説明

較正治具、ワーク設置台及び較正方法

【課題】ワークもしくはワーク設置台に対して高精度な座標系を設定することが可能な較正治具を提供する。
【解決手段】ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台20のワーク設置部22と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部12と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として3個所に設けられた較正用マーク32a,32b,32cとを備え、嵌合部12とワーク設置部22とを嵌め合わせてワーク設置台20に設置し、ワーク設置台20上での位置データの計測を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニピュレータを備えたロボット装置の較正に関し、特に、ワークもしくはワーク設置台に対して座標系を設定するための較正治具、ワーク設置台及び較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マニピュレータを備えたロボット装置が提案されている。このようなロボット装置においては、対象ワークとの位置関係は、このロボット装置を移動し移設させる度に変化してしまう。したがって、ロボット装置を移動し移設した後は、対象ワークとの位置合わせを毎回行わなければならず、煩雑である。特に、移動式のロボット装置や、ロボット装置を作業者と適宜交代させて使用する組立ラインにおいては、対象ワークとロボット装置との位置関係が変化することが頻繁に起こる。
【0003】
ロボット装置においては、対象ワークとロボット装置との位置関係が変化する度に、位置合わせのための較正(キャリブレーション)を行わなければならない。従来、較正を行うために、ロボット装置の操作者が教示ペンダントなどを利用しながらロボット装置を操作し、実際に作業台上に対象ワークを置いたり、座標原点位置を指し示したりすることにより、目標位置の位置データの教示を行っていた。
【0004】
目標位置の位置データの取得には、対象ワーク上にマークを設置し、ツールの先端を目視で近づける方法が一般的に用いられている。しかし、目視による教示動作は、再現性を得ることが難しく、較正を行う作業者の個人差も影響しやすいため、精度が安定しない。
【0005】
教示動作の精度が不十分だと、ロボット装置が動作中に停止する原因になる。また、教示動作を高精度に行うには、目視による精度を高めるために、作業者が稼動中のロボット装置に接近して作業を行う必要があり、作業者の安全の確保を図ることも必要であった。また、目視による教示動作は、集中力を要するため、作業に時間がかかってしまう。
【0006】
そこで、ロボット装置の教示動作を、作業者の熟練度に依存せず簡単に高精度で行う手段として、ワーク設置台に固定された治具の円形状の穴のマークにツールの先端を力制御で挿入することで、位置データを取得する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、この提案のマークとツールの先端との位置合わせに力制御を用いる方法は、公差の厳しい穴に軸を力制御で挿入する場合、挿入開始時のツールの先端の姿勢が穴の向きから大きくずれていると、かじり付き状態となり挿入に失敗して、正確な位置データが取得できないという問題があった。また、仮に挿入に成功する場合でも、正確なモーメント情報を得にくいため、正しい姿勢に倣わせる動作に時間がかかってしまう問題があった。また、挿入に成功しても、アームやセンサの変位の影響によって、得られる姿勢データの精度が低かった。
【0008】
ロボット装置の教示動作を高精度で簡単にするための他の手段として、対象ワークの位置・姿勢に基づいたワーク直交座標系を設定する方法が知られている。ワーク直交座標の設定としては、3点計測法が一般的である。3点計測法とは、マニピュレータのハンドに取り付けたツールを動かして任意の3点を教示し、3点の位置データからワーク直交座標系を計算する計測法である(特許文献2参照。)。
【0009】
3点の位置データを高い精度で得るためには、3個所にピンや穴のようなマークを設置しておく必要がある。これらのマークは通常、対象ワークを固定する場所には設置できないので、作業テーブルの端部の空いたスペースに設置されている。したがって、従来の3点計測法において、計測されたワーク直交座標の原点位置は、対象ワークの位置から離れていた。
【0010】
しかし、対象ワークの位置から離れた場所を計測しても、作業テーブルやワーク設置台の加工精度が低いと、対象ワークの位置を精度良く求めることはできなかった。また、計測されたワーク直交座標の座標軸がずれていると、原点からの距離に比例して、位置の誤差が増える。したがって、原点位置が対象ワークの位置から離れた場所にあると、対象ワーク付近での精度が低下してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−111886号公報
【特許文献2】特許第2684359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、ワークもしくはワーク設置台に対して高精度な座標系を設定することが可能な較正治具、ワーク設置台及び較正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の一態様によれば、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台のワーク設置部と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として3個所に設けられた較正用マークとを備え、嵌合部とワーク設置部とを嵌め合わせてワーク設置台に設置し、ワーク設置台上での位置データの計測を可能とする較正治具であることを要旨とする。
【0014】
本願発明の他の態様によれば、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置部と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として、ワーク設置部近傍の3個所に設けられた較正用マークとを備え、ワーク設置部の近傍での位置データの計測を可能とするワーク設置台であることを要旨とする。
