説明

輪止用カバー

【課題】 コストの高騰を抑えつつ、輪止め本体内にゴミがたまることを抑制することができる輪止用カバーを提供する。
【解決手段】 筒状に形成された輪止め本体10に対して着脱可能に取り付けられる輪止用カバー15であって、該輪止め本体10の両端の開口部10aに着脱可能に取り付けられる蓋板21を備えており、該蓋板21の内面側には、該輪止め本体10に該蓋板21を係止するための係止手段としてクリップ22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場にて車両を所定位置に停止させる輪止めに取り付けられる輪止用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような輪止めとして、例えば特許文献1に記載のような車輪停止具が提案されている。また一般に、所定長さに切断した角パイプを輪止め本体とし、該輪止め本体を床面に固定してなる輪止めがある。
【特許文献1】実用新案登録第2515143号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来のような角パイプを輪止め本体とした輪止めにおいては、両端が開放されたままとなっているため、該輪止め本体内に落ち葉、砂、塵埃等のゴミが入り込んでたまってしまう。そして、該輪止め本体は、車両の横幅程度の長さを有しているため、内奥にたまったゴミを取り除きづらく、掃除しづらいという問題がある。なお、上記従来の車輪停止具は、内部にゴミがたまりづらいものではあるが、角パイプを輪止め本体としたものに比べてコストが嵩み、特に複数台の車が駐車することを想定したコインパーキング等の駐車場では導入しづらい。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、見映えを良くしつつ、輪止め本体内にゴミがたまることを抑制することができる輪止用カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の輪止用カバーの発明は、筒状に形成された輪止め本体に対して着脱可能に取り付けられる輪止用カバーであり、該輪止め本体の両端開口部に着脱可能に取り付けられる蓋板を備え、該蓋板の内面側には、該輪止め本体に該蓋板を係止するための係止手段が設けられていることを要旨とする。
上記構成によれば、輪止め本体の両端開口部を蓋板で塞ぐという簡易な構成とすることで見映えを良くすることができるとともに、該輪止め本体の両端開口部が蓋板で塞がれるため、輪止め本体内にゴミがたまることを抑制することができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の輪止用カバーの発明において、さらに、該輪止め本体の上面を覆う天板を備えていることを要旨とする。
上記構成によれば、車両の下面が輪止め本体の上面に擦ることによって生じる車両及び輪止め本体の傷付きを抑制することができる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の輪止用カバーの発明において、該天板と一対の該蓋板とが断面コ字状をなすように繋がっていることを要旨とする。
上記構成によれば、天板と蓋板とを繋げて一体化することにより、輪止め本体への取り付けを簡易なものとすることができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の輪止用カバーの発明において、さらに、該輪止め本体の前面又は後面を覆う横板を備えていることを要旨とする。
上記構成によれば、車両の下面、タイヤ等が輪止め本体の前面又は後面に擦ることによって生じる車両及び輪止め本体の傷付きを抑制することができる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の輪止用カバーの発明において、該横板と一対の該蓋板とが断面コ字状をなすように繋がっていることを要旨とする。
上記構成によれば、横板と蓋板とを繋げて一体化することにより、輪止め本体への取り付けを簡易なものとすることができる。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の輪止用カバーの発明において、該天板と一対の該横板とが断面コ字状をなすように繋がっていることを要旨とする。
上記構成によれば、横板と天板とを繋げて一体化することにより、輪止め本体への取り付けを簡易なものとすることができる。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載の輪止用カバーの発明において、該係止手段は、該輪止め本体を床面に固定するボルトに着脱可能に取り付けられるクリップから構成されていることを要旨とする。
