説明

輝度維持増強のためのアルキド塗料でのアクリル分散剤/連合増粘剤対合の使用

本発明は、水性アルキド樹脂配合物における、以下の分散剤/増粘剤対の使用に関する:分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるアルコキシ化単量体との共重合体であり、増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニルであり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。この組合せは、水性配合物に所望のレオロジーを与えながらも経時的な塗膜の光沢維持を向上することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
極めて一般的には、水性塗料は、水、無機または有機顔料、および前記塗料の構成要素全ての結合を最終的に確保する重合体結合剤からなる。最終乾燥塗膜の輝度は顔料の良好な分散性によるものであることは、周知である。このため、当業者は、「分散剤」として知られるような、顔料の適切な分散を確保することがこの機能である添加物を開発してきた。同時に、塗料は、容器中の安定性、塗料の透明性、道具への装填、および塗料の塗布性のための適切な粘性を媒体に与えることが役割である添加物も含有する。このような添加物としてレオロジー修飾剤または増粘剤がある。
【0002】
これらの増粘剤の中で、当業者は、いわゆる連合相互作用を生み出し、それにより自身が添加された媒体の粘性を上げることができる少なくとも1種の疎水性単量体を有するという意味で、特に「連合型」と称する増粘剤のカテゴリーを、この数年間で、見出してきた。これらの構造は文献で、特にJ.E.Glass et al.により,例えば、(I)J.OiI,Color Chemists Assn.(1984),67(10),256;(II)ibid(1984),67(11),279;(III)ibid(1986),69(10),263;(IV)ibid(1988),71(10),315;(V)Prog.Org.Coatings(1989),17,155−173.)で重点的に記載されている。
【0003】
非常に広い角度からもう一度眺めてみると、分散剤および増粘剤(特に連合型のもの)は、塗料中で複雑な相互作用を生み出す可能性があり(文書WO9309187を参照)、前記連合増粘剤は、界面活性剤が存在する場合には(文書EP09051571を参照)、界面活性剤とも同様に相互作用する可能性があり、その結果文書塗料の特性、特にこのレオロジーおよび輝度の低下を導く可能性があることが周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第9309187号
【特許文献2】欧州特許第09051571号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.OiI,Colour Chemists Assn.(1984),67(10),256
【非特許文献2】J.OiI,Colour Chemists Assn.(1984),67(11),279
【非特許文献3】J.OiI,Colour Chemists Assn.(1986),69(10),263
【非特許文献4】J.OiI,Colour Chemists Assn.(1988),71(10),315
【非特許文献5】Prog.Org.Coatings(1989),17,155−173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この既存の条件は、塗料の輝度を上げると同時にレオロジーを調節することの両方を達成したい当業者に対し、分散剤/(連合)増粘剤系の選択の、一般的で従来からある問題を突きつける。この問題は、本出願に包含される水性塗料の場合に特に、および本出願での技術課題により包含されるまさに特定の特徴を通じて、悪化する。
【0007】
水性塗料の様々なカテゴリーのなかで、現在特に重要性を有しているものがある。「アルキド塗料」である。この用語は、有機酸とポリオールの反応により生じるポリエステル、またはポリオールとイソシアナート官能基の縮合から生じるいわゆるアルキドウレタンのいずれかを示す。歴史的には、アルキド塗料は有機溶媒の存在下で製造されおり、この有機溶媒が、アルキド樹脂が分散する相の大部分を構成する。今日、揮発性廃有機化合物に関する国際立法(Sbornik Prispevku−Mezinarodni Konference−Naterovich Homtach−37th−Czech Republic,22−24 May 2006,92−104)のため、当業者は、水性アルキド塗料に目を移す必要がある。
【0008】
このため、水の存在下で前記アルキド樹脂を分散させる働きの界面活性剤が用いられている。有機溶媒も樹脂が水相中に分散するのを促進するために用いられるが、この量は以前よりも少ない。従って、系が複雑になり、系に界面活性剤だけでなく有機溶媒も存在することで、最適な分散剤/連合増粘剤対を同定する上で最初の障害となっている。
【0009】
さらに、こうした水性アルキド系の枠の中で、高いレベルの輝度を達成することが主要な必要条件ならば、このレベルを塗膜の経年とともに維持することも、当業者が実現すべきことである。もっと限定して言うならば、塗膜輝度レベルを維持すること(これは塗料がいつ塗布されたかに依存する。)が、当業者にとって主要な必要条件を構成するものである。この制限は、塗料を産業規模で実現することの実現性に反映される。塗料は、直ちに塗布するとは意図せずに配合される。しかしながら、塗料が直ちに塗布されるか数週間貯蔵後に塗布されるかにかかわらず、得られる乾燥塗膜は、同じレベルの輝度を示さなければならない。この挙動は、「輝度レベル維持」という用語で示される。
【0010】
最後に、こうして配合される水性アルキド塗料は、当業者が望むレオロジー挙動を考慮に入れてなければならない。この挙動は、毎分10回転および25℃で測定して、4,000mPa.sから10,000mPa.sというBrookfieldTM粘度(this coffee)値に反映される。この幅は、相分離、上清、または離漿現象(粘度が低すぎる場合)を回避しながら、塗布液が適切に装填され、塗膜が適切に広がるか保持されることを確保する(これらの性質は粘度が高すぎると低下する。)ことを可能にする妥協範囲に相当する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本出願が包含する技術課題は、輝度レベル維持の性質を改善する目的で、界面活性剤および有機溶媒を用いる複雑な系、特に水性アルキド配合物用の分散剤/増粘剤対を探索することである。塗布直後に高い輝度レベルを得ること、および乾燥塗膜の経年とともに、および塗料自身の経年とともに、このレベルを維持することも、本発明の技術課題の一部を形成する。BrookfieldTM粘度が、毎分10回転および25℃で測定して、4,000mPa.sから10,000mPa.sである水性アルキド配合物を提供することは、前記技術課題の残りの部分を構成する。
【0012】
この課題を解決しようと努力し、本出願人らは、以下を特徴とする、水性アルキド樹脂配合物における、前記配合物を塗布して得られる乾燥塗膜の輝度レベル維持を示す作用剤としての、分散剤/増粘剤対の使用を開発した:
分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体である、
増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニル(phanyl)であり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。
【発明の効果】
【0013】
