説明

軽量防護衣

本発明は、防護服で使用するためのブレンド繊維、このようなブレンドから作製された軽量生地、ブレンドまたは生地から作製された防護製品、および生地を製造する方法に関する。本発明の防護生地および製品は、快適であり、電気的アークおよびフラッシュ火災危険性に対して高度に効果的であり、見た目がよいという独特な組み合わせを有する。具体的には、これらの生地を処理して、デニム生地などの従来の被服生地と同様の見かけと感触を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護服で使用するためのブレンド繊維、このようなブレンドから作られた軽量生地、ブレンドまたは生地から作られた防護製品、および生地を製造する方法に関する。本発明の防護生地および製品は、快適であり、電気的アークおよびフラッシュ火災危険性に対して高度に効果的であり、見た目がよいという独特な組み合わせを有する。具体的にはこれらの生地を処理して、デニム生地などの従来の被服生地と同様の外見と感触を与えることができる。
【背景技術】
【0002】
電気的アークおよびフラッシュ火災に対する防護のために、いくつかのタイプの市販製品が使用されている。カナダ国ケベック州モントリオールのジフコ・パフォーマンス・ファブリックス(DIFCO Performance Fabrics,Inc.(Montreal,Quebec,Canada))は、非晶質メタ−アラミド繊維を含有する、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維だけからできた紺色生地を「ジェネシス(Genesis)」の商品名の下に販売する。ジョージア州ユニオン・シティのサザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc.(Union City,GA))は、これもノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維だけからできた深青緑のソリッド・カラーの防護生地を「アットイーズ(AtEase)950」および「ディフェンダー(Defender)950」の商品名の下に販売する。これらの生地は良好なアーク防護性能を有するが、それらはほとんど完全にアラミド繊維から構成されているので、一般に伝統的衣料生地ほど快適でないと見なされる。
【0003】
サザーン・ミルズ(Southern Mills)はまた、35重量%の難燃性レーヨンステープル繊維と、非晶質メタ−アラミド繊維を含有する65重量%のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維との密接なブレンドから作られた紺青色の防護生地も「コンフォートブレンド(ComfortBlend)」の商品名の下に販売する。難燃性レーヨンの添加は、アーク防護性能を犠牲にしてこの生地の快適さを増大させる。
【0004】
カリフォルニア州オックスフォードのワークライト・ユニホーム(Workrite Uniform Company(Oxford,CA))は、「デニムジーンカットパンツ」と説明される衣類(スタイル#410−NMX−85−DN)を販売する。この衣類は、(結晶化メタ−アラミド繊維を含有する)ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN−302ステープル繊維を生地の縦方向に、そして(非晶質メタ−アラミド繊維を含有する)ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプT−462ステープル繊維を横方向に有する生地から作られていると考えられる。この生地は、良好なアーク防護性能を有しながら見た目がよくなく、ほとんど完全にアラミド繊維から構成されているので一般にあまり快適でない。
【0005】
アラミド生地は、染色することが伝統的衣料生地よりも困難であることがよく知られており、アラミド繊維の%結晶度は、繊維が染色できる程度に劇的に影響する。アラミド繊維の結晶度がより高いほど、染色するのがより困難になる。このようなアラミド生地に、綿デニム生地の一般的外見を与えることは、アラミド繊維結晶度の違いのために特に困難である。綿繊維をメタ−アラミド繊維とブレンドすることによる綿の単なる添加は、この問題の適切な解決方法を提供しない。綿を難燃性にするためには、それを化学的に処理しなくてはならない。これは生地形態で行われるが、それは生地を硬化させ、柔軟性を低下させる。これによって、この生地から作られたあらゆる防護衣は、未処理生地から作られた衣料よりも快適さが劣るようになる。
【0006】
必要なのは、良好な電気的アークおよびフラッシュ火災性能だけでなく、デニム生地のような伝統的生地のそれに近い見かけと感触も有する生地である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、防護衣で使用するための繊維ブレンド、および繊維ブレンドから作られた生地および防護製品に関する。繊維ブレンドは、非晶質メタ−アラミド繊維、結晶メタ−アラミド繊維、および難燃性セルロース系繊維を含んでなる。本発明の一実施態様は、非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーンと、結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーンとから作られた、防護衣のための生地に関する。好ましくは第1および第2のヤーンは、生地中に互いに交差して存在する。
【0008】
本発明はまた、非晶質メタ−アラミド繊維と、着色、染色、または彩色された結晶メタ−アラミド繊維と、難燃性セルロース系繊維とを含んでなるブレンド繊維を生地中に組み込む工程と、生地中の繊維を染色する工程とを含む、防護衣のための生地を製造する方法にも関する。この生地を製造する方法の実施態様は、生地中に、
(i)非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーン、および
