説明

輪郭補正回路

【課題】映像信号の高域成分を強調し、映像の輪郭を補正する輪郭補正回路に関して、乗算器などを使用する事なく、従来に比べ輪郭補正を大きくかけること。
【解決手段】遅延回路2と、輪郭補正信号生成回路3と、逆ガンマ補正回路4と、加算器5とを備え、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路4で元にもどしてから輪郭補正信号生成回路3で輪郭補正信号を生成し、遅延回路2で遅延補償されたガンマ補正された映像信号と、輪郭補正信号を加算器5で加算する事により、輪郭補正を大きくかける事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号の高域成分を強調し、映像の輪郭を補正する輪郭補正回路に関する。
【背景技術】
【0002】
画質調整回路の一つとして、映像信号の高域成分を強調し、映像の輪郭を補正する輪郭補正回路がある。また、一般に映像信号は、ブラウン管上で自然な階調が得られるように、予めブラウン管の特性を考慮したガンマ補正が施されている。図12は、輪郭補正回路において、輪郭補正信号を生成する輪郭補正信号生成回路の一例を示す構成図で、図12において、51は入力端子で、ガンマ補正された映像信号(a)が入力される。52と53は遅延回路で、入力される映像信号をそれぞれT期間遅延し出力する。54と56は反転回路で、入力される信号の振幅をそれぞれ反転して出力する。55は2倍回路で、入力される信号の振幅を2倍にして出力する。57は加算器、58は出力端子である。
【0003】
このように構成された輪郭補正信号生成回路の動作波形を図13を用いて説明する。図13において(a)は振幅がAである入力映像信号、(b)は前記入力信号(a)を反転回路56で反転した振幅が−Aの信号、(c)は前記入力信号(a)を遅延回路52でT期間遅延し、さらに2倍回路55で振幅を2倍にした振幅が2Aの信号、(d)は前記遅延回路52と遅延回路53で2T期間遅延し、さらに反転回路54で反転した振幅が−Aの信号である。(e)は輪郭補正信号で、前記(b)(c)(d)の信号を前記加算器57で加算する事で得られる。前記輪郭補正信号(e)は、映像信号の立ち上がりと立下り、すなわち映像信号のエッジ部分で正側と負側にそれぞれT期間、入力映像信号(a)の振幅Aで振れる信号となる。
【0004】
このような輪郭補正信号生成回路を使用した従来の輪郭補正回路として、特許文献1に開示の発明がある。
【0005】
図11は、前記特許文献1に記載された従来の輪郭補正回路を示すものである。図11において、1は映像信号入力端子で、ガンマ補正された映像信号(a)が入力される。3は上述した輪郭補正信号生成回路で、前記ガンマ補正された映像信号(a)を入力し輪郭補正信号(e)を生成し出力する。2は遅延回路で、映像信号(a)と輪郭補正信号(e)の遅延時間の差を補償するために、映像信号(a)を遅延し出力する。13は振幅増減回路で、前記遅延回路2の出力信号のレベルと前記輪郭補正信号(e)の正側、負側、及び振幅によって、輪郭補正信号(e)の振幅を増減させて輪郭補正信号(n)を出力する。5は加算器で、前記輪郭補正信号(n)と前記遅延回路2の出力信号を加算し輪郭補正された映像信号(p)を得る。14は出力端子である。このように構成された輪郭補正回路によって、ブラウン管上での映像再生時に正側と負側の輪郭の大きさの差がほぼなくなる輪郭補正を可能としている。
【特許文献1】特開平6−296243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のごとく、ガンマ補正された映像信号(a)から輪郭補正信号(e)を生成しているので、ガンマ補正される前の原信号から輪郭補正信号(e)を生成する場合に比べ、輪郭補正信号(e)の振幅が小さくなる場合がある。
【0007】
この点について図2と図4、図5、図7を用いて、簡単の為に、ガンマ補正のダイナミックレンジを8ビット(0から255)とした場合で説明する。この時のガンマ特性は、出力=255×(入力/255)(1/2.2)で算出される。
【0008】
図2の(a)(e)(p)は、前記特許文献1に記載された従来の輪郭補正回路の動作波形で、例えば、ガンマ補正される前の原信号のレベルが100から150に変化する振幅50である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、167から201に変化し振幅が34と小さくなる。この時のガンマ補正の入出力特性を図5に示す。これによって上述した輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(e)の振幅も正側、負側とも34と小さくなり、振幅増減回路13の乗算器ゲインを1とした場合、輪郭補正が小さくかかった映像信号(p)となってしまう。
【0009】
また、例えば、図3に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが180から200に変化する振幅20である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、218から229に変化し振幅が11と小さくなる。この時のガンマ補正の入出力特性を図6に示す。この場合も輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(e)の振幅は正側、負側ともに11と小さくなり、同様に振幅増減回路13の乗算器ゲインを1とした場合、輪郭補正が小さくかかった映像信号(p)となってしまう。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ガンマ補正された映像信号(a)を逆ガンマ補正回路で元にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、乗算器を使用する事なく従来に比べ輪郭補正が大きくかかる輪郭補正回路を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の輪郭補正回路は、ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、前記逆ガンマ補正回路の出力信号から輪郭補正信号を生成する輪郭補正信号生成回路と、前記ガンマ補正された映像信号を、所定時間遅延する遅延回路と、前記輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を加算する加算器とを有している。