まったく驚いたことに、この分散剤とこの増粘剤の組合せは、塗料配合物に所望のレオロジー(相分離無し、上清無し、離漿無し、良好な器具装填、良好な広がり、および満足のいく塗布維持)を付与しながら、塗料の乾燥塗膜の輝度レベル維持に改善をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0014】
念のため、以下の構造(1)および(2)がそれぞれジスチリルフェニルおよびトリスチリルフェニルを示す:
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

【0017】
このような構造は、顔料適合性を改善するための文書EP1425,325、少量で有効なレオロジー修飾剤を製造するためのEP0705852およびEP0705854、大量の顔料の存在下良好な粘度を維持するためのEP1806386(これは既に文書EP1425325に記載されている。)で、連合増粘剤で実現されているとして当業者に既知である。
【0018】
そのうえさらに、上記の群を実現し、オキシアルキル化単量体との(メタ)アクリル酸共重合体である分散剤と共同して、輝度レベル維持を改善する作用剤を形成する連合増粘剤を開示する文献はない。本出願人の利点の1つは、利用可能な膨大な分散剤および連合増粘剤の中から、意図した仕様に従ってレオロジーおよび輝度レベル維持に改善を導く組合せを同定できたことである。この利点は、問題の配合物が界面活性剤および有機溶媒を含有する水性アルキド塗料であり、これらが連合増粘剤と一緒になって生じる可能性がある有害な相互作用が既知であることを考えると、何よりも偉大である。
【0019】
従って、本発明の第一の目的は、水性アルキド樹脂配合物における、前記配合物を塗布して得られる乾燥塗膜の輝度レベル維持を改善する作用剤としての、分散剤/増粘剤対の使用であり、以下を特徴とする:
分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体である、
増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニル(phanyl)であり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。
【0020】
この使用は、さらに、前記分散剤がアクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体であることを特徴とする。
【0021】
この使用は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体が5から150個、好ましくは10から115個のエチレンおよび/またはプロピレンオキシドを有することを特徴とする。
【0022】
この使用は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の末端が水素またはメチル基であることを特徴とする。
【0023】
この使用は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の重合性官能基がメタクリラート官能基であることを特徴とする。
【0024】
この使用は、さらに、前記分散剤が15,000g/molから110,000g/mol、好ましくは20,000g/molから60,000g/molの分子量を有することを特徴とする。
【0025】
この使用は、さらに、ジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、またはジスチリルフェニルとトリスチリルフェニルの混合物である疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤が以下の式(I)を有することを特徴とする:
R−OX−V−(OX−W)−OX−R
式中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
aは、1から5の実数を表し、
OX、OX、およびOXは、エチレン系および/またはプロピレン系オキシアルキル化基を表し、
Rは、疎水性基を表し、疎水性基は、ポリスチリルフェニルであり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。
【0026】
この使用は、さらに、連合増粘剤について、OX基およびOX基におけるエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数が2から100であることを特徴とする。
【0027】
この使用は、さらに、連合増粘剤について、OX基のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数が100から500であることを特徴とする。
【0028】
この使用は、さらに、連合増粘剤について、Rが、トリスチリルフェニルである疎水性基を表すことを特徴とする。
【0029】
この使用は、さらに、連合増粘剤が5,000g/molから80,000g/mol、好ましくは5,000g/molから40,000g/molの分子量を有することを特徴とする。
【0030】
この使用は、さらに、アルキド樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンポリエステル、およびこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする。
【0031】
この使用は、さらに、水性アルキド樹脂配合物が、25℃および10回転/分で測定して、4,000から10,000mPa.sのBrookfieldTM粘度を有することを特徴とする。
【0032】
この使用は、さらに、水性アルキド樹脂配合物が、塗料、ラッカー、ワニス、または木材用着色剤であることを特徴とする。
【0033】
本発明の別の目的は、水性アルキド樹脂配合物からなり、前記配合物は、以下を特徴とする、これを塗布して得られる乾燥塗膜の輝度レベル維持を改善する作用剤としての、分散剤/増粘剤対を含有する:
分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体である、
増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニル(phanyl)であり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。
【0034】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記分散剤がアクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体であることを特徴とする。
【0035】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体が5から150個、好ましくは10から115個のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位を有することを特徴とする。
【0036】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の末端が水素またはメチル基であることを特徴とする。
【0037】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の重合性官能基がメタクリラート官能基であることを特徴とする。
【0038】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記分散剤が15,000g/molから110,000g/mol、好ましくは20,000g/molから60,000g/molの分子量を有することを特徴とする。
【0039】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、前記連合増粘剤が以下の式(I)を有することを特徴とする:
R−OX−V−(OX−W)−OX−R
式中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
aは、1から5の実数を表し、
OX、OX、およびOXは、エチレン系および/またはプロピレン系オキシアルキル化基を表し、
Rは、疎水性基を表し、疎水性基は、ポリスチリルフェニルであり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである。
【0040】
この分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物は、さらに、連合増粘剤について、OX基およびOX基におけるエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数が2から100であることを特徴とする。
【0041】
この水性アルキド樹脂配合物は、さらに、連合増粘剤について、OX基のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数が100から500であることを特徴とする。
【0042】
この水性アルキド樹脂配合物はさらに、連合増粘剤について、Rが、トリスチリルフェニルである疎水性基を表すことを特徴とする。
【0043】
この水性アルキド樹脂配合物は、さらに、連合増粘剤が5,000g/molから80,000g/mol、好ましくは5,000g/molから40,000g/molの分子量を有することを特徴とする。
【0044】
この水性アルキド樹脂配合物は、さらに、アルキド樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンポリエステル、およびこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする。
【0045】
この水性アルキド樹脂配合物は、さらに、25℃および10回転/分で測定して、4,000から10,000mPa.sのBrookfieldTM粘度を有することを特徴とする。
【0046】
この水性アルキド樹脂配合物は、さらに、塗料、ラッカー、ワニス、または木材用着色剤であることを特徴とする。
【0047】
実施例
以下の試験はそれぞれ、当業者の知識に基づいて、異なる成分を表1に示すとおりの割合で混合して塗料を作成することから始めた。
【0048】
【表1】

【0049】
試験番号1から19に対応する塗料のそれぞれについて、特定の分散剤/連合増粘剤系を用いた。
【0050】
試験番号1
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D1と示す。)8g、これはアクリル酸同種重合体であり、この分子量は約11,000g/molで、水酸化ナトリウムで完全に中和されている、
連合増粘剤30g、この分子量は約11,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは8個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは1.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、8個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0051】
試験番号2
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D1と示す。)8g;
連合増粘剤30g、この分子量は約24,300g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、トリスチリルフェニル基を表す。
【0052】
試験番号3
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D2と示す。)8g、これはアクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体(質量比70:30)であり、この分子量は約9,500g/molで、水酸化ナトリウムで完全に中和されている、
連合増粘剤30g、この分子量は約11,000g/molで、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは8個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは1.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、8個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0053】
試験番号4
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D2と示す。)8g;
連合増粘剤30g、この分子量は約24,300g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、トリスチリルフェニル基を表す。
【0054】
試験番号5
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、この分子量は約38,500g/molで、以下の成分でできている(重量%で表す。)、
アクリル酸13.75%、
メタクリル酸4.75%、
メトキシポリエチレングリコールメタクリラート81.5重量%、分子量は2,000g/molである、
AQUALONTMから商品名AquaflowTMNHS−300で販売されている連合増粘剤30g。
【0055】
試験番号6
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
AQUALONTMから商品名AquaflowTMNHS−300で販売されている連合増粘剤30g、およびAQUALONTMから商品名AquaflowTMNLS−205で販売されている連合増粘剤3g。
【0056】
試験番号7
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
試験番号1で用いたとおりの連合増粘剤30g。
【0057】
試験番号8
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
連合増粘剤30g、この分子量は約12,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、12個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0058】
試験番号9
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
連合増粘剤30g、この分子量は約11,500g/molで、式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは6個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは1.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、8から16個の炭素原子を有する疎水性アルキル基の混合物を表す。
【0059】
試験番号10
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
連合増粘剤30g、この分子量は約24,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、20個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0060】
試験番号11
