説明

軽量耐火断熱セメントモルタル

【課題】軽量骨材としてパーライトを含み、かつ、材料の分離を十分に抑制することができる軽量耐火断熱セメントモルタルを提供する。
【解決手段】この軽量耐火断熱セメントモルタルは、セメント、パーライト、水およびこれらの分離を抑制する添加剤とを含む。この添加剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルミン酸カルシウムとを含む。添加剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルミン酸カルシウムを水に溶解させた溶液となっている。ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が0.1重量%〜5重量%の範囲とされ、アルミン酸カルシウム/セメント比が0.01重量%〜5重量%の範囲とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量骨材としてパーライトを用いた軽量耐火断熱モルタルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスベストを含有する耐火モルタルの使用が禁止されたことによって、耐火性能に優れ、かつ経済性、施工性にも優れた耐火モルタルの製造が困難となり、RABT(Richtlinien fur die Ausstattung und den
Betrieb von Strassentunneln:ドイツ交通省、道路トンネル内設備と交通に関する規制)の基準を満足し、かつ、経済性および施工性に優れる耐火モルタルの開発が望まれており、各種耐火モルタル等の耐火組成物の開発が行われている。
耐火組成物の軽量骨材として、パーライトを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
パーライトは、例えば、天然ガラスとも言われる黒曜石、真珠岩、松脂岩等の原石(加工前のパーライト)を粉砕、焼成して発泡させたものである。
軽量骨材として使用されているパーライトは融点が摂氏1200度から摂氏1300度と高く、比重も0.2と軽く、耐火モルタルの骨材として使用実績を有している。
【0004】
このパーライトを含む耐火モルタルの組成の一例としては、例えば、セメント463.0kg、パーライト219.6kg(体積1200l)、水396kg、増粘剤としてのメチルセルロース0.9kg、合計10795kgとしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−299959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の組成の軽量骨材としてパーライトを含む耐火モルタルを塗り付ける場合に、一回の塗り厚は15mm以下とする必要がある。それ以上の厚みに形成すると、材料の分離を生じる虞がある。
このように、骨材として軽量骨材のみを使用し、かつ、軽量骨材としてパーライトを用いた耐火モルタルは、材料の分離が発生し易く、均一な材料の製造が困難であった。
【0007】
また、上述の配合では、材料の分離を防止する添加物(混和剤)として、増粘剤であるメチルセルロースを用いているが、材料の分離を防止するには十分なものではなかった。
また、セメントモルタルの施工性改善を目的とする増粘剤には、メチルセルロースのほかヒドロキシプロピルセルロース、セルロースエステルなどが知られている。
【0008】
また、必ずしも軽量骨材を用いた耐火モルタル用ではないが、ヒドロキシエチルセルロースに対してアルミニウム硫酸塩を添加したブリージング防止用添加材が知られている。
また、フライアッシュ、石膏、スラグ、スルホン酸系分散剤とともに増粘剤のセルロースエーテル類を添加したうす塗り用の左官モルタルが知られている。また、水中コンクリートの分離防止用の添加剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースにトリアジン系流動化剤を併用したものが知られている。これらの添加剤は、上述の耐火モルタルにおける材料の分離を防止するには、十分なものではなかった。
【0009】
本発明は、軽量骨材としてパーライトを含み、かつ、材料の分離を十分に抑制することができる軽量耐火断熱セメントモルタルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の軽量耐火断熱セメントモルタルは、セメント、パーライト、水およびこれらの分離を抑制する添加剤とを含み、
