説明

軽便茶筅

【課題】 回転寿司のような業態では粉末のお茶はセルフサービス面からは優れているといえるが、その一方で、お湯を注ぐだけではうまく溶けないという欠点もまだ有していた。
【解決手段】 所定の長さにカットされたストローを金型にセットし両端を所望の形状に加工するのだが、一端は複数片に割れたブラシ部分2にするために、所定の長さを平らにプレスすると同時にテーパ状に開いた複数の刃で裏側まで切込みを入れ、同時にもう一端を熱溶着で閉じる。もう一端が熱溶着で閉じられるとき、押しつぶされて平らになる部分が屋号や文字などが浮き出しになるようにもすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末茶の軽便な茶筅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
すし業界におけるお茶の提供は、すしを美味しく食べるための重要なものと位置付けされてきた。近年隆盛でセルフサービスタイプのいわゆる回転すし店でも必ず客席にお茶用のお湯蛇口があることでもそれを物語っている。すし用のお茶は伝統的に粉茶が使用されてきたが、回転すし業界では省力化や茶殻の後処理の問題からセルフサービスが可能な粉末茶が使用されることが多い。この粉末にしたお茶なら各自が専用の茶入れからさじで茶碗に入れ湯を注ぐだけで溶けやすいから急須も不要で茶殻の後始末をしなくてもよい。まさに回転すしの業態に合ったサービスと言ってよい。ティーバッグ式の粉茶もあったが、やはり茶殻の後始末とコスト面で不利であり粉末のお茶に変えるところが増えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術でも述べたとおり、回転寿司のような業態では粉末茶はセルフサービス面からは優れているといえるが、その一方で、お湯を注ぐだけではうまく溶けないという欠点もまだ有していた。最近は改善もされているようだがやはり完全には溶けず、どろりとした粉が口の中で不快に感ずる場合もあり仕方なく箸を使ってかき混ぜるといった和食マナーから外れた光景をよく目にする。粉末のお茶用のマドラーや茶筅があればよいのだがコストと後処理の手間そして衛生面の問題からか実現していない。もちろん専用の使い捨てタイプのものも見られない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために軽便で低コスト、かつ後処理もしやすい使い捨ての茶筅を広く提供するものであるから、軽便で低コスト、かつ後処理もしやすい使い捨ての茶筅を得るには、飲料用のストロー製造技術を応用して作る。もともと茶筅の素材の竹とストローは中空のパイプ状素材と言う点で共通点があり、先端を複数に割ればブラシ状になるというところも大きな理由である。しかし、ストローの先端を単にブラシ状に加工すれば出来上がりというものではない。ストローのもう一方の開放された端は必ず閉じねばならない。もう一端が開放されたままだと幼児などが熱いお茶などを吸い込んで火傷をする恐れがあるからである。熱溶着や超音波溶着で開口部をしっかりと閉じる。材料となるストローは従来からのポリプロピレン樹脂もしくは生分解性の安全な樹脂を用いて、直径6mm程度のものを用い、全長は最長150mmあればほとんどの湯飲みに対応できる長さといえよう。先端をブラシ状にするためには、先端部20mm程度を平らにプレスすると同時にテーパ状に開いた3枚刃で裏側まで切込みを入れて6片に分かれるようにする。こうすれば茶碗内で攪拌したときに適度の腰を有する茶筅となる。6片程度の分割ならば容易に折れたりはしにくい。このようにして一端が開口してブラシ状となり、もう一端が逆テーパ状に溶着加工された軽便な茶筅が得られる。逆テーパ状に溶着加工された端部は手で持ったときに指と指の間におさまりやすく持ちやすい。この軽便な茶筅をバラのまま箱詰めにしてもよいが、一本ごとに袋に密封してもよい。この方が衛生的である。生分解性樹脂を用いれば環境にも優しい配慮となる。
【0005】
ストローの製造は、小口径で薄肉のパイプになるよう樹脂を押し出して得るのだが、そのストローの一部を蛇腹加工して曲げられるようにしてあるものが多い。このような製品の場合、ストローの製造工程は、長尺のパイプ加工と所定の長さにカットするという前段階の製造工程と蛇腹加工などの後工程の二つに大別できる。前後の製造工程が連続してなされる場合と、別々の工程として行う場合とがあるがどちらでも構わない。本発明の軽便な茶筅を作るために、一つの例を挙げれば、所定の長さにカットされたストローを金型にセットし両端を所望の形状に加工するのだが、一端は6片に割れたブラシにするために、所定の長さを平らにプレスすると同時にテーパ状に開いた複数の刃で裏側まで切込みを入れてブラシ状となし、同時にもう一端を熱溶着で閉じる。これを冷却後に金型から取り出して完成させる。この加工では、もう一端が熱溶着で閉じられるとき、押しつぶされて平らになる部分が屋号や文字などが浮き出しになるようにもすることもできる。
【発明の効果】
【0006】
上述したような手段による本発明の軽便茶筅は、従来のストロー製造工程を半ば応用できるので追加の加工工程を加えても工程は単純でありかつ連続加工も可能なので、製造コストも従来のストローとあまり変わらないという経済効果を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0007】
本発明を図1から図5に基づいて説明すると、図1では本発明の軽便な茶筅1を手8で持ち茶碗7の中の粉末茶9を攪拌していることを示している。軽便な茶筅1は6mm程度のストローを長さ150mmにカットして加工したもの。ブラシ部分2は先端から20mmを縱に6片に分割していて、断面は軽く楕円になっている。図5は型押しされた端部6を示す。この場合、溶けて溶断しないように温度を調節管理する。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明の軽便な茶筅は以上のようにシンプルかつ合理的な構造で低コストを実現できるので、回転すしの業態に新たなサービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の軽便な茶筅を使用するときの斜視図
【図2】 本発明の軽便な茶筅の正面図
【図3】 本発明の軽便な茶筅の底面図
【図4】 本発明の軽便な茶筅の平面図
【図5】 本発明の軽便な茶筅の型押しされた端部を示す部分図
【符号の説明】
【0010】
1 軽便な茶筅
2 ブラシ部分
3 柄部分
4 熱溶着された端部
5 切り込み部
6 型押しされた端部
7 茶碗
8 手
9 粉末茶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製ストローもしくは加工途中の樹脂製ストロー先端部を平らにプレスすると同時にテーパ状に開いた複数の刃で裏側まで切込みを入れて複数片からなるブラシ部分となし、同時か後で、もう一端が熱溶着で閉じられてなる軽便な茶筅。
【請求項2】
もう一端が熱溶着で閉じられるとき、押しつぶされて平らになる部分が浮き出しの屋号や文字などに加工されてなる請求項1記載の軽便な茶筅。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−70987(P2013−70987A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228341(P2011−228341)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(311014646)
【Fターム(参考)】