(ii)着色され、染色され、または彩色された結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーン
を組み込む工程と、
生地中の繊維を染色する工程
を含んでなり、前記第1のヤーンは第2のヤーンに交差する。
【0009】
生地の形成後に、難燃性セルロース系繊維を染色するための1つの工程、およびメタ−アラミド繊維を染色するための別の工程の2つの別々の工程で染色すれば、改善されたアーク防護が得られることもまた、思いがけなく発見された。
【0010】
したがって本発明は、
a)生地中に、
(i)非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーン、および
(ii)結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーン
を組み込む工程と、以下の工程、
b)生地中のセルロース系繊維を染色する工程と、
c)生地中のメタ−アラミド繊維を染色する工程と
をいずれかの順で含んでなり、
前記第1のヤーンが第2のヤーンに交差する、
防護衣のための生地を製造する方法にさらに向けたものである。
【0011】
本発明の好ましい実施態様では、生地は、少なくとも1.30、およびより好ましくは1.40カロリー/平方センチメートル(平方ヤード当たりオンスに基づいて計算された)の電気アーク防護格付けを有する(ASTM F−1959に従った)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、繊維ブレンド、防護生地およびこのような生地を製造する方法、および結晶質および非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維の組み合わせから作られる防護製品に関する。防護生地および製品は、電気的アークおよびフラッシュ火災からの作業者の防護において特に有用である。
【0013】
繊維ブレンドとは、あらゆる様式の2つ以上の繊維タイプの組み合わせを意味する。これは少なくとも2つのタイプのステープル繊維の密接なブレンドおよび混合物、1タイプの繊維のステープルヤーンと別のタイプの繊維の別のステープルヤーンとの単純な組み合わせ、ヤーン中で混じり合う2つ以上の繊維タイプを有する連続的マルチフィラメントヤーン、および1タイプの繊維の連続のフィラメントヤーンと別のタイプの繊維の別の連続のフィラメントヤーンとの単純な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。「密接なブレンド」とは、ヤーンを紡ぐのに先だって、2つ以上の繊維クラスがブレンドされていることを意味する。
【0014】
繊維ブレンドは、好ましくは10インチまでのステープル長のステープル繊維から作られる。一般にブレンドの50〜85重量%、および好ましくは60〜75重量%がメタ−アラミド繊維から作られる。50重量%未満では、適切な電気的アーク防護を提供しないと考えられている。一般に難燃性セルロース系繊維が、15〜50重量%、好ましくは25〜40重量%の量でブレンド中に存在して、生地に所望の外見を確実に与えるべきである。一般に結晶および非晶質メタ−アラミド繊維は、実質的に等しい百分率で存在するが、実際の均衡は、どちらかのメタ−アラミド構成要素の3分の1から3分の2の範囲に及ぶことができる。
【0015】
本発明の繊維ブレンドは、本質的に難燃性であるメタ−アラミド繊維を含む。「アラミド繊維」とは、アミド(−CONH−)連結の少なくとも85%が2個の芳香族環に直接付着している、1つもしくはそれ以上の芳香族ポリアミドから作られた、1つもしくはそれ以上の繊維を意味する。芳香族ポリアミドは、アミド溶剤中にアミド連結を生じる、芳香族二酸クロリドと芳香族ジアミンとの反応によって形成される。アラミド繊維は、いくつかの方法を使用して乾燥または湿潤紡績で紡いでもよいが、米国特許第3,063,966号明細書、米国特許第3,227,793号明細書、米国特許第3,287,324号明細書、米国特許第3,414,645号明細書、米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、米国特許第3,767,756号明細書、米国特許第5,667,743号明細書が、本発明で使用できるアラミド繊維を製造するのに有用な紡績方法を例証する。
【0016】
2つの一般的タイプのアラミド繊維としては、(1)その1つがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)から構成され、MPD−Iとも称されるメタ−アラミド繊維、および(2)その1つがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)から構成され、PPD−Tとも称されるパラ−アラミド繊維が挙げられる。メタ−アラミド繊維は、現在、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours(Wilmington,Delaware))から、商標ノメックス(Nomex)(登録商標)の下にいくつかの形態で入手できる。市販されるノメックス(Nomex)(登録商標)T−450は100%メタ−アラミド繊維であり、ノメックス(Nomex)(登録商標)T−455iは95%ノメックス(Nomex)(登録商標)メタ−アラミド繊維と5%ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維のステープルブレンドであり、ノメックス(Nomex)(登録商標)T−462は、93%ノメックス(Nomex)(登録商標)メタ−アラミド繊維と5%ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維と2%炭素コアナイロン繊維とのステープルブレンドである。ノメックス(Nomex)(登録商標)N302は、93%の製造元彩色ノメックス(Nomex)(登録商標)メタ−アラミド繊維と5%の製造元彩色ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維と2%炭素コアナイロン繊維とのステープルブレンドである。さらにメタ−アラミド繊維は、日本国東京の帝人(Teijin,Ltd.(Tokyo,Japan))および日本国大阪のユニチカ(Unitika,Ltd.(Osaka,Japan))によってそれぞれ製造される、商標コネックス(Conex)(登録商標)およびアピエール(Apyeil)(登録商標)の下で、様々なスタイルで入手できる。