前記添加剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルミン酸カルシウムとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、添加剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルミン酸カルシウムとを組み合わせて使用することで、軽量骨材としてのパーライトを含む軽量耐火断熱セメントモルタルにおいて、材料を容易に混ぜることが可能となるとともに、材料の分離を抑制することができる。したがって、軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化させた軽量耐火断熱硬化物の均一性を高めることができる。これにより、軽量耐火断熱硬化物における熱伝導率の均一性も高くなり、高熱が発生する火災時に、熱伝導率が不均一となっていることにより内部膨張率に違いが発生して耐火被覆層が内部破壊や爆裂などを起こすのを確実に防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記添加剤が、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび前記アルミン酸カルシウムを水に溶解させた溶液となっていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、添加剤が粉状ではなく、溶液となっていることで、軽量耐火断熱セメントモルタルの材料を混ぜる際に、容易に分散させることが可能なので、添加時期を、軽量耐火断熱セメントモルタルの製造において、水を加える前、水を加えて混合する前、混合開始後のいずれでも添加可能となっており、作業状況に合わせて添加時期を選択することができる。
【0014】
請求項3に記載の軽量耐火断熱セメントモルタルは、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が0.1重量%〜5重量%の範囲とされ、前記アルミン酸カルシウム/セメント比が0.01重量%〜5重量%の範囲とされていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明においては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比およびアルミン酸カルシウム/セメント比を上述の範囲とすることにより、軽量耐火断熱セメントモルタルの分離を効果的に抑制することができる。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が0.1重量%より小さく、アルミン酸カルシウム/セメント比が0.01重量%より小さい場合には、材料の分離を十分に抑制することが困難である。
【0016】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が5重量%より多く、アルミン酸カルシウム/セメント比が5重量%より多くした場合に、材料の分離抑制効果のさらなる向上を望むことが難しく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルミン酸カルシウムの増加によるコストアップが問題となる。また、施工性や硬化物の性状に問題が生じる虞がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パーライトを軽量骨材として含む軽量耐火断熱セメントモルタルにおける材料の分離を防止して、均一性の高い軽量耐火断熱硬化物を得ることができ、耐火断熱材として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の耐火性能試験における加熱方法としてのRBAT60加熱曲線を示す。
【図2】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例1の試験結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例1の試験結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例2の試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例2の試験結果を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例3の試験結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例の軽量耐火断熱セメントモルタルを耐火被覆層としたシールドセグメントの耐火性能試験の実施例3の試験結果を示すグラフである。
【図8】比較例となるシールドセグメントの耐火性能試験の試験結果を示すグラフである。
【図9】比較例となるシールドセグメントの耐火性能試験の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
この実施の形態の軽量耐火断熱セメントモルタルは、セメント、パーライト、水およびこれらの分離防止する添加剤(混和剤)とからなるものである。
この例のセメントとしては、周知の各種セメントを用いることができ、例えば、各種ポルトランドセメントを用いることができる。
この例におけるパーライトとは、上述のように、天然ガラスとも言われる黒曜石、真珠岩、松脂岩等の原石(加工前のパーライト)を粉砕、焼成して発泡させたものである。すなわち、この例のパーライトは、加工後の発泡したパーライトである。なお、パーライトは、原料の違いにより、空隙に独立気泡が多いか、連続気泡が多いかなどの特性の違いがあり、この例では、上述の特性に基づいて品質の安定性に優れる黒曜石を原料とするパーライトを用いることが好ましい。