【0015】
本願発明の他の態様によれば、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台のワーク設置部と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部とワーク設置部とを嵌め合わせて較正治具をワーク設置台に設置する工程と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための計測個所として較正治具の3個所に設けられた較正用マークの位置データを、ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部で計測する工程と、3個所の位置データからワーク直交座標系を設定する工程とを含む較正方法であることを要旨とする。
【0016】
本願発明の他の態様によれば、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置部近傍の3個所に設けられた較正用マークの位置データを、ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部で計測する工程と、3個所の位置データからワーク直交座標系を設定する工程とを含む較正方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ワークもしくはワーク設置台に対して高精度な座標系を設定することが可能な較正治具、ワーク設置台及び較正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る較正治具及びマニピュレータの概観図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るワーク設置台及びマニピュレータの概観図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る較正治具及びマニピュレータの概観図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る較正方法の一部を示す模式的平面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るワーク設置台及びマニピュレータの概観図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る較正治具及びマニピュレータの概観図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るデータ計測部と較正用マークの形状の組み合わせを示す概略図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係るワーク設置台及びマニピュレータの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る較正治具10は、図1に示すように、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台20のワーク設置部22と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部12と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として3個所に設けられた較正用マーク32a,32b,32cとを備え、嵌合部12とワーク設置部22とを嵌め合わせてワーク設置台20に設置し、ワーク設置台20上での位置データの計測を可能とする。
【0021】
嵌合部12は、ワーク設置部22と嵌め合わせて、較正治具10の位置・姿勢を拘束することが可能な形状であれば良い。例えば、図1に示すように、ワーク設置部22が凹形状である場合、嵌合部12は凸形状となり嵌め合わせることが可能な形状となっている。また、嵌合部12をワーク設置部22と嵌め合わせたときには、Z軸回りに回転しない形状となっている。嵌合部12とワーク設置台20のワーク設置部22とを嵌め合わせることで、較正治具10は、容易且つ正確に、ワーク設置台20に固定して設置することができる。
【0022】
較正用マーク32a,32b,32cは、ロボット装置のマニピュレータ40先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部50が相対的に動かし得ない程度に嵌め合わせられる形状である。例えば、データ計測部50が図1に示すようなピン形状である場合、較正用マーク32a,32b,32cは、ピン形状のデータ計測部50と嵌め合わせることが可能な穴形状となる。尚、較正用マーク32a,32b,32cの軸線方向は、較正治具10の表面に対して垂直に設けられ、それぞれの軸線方向が揃えて設けられている。また、較正治具10の表面は平面であり、較正用マーク32a,32b,32cは、同一平面内に設けられている。
【0023】
以下に、第1の実施の形態に係る較正治具10を用いた較正方法について説明する。
【0024】
(イ)まず、図1に示すように、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台20のワーク設置部22と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部12とワーク設置部22とを嵌め合わせて較正治具10をワーク設置台に設置する。
【0025】
(ロ)次に、マニピュレータ40がデータ計測部50を、較正用マーク32aの上方に移動させる。そして、マニピュレータ40に備える力センサ(図示せず)を用いて、データ計測部50を力制御しながら下方に移動させ、較正用マーク32aに嵌め合わせる。データ計測部50を終端まで挿入するとX、Y方向の位置は、データ計測部50と較正用マーク32aが嵌め合わされているために拘束される。Z方向の位置は、データ計測部50が設けられた平面52と較正治具10の表面が当たることで拘束される。X、Y、Z方向の位置が拘束された状態となったら、較正用マーク32aの先端位置の位置データを計測する。較正用マーク32aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク32b,32cの位置データについても計測を行う。
【0026】
