説明

軸受装置及び画像形成装置

【課題】回転体の回転に伴う摩擦力を低減することができる軸受装置と、係る軸受装置を有する画像形成装置とを提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、感光体20と、感光体20の軸46を支持する軸受装置100とを有する。軸受装置100は、回転する軸46に、少なくとも軸46の回転方向に固定される回転スリーブ102と、軸46を支持する像形成構造体本体36に少なくとも軸46の回転方向に固定される固定スリーブ150と、回転スリーブ102と固定スリーブ150とが、軸46方向で互いに当接するように押圧するカバー部材180とを有し、回転スリーブ102、及び固定スリーブ150は、互いに接触する接触部を有し、その接触部の少なくとも一方が、軸46の中心軸48を中心線とする円錐面の一部をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースに組合わされた合成樹脂製の上部ケースと、上部及び下部ケース間に配された合成樹脂製のスラスト滑り軸受手段とを具備しており、該下部ケースは内面を挿通孔とした円筒部と該円筒部の端部外周面に延設された環状幅広鍔部と該幅広鍔部の上面に該円筒部と環状溝を形成して立設された環状突出部と該環状突出部と該幅広鍔部上面とで環状凹部を形成して該幅広鍔部の外周縁に立設された環状係合突出部とを備えており、該上部ケースは円筒部と該円筒部の端部外周面に延設された環状幅広鍔部と該円筒部の他端に径方向内側に延設された環状鍔部と該幅広鍔部の外周縁に垂下した環状係合垂下部とを備えており、該上部ケースは円筒部内周面と前記下部ケースの円筒部外周面との間にラジアル軸受部を形成し、環状鍔部下面を該下部ケースの円筒部端面に対面させるとともに環状係合垂下部を前記下部ケースの環状係合突出部に弾性装着させて該下部ケースに組合わされており、スラスト滑り軸受手段は下部ケースの環状凹部と上部ケースの環状幅広鍔部の対面する面間に配されていることを特徴とする合成樹脂軸受が開示されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−72339号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、回転体の回転に伴う摩擦力を低減することができる軸受装置と、係る軸受装置を有する画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴とするところは、回転する軸に、少なくとも該軸の回転方向に固定される第1の軸受部と、前記軸を支持する支持部に少なくとも前記軸の回転方向に固定される第2の軸受部と、前記第1の軸受部と前記第2の軸受部とが、軸方向で互いに当接するように押圧する押圧手段と、を有し、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、互いに接触する接触部を有し、該接触部の少なくとも一方が、前記軸の中心を中心線とする円錐面の一部をなす軸受装置にある。
【0006】
好適には、前記押圧手段は、前記第2の軸受部材に組み付けられ、前記第1の軸受部を前記第2の軸受部の方向に付勢する付勢部材を有する。
【0007】
また、好適には、前記付勢部材は、前記第2の軸受部に装着される装着部と、前記装着部と一体をなし、前記第1の軸受部から遠ざかる方向に弾性変形する弾性部と、を有する。
【0008】
また、好適には、前記第2の軸受部と前記第1の軸受部との間に形成され、潤滑剤を保持する保持部をさらに有する。
【0009】
また、好適には、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、前記接触部を少なくとも2つ有し、これらの接触部の1つは、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部の一方に形成された環状の第1の凸部からなり、これらの接触部の他の1つは、前記第1の凸部よりも外側に形成された環状の第2の凸部からなり、前記保持部は、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に形成される。
【0010】
また、好適には、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、少なくとも前記接触部が互いに異なる材料からなる。
【0011】
また、好適には、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部のいずれか一方は、少なくとも前記接触部がポリカーボネートからなり、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部のいずれか他方は、少なくとも前記接触部がポリアセタールからなる。
【0012】