【0020】
この例では、粒状のパーライトを用いており、パーライトの平均粒径は、例えば、0.5mm〜25.0mmとなっていることが好ましく、さらに、0.5mmから3.0mmとなっているこことが好ましい。また、パーライトの比重は、例えば、0.2程度となっているが、上述のように焼成された各種パーライトを用いることが可能であり、比重が異なるパーライトも使用可能である。
【0021】
パーライト/セメント比が、20重量%から150重量%となっていることが好ましく、さらに35重量%から75重量%となっていることが好ましい。また、パーライトの含有量は、耐火被覆層4を形成する軽量耐火断熱セメントモルタルの比重が0.5〜0.8の範囲となるように設定されていることが好ましい。比重が0.5より小さいと、軽量なパーライトの含有量が多くなり、パーライトを略均一に分散させて硬化させることが難しくなったり、耐火被覆層4が脆くなる虞がある。すなわち、上述のパーライト/セメント比が150重量%を超えると強度が極端に低下する虞がある。
比重が0、8より大きいと、軽量なパーライトの含有量が少なくなることで、パーライトによる空隙が少なくなり、断熱性能が低下する虞がある。
【0022】
水/セメント比が、30重量%から70重量%となっていることが好ましく、さらに40重量%から60重量%となっていることが好ましい。
この例の混和剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにアルミン酸カルシウム溶液を加えたものである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、水溶性高分子であり、混和剤を溶液として取り扱うことが可能であり、容易に硬化前の軽量耐火断熱セメントモルタルに混ぜることができ、後述のように混和剤の添加時期を自由に設定できる。
【0023】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が0.1重量%から5重量%とされている。
また、アルミン酸カルシウム/セメント比が0.001重量%から5重量%とされている。
これらヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルミン酸カルシウムの濃度範囲で、パーライトの分離が抑制される効果を確認することができる。これらの濃度範囲の下限より低い場合には、軽量耐火断熱セメントモルタルの分離を抑制する効果が不十分となる。また、これらの濃度範囲の上限より濃度を高くした場合には、軽量耐火断熱セメントモルタルの分離を抑制する効果が頭打ちとなり、添加量の増加によるコストアップが問題となる。
また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとアルミン酸カルシウムとの比は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1に対して、アルミン酸カルシウムが0.05〜10.0の範囲となることが好ましい。
【0024】
このような軽量耐火断熱セメントモルタルにおいて骨材/セメント比(重量)は、パーライトが軽量骨材であることから、一般的なコンクリートに対して小さくなる。すなわち、比重の小さい軽量骨材の量を多くしても重量が少なく、骨材/セメント比は、小さなものとなる。一般的なコンクリートでは、例えば、骨材/セメント比は7(7:1)以上となるが、この例の耐火被覆材は、例えば、1(1:1)程度となるが、このような低い骨材/セメント比のモルタルに対して、この例の混和剤(添加剤)が有効に作用する。
上述のようにパーライトは発泡したことにより気泡からなる空隙を多く含む部材であることから見かけの比重が例えば、0.2程度と水よりもかなり低く、パーライトをセメントおよび水と混ぜることが極めて困難であるが、この例の混和剤を用いることで、均一にパーライトを混ぜ、分離を抑制することができる。また、この混和剤は、増粘性が大きくないので、流動性等の悪化により施工性が低下することがない。したがって、一般的な増粘剤を分離防止の混和剤とした場合よりも施工性が向上する。なお、上記混和剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとアルミン酸カルシウム以外の成分を含むものとしてもよいが、他の成分も水溶性であることが好ましく、混和剤を溶液として扱えることが好ましい。
【0025】
この軽量耐火断熱セメントモルタルにあっては、上述の混和剤を用いることにより、分離が抑制され、この軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化させた硬化物の上側と下側とで、密度の違いがほとんど見られない状態となり、極めて均一性が高い軽量耐火断熱硬化物を形成することが可能である。
このように、軽量耐火断熱硬化物の材料の均一性が確保されることで、耐火断熱性に欠かせない熱伝導率の平衡性が保証される。これは断熱性を目的とする製品にとっては非常に重要かつ必要とされる技術である。例えば、材料が不均一な状態だと、熱伝導率が軽量耐火断熱硬化物の系の中で異なることになり、熱の伝わり方が異なってくることで、高温で加熱された場合に、内部に温度の差異が生じ、これに基づいて内部で膨張率が異なる状態が発生する。それが原因となる内部破壊や爆裂を誘発する虞がある。それに対して、この例の耐火被覆層は、内部の均一性が高いことにより、高い耐火性能を持つことになる。
