説明

軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法及びその装置

【課題】 ALC用の補強鉄筋に防錆材溶液を浸漬塗布する際に、塗布される防錆材溶液の膜厚を制御して、膜厚のばらつきが小さく且つ均一な膜厚を有する防錆被膜の形成が可能な補強鉄筋の防錆方法を提供する。
【解決手段】 防錆材溶液4aに補強鉄筋1を浸漬した後、振動装置5で振動を加えながら補強鉄筋1を引き上げると共に、補強鉄筋1に加える振動の振動数を引き上げ途中で少なくとも1回削減する。その際、引き上げ開始時に露出した補強鉄筋1に塗布された防錆材の膜厚を膜厚測定装置6で測定し、得られた測定膜厚と設定膜厚との差が小さいほど、1回目の振動数の削減での削減率を初期振動数に対し10〜90%の範囲内で大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁、屋根、床などに使用される軽量気泡コンクリート(ALC)用の補強鉄筋を防錆する方法、更に詳しくは補強鉄筋に防錆材を浸漬塗布して防錆する方法、及びそのための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ALCパネルは、珪石等の珪酸質原料とセメントや生石灰等の石灰質原料を主原料として製造される。具体的には、これら主原料の微粉末に水とアルミニウム粉末等の添加物を加えたスラリーを予め補強鉄筋が並べられた型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に、石灰質原料の反応により半硬化させる。これをピアノ線により所定寸法に切断した後、オートクレーブにて約180℃、10気圧の高温高圧水蒸気養生を行うことによって、ALCパネルが得られる。
【0003】
こうして得られたALCパネルは軽量であり、耐火性、断熱性、施工性に優れているため、建築材料として広く使用されている。しかし、ALCは体積の80%程度が気泡及び細孔であるため、この気泡及び細孔を経由して外部の水分がパネル内部に侵入しやすい構造となっている。また、ALCは通常のコンクリートとは異なり弱アルカリ性であるため、ALCパネル内部に配置された補強鉄筋は腐食されやすい状態にある。
【0004】
このような腐食を防ぐため、ALCパネル用補強鉄筋の表面には予め防錆処理が施されている。その場合、補強鉄筋に形成する防錆被膜の膜厚は、一定の防錆性能を維持すると同時に、可能な限り薄く且つ均一であることがコストの観点から望ましく、そのために膜厚の制御は必要不可欠である。補強鉄筋に防錆処理を施す方法としては、防錆材溶液に補強鉄筋を浸漬させる方法が一般的であるが、この浸漬塗布方法では防錆材の膜厚を均一にすることは困難であった。
【0005】
浸漬塗布方法による防錆材の膜厚制御は容易ではなく、特に防錆材溶液がチキソトロピー性を有する場合、膜厚の制御は極めて難しかった。例えば、SBR水性エマルジョンとアスファルト水性エマルジョン及びアルカリ土類金属の炭酸塩粉末を固形分とし、これにpH調整用の消石灰と粘度調整用の水を混合した防錆材溶液はチキソトロピー性を有し、温度変化によって粘度が変化するだけでなく、撹拌すると粘度が低下して流動性を増し、撹拌を止めると粘度が徐々に増加するため、浸漬塗布方法による防錆材の膜厚制御は極めて難しかった。
【0006】
補強鉄筋に塗布した防錆材の膜厚を制御する方法として、特許文献1には、補強鉄筋にチキソトロピー性を有する防錆液を浸漬塗布し、40〜60℃で乾燥して1層目の防錆被膜を形成し、この1層目の防錆被膜の表面に水を噴霧した後、その上に防錆液を浸漬塗布し、70〜90℃で乾燥して2層目の防錆被膜を形成する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1の方法では、水の噴霧工程が追加されるため工程が煩雑になると共に、1層目と2層目の乾燥温度が異なるため管理が面倒になるなどの不都合があった。
【0007】
