説明

輻射線感光性組成物及び画像形成性材料

ポリマー主鎖を含み、そして該ポリマー主鎖に結合された、下記構造(I):


(上記式中、Yは直接結合又は連結基であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、シアノ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、若しくはカルボキシレート基であるか、又は任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、炭素環式若しくは複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる)
によって表されるカルバゾール誘導体を有する高分子バインダーを含むネガ型輻射線感光性組成物。この組成物は、150〜1500nmに最大波長を有する輻射線に対し感光性を有することができ、平版印刷版として画像形成され現像されるネガ型画像形成性要素を調製するのに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射線感光性組成物及び画像形成性要素、例えばネガ型印刷版前駆体に関する。より具体的には、本発明は高感光性の輻射線感光性組成物、及び波長150〜1500nmで画像形成することができる画像形成性要素に関する。本発明はまた、例えば平版印刷版を提供するためにこれらの画像形成性要素を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷版前駆体を含む画像形成性材料を調製する際には、輻射線感光性組成物が日常的に使用されている。このような組成物は一般に、輻射線感光性成分、開始剤系、及びバインダーを含み、これらのうちのそれぞれは、物理特性、ひいては画像形成性能の種々の改善を提供するための研究の焦点となっている。
【0003】
印刷版前駆体の分野における最近の開発は、レーザー又はレーザーダイオードによって画像形成することができる、そしてより具体的には印刷機上で画像形成及び/又は現像することができる輻射線感光性組成物の使用に関する。レーザーはコンピュータにより直接的に制御することができるので、レーザー露光は、中間情報キャリア(又は「マスク」)としてコンベンショナルなハロゲン化銀グラフィック・アート・フィルムを必要としない。商業的に入手可能なイメージセッターにおいて使用される高性能レーザー又はレーザーダイオードは一般に、少なくとも700nmの波長を有する輻射線を放射し、ひいては、輻射線感光性組成物は、電磁スペクトルの近赤外領域又は赤外領域において感光することが必要とされる。しかしながら、他の有用な輻射線感光性組成物は、紫外線又は可視線で画像形成するように構成されている。
【0004】
印刷版の調製のための輻射線感光性組成物を使用する2つの可能な方法がある。ネガ型印刷版の場合、輻射線感光性組成物中の露光された領域が硬化され、そして非露光領域が現像中に洗い落とされる。ポジ型印刷版の場合、露光された領域は現像剤中に溶解され、そして非露光領域は画像になる。
【0005】
ネガ型の輻射線感光性組成物及び画像形成性要素は、例えば米国特許第6,309,792号明細書(Hauck他)、同第6,569,603号明細書(Furukawa他)、及び同第6,899,994号明細書(Huang他)、及びEP1,182,033(Fujimako他)、及びEP1,499,650(Goto)に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国特許第4,774,163号明細書(Higashi)には、フォトレジスト及び印刷版の調製のためのカルバゾール誘導体、及び任意選択的に線状ポリマーバインダーを含有する光重合性組成物が記載されている。
【0007】
多くの周知のネガ型輻射線感光性組成物がこの業界において有用であることが判っているが、感光性を改善することが依然として必要である。加えて、周知のネガ型画像形成性要素はしばしば、画像形成性層内部の架橋を改善するために、像様露光後であって、且つ現像前に予熱工程を必要とする。
【0008】
コンベンショナルな予熱工程を含む処理工程を可能な場合に低減することが、業界内では望ましい。150〜1500nmの種々の波長で種々様々な画像形成装置を使用して画像形成することができるこのようなタイプの組成物を有する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ラジカル重合性成分、
画像形成用輻射線に暴露すると、前記ラジカル重合性成分の重合を開始するのに十分なラジカルを生成することができる開始剤組成物、
増感色素、及び
ポリマー主鎖を含み、そして該ポリマー主鎖に結合された、下記構造(I):