【0026】
上述のように、従来のパーライトを含有する耐火モルタルにおいては、従来の混和剤として、例えば、メチルセルロース等を用いた場合に、耐火モルタルの厚みを15mm程度より大きくしてしまうと、明らかにパーライトが分離するため、耐火モルタルからなる耐火被覆層の厚みを15mm程度より厚くすることが困難であった。したがって、耐火被覆層の厚みを厚くすることで、断熱性能を向上することが困難であった。また、パーライトの含有量を多くして、内部の空隙率を高め断熱性能を向上することも困難であった。さらに、従来のメチルセルロースを混和剤とした場合は、セメントの硬化が進むにつれて水の分離(ブリージング)が観察された。
【0027】
それらに対して、この例の軽量耐火断熱セメントモルタルで形成された耐火被覆層の厚みを、例えば、30mm程度としており、従来のパーライトを用いた耐火モルタルより例えば2倍厚くして耐火被覆層における断熱性能を高めることができる。また、必要があれば、耐火被覆層4の厚みを100mm以上としても、均一性の高い状態を維持できる。また、パーライトの含有量を多くして、空隙率を高めることにより、断熱性能を向上することができる。この際に、上述のようにパーライトや水の分離が前記混和剤により抑制されて、極めて均一性の高い耐火被覆層を形成し、耐火性能を高めることができる。
【0028】
このよう軽量耐火断熱セメントモルタルの利用方法としては、耐火断熱被覆がある。例えば、鉄骨造り構造等の鉄構造物においては、火災時の高温により鉄の強度が短時間の間に極端に低下してしまうのを防止するため、吹き付け工法等により、鉄骨等の鋼材の外面全体に耐火被覆層を形成している。この耐火被覆層に、この例の軽量耐火断熱セメントモルタルを使用することができる。
【0029】
また、コンクリート構造物においても、一般に高強度、高密度コンクリートが、火災等による急激な温度上昇により、結合水などコンクリート内部に蓄積されている水分が膨張し、その膨張圧により爆裂を生じやすいとされていることから、耐火被覆を必要とする場合がある。例えば、二次覆工を省略した道路用のシールドトンネルでは、二次覆工を省略したことにより露出するシールドセグメントが、車両火災等で高温となった際に、シールドセグメントを構成するコンクリートが爆裂しないように、シールドセグメントの内周面に耐火被覆層を形成している。この耐火被覆層にこの例の軽量耐火断熱セメントモルタルを用いることが可能である。
また、この軽量耐火断熱セメントモルタルを鉄筋コンクリート造りの建物において、外断熱の断熱材として使用することも可能である。
【0030】
また、この軽量耐火断熱セメントモルタルの使用時の形態としては、上述のように吹き付け工法で吹き付けられる材料としての使用や、板状に硬化・成形して耐火断熱パネル(耐火板)としての使用が挙げられる。
さらに、上述のようにコンクリートの表面に耐火被覆層を設ける場合に、層状(板状)にこの軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化・成形した後に、この硬化物上にコンクリートを打設すると、コンクリートの成分が硬化物のパーライトによる空隙に入り込み、硬化物とコンクリートとが一体となる。
【0031】
これにより、コンクリート打設時にコンクリートの表面に耐火被覆層を形成することが可能となり、コンクリート硬化後に吹き付けや、耐火板の固定等により後付けで耐火被覆層を形成するより、現場の施工の手間を削減することができる。
また、二次覆工を省略した道路用のシールドトンネルを構築するために、コンクリート製のシールドセグメントを製造する際に、この例の軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化させた耐火被覆層を型枠に配置して、耐火被覆層上にシールドセグメントとなるコンクリートを打設することにより、耐火被覆層が一体に付着したシールドセグメントを製造して用いるものとしてもよい。
この耐火被覆層を有するシールドセグメントでシールドトンネルの一次覆工を行うことにより、シールドトンネルを構成するシールドセグメント内周面に耐火被覆が行われた状態となる。したがって、シールドトンネル工事において、シールドセグメントが既に組み立てられた部分に吹き付け工法や、耐火板を用いた方法で、後付けで耐火被覆を行う必要がなく、シールドトンネル工事の現場作業を省力化することができる。
【0032】
また、後付けで耐火被覆を行う必要がないので、工期の短縮を図ることができる。また、施工中のシールドトンネルの既にシールドセグメントが組み立てられた部分で、耐火被覆の施工を行う必要がないので、施工中のシールドトンネル内に、耐火被覆を施工するための設備が必要なくなり、スペースに限界があるシールドトンネル内の設備を削減して、シールドトンネル内の作業性の向上を図ることができる。
【0033】
