説明

軽量パーライトおよびその製造方法

【課題】真珠岩を原料とした高品質の軽量パーライトとその製造方法を提供する。
【解決手段】真珠岩を原料として加熱発泡させたパーライトであって、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有し、粒子の投影面について、(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で表される円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上含有することを特徴とする軽量パーライト。強熱減量が2〜4質量%の真珠岩を粒径0.3〜5mmに調整した真珠岩粒子を用い、該真珠岩粒子を1000℃〜1100℃に加熱焼成し、この焼成工程において、原料の真珠岩粒子を1000℃まで30秒以内に加熱した後に1000℃〜1100℃の温度を300秒以内に通過させて発泡させることを特徴とする軽量パーライトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠岩を原料とした高品質の軽量パーライトとその製造方法に関する。パーライトは真珠岩や黒曜石等などの原料粒子を加熱して発泡させた中空粒子であり、軽量化材料として広く用いられている。例えば、黒曜石を原料としたパーライトは、軽量化を目的とした左官用モルタルの骨材、排水性や保水性を目的とした土壌への混合材料、断熱・保温を目的とした充填モルタル等に使用されている。
【背景技術】
【0002】
パーライトは、真珠岩や黒曜石の原料粒子を加熱し、原料粒子に対して直径比で概ね1.5倍〜3倍程度に発泡させて製造されている。製造条件は原料として用いる真珠岩や黒曜石によって異なる。
【0003】
例えば、黒曜石を原料とする場合には、通常は0.5mm以上の粒度が比較的大きい粒子を用い、含水率が概ね2質量%より少ない黒曜石については0.3〜0.8mm程度に粒度調整した粒子を原料とし、ロータリーキルンによって原料粒子を200℃以下から800℃まで1〜5分で加熱し、その後800〜1100℃まで5分以上加熱して、粒径0.5mm〜25mmに発泡させることによって、かさ密度0.2〜0.1g/cmのパーライトを製造している。黒曜石を原料としたパーライトは球形に近い(円形度が高い)。
【0004】
一方、真珠岩は強熱減量(ig.loss)が2〜5質量%であって黒曜石より多く、岩石組織のガラス質の状態も黒曜石とは相違するので、通常は黒曜石とは異なる焼成条件で製造されている。
【0005】
具体的には、真珠岩を原料としてパーライトを製造する場合には、一般に気流炉などを用い、炉の下部に設置されたバーナーの上方から原料粒子を投入し、火炎(約800〜1100℃)によって焙られた原料粒子を発泡させる。発泡した粒子を火炎の上方から吸引してパーライトを回収する。この製造方法では、原料粒子が投入されてから火炎に到達する時間は1秒以下であり、数秒以内に発泡して回収される。
【0006】
一方、真珠岩を原料とする場合、ロータリーキルンを用いて焼成発泡させる製造方法も知られている。特開2010−76986号公報(特許文献1)には、黒曜石と同様に真珠岩原料をロータリーキルンに投入して焼成発泡させるパーライトの製造方法において、炉内の供給口に臨む領域の温度を800℃〜1100℃に制御する製造方法が記載されている。
【0007】
また、真珠岩または松脂岩を原料とし、予熱機を備えた電気炉を用い、原料粒子を100℃〜400℃に予熱した後に500℃〜1100℃に加熱して発泡させるパーライトの製造方法が知られている(特開平7−277851号公報:特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−76986号公報
【特許文献2】特開平7−277851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
黒曜石を原料としてロータリーキルンで焼成したパーライトは、強度や吸水率の良好な品質のパーライトが得られるが、製造可能な黒曜石資源の埋蔵量は非常に少なく、枯渇する懸念がある。また、黒曜石を原料としたパーライトは、球状に近いため転がりやすく、これをモルタルに使用すると、いわゆるパーライトとモルタルの絡み具合が良くない。
【0010】