【0017】
メタ−アラミド繊維は、追加的加熱または化学処理なしに、溶液から紡いで急冷し、ガラス転移温度未満の温度を使用して乾燥させると低レベルの結晶度のみを生じ、本発明の目的では「非晶質」メタ−アラミド繊維と称される。このような繊維は、ラマン散乱技術を使用して繊維の結晶度を測定すると、15%未満の%結晶度を有する。本発明の目的では、「結晶」メタ−アラミド繊維とは、ラマン散乱技術を使用して繊維の結晶度を測定すると25%を超える%結晶度を有する繊維である。ここで言及されるように、ノメックス(Nomex)(登録商標)T−450およびノメックス(Nomex)(登録商標)N302中のメタ−アラミド繊維は26〜30%の結晶度を有し、ここでは結晶と見なされる。ノメックス(Nomex)(登録商標)T−462およびノメックス(Nomex)(登録商標)T−455中のメタ−アラミド繊維は、5〜10%の結晶度を有し、ここでは非晶質と見なされる。
【0018】
非晶質メタ−アラミド繊維は、加熱または化学手段の使用によって結晶化できる。結晶度レベルは、ポリマーのガラス転移温度以上での熱処理によって増大できる。このような熱は、張力下で、繊維に所望の量の結晶度を与えるのに十分な時間、繊維を加熱ロールに接触させて典型的に適用される。繊維中の結晶度レベルもまた、繊維の化学処理によって増大できる。具体的には、染料キャリアの存在下で繊維を染色することで、非晶質m−アラミド繊維を結晶化でき、染料キャリアは結晶度を増大させる上での活性作用薬である。さらに染料キャリアの化学作用を使用して、既に熱処理された繊維に対する結晶度を増大できるので、ここでの定義では結晶性である。
【0019】
結晶性および非晶質メタ−アラミド繊維のブレンドを難燃性セルロース系繊維と組み合わせる。難燃性セルロース系ステープル繊維は、1つもしくはそれ以上のセルロース系繊維および1つもしくはそれ以上の難燃性化合物を含んでなる。レーヨン、アセテート、トリアセテート、および(セルロースから誘導される繊維の総称である)リヨセルなどのセルロース系繊維は技術分野でよく知られている。これらの繊維は、アラミド繊維よりも涼しく、より高い湿度回復を有し、快適な衣料がこれらの繊維から製造できる。このような難燃性繊維はまた、従来の染色方法を使用して容易に染色され、伝統的な見かけの衣料生地が製造される。
【0020】
セルロース系繊維は、本質的に難燃性繊維よりも柔らかく安価であるが、自然に難燃性ではない。これらの繊維の防火能力を増大させるために、セルロース系繊維の中に、またはそれと共に1つもしくはそれ以上の難燃剤が組み込まれる。このような難燃剤は、難燃剤をセルロース系繊維中に紡ぎ込んで、セルロース系繊維を難燃剤で被覆して、セルロース系繊維を難燃剤と接触させセルロース系繊維に難燃剤を吸収させて、またはセルロース系繊維中に、またはそれと共に難燃剤を組み込むあらゆるその他の方法によって組み込める。例えば現在サンド(Sandoz)から入手できるサンドラスト(Sandolast)9000(登録商標)のような特定のリン化合物、特定のアンチモン化合物などをはじめとする、多様なこのような難燃剤がある。概して1つもしくはそれ以上の難燃剤を含有するセルロース系繊維は、難燃性に対して「FR」という名称を与えられる。したがってFRレーヨン、FRアセテート、FRトリアセテート、およびFRリヨセルなどの難燃性セルロース系繊維を本発明で使用してもよい。難燃性セルロース系繊維はまた、フィンランドのサテリ・オイ(Sateri Oy)(Finland)から入手できるヴィジル(Visil)(登録商標)などの様々な商標の下に入手できる。ヴィジル(Visil)(登録商標)繊維は、セルロース担体構造中に、ポリケイ酸の形態の二酸化ケイ素を含有し、ポリケイ酸はケイ酸アルミニウム部位を含有する。この難燃性セルロース系繊維を製造する方法は、例えば米国特許第5,417,752号明細書で一般に開示されている。別の有用なFRレーヨンは、ビスコースFRの名称の下に、レンツィング(Lenzing)AGから入手できる(オーストリアのレンツィング・ファイバーズ(Lenzing Fibers(Austria))から入手できるレンツィング(Lenzing)FR(登録商標)としても知られている)。この難燃性レーヨン繊維を製造する方法は、例えば米国特許第5,609,950号明細書で一般に開示される。
【0021】
好ましい難燃性セルロース系繊維は難燃性レーヨンである。レーヨンは技術分野でよく知られており、セルロース溶液を圧搾または延伸して、様々な変性セルロースの溶液から作られたフィラメントの総称である。レーヨンを製造するためのセルロースベースは、木材パルプから得られる。
【0022】
本発明の繊維ブレンドは、さらに、好ましくは火炎強度を増大させ、熱収縮を低下させるために、少量のパラ−アラミド繊維を含有する。パラ−アラミド繊維は、現在、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours(Wilmington,Delaware))から商標ケブラー(Kevlar)(登録商標)の下に、および日本国東京の帝人(Teijin,Ltd.(Tokyo,Japan))からトワロン(Twaron)(登録商標)の下に入手できる。ここでの目的では、日本国東京の帝人(Teijin,Ltd.(Tokyo,Japan))から入手できる、コポリ(p−フェニレン/3,4’ジフェニルエステルテレフタルアミド)から作られるテクノーラ(Technora)(登録商標)繊維が、パラ−アラミド繊維と見なされる。パラ−アラミド繊維は、繊維ブレンド中に約25重量%までの量で存在してもよいが、パラ−アラミド繊維が約10重量%未満の量で存在することが好ましい。