(ハ)次に、計測した3個所の較正用マーク32a,32b,32cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0027】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0028】
第1の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0029】
また、第1の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0030】
また、第1の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0031】
また、第1の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、目視ではなく、力制御でデータ計測部50と較正用マーク32a,32b,32cとを嵌め合わせることで位置データを取得するため、得られるデータに個人差がなく、高精度の計測を再現性良く実現することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るワーク設置台20は、図2に示すように、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置部22と、3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として、ワーク設置部22近傍の3個所に設けられた較正用マークとを備え、ワーク設置部22の近傍での位置データの計測を可能とする。
【0033】
較正用マーク32a,32b,32cは、ロボット装置のマニピュレータ40先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部50が相対的に動かし得ない程度に嵌め合わせられる形状である。例えば、データ計測部50が図2に示すようなピン形状である場合、較正用マーク32a,32b,32cは、ピン形状のデータ計測部50と嵌め合わせることが可能な穴形状となる。尚、較正用マーク32a,32b,32cの軸線方向は、較正治具10の表面に対して垂直に設けられ、それぞれの軸線方向が揃えて設けられている。また、ワーク設置台20の表面は平面であり、較正用マーク32a,32b,32cは、同一平面内に設けられている。
【0034】
以下に、第2の実施の形態に係る較正治具10を用いた較正方法について説明する。
【0035】
(イ)まず、マニピュレータ40がデータ計測部50を、較正用マーク32aの上方に移動させる。そして、マニピュレータ40に備える力センサ(図示せず)を用いて、データ計測部50を力制御しながら下方に移動させ、較正用マーク32aに嵌め合わせる。データ計測部50を終端まで挿入するとX、Y方向の位置は、データ計測部50と較正用マーク32aが嵌め合わされているために拘束される。Z方向の位置は、データ計測部50が設けられた平面52とワーク設置台20の表面が当たることで拘束される。X、Y、Z方向の位置が拘束された状態となったら、較正用マーク32aの先端位置の位置データを計測する。較正用マーク32aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク32b,32cの位置データについても計測を行う。
【0036】
(ロ)次に、計測した3個所の較正用マーク32a,32b,32cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0037】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0038】
第2の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0039】
また、第2の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0040】
また、第2の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0041】
また、第2の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、目視ではなく、力制御でデータ計測部50と較正用マーク32a,32b,32cとを嵌め合わせることで位置データを取得するため、得られるデータに個人差がなく、高精度の計測を再現性良く実現することができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るマニピュレータ40は、図3に示すように、第1の実施の形態に係るマニピュレータ40と比して、データ計測部50の終端に較正治具10の表面と面接触することが可能な平面である当て面54を更に備える点が異なる。また、較正治具10は、較正用マーク32a,32b,32cと径の大きさが異なる干渉回避部30を更に備える点が異なる。その他に関しては、実質的に同様であるので、重複する記載を省略する。
【0043】
干渉回避部30は、データ計測部50と嵌め合わせた際に、データ計測部50が相対的に動かし得る程度にデータ計測部50との間に隙間が形成される形状である。つまり、干渉回避部30は、当て面54と較正治具10の表面を面接触させたときに、ピン形状であるデータ計測部50等の突起との干渉を回避させる機能を有する。例えば、干渉回避部30は、データ計測部50が図1に示すようなピン形状である場合、データ計測部50より大きく、データ計測部50に備える当て面54より小さい穴形状となる。尚、干渉回避部30の軸線方向は、較正治具10の表面に対して垂直に設けられ、較正用マーク32a,32b,32cの軸線方向と揃えて設けられている。
【0044】
以下に、第3の実施の形態に係る較正治具10を用いた較正方法について説明する。
【0045】
(イ)まず、図3に示すように、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台20のワーク設置部22と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部12とワーク設置部22とを嵌め合わせて較正治具10をワーク設置台に設置する。
【0046】
