説明

軸受異常診断装置および軸受異常診断方法

【課題】転がり軸受の状態を温度測定によってモニタリングして軸受異常診断を行なう上での外乱因子の影響を少なくして、軸受異常発生を精度良く検出する。
【解決手段】この軸受異常診断方法は、転がり軸受に温度センサ付設した複数のセンサ付き軸受装置に対し、複数の温度センサからリアルタイムに得られる複数の温度情報の平均値を算出し(ステップS3)、その平均値に基づく複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値に達したときに(ステップS6)、最大値を記録した温度センサの温度情報に対して点数付けを行ない(ステップS7)、所定期間内に前記最大値を記録した温度センサの点数履歴を監視し(ステップS8)、その監視する点数履歴の総和が所定の第二の閾値に達したときに、点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する(ステップS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の異常を診断するための軸受異常診断装置および軸受異常診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受の異常を診断するための異常検出方法としては、特許文献1に示される鉄道車両用センサ付き軸受装置の異常検出方法が開示されている。
この異常検出方法は、転がり軸受の状態を温度測定によってモニタリングし、回転速度に基づき、異常検出用の温度アラーム閾値を回転速度の変化に従って決定している。そして、複数の軸受から得られる温度情報から最大値を求め、その最大値を除いた他の温度情報の平均値と標準偏差に基づく温度アラーム閾値を最大温度値が超えた場合に、その最大値の温度情報を発生したセンサ付き軸受装置を異常と判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4147378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示される異常検出方法は、転がり軸受に起因する外乱因子であるグリス巻き込みによる突発的な温度上昇を過剰に検出してしまい、誤判定を起こすおそれがある、という解決すべき課題が残されていた。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、転がり軸受の状態を温度測定によってモニタリングして軸受異常診断を行なう上での外乱因子の影響を少なくして、軸受異常発生を精度良く検出し得る軸受異常診断装置および軸受異常診断方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、転がり軸受を有する複数のセンサ付き軸受装置に用いられて前記転がり軸受の温度を測定する複数の温度センサと、該複数の温度センサからの温度情報を処理する制御部とを有する軸受異常診断装置であって、前記制御部は、前記複数の温度センサからリアルタイムに得られる複数の温度情報の平均値を算出する平均値算出手段と、その平均値に基づく前記複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値に達したときに、最大値を記録した温度センサの温度情報に対して点数付けを行なうとともに、所定期間内における前記最大値を記録した温度センサの点数履歴を監視する点数履歴監視手段と、その監視する点数履歴の総和が所定の第二の閾値に達したときに、その点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する異常判定手段とを有することを特徴とする。
【0006】
ここで、第一の発明に係る軸受異常診断装置において、外部からの速度情報を取得する速度情報取得手段を更に備え、前記異常判定手段は、前記速度情報取得手段から取得された速度情報が所定の第三の閾値以上のときに限って前記第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定すれば、例えば、鉄道車両の停止時の温度情報を無視することができるため、軸受温度が上昇する走行中のみの軸受異常診断をする上で好適である。
また、第一の発明に係る軸受異常診断装置において、前記温度情報が、絶対温度、温度上昇率、または相対温度差のいずれかであることは好ましい。
【0007】
