241を形成するコアプレートのそれぞれの厚さは0.1〜0.35mmとされ、好ましくは、0.2mmとされる。各コアプレートでは、複数のティース243およびコアバックのそれぞれに対応する部位が一体的に形成されているため、複数のティース243およびコアバックは磁気的に接続されている。
【0031】
電機子24は、コア241の複数のティース243のそれぞれに直径0.05〜0.3mm(より好ましくは0.1mm)の導線が多層に巻回されることにより形成される複数のコイル242をさらに備える。
【0032】
ロータ部3は、ステータ部2の固定シャフト22に僅かな隙間をあけて挿入されるとともにロータ部3を回転可能に支持する軸受機構10の一部である略円筒状のスリーブ部材31、および、スリーブ部材31に取り付けられて中心軸J1の周囲に配置される界磁用磁石32を備える。スリーブ部材31は、ステンレス鋼、快削性ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または、リン青銅等により中心軸J1を中心とする略円筒状に形成されており、スリーブとしての役割を担う部位の一の端面(以下、「下端面」という。)311が固定シャフト22のフランジ部221と対向するとともにスリーブとしての役割を担う部位の他方の端面(以下、「上端面」という。)312が抜止部材23と対向する。界磁用磁石32は、電機子24との間で中心軸J1を中心とするトルク(すなわち、回転力)を発生する。
【0033】
図3は、スリーブ部材31を示す縦断面図であり、図4は、スリーブ部材31の下端面311のみを示す底面図である。スリーブ部材31は、図2および図3に示すように、下端面311から突出して固定シャフト22のフランジ部221の外周面を覆う第1環状突出部313、上端面312から突出して抜止部材23の外周面を覆う第2環状突出部314、並びに、図3および図4に示すように、下端面311と上端面312とを連通する2つの連通孔318を備える。
【0034】
スリーブ部材31は、図3に示すように界磁用磁石32(図2参照)が取り付けられる円板部315をさらに備え、いわゆるハブとなっている。軸受機構10を構成する部材が極端に小さい場合、スリーブとハブとが別部材で形成されると、スリーブをハブに圧入する際にスリーブ内周面が歪んでしまうおそれがあるが、モータ1ではスリーブおよびハブのそれぞれを一体的な部材で形成することにより部品点数を削減することができるとともにスリーブとハブとの同軸度を向上することができる。このように、モータ1の構造は小型化に特に適している。
【0035】
次に、モータ1のロータ部3をステータ部2に対して回転可能に支持する流体動圧を利用した軸受機構10について説明する。図5.Aは、モータ1の一部(図2における右半分)を拡大して示す縦断面図である。なお、図5.Aにおいては、スリーブ部材31の断面を示す平行斜線を省略しており、スリーブ部材31に形成される後述の2つのヘリングボーン溝316,317をスリーブ部材31側に山形紋の記号にて示している(図8および図9についても同様)。
【0036】
図5.Aに示すように、モータ1では、固定シャフト22の外周面とスリーブ部材31の内周面との間、スリーブ部材31の下端面311と固定シャフト22のフランジ部221との間、および、スリーブ部材31の上端面312と抜止部材23との間に微小な間隙が設けられる。以下、これらの間隙をそれぞれ、「側部間隙41」、「下部間隙42」、「上部間隙43」という。
【0037】
フランジ部221の外周面は、その外径が下側に向かって漸次減少する傾斜面とされ、フランジ部221と第1環状突出部313との間にスリーブ部材31の下端面311から離れるに従って漸次拡大する第1テーパ間隙44が形成される。一方、抜止部材23の外周面は、その外径が上側に向かって漸次減少する傾斜面とされ、抜止部材23と第2環状突出部314との間にスリーブ部材31の上端面312から離れるに従って漸次拡大する第2テーパ間隙45が形成される。
【0038】
モータ1では、連通孔318および上記複数の間隙(以下、「充填間隙」という。)に作動流体である潤滑油が連続して充填されることにより、いわゆるフルフィル構造の軸受機構が構成され、第1テーパ間隙44および第2テーパ間隙45に、下部間隙42(スラスト動圧軸受機構420)および上部間隙43からそれぞれ連続する潤滑油の界面が毛管現象および表面張力によりメニスカス状となってテーパシールが形成され、第1テーパ間隙44および第2テーパ間隙45がオイルバッファとしての役割を果たして潤滑油の流出が防止される。モータ1では、オイルバッファが可視構造とされることにより、潤滑油の注入および検査を容易にすることができる。
