説明

輻射熱伝導抑制フィルムおよびそれを用いた断熱部材

長期間にわたって赤外線反射能力を持続させ、優れた輻射熱抑制機能を発揮する輻射熱抑制フィルムと、それを用いた断熱材を提供する。少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層と、接着層とを有する輻射熱伝導抑制抑制フィルムであって、赤外線反射率を50%以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、優れた赤外線反射効果を有する輻射熱伝導抑制フィルムおよびそれを用いた断熱部材に関する。
【背景技術】
近年、地球環境問題である温暖化の対策として省エネルギーを推進する動きが活発となっている。そして、温冷熱利用機器に関しては、熱を有効活用するという観点から、優れた断熱性能を有する断熱材が求められている。特に150℃を超える高温領域で断熱材を使用すると、省エネルギー効果が顕著に表れるため、印刷機、複写機、液晶プロジェクター、半導体製造装置への適用が期待されている。
150℃を超える高温領域では、室温領域とは異なり、赤外線(以後IRという)による輻射熱伝導成分が無視できなくなるため、断熱材の断熱性能が低下してしまう。そして、輻射による熱の伝導を抑制する技術が必要となる。輻射熱を抑制する技術としては、プラスチックフィルムの上部に金属箔層と保護層を設けた断熱フィルムが、特開平5−164296号公報に開示されている。
図8は、上記従来技術の断熱フィルムの断面図である。
この断熱フィルム1は、結晶粒の大きい高純度金属の表層2を備えたプラスチックフィルム3である。表層2の平滑な表面に、熱放射率の小さい金属薄層4が超扁平な結晶粒を有するようにして層着されている。また、金属薄層4の表面には、IRおよび遠赤外線(以後FIRという)の自由な透過を許容しながら、金属薄層4の表面を安定的に保つように被覆するための保護層5が形成されている。
この断熱フィルム1へ侵入しようとするIRとFIRとからなる熱線は、超扁平な結晶粒を有する金属薄層4の層内で全反射を繰り返し、その後、外部へ向かい反射するようになるため、高い断熱効果を得ることができるとされている。
しかしながら、上記構成では、金属薄層と保護層との接合方法が開示されておらず、実現性に乏しい。もし仮に、接着剤を使用した場合、IRおよびFIRが接着剤に吸収されてしまうため、IR反射効果が低減してしまうという課題がある。
また、真空断熱材の外被材として、IR反射機能を持たせた断熱性ラミネートフィルムが、特開平5−193668号公報に開示されている。
図9は、上記従来技術の断熱性ラミネートフィルムの断面図である。この断熱性ラミネートフィルムは、保護層5と、FIR反射層6と、ガスバリア層7と、熱溶着層8とを接着剤9Aにて接着したものである。この断熱性ラミネートフィルムは、保護層5にFIR透過物質を用い、FIR反射層6に金属箔を用いているため、高いFIR反射率を得ることができるとされている。
さらに、保護層5にFIR透過性物質を用いたため、FIR反射層6までIRが到達することが可能とされている。
しかし、IR透過性物質の定義が不明確であり、また、保護層5とFIR反射層6との接着剤9Aも、FIR透過効果を損なわないような接着剤としか定義されておらず不明確である。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、優れたIR反射効果を有する輻射熱伝導抑制フィルムを提供することを目的とする。
さて−30℃から100℃付近の温度領域において、一般的な断熱材としては、グラスウールなどの繊維体やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。また、より高性能な断熱部材を必要とする用途では、微細な空隙による空間を保持する芯材を、外気の侵入を遮断する外被材で覆い、その空間を減圧して構成される真空断熱材を適用する手段がある。
真空断熱材の外被材としては、金属を熱溶着した容器などが使用可能であるが、耐熱を必要としない低温領域では、比較的、折り曲げや湾曲が可能な、熱溶着層とガスバリア層と保護層とを有するプラスチック−金属のラミネートフィルムが使用されることが多い。
近年では真空断熱材への要求が多岐にわたってきており、より一層高性能な真空断熱材が求められている。
一方、コンピュータや印字印刷装置、複写機などの事務機器や、インバーターが組み込まれた蛍光灯などにおいても、本体内部に配設された発熱体から生じる熱を、熱に弱いトナーや内部精密部品に伝達させないために、150℃付近で使用可能な高性能な断熱部材が強く求められている。
150℃付近の温度領域に使用できる一般的な断熱部材としては、グラスウールなどの無機繊維材料や無機発泡体などがあるが、より高性能な断熱部材への要望が高い。この温度領域では、真空断熱材はラミネートフィルムの信頼性の面から、特殊な高温仕様のものしか適用することができない。
一般に、熱伝導は、気体熱伝導と固体熱伝導、輻射熱伝導、対流熱伝導の総和で示される。常温付近では、気体熱伝導と固体熱伝導が支配的であり、輻射熱伝導の寄与は小さい。
しかしながら、温度上昇に伴い輻射熱伝導が徐々に増加し、100℃以上では輻射熱による熱伝導の影響が無視できなくなり、さらに高温領域では輻射熱伝導が支配的となる。よって、150℃付近においては、輻射熱伝導低減を加味した断熱材仕様が必要となる。
従来より、IR反射性の高い金属面や、IR反射性塗料などで輻射熱を抑制する技術は数多く報告されている。 長期間にわたってIRの放射エネルギーを受けるため、金属面ではその表面酸化による劣化が問題であり、IR反射性塗料ではIR反射率が十分ではない。 そこで、遮熱シートとして、可撓性のあるシート部材の片面または両面に樹脂塗料中に熱反射機能を有するセラミックや無機化合物を混入してなる熱反射塗料層を形成し、前記熱反射塗料層と前記シート部材との間に金属箔を介装したシートが特開2001−107480号公報に開示されている。
図17は上記従来技術の遮熱シートの断面図である。この遮熱シート20は、シート部材22の両面にアルミニウム箔を接着して、上側反射膜23Aおよび下側反射膜23Bを形成すると共に、そのアルミニウム箔の露出面に熱反射型塗料層を24A,24Bを塗布形成して構成される。この遮熱シート20の熱反射型塗料層を、太陽光などの熱源側に向けた使用において、アルミニウム箔の膜は、IR放射エネルギーの反射率が高いため、放射エネルギーを効率よく反射でき、遮熱性能が著しく向上するとされている。しかしながら、上記構成では、IR反射率の高い金属箔と反射型塗料層を複合化して使用しても、十分な遮熱効果を得ることは困難である。それは、入射したIRは、まずIR反射型塗料層によって、一部反射されるが、大部分は吸収されて、隣接する金属箔へ固体熱伝導により伝導するためである。IRは金属箔まで到達することなく、金属箔はIR反射機能を発揮しない。その結果、大部分の輻射熱は、固体熱伝導に変換され伝導してしまうためである。
また、金属箔製テープの表面に塗料型断熱材を高圧吹き付け塗布して、その裏面に強力耐熱接着剤を塗り、その上から付着防止用紙テープを挟んでロール状に巻いた断熱テープが実用新案登録第3085643号公報に開示されている。
しかしながら、上記従来技術の構成においても金属箔製テープの表面の塗料型断熱材が、IRの大部分を吸収してしまうため、十分な遮熱効果を得ることは困難である。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、長期間にわたってIR反射能力を持続させ、優れた輻射熱抑制機能を発揮する輻射熱抑制フィルムを提供することを目的とする。
また、真空断熱材の高性能化としては、輻射の影響を遮断して高断熱化することを目的に、外被材が、保護層と、FIR反射層と、金属箔からなるガスバリア層と、熱溶着層とからなる断熱性ラミネートフィルムであって、保護層にFIR透過性物質を用いたことを特徴とするものが特開平5−193668号公報に開示されている。
汎用されるPETなどを保護層とした場合では、入射したIRは、一部反射されるが、大部分は保護層に吸収されて、隣接するガスバリア層へ固体熱伝導により伝導する。
上記従来技術の構成では、入射したIRはFIR透過物質である保護層を透過した後、ガスバリア層で反射されるため、その結果、輻射熱伝導を抑制可能な真空断熱材となる。このようにして、気体熱伝導及び輻射熱伝導を抑制し優れた断熱性能を有する真空断熱材を提供できるとされている。
ここでのFIR透過物質の特性は特に規定されておらず、メチルペンテンポリマーフィルムが有効であるとされている。
しかしながら、上記従来技術の構成は、FIR透過性物質およびFIR反射の定義が不明確である。輻射熱は、主として2〜25μmのIRを吸収し、再び放射することにより伝えられる。
図26に示すように、発熱源の温度により、輻射熱の波長分布は変化し、ピーク位置は温度が高いほど低波長側へシフトする。
そして150℃における輻射熱放射スペクトルは、7μm付近にピーク波長を持ち、やや高波長側へショルダーを有する形状であることがわかる。よって、4〜20μm付近のIR吸収を阻害すれば、150℃における輻射熱伝導は抑制可能であると考えられる。つまり、4〜20μmの範囲のIR透過物質およびIR反射物質について定義することが重要である。
本発明は、上記従来の課題に鑑み、長期間にわたってIR反射能力を持続させ、優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮する真空断熱材を提供することを目的とする。また、輻射熱伝導抑制機能の付与により、従来適用が困難であった高温領域において使用できる真空断熱材を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明は、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層と、接着層とを有する輻射熱伝導抑制フィルムであって、赤外線反射率が50%以上であることを特徴とする輻射熱伝導抑制フィルムを提供する。
前記接着層は接着部と非接着部とから構成され、前記樹脂フィルムと前記赤外線反射層とを接着により積層する。
前記樹脂フィルムは、少なくとも150℃以上の融点を持ち、前記赤外線反射層は金属箔からなることを特徴とする射熱伝導抑制フィルムである。