さらに、上記課題を解決するために、本発明のうち第二の発明は、転がり軸受と、該転がり軸受の温度を測定する温度センサとを有する複数のセンサ付き軸受装置に用いられ、前記複数の温度センサからの温度情報に基づいて前記センサ付き軸受装置の異常を診断する方法であって、前記複数の温度センサからリアルタイムに得られる複数の温度情報の平均値を算出する平均値算出工程と、その平均値に基づく前記複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値に達したときに、最大値を記録した温度センサの温度情報に対して点数付けを行なうとともに、所定期間内に前記最大値を記録した温度センサの点数履歴を監視する点数履歴監視工程と、その監視する点数履歴の総和が所定の第二の閾値に達したときに、その点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する異常判定工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る軸受異常診断装置ないし異常診断方法は、複数のセンサ付き軸受装置内の転がり軸受の温度を、それぞれのセンサ付き軸受装置に対応する温度センサによって計測し、得られた温度情報の平均化処理を行うとともに複数の転がり軸受の温度差を相対的に比較するので、この段階での外乱因子の影響を少なくすることができる。
さらに、本発明に係る軸受異常診断装置ないし異常診断方法は、その平均値に基づく前記複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値レベルに達した転がり軸受についてこれを抽出し、その抽出したセンサ付き軸受装置について、そのときのパラメータ(例えば、絶対温度、温度上昇率、相対温度差等)を重み付け(点数付け)し、所定期間内における点数履歴の総和が所定の第二の閾値を超えた場合を軸受異常と判定するので、センサ付き軸受装置の温度情報が記録されるようなイベントが発生したときに、そのときの温度情報に対して重み付けを行ない、所定期間での転がり軸受の点数履歴を監視することにより、突発的に発生する外乱の影響を除去することができる。そのため、転がり軸受の状態を温度測定によってモニタリングして軸受異常診断を行なう上での外乱因子の影響を少なくして、軸受異常検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る軸受異常診断装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る軸受異常診断装置の鉄道車両の1つの台車の構成を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明に係る軸受異常診断装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る運転状態監視処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。なお、本実施形態は、本発明に係る軸受異常診断装置を、鉄道車両における転がり軸受の運転状態の監視用に採用した例である。この鉄道車両は2つの台車で支持されており、図1に示すように、その鉄道車両100内には、軸受異常診断装置10の制御部20が設置されている。
まず、軸受異常診断装置10の構成を説明する。
上記鉄道車両100の1つの台車は、図2に示すように、2つの車軸の端部に取り付けられた4つの車輪1と、車輪1毎に設けられた4つのセンサ付き軸受装置14とを有している。各センサ付き軸受装置14には、軸受装置14内の転がり軸受の温度を測定するための温度センサSが1個ずつ取り付けられている。なお、同図においては、1つの台車分のセンサ信号(温度情報)が制御部20に入力されているが、図1に示すように、2台車分(1車両分)のセンサ信号が制御部20に入力されていてもよい。
【0011】
そして、図3に示すように、この軸受異常診断装置10は、各軸受装置14内の温度センサS1〜S4(2台車分以上であればS1〜Sx)と、制御部20とを有して構成されている。
制御部20は、内部に、ROM20a、RAM20b、およびカレンダー機能付きリアルタイムクロック20cを備え、また、軸受装置14内の転がり軸受に異常が発生した場合に、外部装置と通信するシリアル通信機能およびI/Oポートを備えている。なお、本実施形態の例では、更に、外部からの速度信号(速度情報)を取り込む速度信号取得手段12を有し、制御部20は、軸受の回転速度を算出することができ、また、必要な表示を表示器16に表示できるようになっている。
【0012】
また、この制御部20は、温度センサS1〜S4を駆動するための電力を供給し、温度センサS1〜S4は、センサ付き軸受装置14内の転がり軸受の温度に応じた電圧の信号を制御部20に出力する。そして、この制御部20は、温度センサS1〜S4からリアルタイムに得られる出力信号(温度情報)に基づいてセンサ付き軸受装置14の運転状態を監視する運転状態監視処理を実行する。