一方、特許文献2には、補強鉄筋からの防錆液の液垂れを低減させて、短時間で液切りを行う方法が開示されている。具体的には、ベンガラ等の顔料と結合剤のポリエチレンを溶剤に添加した防錆液(液温度35℃、粘度2500cP)に補強鉄筋を浸漬した後、防錆液から引き上げた補強鉄筋を角度25°に傾斜させると共に、補強鉄筋に振動数10000vpmの振動を加えて20秒間液切りする方法が開示されている。しかしながら、この方法では、液垂れを低減させて短時間で液切りすることはできても、塗布した防錆材の膜厚を薄く且つ均一に制御することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−144210号公報
【特許文献2】特開平05−305610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、軽量気泡コンクリート(ALC)用の補強鉄筋に防錆材溶液を浸漬塗布する際に、塗布された防錆材溶液の膜厚を制御することができ、最終的に膜厚のばらつきが小さく且つ全体的に均一な膜厚を有する防錆被膜の形成が可能な軽量気泡コンクリート補強鉄筋の防錆方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明が提供する軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法は、チキソトロピー性を有する防錆材溶液に軽量気泡コンクリート用の補強鉄筋を浸漬した後、振動を加えながら補強鉄筋を防錆材溶液から引き上げると共に、防錆材溶液からの引き上げが完了する前に、補強鉄筋に加える振動の振動数を少なくとも1回削減することを特徴とするものである。
【0011】
上記本発明による軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法においては、前記補強鉄筋の引き上げ開始時に防錆材溶液から露出した補強鉄筋の主筋又は横筋に塗布された防錆材の膜厚を測定し、得られた測定膜厚と設定膜厚との差を求めて、その差が小さいほど1回目の削減での振動数の削減率を初期振動数に対し10〜90%の範囲内で大きく設定することが好ましい。また、前記振動数の削減うち2回目以降の削減は、引き上げ完了時の振動数が5Hzとなるように一定の振動数ずつ削減することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量気泡コンクリート用の補強鉄筋を防錆材溶液から引き上げる際に、補強鉄筋に連続的に振動を加え且つその振動数を引き上げ途中で削減するだけで、補強鉄筋に塗布される防錆材溶液の膜厚を制御することができる。従って、本発明によれば、膜厚のばらつきが小さく且つ全体的に均一な膜厚の防錆被膜を有する補強鉄筋を提供することができ、しかも余分な防錆材の付着を防ぐことができるため、防錆材のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】は本発明の実施に用いる補強鉄筋への防錆材溶液の浸漬塗布装置を示す概略の斜視図である。
【図2】は振動数10Hzでの補強鉄筋の上部、中部、下部における防錆被膜の膜厚を示すグラフである。
【図3】は振動数50Hzでの補強鉄筋の上部、中部、下部における防錆被膜の膜厚を示すグラフである。
【図4】は振動数100Hzでの補強鉄筋の上部、中部、下部における防錆被膜の膜厚を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による補強鉄筋の防錆方法では、例えば図1に示す防錆材溶液の浸漬塗布装置を使用して、まず、カゴ状に溶接された補強鉄筋1を固定具2に配設した支持棒3に固定し、防錆タンク4内に満たした防錆材溶液4aに浸漬する。その後、固定具2に設置した振動装置5で補助鉄筋1に連続して振動を加えながら、固定具2ごと補強鉄筋1を引き上げる。補強鉄筋1に振動を加えながら防錆剤溶液4aから引き上げることによって、チキソトロピー性を有する防錆材溶液4aの粘度が低下するので、補強鉄筋1に余分な防錆材溶液が付着することを防ぎ、比較的均一な膜厚の防錆被膜を得ることができる。
【0015】