真珠岩は埋蔵量が多いのでパーライト原料として安定に使用できるが、ロータリーキルンを用いて焼成する場合、予熱を必要とし(特許文献2)、予熱せずに焼成すると軽量化は困難である。また、ロータリーキルンによって真珠岩を加熱発泡してパーライトを製造する特許文献1の方法では、原料の粒子径を75〜300μmの細粒にしてロータリーキルン内壁と原料粒子の熱交換を速やかに行わせることによって軽量化しており、原料粒子径が300μmを超えると、粒子内部への熱移動に時間がかかるため、均一な発泡が困難になる場合がある。
【0011】
一方、気流焼成炉を用いて真珠岩粒子を加熱発泡し、かさ密度0.2g/cm3以下の軽量パーライトを製造する場合、気流焼成炉では火炎に原料を直接投入するため、過剰な加熱になりやすく、粒子表面が爆裂して表面に亀裂が生じた過発泡粒子が多数発生するようになる。このような爆裂した粒子がパーライト製品中に多数混在すると、例えば、モルタルにこのパーライトを混合したときに、パーライト中に水が浸入するため耐凍害性等を劣化させるなどの問題を招く。
【0012】
また、気流焼成炉によって焼成する場合、炉の特性上、火炎まで原料が達しない粒子も存在し、加熱されずに発泡しない未発泡粒子が存在するため、軽量化材料としての品質が低下する場合がある。
【0013】
本発明は、従来の製造方法における上記問題を解決したものであり、真珠岩を原料とした高品質の軽量パーライトとその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の構成によって上記問題を解決した真珠岩原料の高品質軽量パーライトとその製造方法に関する。
〔1〕真珠岩を原料として加熱発泡させたパーライトであって、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有し、粒子の投影面について、(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で表される円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上含有することを特徴とする軽量パーライト。
〔2〕かさ密度0.08〜0.2g/cm3、浮水率95%以上、および加圧残存率50%以上である上記[1]に記載する軽量パーライト。
〔3〕真珠岩粒子をロータリーキルンで焼成して発泡させるパーライトの製造方法であって、強熱減量が2〜4質量%の真珠岩を粒径0.3〜5mmに調整した真珠岩粒子を用い、該真珠岩粒子を1000℃〜1100℃に加熱焼成し、この焼成工程において、原料の真珠岩粒子を1000℃まで30秒以内に加熱した後に1000℃〜1100℃の温度を300秒以内に通過させて発泡させることを特徴とする軽量パーライトの製造方法。
〔4〕キルン内壁に堆積する真珠岩粒子の層厚が10cm以下であり、またはキルンの周速度が0.5〜1m/secである上記[5]に記載する製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパーライトは、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有し、粒子の投影面について、(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で表される円形度が0.8以下の粒子を80%以上含有するので、モルタル等に混合したときに、モルタル等との絡みが良く、材料との接着強度が高いので、高強度の軽量モルタル等を得ることができる。
【0016】
本発明のパーライトは、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有しており、この膨出部分が寄せ集まった形状は内部隔壁によって形成されるものが多い。内部隔壁を有する粒子は外部からの圧縮力に対する抵抗が強いので圧縮残存率が高く、モルタル等に混合したときに壊れ難い。従って施工しやすく、高品質の軽量モルタル等を得ることができる。具体的には、例えば、質量比でセメント:川砂:軽量パーライト=5:5:1、および水セメント比80%の棒状モルタルを製作したときに、該モルタルは2.0N/mm2以上の曲げ強度を有することができる。
【0017】
本発明の製造方法によれば、真珠岩を原料とし、円形度0.8以下の粒子を80%以上、好ましくは85%以上含有するパーライトを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の軽量パーライトの外観写真図
【図2】本発明の軽量パーライトの外観写真図
【図3】本発明の軽量パーライトの投影図
【図4】原料の真珠岩粒子の顕微鏡写真図
【図5】真珠岩を回転炉で生成したパーライト粒子の外観写真図