【0013】
詳しくは、この軸受異常診断装置10は、上記運転状態監視処理が実行されると、図4に示すように、まず、ステップS1に移行して、速度信号取得手段12からの速度情報により、転がり軸受が所定の速度α(所定の第三の閾値)以上で回転しているか否かを判断し、所定速度α以上の場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS1で待機する。これにより、速度α以上の場合に限って温度情報を取得することで、鉄道車両100の停止時の温度情報を無視することができ、軸受温度が上昇する走行中のみを診断することができる(異常判定手段、異常判定工程)。
【0014】
ステップS2では、各温度センサS1〜S4から各軸受装置14の転がり軸受の温度情報をリアルタイムに取得し、続くステップS3では、取得した各軸受装置14の複数の温度情報に対して平均化処理を行なう。つまり、複数の温度センサS1〜S4からリアルタイムで得られる複数の温度情報の平均値(Tave)を算出して(平均値算出手段、平均値算出工程)ステップS4に移行する。
【0015】
ステップS4では、ステップS3で得られた複数の温度情報の絶対温度の平均値(Tave)が所定温度β℃以上か否かを判定し、所定温度β℃以上であればステップS5に移行し、そうでなければステップS1に処理を戻す。ステップS5では、個々のセンサ付き軸受装置14に対し、絶対温度の平均値(Tave)を超えているセンサ付き軸受装置14を抽出し、続くステップS6では、抽出したセンサ付き軸受装置14について、その転がり軸受の温度(Tx)との相対温度差(Tx−Tave)を算出し、その相対温度差(Tx−Tave)が所定相対温度差γ℃(第一の閾値)以上か否かを判定する。つまり、相対温度差(Tx−Tave)が所定相対温度差γ℃(第一の閾値)に達していればステップS7に移行し、そうでなければステップS1に処理を戻す。
【0016】
ステップS7では、センサ付き軸受装置14の絶対温度、温度上昇率、相対温度差をモニタリングして算出するとともに、その算出した絶対温度、温度上昇率、相対温度差について、予め求めておいたデータテーブルを参照して点数(Kx)を付ける。さらに、当該温度情報が取得された日時とともにそのセンサ付き軸受装置14の温度情報と点数(Kx)を制御部20の記録媒体(ROM20a等)に記録する。この記録された情報は一定期間で更新され、突発的な温度上昇により記録された温度情報は複数日が経過すると消去される(点数履歴監視手段、点数履歴監視工程)。
【0017】
続くステップS8では、上記点数(Kx)の一定期間における総和が、予め求められている閾値ζ点(第二の閾値)以上か否かを判定する。つまり、所定の一定期間に一つのセンサ付き軸受装置14の記録された点数(Kx)の総和が、予め求められている閾値ζ点(第二の閾値)に達した場合にはステップS9に移行し、そうでないときはステップS1に処理を戻す。ステップS9では、点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置14を異常と判定する(異常判定手段、異常判定工程)。
【0018】
こうすることで、所定の一定期間の間に頻繁に温度情報の記録が残るセンサ付き軸受装置14について異常と判定することができ、軸受異常を精度良く検出することが可能となる。なお、異常と判定された場合、制御部20のI/Oポートが切り替わり、必要な表示を表示器16に表示することで外部へ異常を知らせる。また、制御部20では、異常と判定されたセンサ付き軸受装置14の温度情報の履歴を記録媒体(ROM20a等)に記録しており、外部からの指令によりシリアル通信で温度情報の履歴を外部に送信する。
【0019】
次に、この軸受異常診断装置および軸受異常診断方法の作用・効果について説明する。
この軸受異常診断装置および軸受異常診断方法によれば、制御部20は、センサ付き軸受装置14の温度情報が記録されるイベントが発生したときに、そのときの温度情報に対して重み付けを行なうとともに、所定期間でのセンサ付き軸受装置14の点数履歴を監視することにより、突発的に発生する外乱の影響を除去し、軸受異常検出精度を向上させる効果を有する。
つまり、この制御部20は、まず、速度情報取得手段12から取得された速度情報が所定の速度α(所定の第三の閾値)以上のときに限ってステップを進める(ステップS1〜S2)ので、速度α以上の場合に限った温度情報を取得することで、鉄道車両100の停止時の温度情報を無視することができる。
【0020】