上記構成によれば、蓋板の係止手段を簡易な構成とすることで着脱を容易に行うことができる。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のうち何れか一項に記載の輪止用カバーの発明において、該係止手段は、該輪止め本体の両端開口部における内周面上に係止される係止突起から構成されていることを要旨とする。
上記構成によれば、蓋板の係止手段を簡易な構成とすることで着脱を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の輪止用カバーによれば、自由に着色することができ、また着色することで識別が容易になるとともに、見やすくなり、景観も良くなって見映えを良くすることができる。さらに、輪止め本体の開口部を塞ぐことによって該開口部での怪我、つまずきを抑制することができるとともに、輪止め本体内にゴミがたまることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の輪止用カバーを具体化した第1の実施形態を図1、図2に基づいて説明する。
図1に示すように、輪止め本体10は、角筒状に形成されており、両端に開口部10aを有している。該輪止め本体10は、ボルトであるアンカーボルト11及びナット12を使用して床面13に固定されている。そして、輪止用カバー15を構成する蓋板21は、該輪止め本体10に対し、その開口部10aを塞ぐように取り付けられる。
【0014】
図2(a),(b)に示すように、蓋板21は、四角板状に形成されている。該蓋板21において、該輪止め本体10への取付時に内面側となる面上には、係止手段として、クリップ22と係止片23とが設けられている。
該クリップ22は、該蓋板21の面上から延設されたアーム22Aと、該アーム22Aの先端に形成されたC管状のキャップ22Bとからなる。該キャップ22Bは、その内径がアンカーボルト11の径とほぼ同じ長さに設定されている。
該係止片23は、該蓋板21の内面において両側部にそれぞれ突設されている。該係止片23の外側面において、下部には、係止突起23Aが設けられている。該係止突起23Aは、その外側面が該蓋板21の該輪止め本体10への取付方向へ向かうに従い内側に傾斜するように、平面視で直角三角形状に形成されている。
【0015】
該輪止め本体10に該蓋板21を取り付ける場合には、該蓋板21を、そのクリップ22及び係止片23が該輪止め本体10の開口部10aに向くようにしたうえで、外側から該輪止め本体10に向かって押し込む。すると、図2(c)に示すように、該クリップ22の該キャップ22Bが該アンカーボルト11に外嵌され、該蓋板21は、該輪止め本体10に係止される。また該蓋板21は、係止片23の係止突起23Aの外側面が該輪止め本体10の端部の内面に摺接し、かつ密接されることにより、該輪止め本体10に係止される。従って、該蓋板21は、該クリップ22及び該係止突起23Aで該輪止め本体10に係止されることにより、位置ずれ等することなく、該輪止め本体10の両端の開口部10aを塞ぐように取り付けられる。このように該輪止め本体10の開口部10aが該蓋板21によって塞がれた結果、該輪止め本体10の内部にゴミが入り込むことを防止することができる。また、該蓋板21によって該輪止め本体10の開口部10aが塞がれるため、該開口部10aに運転者、同乗者、歩行者等の足先が入り込むことが防止されるため、該開口部10aでの怪我、つまずきを抑制することができる。
【0016】
なお、該輪止用カバー15は、汚れ、破損、傷付き等が頻繁に起こりやすく、所定の強度、剛性を維持しつつ、簡易且つ安価に交換できるようにすることも考慮したほうがよい。従って、該蓋板21は、量産性の確保、強度、剛性の維持、単価の高騰抑制という観点から、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルなどのような合成樹脂を材料として、クリップ22及び係止片23とともに一体成形することが望ましく、リサイクルの観点から、再生PETを材料とすることがより望ましい。また、合成樹脂は、成形時、あるいは成形後における着色が容易であるという利点も有する。
【0017】
次に、本発明の輪止用カバーを具体化した第2の実施形態を図3、図4に基づいて説明する。なお、第2の実施形態以降の他の実施形態は、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0018】
図3に示すように、第2の実施形態の輪止用カバー15は、上記蓋板21に加え、輪止め本体10の上面を覆う天板31と、該輪止め本体10の前面及び後面を覆う一対の横板32とを備えている。該天板31と一対の該横板32は、それぞれ繋がっており、全体で断面コ字状に形成されている。また該横板32の内面下端には、係止突条41が形成されている。
【0019】