【0012】
また、この目的を達成するために本発明の第2の輪郭補正回路は、ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、前記逆ガンマ補正回路の出力信号の平均輝度を検出する平均輝度検出回路と、前記ガンマ補正された映像信号と、前記逆ガンマ補正回路の出力信号とを、前記平均輝度検出回路の検出結果に応じて選択する選択回路と、前記選択回路の出力信号から輪郭補正信号を生成する輪郭補正信号生成回路と、
前記ガンマ補正された映像信号を、所定時間遅延する遅延回路と、前記輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を加算する加算器とを有している。
【0013】
また、この目的を達成するために本発明の第3の輪郭補正回路は、ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、前記逆ガンマ補正回路の出力信号から輪郭補正信号を生成する第1の輪郭補正信号生成回路と、前記ガンマ補正された映像信号から輪郭補正信号を生成する第2の輪郭補正信号生成回路と、前記第1の輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記第2の輪郭補正信号生成回路の出力信号を入力し、入力される輪郭補正信号の正側は大きい方を負側は小さい方の信号レベルを判定し出力する信号レベル判定回路と、前記ガンマ補正された映像信号を所定時間遅延する遅延回路と、前記信号レベル判定回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を加算する加算器とを有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明の輪郭補正回路は、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路で元にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、乗算器などを使用する事なく、従来に比べ輪郭補正を大きくかける事ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る輪郭補正回路の構成を示すブロック図であり、図1において、1は映像信号入力端子で、前記ガンマ補正された映像信号が入力される。4は逆ガンマ補正回路で、ガンマ補正された映像信号を入力し逆ガンマ補正を行う。3は輪郭補正信号生成回路で、前記逆ガンマ補正回路4の出力信号を入力し輪郭補正信号を生成する。2は遅延回路で、前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する。5は加算器で、前記輪郭補正信号生成回路3の出力信号と、前記遅延回路2の出力信号を入力し加算する。6は出力端子である。
【0017】
以上のように構成された輪郭補正回路において、図1と図2、図3、図4、図5、図6、図7を用いてその動作を説明する。図1において、図11と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。簡単の為に、逆ガンマ補正のダイナミックレンジを8ビット(0から255)とした場合で説明する。この時の逆ガンマ特性は、出力=255×(入力/255)2.2で算出される。
【0018】
図2の(a)(f)(g)(h)は、図1に示した輪郭補正回路の動作波形で、一例として、ガンマ補正される前の原信号のレベルが100から150に変化する振幅50の場合で説明する。
【0019】
映像信号入力端子1より入力されるガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、上述したように、167から201に変化し振幅が34と小さくなる。逆ガンマ補正回路4は、ガンマ補正された映像信号(a)を逆ガンマ補正し、167から201に変化する振幅34であった信号を100から150に変化する振幅50の元の信号にもどして逆ガンマ補正回路出力信号(f)として出力する。この時のガンマ補正と逆ガンマ補正の入出力特性を図5に示す。輪郭補正信号生成回路3は、振幅50の逆ガンマ補正回路出力信号(f)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ50の輪郭補正信号(g)を出力する。遅延回路2は、ガンマ補正された映像信号(a)を入力し、逆ガンマ補正回路4と輪郭補正信号生成回路3の遅延時間を補償するために所定時間遅延し出力する。加算器5は、遅延回路2の出力信号と輪郭補正信号(g)を入力し、振幅34の映像信号に正側と負側に振幅50の輪郭補正信号を加算した映像信号(h)を出力端子6より出力する。従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0020】