また、芯材と、前記芯材を覆う外被材とを有する真空断熱材であって、前記外被材の内部は減圧され、前記外被材は熱溶着層とガスバリア層と輻射熱伝導抑制機能を有する保護層とを有するラミネート構造を持ち、前記保護層は上記輻射熱伝導性抑制フィルムを用いることを特徴とする断熱部材を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態1における輻射熱伝導抑制フィルムの断面図である。
図2は本発明の実施の形態1における接着層の構成を示す。
図3は本発明の実施の形態2における断熱部材の断面図である。
図4は樹脂フィルムのIR吸収率と輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度の関係を示す図である。
図5は輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率と輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度の関係を示す図である。
図6は本発明の実施の形態3における真空断熱材の断面図である。
図7は本発明の実施の形態3における外被材の断面図である。
図8は従来の断熱フィルムの断面図である。
図9は従来の断熱性ラミネートフィルムの断面図である。
図10は実施の形態4における輻射熱伝導抑制抑制フィルムの断面図である。
図11は実施の形態5における輻射熱伝導抑制抑制フィルムの断面図である。
図12は実施の形態6における輻射熱伝導抑制抑制フィルムの断面図である。
図13は実施の形態7における輻射熱伝導抑制フィルムを断熱材表面へ取り付けた断熱部材の断面図である。
図14は実施の形態8における輻射熱伝導抑制フィルムを真空断熱材表面へ取り付けた断熱部材の断面図である。
図15はIR吸収率と高温側温度との関係を示す特性図である。
図16はIR反射率と高温側温度との関係を示す特性図である。
図17は従来の遮熱シートの断面図である。
図18は実施の形態9における外被材の断面図である。
図19は実施の形態10における外被材の断面図である。
図20は実施の形態11における外被材の断面図である。
図21は実施の形態12における外被材の断面図である。
図22は実施の形態13における真空断熱材の断面図である。
図23は実施の形態17における真空断熱材の断面図である。
図24はIR吸収率と高温側温度との関係を示す図である。
図25はIR反射率と高温側温度との関係を示す図である。
図26は温度別輻射熱放射スペクトルの特性図である。
図面の参照符号の一覧表
1 断熱フィルム
2 表層
3 プラスチックフィルム
4 金属薄層
4A 第1の金属箔
4B 第2の金属箔
5、5A 保護層
6 遠赤外反射層
7 ガスバリア層
8 熱溶着層
9 接着層
9A 接着剤
10 輻射熱伝導抑制フィルム
11 樹脂フィルム
11A 第1の樹脂フィルム
11B 第2の樹脂フィルム
12 赤外線反射層
13 接着部
14 非接着部
15 断熱材
16 真空断熱材
17 芯材
18 外被材
18A 高温側となる面の外被材
18B 低温側となる面の外被材
20 遮熱シート
21 断熱部材
22 シート部材
23A、23B 反射膜
24A、24B 熱反射塗料層
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。 同一構成部品については、同じ参照符号をつけ詳細な説明は省略する。なお、図面は模式図であり、各寸法位置を正しく示すものではない。
本発明における樹脂フィルムのIR吸収率は、日本電子製フーリエ変換赤外分光光度計JIR5500型と赤外放射ユニットIR−IRR200とを用いて、150℃で得られた赤外放射率をIR吸収率とした。また、IR反射率は、日立製作所赤外分光光度計270−30を用い、反射装置の相対反射角度12度での測定値である。
(実施の形態1)
図1と図2を用いて、実施の形態1を説明する。
図1に示すように、輻射熱伝導抑制フィルム10は、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルム11と、IR反射層12とが接着剤9を介して積層されて構成される。また、図2に示すように、接着層9は、接着部13と非接着部14とが格子状パターンを形成するように、少なくとも樹脂フィルム11とIR反射層12のいずれか一方に印刷されている。
以上のように構成された輻射熱伝導抑制フィルム10について、以下その動作、作用を説明する。
樹脂フィルム11は、酸化劣化や外部からの衝撃に対し、IR反射層を保護する作用を有し、長期にわたって輻射熱伝導抑制効果を持続させることに寄与する。
また、熱源から発生したIRは、樹脂フィルム11を透過し、接着層9の接着部13または非接着部14へ入射する。
このとき、接着部13へ入射したIRは、接着部13を構成する接着剤のIR吸収効果によって減衰する。 また、非接着部14へ入射したIRは、上記接着剤が無いため、減衰することなくIR反射層12へ向かい、IR反射層12の表面で反射される。そして、反射されたIRは、ふたたび接着層9の接着部13と非接着部14をそれぞれ通過し、樹脂フィルム11を透過する。
以上のように、本実施の形態の輻射熱伝導抑制フィルム10は、接着剤が部分的に塗布されて、接着部13と非接着部14とを持つ接着層9を有している。 このようにして、IRが接着層9で吸収される割合が低くなる。
その結果、樹脂フィルム11を透過し、IR反射層13まで到達したIRは有効に反射されるため、輻射熱伝導抑制フィルム10は優れたIR反射効果を発揮することができる。
本実施の形態における樹脂フィルム11の例としては、ETFEフィルム(融点265℃、IR吸収率8%)や、FEPフィルム(融点270℃、IR吸収率8%)、PFAフィルム(融点305℃、IR吸収率8%)、PPSフィルム(融点285℃、IR吸収率10%)、無延伸CPPフィルム(融点170℃、IR吸収率17%)、PETフィルム(融点265℃、IR吸収率18%)が挙げられる。 また、明確な融点を持たないものの例として、PSFフィルム(連続使用温度150℃、IR吸収率10%)や、PESフィルム(連続使用温度180℃、IR吸収率15%)などが利用できる。 特に、IR波長領域である2〜25μmの吸収率が小さいフッ素系樹脂フィルムやPPSフィルムは、IR反射層12でのIR反射を効率良く行うことができるので好ましい。
また、IR反射層12としては、例えば、アルミニウムや金、銀、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属を叩いて薄く延ばした金属箔や、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケルを蒸着した金属蒸着フィルム等が利用できる。 その中で、高いIR反射率を持ち、かつ、プロセスコストの安価なアルミニウム箔や銅箔を用いることが好ましい。
また、接着層9に用いる接着剤としては、例えばポリウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、シリコーンイミド系接着剤等の有機接着剤や、水ガラスやセラミックス、セメント等の無機接着剤が利用できる。
また、樹脂フィルム11とIR反射層12との間には、接着部13と、非接着部14とからなる接着層9が形成されている。
接着部13と非接着部14とを有する接着層9の形成方法としては、グラビア印刷や、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷技術や、溶剤や光によるエッチング等が利用できる。 その中で、プロセスコストの安価な印刷技術を利用することが好ましい。
また、接着層9は、IR反射層12と樹脂フィルム11の柔軟性や引張強度等の物理的特性を考慮して、どちらの面に形成してもよい。
また、接着部13の印刷パターンを格子状としたが、輻射熱伝導抑制フィルムの使用形状によって、三角形、方形、菱形、多角形、円形などを素材とする幾何学模様や、意匠のような非幾何学模様を用いても良い。
また、接着部13と非接着部14の面積割合は、接着強度とIR反射効果の度合いに応じて自由に変えることができる。
また、輻射熱伝導抑制フィルム10の構成を、樹脂フィルム11とIR反射層12とを接着層9によって複層したが、樹脂フィルム11とIR反射層12はそれぞれ単層である必要はない。
例えば、輻射熱伝導抑制フィルム10を挟んで両側に熱源がある場合、IR反射層12の両面に樹脂フィルム11を接着層9によって接合する。 このようにして、輻射熱伝導抑制フィルム10が、各熱源から発生するIRを反射し、他方の熱源から発生するIRの影響をなくすことができる。
以上のような本実施の形態の輻射熱伝導抑制フィルム11を輻射熱伝導の抑制が必要な箇所に取り付けることにより、有効な断熱効果が得られる。
取り付け箇所の例としては、住宅や工場の屋根や壁のような建築部材や、コンピュータやプリンタ、複写機、プロジェクター等の情報機器、ジャーポットや電子レンジや給湯器などの調理家電、半導体製造装置などの保温、遮熱が必要なあらゆる場所があげられる。
(実施の形態2)
図3と図4を用いて、実施の形態2を説明する。
図3は、本実施の形態における断熱部材の断面図である。
輻射熱伝導抑制フィルム10は、断熱材15の高温となる面に取り付けられている。 なお、輻射熱伝導抑制フィルム10は、実施の形態1と同様の構成が利用できる。
断熱材15としては、ポリスチレンフォームやポリウレタンフォーム、フェノールフォームなどの発泡プラスチック系断熱材や、グラスウールやロックウール、ガラス粉末などの無機物系断熱材、インシュレーションボードやセルロースファイバーなどの木質繊維系断熱材などが利用できる。 さらに、これらの断熱材をガスバリア性のある外被材で覆い、内部を減圧してなる真空断熱材も利用できる。
また、断熱部材への取り付け方法に関しては特に限定するものではなく、接着剤による化学的接合や、クギ止めや縫合などの物理的接合でも良い。その中でも、様々な断熱部材に適用することを考えると、接着剤による化学的接合が好ましい。
以上のように構成された断熱部材について、輻射熱伝導抑制フィルムの種類を変えたときの輻射熱伝導抑制効果について確認した結果を、実施例1〜6に示し、比較を比較例1〜4に示す。