【0039】
スリーブ部材31の内周面には、ロータ部3の回転時に上端面312側の部位にて発生する圧力(矢印52にて示す。)が下端面311側の部位にて発生する圧力(矢印51にて示す。)よりも高い動圧を潤滑油に発生させる動圧溝が設けられており、側部間隙41にラジアル動圧軸受機構410が形成される。また、スリーブ部材31の下端面311には、ロータ部3の回転時に第1環状突出部313側の部位にて発生する圧力(矢印54にて示す。)が固定シャフト22側の部位にて発生する圧力(矢印53にて示す。)よりも高い動圧を潤滑油に発生させる動圧溝が設けられており、下部間隙42にこの動圧溝を備えるスラスト動圧軸受機構420が形成される。そして、ラジアル動圧軸受機構410の間隙の幅(すなわち、側部間隙41の幅)、スラスト動圧軸受機構420の間隙の幅(すなわち、下部間隙42の幅)、スリーブ部材31のスラスト動圧軸受機構420とは反対側における上部間隙43の幅のうち、ラジアル動圧軸受機構410の間隙の幅が最も狭く、上部間隙43の幅が最も広く形成される。具体的には、ラジアル動圧軸受機構410の間隙の幅は2〜4μmとれされ、スラスト動圧軸受機構420の間隙の幅は5〜8μmとされ、上部間隙43の幅は20〜32μmとされる。
【0040】
なお、モータ1では薄型化を実現するために、ラジアル動圧軸受機構410において中心軸J1方向に関して動圧が極大となる位置は1つのみとされる。
【0041】
モータ1では、図3および図5.Aに示すように、スリーブ部材31の内周面に設けられるラジアル動圧軸受機構410の動圧溝は、スリーブ部材31の回転方向に向かって開くV字状に形成されたヘリングボーン溝316であり、このヘリングボーン溝316が屈曲部3161より上側の部位が下側の部位よりも長い偏った形状とされることにより、ロータ部3の回転時に側部間隙41の略中央よりやや下側にて潤滑油に生じる圧力が最大となるとともに偏っている分だけ中心軸J1方向下側(すなわち、矢印52の方向)へ潤滑油が押し込まれる。また、図4および図5.Aに示すように、スラスト動圧軸受機構420の動圧溝は、スリーブ部材31の回転方向(すなわち、ロータ部3の回転方向)71に向かって開くV字状に形成されたヘリングボーン溝317であり、このヘリングボーン溝317が屈曲部3171より外側の部位が内側の部位よりもが長い偏った形状とされることにより、ロータ部3の回転時に下部間隙42の略中央よりやや内側にて潤滑油に生じる圧力が最大となるとともに偏っている分だけ径方向内側(すなわち、矢印54の方向)へ潤滑油が押し込まれる。
【0042】
これらの動圧軸受機構により、軸受機構によるロータ部3の回転時にスラスト動圧軸受機構420の固定シャフト22側の領域での潤滑油の局所的な負圧の発生を抑えることができ、負圧に起因する気泡の発生を防止し、さらには、気泡による異常振動や焼き付きを防止することができる。
【0043】
このように、モータ1では、固定シャフト22、抜止部材23およびスリーブ部材31の間に形成される充填間隙(すなわち、側部間隙41、下部間隙42、上部間隙43、第1テーパ間隙44および第2テーパ間隙45)、並びに、スリーブ部材31に形成される2つの連通孔318に潤滑油が連続して満たされ、ロータ部3の回転時には、潤滑油による流体動圧を利用してロータ部3が支持される。そして、ロータ部3が中心軸J1を中心としてステータ部2に対して回転することより、ロータ部3に取り付けられる記録ディスク62(図1参照)が回転する。
【0044】
軸受機構10では、モータ1を薄型化するために、スラスト方向の力を受ける動圧軸受機構が下部間隙42のスラスト動圧軸受機構420のみとされることから、ベースプレート21aと界磁用磁石32との間で発生する磁気的作用により非接触にてスリーブ部材31がフランジ部221に向けて付勢されるようになっている。すなわち、界磁用磁石32およびベースプレート21aがスリーブ部材31を付勢する付勢機構を兼ねている。これにより、ロータ部3の回転時において、スラスト動圧軸受機構420の浮上力と磁気的作用とで協働してロータ部3がスラスト方向に対して安定して支持される。なお、ベースプレート21aが非磁性体の材料で形成される場合には、ベースプレート21aの界磁用磁石32と対向する位置に磁性体が配置される。また、付勢機構の他の例としては、電機子24(図2参照)の中心軸J1方向の磁気的中心を界磁用磁石32の磁気的中心よりもベースプレート21a側にずらすことで磁気的作用を発生させるものでもよい。
