説明

軽量気泡コンクリート

【課題】表面及び内部に無数の気泡や気孔を有しており本来吸水性が高い軽量気泡コンクリート(ALC)に対して、撥水性及び防水性とその均一性に優れ、水分と接触しても濡れ色や吸水跡が付着することなく、美観に優れるALCを提供する。
【解決手段】この軽量気泡コンクリートは、粉末状の珪酸質原料及び石灰質原料を主原料とし、高温高圧にて水蒸気養生される軽量気泡コンクリート本体と、軽量気泡コンクリート本体の外表面に形成される塗布層を備えた軽量気泡コンクリートであって、塗布層は、下記一般式(上記一般式中、Xは2以上20以下、10≦n≦200である。)で表されるアルキルハイドロジェンシリコーンを主成分とする撥水剤の希釈溶液が、その有効成分換算で1〜20g/mで塗布されることにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に建築物の壁材、屋根、床材等として使用される、軽量気泡コンクリート(ALC)に関し、更に詳しくは撥水性及び防水性に優れる軽量気泡コンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリート(以下、「ALC」ということがある。)は、主に建築物の壁材、屋根、床材等として使用されている。軽量気泡コンクリート(ALC)は、軽量であり、耐火性、断熱性、施工性に優れているため、建築材料として広く使用されている。軽量気泡コンクリート(ALC)は、一般的に以下のように製造されている。まず、珪石等の珪酸質原料とセメントや生石灰等の石灰質原料を主原料とし、これらの微粉末に水とアルミニウム粉末等の添加物を加えてスラリー状の混合物として、予め補強用鉄筋が並べられた型枠に鋳込まれる。その後、上記スラリー状の混合物は、アルミニウム粉末の反応により発泡すると共に、石灰質原料の反応によって徐々に硬化し、半硬化となったところで、ピアノ線により、所定の寸法に切断して成形される。その後、所定の寸法に切断された軽量気泡コンクリート(ALC)をオートクレーブによる約180℃、10気圧の高温高圧水蒸気養生し、製造することができる。
【0003】
一般に、軽量気泡コンクリート(ALC)は、その製品寸法が大きいため、製造後出荷までの間、屋外にて保管される場合が多い。そして軽量気泡コンクリート(ALC)は、その表面及び内部に無数の気泡や気孔を有するため、吸水性が高い。このため、軽量気泡コンクリート(ALC)を屋外にて保管した場合には、降雨によって濡れ、軽量気泡コンクリート(ALC)の表面に濡れ色がついてしまうことや、その内部への吸水が起こることがある。軽量気泡コンクリート(ALC)の表面の濡れ色は、表面変色による外観品質低下を招き、内部への吸水は、汚れやカビなどの発生や、一時的な表面強度の低下、軽量気泡コンクリート(ALC)パネルの重量増加などを招く。
【0004】
そこで、軽量気泡コンクリート(ALC)に撥水性や防水性を付与する技術が提案され、実用化されている。水蒸気養生後の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルの外表面に撥水性と防水性を付与する、いわゆる外添型の技術として、特許文献1には、高温高圧での水蒸気養生後にアルキルアルコキシシラン等の撥水剤をその有効成分換算で0.3〜6.0g/m塗布する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−72567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたいわゆる外添型の技術は、パネル表面での水玉の接触角が90°程度、もしくはそれ以上であり、水玉が風や若干の勾配によって容易に移動する。従って、降雨が終わった後には水分はパネルの上から容易に流れ落ち、結果としてパネルに汚れがつくことが非常に少ない。しかし、特許文献1に開示されたいわゆる外添型の技術に使用されるアルキルアルコキシシラン撥水剤は、軽量気泡コンクリート(ALC)の外表面に非常に高い撥水性及び防水性を付与することができる反面、アルキルアルコキシシラン撥水剤では反応性が高いため、無数に存在する無機材料表面の水酸基と接触した時点で即座に反応してしまい、撥水処理のされない表面ができやすく、撥水性・防水性のむらができやすいという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上の状況に鑑みて提案するものであり、撥水性及び防水性はもちろん、その塗布均一性に優れ、水分と接触しても濡れ色や吸水跡が付着することなく、美観に優れる軽量気泡コンクリート(ALC)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、炭素数が2以上のアルキル基をその構造中に有するアルキルハイドロジェンシリコーンを塗布層として形成することで、撥水性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のものを提供する。
【0009】
(1) 粉末状の珪酸質原料及び石灰質原料を主原料とし、高温高圧にて水蒸気養生される軽量気泡コンクリート本体と、
前記軽量気泡コンクリート本体の外表面に形成される塗布層を備えた軽量気泡コンクリートであって、
前記塗布層は、下記一般式で表されるシリコーンを主成分とする撥水剤の希釈溶液が、その有効成分換算で1〜20g/mで塗布されることにより形成されていることを特徴とする軽量気泡コンクリート。
【化1】