【0023】
本発明の繊維ブレンドは、米国特許第4,612,150号明細書(デ・ハウイット(De Howitt))および米国特許第3,803,453号明細書(ハル(Hull))で述べられる方法によって与えられるように、場合により約1〜5重量%の導電性繊維またはフィラメントをさらに含んでなり、そこでは導電性繊維が、カーボンブラックまたはその同等物がその中に分散する繊維を含んでなり、繊維に帯電防止性能を提供する。好ましい帯電防止繊維は、炭素コアナイロン繊維である。本発明中への帯電防止繊維の統合は、帯電防止特性を持つブレンドからできた生地を提供するので、生地は帯電傾向が低下するため、見かけの電界強度および厄介な帯電が低下する。
【0024】
本発明の一実施態様は、結晶および非晶質メタ−アラミド繊維、およびFRセルロース系繊維の繊維ブレンドを含んでなる生地である。繊維ブレンドは多くの異なるやり方で生地に組み込むことができる。好ましい生地は、ヤーンから作られた織布である。「ヤーン」とは、紡がれて、または共に撚られて連続のストランドを形成する繊維の集合を意味し、ストランドはウィービング、ニッティング、ブレーディング、またはプレイティングで使用して、または別のやり方でテキスタイル材料または生地にすることができる。このようなヤーンは、例えばリング紡績、または空気を使用してステープル繊維をヤーンに撚るムラタ・エアジェット紡績などのより高速のエア紡績技術などのステープル繊維をヤーンに紡ぐ従来の方法によって製造できる。
【0025】
繊維ブレンドを生地に組み込む一方法は、最初にあらゆる他の所望のステープル繊維と共に、結晶メタ−アラミド、非晶質メタ−アラミド、およびFRセルロース系ステープル繊維を共にブレンドして密接なブレンド繊維を形成し、次にステープルヤーンの密接なブレンドのスライバーを形成して、次にリングまたはエアジェット紡績などの方法を使用して、スライバーをヤーンに紡ぐなどの従来の技術を使用して、スパンステープルヤーンを形成することである。繊維を生地にブレンドする代案の方法は、結晶メタ−アラミドステープル繊維およびFRセルロース系繊維を含有するが、非晶質メタ−アラミド繊維を含有しない、単一ステープルヤーンを作ることである。次にこの単一ヤーンを非晶質メタ−アラミドステープル繊維およびFRセルロース系繊維を含有するが結晶メタ−アラミド繊維含有しない単一ステープルヤーンと重ねる。
【0026】
別の代案であり好ましい方法は、同一タイプの単一ステープルヤーンの2つを共に重ねて、FRセルロース系繊維および結晶性または非晶質メタ−アラミド繊維のみを有するこの最初の重なったヤーンを生地の縦または横方向に組み込むことである。次に別のタイプのメタ−アラミド繊維およびFRセルロース系繊維から作られた第2の重なったヤーンを第1の重なったヤーンと交差する方向に生地中で使用する。結晶性メタ−アラミド繊維を含有する重なったヤーンを生地の縦方向で使用し、一方、非晶質メタ−アラミド繊維を含有する重なったヤーンを横方向で使用することが好ましい。一般に結晶性メタ−アラミドの重なったヤーンが非晶質メタ−アラミド横方向ヤーンよりも細いことが好ましい。これらの方法は制限を意図せず、生地にステープル繊維を組み込むその他の方法が可能である。これらの全てのステープルヤーンは、製品の性能が劇的に損なわれない限り、その他の繊維で作ることができ、それらを含有することができる。
【0027】
繊維ブレンドを生地に組み込む別の方法は、連続のフィラメントを混合して、混合マルチフィラメントヤーンを形成することによる。さらに別の方法は、1つの繊維構成要素の個々の連続マルチフィラメントヤーンを形成し、そのヤーンをその他の繊維構成要素の個々のマルチフィラメントヤーンと混合する。これらの全ての連続フィラメントヤーンはまた、その他のタイプのフィラメントを含有できる。これらの方法は制限を意図せず、生地に連続のフィラメントを組み込むその他の方法が可能である。
【0028】
本発明の生地の所望の混色外見および美的アピールは、ステープル繊維ヤーンの使用によってより明確にでき、これらのステープルヤーンの好ましい配置は、結晶性繊維を含んでなるステープルヤーンを、非晶質繊維を含んでなるステープルヤーンに交差することである。したがって伝統的な織布では、好ましい配置は、結晶性繊維ヤーンを縦方向にして非晶質繊維ヤーンを横方向にする、または非晶質繊維ヤーンを縦方向にして、結晶性繊維ヤーンを横方向にすることである。このような配置は生地に最も感じのよい視覚的外見を与える。
【0029】
織布では、結晶性m−アラミド繊維が生地に組み込まれるのに先だって、彩色され、着色され、または染色されてもよい。これは例えば米国特許第4,668,234号明細書、米国特許第4,755,335号明細書、米国特許第4,883,496号明細書、および米国特許第5,096,459号明細書で開示されるように、結晶性および非晶質メタ−アラミド繊維の双方を染色する方法によって達成できる。縦方向および横方向ヤーンの双方に、FRレーヨン繊維を含めることもまた好ましい。次にこの生地を染色して衣類に製造でき、または代案としては生地を衣類に製造して衣類毎に染色できる。染料キャリアとしても知られている染料助剤は、一般にFRセルロース系繊維を染色するのには必要ないが、使用してアラミド繊維の染料取り込みを増大させるのを助けてもよい。染料キャリアを使用して生地を染色することで、結晶性および非晶質メタ−アラミド繊維双方の結晶度が増大する。有用な染料キャリアとしては、アリールエーテル、ベンジルアルコール、またはアセトフェノンが挙げられる。染色後、セルロース系繊維に使用される従来の方法を使用して、生地を一般にさらに安定化させ、洗濯による収縮を避ける。その1つがサンホライジング(Sanforizing)(登録商標)であるこのような方法は、技術分野でよく知られている。
【0030】