【0045】
図5.Bは、図5.Aに示す上部間隙43の外周側の領域C1および下部間隙42の外周側の領域C6に対する上部間隙43の内周側の領域C2、側部間隙41の屈曲部3161と対向する領域C3、下部間隙42の内周側の領域C4、下部間隙42の屈曲部3171と対向する領域C5の各部位における潤滑油に生じる圧力の相対的な高低を示す図である。モータ1では、図5.Aおよび図5.Bに示すように、領域C3での潤滑油に生じる圧力は領域C5の圧力よりも高く、側部間隙41において中心軸J1方向下側(すなわち、矢印52の方向)へ押し込まれた潤滑油が、下部間隙42、連通孔318、および、上部間隙43を介して側部間隙41へと戻され、矢印55で示す潤滑油の循環経路が形成される。換言すれば、潤滑油をフランジ部221の外周側から抜止部材23の外周側へと導く連通孔318は、ラジアル動圧軸受機構410の間隙、スラスト動圧軸受機構420の間隙および上部間隙43と共に潤滑油が連続して満たされる循環経路55を形成する。これにより、スリーブ部材31の両端面での潤滑油の圧力差を抑えるとともに、万一、潤滑油内に気泡が発生した場合であっても、ラジアル動圧軸受機構410およびスラスト動圧軸受機構420に気泡が滞留することが防止され、さらに、発生した気泡を第1テーパ間隙44および第2テーパ間隙45のテーパシールを介して軸受機構外部へ排出することができる。
【0046】
図6は、抜止部材23を示す底面図である。抜止部材23は、図6に示すように、スリーブ部材31の上端面312に対向する面(すなわち、抜止部材23の下面)上に潤滑油を撹拌する4本の撹拌溝231を備える。撹拌溝231は、径方向外側に向かいつつスリーブ部材31の回転方向71とは反対の方向に向かうスパイラル状の溝とされる。これにより、ロータ部3の回転時には撹拌溝231によって発生する圧により上部間隙43(図5.A参照)の径方向内側へ潤滑油が押し込まれ、上部間隙43の固定シャフト22側の領域での負圧の発生を防止することができる。
【0047】
図7は、上部間隙43を拡大して示す縦断面図である。スリーブ部材31の上端面312には、図7に示すように、抜止部材23との間の間隙(すなわち、上部間隙43)が径方向外側に向かって漸次広くなるテーパ部3121が形成される。上部間隙43の径方向内側よりも外側の圧力を低くすることにより、上部間隙43内に存在する気泡または連通孔318の上方開口に移動してきた気泡が第2テーパ間隙45におけるテーパシールを介して軸受外部へ排出されやすくなる。また、スリーブ部材31は、上端面312上の固定シャフト22の周囲においてテーパ部3121よりも抜止部材23側に突出する突起部3122を備える。突起部3122は、仮にスリーブ部材31が上方に持ち上がったとしても抜止部材23に突き当たってスリーブ部材31の移動を阻止する部位であり、下端面311と突起部3122との間の寸法は高い精度とされる。これにより、スリーブ部材31の中心軸J1方向の取付位置を精度よく決定することができる。
【0048】
以上、モータ1について説明してきたが、モータ1の軸受機構10では、固定シャフト22にフランジ部221が一体的に設けられるため、既述のように、シャフトとフランジ部とが別部材で形成される場合と比べて、フランジ部221の上面と中心軸J1との間に高精度な直角度を与えることができ、固定シャフト22におけるフランジ部221の連結強度も極めて高いものとなる。
【0049】
ここで、軸受機構10では固定シャフト22の下端部がベースプレート21aに固定ネジ26により固定されるようになっており、固定シャフト22の固定により固定シャフト22の下端部では大きな内部応力が生じる。シャフトとフランジ部とを別部材とする場合はシャフトの歪みがそのままフランジ部のスラスト動圧面の傾きとして現れるが、軸受機構10ではフランジ部221が1つの部材として形成された固定シャフト22の一部であるため、固定シャフト22の下端部の剛性が高く、固定ネジ26の螺合による歪みを小さく抑えることができ、その結果、スラスト動圧軸受機構420の性能低下を防止することができる。
【0050】
