説明

輸送計画策定方法および装置

【課題】
本発明の目的は、その後に注文される特急の輸送依頼に対応できる確率を向上させることができる輸送計画策定方法および装置を提供することにある。
【解決手段】
経路設定部2は荷積込地から荷卸地までの輸送経路を設定し、経由する営業所数に基づき輸送経路を区分する。輸送候補日時抽出部3は顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい日時を輸送経路区分数だけ記憶部4から抽出する。仮輸送候補設定部5は抽出した平均積載率の小さい日時を時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定し、輸送計画確定部6でシミュレーションして輸送計画を確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送業者が顧客の依頼により荷物の荷積込地から荷積卸地までの輸送予定を計画する輸送計画策定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運送業界においては顧客からの発注に伴う輸送業務について荷物の荷積込から荷積卸までの輸送日時を即座に回答することが要求されている。運送業者は顧客から依頼があると顧客要求の輸送コスト、輸送期間などを検討して輸送経路を設定して仮輸送計画を策定する。そして仮輸送計画に基づいて車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定するようにしている。
【0003】
荷物(商品)の輸送計画を策定することは、例えば、下記特許文献1に記載されており、また、車両割当て(配車)シミュレーションを実行することは下記特許文献2に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−223495号公報
【特許文献2】特開平7−234997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術は、顧客要求の輸送コスト、輸送期間などを検討して輸送経路を設定して仮輸送計画を策定し、シミュレーションを実行して輸送計画を確定している。輸送計画は運送業者の平均積載率に関係なく確定され、平均積載率がピーク値の高い日時に輸送計画が設定されることがある。このため、その後に注文される特急の輸送依頼に対応できなくなるという問題点を有する。
【0006】
本発明の目的は、その後に注文される特急の輸送依頼に対応できる確率を向上させることができる輸送計画策定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分し、顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい日時を輸送経路区分数だけ抽出して時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定し、設定した仮輸送計画に基づいて車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定するようにしたことにある。
【0008】
本発明は、荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分し、顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい日時を輸送経路区分数だけ抽出して時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定している。したがって、運送業者の平均積載率がピーク値の高い日時に輸送計画を設定することがなく、その後に注文される特急の輸送依頼に対応できる確率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい方から輸送経路区分数の日時を仮輸送計画に設定しているので、その後に注文される特急の輸送要求に対応できる確率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
運送業者は顧客の依頼により荷物の荷積込地から荷積卸地までの輸送予定を計画する。顧客の輸送依頼は入力手段に入力される。経路設定手段は荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分する。運送業者の平均積載率は記憶手段に格納されている。輸送候補日時抽出手段は記憶手段から顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい方から輸送経路区分数日時を抽出する。仮輸送候補設定手段は輸送候補日時抽出手段で抽出した平均積載率の小さい日時を時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定する。輸送計画確定手段は仮輸送候補設定手段で設定した仮輸送計画に基づいて車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定する。積載率更新手段は輸送計画確定手段で確定した輸送計画に基づき記憶手段の平均積載率を更新する。
【実施例】
【0011】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0012】
図1において、運送業者のパソコンを構成する入力部1には顧客の注文による輸送依頼情報が入力される。輸送依頼情報は荷物(商品)の引取先(荷積込地)や納入先(荷卸地)、荷物種類(商品名)を含んでいる。入力部1に入力された輸送依頼情報は経路設定部2に加えられる。
【0013】
経路設定部2は荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分する。輸送経路は顧客要求の輸送コスト、輸送期間などを検討して最適輸送経路が設定される。なお、輸送経路を区分した輸送経路を区分輸送区間と称する。
【0014】
記憶部4には運送業者の平均積載率が格納されている。平均積載率は図6に示すように単位時間(通常は1時間)毎に格納されている。輸送候補日時抽出部3は顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい日時を輸送経路区分数だけ記憶部4から抽出する。予め定めた期間は1週間程度である。また、輸送候補日時抽出部3は抽出した平均積載率の小さい日時を時期の早い順に区分輸送経路に割当てる。
【0015】
仮輸送候補設定部5は輸送候補日時抽出部3で抽出し割当てした仮輸送計画を設定し輸送計画確定部6に加える。輸送計画確定部6は仮輸送候補設定部5で設定した仮輸送計画を入力して車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定する。積載率更新部7は輸送計画確定部6で確定した確定輸送計画を入力して記憶部4の平均積載率を更新する。
【0016】
図2に輸送候補日時抽出部3の一例構成図を示す。
【0017】
区分数入力部10は経路設定部2で設定した輸送経路の経路区分数を入力して期間特定部11に加える。期間特定部11は顧客依頼時から予め定めた期間(1週間程度の所定期間)を特定して積載率抽出部12に加える。
【0018】
積載率抽出部12は所定期間における運送業者の平均積載率の小さい日時を輸送経路区分数だけ記憶部4から抽出し日時順編成部13に加える。平均積載率の小さい日時は最小値の日時から順に抽出される。日時順編成部13は平均積載率の小さい日時を時期の早い順に並び替えて編成し輸送日時割当部14に加える。輸送日時割当部14は図1の仮輸送候補設定部5に仮輸送計画を設定する。