尚、防錆材溶液に浸漬した補強鉄筋を一定の振動を連続的に加えながら防錆材溶液から引き上げてでも、引き上げの途中で振動数を削減しなければ、最終的に得られる乾燥後の防錆被膜の膜厚を設定目標の膜厚に近似した範囲内に制御することは難しい。即ち、後述する加振引き上げ試験によれば、幅600mmのカゴ状に溶接された補強鉄筋の主筋あるいは横筋について、最終的に得られる乾燥後の防錆被膜の膜厚は、補強鉄筋の上部(0〜200mm)と、中部(200〜400mm)と、下部(400〜600mm)では、最大で百数十μm程度の大きな差が残ることが分った。
【0016】
具体的に説明すると、直径が5.5mmの主筋と4.5mmの横筋を用いて、厚さ100mm、幅600mm、長さ3540mmのカゴ状の補強鉄筋を作製した。図1に示す浸漬塗布装置を使用し、固定具2の支持棒3に上記補強鉄筋1を主筋が防錆材溶液4aの液面に対して水平方向となるように固定して、チキソトロピー性を有する防錆材溶液4aに浸漬した。その後、振動装置5で振動(振動数一定)を与えながら、補強鉄筋1を引き上げる加振引き上げ試験を行った。尚、振動装置5には、ユーラスバーブレータ(安川電機(株)製)を使用した。
【0017】
チキソトロピー性を有する防錆材溶液は、SBR水性エマルジョン、アスファルト水性エマルジョン及びアルカリ土類の炭酸塩粉末に、pH調整用の消石灰と粘度調整用の水を混合して調製した。尚、防錆材溶液の粘度は、2.0Pa・s(低粘度)、4.0Pa・s(普通粘度)、6.0Pa・s(高粘度)の3水準に調製した。また、防錆材溶液の粘度は、BII型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。
【0018】
上記3水準の粘度の各防錆材溶液4aに補強鉄筋1を浸漬した後、振幅が2mmで、振動数を10Hz、50Hz、100Hzの3水準(それぞれ一定)に設定した振動を与えながら補強鉄筋1の引き上げを開始し、15秒間で防錆材溶液4aから完全に引き上げた。補強鉄筋1に塗布された防錆材溶液が完全に乾燥した後、補強鉄筋1に形成された防錆被膜の膜厚をマイクロメーターで測定した。
【0019】
防錆被膜の膜厚の測定位置は補強鉄筋の主筋の上部、中部、下部につきそれぞれ3ヶ所、計9ヶ所とし、各1ヶ所に付き3回測定した。補強鉄筋の主筋の上部、中部、下部における防錆被膜の平均膜厚と、補強鉄筋全体の防錆被膜の平均膜厚及び標準偏差を求め、得られた結果を振動数ごとに下記表1及び図2〜4に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
上記した加振引き上げ試験の結果から、補強鉄筋に加える振動の振動数が増加するに伴って膜厚が減少すること、防錆材溶液の粘度が高いほど膜厚が増加することが分る。また、振動数と粘度の全ての条件において、補強鉄筋の上部から下部に向かって膜厚が次第に薄くなっていることが分る。この結果に基づいて、本発明では、補強鉄筋全体の膜厚の均一化を図るために、引き上げ時に防錆材溶液から露出する補強鉄筋の箇所が上部から下部に移るに伴って、即ち引き上げ時間の経過に伴って、補強鉄筋に加える振動の振動数を削減する(小さくする)、例えば連続的に又は段階的に削減することとした。
【0022】
更に厳密な膜厚の制御を必要とする場合には、図1の浸漬塗布装置を用い、振動装置5で補強鉄筋1に連続して振動を加えながら防錆材溶液4aから引き上げる際に、補強鉄筋1の引き上げ時に防錆材溶液4aから最初に露出した補強鉄筋1の主筋又は横筋に塗布された防錆材(未乾燥)の膜厚を、防錆タンク4の防錆材溶液4aの液面近くに取り付けた膜厚測定装置6で測定する。この引き上げ開始時に膜厚測定装置6で測定した測定膜厚に基づいて、1回目の振動数の削減における削減率を定めることが望ましい。
【0023】
尚、振動装置としては、振動数の変更調整が可能なものであればよく、例えばユーラスバーブレータ(安川電機(株)製)などを用いることができる。また、膜厚測定装置としては、レーザー変位計(例えば(株)キーエンス製のLJ−G5000)を用い、浸漬塗布直前の補強鉄筋側面までの距離と浸漬塗布直後の補強鉄筋側面(即ち、塗布された防錆材の表面)までの距離を測定し、両者の差を求めることによって主筋又は横筋上の防錆被膜の膜厚を測定することができる。