特に、ラジアル動圧軸受機構410において中心軸J1方向に関して動圧が極大となる位置が1つのみである薄型化されたモータ1では、固定ネジ26はフランジ部221の位置までねじ込まれるため、フランジ部221を固定シャフト22の一部として形成することはこのような薄型化されたモータに特に適している。また、フランジ部221が一体の固定シャフト22は、ラジアル動圧軸受機構410の一部を構成する外周面の直径が2.7mm以下のものに利用されることが好ましく、外周面の直径が2.5mm以下のものに利用されることがさらに好ましい。これにより、小径の固定シャフト22の剛性を高めて、固定ネジ26の締め付けにより外周面に許容されない変形が生じることが防止される。
【0051】
なお、軸受機構10では固定シャフト22は上側の固定ネジ27により上部プレート21bに固定されるが、上部間隙43にはスラスト動圧軸受機構が形成されておらず、上部間隙はある程度大きいため、固定シャフト22と抜止部材23とが別部材とされていても上側の固定ネジ27の締結による軸受機構10の性能低下は生じない。
【0052】
また、固定シャフト22の上端が固定ネジ27により上部プレート21bに固定されることにより、小型であるにもかかわらず容易に固定シャフト22の上下端をプレートに取り付けることができ、かつ、固定シャフト22の高さを低く抑えてモータ1の薄型化を実現することができる。
【0053】
さらに、モータ1では、固定シャフト22に段部222が形成されており、抜止部材23の位置決めはこの段部222に突き当てるのみで完了するため、抜止部材23を容易に固定シャフト22に取り付けることができ、さらに、固定シャフト22の上からスリーブ部材31および抜止部材23を順に挿入するだけで簡単に軸受機構10を組み立てることができる。
【0054】
また、スラスト動圧軸受機構420(下部間隙42)の外周および上部間隙43の外周に、換言すれば、スリーブ部材31の両端面側に、環状のテーパシールが設けられるため、軸受機構10の中心軸J1方向の高さを低く抑えることができる。そして、このような構造を有しつつモータ1では、固定シャフト22、抜止部材23、および、スリーブ部材31のそれぞれが1つの部材として、すなわち主として1種類の材料(例えば、合金、セラミックス、樹脂であってもよく、表面処理が行われていてもよい。)から形成されるため、3つの部材(および固定ネジ26,27)で軸受機構10の主要部を構成することができ、部品点数を削減して組み立てを容易にすることができる。
【0055】
また、モータ1では、上部間隙43にスラスト動圧軸受機構420が形成されないことから、上部間隙43の厳密な精度管理が必要とされないため、スリーブ部材31の両端面に環状のテーパシールを有する軸受機構(特にスリーブ部材31)を容易に製造することができ、モータ1の製造時における不良率を低減することができる。さらに、上部間隙43の広い範囲で間隙寸法を大きく形成しているため、潤滑油に生じる圧力が高まることによる軸受機構10でのエネルギー損失を抑え、消費電力の上昇を抑えることができる。
【0056】
特に、小型および薄型のモータであっても軸受機構10およびモータ1の製造を容易とすることができる。
【0057】
図8は、他の例に係るモータ1aを示す縦断面図である。モータ1aは図5.Aに示すモータ1と同様に図1に示す記録ディスク62の回転に使用され、スリーブ部材31および抜止部材23の形状が異なるという点を除いて図5.Aのモータ1と同様の構造を有しており、同様の構成には同符号を付している。
【0058】
モータ1aでは、モータ1と同様に、スリーブ部材31の内周面にラジアル動圧溝であるヘリングボーン溝316が形成されており、固定シャフト22の外周面とスリーブ部材31の内周面との間の側部間隙41にラジアル動圧軸受機構410が形成される。また、スリーブ部材31の下端面311にはスラスト動圧溝であるヘリングボーン溝317が形成されており、下端面311とフランジ部221との間の下部間隙42にスラスト動圧軸受機構420が形成される。
【0059】
スリーブ部材31内に形成される連通孔318は、下端面311とは反対側の上端面312ではなく、ラジアル動圧軸受機構410の上端面312側の部位(すなわち、上側の部位)と、下端面311とを連絡するように傾斜して設けられる。そして、連通孔318は側部間隙41および下部間隙42と共に潤滑油が連続して満たされる循環経路を形成する。ラジアル動圧軸受機構410およびスラスト動圧軸受機構420にて発生する動圧の様子は図5.A中に符号51〜54を付して示すものと同様であり、モータ1aでは、潤滑油が下部間隙42から連通孔318および側部間隙41を順に経由して下部間隙42へと戻るように循環する。換言すれば、図5.Aに示すモータ1では上部間隙43が潤滑油の循環経路の一部とされるが、図8のモータ1aでは循環経路から上部間隙43が省略された構造となっている。