(上記一般式中、Xは2以上20以下、10≦n≦200である。)
【0010】
(2) 前記一般式中、Xが10以上20以下である(1)記載の軽量気泡コンクリート。
【0011】
(3) 前記一般式中、Xが13以上18以下である(1)又は(2)に記載の軽量気泡コンクリート。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表面及び内部に無数の気泡や気孔を有しており本来吸水性が高い軽量気泡コンクリート(ALC)に対して、撥水性及び防水性とその均一性に優れ、水分と接触しても濡れ色や吸水跡が付着することなく、美観に優れるALCを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の実施形態である軽量気泡コンクリートのパネル(ALCパネル)を示す斜視図である。(b)本発明の実施形態である軽量気泡コンクリートのパネル(ALCパネル)の一部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0015】
<軽量気泡コンクリート>
まず、本発明に係る軽量気泡コンクリートの実施形態であるALCパネル1について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は、ALCパネル1を示す斜視図であり、図1(b)は、ALCパネル1を模式的に示す断面図である。
【0016】
(ALCパネル1)
本実施形態の軽量気泡コンクリートであるALCパネル1は、図1(a)及び図1(b)に示すように軽量気泡コンクリート本体であるALCパネル本体2と、ALCパネル本体2の外表面に塗布により形成されている撥水剤の塗布層3から構成される。なお、図1(b)において、塗布層3は、本来分子層レベルの薄い膜であるが、図1(b)においては強調して厚く示している。なお、ALCパネル本体2は、粉末状の珪酸質原料及び石灰質原料を主原料とし、オートクレーブ養生等で高温高圧(約180℃、10気圧)にて水蒸気養生して形成されている。
【0017】
(ALCパネル本体2)
ALCパネル1は、上記ALCパネル本体2の表面に塗布層3を形成させることによって構成されている。
【0018】
(塗布層3)
ALCパネル1は、ALCパネル本体2表面に十分な撥水剤が塗布されており、ALCパネル本体2の表面に十分な厚みを有する塗布層3が形成されている。そして、ALCパネル本体2表面に形成されている塗布層3は、十分な厚みを有しているので、水蒸気や水分は、塗布層3を通過することができないものとなる。このため、ALCパネル本体2が水分と長期間接触した場合であっても、塗布層3の存在により、濡れ色や水分の吸水跡が付着することを防止できるものとなっている。
【0019】
ここで、ALCパネル本体2に形成されている塗布層3を構成する撥水剤は炭素数2以上のアルキル基を有するアルキルハイドロジェンシロキサン構造単位のポリマーを主成分とする撥水剤であり、これを溶媒に分散又は溶解させた希釈溶液を塗布する。この希釈溶液は、ALCパネル本体2表面に塗布することができる物理的性質を有しており、通常は常温で液体かつ所定の粘度を有しているものであればよい。
【0020】
上記希釈溶液に使用することができる溶媒としては、このシリコーンを主成分とする撥水剤を溶解することができる溶媒であれば特に制限されるものではなく、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、エーテル類、エステル類の溶媒が使用可能である。なお、溶剤として水を用いることも可能であるが、溶剤として水を使用した場合には、撥水剤が溶剤に溶解しないため、乳化剤を用い、水中でこのシリコーンを乳化しエマルジョンおよび分散液の形にすることが好ましい。これらの溶媒の中でも、取り扱い及び製造工程における再利用の観点から、水を溶媒としたエマルジョン及び分散液の形が好ましい。
【0021】
(撥水剤のシリコーン成分)
撥水剤の塗布層3は、下記一般式で表されるシリコーンを主成分とする撥水剤の希釈溶液を塗布し、その有効成分換算で1〜20.0g/mで塗布することにより形成されている。なお、図1(a)の図示例では、塗布層3は、平板状の直方体であるALCパネル本体2の六面の全面に亘って塗布されているが、ALCパネル本体2の所要の外表面のみに、塗布層3を設ける構成とすることも可能である。なお、ALCパネル本体2に撥水剤の希釈溶液を塗布する方法としては、ALCパネル本体2の表面に撥水剤成分がミクロレベルで均一に塗布することができるものであれば特に制限されるものではない。たとえば、スプレーによる噴霧による塗布、ドブ漬け、刷毛塗り等を例示することができる。
【0022】
【化2】