しかしメタ−アラミド繊維による形成後に生地が染色され、難燃性セルロース系繊維が別々の工程で染色されると、思いがけなく改善されたアーク防護が観察された。メタ−アラミド繊維は、先行する段落で述べたようにして、カチオン性染料などで染色してもよい。セルロース系繊維は、反応性染料などの従来の様式で染色してもよい。典型的な反応性染料は繊維と反応して、ヒドロキシルおよび酸素結合を生じて、堅牢性の鮮やかな色をもたらす。セルロース系繊維の場合、典型的に結合は、セルロース分子上に存在するヒドロキシル基による。
【0031】
本発明の好ましい生地は、少なくとも1.30、およびより好ましくは1.40カロリー/平方センチメートル(平方ヤード当たりオンスに基づいて計算された)の電気アーク防護を有する。アーク格付けはASTMF−1959に従って決定した。
【0032】
本発明の生地は、防護衣類、特に作業者が電気的アークまたはフラッシュ火災に暴露するかもしれない産業用途を有する衣類の中で有用であり、その中に組み込むことができる。衣類としては、火災、火炎、および熱に対する防護が必要な場合のコート、ジャケット、シャツ、パンツ、スリーブ、エプロン、およびその他のタイプの衣料が挙げられる。
【0033】
本発明の一実施態様は、生地中に非晶質および結晶性メタ−アラミド繊維のブレンドを組み込んで、次に生地を染色する工程を含んでなる、混色の外見を有する生地を製造するための方法である。好ましくは結晶性繊維は、生地中に組み込まれるのに先だって着色、染色、または彩色される。
【0034】
好ましい方法は、結晶性メタ−アラミドヤーンを交差するヤーン中に、非晶質メタ−アラミド繊維を組み込む工程を含んでなる。例えば織布中では非晶質ヤーンが横方向で、結晶性ヤーンが縦方向であり、または結晶性ヤーンが横方向で、非晶質ヤーンが縦方向であることができる。
【0035】
生地を製造した後に、例えばジェット、ビーム、またはジグ染色装置を使用して従来の染色方法を使用し、それを染色できる。FRレーヨン繊維は、従来の染料および方法で容易に染色する。しかしアラミドを染色する場合は、染料キャリアが好ましくは使用される。
【0036】
試験法
電気アーク防護格付けは、各生地のアーク熱性能値(ATPV)を判定するためのASTMF−1959に従って得られたが、これはその生地を身につけている人物が、このような曝露の50%で2度程度の火傷が起きるのと同等である、暴露できるエネルギー量の測定値である。基本重量値はFTMS191A;5041に従って得た。破壊強さはASTM D−5034(掴み試験G)に従って得た。引裂き強さ値はASTM D−5587(トラップ破れ)に従って得た。試験生地からできた標準パターンのカバーオールを着せた機器搭載サーマルマネキンを使用して、フラッシュ火災防護レベル試験をASTMF−1930に従って行った。
【0037】
良質で本質的に空隙のないサンプルを使用して、最初に結晶度に対する直線較正曲線を作成して、メタ−アラミドの%結晶度を判定した。このような空隙のない良好なサンプルでは、比容積(1/密度)は、2相モデルを使用して結晶度と直接に関連づけられる。サンプル密度は、密度勾配カラム内で測定される。X線拡散法によって非結晶性であると判定されたメタ−アラミドフィルムが測定され、1.3356g/cmの平均密度を有することが分かった。次にX線ユニットセルの寸法から、完全に結晶性のメタ−アラミドサンプルの密度が1.4699g/cmであることを判定した。ひとたびこれらの0%および100%結晶度終点が確立されると、密度が知られているあらゆる良好な(空隙のない)実験的サンプルの結晶度は、この直線関係から判定される。
【0038】
【数1】

【0039】
多くの繊維サンプルは完全に空隙フリーではないので、ラマン分光法が結晶度を判定する好ましい方法である。ラマン測定は空隙含量に対して感応性ではないので、1650−1cmにおけるカルボニルストレッチの相対強度を使用して、空隙があるかどうかに関わらず、あらゆる形態のメタ−アラミドの結晶度が判定できる。これを達成するために、上述のように密度測定からその結晶度があらかじめ判定されていて知られている、空隙が最小のサンプルを使用して、結晶度と1650cm−1におけるカルボニルストレッチの強度(1002cm−1における環ストレッチングモードの強度に正規化した)との間の直線関係を展開した。ニコレット(Nicolet)モデル910FT−ラマン分光計を使用して、%結晶度のために、密度較正曲線に左右される以下の経験的関係を展開した。
【0040】
【数2】

【0041】
式中、I(1650cm−1)は、その点におけるメタ−アラミドサンプルのラマン強度である。この強度を使用して、実験サンプルの%結晶度が式から計算される。
【実施例】
【0042】
実施例1
生地1
名目切断長2インチを有するステープル繊維の密接なブレンドから、ステープルヤーンを製造した。縦方向ヤーンでは、繊維重量を基準にして65%ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN302ステープル繊維、および35%FRレーヨンステープル繊維を含有するステープルブレンドを使用した。ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN302は、93%の製造元彩色ノメックス(Nomex)(登録商標)(結晶化)メタ−アラミド繊維、5%の製造元彩色ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維、および2%炭素コアナイロン(帯電防止)繊維のステープルブレンドである。横方向ヤーンでは、繊維重量を基準にして、65%ノメックス(Nomex)タイプ462ステープル繊維、および35%FRレーヨンステープル繊維を含有するステープルブレンドを使用した。ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462は、93%天然色ノメックス(Nomex)(登録商標)(非晶質)メタ−アラミド繊維、5%天然色ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維、および2%炭素コアナイロン(帯電防止)繊維のステープルブレンドである。繊維ブレンドはエアジェット紡績方法を使用して重なったヤーンに転換され、続いて積層工程が続いた。最終ヤーンサイズは縦方向ヤーンで24/2cc、横方向ヤーンで21/2ccであった。