【0010】
【化1】

【0011】
(上記式中、Yは直接結合又は連結基であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、シアノ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、若しくはカルボキシレート基であるか、又は任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、炭素環式若しくは複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる)
によって表されるカルバゾール誘導体を有する高分子バインダー
を含んで成る輻射線感光性組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、上記輻射線感光性組成物を含む画像形成性層を基板上に有して成るネガ型画像形成性要素を提供する。
【0013】
本発明はまた、本発明(例えば、上述したもの)の画像形成性要素を像様露光して
前記画像形成性層内に画像形成された領域と非画像形成領域との両方を形成すること、
B) 前記非画像形成領域だけを除去するために、前記像様露光された画像形成性層を現像すること、そして
C) 任意選択的に、工程A)後に前記像様露光された要素をベーキングすること
を含んで成るネガ型印刷版の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明により、上記方法から得られる画像形成された要素が提供される。
【0015】
本発明は多数の利点を提供する。ネガ型輻射線感光性組成物、及び画像形成性要素は、適切な増感色素を選ぶことによって150〜1500nmの任意の波長で感光して画像形成され得るように構成することができる。こうして、紫外線(UV)又は可視線を使用して、或いは赤外線(IR)を使用して画像形成を行うことができる。加えて、構造Iによって表されるペンダント・カルバゾール基を含有する特定のバインダーを使用することにより、予熱工程は必要とされず、そして画像形成用輻射線に対する改善された感光性(デジタルスピード)及び耐久性が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定義
本明細書中に使用する「酸価」は、物質(例えば、下記ラジカル重合性成分又は高分子バインダー)1グラム中の遊離酸基を中和するために必要とされるKOHのミリグラム数である。
【0017】
文脈が特に示すのでない限り、本明細書中に使用する「輻射線感光性組成物」、「画像形成性要素」及び「印刷版前駆体」という用語は、本発明の態様を意味するものとする。
【0018】
加えて、文脈が特に示すのでない限り、本明細書中に記載された種々の成分、例えば、「高分子バインダー」、「増感色素」、「ラジカル重合性成分」、「高分子バインダー」、及び同様の用語はまた、このような成分の混合物も意味する。従って、単数を表す冠詞(「一つ」を表すa)の使用は、単一の成分だけを必ずしも意味するものではない。
さらに、特に断りのない限り、パーセンテージは乾燥重量パーセントを意味する。
【0019】
ポリマーに関連するあらゆる用語の定義を明らかにするために、International Union of Pure and Applied Chemistry(「IUPAC」)によって発行された「Glossary of Basic Terms in Polymer Science」Pure Appl. Chem. 68, 2287-2311(1996)を参照されたい。しかし、本明細書中のあらゆる定義が支配的なものと見なされるべきである。
【0020】
「ポリマー」という用語は、オリゴマーを含む高分子量及び低分子量ポリマーを意味し、そしてホモポリマー及びコポリマーを含む。
「コポリマー」という用語は、2種又は3種以上の異なるモノマーから誘導されたポリマーを意味する。
【0021】
「主鎖」という用語は、複数のペンダント基を結合することができるポリマー中の原子鎖を意味する。このような主鎖の例は、1種又は2種以上のエチレン系不飽和型重合性モノマーの重合から得られた「全炭素」主鎖である。しかしながら、他の主鎖がヘテロ原子を含むこともでき、この場合、ポリマーは、縮合反応又は何らかの他の手段によって形成される。
【0022】
輻射線感光性組成物
本発明の1つの観点は、好適な電磁線を使用して重合可能である塗膜が必要であるところではどこでも、具体的には、塗布され画像形成された組成物の非露光領域を除去することが望まれるところで有用性を有することができる、輻射線感光性組成物である。輻射線感光性組成物は、フォトマスク・平版印刷、フォトレジスト、インプリントリソグラフィ、マイクロ電子及びマイクロ光学デバイス、プリント基板、塗料、及び成形用組成物において使用することができる。好ましくは、これらは、下でより詳しく定義されるネガ型平版印刷版前駆体、及び画像形成された平版印刷版を調製するために、使用される。