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
連合増粘剤30g、この分子量は約23,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、22個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0061】
試験番号12
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
連合増粘剤30g、この分子量は約24,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは25個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.1に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、28個の炭素原子を有する分岐疎水性アルキル基を表す。
【0062】
試験番号13
この試験は本発明を例示し、以下のように実行される:
アクリル分散剤(D3と示す。)8g、
試験番号2で用いたとおりの連合増粘剤30g。
【0063】
試験番号14
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g、この分子量は約28,000g/molで、以下の成分でできている(グラム%で表す。)、
アクリル酸13.88%
メタクリル酸1.70%、
メトキシポリエチレングリコールメタクリラート84.42%、分子量は2,000g/molである、
AQUALONTMから商品名AquaflowTMNHS−300で販売されている連合増粘剤30g、およびAQUALONTMから商品名AquaflowTMNLS−205で販売されている連合増粘剤3g。
【0064】
試験番号15
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g
試験番号8で用いたとおりの連合増粘剤30g。
【0065】
試験番号16
この試験は本発明の範囲外の分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g
試験番号12で用いたとおりの連合増粘剤30g。
【0066】
試験番号17
この試験は本発明による分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g
連合増粘剤30g、この分子量は約26,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは60個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.2に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、トリスチリルフェニル基を表す。
【0067】
試験番号18
この試験は本発明による分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g
連合増粘剤60g、この分子量は約26,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは60個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.2に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、トリスチリルフェニル基を表す。
【0068】
試験番号19
この試験は本発明のによる分散剤/増粘剤対を例示し、以下を用いる:
アクリル分散剤(D4と示す。)8g
連合増粘剤70g、この分子量は約26,000g/molであり、この式(I)中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
OXおよびOXは60個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
aは2.2に等しく、
OXは、225個のエチレンオキシド単位でできた基を表し、
Rは、トリスチリルフェニル基を表す。
【0069】
試験番号1から番号19のそれぞれについて、塗料配合の24時間後、10日後、1ヶ月後、および3ヶ月後に、BrookfieldTM粘度を、毎分10回転および25℃で測定した(表1を参照)。
【0070】
輝度も、塗料塗布の1日後、1ヶ月後、および3ヶ月後に20°で測定した(NF T30−064標準に従ってBYK GARDNERTM製のMicro−Tri−GlossTMリフレクトロメータにより)。この塗料は、配合してから1週間後、1ヶ月後、または3ヶ月後に塗布したものである(以降の頁の表2を参照)。
【0071】
【表2】

【0072】
表は、試験番号13および番号17から番号19に対応する対のみが、25℃および10回転/分で測定して、4,000から10,000mPa.SのBrookfieldTM粘度をもたらすことを、はっきりと実証している。この粘度は当業者が探求しているまさにゴールである。さらに、粘度の値は、試験番号#12および試験番号16では、どれだけ配合物を濃くしても、測定できなかった。
【0073】
【表3】

「ap 1D」は、塗料を配合して1日後に塗布したことを意味する。
「m 1D」は、塗料を塗布して1日後に測定したことを意味する。
【0074】
本発明に対応する試験番号のみが、いつ塗料が塗布されても、即ち3ヶ月貯蔵後であっても、塗料塗膜の輝度レベルを維持することを可能にすることに注目すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体である、
増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニル(phanyl)であり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである、
を特徴とする、水性アルキド樹脂配合物における、前記配合物を塗布して得られる乾燥塗膜の輝度レベル維持を改善する作用剤としての、分散剤/増粘剤対の使用。
【請求項2】
前記分散剤は、アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体は、5から150個、好ましくは10から115個のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の末端は、水素またはメチル基であることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の使用。
【請求項5】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の重合性官能基は、メタクリラート官能基であることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の使用。
【請求項6】
前記分散剤は、15,000g/molから110,000g/mol、好ましくは20,000g/molから60,000g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の使用。
【請求項7】
ジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、またはジスチリルフェニルとトリスチリルフェニルの混合物である疎水性基少なくとも1つを含有する連合増粘剤が、以下の式(I):
R−OX−V−(OX−W)−OX−R
式中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
aは、1から5の実数を示し、
OX、OX、およびOXは、エチレン系および/またはプロピレン系オキシアルキル化基を示し、