また、例えば、図3に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが180から200に変化する振幅20である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、上述したように、218から229に変化し振幅が11と小さくなる。振幅が11と小さくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、180から200に変化する振幅20の元の信号にもどされる。この時のガンマ補正と逆ガンマ補正の入出力特性を図6に示す。輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(g)の振幅は正側、負側とも20となり、加算器5は、従来に比べて輪郭補正が大きくかかった映像信号(h)を出力端子6より出力する。この場合も、従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0021】
また、例えば、図4に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが20から70に変化する振幅50である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、80から142に変化し振幅が62と大きくなる。振幅が62と大きくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、20から70に変化する振幅50の元の信号にもどされる。この時のガンマ補正と逆ガンマ補正の入出力特性を図7に示す。輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(g)の振幅は正側、負側とも50となり、この場合、加算器5は、従来に比べて輪郭補正が小さくかかった映像信号(h)を出力端子6より出力する。
【0022】
以上の説明のように、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路で元の信号にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、従来に比べ輪郭補正を大きくかける事ができるという効果がある。ただし、入力される映像信号のレベルによって小さくかかる場合がある。
【0023】
(実施の形態2)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る輪郭補正回路の構成を示すブロック図であり、図8において、1は映像信号入力端子で、ガンマ補正された映像信号が入力される。4は逆ガンマ補正回路で、ガンマ補正された映像信号を入力し逆ガンマ補正を行う。9は平均輝度検出回路で、前記逆ガンマ補正回路4の出力信号を入力し平均輝度を検出する。10は選択回路で、前記ガンマ補正された映像信号と、前記逆ガンマ補正回路4の出力信号を入力し、前記平均輝度検出回路9の検出結果に応じて、入力される信号のいずれか一方を選択し出力する。3は輪郭補正信号生成回路で、前記選択回路10の出力信号を入力し輪郭補正信号を生成する。2は遅延回路で、前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する。5は加算器で、前記輪郭補正信号生成回路3の出力信号と、前記遅延回路2の出力信号を入力し加算する。6は出力端子である。
【0024】
以上のように構成された輪郭補正回路において、図2と図3、図4、図8を用いてその動作を説明する。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。上述と同じく簡単の為に、逆ガンマ補正のダイナミックレンジを8ビット(0から255)とした場合で説明する。
【0025】
図2の(a)(f)(j)(k)(h)は、図8に示した輪郭補正回路の動作波形で、上述したように、一例として、ガンマ補正される前の原信号のレベルが100から150に変化する振幅50の場合で説明する。映像信号入力端子1より入力されるガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、167から201に変化し振幅が34と小さくなる。また、逆ガンマ補正回路4は、ガンマ補正された映像信号(a)を逆ガンマ補正し、167から201に変化する振幅34であった信号を、100から150に変化する振幅50の元の信号にもどして逆ガンマ補正回路出力信号(f)として出力する。平均輝度検出回路9は、前記逆ガンマ補正回路4の出力信号を入力し、平均輝度を算出し平均輝度が高い場合(ここでは、50以上)“H”を、低い場合(ここでは、50未満)“L”を出力する。この一例では平均輝度が125であるので平均輝度検出回路9の出力は“H”となる。選択回路10は、ガンマ補正された映像信号(a)と、逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)を入力し、平均輝度検出回路9の出力信号が“H”の場合逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)を、“L”の場合ガンマ補正された映像信号(a)を出力信号(j)として出力する。この一例では平均輝度検出回路9の出力信号は“H”であるので、選択回路10の出力信号(j)は、逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)が選択される。
【0026】