該輪止用カバー15において、該輪止め本体10に該天板31及び該横板32を取り付ける場合には、一対の横板32間を拡げるようにして、該天板31及び一対の該横板32を該輪止め本体10に上方から被せる。この際、該係止突条41は、該輪止め本体10の外面を摺動した後、該輪止め本体10の前面及び後面の下縁と床面13との間に形成された若干の間隙内に入り込むため、該天板31及び一対の該横板32が該輪止め本体10に係止される。そして、該輪止め本体10は、該天板31によって上面を覆われ、かつ該横板32によって前面を覆われることにより、マフラー等といった車両の底部との接触による上面の傷付き、タイヤとの接触による前面の傷付きが生じることを防止される。
【0020】
なお、該天板31及び該横板32は、該蓋板21と同様に量産性の確保、強度、剛性の維持、単価の高騰抑制という観点から、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルなどの合成樹脂を材料として一体成形することが望ましく、リサイクルの観点から、再生PETを材料とすることがより望ましい。特に、駐車位置の明示等のため、該輪止め本体10に着色したり、店舗名、番号などを表示したりする必要がある場合、該輪止用カバー15に着色、印字等を簡易にすることもできる。前に述べたように、合成樹脂は、成形時、あるいは成形後における着色が容易である。該輪止用カバー15に着色を施した場合、駐車位置の明示、識別が行いやすく、駐車場所が見やすくなり、また景観もよくなるため、見映えを良くすることができる。加えて、該輪止用カバー15に着色、印字等を行って広告を掲載することで、該輪止用カバー15を広告媒体として活用することができる。
【0021】
次に、本発明の輪止用カバーを具体化した第3の実施形態を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、第3の実施形態の輪止用カバー15は、天板31と一対の蓋板21とを備えている。該天板31と一対の該蓋板21は、それぞれ繋がっており、全体で断面コ字状に形成されている。また一対の該蓋板21の内面には、係止手段として一対の係止突部42がそれぞれ形成されている。該係止突部42は、略矩形状に形成されている。
【0022】
該輪止用カバー15において、該輪止め本体10に該天板31及び該蓋板21を取り付ける場合には、一対の蓋板21間を拡げるようにして、該天板31及び一対の該蓋板21を該輪止め本体10に上方から被せる。この際、該係止突部42は、該輪止め本体10の開口部10aに入り込むため、該天板31及び一対の該横板32が該輪止め本体10に係止される。そして、該輪止め本体10は、該天板31によって上面を覆われ、かつ該蓋板21によって開口部10aを塞がれる。
【0023】
次に、本発明の輪止用カバーを具体化した第4の実施形態を図6に基づいて説明する。
図6に示すように、第4の実施形態の輪止用カバー15は、該輪止め本体10の前面を覆う横板32と一対の蓋板21とを備えている。該横板32と一対の蓋板21は、それぞれ繋がっており、全体で断面コ字状に形成されている。また一対の該蓋板21の内面には、係止手段として一対の係止突部42がそれぞれ略矩形状に形成されている。
【0024】
該輪止用カバー15において、該輪止め本体10に該横板32及び該蓋板21を取り付ける場合には、一対の蓋板21間を拡げるようにして、該横板32及び一対の該蓋板21を該輪止め本体10に前方から被せる。この際、該係止突部42は、該輪止め本体10の開口部10aに入り込むため、該横板32及び一対の該横板32が該輪止め本体10に係止される。そして、該輪止め本体10は、該横板32によって前面を覆われ、かつ該蓋板21によって開口部10aを塞がれる。
【0025】
次に、本発明の輪止用カバーを具体化した第5の実施形態を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、第5の実施形態の輪止用カバー15は、該輪止め本体10の上面を覆う天板31、前面及び後面をそれぞれ覆う一対の横板32、及び一対の蓋板21を備えている。該天板31、一対の該横板32及び一対の蓋板21は、それぞれ繋がっており、各々が断面コ字状に形成されることにより、輪止用カバー15は、全体で箱状をなすように形成されている。
【0026】
該輪止用カバー15を該輪止め本体10に取り付ける場合には、箱状の輪止用カバー15を該輪止め本体10に上方から被せるのみでよい。また該輪止用カバー15においては、該天板31、一対の横板32がそれぞれ蓋板21の係止手段となり、該蓋板21の位置ずれ、脱着を抑制している。結果、該輪止用カバー15は、該蓋板21によって該輪止め本体10の開口部10aを塞ぐとともに、該輪止め本体10への装着が簡易となるという利点を有する。
【0027】
本発明の輪止用カバーを具体化した他の実施形態を図8、図9に基づいて説明する。