(ロ)次に、干渉回避部30にデータ計測部50を挿入する。このとき、図4(a)に示すように、挿入開始時のデータ計測部50の姿勢が干渉回避部(穴)30の向きから大きくずれている場合であっても、干渉回避部30にはデータ計測部50が多少動く程度のサイズにゆとりがあるため、図4(b)に示すように、データ計測部50に備える当て面54と較正治具10の表面とを力制御をして押し当てて面接触させることで、データ計測部50の姿勢と干渉回避部30の向きのずれを解消することができる。つまり、当て面54と較正治具10の表面が面接触する際に、干渉回避部30とデータ計測部50は干渉しない。そして、データ計測部50の姿勢と干渉回避部30の向きのずれを解消した状態でのマニピュレータ40の姿勢データを計測する。
【0047】
(ハ)次に、マニピュレータ40がデータ計測部50を較正用マーク32aの上方に移動させ、先に計測した姿勢データの姿勢となるように制御する。そして、マニピュレータ40が姿勢データによる姿勢で較正用マーク30aへの挿入を開始し、マニピュレータ40に備える力センサ(図示せず)を用いて、データ計測部50を力制御しながら下方に移動させ、較正用マーク32aに嵌め合わせる。このとき、マニピュレータ40が先に計測した姿勢データによる姿勢を維持した状態であり、挿入開始時のデータ計測部50の姿勢が較正用マーク32aの向きから大きくずれていることはないので、かじり付き状態となることなく、データ計測部50を終端まで挿入することができる。データ計測部50を終端まで挿入するとX、Y方向の位置は、データ計測部50と較正用マーク32aが嵌め合わされているために拘束される。Z方向の位置は、図4(b)に示すように、データ計測部50が設けられた平面52と較正治具10の表面が当たることで拘束される。X、Y、Z方向の位置が拘束された状態となったら、較正用マーク32aの先端位置の位置データを計測する。較正用マーク32aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク32b,32cの位置データについても計測を行う。
【0048】
(ニ)次に、計測した3個所の較正用マーク32a,32b,32cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0049】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0050】
第3の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0051】
高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0052】
また、第3の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0053】
また、第3の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0054】
また、第3の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、目視ではなく、力制御でデータ計測部50と較正用マーク32a,32b,32cとを嵌め合わせることで位置データを取得するため、得られるデータに個人差がなく、高精度の計測を再現性良く実現することができる。
【0055】
また、第3の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、予めマニピュレータ40の計測時の姿勢データを干渉回避部によって取得することによって、マニピュレータ40が較正用マーク32a,32b,32cへの挿入開始時の姿勢が大きくずれていることはないので、かじり付き状態となることなく、力制御による挿入の成功率が上がり挿入にかかる時間を短縮することができる。
【0056】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係るワーク設置台20は、図5に示すように、第2の実施の形態に係るワーク設置台20と比して、データ計測部50の終端に較正治具10の表面と面接触することが可能な平面である当て面54を更に備える点が異なる。また、ワーク設置台20は、較正用マーク32a,32b,32cと径の大きさが異なる干渉回避部30を更に備える点が異なる。その他に関しては、実質的に同様であるので、重複する記載を省略する。
【0057】
干渉回避部30は、データ計測部50と嵌め合わせた際に、データ計測部50が相対的に動かし得る程度にデータ計測部50との間に隙間が形成される形状である。つまり、干渉回避部30は、当て面54と較正治具10の表面を面接触させたときに、ピン形状であるデータ計測部50等の突起との干渉を回避させる機能を有する。例えば、干渉回避部30は、データ計測部50が図1に示すようなピン形状である場合、データ計測部50より大きく、データ計測部50に備える当て面54より小さい穴形状となる。尚、干渉回避部30の軸線方向は、較正治具10の表面に対して垂直に設けられ、較正用マーク32a,32b,32cの軸線方向と揃えて設けられている。
【0058】
以下に、第4の実施の形態に係る較正治具10を用いた較正方法について説明する。
【0059】
(イ)まず、干渉回避部30にデータ計測部50を挿入する。このとき、挿入開始時のデータ計測部50の姿勢が干渉回避部(穴)30の向きから大きくずれている場合であっても、干渉回避部30にはデータ計測部50が多少動く程度のサイズにゆとりがあるため、データ計測部50が設けられた平面52と較正治具10の表面とを力制御をして押し当てることで、データ計測部50の姿勢と干渉回避部30の向きのずれを解消することができる。つまり、当て面54と較正治具10の表面が面接触する際に、干渉回避部30とデータ計測部50は干渉しない。そして、データ計測部50の姿勢と干渉回避部30の向きのずれを解消した状態でのマニピュレータ40の姿勢データを計測する。
【0060】