【0043】
次に従来の方法を使用し、縦方向および横方向ヤーンを使用して、3×1綾織り構造の織布を構築した。ウィービング後、織布を染料浴中で染色し生地中に存在するFRレーヨン繊維を着色し、さらに安定化させてさらなる洗濯による収縮を防止した。さらに親水性仕上げを生地に施して、衣類として使用する際に適切な液体水分吸収能力を提供する。最終的な染色され完成した生地は、中程度の青い混色であり、8oz/ydの名目上の基本重量を有した。測定するとこの生地は、27×20ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および170×116ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験を表1にまとめる。
【0044】
生地2
生地1と同様にしてステープルヤーンを調製したが、最終ヤーンサイズは縦方向ヤーンで21/2cc、横方向ヤーンで14/2ccであった。次に生地を染色し、生地1の一般様式で処理した。最終的な染色され完成した生地は、デニム青の混色であり、9.5oz/ydの名目上の重量を有した。測定するとこの生地は、38×23ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および218×159ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験を表1にまとめた。
【0045】
生地3
生地1のようにして、ステープルヤーンおよび3×1綾織り生地を調製したが、次に織布を処理して、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル中の天然色ノメックス(Nomex)(登録商標)非晶質メタ−アラミドおよびFRレーヨン繊維の双方を染色した。カチオン性染料を使用してメタ−アラミド繊維を染色し、反応性染料を使用してFRレーヨン繊維を染色した。生地1と同様に、洗濯条件での適切な寸法安定性を保つために、生地をさらに処理してそれを安定化し、親水性仕上げを施した。染色され完成した生地の最終名目重量は、8oz/ydであった。
【0046】
比較生地A
比較生地Aは、カナダ国ケベック州モントリオールのジフコ・パフォーマンス・ファブリックス(DIFCO Performance Fabrics,Inc.(Montreal,Quebec,Canada))からジェネシス(Genesis)の商品名の下に市販される、名目上7.5oz/ydの紺色生地であった。これは非晶質メタ−アラミド繊維を含有するノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維だけから作られる。測定するとこの生地は、53×23ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および287×173ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験を表1にまとめた。
【0047】
比較生地B
比較生地Bは、ジョージア州ユニオン・シティのサザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc.(Union City,GA))から「コンフォートブレンド(ComfortBlend)」の商品名の下に市販される、名目上6.5oz/ydの紺青色生地である。この生地は、35重量%難燃性レーヨンステープル繊維と、非晶質メタ−アラミド繊維を含有する65重量%ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維との密接なブレンドから作られる。測定すると、この生地は19×10ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および134×87ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験を表1にまとめた。
【0048】
比較生地C
比較生地Cは、カリフォルニア州オックスフォードのワークライト・ユニホーム(Workrite Uniform Company(Oxford,CA))から市販される、スタイル#410−NMX−85−DNと称される(「デニムジーンカットパンツ」と説明される)衣類で使用される、名目上8.5oz/ydのデニムブルーの生地であった。この衣類で使用される生地は、生地縦方向のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN−302ステープル繊維(結晶メタ−アラミド繊維を含有する)、および横方向のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプT−462ステープル繊維(非晶質メタ−アラミド繊維を含有する)の組み合わせから作られると考えられる。測定するとこの生地は、89×59ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および414×253ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験は、2002年10月のワークライト(Workrite)カタログ(pp.27〜28)で開示されており、表1に再掲した。
【0049】
比較生地D
比較生地Dは、ジョージア州ユニオン・シティのサザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc.(Union City,GA))から「アットイーズ(AtEase)950」の商品名の下に市販される、名目上9.5oz/ydのソリッド・カラー深青緑色生地であった。この生地は、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維からのみできている。この生地のアーク性能試験を表1にまとめる。
【0050】
アーク試験