輪郭補正信号生成回路3は、選択回路10から出力される振幅50の逆ガンマ補正回路出力信号(f)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ50の輪郭補正信号(k)を出力する。遅延回路2は、ガンマ補正された映像信号(a)を入力し、逆ガンマ補正回路4と輪郭補正信号生成回路3の遅延時間を補償するために所定時間遅延し出力する。加算器5は、遅延回路2の出力信号と輪郭補正信号(k)を入力し、振幅34の映像信号に正側と負側に振幅50の輪郭補正信号を加算した映像信号(h)を出力端子6より出力する。従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0027】
また、例えば、図3に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが180から200に変化する振幅20である場合、上述したように、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、218から229に変化し振幅が11と小さくなる。振幅が11と小さくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、180から200に変化する振幅20の元の信号にもどされる。平均輝度検出回路9は、逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)の平均輝度が190であるので“H”を出力する。選択回路10の出力信号(j)は、平均輝度検出回路9の出力信号が“H”であるので、逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)が選択され輪郭補正信号生成回路3へ入力される。よって、輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(k)の振幅は正側、負側とも20となり、加算器5は、従来に比べて輪郭補正が大きくかかった映像信号(h)を出力端子6より出力する。この場合も、従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0028】
また、例えば、図4に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが20から70に変化する振幅50である場合、上述したように、ガンマ補正された映像信号(a)の振幅は62と大きくなる。振幅が62と大きくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、20から70に変化する振幅50の元の信号にもどされる。
【0029】
平均輝度検出回路9は、逆ガンマ補正回路4の出力信号(f)の平均輝度が45であるので“L”を出力する。選択回路10の出力信号(j)は、平均輝度検出回路9の出力信号が“L”であるので、ガンマ補正され振幅が62と大きくなった映像信号(a)が選択され輪郭補正信号生成回路3へ入力される。よって、輪郭補正信号生成回路3で生成される輪郭補正信号(k)の振幅は正側、負側とも62となり、加算器5は、従来の映像信号(p)と同様に輪郭補正が大きくかかった映像信号(h’)を出力端子6より出力する。
【0030】
以上の説明のように、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路で元の信号にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、従来に比べ輪郭補正を大きくかける事ができるという効果がある。さらに逆ガンマ補正回路の平均輝度を検出し、平均輝度が低い場合はガンマ補正された映像信号に切換えて輪郭補正信号を生成することにより、常に輪郭補正を大きくかける事ができる。
【0031】
なお、平均輝度の検出レベルを50の固定値で説明したが、外部より設定可能な構成としてもよい。
【0032】
(実施の形態3)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る輪郭補正回路の構成を示すブロック図であり、図9において、1は映像信号入力端子で、ガンマ補正された映像信号が入力される。4は逆ガンマ補正回路で、ガンマ補正された映像信号を入力し逆ガンマ補正を行う。3は第1の輪郭補正信号生成回路で、前記逆ガンマ補正回路4の出力信号を入力し輪郭補正信号を生成する。11は第2の輪郭補正信号生成回路で、前記ガンマ補正された映像信号を入力し輪郭補正信号を生成する。12は信号レベル判定回路で、前記第1の輪郭補正信号生成回路3の出力信号と、前記第2の輪郭補正信号生成回路11の出力信号を入力し、入力される輪郭補正信号の正側は大きい方を負側は小さい方の信号レベルを判定し出力する。2は遅延回路で、前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する。5は加算器で、前記信号レベル判定回路12の出力信号と、前記遅延回路2の出力信号を入力し加算する。6は出力端子である。
【0033】
以上のように構成された輪郭補正回路において、図2と図3、図4、図9、図10を用いてその動作を説明する。図9において、図8と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。上述と同じく簡単の為に、逆ガンマ補正のダイナミックレンジを8ビット(0から255)とした場合で説明する。
【0034】