(ロ)次に、マニピュレータ40がデータ計測部50を較正用マーク32aの上方に移動させ、先に計測した姿勢データの姿勢となるように制御する。そして、マニピュレータ40が姿勢データによる姿勢で較正用マーク30aへの挿入を開始し、マニピュレータ40に備える力センサ(図示せず)を用いて、データ計測部50を力制御しながら下方に移動させ、較正用マーク32aに嵌め合わせる。このとき、マニピュレータ40が先に計測した姿勢データによる姿勢を維持した状態であり、挿入開始時のデータ計測部50の姿勢が較正用マーク32aの向きから大きくずれていることはないので、かじり付き状態となることなく、データ計測部50を終端まで挿入することができる。データ計測部50を終端まで挿入するとX、Y方向の位置は、データ計測部50と較正用マーク32aが嵌め合わされているために拘束される。Z方向の位置は、データ計測部50が設けられた平面52と較正治具10の表面が当たることで拘束される。X、Y、Z方向の位置が拘束された状態となったら、較正用マーク32aの先端位置の位置データを計測する。較正用マーク32aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク32b,32cの位置データについても計測を行う。
【0061】
(ハ)次に、計測した3個所の較正用マーク32a,32b,32cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0062】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0063】
第4の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0064】
また、第4の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0065】
また、第4の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0066】
また、第4の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、目視ではなく、力制御でデータ計測部50と較正用マーク32a,32b,32cとを嵌め合わせることで位置データを取得するため、得られるデータに個人差がなく、高精度の計測を再現性良く実現することができる。
【0067】
また、第4の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、予めマニピュレータ40の計測時の姿勢データを干渉回避部によって取得することによって、マニピュレータ40が較正用マーク32a,32b,32cへの挿入開始時の姿勢が大きくずれていることはないので、かじり付き状態となることなく、力制御による挿入の成功率が上がり挿入にかかる時間を短縮することができる。
【0068】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る較正治具10は、図6に示すように、第1の実施の形態に係る較正治具10と比して、較正用マーク34a,34b,34cがピン形状である点が異なる。そして、マニピュレータ40先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部50も、較正用マーク34a,34b,34cと同様にピン形状である。その他に関しては、実質的に同様であるので、重複する記載を省略する。
【0069】
データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cは、ピン形状であるが、先端部の形状は種々のものを採用することが可能である。具体例として、データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cの先端形状を図7(a)〜(d)に示す。図7(a)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端が尖鋭形状である。図7(b)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端に平面を有する形状である。図7(c)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端に互いを嵌め合わせることが可能な形状である凹形状と凸形状からなる。図7(d)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、図7(a)で示した形状よりも先端に丸みを帯びた尖鋭形状である。
【0070】
データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cは、図7(a)〜(d)に示した組み合わせに限られない。例えば、データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cの組み合わせとして、一方の先端が尖鋭形状で、他方の先端が球状に平面を有する形状とする組み合わせや、それぞれの先端が球状とする組み合わせのように、図7(a)〜(d)に示した形状等を種々の組み合わせで用いても構わない。
【0071】
以下に、第5の実施の形態に係る較正治具10を用いた較正方法について説明する。
【0072】
(イ)まず、図6に示すように、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台20のワーク設置部22と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部12とワーク設置部22とを嵌め合わせて較正治具10をワーク設置台に設置する。
【0073】
(ロ)次に、ピン形状であるデータ計測部50の先端を、ピン形状である較正用マーク34aの先端に近接させる。データ計測部50と較正用マーク34aの先端同士を近接させた状態での位置データを計測する。較正用マーク34aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク34b,34cの位置データについても計測を行う。
【0074】
(ハ)次に、計測した3個所の較正用マーク34a,34b,34cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0075】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0076】
第5の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0077】