なお、輻射熱伝導抑制効果を明確にするため、本実施の形態では、断熱部材として、グラスウールボードからなる真空断熱材を用い、真空断熱材の厚みは12mmに統一した。
また、性能評価では、厚さ12mmのグラスウールボード表面の垂直方向からハロゲンヒーターを照射したときの輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度と、グラスウールボードの低温面中心温度とを評価項目とした。
また、評価の基準は、ハロゲンヒーターからグラスウールボードの高温側表面温度が150℃となる距離に輻射熱伝導抑制フィルムを設置し、フィルムの温度が150℃以下であれば、輻射熱抑制効果があると判定する。このときのグラスウールボードの低温面中心温度は50℃であった。
【実施例1】
IR反射層として15μmのニッケル箔の片面に、ポリオール(三井武田ケミカル社製商品名:タケラックA−310)とポリイソシアネート(三井武田ケミカル社製商品名:タケネートA−3)と酢酸エチルとからなる接着剤を、接着部と非接着部が50:50となるようにグラビア印刷法を用いて塗布する。そして同時に、接着剤の表面に樹脂フィルムとして10μmのCPPフィルムをラミネートする。 本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると51%であった。
なお、上記接着剤の硬化は公知の方法で行われる。室温もしくは必要に応じて加熱してもよい。 温度は30〜60℃の範囲が好ましい。 さらに接着層の厚みは、接着機能を損なわない範囲の厚さとする。5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下とする。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ143℃と39℃であった。輻射熱伝導抑制フィルムを未設置の場合と比較して、それぞれ7℃、11℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
【実施例2】
IR反射層として12μmのアルミニウム箔の片面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして10μmのCPPフィルム(IR吸収率17%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると61%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ123℃と35℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ27℃、15℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
【実施例3】
IR反射層として、12μmのアルミニウム箔の片面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして25μmのFEPフィルム(IR吸収率8%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると84%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ106℃と33℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ43℃、17℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
【実施例4】
IR反射層として、12μmのアルミニウム箔の片面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして2μmのPPSフィルム(赤外線吸収率10%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムの赤外線反射率を測定すると83%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ108℃と34℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、16℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
【実施例5】
IR反射層として、アルミニウム蒸着を施した2μmのPPSフィルムの表面の非蒸着面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして2μmのPPSフィルム(IR吸収率10%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると53%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ144℃と42℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ6℃、8℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
【実施例6】
IR反射層として、アルミニウム蒸着を施した2μmのPPSフィルムの表面の非蒸着面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面にさらにIR反射層として厚さ12μmのアルミニウム箔をラミネートした。次に、ラミネートフィルムの蒸着面に、再度、接着剤を接着部と非接着部が50:50となるようにグラビア印刷法を用いて塗布する。
同時に接着剤の表面に、樹脂フィルムとして2μmのPPSフィルム(IR吸収率10%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると58%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ136℃と38℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ14℃、12℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。
(比較例1)
厚さ12mmのグラスウールボード表面に150℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を、輻射熱伝導抑制フィルムを設置せずに行った。グラスウールボード低温面中心温度は50℃であった。
(比較例2)
IR反射層として、12μmのアルミニウム箔をそのままグラスウールボード表面に設置した。アルミニウム箔のIR反射率は95%であり、アルミニウム箔表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ100℃と30℃であった。
未設置の場合と比較してそれぞれ50℃、20℃の輻射熱伝導抑制効果が確認できた。しかし、使用後10日が経過すると、フィルム表面中心温度およびグラスウールボード低温面中心温度の上昇が確認され、酸化劣化によるIR吸収の増加が推測できた。
(比較例3)
IR反射層として、12μmのアルミニウム箔の片面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして120μmのポリイミドフィルム(IR吸収率80%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると20%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ168℃と54℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ18℃、4℃の温度上昇が確認できた。これは樹脂フィルムであるポリイミドフィルムのIR吸収率が80%であるため、樹脂フィルムがIRを吸収してしまったためであると考えられる。
(比較例4)
IR反射層として、12μmのつや消しアルミニウム箔の片面に、実施例1と同様にして接着剤を塗布し、同時に接着剤の表面に樹脂フィルムとして10μmのCPPフィルム(IR吸収率10%)をラミネートした。本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率を測定すると42%であった。
この輻射熱伝導抑制フィルムをグラスウールボードに貼り付け、評価を行ったところ、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度、グラスウールボードの低温面中心温度はそれぞれ155℃と53℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ5℃、3℃の温度上昇が確認できた。これはIR反射層であるつや消しアルミニウム箔のIR反射率を測定すると45%であり、IR反射層がIRを十分に反射することができなかったためであると考えられる。
以上のように構成された輻射熱伝導抑制フィルムについて、樹脂フィルムとIR反射層の種類を変えたときの輻射熱伝導抑制効果について確認した結果を表1に示す。

また、樹脂フィルムのIR吸収率と、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度の関係を図4に、輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率と、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度の関係を図5にそれぞれ示す。
図4より、輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度がフィルム未設置時である150℃以下となるのは、樹脂フィルムのIR吸収率が25%未満であることがわかる。
同様に図5より、輻射熱伝導抑制効果が得られるのは、輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率が50%以上であることがわかる。
(実施の形態3)
図6と図7を用いて、実施の形態3を説明する。