また、本発明の第2の特徴とするところは、画像形成に際して回転する回転体と、前記回転体の軸を支持する軸受装置と、を有し、前記軸受装置は、前記軸に、少なくとも該軸の回転方向に固定される第1の軸受部と、前記軸を支持する支持部に少なくとも前記軸の回転方向に固定される第2の軸受部と、前記第1の軸受部と前記第2の軸受部とが、軸方向で互いに当接するように押圧する押圧手段と、を有し、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、互いに接触する接触部を有し、該接触部の少なくとも一方が、前記軸の中心を中心線とする円錐面の一部をなす画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転体の回転に伴う摩擦力を低減することができる軸受装置と、係る軸受装置を有する画像形成装置とを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。
画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられているとともに、画像形成装置本体12内に、画像形成部14と、画像形成部14に用紙を供給する用紙供給部50が装着されているとともに、画像形成装置本体12内に用紙が搬送される用紙搬送路18が形成されている。
【0015】
画像形成部14は電子写真方式のもので、像保持体として用いられるとともに、画像形成に際して回転する回転体として用いられるドラム形状の感光体20と、感光体20を一様に帯電する帯電装置22と、帯電装置22により帯電された感光体20に光により潜像を書き込む光書き込み装置24と、光書き込み装置24により形成された感光体20の潜像を現像剤により現像し、可視化する現像装置26と、現像装置26により可視化された現像剤像を用紙に転写する例えば転写ロールからなる転写装置28と、感光体20に残存する現像剤をクリーニングするクリーニング装置30と、転写装置28により転写された用紙上の現像剤像を用紙に定着させる定着装置32とを有する。画像形成部14を構成する部材のうち、感光体20、帯電装置22、現像装置26及びクリーニング装置30は、像形成構造体34として一体化されていて、例えば、画像形成装置本体12の前側(図1における右側)から画像形成装置本体12内に着脱することができるようになっている。
【0016】
感光体20は、像形成構造体の筐体である像形成構造体本体36に対して像形成構造体本体36の左側板(図1における手前側の側板)に設けられ、回転体支持装置として用いられるとともに、像形成用回転体支持装置として用いられる軸受装置100と、像形成構造体本体36の右側板(図1における奥側の側板)に設けられた軸受部材200とによって回転可能に支持されている。このように、この実施形態では、軸受装置100及び軸受部材200は、画像形成装置本体12に装着される像形成構造体本体36を介して、感光体20を、画像形成装置本体12に対して間接的に支持しているが、軸受装置100及び軸受部材200が、画像形成装置本体12に対して感光体20を直接に支持するように用いても良い。すなわち、軸受装置100及び軸受部材200を、画像形成装置本体12に対して直接装着しても良い。
【0017】
用紙供給部50は、用紙収納容器52と、ピックアップロール54と、送り出しロール56と、捌きロール58とを有する。
用紙収納容器52には、記録媒体として用いられる用紙が積載された状態で収納されていて、用紙収納容器52は、画像形成装置本体12の例えば前側に引き出し可能、又は画像形成装置本体12の例えば前側から画像形成装置本体12内に着脱可能であって、画像形成装置本体12から引き出したり、取り外したりした状態で用紙を補給することができるようになっている。
【0018】
ピックアップロール54は、用紙収納容器52の積載された用紙のうち最上部に位置する用紙を取り出すために用いられる。送り出しロール56は、ピックアップロール54によって取り出された用紙を用紙搬送方向における下流側に向けて送り出すために用いられる。また、捌きロール58は、ピックアップロール54側から用紙が重なった状態で供給された場合に、重なった状態の用紙を捌いて分離する機能を有する。
【0019】
また、画像形成装置本体12内には、用紙搬送路18に沿って、用紙搬送方向における上流側から順に、先述の用紙供給部50、レジストロール40、先述の転写装置28、先述の定着装置32、及び排出ロール42が設けられている。レジストロール40は、用紙供給部50から送り出された用紙を、画像形成部14で画像形成がなされるタイミングに合わせて、感光体20と転写装置28との接触部に供給するために用いられる。排出ロール42は、定着装置32で現像剤像の定着がなされた用紙を、排出部16に排出するために用いられる。
【0020】