また、第5の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0078】
また、第5の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、較正治具10を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0079】
また、第5の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、データ計測部50と較正用マーク34の先端同士を近接させる作業を目視で行うことで、ロボット装置は、安価な構成で位置データを計測することができる。
【0080】
また、第5の実施の形態に係る較正治具を用いた較正方法によれば、力制御による挿入の失敗等がなく、簡単な教育を受けた作業者でも、データ計測部50と較正用マーク34の先端同士を近接させる作業によって、確実に較正作業をすることができる。
【0081】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係るワーク設置台20は、図8に示すように、第2の実施の形態に係るワーク設置台20と比して、較正用マーク34a,34b,34cがピン形状である点が異なる。そして、マニピュレータ40先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部50も、較正用マーク34a,34b,34cと同様にピン形状である。その他に関しては、実質的に同様であるので、重複する記載を省略する。
【0082】
データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cは、ピン形状であるが、先端部の形状は種々のものを採用することが可能である。具体例として、データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cの先端形状を図7(a)〜(d)に示す。図7(a)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端が尖鋭形状である。図7(b)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端に平面を有する形状である。図7(c)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、先端に互いを嵌め合わせることが可能な形状である凹形状と凸形状からなる。図7(d)に示すデータ計測部50及び較正用マーク34は、図7(a)で示した形状よりも先端に丸みを帯びた尖鋭形状である。
【0083】
データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cは、図7(a)〜(d)に示した組み合わせに限られない。例えば、データ計測部50及び較正用マーク34a,34b,34cの組み合わせとして、一方の先端が尖鋭形状で、他方の先端が球状に平面を有する形状とする組み合わせや、それぞれの先端が球状とする組み合わせのように、図7(a)〜(d)に示した形状等を種々の組み合わせで用いても構わない。
【0084】
以下に、第6の実施の形態に係るワーク設置台20を用いた較正方法について説明する。
【0085】
(イ)まず、ピン形状であるデータ計測部50の先端を、ピン形状である較正用マーク34aの先端に近接させる。データ計測部50と較正用マーク34aの先端同士を近接させた状態での位置データを計測する。較正用マーク34aで行った位置データの計測と同様に、他の2個所に設けられた較正用マーク34b,34cの位置データについても計測を行う。
【0086】
(ロ)次に、計測した3個所の較正用マーク34a,34b,34cの位置データから、周知の3点計測法を用いてワーク直交座標系の計算及び設定をする。
【0087】
以上の工程により、3点の位置データとそれを基にしたロボット装置のワーク直交座標系が設定され、このワーク直交座標系を用いてロボット装置の動作が制御される。
【0088】
第6の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ロボット装置が対象ワークに対して実際に作業を行うワーク設置台20上で較正を行うので、ワーク直交座標の原点位置がワーク設置台20上となり、対象ワークを設置する作業テーブルやワーク設置台20の加工精度が低くても問題にならない。また、ロボット装置は設定したワーク直交座標の原点付近で作業するため、設定された座標軸の誤差が問題になりにくい。
【0089】
また、第6の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて高い精度の3点の位置データを得ることができるので、高い精度のワーク直交座標系を得ることができる。
【0090】
また、第6の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、ワーク設置台20を用いて3点の位置データを得ることができるので、較正用のスペースを作業テーブル等に確保する必要がなく、マニピュレータ40のリーチ等を考慮したレイアウト設計も不要となる。
【0091】
また、第6の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、データ計測部50と較正用マーク34の先端同士を近接させる作業を目視で行うことで、ロボット装置は、安価な構成で位置データを計測することができる。
【0092】
また、第6の実施の形態に係るワーク設置台を用いた較正方法によれば、力制御による挿入の失敗等がなく、簡単な教育を受けた作業者でも、データ計測部50と較正用マーク34の先端同士を近接させる作業によって、確実に較正作業をすることができる。
【0093】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0094】
例えば、第1〜4の実施の形態において、データ計測部50がピン形状で穴形状の較正用マーク32a,32b,32cと嵌め合わせることで位置データを計測すると記載したが、嵌め合わせることが可能であれば他の態様であっても構わない。具体的には、データ計測部50が穴状である場合、較正用マーク32a,32b,32cは、穴形状のデータ計測部50と嵌め合わせることが可能なピン形状となる。
【0095】