【0023】
輻射線感光性組成物中に存在するラジカル重合性成分は、ラジカル開始を用いて重合することができる任意の重合性基を含有する。例えば、ラジカル重合性成分は、付加重合性エチレン系不飽和基、架橋性エチレン系不飽和基、開環重合性基、アジド基、アリールジアゾニウム塩基、アリールジアゾスルホネート基、又はこれらの組み合わせを含有することができる。
【0024】
重合又は架橋することができる好適なエチレン系不飽和型化合物は、アルコールの不飽和型エステル、例えばポリオールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを含む、重合性基のうちの1つ又は2つ以上を有するエチレン系不飽和型重合性モノマーを含む。オリゴマー及び/又はプレポリマー、例えばウレタンアクリレート及びメタクリレート、エポキシドアクリレート及びメタクリレート、ポリエステルアクリレート及びメタクリレート、ポリエーテルアクリレート及びメタクリレート、及び不飽和型ポリエステル樹脂を使用することもできる。
【0025】
特に有用なラジカル重合性成分は、複数のアクリレート及びメタクリレート基、及びこれらの組み合わせを有する付加重合性エチレン系不飽和基、例えば多官能性アクリレート及びメタクリレート・モノマーを含む。このような化合物の一例としては、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、及び対応のメタクリレートが挙げられる。
【0026】
或いは、ラジカル重合性基を有するオリゴマー、例えば、それぞれがアクリロイル基又はメタクリロイル基を含んでよいポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及び対応するメタクリレートを使用することができる。
【0027】
より具体的に有用なラジカル重合性化合物は、複数の重合性基を有する尿素ウレタン(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートから誘導された化合物を含む。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートを基剤とするDESMODUR(登録商標)N100脂肪族ポリイソシアネート樹脂(Bayer Corp.、コネチカット州Milford)と、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートとを反応させることにより、極めて好ましいラジカル重合性成分を調製することができる。他の好ましいラジカル重合性化合物、例えばSR 399(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)、SR355(ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート)、SR295(ペンタエリトリトールテトラアクリレート)、及び当業者には容易に明らかなその他のものがSartomer Co., Inc.から入手可能である。
【0028】
数多くの他のラジカル重合性化合物が当業者に知られており、Photoreactive Polymers: The Science and Technology of Resists, A Reser, Wiely, New York, 1989、pp.102-177、B.M. Monroe著Radiation Curing: Science and Technology, S.P. Pappas編、Plenum, New York, 1992, pp. 399-440、及び「Polymer Imaging」A.B. Cohen及びP. Walker著、Imaging Processes and Material, J.M. Sturge他編、Van Nostrand Reinhold, New York, 1989, pp. 226-262を含む多数の文献に記載されている。有用なラジカル重合性成分が、欧州特許出願公開第1,182,033号明細書(上記)にも、段落[0170]から記載されている。
【0029】
いくつかの態様の場合、ラジカル重合性成分は、重合性成分1グラム当たりのKOHが0mg超、そして一般には重合性成分1グラム当たりのKOHが0〜200mgの酸価を提供するのに十分な量のカルボキシ基を含む。好ましくは酸価は、0〜100mg/重合性成分1グラムのKOHであり、より好ましくは、0〜60mg/重合性成分1グラムのKOHである。