以上のように構成された画像形成装置10では、感光体20が帯電装置22により一様に帯電され、帯電された感光体20に、画像信号に基づいて光書き込み装置24から発せられた光が照射されて潜像が形成され、この潜像が現像装置26の現像剤により現像されて現像剤像が形成される。一方、用紙収納容器52に積載された用紙がレジストロール40へと送り出され、送り出された用紙が、レジストロール40によって画像形成部14でなされる画像形成と同期するように転写装置28と感光体20との間に供給され、供給された用紙に転写装置28により現像剤像が転写される。転写された現像剤像は定着装置32によって用紙に定着され、現像剤像が定着された用紙は、排出ロール42によって排出部16に排出される。
【0021】
図2には、感光体20、軸受装置100、及び軸受部材200が示されている。
感光体20は、感光体本体21と軸46とを有する。軸46は、回転する軸として用いられていて、軸46の中心が中心軸48となっている。また、軸46は、感光体本体21の長手方向両端部から突出するように感光体本体21に装着されている。感光体20には、例えば軸46に、モータからなる駆動源250が例えばギア列からなる駆動伝達機構(不図示)を介して連結されていて、駆動源250から駆動が伝達されることで、感光体20は中心軸48を中心に、感光体本体21及び軸46が一体として回転する。
【0022】
軸受部材200は、例えば樹脂からなる滑り軸受からなり、外周側が像形成構造体本体36の右側板に固定され、内周面に軸46が回転可能に挿入されている。軸受装置100は、像形成構造体本体36の左側板に固定され、軸46を回転可能に支持している。
【0023】
図3は、軸受装置100を示す斜視図である。
図3に示されるように、軸受装置100は、回転スリーブ102と、固定スリーブ150と、カバー部材180とを有する。回転スリーブ102は、第1の軸受部として用いられており、固定スリーブ150は第2の軸受部として用いられており、カバー部材180は押圧手段として用いられているとともに、付勢部材として用いられている。
【0024】
図4は軸受装置100を示す断面図であり、図5は回転スリーブ102を示す斜視図であり、図6は固定スリーブ150を示す斜視図であり、図7は、カバー部材180を示す斜視図である。
【0025】
図4及び図5に示すように、回転スリーブ102は、軸46に少なくとも軸46の回転方向に固定されている。この実施形態では、回転スリーブ102は、軸46の長手方向(中心軸48の方向)においても軸46に固定されるものの、回転スリーブ102は、軸46に少なくとも軸46の回転方向に固定されていれば良く、軸46の長手方向に摺動するように移動可能なものであっても良い。
【0026】
回転スリーブ102は、感光体20側に中心軸48と略垂直な面である被押圧面104を有し、固定スリーブ150の側にテーパー面106を有する。被押圧面104は、カバー部材180が接触する部位であり、カバー部材180の少なくとも一部が、被押圧面104に接触するようになっている。テーパー面106には、第1の凸部110と、第2の凸部112とが形成されている。第1の凸部110と、第2の凸部112とは、それぞれが固定スリーブ150と互いに接触する接触部として用いられている。
【0027】
第1の凸部110は、中心軸48を中心とする環状の突起であり、固定スリーブ150に接触している。第2の凸部112は、第1の凸部110と同様に中心軸48を中心とする環状の突起であり、中心軸48に対して第1の凸部110よりも外側に形成されていて、第1の凸部110と同様に固定スリーブ150に接触している。また、回転スリーブ102には、中心軸48を通る円を断面形状として有する貫通孔120が形成されていて、貫通孔120に感光体20の軸46が挿入され、嵌め合いは締まり嵌めとなっている。このため、回転スリーブ102は、感光体20、軸46と一体として回転する。
【0028】
図4及び図6に示すように、固定スリーブ150は、像形成構造体本体36に少なくとも軸46の回転方向に固定されている。この実施形態では、固定スリーブ150は、軸46の長手方向においても像形成構造体本体36に固定されているものの、固定スリーブ150は、像形成構造体本体36に少なくとも軸46の回転方向に固定されていれば良く、像形成構造体本体36の長手方向に摺動するように移動可能なものであっても良い。
【0029】
固定スリーブ150は、テーパー面152と、外側面154とを有する。
外側面154は中心軸48を中心とする円筒面であり、外側面154が像形成構造体本体36に形成された貫通孔に挿入されるようにして、軸受装置100は、像形成構造体本体36に固定されている。外側面154と像形成構造体本体36との嵌め合いは、締まり嵌めとなっている。
【0030】
テーパー面152は、軸46の中心である中心軸48を中心線とする円錐面の一部をなしている。すなわち、テーパー面106は、頂点が中心軸48上に位置する円錐形の側面の一部となっている。また、テーパー面152には、第1の凸部110、及び第2の凸部112が接触する。すなわち、テーパー面152の一部が、回転スリーブ102と互いに接触する接触部として用いられている。この実施形態では、テーパー面152の全体が、軸46の中心である中心軸48を中心線とする円錐面の一部となっているが、テーパー面152は、少なくとも第1の凸部110が接触する接触部、及び第2の凸部112が接触する接触部が、軸46の中心である中心軸48を中心線とする円錐面の一部をなしていれば良い。