図6に示すように、真空断熱材16は、芯材17と芯材17を覆う外被材18とからなり、内部を減圧して構成されている。
また、図7において、外被材18は、輻射熱伝導抑制フィルム10と、熱溶着層8とから構成されている。
芯材17として、ポリスチレンフォームやポリウレタンフォーム、フェノールフォームなどの発泡プラスチック系断熱材や、グラスウールやロックウール、シリカ粉末などの無機物系断熱材が利用できる。
また、熱溶着層8は、CPPや、OPP,OPET、PVDC、EVOH、PAN、PVA、PEN、CTFEなど、真空断熱材の使用温度に応じて様々な樹脂フィルムが利用できる。
その中で、ガスバリア性と水蒸気バリア性に優れた樹脂フィルムを選ぶことが好ましい。 このようにして、真空断熱材の信頼性を向上させることができる。
また、輻射熱伝導抑制フィルム10は、実施の形態1と同様の構成が利用できる。
また、外被材18は、高温側外被材、低温側外被材ともに、輻射熱伝導抑制効果をもつ外被材である必要はなく、少なくとも熱源に向いた高温側外被材にだけ輻射熱伝導抑制効果をもつ外被材であれば充分に効果が得られる。
以上のように構成された真空断熱材について、輻射熱伝導抑制フィルムの種類を変えたときの輻射熱伝導抑制効果について確認した結果を、実施例7に示し、比較を比較例5に示す。
なお、輻射熱伝導抑制効果を明確にするため、本実施の形態では、断熱部材を乾式シリカからなる真空断熱材を用い、真空断熱材の厚みは7mmに統一した。
また、性能評価は、輻射熱伝導抑制フィルムからなる外被材の垂直方向からハロゲンヒーターを照射したときの輻射熱伝導抑制フィルム表面中心温度と、真空断熱材の低温面中心温度を評価項目とした。
【実施例7】
厚さ50μmのCPPからなる熱溶着層の片面に、実施の形態1と同様の接着剤を一様に塗布し、実施例1で用いた輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射層を貼り合わせることで、輻射熱伝導抑制効果をもった外被材を作製した。
また、50μmのCPPからなる熱溶着層の片面に、実施の形態1と同様の接着剤を一様に塗布し、比較例4で用いた輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射層を貼り合わせることで外被材を作製した。
この二枚の外被材で、乾式シリカからなる芯材を覆い、内部を減圧することで真空断熱材を作製した。この真空断熱材の外被材のうち、実施例1の輻射熱伝導抑制フィルムからなる外被材にハロゲンヒーターを照射したところ、本実施例の真空断熱材の低温面中心温度は33℃であった。
(比較例5)
実施例7で用いた真空断熱材を裏返し、比較例4の外被材を使用した輻射熱伝導抑制フィルムからなる外被材にハロゲンヒーターを照射したところ、真空断熱材の低温面中心温度は45℃であった。
以上のような構成において、輻射熱伝導抑制フィルム10と、熱可塑性樹脂からなる熱溶着層8とが接着層9により複層されたフィルムを真空断熱材の外被材として使用する。その結果、輻射熱伝導抑制フィルム10により輻射熱伝導を抑制し、さらに真空断熱材により固体熱伝導および気体熱伝導を抑制することにより、優れた断熱性能を発揮することができる。
(実施の形態4)
図10を用いて、実施の形態4を説明する。
図10において、輻射熱伝導抑制抑制フィルム10は、融点が150℃以上、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルム11と、金属箔4とを積層することにより、IR反射率50%以上であるように構成されている。
以上のように構成された輻射熱伝導抑制抑制フィルム10について、以下その動作、作用を説明する。
樹脂フィルム11は、融点が150℃以上であることから、150℃以下の環境であれば、溶融することなく、金属箔4の酸化劣化を防止する作用を有し、長期間にわたって輻射熱伝導抑制効果が持続するものである。
また、樹脂フィルム11面より入射したIRは、吸収率25%未満で金属箔4まで到達し反射され、反射したIRもまた樹脂フィルム11による吸収率25%未満で透過されるため、樹脂フィルム11のIR吸収による固体熱伝導率の増大が金属箔7のIR反射効果を上回ることはない。
以上のように、本実施の形態においては、樹脂フィルム11は融点が150℃以上、IR吸収率が25%未満とし、金属箔4と積層することにより、輻射熱伝導抑制抑制フィルム10のIR反射率を50%以上とする。その結果、樹脂フィルム11での入射および反射IR吸収による輻射伝熱から固体伝熱へ変換が少なく、樹脂フィルム11を透過し金属箔4まで到達したIRは有効に反射されるため、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。
本発明の樹脂フィルムは、融点が150℃以上、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルムが利用できる。また、明確な融点を持たない材料であっても150℃以上の耐熱性を有し、IR吸収率が25%未満のものであれば利用できる。この場合の指標としては、UL746B規定の連続使用温度が150℃以上のものである。融点150℃以上の例としては、厚さ25μmのETFEフィルム(融点265℃、IR吸収率8%)、厚さ25μmのFEPフィルム(融点270℃、IR吸収率8%)、厚さ25μmのPFAフィルム(融点305℃、IR吸収率8%)、厚さ2μmのPPSフィルム(融点285℃、IR吸収率10%)、厚さ10μmの無延伸CPPフィルム(融点170℃、IR吸収率17%)、厚さ15μm、PETフィルム(融点258℃、IR吸収率18%)などがある。また、明確な融点を持たないものとしては、厚さ25μmのPSFフィルム(連続使用温度150℃、IR吸収率10%)、厚さ25μmのPESフィルム(連続使用温度180℃、IR吸収率15%)などが利用できる。
また本発明の金属箔4は、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔など、金属を延伸し、箔状としたものを利用することができる。
その中で、アルミニウム箔は金属の中でも非常に高いIR反射作用を有するため、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。また、工業的にも汎用されているため、経済的であるという利点もある。
また、本実施の形態の樹脂フィルム11として、フッ素系樹脂フィルムが利用できる。 フッ素系樹脂フィルムは、IR波長領域である2μm〜25μmの吸収が比較的少なく、樹脂成分による熱吸収をさらに抑制する作用を有しているので、金属箔4面でのIR反射が効率よく行われる。そして、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。また、耐熱性とともに耐食性、耐薬品性に優れるという作用を有するため、使用条件が多湿など過酷な場合であっても、長期間にわたって高い輻射熱抑制効果を発揮することができる。
フッ素系樹脂フィルムとは、例えば、ETFEフィルム、FEPフィルム、PFAフィルム、CTFEフィルムなどである。
また、本実施の形態の樹脂フィルム11として、PPSフィルムが利用できる。 PPSフィルムは、IR領域における吸収が比較的少なく、さらに非常に優れた耐熱作用を有するため、高温条件であってもフィルムの軟化及び収縮が発生することなく、長期間にわたって高い輻射熱抑制効果を発揮し、外観性にも優れるものとすることができる。
以上のような本発明の輻射熱伝導抑制フィルム10を輻射熱伝導の抑制が必要な箇所に取り付けることにより、有効に断熱することが可能である。取り付け箇所の例としては、住宅や工場の屋根のような建築部材や、コンピュータや印字印刷装置、複写機などの事務機器の遮熱が必要な部位、インバーターが組み込まれた蛍光灯などにおいても、本体内部に配設された発熱体と熱に弱いトナーや内部精密部品との間などである。これらの発熱源に向けて、樹脂フィルムを最表面に、続いて金属箔を積層して用いるものである。
(実施の形態5)
図11を用いて、実施の形態5を説明する。
図11において、輻射熱伝導抑制抑制フィルム10は、融点が150℃以上、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルム11A,11Bと、金属箔4A,4Bとを交互積層して構成されている。
以上のように構成された輻射熱伝導抑制抑制フィルム10について、以下その動作、作用を説明する。
第1の樹脂フィルム11Aを透過して到達した第1の金属箔4Aおいては、実施の形態4と同様にIR反射機能が作用するが、反射されずに吸収され固体伝熱へと変換された一部のIRが再び放射され、第2の樹脂フィルム11Bを透過し、さらに第2の金属箔4Bにて反射されるため、さらに優れた輻射熱抑制機能を発揮することができるものである。
(実施の形態6)
図12を用いて実施の形態6を説明する。
図12において、輻射熱伝導抑制抑制フィルム10は、融点が150℃以上、IR吸収率が25%未満である樹脂フィルム11と、積層された金属箔4A、4Bとから構成されている。
以上のように構成された輻射熱伝導抑制抑制フィルム10について、以下その動作、作用を説明する。
樹脂フィルム11を透過して到達した第1の金属箔4Aにおいては、実施の形態4と同様にIR反射機能が作用するが、反射されずに吸収され固体伝熱へと変換されたIRが再び放射され、第2の金属箔4Bにて反射されるため、さらに優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。
(実施の形態7)
図13を用いて、実施の形態7を説明する。
図13において、断熱部材21は輻射熱抑制フィルム10と断熱材15とから構成されている。
本構成において、輻射熱抑制フィルム10により輻射熱伝導を抑制し、さらに断熱材15により固体熱伝導および気体熱伝導を抑制することにより、優れた断熱効果が発揮されるものである。
ここでの断熱材15は、グラスウールやロックウールなどの無機繊維からなるもの、耐火煉瓦や発泡セラミックスなど無機固形化体からなるもの、発泡ウレタンフォーム、発泡スチレンフォームなど有機材料からなるものなどが用いられ、特に限定されるものではない。
実施の形態7における輻射熱伝導抑制フィルムを発泡ウレタンフォーム表面に設置し評価した結果を実施例8に示す。
