説明

軸索変性の調節

本発明は、一般に神経学的疾患及び神経系損傷の治療に関する。本発明は、ニューロン及び軸索などのその一部の変性を調節するための、特定の標的タンパク質の活性調節因子の使用方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロンないしその一部の変性を阻害するための方法であって、(i) ニューロンないしその一部における標的タンパク質の活性又は発現、又は(ii)ニューロンないしその一部のプロセスを調節する薬剤をニューロンないしその一部に投与することを含む方法。
【請求項2】
阻害された変性がニューロンの軸索又は細胞質体にあるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニューロンないしその一部が、小脳顆粒ニューロン、後根神経節ニューロン、皮質ニューロン、交感ニューロン及び海馬ニューロンからなる群から選択されるニューロンであるか又はそのニューロンに含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の投与により、ニューロンのコントロール集団と比較して、ニューロンの集団の変性が少なくとも10%減少するか、又は、ニューロンの集団内の軸索又は細胞質体の変性が少なくとも10%減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
標的タンパク質が、二重ロイシンジッパー保持キナーゼ(DLK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)、p38分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(p38 MAPK)、上皮性増殖因子レセプター(EGFR)、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)、サイクリン依存性キナーゼ5(cdk5)、アデニリルシクラーゼ、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)、BCL2結合Xタンパク質(Bax)、Ihチャネル、カルシウム/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ(CaMKK)、Gプロテイン、Gプロテインカップリングレセプター、転写第4因子(TCF4)、及びβ-カテニンからなる群から選択されるか、又はプロセスが転写又はタンパク質合成である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
薬剤が、標的タンパク質又はプロセスのインヒビターである、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項7】
薬剤が、抗体、ポリペプチド、ペプチド、ペプチボディ、核酸分子、小干渉RNA(siRNA)、ポリヌクレオチド、アプタマー、小分子及び多糖類からなる群から選択される、請求項1又は6に記載の方法。
【請求項8】
抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、Fv断片、Fab断片、Fab'断片又はF(ab')断片からなる群から選択され、又は、小分子は、GSK3βインヒビターI、GSK3βインヒビターVII、GSK3βインヒビターVIII、GSK3βインヒビターXII、塩化リチウム、チロホスチンB44、チロホスチンB42(AG490)、アニソマイシン、シクロヘキシミド、ロスコビチン、ホルスコリン、アクチノマイシンD、Baxチャネルブロッカー、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、パマピミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブジトシラート、塩酸デメクロサイクリン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸ネオマイシン、硫酸パロモマイシン、及びこれらの薬学的に許容可能な塩類からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
インヒビターがDLKシグナル伝達インヒビター、GSK3βインヒビター、EGFR経路インヒビター又はGプロテインインヒビターである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
インヒビターが、
(i) DLKを標的とするsiRNA分子、JNK1を標的とするsiRNA分子、JNK2を標的とするsiRNA分子、JNK3を標的とするsiRNA分子、小分子、T278A DLK、S281A DLK、K152A DLK、及びDLKのロイシンジッパードメインからなる群から選択されるDLKシグナル伝達インヒビター;
(ii) GSK3βインヒビターI、GSK3βインヒビターVII、GSK3βインヒビターVIII、GSK3βインヒビターXII及び塩化リチウムからなる群から選択されるGSK3βインヒビター;
(iii) エルロチニブ、チロホスチンB44、チロホスチンB42/AG490及び小分子からなる群から選択されるEGFR経路インヒビター;又は、
(iv)Gプロテインインヒビターが百日咳毒素ないし小分子である