(上記一般式中、Xは2以上20以下、10≦n≦200である。)
【0023】
塗布層3を構成する撥水剤の主成分である上記一般式で表されるアルキルハイドロジェンシリコーンは、その化学構造からも明らかなように、アルキルハイドロジェンシロキサン構造単位からなるポリマーである。
【0024】
上記一般式で表されるシリコーンにおいて、アルキル基の炭素数Xは2以上20以下であり、好ましくはXが10以上20以下であり、より好ましくはXが13以上18以下である。X=1のメチルハイドロジェンシリコーンの場合、撥水性・防水性の効果は、ばらつきやむらといった品質面では良好となるが、撥水性・防水性自体の性能面ではやはりアルキルアルコキシシランには及ばない。また、Xが21以上では、溶剤への分散、溶解性が劣り、撥水剤成分としての適度な粘度を超えるので好ましくない。
【0025】
上記一般式で表されるシリコーンにおいて、アルキルハイドロジェンシロキサン構造単位の繰り返し数nは10以上200以下が好ましい。10未満では経時での撥水性が低下するので好ましくなく、200を越えると溶剤への分散、溶解性が劣り、撥水剤成分としての適度な粘度を超えるので好ましくない。
【0026】
上記のアルキルハイドロジェンシリコーンの効果について、特許文献1のアルキルルコキシシランと比較すると以下のようになる。一般にALC等の無機材料の外表面へのアルキルアルコキシシラン撥水剤の固着機構は、アルキルアルコキシシランが加水分解して発生したシラノール基(Si−OH)と、無機材料表面の水酸基(M−OH、Mは金属原子)との間での脱水縮合反応によって、無機材料表面上にSi−O−Mで示される共有結合が形成されるものである。この固着機構は、比較的容易に進行する脱水縮合反応であることから常温でも固着しやすく、また触媒の添加や加温などにより強固な撥水・防水効果を示すことができる。また、アルキルアルコキシシラン撥水剤には比較的低分子量である分子それぞれに1つずつ反応性のアルコキシ基を有しているため、単位量あたりの反応性官能基の数が多く、材料表面の単位表面積当たりにより多くの撥水剤が固着することができ、結果として非常に高い撥水性・防水性を発揮することができる。
【0027】
しかしながら、これらの長所が逆に短所となる場合がある。アルキルアルコキシシラン撥水剤では反応性が高いため、無数に存在する無機材料表面の水酸基と接触した時点で即座に反応してしまい、撥水処理のされない表面ができやすい。すなわち、塗布方法が適切でないと撥水性・防水性のむらができやすい。また、添加したアルキルアルコキシシラン撥水剤の添加量の微妙な差異により、撥水性・防水性のばらつきになりやすく、連続して多量に生産されるALCにおいては、隣り合って建物に貼り付けられたパネル同士での撥水性・防水性のばらつきがでやすい。ALCは貼り付け後に漏水防止及び美観のための表面塗装を処理されるのが通常であり、撥水性・防水性のばらつきのあるALC壁面では、表面塗装の乗りの良し悪しが大きくなり、特に塗装面の色合いの違いなどを発生させて美観上の問題が起こりやすい。
【0028】