性能評価は、厚さ12mmのグラスウールボード表面に143℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を、輻射熱伝導抑制フィルムを設置した同様のグラスウールボードに与えた場合の照射面(高温側)温度および裏面(低温側)温度の測定にて行った。
輻射熱伝導抑制フィルムを設置しない場合での低温側温度は、47℃であった。
【実施例8】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用した。PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は87%である。高温側温度は96℃、低温側温度は36℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ47℃、および11℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
(実施の形態8)
図14を用いて、実施の形態8を説明する。
図14において、断熱部材21は輻射熱抑制フィルム10と真空断熱材16とから構成されている。ここで、真空断熱材とは芯材と外被材とからなり、減圧下にて芯材を外被材に封止することにより製造されるものであり、気体熱伝導率が限りなく小さい断熱性能に優れる断熱材である。
以上のような構成において、輻射熱抑制フィルム10により輻射熱伝導を抑制し、さらに真空断熱材16により固体熱伝導および気体熱伝導を抑制することにより、優れた断熱効果が発揮されるものである。
また、輻射熱伝導抑制フィルム10を真空断熱材16表面へ取り付けることにより、真空断熱材16が発熱源から受ける熱量が低減し、表面温度が低下するため、真空断熱材が封止口からの経時的な空気の進入により劣化することを抑制する効果が得られる。
実施の形態4から6における各種輻射熱伝導抑制フィルムを真空断熱材表面に設置して評価した結果を実施例9〜14に示す。
本実施例において使用した真空断熱材は、外被材の保護層にはナイロンフィルムおよびPETフィルムを、ガスバリア層にはアルミ箔のつや消し面を、熱融着層には無延伸CPPフィルムを用いた。また、芯材として、乾式ヒュームドシリカにカーボンブラックを5wt%添加して均一に混合した粉体を、通気性の不織布袋に封入したものを用いて厚さ7mmとした。
性能評価は、上記真空断熱材の表面に150℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムを設置した真空断熱材に与えた場合の照射面(高温側)および裏面(低温側)温度の測定にて行った。輻射熱伝導抑制フィルムを設置しない場合での低温側表面温度は39℃であった。この比較仕様における保護層の樹脂フィルムのIR吸収率は25%であり、IR反射率は30%であった。
なお、IR吸収率及びIR反射率の測定は、実施の形態7と同様に行った。
【実施例9】
金属箔として厚さ15μmのニッケル箔を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。CPPフィルムのIR吸収率は17%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は52%である。評価の結果、高温側温度は140℃であり、低温側温度は37℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ10℃、および2℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例10】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。CPPフィルムのIR吸収率は17%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は64%である。評価の結果、高温側温度は120℃であり、低温側温度は33℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ30℃、および6℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例11】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ25μmのFEPフィルム(フッ素系フィルム)を使用した。FEPフィルムのIR吸収率は8%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は88%である。
評価の結果、高温側温度は103℃であり、低温側温度は31℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ47℃、および8℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。本発明のフッ素フィルムとしては、FEPの他にETFEフィルム、PFAフィルム、CTFEフィルムなどが使用できる。
【実施例12】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用した。PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は87%である。評価の結果、高温側温度は103℃であり、低温側温度は31℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ47℃、および8℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例13】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用し、最表面からPPSフィルム/アルミニウム箔/PPSフィルム/アルミニウム箔の順に積層した。PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は90%である。
評価の結果、高温側温度は102℃であり、低温側温度は30℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ48℃、および9℃の低減が確認された。さらに、実施例12と比較して温度低減効果が高かったことから、交互積層によるさらなる輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例14】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用し、最表面からPPSフィルム/アルミニウム箔/アルミニウム箔の順に積層した。
PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は90%である。評価の結果、高温側温度103℃であり、低温側温度は30.5℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ47℃、および8.5℃の低減が確認された。 さらに、実施例12と比較して温度低減効果が若干高かったことから、金属箔積層によるさらなる輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
以上、実施例9〜14の結果を表2に示す。

次に本発明の輻射熱伝導抑制フィルムに対する比較例を示す。
評価の条件及び方法は実施の形態7と同様である。
(比較例6)
厚さ12mmのグラスウールボード表面に143℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を、輻射熱伝導抑制フィルムを設置せずに行った。その際の低温側温度は47℃であった。
(比較例7)
実施の形態8にて示した真空断熱材において輻射熱伝導抑制フィルムを設置せずに、高温側表面に150℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を実施した。その際の低温側温度は39℃であった。本比較仕様における保護層の樹脂フィルムのIR吸収率は25%であり、IR反射率は30%であった。
(比較例8)
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を真空断熱材表面に設置した。アルミ箔のIR反射率は95%である。評価の結果、初期は、高温側温度は100℃であり、低温側温度は30℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ50℃、および9℃の低減が確認された。しかし、使用後10日経過までに徐々に高温側及び低温側温度の上昇が確認され、酸化劣化によるIR吸収の増加が考えられる。
(比較例9)
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を用い、アルミニウム箔上に遮熱塗料を塗布したものを真空断熱材表面に設置した。
遮熱塗料のIR吸収率は75%、本比較例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は25%である。評価の結果、高温側温度は160℃であり、低温側温度は42℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ5℃、および3℃の温度上昇が確認され、輻射熱伝導抑制効果はないと判定される。これは、塗料のIR吸収率が高く、反射率が低いことに起因すると考えられる。
(比較例10)
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ120μmのポリイミドフィルムを使用した。ポリイミドフィルムのIR吸収率は80%、本比較例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は20%である。評価の結果、高温側温度は165℃であり、低温側温度は43℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ15℃、および4℃の温度上昇が確認され、輻射熱伝導抑制効果はないと判定される。樹脂フィルムであるポリイミドフィルムのIR吸収率が80%であるため、輻射熱伝導抑制効果は確認できず、逆にIR吸収による温度上昇が確認されたと考えられる。