そして、この制御部20によれば、複数のセンサ付き軸受装置14内の転がり軸受の温度を、それぞれのセンサ付き軸受装置14に対応して付設された温度センサS1〜S4によって計測し、上記の平均化処理(ステップS3)を行い、その平均値が所定の閾値β℃以上に達した場合に判定ステップを進めている。そのため、複数の転がり軸受の温度差を相対的に比較することで外乱因子の影響を少なくできる(ステップS4)。
【0021】
さらに、この制御部20によれば、閾値レベルとして設定した所定温度β℃に達した転がり軸受についてこれを抽出し(ステップS5)、その抽出したセンサ付き軸受装置14について、その転がり軸受の温度(Tx)との相対温度差(Tx−Tave)を算出し、最大値と平均値との最大温度差が所定の第一の閾値(所定相対温度差γ℃)を超えた日時とともにデータを記録媒体に記録し、所定期間でその記録された点数履歴の総和が予め設定したおいた点数(閾値ζ点(第二の閾値))を超えた場合に、当該記録が残るセンサ付き軸受装置14について軸受異常と判定する。
【0022】
つまり、そのときのパラメータ(絶対温度、温度上昇率、相対温度差等)を重み付け(点数付け)し(ステップS7)、所定期間の点数Kxが閾値ζ点(第二の閾値)を超えた場合を軸受異常と判定する。そのため、センサ付き軸受装置14の温度情報が記録されるようなイベントが発生(ステップS1でのYes,ステップS4でのYes,ステップS6でのYesなど)したときに、そのときの温度情報に対して重み付けを行ない(ステップS7)、所定期間での転がり軸受の点数履歴を監視することにより(ステップS8)、突発的に発生する外乱の影響を除去しているので、転がり軸受の状態を温度測定によってモニタリングして軸受異常診断を行なう上での外乱因子の影響を少なくして、軸受異常検出精度を向上させることができる。
【0023】
なお、本発明に係る軸受異常診断装置および軸受異常診断方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、センサ付き軸受装置14の温度情報が記録されるようなイベントとして、速度情報取得手段12から取得された速度情報が所定の速度α(所定の第三の閾値)以上のときに限ってステップを進め、予め設定したおいた点数(閾値ζ点(第二の閾値))を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する例で説明したが、これに限定されず、速度情報取得手段12およびこれに基づく処理を行なわない構成としてもよい。しかし、速度α以上の場合のみ温度情報を取得することで、鉄道車両100の停止時の温度情報を無視することができるため、軸受温度が上昇する走行中のみを診断する上で好適である。なお、加速度や減速度を算出して、転がり軸受の温度が低下する減速時の温度情報を無視してもよい。
【0024】
[実施例]
上記実施形態において、複数の温度センサからの温度情報を処理する制御部における判定ステップでの具体的な処理につき、閾値の設定や点数化する際に参照するデータテーブルの内容の具体的構成について、以下実施例に基づき説明する。
この例では、軸受異常診断装置は、外部からの速度情報により、軸受がある速度以上で回転しているか否かを判断し、時速30km/h以上の速度(低速では軸受が発熱しにくいため)になると温度計測を開始する。
【0025】
温度計測は、一分程度の温度計測値(離散サンプリングデータ)を単純平均して外乱ノイズ(電気的ノイズ)の影響を除去し、これを一つのデータとして記録媒体に記録する。記録媒体に記録された個々の軸受の温度データの一台車分(4データ)について、この4データから最大温度を除き、その他の3つの軸受温度を単純平均して、その結果を平均温度とする。
正常な軸受の場合、平均温度は40℃〜60℃程度であり、低温時の誤判定を除くために、算出した平均温度が40℃以上の場合に次のステップへと移行する。
【0026】
各軸受の温度データについて、前記手法によって算出した平均温度との温度差を算出し、相対温度差が20℃以上の軸受を抽出し、相対温度差と絶対温度により、例えば表1に示すように区分されたデータテーブルを参照して点数付けし、速度/相対温度差/絶対温度/その時の時刻と共に記録媒体に記録する。また、各軸受の測定された温度データは、常時最高温度とそれを記録した日時および速度を更新して記録媒体に記録される。
【0027】
【表1】

【0028】
この例では、軸受の異常判定は、第一の期間として、1時間の間に記録された各軸受の絶対温度から温度上昇率を算出し、温度上昇率が温度上昇傾向の場合に、例えば表2に示すように設定された温度上昇率に基づき点数を付け、過去1時間の間に記録された相対温度差と絶対温度により付された点数の総和と合算し、その点数が第一の閾値を超えた場合に軸受異常と判定し、この判定に用いたデータから最高温度と相対温度差および温度上昇率、速度、判定日時を記録媒体に記録する。