【0031】
また、固定スリーブ150には、例えば2つの組み付け孔156が形成されている。組み付け孔156は、固定スリーブ150に対して、カバー部材180を組み付けるために用いられていて、例えば中心軸48の側から外側面154の側に貫通するように形成されている。また、2つの組み付け孔156は、中心軸48に対して、互いに対称となる位置に形成されている。また、固定スリーブ150には、軸46の回転スリーブ102から感光体20と逆側に突出した部分が貫通するように貫通孔158が形成されている。
【0032】
図4及び図7に示すように、カバー部材180は、回転スリーブ102と固定スリーブ150とが、軸46の方向(軸46の長手方向)で接触するように押圧する押圧手段として用いられているとともに、固定スリーブ150に組み付けられ、回転スリーブ102を固定スリーブ150の方向に付勢する付勢部材として用いられて、板部182と、例えば2つの装着用突起186と、例えば4個の板バネ部190とを有する。
【0033】
板部182は中心軸48に対して略垂直に配置されており、板部182には、感光体20の軸46が貫通する貫通孔184が形成されている。装着用突起186は、固定スリーブ150に装着される装着部として用いられていて、板部182に、固定スリーブ150の側に突出するように、組み付け孔156に相当する数である2つ設けられている。カバー部材180は、2つ装着用突起186、186が、それぞれ組み付け孔156、156に挿入されるようにして、固定スリーブ150に装着され、組み付けられる。
【0034】
板バネ部190は、装着用突起186と一体をなし、回転スリーブ102に接触して回転スリーブ102から遠ざかる方向に弾性変形する弾性部として用いられていて、それぞれが、板部182に一体として形成されていて、互いに隣り合う板バネ部190の中心軸48に対する角度が等しくなるように配置されている。また、板バネ部190は、それぞれが、板部182に形成されたU字形状の切り欠き188によって板部182から区切られていて、一部が板部182と連続している。そして、板バネ部190の、例えば板部182と連続した位置と逆側の位置には、それぞれ接触突起192が形成されている。
【0035】
接触突起192は、回転スリーブ102の側に突出するように形成された突起であり、カバー部材180が固定スリーブ150に組み付けられると、回転スリーブ102の被押圧面104に接触する。この際、接触突起192が被押圧面104に接触することにより、板バネ部190は、それぞれが回転スリーブ102と逆方向に弾性変形する。このため、板バネ部190からの力を受けて、回転スリーブ102は固定スリーブ150の側に付勢され、固定スリーブ150に対して押圧される。
【0036】
また、軸受装置100は、回転スリーブ102と固定スリーブ150との間に形成され、潤滑剤を保持する保持部として用いられる潤滑剤保持室196を有する。潤滑剤保持室196は、第1の凸部110と第2の凸部112との間に形成され、第1の凸部110、第2の凸部112、テーパー面106、及びテーパー面152で囲まれた空間からなる。潤滑剤保持室196には、回転スリーブ102と固定スリーブ150との間の摩擦を低減させるために用いられる潤滑剤Gが保持される。潤滑剤Gとしては、例えば、ペースト状グリースが用いられる。
【0037】
回転スリーブ102と固定スリーブ150とは互いに異なる材料からなり、より具体的には、回転スリーブ102はポリカーボネートからなり、固定スリーブ150はポリアセタールからなる。ポリカーボネートからなる回転スリーブ102と、ポリアセタールからなる固定スリーブ150とを用いることに替えて、ポリカーアセタールからなる回転スリーブ102と、ポリカーボネートからなる固定スリーブ150とを用いても良い。また、必ずしも回転スリーブ102と固定スリーブ150との全体を異なる材料とする必要はなく、回転スリーブ102の少なくとも固定スリーブ150に接触する接触部と、固定スリーブ150の少なくとも回転スリーブ102に接触する接触部とを互いに異なる材料とすれば足りる。
【0038】
また、回転スリーブ102と固定スリーブ150とは互いに異なる材料であれば良く、回転スリーブ102と固定スリーブ150との一方をポリカーボネートからなるものとし、他方をポリアセタールからなるものとすることに替えて、回転スリーブ102と固定スリーブ150との一方をポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びフッ素樹脂のいずれか1つからなるものとし、回転スリーブ102と固定スリーブ150との他方を、上述の材料群から選択された他の材料からなるものとしても良い。
【0039】
図8には、本発明の第1の実施形態に用いられるカバー部材180の変形例が示されている。