また、プレキャストコンクリート製となるシールドセグメントは、例えば、工場で製造されるが、この際に、耐火被覆層の製造および耐火被覆層へのコンクリートの打ち継ぎによるセグメント本体の製造を行うことができる。工場で耐火被覆層を有するシールドセグメントを製造することにより、シールドセグメントの品質を安定させることが可能であるとともに、工場での品質管理レベルで不良品の排除等も容易に行うことが可能であり、現場で耐火被覆の施工に問題が生じるのを防止することができる。
また、高い付着力で耐火被覆層とセグメント本体が付着し、耐火被覆層が剥落するのを防止することができる。
【0034】
また、耐火被覆層を有するシールドセグメントにより設けられたシールドトンネルにおいて、実際に車両火災があった場合に、耐火被覆層がダメージを受ける虞があり、この場合に修復が必要となるが、この耐火被覆層に用いたこの例の軽量耐火断熱セメントモルタルを用いて吹き付け加工が可能なことから、例えば、耐火被覆層のダメージを受けた部分のみを剥ぎ取り、この部分に軽量耐火断熱セメントモルタルを吹き付けることで、耐火被覆層を修復することができる。
【0035】
この際に既存の耐火被覆層部分と、修復された新たな耐火被覆層とで、成分が略同じ状態となり、修復部分においても元の耐火性能を確保することが可能であるとともに、修復部分と既存部分とでの高い均一性を確保することが可能となり、火災前に極めて近い状態に修復することが可能となる。
【実施例】
【0036】
[1]シールドセグメントの耐火性能試験
この実施例では、P&PC(Prestressed&Precast Concrete)セグメント工法で用いられるシールドセグメントの耐火性能試験を行っている。P&PCセグメント工法では、予め、周方向にそって各セグメントで連通するシースを埋め込んだコンクリート製セグメント(セグメント本体3)を組立てた後に、セグメントの一つに設けた切り欠き部からシース内にPC鋼材としてのPC鋼より線を挿入し、緊張定着することによって、セグメントから構成されるリングに周方向にプレストレスを導入するものとなっている。
この例の軽量耐火断熱セメントモルタルからなる耐火被覆層を有し、上述のP&PCセグメントと同様の組成を有するコンクリートからなるとともに、PC鋼材として、アンボンドPC鋼より線およびPC鋼棒によってプレストレスを導入された試験体にRABT60加熱曲線に従った耐火性能試験を行い、試験体各部の温度測定および試験体の爆裂並びに耐火被覆の挙動を観察した。
【0037】
(a)試験体
試験体としては、一つのコンクリートからなり、パネル状の耐火板をアンカーピンで貼り付けて耐火被覆層を設けた実施例1の試験体と、同じく一つのコンクリートからなり、吹き付けにより耐火被覆層を設けた実施例2の試験体と、二つのコンクリートをPC鋼材により緊張定着し、吹き付けにより耐火被覆層を設けた実施例3の試験体と、二つのコンクリートをPC鋼材により緊張定着し、耐火被覆層が設けられていない比較例の試験体とを用いた。
【0038】
各試験体は、鉄筋コンクリート製のシールドセグメントに対応したもので、長さ2000mm、幅600mm、厚さ400mm(耐火被覆層を含まない厚さ)となっている。
鉄筋は、主筋がD22、ループ筋がD13である。
コンクリートは、スランプフロー65cm、空気量2%、水結合材比30.8%、S/a52.3%とされ、コンクリートの配合が、セメント116kg/m3、水160kg/m3、細骨材340kg/m3、粗骨材310kg/m3、混和剤54kg/m3とされている。
【0039】
また、コンクリートの圧縮強度が87.5N/mm2(材齡28日)であり、含水率が4.1%(摂氏105度で6日間乾燥)であり、密度が2430kg/m3であった。
コンクリートの養生方法は、前養生2時間、蒸気養生(昇温15度以下/時間、摂氏40度定温保持4時間、降温15度以下/時間)である。
【0040】
PC鋼材(緊張筋)は、アンボンドPC鋼より線(直径(φ)21.8mm)1本、PC鋼棒(直径(φ)32mm)4本である。なお、アンボンドPC鋼より線は、P&PCセグメントにおけるシールドセグメントの緊張定着を再現するものであり、PC鋼棒は、シールドトンネルに作用する圧力を再現するために用いられたものである。
【0041】
また、コンクリート内には、アンボンドPC鋼より線用のポリエチレンシース(内径42mm)と、鋼製シース(内径45mm)とが埋設されている。
また、アンボンドPC鋼より線には、480kN×1本=480kNの緊張力がかけられ、PC鋼棒には、350kN×4本=1400kNの緊張力がかけられている。
【0042】
耐火被覆材は、上記例の軽量耐火断熱セメントモルタルからなるものであり、パーライトを含み、分離防止の混和剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースとアルミン酸カルシウムを含むものである。
実施例1では、軽量耐火断熱セメントモルタルをパネル状の耐火板に成形して硬化させており、上述のコンクリートの試験体のサイズに対応して、長さ2000mm、幅600mm、厚さ30mmとなっている。
【0043】