図2の(a)(e)(f)(g)(m)(h)は、図9に示した輪郭補正回路の動作波形で、上述したように、一例として、ガンマ補正される前の原信号のレベルが100から150に変化する振幅50の場合で説明する。映像信号入力端子1より入力されるガンマ補正された映像信号(a)の振幅は34と小さくなる。逆ガンマ補正回路4は、ガンマ補正された映像信号(a)を逆ガンマ補正し、振幅が34であった信号を、100から150に変化する振幅50の元の信号にもどして逆ガンマ補正回路出力信号(f)として出力する。第1の輪郭補正信号生成回路3は、振幅50の逆ガンマ補正回路出力信号(f)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ50の輪郭補正信号(g)を出力する。第2の輪郭補正信号生成回路11は、振幅34のガンマ補正された映像信号(a)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ34の輪郭補正信号(e)を出力する。輪郭補正信号(e)(g)は、信号レベル判定回路12に入力する。
【0035】
信号レベル判定回路12の構成図を図10に示す。入力端子21へ入力される輪郭補正信号(e)をA、入力端子22へ入力される輪郭補正信号(g)をBとすると、比較器23はA>Bの時“H”それ以外の時“L”を出力し、比較器24はB>Aの時“H”それ以外の時“L”を出力する。スイッチ回路28はAとBを入力し比較器23、24の出力信号を制御信号として、制御信号が“H”でショート、“L”でオープンとなりその結果、大きい方を出力する。比較器25はA<Bの時“H”それ以外の時“L”を出力し、比較器26はB<Aの時“H”それ以外の時“L”を出力する。スイッチ回路29はAとBを入力し比較器25、26の出力信号を制御信号として、制御信号が“H”でショート、“L”でオープンとなりその結果、小さい方を出力する。正負検出回路27はAとBを入力し、いずれか一方が正であれば“H”を負であれば“L”を出力する。選択回路30は正負検出回路27の出力信号を制御信号として、制御信号が“H”でスイッチ回路28の出力信号を、“L”でスイッチ回路29の出力信号を選択し出力する。以上の動作によって、輪郭補正信号(e)と(g)の正側は大きい方の信号が、また負側は小さい方の信号が判定され出力端子31より出力される。この一例では、信号レベル判定回路12は正側と負側の振幅がそれぞれ34の輪郭補正信号(e)と50の輪郭補正信号(g)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ50の輪郭補正信号を出力信号(m)として出力端子31から出力する。
【0036】
加算器5は、遅延回路2の出力信号と信号レベル判定回路12の出力信号(m)を入力し、振幅34の映像信号に正側と負側に振幅50の輪郭補正信号を加算した映像信号(h)を出力端子6より出力する。従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0037】
また、例えば、図3に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが180から200に変化する振幅20である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、上述したように、218から229に変化し振幅が11と小さくなる。振幅が11と小さくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、180から200に変化する振幅20の元の信号にもどされる。
【0038】
第1の輪郭補正信号生成回路3は、振幅20の逆ガンマ補正回路出力信号(f)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ20の輪郭補正信号(g)を出力する。第2の輪郭補正信号生成回路11は、振幅11のガンマ補正された映像信号(a)を入力し、正側と負側の振幅がそれぞれ11の輪郭補正信号(e)を出力する。輪郭補正信号(e)(g)は、信号レベル判定回路12に入力する。信号レベル判定回路12は上述したように、正側と負側の振幅がそれぞれ20の輪郭補正信号を出力信号(m)として出力する。加算器5は、遅延回路2の出力信号と信号レベル判定回路12の出力信号(m)を入力し、振幅11の映像信号に正側と負側に振幅20の輪郭補正信号を加算した映像信号(h)を出力端子6より出力する。従来の輪郭補正回路の出力信号(p)に比べ輪郭補正が大きくかかる。
【0039】
また、例えば、図4に示すように、ガンマ補正される前の原信号のレベルが20から70に変化する振幅50である場合、ガンマ補正された映像信号(a)のレベルは、上述したように、80から142に変化し振幅が62と大きくなる。振幅が62と大きくなった映像信号(a)は、逆ガンマ補正回路4で逆ガンマ補正され、20から70に変化する振幅50の元の信号にもどされる。上述したように、第1の輪郭補正信号生成回路3は、正側と負側の振幅がそれぞれ50の輪郭補正信号(g)を出力し、第2の輪郭補正信号生成回路11は、正側と負側の振幅が62の輪郭補正信号(e)を出力する。信号レベル判定回路12は上述したように、正側と負側の振幅がそれぞれ62の輪郭補正信号を出力信号(m)として出力する。加算器5は、遅延回路2の出力信号と信号レベル判定回路12の出力信号(m)を入力し、振幅62の映像信号に正側と負側に振幅62の輪郭補正信号を加算した映像信号(h’)を出力端子6より出力する。従来の輪郭補正回路の出力信号(p)と同様に輪郭補正が大きくかかる。
【0040】