本発明の生地および比較生地のアーク防護性能を表1に示す。防護生地では、生地に対する高いアーク格付けが好ましい。本発明の生地は、100%アラミドブレンド生地よりも改善された快適さ、および外見を有しながら、FRレーヨンを含有するその他の生地よりも単位基本重量あたり改善されたアーク熱性能値(ATPV)を有する。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例2
生地1、2および3および比較生地AおよびCを試験して、それらのフラッシュ火災における防護性能を得た。生地を標準型のカバーオールに仕立て、次に機器搭載サーマルマネキン上での試験に先だってそれを1回洗濯した。熱流束2cal/(cm−s)でカバーオールの下に木綿下着を使用して試験を行った。結果は少なくとも3回の反復曝露の平均である。このような試験の結果を表2に示す。より低い%総身体火傷格付けが好ましい。表によって示されるように、FRレーヨンの添加によってより快適にされたより魅力的なメタ−アラミド生地もまた、フラッシュ火災に対して防護衣で良好に機能した。
【0053】
【表2】

【0054】
実施例3
本実施例は、名目切断長2インチを有するステープル繊維の密接なブレンドから作られた、縦方向−および横方向ステープルヤーンから作られた本発明の織布を例証する。縦方向ヤーンでは、繊維重量を基準にして65%ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN302ステープル繊維、および35%FRレーヨンステープル繊維を含有するステープルブレンドを使用した。ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN302は、93%の製造元彩色ノメックス(Nomex)(登録商標)(結晶)メタ−アラミド繊維、5%の製造元彩色ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維、および2%炭素コアナイロン(帯電防止)繊維のステープルブレンドである。横方向ヤーンでは、繊維重量を基準にして65%ノメックス(Nomex)タイプ462ステープル繊維、および35%FRレーヨンステープル繊維を含有するステープルブレンドを使用した。ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462は、93%天然色ノメックス(Nomex)(登録商標)(非晶質)メタ−アラミド繊維、5%天然色ケブラー(Kevlar)(登録商標)パラ−アラミド繊維、および2%炭素コアナイロン(帯電防止)繊維のステープルブレンドである。エアジェット紡績方法と続く積層工程を使用して、繊維ブレンドを重なったヤーンに転換した。最終ヤーンサイズは、縦方向ヤーンで24/2cc、横方向ヤーンで21/2ccであった。
【0055】
次に従来の方法を使用して、縦方向および横方向ヤーンを使用し、3×1の綾織り構造を有する織布を構築した。ウィービング後、織布を染色した。繊維に対する親和力を有する染料を含有する別々の染料浴内で生地を逐次染色して、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル中の天然色ノメックス(Nomex)(登録商標)非晶質メタ−アラミド繊維と、FRレーヨン繊維の双方を染めた。カチオン性染料を使用してメタ−アラミド繊維を着色し、反応性染料を使用してFRレーヨン繊維を着色した。生地をさらに安定化させて、さらなる洗濯による収縮を防止した。さらに親水性仕上げを生地に施して、衣類として使用する際に適切な液体水分吸収能力を提供した。最終的な染色され完成した生地は濃紺色で、名目基本重量8oz/ydを有した。生地3−1、3−2、および3−3(および比較生地)と命名された、この生地の3個のサンプルのアーク性能試験を表3にまとめる。
【0056】
比較生地AA
比較生地Aは、カナダ国ケベック州モントリオールのジフコ・パフォーマンス・ファブリックス(DIFCO Performance Fabrics,Inc.(Montreal,Quebec,Canada)から「ジェネシス(Genesis)」の商品名の下に市販される名目上7.5oz/ydの紺色生地であった。これは非晶質メタ−アラミド繊維を含有する、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維だけから作られる。測定するとこの生地は、53×23ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および287×173ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。
【0057】
比較生地BB
比較生地Bは、
ジョージア州ユニオン・シティのサザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc.(Union City,GA))から「コンフォートブレンド(ComfortBlend)」の商品名の下に市販される名目上6.5oz/ydの紺青色生地である。この生地は、35重量%の難燃性レーヨンステープル繊維と、非晶質メタ−アラミド繊維を含有する65重量%のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維との密接なブレンドから作られる。測定するとこの生地は、19×10ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および134×87ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。
【0058】
比較生地CC