上記第1、第2の実施形態において、クリップ22は、図示した形状のものに限らず、図8(a),(b)に示す形状のものとしてもよい。すなわち、クリップ22は、一対の挟持片22Bからなり、各挟持片22Bの内側面には、アンカーボルト11の周面に係止される突部22Cが形成されている。そして、一対の該挟持片22Bの間にアンカーボルト11を入り込ませ、該突部22Cを該アンカーボルト11の周面に係止させることにより、蓋板21を該輪止め本体10に係止している。
また、クリップ22又は係止突起23Aの何れか一方を省略してもよい。また、クリップ22、係止突起23Aに代え、第3、第4の実施形態で示した係止突部42を設けてもよい。
【0028】
上記第3及び第4の実施形態において、係止突部42は、矩形状に限らず、図9(a),(b)に示すような円柱状、球状としてもよい。他に、係止手段として、図9(c)に示すような係止舌片43を形成してもよい。該係止舌片43は、略波状に形成されており、床面13との間に該輪止め本体10の端部周壁を挟み込むことにより、蓋板21を該輪止め本体10に係止している。また、第1、第2の実施形態において、係止突起23Aに代えて該係止舌片43を一対設け、各係止舌片43の先端が該輪止め本体10の内面に圧接されることにより、蓋板21を該輪止め本体10に係止してもよい。
【0029】
上記の各実施形態においては、材料に合成樹脂を用いることで、着色が容易となり、駐車位置の明示、識別が行いやすく、駐車場所が見やすくなり、また景観もよくなるため、見映えを良くすることができるという利点を有する。加えて、各実施形態の輪止用カバー15に広告を掲載することで、広告媒体として活用することができるという利点も有する。さらに各実施形態では該輪止め本体10の開口部10aが塞がれた結果、該輪止め本体10の内部にゴミが入り込むことを防止することができるとともに、該開口部10aでの怪我、つまずきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態の輪止用カバーを示す斜視図。
【図2】(a)は第1の実施形態の輪止用カバーを示す平面図、(b)は輪止用カバーを示す側面図、(c)は輪止用カバーを輪止め本体に取り付けた状態を示す平断面図。
【図3】第2の実施形態の輪止用カバーを示す斜視図。
【図4】天板及び横板を輪止め本体に取り付けた状態を示す側面図。
【図5】第3の実施形態の輪止用カバーを示す斜視図。
【図6】第4の実施形態の輪止用カバーを示す斜視図。
【図7】第5の実施形態の輪止用カバーを示す斜視図。
【図8】(a),(b)は他の実施形態の輪止用カバーを示す平面図。
【図9】(a)〜(c)は他の実施形態の輪止用カバーを示す側断面図。
【符号の説明】
【0031】
10 輪止め本体
11 アンカーボルト
15 輪止用カバー
21 蓋板
22 クリップ
23A 係止突起
31 天板
32 横板
42 係止突部
43 係止舌片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された輪止め本体に対して着脱可能に取り付けられる輪止用カバーであり、
該輪止め本体の両端開口部に着脱可能に取り付けられる蓋板を備え、該蓋板の内面側には、該輪止め本体に該蓋板を係止するための係止手段が設けられていることを特徴とする輪止用カバー。
【請求項2】
さらに、該輪止め本体の上面を覆う天板を備えている請求項1に記載の輪止用カバー。
【請求項3】
該天板と一対の該蓋板とが断面コ字状をなすように繋がっている請求項2に記載の輪止用カバー。
【請求項4】
さらに、該輪止め本体の前面又は後面を覆う横板を備えている請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の輪止用カバー。
【請求項5】
該横板と一対の該蓋板とが断面コ字状をなすように繋がっている請求項4に記載の輪止用カバー。
【請求項6】
該天板と一対の該横板とが断面コ字状をなすように繋がっている請求項4又は請求項5に記載の輪止用カバー。
【請求項7】
該係止手段は、該輪止め本体を床面に固定するボルトに着脱可能に取り付けられるクリップから構成されている請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載の輪止用カバー。
【請求項8】
該係止手段は、該輪止め本体の両端開口部における内周面上に係止される係止突起から構成されている請求項1から請求項7のうち何れか一項に記載の輪止用カバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−183911(P2008−183911A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16293(P2007−16293)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】