【0029】
【表2】

【0030】
そして、この例では、第一の閾値は、1時間あたりに異常と判定し得る温度の観測頻度および温度上昇率を判定値としている。仮に第一の閾値を190点とおいた場合に、1時間の間に相対温度差40℃〜50℃で絶対温度が80℃〜100℃を記録した回数が6回であり、その間の温度上昇率が3〜5℃/minであった場合は200点となり、第一の閾値の値を超えるので、軸受異常と判定する。第一の期間に軸受異常の判定に用いるデータは常時更新し、1時間分のデータは古い順に新しいデータが上書きされる。
【0031】
また、第二の判定期間として、温度上昇率が温度上昇傾向から温度下降傾向に変った場合に、その軸受の絶対温度(最高温度)と相対温度差から点数を付与し、日時と共に記憶媒体にデータを記録しておき、10日間に記録された点数の総和が第二の閾値を超えた場合に軸受異常と判定する。
第二の閾値は、10日間の温度履歴を監視し、軸受単体の絶対温度の履歴を判定値としている。仮に、第二の閾値を200点とおいた場合、10日間で相対温度差30〜40℃で絶対温度80〜100℃が10回以上記録された場合に軸受異常と判定する。第二の期間に軸受異常の判定に用いるデータは第一の期間とは別のデータであり、10日間のデータは古い順に新しいデータが上書きされる。
【符号の説明】
【0032】
1 車輪
10 軸受異常診断装置
12 速度信号取得手段
14 センサ付き軸受装置
16 表示器
20 制御部
100 鉄道車両
S(S1〜S4(〜Sx)) 温度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受を有する複数のセンサ付き軸受装置に用いられて前記転がり軸受の温度を測定する複数の温度センサと、該複数の温度センサからの温度情報を処理する制御部とを有する軸受異常診断装置であって、
前記制御部は、前記複数の温度センサからリアルタイムに得られる複数の温度情報の平均値を算出する平均値算出手段と、その平均値に基づく前記複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値に達したときに、最大値を記録した温度センサの温度情報に対して点数付けを行なうとともに、所定期間内における前記最大値を記録した温度センサの点数履歴を監視する点数履歴監視手段と、その監視する点数履歴の総和が所定の第二の閾値に達したときに、その点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する異常判定手段とを有することを特徴とする軸受異常診断装置。
【請求項2】
外部からの速度情報を取得する速度情報取得手段を更に備え、前記異常判定手段は、前記速度情報取得手段から取得された速度情報が所定の第三の閾値以上のときに限って前記第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定することを特徴とする請求項1に記載の軸受異常診断装置。
【請求項3】
前記温度情報が、絶対温度、温度上昇率、または相対温度差のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受異常診断装置。
【請求項4】
転がり軸受と、該転がり軸受の温度を測定する温度センサとを有する複数のセンサ付き軸受装置に用いられ、前記複数の温度センサからの温度情報に基づいて前記センサ付き軸受装置の異常を診断する方法であって、
前記複数の温度センサからリアルタイムに得られる複数の温度情報の平均値を算出する平均値算出工程と、その平均値に基づく前記複数の転がり軸受の相対温度差が所定の第一の閾値に達したときに、最大値を記録した温度センサの温度情報に対して点数付けを行なうとともに、所定期間内に前記最大値を記録した温度センサの点数履歴を監視する点数履歴監視工程と、その監視する点数履歴の総和が所定の第二の閾値に達したときに、その点数の総和が当該第二の閾値を超えたセンサ付き軸受装置を異常と判定する異常判定工程とを含むことを特徴とする軸受異常診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−98253(P2012−98253A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248532(P2010−248532)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】