実施例1の耐火板を構成する軽量耐火断熱セメントモルタルの水を除く組成は、重量%で、早強ポルトランドセメント55%、パーライト39%、上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースとアルミン酸カルシウムを含む混和剤が6%である。
この軽量耐火断熱セメントモルタルからなる耐火板の密度は450kg/m3である。
この耐火板は、アンカーピン(直径(φ)4mm、長さ60mm)によりコンクリート製の試験体に固定されている。
【0044】
また、実施例2,3の吹き付け用の軽量耐火断熱セメントモルタルの水を除く組成は、重量%で、普通ポルトランドセメント25%、パーライトおよびアルミン酸カルシウムを含む混和剤からなる無機質系混和材が70%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む混和剤からなる有機質系混和材が5%である。
【0045】
また、コンクリートの試験体への吹き付けにおいては、ステンレス製メッシュ筋100mm×100mm(トンネル円周方向に対応する方向(PC鋼より線に沿った方向)のメッシュ筋が直径(φ)1.2mmで、それに直交する軸方向のメッシュ筋が直径(φ)2.0mmとなっている)を、アンカーピン(直径(φ)4mm、長さ25mm)で試験体に固定し、このメッシュ筋が取り付けられた試験体の表面に上述の軽量耐火断熱セメントモルタルを吹き付けることで、厚さ30mmの耐火被覆層を形成している。
吹き付けられて硬化した耐火被覆層の含水率は3.5%(摂氏105度、4日間乾燥)であり、密度は900kg/m3であった。
【0046】
(b)試験方法
試験は独立行政法人建築研究所の水平部材加熱試験装置(炉内寸法:長さ4000mm、幅4000mm、深さ2000mm、内張:セラミックスファイバーボード、熱源:都市ガス)を使用して行った。
(1)加熱方法
加熱は、RABT60加熱曲線に従って行った。加熱温度の測定はJIS C 1602(熱電対)に規定するクラス2の性能を持つ線径1.6mmのK熱電対を用いて試験体から1000mm離した位置で測定し制御した。RABT60加熱曲線を図1に示す。
(2)試験体各部の温度測定方法は、JIS C 1602(熱電対)に規定するクラス2の性能を持つ線径0.65mmのK熱電対を用いて測定した。
測定位置は、コンクリート製の試験体の表面(耐火被覆層に覆われた部分)TC1と、試験体の背面TC7と、試験体内部で表面側から背面に向って位置が順にずらされたTC2〜TC6である。TC2〜TC6の位置は、この順で表面側から離れている。
表面からの距離は、TC1が0mm、TC2が66mm、TC3が100mm、TC4が175mm、TCが200mm、TC6が300mm、背面のTC7が400mmとなる。
【0047】
また、厚みの中央に配置されたシース内のアンボンドPC鋼より線にも上述のK熱電対が取り付けられており、長さ方向の左右端部から300mm離れた位置に測定位置としてのTS1とTS5が配置され、その間に350mmおきに三つの測定位置TS2〜TS4が配置されている。
【0048】
(c)試験結果
図2に実施例1の試験体のコンクリート部分の温度測定結果のグラフを示し、図3に実施例1の試験体のアンボンドPC鋼棒部分の温度測定結果を示す。図4に実施例2の試験体のコンクリート部分の温度測定結果のグラフを示し、図5に実施例2の試験体のアンボンドPC鋼棒部分の温度測定結果を示す。図6に実施例3の試験体のコンクリート部分の温度測定結果のグラフを示し、図7に実施例3の試験体のアンボンドPC鋼棒部分の温度測定結果を示す。図8に比較例の試験体のコンクリート部分の温度測定結果のグラフを示し、図9に比較例の試験体のアンボンドPC鋼棒部分の温度測定結果を示す。
【0049】
各グラフに示されるように、耐火被覆の無い比較例では、試験体の最高となった表面温度が摂氏1169度に達しているのに対して、耐火板を用いた実施例1では摂氏221度、吹き付けによる耐火被覆を用いた実施例2および実施例3では、摂氏100度と、摂氏101度であり、この例の軽量耐火断熱セメントモルタルからなる耐火被覆に十分な断熱性能が認められる。また、試験体内部温度およびPC鋼より線温度も十分に低い温度に抑えられていた。
また、目視による観察結果では、比較例において試験体の加熱側表面のほぼ全面に爆裂が見られるとともに、爆裂の最大深さが42mmで、一部ループ筋の露出が見られたのに対して、実施例1,2,3においては、爆裂は認められず、表面に加熱後の変化は見られなかった。
【0050】
また、実施例1においては、耐火板に試験体からの一部の剥離と収縮ひび割れが見られ、吹き付けによる実施例2および実施例3においては、剥離は認められず収縮ひび割れが見られた。いずれにおいても、爆裂は認められなかった。
【0051】
[2]5%硫酸滴下試験
上記例の軽量耐火断熱セメントモルタルをシールドトンネルの内周面の耐火被覆材として用いた場合の自動車の排ガスに対する耐久性を見るために上記例の軽量耐火断熱セメントモルタルからなる板状の試験体に5%硫酸を滴下する試験を行った。
【0052】
(a)試験体
軽量耐火断熱セメントモルタルの配合量は、早強ポルトランドセメントが50kg(519.8kg/m3)、パーライトが18kg(187.1kg/m3)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとアルミン酸カルシウムを含む混和剤(添加剤)が2.8kg(29.2kg/m3)、水が20.6kg(214.1kg/m3)である。