【0024】
具体的な削減率の設定方法としては、上記引き上げ開始時に測定した測定膜厚と設定膜厚との差(即ち、測定膜厚−設定膜厚)を求め、その差が小さいほど1回目の削減における振動数の削減率が大きくなるように設定する。好ましくは、1回目の振動数の削減率を初期振動数に対し10〜90%の範囲内とし、この範囲内の削減率で、上記測定膜厚−設定膜厚の差が小さいほど削減率を大きく設定する。尚、引き上げ時に補強鉄筋に加える振動の初期振動数は、設定膜厚によっても異なるが、一般的に150Hz程度が好ましい。
【0025】
本発明において、引き上げ開始時に測定した測定膜厚と設定膜厚との差に基づいて1回目の振動数の削減を行う場合、初期振動数に対する1回目の振動数の削減率と、引き上げ開始時に測定した測定膜厚と設定膜厚との差(即ち、測定膜厚−設定膜厚)との好ましい関係を、下記表2に示す。尚、このような1回目の振動数の削減率と測定膜厚−設定膜厚との関係は、補強鉄筋の太さや防錆材溶液の粘度などに応じて予め実験的に定めることができる。
【0026】
【表2】

【実施例】
【0027】
直径が5.5mmの主筋と4.5mmの横筋を用いて、厚さ100mm、幅600mm、長さ3540mmのカゴ状の軽量気泡コンクリート用補強鉄筋を作製した。図1に示すように、この補強鉄筋1を、浸漬塗布装置の固定具2(幅1500mm、長さ7200mm)に配列した複数の支持棒3に、主筋が防錆材溶液4aの液面に対して水平方向となるように15×2個配列固定した。
【0028】
一方、チキソトロピー性を有する防錆材溶液として、スチレン結合量が70重量%で固形分45重量%のSBR水性エマルジョンを固形分として9重量%と、アスファルト水性エマルジョン固形分として11重量%と、アルカリ土類の炭酸塩粉末として炭酸カルシウム粉末を固形分として80重量%とを混合し、これにpH調整用の消石灰と粘度調整用の水を混合して、粘度が2.0Pa・s(低粘度)、4.0Pa・s(普通粘度)、6.0Pa・s(高粘度)の3種類の防錆材溶液を調製した。尚、粘度はBII型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。
【0029】
次に、固定具2の支持棒3に固定した補強鉄筋1を、防錆タンク4内に満たした上記防錆材溶液4aに浸漬した後、固定具2に設置した振動装置5(ユーラスバーブレータ、安川電機(株)製)で補助鉄筋1に連続して振動を加えながら、補強鉄筋1の引き上げを開始した。その際、目標とする設定膜厚を150μmとし、初期振動数を150Hzに設定した。
【0030】
引き上げを開始して補強鉄筋1の最初の主筋が防錆材溶液4aから露出したとき、防錆タンク4の防錆材溶液4aの液面付近に設置したレーザー変位計(LJ−G5000、(株)キーエンス製)を用いた膜厚測定装置6によって、浸漬塗布直後の補強鉄筋1の主筋側面までの距離を測定した。得られた浸漬塗布直後の補強鉄筋1の主筋側面までの距離から、予め測定した浸漬塗布直前の補強鉄筋1の主筋側面までの距離を差し引いて、主筋に塗布された防錆材の膜厚を求めた。得られた膜厚測定時における上記3種類の各防錆材の測定膜厚は、通常粘度の試料で202μm、高粘度の試料で283μm、及び低粘度の試料で151μmであった。
【0031】
得られた膜厚測定時における防錆材の測定膜厚から設定膜厚(150μm)を差引いた値に基づいて、膜厚測定時から5秒後に上記表2に示した削減率で1回目の振動数の削減を行った。引き続き下記表3に示すように、膜厚測定時から10秒後に2回目及び膜厚測定時から15秒後に3回目の削減を行って、膜厚測定時から15秒後(引き上げ完了時)における振動数が5Hzとなるようにそれぞれ等しい振動数を削減した。
【0032】
【表3】

【0033】