【図6】真珠岩を気流炉で生成したパーライト粒子の外観写真図
【図7】黒曜石を回転炉で焼成したパーライト粒子の外観写真図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施形態に基いて具体的に説明する。
〔軽量パーライト〕
本発明のパーライトは、真珠岩を原料として加熱発泡させたパーライトであって、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有し、粒子の投影面について、(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で表される円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上含有することを特徴とする軽量パーライトである。
【0020】
本発明の軽量パーライトの例を図1および図2に示す。図示するように、本発明の軽量パーライトは表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有する粒子を80質量%以上含有する。この房状の外形を有する粒子は、図3に示すように、粒子の投影面について、投影面積の等しい円の周長S、粒子の周長Lのとき、S/Lで表される円形度が0.8以下の粒子が好ましい。本発明の軽量パーライトは円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上、好ましくは85質量%以上含有する。
【0021】
上記円形度が1に近いほど表面の膨出程度が少なく、粒子は投影形状が真円の球状に近くなるので、モルタル等に混合したときに、粒子とモルタル等との絡みが弱くなる。一方、上記円形度が0.8以下の粒子は、表面の膨出程度が大きく、不定形な外形を有するので転がり難く、取扱いが容易である。また、表面の膨出部分にモルタルが押し当たるのでモルタル等に混合したときに粒子とモルタル等との絡みが強くなる。また、円形度が0.8以下の粒子は内部隔壁を有するものが多いので、外部からの圧縮力に対する抵抗が強く、圧縮残存率が高い
【0022】
このような利点を十分に得るには、パーライト粒子全体で、円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上含有するものが好ましく、円形度0.8以下の粒子を85質量%以上含有するものがより好ましい。円形度0.8以下の粒子の含有量が80質量%より少ないと、モルタルに混合したときに、曲げ強度やモルタル強度が低下する。
【0023】
本発明の軽量パーライトは、好ましくは、かさ密度0.08〜0.2g/cm3であり、より好ましくは、かさ密度0.08〜0.15g/cm3の軽量パーライトである。なお、かさ密度が過剰に小さいと粒子の殻が薄くなり強度が低下するので、かさ密度は0.08g/cm3以上が好ましい。
【0024】
本発明の軽量パーライトは、浮水率90%以上、好ましくは浮水率95%以上である。表面に亀裂や開口のある粒子が多くなると浮水率が低下し、モルタル等に混合したときに粒子内部にモルタル等が入り込んで軽量化や断熱性などが低下する。本発明の軽量パーライトは表面に亀裂や開口が殆どないので吸水率が低く、浮水率が高い。また、本発明の軽量パーライトは吸水率が低いのでモルタルと混合しても水分がパーライトに吸収せず、耐凍害性が良好である。
【0025】
本発明の軽量パーライトは、好ましくは、1000Nで加圧したときの加圧残存率が50%以上である。この残存率は容器内に入れた加圧前の試料体積(V1)、1000Nで一軸加圧したときの試料の体積(V2)を測定し、残存率=V2/V1×100%の式に基いて算出される。本発明のパーライトは上記加圧残存率が50%以上であるので、モルタル等に混合したときに壊れ難く、施工が容易であると共に、高品質の軽量モルタルを得ることができる。
【0026】
〔製造方法〕
本発明の軽量パーライトは、真珠岩粒子をロータリーキルンで焼成して発泡させるパーライトの製造方法であって、強熱減量(ig.loss)が2〜4質量%の真珠岩を粒径0.3〜5mmに調整した真珠岩粒子を用い、該真珠岩粒子を1000℃〜1100℃に加熱焼成し、この焼成工程において、原料の真珠岩粒子を1000℃まで30秒以内に加熱した後に1000℃〜1100℃の温度を300秒以内に通過させて発泡させることによって製造することができる。なお、上記温度は、加熱されているロータリーキルン外側上部から数cm離れたところを測定した温度である。
【0027】