、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ニューロンないしその一部が、ヒト被検体、神経移植片又は神経移植物に存在するか、又はエクスビボ又はインビトロである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記被検体又は神経移植片又は神経移植物が導入される被検体が、(i) 神経系の疾患、(ii) 神経系以外に主な効果を有する治療、状態又は疾患の二次的な神経系の状態、(iii) 物理的、力学的又は化学的な外傷による神経系の損傷、(iv) 疼痛、(v) 眼関連神経変性、(vi) 記憶喪失、及び(vii) 精神的疾患からなる群から選択される疾患又は状態を有するか、又はそれを発達させるリスクにある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の投与により、神経系の前記疾患、神経系以外に主な効果を有する治療、状態又は疾患の二次的な神経系の状態、物理的、力学的又は化学的な外傷による神経系の損傷、疼痛、眼関連神経変性、記憶喪失、又は、精神的疾患の一又は複数の症状又は発症の可能性が少なくとも10%減少する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一又は複数の症状は、振戦、運動の遅鈍、運動失調、バランスの喪失、抑鬱、認識機能の低減、短期記憶喪失、長期持続記憶喪失、錯乱、性格の変化、言語障害、感覚の知覚の喪失、触覚に対する感度、四肢の麻痺、筋肉虚弱、筋肉麻痺、筋痙攣、筋れん縮、食習慣の著しい変化、過剰な恐れ又は心配、不眠症、妄想、幻覚、疲労、背痛、胸の疼痛、消化障害、頭痛、迅速な心拍数、めまい、霧視、視力の不安又は喪失領域、変視症、色覚障害、明るい光への曝露後の視覚の機能回復の低減、及び視覚のコントラスト感度の喪失からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
疾患又は状態が、
(i) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、三叉神経痛、舌咽神経痛、ベル麻痺、重症筋無力症、筋ジストロフィー、進行性筋萎縮、一次側索硬化症(PLS)、仮性球麻痺、進行性球麻痺、脊髄筋萎縮、進行性球麻痺、遺伝性筋萎縮、無脊椎椎間板症候群、頸部脊椎症、叢疾患、胸部出口破壊症候群、末梢性神経障害、ポルフィリン症、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、パーキンソンプラス病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、レーヴィ小体を有する認知症、前頭側頭型認知症、脱髄性疾患、ギラン-バー症候群、多発性硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、プリオン病、クロイツフェルト‐ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、牛海綿様脳症、ピック病、癲癇、及びエイズ認知症複合からなる群から選択される神経系の疾患、
(ii) 慢性疼痛、線維症、脊髄痛、心皮トンネル症候群、癌の疼痛、関節炎、坐骨神経痛、頭痛、手術の疼痛、筋けいれん、背痛、内臓痛、損傷の疼痛、歯痛、神経痛、例えば神経性又は神経障害性の疼痛、神経炎症又は障害、帯状疱疹、椎間板ヘルニア、靱帯損傷及び糖尿病から選択される状態と関連する疼痛、
(ii) 糖尿病、癌、エイズ、肝炎、腎臓機能不全、コロラドダニ熱、ジフテリア、HIV感染、ハンセン病、ライム病、結節性多発動脈炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、梅毒、全身性エリテマトーデス又はアミロイドーシスによって生じる末梢性神経障害又は神経痛、
(iii) 中毒性化合物、重金属、工業溶剤、薬剤、化学療法剤、ダプソン、HIV薬物、コレステロール低下薬、心臓又は血圧医薬又はメトロニダゾールへの曝露によって生じる神経損傷、
(iv) 物理的、力学的又は化学的な外傷によって生じる神経系の損傷、
(v) 統合失調症、妄想性障害、統合失調感情障害、統合失調症様、共有精神病性障害、精神異常、妄想性人格障害、統合失調型人格障害、境界線人格障害、反社会性人格障害、自己陶酔性人格障害、強迫神経障害、譫妄、認知症、気分障害、双極性障害、抑鬱、ストレス疾患、パニック障害、広場恐怖症、社会的恐怖症、心的外傷後ストレス障害、不安障害及び衝動制御障害からなる群から選択される神経障害、又は、
(vi) 緑内障、格子ジストロフィー、色素性網膜炎、加齢性黄斑変性(AMD)、湿性又は乾燥性のAMDと関係する光レセプター変性、他の網膜変性、視神経結晶腔、視覚神経障害及び視覚神経炎からなる群から選択される眼関連の神経変性
である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
神経系に対する損傷が、熱傷、損傷、手術、事故、乏血、冷温への長期曝露、脳卒中、頭蓋内出血及び脳溢血からなる群から選択されるか、あるいは緑内障が、原発性緑内障、低圧緑内障、原発性閉寒隅角緑内障、急性閉寒隅角緑内障、慢性閉寒隅角緑内障、間欠的閉寒隅角緑内障、慢性開放隅角閉鎖緑内障、色素性緑内障、剥離緑内障、発生上の緑内障、二次的緑内障、水晶体性緑内障、眼内出血の二次的な緑内障、外傷性緑内障、血管新生緑内障、薬物性緑内障、中毒性緑内障、及び眼内腫瘍と関連する緑内障、網膜剥離、眼の重症化学熱傷、及び虹彩萎縮症からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ニューロンないしその一部の薬剤との接触が、薬剤を含む薬学的組成物を被検体に投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
投与が、静脈内注入、静脈内、腹膜内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、又は病巣内の経路による注射、又は局所的ないし眼の適用によって行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
被検体に一又は複数の更なる薬学的作用剤を投与することを更に含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
ニューロンないしその一部の変性を阻害する際に使用する薬剤の同定方法であって、軸索又はニューロンの変性のアッセイにおいて候補薬剤とニューロンないしその一部を接触させることを含み、このとき、候補薬剤の存在下において、コントロールと比較してニューロンないしその一部の変性の低減が検出された場合に、ニューロンないしその一部の変性を阻害する際に使用する薬剤が同定される、方法。