前記混和剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが140g含まれ、アルミン酸カルシウムが140g含まれている。
この軽量耐火断熱セメントモルタルを幅100mm、奥行き100mm、厚さ30mmの型枠に打設して、打材齡28日まで摂氏20度で養生し、試験体とした。
【0053】
(b)試験方法
試験体に5%硫酸溶液を2ml滴下し、24時間後の表面状態を観察して、試験前との状態を確認した。また、3つの試験体に対して試験を行った。
【0054】
(c)試験結果
3つの試験体とも硫酸溶液の滴下部分が白く変色するものの、試験体にへこみ、劣化などの異常は見られず、排ガスに対しても耐性があるものと認められる。
また、試験前、後の試験体質量ついては、硫酸溶液の滴下24時間後の質量が、滴下前より0.8g(0.2%)増加した。
【0055】
[3]水性に関する試験
(a)試験体
試験体となる軽量耐火断熱セメントモルタルの配合量は、5%硫酸滴下試験と同じとした。
JIS A 1132「コンクリートの強度試験体用供試体の作り方」に準じて直径(φ)100mm×200mmの試験体を作成した。この際に材齡3日間まで湿潤養生し、さらに材齡28日まで養生した。
【0056】
(b)試験方法
摂氏20度で上下摂氏3度の範囲内の水中に試験体を28日間浸漬し、その後圧縮強度試験を行った。比較例として、水に浸漬する前の試験体の圧縮強度試験を行った。
【0057】
(c)試験結果
水への浸漬前の圧縮強度試験結果を表1に示し、浸漬後の圧縮強度試験結果を表2に示し、浸漬前と浸漬後との平均破壊強度と、平均単位体積質量と、これらの浸漬前と浸漬後の変化率を表3に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
表3に示されるように、浸漬前に比較して浸漬後の単位体積質量が2.5%増加し、破壊強度が9.2%増加し、十分に耐水性があることが示された。
【0062】
[4]耐衝撃性試験
車両の走行による飛び石などによる耐久性を確認するために試験体の鋼球を落下させる耐衝撃性試験を行った。
【0063】
(a)試験体
試験体となる軽量耐火断熱セメントモルタルの配合量は、5%硫酸滴下試験と同じとした。
試験体は、縦300mm、横300mm、厚さ30mmの型枠に軽量耐火断熱セメントモルタルを打設し、2日後に脱型した後に、材齡28日まで養生した。
また、試験体と同じサイズのコンクリート板を作成した。
【0064】
(b)試験方法
試験体の下側に上述のコンクリート板を重ねた状態で、砂上全面支持(JIS A 1408に準拠)によって表面を水平に保持し、試験体に重量500gの鋼球を高さ70cmから落下させた。なお、3つの試験体に対して、それぞれ3回鋼球を落下させた。
【0065】
(c)試験結果
試験結果を表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
表4に示すように、鋼球の落下箇所にへこみが生じ、若干の表面剥離が認められたが、クラックは全くなく、十分な耐衝撃性を有することが確認された。
【0068】
[5]付着強度試験
実施の形態に示される軽量耐火断熱セメントモルタルの耐火被覆層のセグメント本体への付着強度を確認するために軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化かさせて耐火被覆層を形成し、耐火被覆層上にコンクリートを打設してコンクリートと耐火被覆層を一体化した後に、耐火被覆層に引張力をかけて耐火被覆層をコンクリートから引き剥がすのに必要な力(破壊応力度)を測定した。
【0069】
(a)試験体
試験体となる軽量耐火断熱セメントモルタルの配合量は、5%硫酸滴下試験と同じとした。
試験体は、縦300mm、横300mm、厚さ30mmの型枠に軽量耐火断熱セメントモルタルを打設して耐火被覆層を形成し、3日間気中養生後、その上に厚さ100mmのコンクリートを打設し、28日間養生後、碁盤状に縦40mm、横40mmの間隔で耐火被覆層の部分をカッターで切断した。
【0070】
(b)試験方法
鋼製アタッチメントを、試験体の耐火被覆層のカッターで40mm四方に分割した部分にエポキシ樹脂で貼り付け、30分後に、耐火被覆層が引き剥がされる(耐火被覆層が破壊される)まで、鋼製アタッチメントに垂直方向に張力を作用させた。
また、上述の40mm四方にカッターで耐火被覆層を切断した部分の5箇所で上述の試験を行った。
【0071】
また、耐火被覆層の剥離防止に必要な付着強度を0.00035N/mm2とした。
これは、縦40mm、横40mm、厚さ30mmの耐火被覆層の質量を、耐火被覆層の比重1.2g/cm3として、4(cm)×4(cm)×3(cm)×1.2(g)=57.6g=0.56Nとなり、単位面積当たりの必要付着強度を0.56/(40×40)=0.00035N/mm2としたものである。
【0072】
(c)試験結果