本発明においては、このALCパネルにおける撥水性・防水性のむらやばらつきを防止するため、無機材料表面との固着が起こりにくく、単位量あたりの反応性官能基の数が少ない撥水剤が有効であると考え、上記のアルキルハイドロジェンシリコーンを見出したものである。具体的には、アルキルアルコキシシランが加水分解することにより持つシラノール基(Si−OH)と比較して、アルキルハイドロジェンシリコーンのヒドロ基(Si−H)の無機材料への固着は脱水素反応であるため、反応性が乏しく、常温では反応が緩慢である。そのため、反応を促進するために触媒や加温処理が行われる場合がある。また、比較的分子量が大きい分子に1つ程度の反応性官能基しかないため、分子自体の立体障害も加わって、材料表面の単位表面積当たりにより一定以上の撥水剤が固着することができない。つまり、撥水剤の添加量を増加しても、ある一定量において固着量が飽和し、それを超える撥水剤は固着しないため、結果的に撥水剤の添加量にばらつきがあったとしても、一定の撥水性・防水性を示すものと考えられる。
【0029】
更に、炭素数2以上のアルキル基を導入することにより、撥水性・防水性自体の性能面においてもアルキルアルコキシシランと同等の性能を得ることができる。すなわち、上記本発明に係るアルキルハイドロジェンシリコーンによれば、アルキルアルコキシシランと同等の撥水性・防水性と、メチルハイドロジェンシリコーンと同等の塗布均一性を両立することができるのである。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
実施例1のALCパネル1の製造では、珪酸質原料として予めボールミルにて粉砕し、比表面積3000ブレーンに粒度を調製した珪石を45重量部、石灰質原料として生石灰5重量部、普通ポルトランドセメント30重量部、繰り返し原料20重量部の割合で混合し、これらの固体原料合計100重量部に水60重量部と少量のアルミニウム粉末及び界面活性剤を加えて、混練してスラリーを作製し、温度を45℃に調整した。更に、混合したスラリーを予め補強用鉄筋を配列した型枠に鋳込み、アルミニウム粉の反応による発泡で膨張させ、石灰質原料の水和により半硬化した後にピアノ線によりパネル寸法に成形した。その後オートクレーブによる高温高圧水蒸気養生を行ってALCパネル本体を得た。
【0032】
そして、水蒸気養生後の上記ALCパネル本体を1枚ずつ水平に静置し、外表面に上記一般式で表されるアルキルハイドロジェンシリコーン(X=18、n=60)を撥水材とし、乳化剤で撥水剤を希釈した上で、噴霧装置にて塗布し、表1に示すように、有効成分換算で0.6〜24g/mとなるように塗布した。なお、噴霧装置による塗布では、撥水剤希釈液としての塗布量は200g/mが最大であり、それ以上の塗布では塗布液が表面から流れ落ちてしまう。なお、使用した撥水剤の有効成分(上記アルキルハイドロジェンシリコーンの濃度)は60質量%であった。
【0033】
ALCパネル本体に上記撥水剤の希釈溶液を塗布して乾燥した後、ALCパネル本体表面に塗布層を形成させて、実施例1のALCパネルを製造した。
【0034】
なお、比較例3から10のメチルハイドロジェンシリコーンは、上記一般式においてX=1の化合物である。また、比較例11のアルキルアルコキシシランは、下記の構造のものを用いた。
【0035】
【化3】