比較生地Cは、カリフォルニア州オックスフォードのワークライト・ユニホーム(Workrite Uniform Company(Oxford,CA))から市販される、スタイル#410−NMX−85−DNと称される(「デニムジーンカットパンツ」と説明される)衣類で使用される、名目上8.5oz/ydのデニムブルー生地であった。この衣類で使用される生地は、生地縦方向のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプN−302ステープル繊維(結晶メタ−アラミド繊維を含有する)、および横方向のノメックス(Nomex)(登録商標)タイプT−462ステープル繊維(非晶質メタ−アラミド繊維を含有する)の組み合わせから作られると考えられる。測定するとこの生地は、89×59ポンド力の引き裂き抵抗性(縦方向×横方向)、および414×253ポンド力の掴み強度(縦方向×横方向)を有した。この生地のアーク性能試験は、2002年10月のワークライト(Workrite)カタログ(pp.27〜28)で開示されており、表に再掲した。
【0059】
比較生地DD
比較生地Dは、ジョージア州ユニオン・シティのサザーン・ミルズ(Southern Mills,Inc.(Union City,GA))から「アットイーズ(AtEase)950」の商品名の下に市販される、名目上9.5oz/ydのソリッド・カラー深青緑色生地であった。この生地は、ノメックス(Nomex)(登録商標)タイプ462ステープル繊維からのみできていた。
【0060】
【表3】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)非晶質メタ−アラミド繊維、
(ii)結晶メタ−アラミド繊維、および
(iii)難燃性セルロース系繊維
を含んでなる、防護衣で使用するための繊維ブレンド。
【請求項2】
パラ−アラミド繊維をさらに含んでなる請求項1に記載の繊維ブレンド。
【請求項3】
帯電防止繊維をさらに含んでなる請求項1に記載の繊維ブレンド。
【請求項4】
前記結晶メタ−アラミド繊維が、着色、染色、または彩色される請求項1に記載の繊維ブレンド。
【請求項5】
請求項1に記載の繊維ブレンドを含んでなる生地。
【請求項6】
請求項1に記載の繊維ブレンドを含んでなる防護製品。
【請求項7】
(i)非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーン、および
(ii)結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーン
を含んでなる、防護衣で使用するための生地。
【請求項8】
パラ−アラミド繊維もまた含有する請求項7に記載の生地。
【請求項9】
帯電防止繊維もまた含有する請求項7に記載の生地。
【請求項10】
結晶メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンが、着色、染色、または彩色される請求項7に記載の生地。
【請求項11】
非晶質メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンが染色される請求項7に記載の生地。
【請求項12】
非晶質メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンが、結晶メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンに交差して存在する請求項7に記載の生地。
【請求項13】
結晶メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンが、着色、染色、または彩色される請求項12に記載の生地。
【請求項14】
非晶質メタ−アラミド繊維を含んでなる前記ヤーンが染色される請求項12に記載の生地。
【請求項15】
請求項12に記載の生地を含んでなる防護製品。
【請求項16】
a)生地に、
(i)非晶質メタ−アラミド繊維、
(ii)着色、染色、または彩色された結晶メタ−アラミド繊維、および
(iii)難燃性セルロース系繊維
を含んでなるブレンド繊維を組み込む工程と、
b)前記生地中の前記セルロース系繊維を染色する工程と
を含んでなる防護衣のための生地を製造する方法。
【請求項17】
a)生地中に、
(i)非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーン、および
(ii)着色、染色、または彩色された結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーン
を組み込む工程と、
b)前記生地中の前記セルロース系繊維を染色する工程と
を含んでなり、
前記第1のヤーンが前記第2のヤーンに交差する、
防護衣のための生地を製造する方法。
【請求項18】
前記メタ−アラミド繊維もまた染色される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
染色において染料助剤が使用される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a)生地中に
(i)非晶質メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第1のヤーン、および
(ii)結晶メタ−アラミド繊維および難燃性セルロース系繊維を含んでなる第2のヤーン
を組み込む工程と、以下の工程、
b)前記生地中の前記セルロース系繊維を染色する工程と、
c)前記生地中の前記メタ−アラミド繊維を染色する工程と
をいずれかの順で含んでなり、
前記第1のヤーンが前記第2のヤーンに交差する、
防護衣のための生地を製造する方法。
【請求項21】
前記セルロース系繊維が反応性染料で染色され、前記メタ−アラミド繊維がカチオン性染料で染色される請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2007−501341(P2007−501341A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522703(P2006−522703)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025227
【国際公開番号】WO2005/017244
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】