(比較例11)
金属箔として厚さ12μmのつや消しアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。
CPPフィルムのIR吸収率は17%、本比較例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は45%である。評価の結果、高温側温度は152℃であり、低温側温度は41℃であり、未設置の場合と比較してそれぞれ2℃、および2℃の温度上昇が確認され、輻射熱伝導抑制効果はないと判定される。輻射熱伝導抑制フィルムの反射率が45%であるため、輻射熱伝導抑制効果は確認できなかったと考えられる。
比較例7〜11の結果を表2に示す。さらに、実施例9〜12及び比較例7〜11に関して、IR吸収率と高温側温度との関係を図15に、IR反射率と高温側温度との関係を図16に示す。
図15より、高温側温度が、輻射熱伝導抑制フィルムが未設置の場合の150℃よりも低下し効果が現れるのは、IR吸収率が25%未満であることが推定できる。
また、同様に図16より、輻射熱伝導抑制効果が得られるのは、IR反射率50%以上であると推定できる。
なお、樹脂フィルムと金属箔との積層方法に関しては特に限定するものではなく、有機及び無機接着剤による接着により接合されていてもよく、また端部が縫合などの物理的な方法で接合されていてもよい。
また、本発明は樹脂フィルムと金属箔とが、交互に積層されてなることを特徴とすることにより、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。積層数は、多い程効果的であるが、適用温度やコストにより最適な積層数を選択することができる。
さらに本発明は、樹脂フィルムと、積層された金属箔とからなることを特徴とすることにより、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。樹脂フィルムと金属箔との交互積層に較べ、金属箔同士の接触による固体熱伝導の影響がやや大きいため、輻射熱抑制能力には劣るが、経済的である。
以上述べたように、本発明の輻射熱抑制フィルムは、長期間にわたってIR反射能力を持緯させ、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。
また、本発明の輻射熱抑制フィルムは、樹脂フィルムとして、フッ素系樹脂フィルムや、PPSフィルムを用いるごとにより、より高温領域の厳しい条件においても、長期間にわたってIR反射能力を持続させ、優れた輻射熱抑制機能を発揮することができる。
(実施の形態9)
図18を用いて、実施の形態9を説明する。
図18において、外被材18は、保護層5とガスバリア層7と熱溶着層8とから構成されている。さらに、保護層5は、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルム11と、金属箔4とを積層することにより、IR反射率50%以上であることよう構成されている。
樹脂フィルム11は、金属箔4の酸化劣化を防止する作用を有し、長期間にわたって輻射熱伝導抑制効果が持続するものである。
また、樹脂フィルム11面より入射したIRは、吸収率25%未満で金属箔6まで到達し反射され、反射したIRもまた樹脂フィルム11による吸収率25%未満で透過される。その結果、樹脂フィルム11のIR吸収による固体熱伝導率の増大が金属箔4のIR反射効果を上回ることはない。
以上のように、本実施の形態においては、樹脂フィルム11は、IR吸収率が25%未満とし、金属箔4と積層することにより、IR反射率を50%以上とする。その結果、樹脂フィルム11での入射および反射IR吸収による輻射伝熱から固体伝熱へ変換が少なく、樹脂フィルム11を透過し金属箔4まで到達したIRは有効に反射されるため、優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。
本発明の樹脂フィルム11は、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルムが利用できる。また、融点が150℃以上、および明確な融点を持たない材料であっても150℃以上の耐熱性を有するものが望ましい。この場合の指標としては、UL746B規定の連続使用温度が150℃以上のものである。
融点150℃以上の例としては、厚さ25μmのETFEフィルム(融点265℃、IR吸収率8%)、厚さ25μmのFEPフィルム(融点270℃、IR吸収率8%)、厚さ25μmのPFAフィルム(融点305℃、IR吸収率8%)、厚さ2μmのPPSフィルム(融点285℃、IR吸収率10%)、厚さ10μmの無延伸CPPフィルム(融点170℃、IR吸収率17%)、厚さ15μm、PETフィルム(融点258℃、IR吸収率18%)などがあげられる。また、明確な融点を持たないものとしては、厚さ25μmのPSFフィルム(連続使用温度150℃、IR吸収率10%)、厚さ25μmのPESフィルム(連続使用温度180℃、IR吸収率15%)などがある。
また本発明の金属箔4は、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔など、金属を延伸し、箔状としたものを利用することができる。
また、本実施の形態では、金属箔4をアルミニウム箔とすることにより、アルミニウム箔が金属の中でも非常に高いIR反射作用を有するため、優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。また、工業的にも汎用されているため、経済的であるという利点もある。
また、本実施の形態の樹脂フィルム11をフッ素系樹脂フィルムとすることにより、IR波長領域である2μm〜25μmの吸収が比較的少なく、樹脂成分による熱吸収をさらに抑制する作用を有するため、金属箔6面でのIR反射が効率よく行われる。
その結果、優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。
また、耐熱性とともに耐食性、耐薬品性に優れるという作用を有するため、使用条件が多湿など過酷な場合であっても、長期間にわたって高い輻射熱伝導抑制効果を発揮することができる。
フッ素系樹脂フィルムとは、例えば、ETFEフィルム、FEPフィルム、PFAフィルム、CTFEフィルムなどである。
また、本実施の形態の樹脂フィルム11をPPSフィルムとすることにより、PPSフィルムがIR領域における吸収が比較的少なく、さらに非常に優れた耐熱作用を有するため、高温条件であってもフィルムの軟化及び収縮が発生することがない。
その結果、長期間にわたって高い輻射熱伝導抑制効果を発揮し、外観性にも優れるものとすることができる。
以上のような外被材18を備えた真空断熱材は、保護層により輻射熱伝導を抑制し、真空断熱材により気体熱伝導および固体熱伝導を抑制可能であるため、非常に優れた断熱性能を有するものである。
(実施の形態10)
図19を用いて、実施の形態10を説明する。
図19に示すように、外被材18は保護層5とガスバリア層7と熱溶着層8とから構成されている。保護層5は、IR吸収率が25%未満の樹脂フィルム11A,11Bと、金属箔4A,4Bとを交互積層して構成されている。
第1の樹脂フィルム11Aを透過して到達した第1の金属箔4Aにおいては、実施の形態9と同様にIR反射機能が作用するが、反射されずに吸収され固体伝熱へと変換された一部のIRが再び放射され、第2の樹脂フィルム11Bを透過し、さらに第2の金属箔4Bにて反射される。その結果、さらに優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。
(実施の形態11)
図20を用いて、実施の形態11を説明する。
図20に示すように、外被材18は保護層5とガスバリア層7と熱溶着層8とから構成されている。保護層5は、IR吸収率が25%未満である樹脂フィルム11と、積層された金属箔4A,4Bとから構成されている。
樹脂フィルム11を透過して到達した第1の金属箔4Aにおいては、実施の形態9と同様にIR反射機能が作用するが、反射されずに吸収され固体伝熱へと変換されたIRが再び放射され、第2の金属箔4Bにて反射される。その結果、さらに優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。
(実施の形態12)
図21を用いて、実施の形態12を説明する。
図21に示すように、外被材18は保護層5と熱溶着層8とから構成されている。保護層5の金属箔4をガスバリア層としたもので、従来のガスバリア層7は存在しない構成となっている。
本構成により、保護層5の金属箔4がガスバリア機能をも有するため、ガスバリア層7を省略することが可能となる。
その結果、材料コストおよび製造プロセスコストを低減することが可能である。
(実施の形態13)
図22を用いて、実施の形態13を説明する。
図22に示すように、真空断熱材16は芯材17と外被材18とから構成されている。減圧下にて芯材17を外被材18に封止することにより製造されるものであり、気体熱伝導率が限りなく小さい断熱性能に優れる断熱材である。また、外被材18は、保護層5とガスバリア層7と熱溶着層8とから構成されている。
以上のような構成において、外被材18の保護層5により輻射熱伝導を抑制し、さらに真空断熱材16により固体熱伝導および気体熱伝導を抑制することにより、優れた断熱効果が発揮されるものである。
また、保護層5のIR反射効果により、真空断熱材16が発熱源から受ける熱量が低減し、表面温度が低下するため、従来適用が困難であった高温領域においても使用することが可能となる。
さらに熱伝導率の温度依存による増大をも防ぐため、優れた断熱性能を引き出すことが可能となる。また、表面温度低下により、真空断熱材が封止口からの経時的な空気の進入による劣化を抑制し、長期間にわたる高断熱性能を付与するものである。
保護層5の樹脂フィルム11と金属箔4の種類を変えて確認した結果を実施例15〜18で示す。
実施例15〜18の真空断熱材において、芯材には、乾式ヒュームドシリカにカーボンブラックを5wt%添加して均一に混合した粉体を、通気性の不織布袋に封入したものを用いる。