【0036】
【表1】

【0037】
パネル表面の撥水性・吸水性の評価については、撥水剤塗布後にパネルを室内にて7日間養生した後、水平に保持して1mlの水滴を表面に滴下し、水滴の接触角を測定した。引き続いて、滴下後30分で残った水滴を乾いた布で吸い取り、パネル表面に濡れ色が残っているかどうかを目視にて判定した。撥水性・防水性のむらやばらつきを見るために、以上の手順を各試験体について場所を変えて20回行った。
【0038】
撥水性能の判定基準としては、水滴がいわゆる水玉となってパネル表面上において転がる現象が見られたのが、接触角90度を超えるであったことから、接触角の平均値90度超を適、同じく90度以下を不適と判定した。また、接触角の最大値から最小値を差引いた値が30を超えた場合は撥水性・防水性にむらやばらつきが生じる恐れがあると判断し、不適とした。防水性については、濡れ色の残留が全く無いものを適、濡れ色の残留が1サンプルでもあったものを不適と判定した。以上の3つの判定の結果全てが適であったものについてのみ総合判定で適とし、それ以外のものを不適とした。表2に試験結果をまとめて示す。
【0039】
【表2】

表2より、7日経過後において、アルキルハイドロジェンシリコーンの有効成分が0.6g/m以下と少ない場合には水滴の接触角が平均で度以下であり、撥水性が十分でない。また濡れ色が残るパネルが45%認められ、吸水性も十分でなかった。
【0040】
有効成分1〜24g/mでは、水滴の接触角は平均で90度を越えており、濡れ色の残るパネルも見られなかったことから、撥水性・防水性は十分な性能を有している。ただし、20g/mにおいて撥水性・吸水性は性能の上限となり、24g/mまで添加量を増加しても性能向上は見られないことから、20g/mを添加量上限値とするのが経済的観点から適当である。
【0041】
比較例3から10のメチルハイドロジェンシリコーンは有効成分が2.1g/m以下と少ない場合には水滴の接触角が平均で90度以下であり撥水性が十分でないか、濡れ色が残るパネルが認められ、吸水性が十分でなかった。このことから、本発明に係るアルキルハイドロジェンシリコーンは、メチルハイドロジェンシリコーンに比べて少量で効果を奏することが理解できる。
【0042】
比較例11のアルキルアルコキシシランは水滴の接触角の平均値も非常に大きく、撥水性が非常に高いが、接触角が小さいデータも散見され、接触角の最大最小差はアルキルハイドロジェンシリコーン及びメチルハイドロジェンシリコーンの3倍程度も有り、撥水性のむら、ばらつきが生じていた。
【0043】
なお、別のアルキルハイドロジェンシリコーンとして、上記一般式におけるX=13を用いて同様の試験を行った結果、上記と同様の結果を得た。
【0044】
以上の結果より、軽量気泡コンクリートにおいて、水蒸気養生後の外表面に炭素数2以上のアルキル基を少なくとも1つ持つアルキルハイドロジェンシリコーンを主成分とする撥水剤を、その有効成分換算で1〜20g/m塗布することにより、撥水性及び防水性に優れる軽量気泡コンクリートを得られた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば建築物の壁材、屋根、床材等に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ALCパネル
2 ALCパネル本体
3 撥水剤の塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の珪酸質原料及び石灰質原料を主原料とし、高温高圧にて水蒸気養生される軽量気泡コンクリート本体と、
前記軽量気泡コンクリート本体の外表面に形成される塗布層を備えた軽量気泡コンクリートであって、
前記塗布層は、下記一般式で表されるアルキルハイドロジェンシリコーンを主成分とする撥水剤の希釈溶液が、その有効成分換算で1〜20g/mで塗布されることにより形成されていることを特徴とする軽量気泡コンクリート。
【化1】

(上記一般式中、Xは2以上20以下、10≦n≦200である。)
【請求項2】
前記一般式中、Xが10以上20以下である請求項1記載の軽量気泡コンクリート。
【請求項3】
前記一般式中、Xが13以上18以下である請求項1又は2に記載の軽量気泡コンクリート。

【図1】
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【公開番号】特開2013−43799(P2013−43799A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182155(P2011−182155)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(399117730)住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【Fターム(参考)】