【0019】
次に図3、図4に示すフロー図を参照して動作を説明する。
【0020】
顧客の輸送依頼情報はステップS1において入力部1に入力される。輸送依頼情報は荷物(商品)の引取先(荷積込地)や納入先(荷卸地)、荷物種類(商品名)を含んでいる。入力部1に入力された輸送依頼情報は経路設定部2に加えられる。
【0021】
経路設定部2はステップS1からステップS2に移行すると荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分する。輸送経路は顧客要求の輸送コスト、輸送期間などを検討して最適輸送経路が設定される。
【0022】
例えば、図5に示すように荷積込地Aから荷卸地Bへの輸送依頼を受けると、荷積込地A−営業所21−営業所25−営業所24−営業所26−荷卸地Bの順の輸送経路を設定する。荷積込地A−営業所21の間を輸送経路区分(区分経路区間)「1」、営業所21−営業所25の間を輸送経路区分「2」、営業所25−営業所24の間を輸送経路区分「3」、営業所24−営業所26の間を輸送経路区分「4」、営業所26−荷卸地Bの間を輸送経路区分「5」とする。区分経路区間数は経由する営業所数に基づいたものとなる。
【0023】
記憶部4には図6に示すような運送業者の単位時間(1時間)毎の平均積載率a1〜a6が格納されている。平均積載率a1〜a6の大きさはa6>a1>a3>a4>a5>a2の関係にある。
【0024】
輸送候補日時抽出部3はステップS3において記憶部4に格納されている平均積載率a1〜a6に基づき輸送候補日時を抽出する。輸送候補日時抽出部3を構成する区分数入力部10に入力された区分区間数の5が期間特定部11に加えられる。期間特定部11は顧客依頼時から予め定めた期間(図6の所定期間T)を特定して積載率抽出部12に加える。
【0025】
積載率抽出部12はステップS31で所定期間Tにおける運送業者の平均積載率a1〜a6を記憶部4から抽出し、ステップS32に移行して区分経路区間数の5個の平均積載率aが最小値a6の日時から順に選択して抽出する。抽出される平均積載率a6、a1、a3、a4、a5の5個になる。
【0026】
日時順編成部13はステップS33において積載率抽出部12で抽出した平均積載率a6、a1、a3、a4、a5の日時を時期の早い順に並び替えて編成する。並び替え編成された平均積載率aはa1、a3、a4、a5、a6の順になる。
【0027】
輸送日時割当部14はステップS34で時期の早い順に並び替えて編成された平均積載率a1、a3、a4、a5、a6を輸送区間順「1」〜「5」に割当てる。図1の仮輸送候補設定部5に与える。輸送区間「1」には平均積載率a1の日時、輸送区間「2」には平均積載率a3の日時、輸送区間「3」には平均積載率a4の日時、輸送区間「4」には平均積載率a5の日時、輸送区間「5」には平均積載率a6の日時がそれぞれ割当てられる。
【0028】
仮輸送候補設定部5はステップS4において輸送候補日時抽出部3で抽出した平均積載率に日時を輸送区間に割当てた仮輸送計画を設定する。輸送計画確定部6はステップS4からステップS5に移行して仮輸送候補設定部5で設定した仮輸送計画に基づき車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定する。
【0029】
輸送計画確定部6が輸送計画を確定するとステップS5において顧客に輸送計画を回答する。また、積載率更新部7は輸送計画確定部6で確定した確定輸送計画を入力して記憶部4の平均積載率を更新する。
【0030】
輸送計画確定部6がシミュレーションを実行して輸送計画を確定できない場合には輸送経路を変更したり、平均積載率aの大きさの異なる日時を変えて再度仮輸送計画を作成し繰り返し実行することによって、所定期間が1週間であるのに対して平均積載率の単位時間が1時間であり輸送計画を確定することが可能になる。
【0031】
このようにして輸送計画を策定するのであるが、荷積込地から荷卸地までの運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分し、顧客依頼時から予め定めた期間における運送業者の平均積載率の小さい方から輸送経路区分数の日時を抽出して時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定している。したがって、運送業者の平均積載率がピーク値の高い日時に輸送計画を設定することがなく、その後に注文される特急の輸送依頼に対応できる確率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の輸送候補日時抽出部の一例構成図である。
【図3】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図4】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明を説明するための図である。
【図6】本発明を説明するための平均積載率の一例特性図である。
【符号の説明】
【0033】
1…入力部、2…経路設定部、3…輸送候補日時抽出部、4…記憶部、5…仮輸送候補設定部、6…輸送計画確定部、7…積載率更新部、10…区分数入力部、11…期間特定部、12…積載率抽出部、13…日時順編成部、14…輸送日時割当部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運送業者が顧客の依頼により荷物の荷積込地から荷積卸地までの輸送予定を計画するものであって、荷積込地から荷卸地までの前記運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分し、顧客依頼時から予め定めた期間における前記運送業者の平均積載率の小さい方から輸送経路区分数の日時を抽出して時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定し、設定した仮輸送計画に基づいて車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定するようにしたことを特徴とする輸送計画策定方法。
【請求項2】
運送業者が顧客の依頼により荷物の荷積込地から荷積卸地までの輸送予定を計画するものにおいて、顧客の輸送依頼を入力する入力手段と、荷積込地から荷卸地までの前記運送業者の営業所を経由する輸送経路を設定して経由する営業所数に基づき輸送経路を区分する経路設定手段と、前記運送業者の平均積載率を格納する記憶手段と、顧客依頼時から予め定めた期間における前記運送業者の平均積載率の小さい方から輸送経路区分数の日時を前記記憶手段から抽出する輸送候補日時抽出手段と、前記輸送候補日時抽出手段で抽出した平均積載率の小さい日時を時期の早い順に区分輸送経路に割当て仮輸送計画を設定する仮輸送候補設定手段と、前記仮輸送候補設定手段で設定した仮輸送計画に基づいて車両割当てシミュレーションを実行し輸送計画を確定する輸送計画確定手段とを具備することを特徴とする輸送計画策定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−44886(P2006−44886A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228833(P2004−228833)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)