強熱減量(ig.loss)が2質量%未満の真珠岩では加熱したときに発泡に寄与する成分(水分等の気化成分)の量が少ないため、発泡倍率が小さく、十分に軽量化できない。また強熱原料が4質量%より多いものは加熱したときに過発泡が起こり、表面が爆裂した開気孔の粒子が多くなる。
【0028】
真珠岩粒子の粒径は0.3〜5mmが好ましい。粒径が0.3mm未満であると、ロータリーキルン内壁に溶けた粒子が融着しやすい。また、粒径が5mmより大きいと粒子内部に熱が伝わり難く、十分に発泡されない。
【0029】
本発明の製造方法は、回転炉(ロータリーキルン)を用い、原料の真珠岩粒子を1000℃〜1100℃に加熱焼成して発泡させる。この焼成工程において、初期加熱として原料温度200℃以下の真珠岩粒子を1000℃まで30秒以内で加熱する。好ましくは10秒以内で加熱する。この初期加熱の時間が30秒を超えると、発泡前に発泡に寄与する水が気化するので発泡倍率が小さくなる。
【0030】
初期加熱に引き続き、原料の真珠岩粒子を1000℃〜1100℃の温度を300秒以内に通過させて発泡させる。300秒より長く加熱すると、発泡したパーライト粒子が再度溶融・焼結を起こし、密度が高くなる。また、加熱温度が1100℃を超えると、発泡した粒子が溶融して互いに融着するため好ましくない。
【0031】
原料の真珠岩粒子をロータリーキルンで焼成するときに、キルン内壁に堆積する真珠岩粒子の層厚は10cm以下が好ましい。これよりも層厚が厚いと、キルン内壁側の原料粒子に熱が十分に伝わらないため、発泡不十分になる。層厚を10cm以下にするには、例えば、ロータリーキルンの回転数を周速度が0.5〜1m/secになるようにする。なお、この周速度はキルンの大きさによって調整すればよい。
【実施例】
【0032】
本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。製造したパーライトの評価方法は下記のとおりである。なお、ロータリーキルンの温度は、加熱されているロータリーキルン外側上部から数cm離れたところを測定した温度である。
〔円形度〕
ランダムに採取した20個のパーライト粒子について、光学顕微鏡を使用して個々の粒子を撮影した。円形度の計測は撮影した粒子像について、画像解析によって粒子の投影画像を抽出し、投影画像の粒子の周長Lを測定し、また粒子の投影画像の面積と等しい面積の円の周長Sを測定し、次式に基いて円形度を算出した。
円形度=(投影面積の等しい円の周長S)/(投影画像粒子の周長L)
円形度は1に近づくほど真円になり、小さくなるほど歪が大きく不定形になる。それぞれ算出した円形度について、円形度0.80以下の粒子割合を測定した。
【0033】
〔一軸圧縮残存率〕
粒子の強度(1000N加圧時の残存率)を測定した。測定方法は、直径15mmのステンレス製シリンダ中へ試料(高さ約40mm)を入れ、同サイズの加圧円柱のステンレス棒で上部より、1000Nになるまで加圧した。加圧前の試料体積(V1)、および加圧時における試料体積(V2)を測定し、V2/V1×100%の式により一軸圧縮残存率を算出した。これを加圧残存率として示した。
【0034】
〔かさ密度〕
一定容積S(cm3)の容重枡に試料を充填し、開口からはみ出た部分をすり切り、全体の重量G1を測定し、これから容器の重量G2を差し引いて粉末重量G3(g)を求め、上記容積Sに対する粉末重量G3/Sg/cm3をかさ密度とした。
【0035】
〔浮水率〕
約10gの試料を200mlのメスシリンダーに入れて水を入れ、十分に攪拌した後に静置し、水の濁りがなくなるまで置き、浮いた試料の容積Va(cm3)と、沈んだ試料の容積Vb(cm3)を測定し、Va/(Va+Vb)×100(vol%)の式により浮水率を算出した。
【0036】
〔実施例1〕
回転電気炉および気流焼成炉を用い、真珠岩および黒曜石をかさ密度0.15g/cm3になる焼成条件にてパーライトを製造した。このパーライトについて、パーライト強度の指標となる加圧残存率(一軸圧縮残存率)と円形度について測定した。この結果を表1に示した。円形度0.8以下の粒子(不定形房状粒子と云う)の割合が小さくなるに従って加圧残存率が小さくなる。従って、円形度0.8以下の不定形房状粒子の割合は80質量%以上であることが好ましい。
なお、真珠岩を気流焼成炉で焼成したパーライト、および黒曜石を原料としたパーライトは、何れも加圧残存率が小さく弱い(試料A5、6)。
【0037】
【表1】

【0038】
〔実施例2〕