耐火被覆層が引き剥がされた(破壊された)際の破壊荷重と破壊応力強度と、破壊応力度/必要付着強度比を表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
表5に示すように、剥離防止に必要な付着強度に対して500倍から3000倍となる十分な強度が得られた。
【0075】
[6]曲げ強度試験
実施の形態に示される耐火被覆層のセグメント本体の変位に対する追従性能を確認するために、軽量耐火断熱セメントモルタルを硬化かさせて耐火被覆層を形成し、耐火被覆層上にコンクリートを打設してコンクリートと耐火被覆層を一体化した後に、一体化されたコンクリートおよび耐火被覆層に対して曲げ強度試験を行った。
【0076】
(a)試験体
試験体となる軽量耐火断熱セメントモルタルの配合量は、5%硫酸滴下試験と同じとした。
試験体は、長さ400mm、幅100mm、厚さ30mmの型枠に軽量耐火断熱セメントモルタルを打設して耐火被覆層を形成し、3日間養生後、その上に厚さ100mmのコンクリートを打設し、摂氏20度で材齡28日まで養生した。
(b)試験方法
JIS A 1106「コンクリートの曲げ強度試験方法」に準拠し、セグメント本体に対する耐火被覆層の追従性能を確認した。
【0077】
試験体の耐火被覆層を下、コンクリート層を上にし、試験体の下面を、試験体の長手方向に間隔をあけた2箇所で試験体の長手方向に直交する丸棒状の支持材で支持した。この際の支持部材の間隔を300mmとし、この間隔の中央を試験体の長手方向の中央とした。
この試験体の上面に、試験体の長手方向に間隔をあけた2箇所でそれぞれ試験体の長手方向に直交する丸棒状の押圧部材で鉛直方向に力をかけた。この際の2つの押圧部材の間隔を100mmとし、この間隔の中央を試験体の長手方向の中央とした。
また、三つの試験体に対して試験を行い、二つの試験体に対しては、耐火被覆層にクラックが発生するまで力をかけ、1つの試験体については、試験体が破壊されるまで力をかけた。
【0078】
(c)試験結果
試験結果を表6に示す。耐火被覆層にクラックが生じても、試験体が破壊されても、コンクリート層と耐火被覆層との間に剥離が生じることはなかった。
【0079】
【表6】

【0080】
[7]耐火材の吸水性に関する試験
軽量耐火耐熱材を硬化させて耐火被覆層を形成した後に、耐火被覆層上にコンクリートを打設した場合に、コンクリート中の水分が耐火被覆層に移動する状況を確認するための試験を行った。
【0081】
(a)試験体
直径(φ)100mm、厚さ30mmの型枠にコンクリートを打設して、3日間養生して試験体を作成した。
(b)試験方法
透明なアクリルの円筒形のパイプ(内径100mm、高さ400mm)を用い、試験体をパイプの一旦にセットし、試験体の外周面とパイプの内周面との間にコーキング材を充填し、3日間養生した。その後、試験体を下にするとともに、パイプの試験体側となる下端側にパイプの開口を塞ぐようにガラス板を配置した状態で、パイプの試験体上に総高さで400mmまでコンクリートを打設した。打設されたコンクリート中の水分が耐火被覆材に移動する状況を目視で確認した。
この際に打設されたコンクリートは、スランプ8cm、水/セメント比が38.2%であった。
【0082】
(c)試験結果
コンクリート打設直後には、耐火被覆層の底面側に水滴は見られなかった。
コンクリート打設24時間後、耐火被覆層の底面側に水滴は見られなかったが、パイプの耐火被覆層側端部を閉塞するガラス板に水滴が見られた。また、パイプの耐火被覆層部分の内周面に水滴が見られた程度であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、パーライト、水およびこれらの分離を抑制する添加剤とを含み、
前記添加剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アルミン酸カルシウムとを含むことを特徴とする軽量耐火断熱セメントモルタル。
【請求項2】
前記添加剤が、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび前記アルミン酸カルシウムを水に溶解させた溶液となっていることを特徴とする請求項1に記載の軽量耐火断熱セメントモルタル。
【請求項3】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース/セメント比が0.1重量%〜5重量%の範囲とされ、前記アルミン酸カルシウム/セメント比が0.01重量%〜5重量%の範囲とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軽量耐火断熱セメントモルタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−213531(P2011−213531A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82703(P2010−82703)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)
【出願人】(593012402)SMCコンクリート株式会社 (16)
【出願人】(504442067)有限会社中林工業 (7)
【Fターム(参考)】