また、第3及び4の実施の形態において、データ計測部50が図1ピン形状で穴形状の干渉回避部30に挿入することでマニピュレータ40の姿勢データを計測すると記載したが、データ計測部50に備える当て面54と較正治具10の表面とを面接触させることが可能であれば他の態様であっても構わない。具体的には、データ計測部50が穴状である場合、干渉回避部30は、データ計測部50に備える当て面54を押し当てられる広さを持つ平面形状となる。
【0096】
また、第3及び4の実施の形態において、データ計測部50に備える当て面54と較正治具10の表面とを力制御をして押し当てることで、位置データを計測する際のマニピュレータ40の姿勢データを計測していたが、レーザ及びカメラ等の光学的装置でマニピュレータ40とワーク設置台との距離を計測することで、マニピュレータ40の姿勢データを計測することも可能である。
【0097】
また、第1〜6の実施の形態において、データ計測部50は1つとして記載したが、2つまたは3つの複数として、まとめて位置データを計測するようにしても構わない。
【0098】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0099】
10…較正治具
12…嵌合部
20…ワーク設置台
22…ワーク設置部
30…干渉回避部
32a,32b,32c…較正用マーク
34…較正用マーク
34a,34b,34c…較正用マーク
40…マニピュレータ
50…データ計測部
52…平面
54…当て面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台のワーク設置部と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部と、
3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として3個所に設けられた較正用マーク
とを備え、前記嵌合部と前記ワーク設置部とを嵌め合わせて前記ワーク設置台に設置し、前記ワーク設置台上での前記位置データの計測を可能とすることを特徴とする較正治具。
【請求項2】
前記較正用マークは、前記ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部が、相対的に動かし得ない程度に嵌め合わせられることを特徴とする請求項1に記載の較正治具。
【請求項3】
前記データ計測部が設けられた面が面接触したときに、前記データ計測部との干渉を回避する機能を有する干渉回避部が更に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の較正治具。
【請求項4】
前記干渉回避部は、前記データ計測部が相対的に動かし得る程度に前記データ計測部との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項3に記載の較正治具。
【請求項5】
前記較正用マークは、ピン形状であり、前記ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部の先端を、先端に近接させることで前記位置データが計測されることを特徴とする請求項1に記載の較正治具。
【請求項6】
ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置部と、
3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として、前記ワーク設置部近傍の3個所に設けられた較正用マーク
とを備え、前記ワーク設置部の近傍での前記位置データの計測を可能とすることを特徴とするワーク設置台。
【請求項7】
ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置台のワーク設置部と嵌め合い可能な形状を有する嵌合部と前記ワーク設置部とを嵌め合わせて較正治具を前記ワーク設置台に設置する工程と、
3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための計測個所として前記較正治具の3個所に設けられた較正用マークの位置データを、前記ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部で計測する工程と、
3個所の前記位置データからワーク直交座標系を設定する工程
とを含むことを特徴とする較正方法。
【請求項8】
3点計測法によるワーク直交座標系を設定するための位置データの計測個所として、ロボット装置の作業対象である対象ワークを設置するワーク設置部近傍の3個所に設けられた較正用マークの位置データを、前記ロボット装置のマニピュレータ先端部に把持され、または、先端部に固定されるデータ計測部で計測する工程と、
3個所の前記位置データからワーク直交座標系を設定する工程
とを含むことを特徴とする較正方法。
【請求項9】
前記データ計測部で計測する工程は、前記データ計測部を力制御によって前記較正用マークに嵌め合わせて前記位置データを計測することを特徴とする請求項7又は8に記載の較正方法。
【請求項10】
前記データ計測部で計測する工程の前に、
前記データ計測部との干渉を回避する機能を有する干渉回避部に前記データ計測部を挿入し、前記データ計測部が設けられた面を面接触した際の前記マニピュレータの姿勢データを計測する工程を含み、
前記データ計測部で計測する工程にて、前記マニピュレータが前記姿勢データによる姿勢で前記較正用マークへの挿入を開始し、前記位置データを計測することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項11】
前記データ計測部で計測する工程は、前記較正用マークがピン形状であり、前記データ計測部の先端を、前記較正用マークの先端に近接させることで前記位置データを計測することを特徴とする請求項7又は8に記載の較正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−284750(P2010−284750A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140133(P2009−140133)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】