原料として、粒径1.2〜0.8mmに調整した真珠岩粒子(図4参照)を使用し、ロータリーキルン(回転炉)を用い、表2に示す焼成条件で焼成し、パーライトを製造した。このパーライトについて、顕微鏡で円形度を測定し、かさ密度、浮水率を測定した。この結果を表2に示した。
【0039】
顕微鏡で観察した結果、真珠岩を回転炉で焼成した粒子は、図5に示すようにブドウの房状になっており、大部分が不定形粒子である。一方、真珠岩を気流炉で焼成した場合(試料B11)には、図6に示すように、表面が開孔している部分が多くみられる。このため吸水性が高くなるなどの問題がある。黒曜石を回転炉で焼成したものは(試料B12)、図7に示すように球状の形であるため、転がりやすく取扱い難い。
【0040】
1000℃までの初期加熱の時間は短い方が好ましく、30秒以下が好ましい。40秒ではかさ密度が0.2g/cm3を超えるため、十分な発泡がされず好ましくない(試料B4)。
焼成温度は1000〜1100℃が好ましい。1000℃以下では発泡が十分でなく(試料B5)、1100℃を超えると炉内で融着が発生して焼成できない(試料B7)。
上記焼成温度の保持時間は300秒以下が好ましい。300秒を超えると、かさ密度が0.20g/cm3より大きくなり、また円形度0.8以下の不定形房状粒子の割合が低下する(試料B10)。
【0041】
気流炉を使用した場合には、円形度0.8以下の不定形房状粒子の割合が35%であり大幅に低い。また浮水率が90%を下回るので好ましくない(試料B11)。
黒曜石を原料にすると、1100℃までの昇温時間および保持時間が短いと十分に発泡しない(試料B12)。また、かさ密度が0.15g/cm3になるように焼成した場合でも、円形度0.8以下の粒子の含有割合がほとんど無い(試料B13)。
【0042】
【表2】

【0043】
〔実施例3〕
表2に示す試料B1、B11のパーライトを用いてモルタルを試作し、曲げ強度およびモルタル密度を測定した。この結果を表3に示した。
モルタル試料は、質量比でセメント:川砂:軽量パーライト=5:5:1、水セメント比80%で4×4×16cmの棒状モルタルを作製し、1日後に脱型し、20℃の水中で28日養生して試作した。このモルタル試料をミハエリス二重てこ形曲げ強さ試験機で曲げ強度を測定した。この結果を表3に示す。
【0044】
房状粒子の割合が35質量%のB11を用いたC3の曲げ強度は1.8N/mm2であるが、房状粒子が100質量%のB1を用いたC1、房状粒子が90質量%のB4を用いたC2のモルタル試料の曲げ強度は何れも2.0N/mm2以上であり、高い曲げ強度を有する。また、一般にパーライトはモルタル作製時にモルタルとパーライトを混合する際に一部破損してモルタル密度が多少高くなるが、C1(パーライトB1)およびC2(パーライトB4)のモルタル密度はB11よりも小さく、パーライトの破損量が少ない。
【0045】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真珠岩を原料として加熱発泡させたパーライトであって、表面の膨出部分が寄せ集まった房状の外形を有し、粒子の投影面について、(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で表される円形度が0.8以下の粒子を80質量%以上含有することを特徴とする軽量パーライト。
【請求項2】
かさ密度0.08〜0.2g/cm3、浮水率95%以上、および加圧残存率50%以上である請求項1に記載する軽量パーライト。

【請求項3】
真珠岩粒子をロータリーキルンで焼成して発泡させるパーライトの製造方法であって、強熱減量が2〜4質量%の真珠岩を粒径0.3〜5mmに調整した真珠岩粒子を用い、該真珠岩粒子を1000℃〜1100℃に加熱焼成し、この焼成工程において、原料の真珠岩粒子を1000℃まで30秒以内に加熱した後に1000℃〜1100℃の温度を300秒以内に通過させて発泡させることを特徴とする軽量パーライトの製造方法。
【請求項4】
キルン内壁に堆積する真珠岩粒子の層厚が10cm以下であり、またはキルンの周速度が0.5〜1m/secである請求項3に記載する製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112578(P2013−112578A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261601(P2011−261601)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)