【請求項21】
軸索又はニューロン変性のためアッセイが、抗神経成長因子(NGF)抗体、血清欠乏/KCl低減及びロテノン処理からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
候補薬剤が、抗体、ポリペプチド、ペプチド、ペプチボディ、核酸分子、小干渉RNA(siRNA)、ポリヌクレオチド、アプタマー、小分子及び多糖類からなる群から選択される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
ニューロンないしその一部の変性を阻害するために使用されうる一又は複数の薬剤を具備する薬学的組成物又はキット。
【請求項24】
一又は複数の薬剤が、DLKシグナル伝達インヒビター、GSK3βインヒビター、EGFR経路インヒビター又はGプロテインインヒビターである、請求項23に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項25】
一又は複数の薬剤が、GSK3βインヒビターI、GSK3βインヒビターVII、GSK3βインヒビターVIII、GSK3βインヒビターXII、塩化リチウム、チロホスチンB44、チロホスチンB42(AG490)、アニソマイシン、シクロヘキシミド、ロスコビチン、ホルスコリン、アクチノマイシンD、Baxチャネルブロッカー、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、パマピミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブジトシラート、塩酸デメクロサイクリン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸ネオマイシン、硫酸パロモマイシン、及びこれらの薬学的に許容可能な塩類からなる群から選択される、請求項23又は24に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項26】
一又は複数の薬剤が、
(i) DLKを標的とするsiRNA分子、JNK1を標的とするsiRNA分子、JNK2を標的とするsiRNA分子、JNK3を標的とするsiRNA分子、小分子、T278A DLK、S281A DLK、K152A DLK、及びDLKのロイシンジッパードメインからなる群から選択されるDLKシグナル伝達インヒビター;
(ii) GSK3βインヒビターI、GSK3βインヒビターVII、GSK3βインヒビターVIII、GSK3βインヒビターXII及び塩化リチウムからなる群から選択されるGSK3βインヒビター;
(iii) エルロチニブ、チロホスチンB44、チロホスチンB42/AG490及び小分子からなる群から選択されるEGFR経路インヒビター;又は、
(iv) Gプロテインインヒビターが百日咳毒素ないし小分子である
、請求項24に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項27】
一又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤又は、ニューロンないしその一部の変性を阻害するための方法において薬学的組成物又はキットを使用するための指示書とを更に具備する、請求項23に記載の薬学的組成物又はキット。
【請求項28】
ニューロンないしその一部の変性を活性化するための方法であって、(i) ニューロンないしその一部における標的タンパク質の活性又は発現、又は(ii)ニューロンないしその一部のプロセスを調節する薬剤をニューロンないしその一部に投与することを含む方法。
【請求項29】
標的タンパク質が、二重ロイシンジッパー保持キナーゼ(DLK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)、p38分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(p38 MAPK)、上皮性増殖因子レセプター(EGFR)、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)、サイクリン依存性キナーゼ5(cdk5)、アデニリルシクラーゼ、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)、BCL2結合Xタンパク質(Bax)、Ihチャネル、カルシウム/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼキナーゼ(CaMKK)、Gプロテイン、Gプロテインカップリングレセプター、転写第4因子(TCF4)、及びβ-カテニンからなる群から選択されるか、又は
プロセスが転写又はタンパク質合成である、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
薬剤が、標的タンパク質又はプロセスの活性化因子である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
標的タンパク質の調節が、GSK3βの活性又は発現の増加、β-カテニンの活性又は発現の低減、及び/又はTCF4の活性又は発現の低減である、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2012−506452(P2012−506452A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533352(P2011−533352)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/061733
【国際公開番号】WO2010/048446
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】