【0060】
モータ1aにおいても、固定シャフト22にフランジ部221が一体的に設けられるため、固定シャフト22の下端部の剛性が高く、固定ネジ26の螺合による歪みを小さく抑えてスラスト動圧軸受機構420の性能低下を防止することができる。
【0061】
なお、モータ1aでは、ラジアル動圧軸受機構410の間隙の幅、スラスト動圧軸受機構420の間隙の幅、連通孔318の幅(すなわち、直径)のうち、ラジアル動圧軸受機構410の間隙の幅が最も狭く、連通孔318の幅が最も広くされる(図5.Aにおいても同様)。薄型モータを実現するために、ラジアル動圧軸受機構410において動圧が極大となる位置も1つのみとされる。
【0062】
また、モータ1aの連通孔318の形状は傾斜したものには限定されず、図9に示すようにラジアル動圧軸受機構410の上部から水平に伸びる孔とスラスト動圧軸受機構420から垂直に伸びる孔とを繋げたものであってもよい。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0064】
例えば、モータ1,1aでは、スリーブ部材31の内周面に設けられるラジアル動圧軸受機構410の動圧溝が、ヘリングボーン溝の屈曲部の位置が偏った形状とされるが、屈曲部の位置を偏らせずに高い動圧を要する部位の溝数を増やしたり、溝幅を広くしたり、溝を深くすることにより、屈曲部(または屈曲部とみなせる位置)の両側での動圧の強さが異なるようにされてもよい。これにより、スリーブ部材31と同様の効果を奏することができる。
【0065】
スラスト動圧軸受機構420の動圧溝についても、同様に、溝数、溝幅または溝深さを変更することにより、屈曲部(または屈曲部とみなせる位置)の両側での動圧の強さが異なるようにされてもよい。なお、スラスト動圧軸受機構420の場合、ヘリングボーン溝の外側と内側との溝が同じ長さであっても、外側の方が潤滑油の流れが速いため、発生する圧力は外側が内側よりも高くなり、スラスト動圧軸受機構420の内周側での負圧の発生を抑制することができる。また、ラジアル動圧軸受機構410やスラスト動圧軸受機構420の動圧溝は、ヘリングボーン溝に限定されず、例えば、方向の異なるスパイラル状の動圧溝を2重に設けることにより、実質的にヘリングボーン溝と同等の動圧溝が設けられてもよい。
【0066】
さらに、モータ1では、抜止部材23の下面に設けられる撹拌溝231の本数が4本とされるが、これに限定されず、1本や2本以上とされてもよい。
【0067】
上記実施の形態に係るモータを有する記録ディスク駆動装置60は、ハードディスク装置に限らず、リムーバブルディスク装置等のディスク駆動装置であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】記録ディスク駆動装置の内部構成を示す図である。
【図2】モータの構成を示す縦断面図である。
【図3】スリーブ部材を示す縦断面図である。
【図4】スリーブ部材の下端面を示す底面図である。
【図5.A】モータの一部を拡大して示す縦断面図である。
【図5.B】潤滑油に生じる圧力の相対的な高低を示す図である。
【図6】抜止部材を示す底面図である。
【図7】上部間隙を拡大して示す縦断面図である。
【図8】他のモータの縦断面図である。
【図9】さらに他のモータの縦断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,1a モータ
10 軸受機構
21a ベースプレート
21b 上部プレート
22 固定シャフト
23 抜止部材
24 電機子
26,27 固定ネジ
31 スリーブ部材
32 界磁用磁石
44 第1テーパ間隙
60 記録ディスク駆動装置
62 記録ディスク
221 フランジ部
222 段部
311 下端面
312 上端面
313 第1環状突出部
318 連通孔
410 ラジアル動圧軸受機構
420 スラスト動圧軸受機構
631 ヘッド
632 アーム
633 ヘッド部移動機構
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のモータに用いられる流体動圧を利用した軸受機構であって、
一端に中心軸から外側へ広がるフランジ部を一体的に有する固定シャフトと、