先述の第1の実施形態においては、板バネ部190は、それぞれが、板部182に形成されたU字形状の切り欠き188によって板部182から区切られるようにして形成されていた。これに対して、この変形例においては、板部182に、中心軸48を中心とする同心円上に、中心軸48からの角度が略等しくなるように形成された切り欠き188aと、切り欠き188bとが、それぞれ4個形成されていて、切り欠き188aと切り欠き188bとの間に形成される4個の領域が、それぞれ板バネ部190となっている。また、接触突起192は、それぞれが板バネ部190の略中央部に形成されている。
【0040】
図9には、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10が有する軸受装置100が示されている。
先述の第1の実施形態においては、回転スリーブ102のテーパー面106に第1の凸部110と、第2の凸部112とが形成されていたのに対して、この第2の実施形態においては、固定スリーブ150のテーパー面152に、第1の凸部160と第2の凸部162とが形成されている。そして、第1の凸部160と、第2の凸部162との間に潤滑剤保持室196が形成される。潤滑剤保持室196は、第1の凸部160、第2の凸部162、テーパー面106、及びテーパー面152で囲まれた空間からなり、潤滑剤保持室196には、第1の実施形態と同様に潤滑剤Gが保持される。
【0041】
この第2の実施形態においては、テーパー面106の少なくとも第1の凸部110に接触する部分と第2の突起162に接触する部分とが、軸46の中心である中心軸48を中心線とする円錐面の一部をなしている。尚、第1の実施形態と同一部分については、図9に同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
図10には、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10が有する軸受装置100が示されている。
先述の第1の実施形態、及び第1の実施形態においては、軸受装置100は、回転スリーブ102を有し、回転スリーブ102に感光体20の軸46が装着されていた。これに対して、この第3の実施形態においては、感光体20の右側の端部から突出する軸46が軸受装置100の一部をなし、他の部材を介することなく直接に回転可能に支持されている。すなわち、この第3の実施形態では、軸46が、回転する軸として用いられているとともに、回転する軸に固定される第1の軸受部として用いられている。
【0043】
また、先述の第1の実施形態、及び第2の実施形態においては、第1の凸部110、及び第2の凸部112との複数の凸部が形成されていたのに対して、この第3の実施形態においては、凸部は1つが形成されている。すなわち、軸46にテーパー面130が形成され、テーパー面130に1つの凸部132が形成されている。
【0044】
また、先述の第1の実施形態、及び第2の実施形態においては、軸受装置100は、固定スリーブ150を有し、固定スリーブ150にテーパー面152が形成され、固定スリーブ150が像形成構造体本体36に装着されていた。これに対して、この第3の実施形態においては、像形成構造体本体36の一部が軸受装置100の一部をなし、像形成構造体本体36にテーパー面170が形成されている。すなわち、この第3の実施形態では、像形成構造体本体36が、軸46を支持する支持部として用いられているとともに、支持部に固定される第2の軸受部として用いられている。
【0045】
また、先述の第1の実施形態、及び第2の実施形態においては、回転スリーブ102は、固定スリーブ150に対して、固定スリーブ150に組み付けられるカバー部材180によって押圧されていた。これに対して、この第3の実施形態においては、感光体20が像形成構造体本体36の右側の側面に対して、押圧部材172によって押圧される。押圧部材172は、例えばコイルスプリング等の弾性体からなり、例えば感光体20の左側部に装着されている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上述べたように、本発明は、軸受装置と、例えばドラム形状の感光体などの回転体と、この回転体の軸を支持する軸受装置を有する例えば複写機、ファクシミリ装置、コピー機等の画像形成装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す左側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において、感光体ドラムが支持される状態を示し、図1におけるA−A線断面を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る軸受を示し、図3(a)は左後方からの斜視図であり、図3(b)は右前方からの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る軸受を示し、図1におけるA−A線断面を