以上の説明のように、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路で元の信号にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、従来に比べ輪郭補正を大きくかける事ができるという効果がある。さらに、ガンマ補正された映像信号から生成する輪郭補正信号と逆ガンマ補正された映像信号から生成する輪郭補正信号のレベルを信号レベル判定回路で判定する事によって振幅の大きい輪郭補正信号を映像信号に加算でき、常に輪郭補正を大きくかける事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る輪郭補正回路は、ガンマ補正された映像信号を逆ガンマ補正回路で元にもどしてから輪郭補正信号を生成することにより、輪郭補正信号の振幅を大きくし、乗算器などを使用する事なく、従来に比べ輪郭補正を大きくかける事が可能になるので、映像信号の高域成分を強調し、映像の輪郭を補正する輪郭補正回路として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1における輪郭補正回路の構成を示すブロック図
【図2】輪郭補正回路の動作を説明するための動作波形図
【図3】輪郭補正回路の動作を説明するための動作波形図
【図4】輪郭補正回路の動作を説明するための動作波形図
【図5】ガンマ特性と逆ガンマ特性を示す図
【図6】ガンマ特性と逆ガンマ特性を示す図
【図7】ガンマ特性と逆ガンマ特性を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における輪郭補正回路の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態3における輪郭補正回路の構成を示すブロック図
【図10】信号レベル判定回路の構成を示すブロック図
【図11】従来の輪郭補正回路の構成を示すブロック図
【図12】輪郭補正信号生成回路の一例を示すブロック図
【図13】輪郭補正信号生成回路の動作を説明するための動作波形図
【符号の説明】
【0043】
1 映像信号入力端子
2 遅延回路
3 輪郭補正信号生成回路
4 逆ガンマ補正回路
5 加算器
6 出力端子
9 平均輝度検出回路
10 選択回路
11 第2の輪郭補正信号生成回路
12 信号レベル判定回路
21、22、51 入力端子
23、24、25、26 比較器
27 正負検出回路
28、29 スイッチ回路
30 選択回路
31、58 出力端子
52、53 遅延回路
54、56 反転回路
55 2倍回路
57 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、
前記逆ガンマ補正回路の出力信号を入力し、輪郭補正信号を生成する輪郭補正信号生成回路と、
前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する遅延回路と、
前記輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を入力し加算し出力する加算器とを備えたことを特徴とする輪郭補正回路。
【請求項2】
ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、
前記逆ガンマ補正回路の出力信号を入力し、平均輝度を検出する平均輝度検出回路と、
前記ガンマ補正された映像信号と、前記逆ガンマ補正回路の出力信号を入力し、前記平均輝度検出回路の検出結果に応じて、入力される信号のいずれか一方を選択し出力する選択回路と、
前記選択回路の出力信号を入力し、輪郭補正信号を生成する輪郭補正信号生成回路と、
前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する遅延回路と、
前記輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を入力し加算し出力する加算器とを備えたことを特徴とする輪郭補正回路。
【請求項3】
ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正する逆ガンマ補正回路と、
前記逆ガンマ補正回路の出力信号を入力し、輪郭補正信号を生成する第1の輪郭補正信号生成回路と、
前記ガンマ補正された映像信号を入力し、輪郭補正信号を生成する第2の輪郭補正信号生成回路と、
前記第1の輪郭補正信号生成回路の出力信号と、前記第2の輪郭補正信号生成回路の出力信号を入力し、入力される輪郭補正信号の正側は大きい方を負側は小さい方の信号レベルを判定し出力する信号レベル判定回路と、
前記ガンマ補正された映像信号を入力し、所定時間遅延し出力する遅延回路と、
前記信号レベル判定回路の出力信号と、前記遅延回路の出力信号を入力し加算し出力する加算器とを備えたことを特徴とする輪郭補正回路。
【請求項4】
ガンマ補正された映像信号を入力し、逆ガンマ補正を行う逆ガンマ補正回路と、
入力された映像信号の輝度の変化量に応じて、輪郭補正信号の補正量を調整する輪郭補正信号生成回路と、
ガンマ補正された映像信号を所定時間遅延して出力するための遅延回路と、
前記遅延回路から出力された映像信号と、前記輪郭補正信号生成回路から出力された輪郭補正信号を加算する加算器とを備え、
前記逆ガンマ補正回路により、ガンマ補正された映像信号の輝度の変化量を増加し、前記輪郭補正信号生成回路から出力される前記輪郭補正信号の補正量を増加させることを特徴とする輪郭補正回路。
【請求項5】
前記輪郭補正信号生成回路は、ガンマ補正された映像信号の輝度が所定値以上の場合にのみ、逆ガンマ補正回路の出力信号を入力し、輪郭補正信号を生成することを特徴とする請求項4記載の輪郭補正回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−266810(P2007−266810A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87034(P2006−87034)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】