外被材の熱溶着層には無延伸CPPフィルムを、ガスバリア層にはアルミ箔のつや消し面を用いた。外被材の保護層には実施例1から実施例4の構成を用い厚さ7mmの真空断熱材を作製した。
性能評価は、保護層にナイロンフィルムおよびPETフィルムを用い、その他は実施例1から実施例4と同様の構成とした真空断熱材高温側表面に150℃の熱を与えるハロゲンヒーターの熱照射を、本実施例の各真空断熱材に与えた場合の高温側および低温側表面温度の測定にて行った。この比較仕様における保護層の樹脂フィルムのIR吸収率は25%であり、IR反射率は30%、低温側表面温度は39℃であった。
実施例15〜18の結果は表3にまとめる。


【実施例15】
金属箔として厚さ15μmのニッケル箔の研磨面を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。
CPPフィルムのIR吸収率は17%、本実施例の真空断熱材表面(保護層)のIR反射率は50%であった。
評価の結果、高温側温度は145℃であり、低温側温度は38℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ5℃、および1℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例16】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔の研磨面を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。
CPPフィルムのIR吸収率は17%、本実施例の真空断熱材表面のIR反射率は60%であった。評価の結果、高温側温度は125℃であり、低温側温度は35℃であった。
未設置の場合と比較してそれぞれ25℃、および4℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
【実施例17】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔の研磨面を、樹脂フィルムとしてフッ素系フィルムである厚さ25μmのFEPフィルムを使用した。FEPフィルムのIR吸収率は8%、本実施例の真空断熱材表面のIR反射率は83%であった。
評価の結果、高温側温度は108℃であり、低温側温度は33℃であった。未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、および6℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
本発明のフッ素フィルムとしては、FEPフィルムの他にETFEフィルム、PFAフィルム、CTFEフィルムなどが使用できる。
【実施例18】
金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用した。PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の真空断熱材表面のIR反射率は82%であった。評価の結果、高温側温度は108℃であり、低温側温度は33℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、および6℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
(実施の形態14)
実施の形態14では、実施の形態10の外被材18を用いた真空断熱材16を説明する。 実施例5の外被材の熱溶着層およびガスバリア層及び芯材仕様は実施の形態13と同様とした。
なお、図面は図22と同様であるため省略する。
【実施例19】
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用し、最表面からPPSフィルム/アルミニウム箔/PPSフィルム/アルミニウム箔の順に積層した。 PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は85%であった。
評価の結果、高温側温度は107℃であり、低温側温度は32℃であった。未設置の場合と比較してそれぞれ43℃、および7℃の低減が確認され、さらに実施例18と比較して温度低減効果が高かったことから、交互積層によるさらなる輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
(実施の形態15)
実施の形態15では、実施の形態11の外被材18を用いた真空断熱材16を説明する。実施例6の外被材の熱溶着層およびガスバリア層及び芯材仕様は実施の形態13と同様とした。
なお、図面は図22と同様であるため省略する。
【実施例20】
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用し、最表面からPPSフィルム/アルミニウム箔/アルミニウム箔の順に積層した。PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は85%であった。評価の結果、高温側温度108℃であり、低温側温度は32.5℃であった。未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、および6.5℃の低減が確認され、さらに実施例18と比較して温度低減効果が若干高かったことから、金属箔積層によるさらなる輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
(実施の形態16)
実施の形態16では、実施の形態12の外被材18を用いた実施の形態15における真空断熱材16を説明する。実施例21に示す。 実施例21の芯材仕様は、実施の形態13と同様とした。
なお、図面は、図22と同様であるため省略する。
【実施例21】
熱溶着層には無延伸CPPフィルムを用い、ガスバリア層は、保護層の金属箔がガスバリア層として作用するため、設置しない。
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔の研磨面を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用した。
PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の真空断熱材表面のIR反射率は82%であった。高温側表面温度は108℃、低温側表面温度は33℃であった。
未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、および6℃の低減が確認され、輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
なお、ガスバリア層を、保護層の金属箔とすることにより、特に問題は生じなかった。
(実施の形態17)
図23を用いて、実施の形態17を説明する。
真空断熱材16を設置した際に高温側となる面の外被材18Aが、低温側の外被材18Bよりも大きいことを特徴とするものである。本構成により、高温側となる面の外被材には輻射熱伝導抑制機能を有する保護層5を備えており、表面温度を下げる効果がある。そして、この面を大きくすることにより、熱溶着層8および低温側外被材に回り込み伝わる熱量を低減する効果が得られる。
その結果、熱溶着層8の劣化を抑制し、また断熱効果を向上させる。 本実施の形態を実施例22でさらに詳しく説明する。
実施例22の外被材18の熱溶着層8およびガスバリア層7及び芯材仕様は実施の形態13と同様とした。
【実施例22】
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ2μmのPPSフィルムを使用した。
PPSフィルムのIR吸収率は10%、本実施例の輻射熱伝導抑制フィルムのIR反射率は82%であった。
評価の結果、高温側温度108℃であり、低温側温度は29.5℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ42℃、および9.5℃の低減が確認され、特に低温側温度の低減が大きかった。 これにより、高温側外被材を大きくすることにより一層の輻射熱伝導抑制効果があると判定した。
高温側となる面の外被材が低温側の外被材よりも大きいことは、外被材の形状が多角形であれば、その辺々全ての長さについて高温側が低温側より長く、低温側を完全に覆ってさらに余りがある状態を指す。外被材の形状が円形であれば、その直径について高温側が低温側より長く、低温側を完全に覆ってさらに余りがある状態を指す。すなわち、いかなる形状の外被材であっても、高温側外被材が低温側外被材を完全に覆ってあまりある状態を指すものである。
実施例15から実施例22の結果について、表3に示す。
以上のような構成において、輻射熱伝導抑制機能を有する保護層により輻射熱伝導を抑制し、さらに真空断熱材16により固体熱伝導および気体熱伝導を抑制することにより、優れた断熱効果が発揮されるものである。
次に本発明の輻射熱伝導抑制フィルムに対する比較例を示す。
評価条件及び方法は実施例に準じ、評価結果も同様に表3に示した。
(比較例12)
輻射熱伝導抑制機能を持たない保護層を使用した場合の比較例を示す。 保護層にナイロンフィルムおよびPETフィルムを、ガスバリア層にはアルミ箔のつや消し面を、熱溶着層には無延伸CCPを用いて作製した外被材を用いた真空断熱材を、実施の形態13と同様に評価した。 芯材仕様は実施の形態13と同様であり、真空断熱材の厚さも同等の7mmとした。 比較例1の保護層の樹脂フィルムのIR吸収率は25%であり、IR反射率は30%であった。その結果、高温側表面温度は150℃、低温側表面温度は39℃であった。
(比較例13)
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を用いた。
保護層として樹脂フィルムを使用しない場合を評価すると、IR反射率は95%であった。 高温側表面温度は100℃で、低温側表面温度は31℃であった。しかし、使用後10日経過までに徐々に高温側及び低温側温度の上昇が確認され、酸化劣化によるIR吸収の増加が考えられる。
(比較例14)
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔を、樹脂フィルムとして厚さ120μmのポリイミドフィルムを使用した。