【0030】
カルボキシ基を含有するラジカル重合性化合物は、数多くの方法で調製することができる。例えば、カルボキシ基を含有するオリゴマーは、米国特許第4,228,232号(Rousseau)明細書の第4欄(第42行)〜第5欄(第19行)、並びに第7欄(第14行)〜第8欄(第45行)の教示において記載されているように、カルボキシ基を含有するオリゴマーを調製することができる。カルボキシ基はオリゴマーに、好ましくラジカル重合性部分の添加後に、オリゴマー主鎖上の残りのヒドロキシ基と、遊離カルボキシ基を含有する化合物(例えばジカルボン酸又は無水物)とを反応させることにより、添加することができる。結果として生じたオリゴマーは、所望のカルボキシ置換型ポリマーを提供するように重合することができる。
【0031】
或いは、米国特許第5,919,600号明細書(Huang他)に記載されたアリル官能性ポリウレタンの調製と同様に、ジイソシアネートと遊離カルボキシ基を有するジオールとの反応から、ポリ(尿素ウレタン)アクリレート又はポリ(ウレタン)アクリレートを調製することもできる。
【0032】
ラジカル重合性成分は、輻射線による露光後に、組成物を水性現像剤中に不溶性にするのに概ね十分な量で、輻射線感光性組成物中に存在する。例えば、ラジカル重合性成分と高分子バインダーとの重量比は、一般に5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、そしてより好ましくは30:70〜70:30である。ラジカル重合性成分は、輻射線感光性組成物中の総固形分、又は画像形成性層の総乾燥重量を基準として、10〜70%、好ましくは20〜50%の量で存在することができる。
【0033】
輻射線感光性組成物はまた、組成物の像様露光時にラジカル重合性成分の重合反応を開始するのに十分なラジカルを発生させる開始剤組成物を含む。開始剤組成物は、例えば150〜1500nmのスペクトル範囲に相当する紫外線、可視線、及び/又は赤外線スペクトル領域における電磁線に対して感光する画像形成用組成物中で有用である。
【0034】
一般に、好適な開始剤組成物は、一例としてアミン(例えばアルカノールアミン)、チオール化合物、アニリノ二酢酸又はその誘導体、N-フェニルグリシン及びその誘導体、N,N-ジアルキルアミノ安息香酸エステル、N-アリールグリシン及びこれらの誘導体(例えばN-フェニルグリシン)、芳香族スルホニルハロゲン化物、トリハロゲノメチルスルホン、イミド(例えばN-ベンゾイルオキシフタリミド)、ジアゾスルホネート、9,10-ジヒドロアントラセン誘導体、少なくとも1つがアリール部分の窒素、酸素又は硫黄原子に結合された少なくとも2つのカルボキシル基を有するN-アリール、S-アリール又はO-アリールポリカルボン酸(例えば、アニリン二酢酸及びその誘導体、及び米国特許第5,629,354号明細書に記載されたその他の「共開始剤」);1〜3つのCX3基を有する1,3,5-トリアジン誘導体(Xは独立して、塩素又は臭素原子を表す)[例えば、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフト-1イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び2-[4-(2-エトキシエチル)-ナフト-1-イル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン]、オキシムエーテル及びオキシムエステル(例えばベンゾインから誘導されたもの)、α-ヒドロキシ又はα-アミノアセトフェノン;アルキルトリアリールボレート、トリハロゲノメチルアリールスルホン、ベンゾインエーテル及びベンゾインエステル、過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル)、ヒドロペルオキシド(例えばクミルヒドロペルオキシド)、アゾ化合物(例えばアゾビス-イソブチロニトリル)、米国特許第4,565,769号明細書(Dueber他)に記載されているような2,4,5-トリアリールイミダゾリル二量体(ヘキサアリールビスイミダゾール、又はHABIとしても知られる)、米国特許第4,997,745号明細書(Kawamura他)に記載されているような光増感剤と組み合わされたトリハロメチルトリアジン、UV及び可視線活性化のための3-ケトクマリン、米国特許第6,562,543号明細書(Ogata他)に記載されているような、ホウ酸塩、及び有機ホウ酸塩、オニウム塩(例えばアンモニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、及びN-アルコキシピリジニウム塩)、を含む化合物を含む。他の周知の開始剤組成物成分が、米国特許出願公開第2003/0064318号明細書(上記)に記載されている。UV及び可視線感光性の輻射線感光性組成物のための特に有用な開始剤組成物成分は、ヘキサアリールビスイミダゾール、例えば2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-ビイミダゾールを含む。上記トリアジンは、UV及び可視線による露光を含むほぼ任意の波長における露光と共に使用することができる。