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る軸受が有するケーシング部材を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る軸受が有する回転部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る軸受が有する押圧部材を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る軸受が有する押圧部材の変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る軸受を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 画像形成部
20 感光体
46 軸
48 中心軸
100 軸受装置
102 回転スリーブ
106 テーパー面
110 第1の凸部
112 第2の凸部
120 貫通孔
130 テーパー面
132 凸部
150 固定スリーブ
152 テーパー面
156 組み付け孔
158 貫通孔
160 第1の凸部
162 第2の凸部
170 テーパー面
172 押圧部材
180 カバー部材
182 板部
18 装着用突起
190 板バネ部
196 潤滑剤保持室
G 潤滑剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する軸に、少なくとも該軸の回転方向に固定される第1の軸受部と、
前記軸を支持する支持部に少なくとも前記軸の回転方向に固定される第2の軸受部と、
前記第1の軸受部と前記第2の軸受部とが、軸方向で互いに当接するように押圧する押圧手段と、
を有し、
前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、互いに接触する接触部を有し、該接触部の少なくとも一方が、前記軸の中心を中心線とする円錐面の一部をなす軸受装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記第2の軸受部材に組み付けられ、前記第1の軸受部を前記第2の軸受部の方向に付勢する付勢部材を有する請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、
前記第2の軸受部に装着される装着部と、
前記装着部と一体をなし、前記第1の軸受部から遠ざかる方向に弾性変形する弾性部と、
を有する請求項2記載の軸受装置。
【請求項4】
前記第2の軸受部と前記第1の軸受部との間に形成され、潤滑剤を保持する保持部をさらに有する請求項1乃至3いずれか記載の軸受装置。
【請求項5】
前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、前記接触部を少なくとも2つ有し、これらの接触部の1つは、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部の一方に形成された環状の第1の凸部からなり、これらの接触部の他の1つは、前記第1の凸部よりも外側に形成された環状の第2の凸部からなり、
前記保持部は、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に形成される請求項4記載の軸受装置。
【請求項6】
前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、少なくとも前記接触部が互いに異なる材料からなる請求項1乃至5いずれか記載の軸受装置。
【請求項7】
前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部のいずれか一方は、少なくとも前記接触部がポリカーボネートからなり、前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部のいずれか他方は、少なくとも前記接触部がポリアセタールからなる請求項6記載の軸受装置。
【請求項8】
画像形成に際して回転する回転体と、
前記回転体の軸を支持する軸受装置と、
を有し、
前記軸受装置は、
前記軸に、少なくとも該軸の回転方向に固定される第1の軸受部と、
前記軸を支持する支持部に少なくとも前記軸の回転方向に固定される第2の軸受部と、
前記第1の軸受部と前記第2の軸受部とが、軸方向で互いに当接するように押圧する押圧手段と、
を有し、
前記第1の軸受部及び前記第2の軸受部は、互いに接触する接触部を有し、該接触部の少なくとも一方が、前記軸の中心を中心線とする円錐面の一部をなす画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−287590(P2009−287590A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137701(P2008−137701)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】