Rは、疎水性基を示し、疎水性基は、ポリスチリルフェニルであり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである:
を有することを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
連合増粘剤について、OX基およびOX基におけるエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数は、2から100であることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
連合増粘剤について、OX基のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数が100から500であることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
連合増粘剤について、Rは、トリスチリルフェニルである疎水性基を表すことを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
連合増粘剤は、5,000g/molから80,000g/mol、好ましくは5,000g/molから40,000g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の使用。
【請求項12】
アルキド樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンポリエステル、およびこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の使用。
【請求項13】
水性アルキド樹脂配合物は、25℃および10回転/分で測定して、4,000から10,000mPa.sのBrookfieldTM粘度を有することを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の使用。
【請求項14】
水性アルキド樹脂配合物は、塗料、ラッカー、ワニス、または木材用着色剤であることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の使用。
【請求項15】
以下:
分散剤は、(メタ)アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体である、
増粘剤は、疎水性基を少なくとも1つ含有する連合増粘剤であり、疎水性基は、ポリスチリルフェニル(phanyl)であり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである、
を特徴とする、水性アルキド樹脂配合物を塗布して得られる乾燥塗膜の輝度レベル維持を改善する作用剤としての分散剤/増粘剤対を含有する、水性アルキド樹脂配合物。
【請求項16】
前記分散剤は、アクリル酸と、重合性官能基を有し、末端が水素または炭素原子1から4個を有するアルキル基であるオキシアルキル化単量体との共重合体であることを特徴とする、請求項15に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項17】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体は、5から150個、好ましくは10から115個のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項18】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の末端は、水素またはメチル基であることを特徴とする、請求項15から17の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項19】
前記分散剤について、オキシアルキル化単量体の重合性官能基は、メタクリラート官能基であることを特徴とする、請求項15から18の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項20】
前記分散剤は、15,000g/molから110,000g/mol、好ましくは20,000g/molから60,000g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項15から19の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項21】
前記増粘剤は、以下の式(I):
R−OX−V−(OX−W)−OX−R
式中:
VおよびWは、ウレタン結合を表し、
aは、1から5の実数を示し、
OX、OX、およびOXは、エチレン系および/またはプロピレン系オキシアルキル化基を示し、
Rは、疎水性基を示し、疎水性基は、ポリスチリルフェニルであり、好ましくはジスチリルフェニル、トリスチリルフェニル、およびこれらの混合物の中から選択され、特に好ましくはトリスチリルフェニルである:
を有することを特徴とする、請求項15から20の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項22】
連合増粘剤について、OX基およびOX基におけるエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数は、2から100であることを特徴とする、請求項15から21の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項23】
連合増粘剤について、OX基のエチレンおよび/またはプロピレンオキシド単位の数は、100から500であることを特徴とする、請求項15から22の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項24】
連合増粘剤について、Rは、トリスチリルフェニルである疎水性基を表すことを特徴とする、請求項15から23の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項25】
連合増粘剤は、15,000g/molから110,000g/mol、好ましくは5,000g/molから40,000g/molの間の分子量を有することを特徴とする、請求項15から24の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項26】
アルキド樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンポリエステル、およびこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項15から25の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項27】
25℃および10回転/分で測定して、4,000から10,000mPa.sのBrookfieldTM粘度を有することを特徴とする、請求項15から26の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。
【請求項28】
塗料、ラッカー、ワニス、または木材用着色剤であることを特徴とする、請求項15から27の一項に記載の分散剤/増粘剤対含有水性アルキド樹脂配合物。

【公表番号】特表2011−523429(P2011−523429A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509026(P2011−509026)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005522
【国際公開番号】WO2009/138840
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【Fターム(参考)】