前記中心軸に沿って前記固定シャフトの前記一端に螺合されることにより、前記固定シャフトの前記一端をプレートに固定する固定ネジと、
前記固定シャフトに挿入され、一の端面が前記フランジ部と対向するスリーブ部材と、
前記固定シャフトと前記スリーブ部材の内周面との間に形成されたラジアル動圧軸受機構と、
前記スリーブ部材の前記一の端面と前記フランジ部との間に形成されたスラスト動圧軸受機構と、
を備えることを特徴とする軸受機構。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受機構であって、
前記中心軸に沿って前記固定シャフトの他端に螺合されることにより、前記固定シャフトの前記他端をもう1つのプレートに固定するもう1つの固定ネジをさらに備えることを特徴とする軸受機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の軸受機構であって、
前記固定シャフトが、前記他端に径を減少させた段部を有し、
前記軸受機構が、前記固定シャフトの前記段部に取り付けられ、前記スリーブ部材の前記一の端面とは反対側の他方の端面と対向する環状の抜止部材をさらに備えることを特徴とする軸受機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の軸受機構であって、
前記スリーブ部材が、前記一の端面とは反対側の他方の端面または前記ラジアル動圧軸受機構の前記他方の端面側の部位と、前記一の端面とを連絡することにより、前記ラジアル動圧軸受機構の間隙および前記スラスト動圧軸受機構の間隙と共に潤滑油が連続して満たされる循環径路を形成する連通孔を備えることを特徴とする軸受機構。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の軸受機構であって、
前記スリーブ部材が、前記一の端面から突出して前記フランジ部の外周面を覆う環状突出部をさらに備え、
前記フランジ部と前記環状突出部との間に前記スリーブ部材の前記一の端面から離れるに従って漸次拡大するテーパ間隙が形成され、前記テーパ間隙に前記スラスト動圧軸受機構から連続する潤滑油によりテーパシールが形成されることを特徴とする軸受機構。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の軸受機構であって、
前記ラジアル動圧軸受機構において、前記中心軸方向に関して動圧が極大となる位置が1つのみであることを特徴とする軸受機構。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の軸受機構であって、
スラスト方向の力の受ける動圧軸受機構が、前記スラスト動圧軸受機構のみであることを特徴とする軸受機構。
【請求項8】
電動式のモータであって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の軸受機構と、
前記固定シャフトの前記一端が前記固定ネジにより固定されるプレートと、
電機子と、
前記スリーブ部材に取り付けられ、前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石と、
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項9】
記録ディスク駆動装置であって、
情報を記録する記録ディスクと、
前記記録ディスクを回転する請求項8に記載のモータと、
前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うヘッド部と、
前記ヘッド部を前記記録ディスクおよび前記モータに対して移動するヘッド部移動機構と、
を備えることを特徴とする記録ディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5.A】
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【図5.B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−185073(P2007−185073A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2694(P2006−2694)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】