ポリイミドフィルムのIR吸収率は80%、比較例3の真空断熱材のIR反射率は20%であった。高温側表面温度は170℃で、低温側表面温度は45℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ15℃、および3℃の上昇が確認され輻射熱伝導抑制効果は確認できず、逆にIR吸収による温度上昇が確認された。
(比較例15)
保護層の金属箔として厚さ12μmのアルミニウム箔つや消し面を、樹脂フィルムとして厚さ10μmの無延伸CPPフィルムを使用した。 CPPフィルムのIR吸収率は17%、比較例4の真空断熱材のIR反射率は45%である。
評価の結果、高温側温度は157℃であり、低温側温度は43℃であった。 未設置の場合と比較してそれぞれ7℃、および4℃の温度上昇が確認され、輻射熱伝導抑制効果はないと判定した。
さらに、実施例15〜18及び比較例12〜15に関して、IR吸収率と高温側温度との関係を図24に、IR反射率と高温側温度との関係を図25に示す。図24より、高温側温度が、比較例12の場合の150℃よりも低下し効果が現れるのは、IR吸収率が25%未満であることが推定できる。また、同様に図25より、輻射熱伝導抑制効果が得られるのは、IR反射率50%以上であると推定できる。
なお、熱溶着層とガスバリア層との間、ガスバリア層と保護層との間はそれぞれ通常既存のラミネート技術を用いて接着されている。 保護層の樹脂フィルムと金属箔との積層に関しても同様である。ここでは、接着剤によるIR吸収を考慮し、可能な限り接着剤使用量を抑制することが望ましい。
本発明は、保護層が、樹脂フィルムと金属箔とが交互に積層されてなることを特徴とする。 その結果、第1の樹脂フィルムを透過して到達した第1の金属箔層において反射されずに固体伝熱へと変換されたIRが、第2の樹脂フィルムを透過しても、さらに第2の金属箔にて反射されるため、さらに優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。積層数は、多い程効果的であるが、適用温度やコストにより最適な積層数を選択することができる。
さらに本発明の保護層は、単層樹脂フィルムと、積層された金属箔とからなることを特徴とする。樹脂フィルムを透過して第1の金属箔層において反射されずに固体伝熱へと変換されたIRが、第2の金属箔にて反射されるため、さらに優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。樹脂フィルムと金属箔との交互積層に較べ、金属箔同士の接触による固体熱伝導の影響がやや大きいため、輻射熱伝導抑制能力は劣るが、経済的である。
本発明の輻射熱伝導抑制機能を持つ保護層を有する外被材は、少なくとも真空断熱材を設置した際に高温側となる面に使用されることを特徴とする。 輻射熱伝導抑制機能を持つ保護層を有する外被材は高温側とともに低温側に適用しても何ら差し支えないが、基本的には高温側への適用が必須である。
低温側には通常の使用の外被材を用い、高温側のみ輻射熱伝導抑制機能を有する保護層を適用とした場合の方が、経済的である。
本発明の真空断熱材は、長期間にわたってIR反射能力を持続させ、優れた輻射熱伝導抑制機能を発揮することができる。
また、輻射熱伝導抑制機能の付与により、真空断熱材の表面温度が低下するため、従来適用が困難であった高温領域においても使用することが可能となる。さらに、熱伝導率の温度依存による悪化をも防ぐため、優れた断熱性能を引き出すことが可能となる。
また、表面温度低下により、真空断熱材の劣化を抑制し、長期間にわたる高断熱性能を付与するものである。
【産業上の利用可能性】
本発明の輻射熱伝導抑制フィルムおよびそれを用いた真空断熱材は、長期間にわたってIR反射能力を持続させ、優れた輻射熱抑制機能を発揮することが可能となる。その結果、輻射熱伝導の抑制が必要な空間の断熱や、発熱源と熱に弱い精密部材が近接する箇所における遮熱などの用途に適用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、
赤外線反射層と、接着層とを有する輻射熱伝導抑制フィルムであって、
赤外線反射率が50%以上であることを特徴とする輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項2】
前記接着層は接着部と非接着部とから構成され、
前記樹脂フィルムと前記赤外線反射層とを接着により積層することを特徴とする請求項1に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項3】
前記接着層の接着部と非接着部とが幾何学模様を形成することを特徴とする請求項2記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項4】
前記樹脂フィルムは融点が150℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項5】
前記樹脂フィルムが、フッ素系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項6】
前記樹脂フィルムが、ポリフェニレンサルファイドフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項7】
前記赤外線反射層が、金属箔であることを特徴とする請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項8】
赤外線反射層が、金属蒸着フィルムであることを特徴とする請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項9】
請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルムを、樹脂フィルム側が外側になるように表面に備えた断熱部材。
【請求項10】
熱可塑性樹脂からなる熱溶着層を前記赤外線反射層側に接着剤により複層した請求項2に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項11】
芯材と、内側面に熱溶着層を有し前記芯材を覆うガスバリア性の複数の外被材とから構成され、前記外被材の内部を減圧密封してなり、少なくとも一方の前記外被材が、請求項10に記載の輻射熱伝導抑制フィルムであることを特徴とする断熱部材。
【請求項12】
前記樹脂フィルムは、少なくとも150℃以上の融点を持ち、前記赤外線反射層は金属箔からなることを特徴とする請求項1に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項13】
前記樹脂フィルムと前記金属箔とが、交互に積層されてなることを特徴とする請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項14】
前記樹脂フィルムと、積層された前記金属箔とからなることを特徴とする請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項15】
前記金属箔が、アルミニウム箔であることを特徴とする請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項16】
前記樹脂フィルムが、フッ素系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項17】
前記樹脂フィルムが、ポリフェニレンサルファイドフィルムであることを特徴とする請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルム。
【請求項18】
請求項12に記載の輻射熱伝導抑制フィルムを断熱材表面へ備えた断熱部材。
【請求項19】
芯材と、前記芯材を覆う外被材とを有する真空断熱材であって、
前記外被材の内部は減圧され、前記外被材は熱溶着層とガスバリア層と輻射熱伝導抑制機能を有する保護層とを有するラミネート構造を持ち、
前記保護層は請求項1に記載の輻射熱伝導性抑制フィルムを用い、前記赤外線反射層が金属箔であることを特徴とする真空断熱材。
【請求項20】
前記保護層は、前記樹脂フィルムと前記金属箔とが交互に積層されてなることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項21】
前記保護層は、単層の前記樹脂フィルムと、積層された前記金属箔とからなることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項22】
前記保護層の前記金属箔が、アルミニウム箔であることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項23】
前記保護層の前記樹脂フィルムが、フッ素系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項24】
前記保護層の前記樹脂フィルムが、ポリフェニレンサルファイドフィルムであることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項25】
前記保護層の前記金属箔をガスバリア層とすることを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項26】
輻射熱伝導抑制機能を有する前記保護層を有する前記外被材を、少なくとも前記真空断熱材を設置した際に高温側となる面に使用したことを特徴とする請求項19に記載の真空断熱材。
【請求項27】
前記真空断熱材を設置した際に高温側となる面の前記外被材が、低温側の前記外被材よりも大きいことを特徴とする請求項26に記載の真空断熱材。

【国際公開番号】WO2005/068180
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516960(P2005−516960)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008850
【国際出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】