即ち、1回目の振動数の削減は、通常粘度の試料では測定膜厚と設定膜厚との差が約50μmであるため、上記表2に基づいて初期振動数150Hzから削減率50%で削減して振動数を75Hzとした。高粘度の試料では、測定膜厚と設定膜厚との差が約100μm以上であるため、初期振動数から10%削減して135Hzとした。低粘度の試料では、測定膜厚と設定膜厚との差が約1μmであるため、初期振動数から90%削減して15Hzとした。
【0034】
また、2回目と3回目の振動数の削減では、引き上げ完了時における振動数が5Hzとなるように、2回目の削減及び3回目の削減ともに等しい振動数だけ削減した。即ち、2回目の削減及び3回目の削減とも、通常粘度の試料では35Hzずつ、高粘度の試料では65Hzずつ、及び低粘度の試料では5Hzずつ振動数を削減した。
【0035】
上記のごとく1回目から3回目まで振動数の削減を行いながら補強鉄筋を引き上げた後、補強鉄筋に塗布された防錆材を完全に乾燥させた。その後、補強鉄筋に形成された防錆被膜の膜厚をマイクロメーターにて測定した。膜厚の測定位置は主筋の上部、中部、下部につき、それぞれ3ヶ所、計9ヶ所とし、1ヶ所に付き3回測定した。主筋の上部、中部、下部における平均膜厚と、全体の平均膜厚及び標準偏差を求め、得られた結果を下記表4に示した。
【0036】
【表4】

【0037】
上記表4から分るように、通常粘度の試料では平均膜厚が154μm及び標準偏差が6μm、高粘度の試料では平均膜厚が155μm及び標準偏差が9μm、及び低粘度の試料では平均膜厚が156μm及び標準偏差が9μmとなった。このように本発明に従って振動数を削減することにより、所望の設定膜厚150μmに極めて近い膜厚を有し、しかも標準偏差が小さく、膜厚のばらつきが小さく且つ均一な防錆被膜を得ることができた。
【符号の説明】
【0038】
1 補強鉄筋
2 固定具
3 支持棒
4 防錆タンク
4a 防錆材溶液
5 振動装置
6 膜厚測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チキソトロピー性を有する防錆材溶液に軽量気泡コンクリート用の補強鉄筋を浸漬した後、振動を加えながら補強鉄筋を防錆材溶液から引き上げると共に、防錆材溶液からの引き上げが完了する前に、補強鉄筋に加える振動の振動数を少なくとも1回削減することを特徴とする軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法。
【請求項2】
前記補強鉄筋の引き上げ開始時に防錆材溶液から露出した補強鉄筋の主筋又は横筋に塗布された防錆材の膜厚を測定し、得られた測定膜厚と設定膜厚との差を求めて、その差が小さいほど1回目の振動数の削減での削減率を初期振動数に対し10〜90%の範囲内で大きく設定することを特徴とする、請求項1に記載の軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法。
【請求項3】
前記振動数の削減うち2回目以降の削減は、引き上げ完了時の振動数が5Hzとなるように一定の振動数ずつ削減することを特徴とする、請求項1又は2に記載の軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法。
【請求項4】
前記チキソトロピー性を有する防錆材溶液が、固形分としてSBR水性エマルジョン、アスファルト水性エマルジョン及びアルカリ土類金属の炭酸塩粉末を含み、pH調整用の消石灰と粘度調整用の水とを混合したものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の軽量気泡コンクリート用補強鉄筋の防錆方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−21189(P2012−21189A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159290(P2010−159290)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(399117730)住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【Fターム(参考)】