【0035】
IR感光性の輻射線感光性組成物の場合、好ましい開始剤組成物は、一例としてスルホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウム、セレノニウム、アルソニウム、ホスホニウム、ジアゾニウム、又はハロニウム塩を含む、オニウム塩を含む。代表例を含む有用なオニウム塩の更なる詳細が、米国特許出願公開第2002/0068241号明細書(Oohashi他)、国際公開第2004/101280号パンフレット(Munnelly他)、及び米国特許第5,086,086号明細書(Brown-Wensley他)、同第5,965,319号明細書(Kobayashi)、及び同第6,051,366号明細書(Baumann他)において提供されている。例えば、好適なホスホニウム塩は、4つの有機置換基を有する正電荷超原子価リン原子を含む。好適なスルホニウム塩、例えばトリフェニルスルホニウム塩は、3つの有機置換基を有する正電荷超原子価硫黄を含む。好適なジアゾニウム塩は、正電荷アゾ基(すなわち−N=N+)を有する。好適なアンモニウム塩は、正電荷窒素原子、例えば4つの有機置換基を有する置換型第四アンモニウム塩、及び第四窒素複素環、例えばN-アルコキシピリジニウム塩を含む。好適なハロニウム塩は、2つの有機置換基を有する正電荷超原子価ハロゲン原子を含む。オニウム塩は一般に、好適な数の負電荷対イオン、例えばハロゲン化物、ヘキサフルオロホスフェート、チオスルフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボレート、スルホネート、水酸化物、過塩素酸塩、n-ブチルトリフェニルボレート、テトラフェニルボレート、及び当業者に容易に明らかな他のものを含む。
【0036】
ハロニウム塩がより好ましく、そしてヨードニウム塩が最も好ましい。1つの態様の場合、オニウム塩は、正電荷ヨードニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-部分と、好適な負電荷対イオンとを有する。このようなヨードニウム塩の代表例は、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである、Ciba Specialty Chemicals(ニューヨーク州Tarrytown)から、Irgacure 250(登録商標)として入手可能であり、75 %プロピレンカーボネート溶液中で供給される。
【0037】
開始剤組成物中のラジカル発生化合物は一般に、画像形成性層の組成物総固形分又は総乾燥層重量を基準として、0.5%〜30%、好ましくは1〜15%の量で輻射線感光性組成物中に存在する。種々の増感剤の最適な量は、所望される輻射線感光性組成物の種々の化合物及び感光性によって異なる場合があり、また当業者には容易に明らかである。
【0038】
輻射線感光性組成物は、UVからIRまでの電磁スペクトル領域、すなわち150〜1500nmのλmaxを有する輻射線に対して組成物を増感する1種又は2種以上の増感剤を含む。いくつかの増感剤を任意の波長で使用することができるが、しかしほとんどの増感剤は、特定の波長範囲内で最適に有用である。例えば、或る増感剤は、露光波長150〜650nm(UV〜可視)での使用に最適であるのに対して、他の増感剤は、露光波長650〜1500nm(近IR及びIR)での使用に最適である。
【0039】
いくつかの好ましい態様の場合、輻射線感光性組成物は、UV増感剤を含有し、この場合、ラジカル発生化合物はUV線感光性(すなわち150〜450nm)であり、これにより光重合を容易にする。典型的なUV線感光性のラジカル発生化合物は、ケトクマリン(特にポリカルボン酸ラジカル発生化合物、例えば二次共開始剤としてのアニリノ-N,N-二酢酸との組み合わせ)、例えば米国特許第4,997,745号明細書(Kawamura他)に記載されているようなトリクロロメチルトリアジン、及びジアリールヨードニウム塩を含む。チタノセン、ポリカルボン酸、ハロアルキルトリアイン、ヘキサアリールビスイミダゾール、ホウ酸塩、及び米国特許第5,942,372号(West他)に記載されているような、アルコキシ又はアシルオキシ基によって置換された複素環式窒素を含有する光オキシダントのような二次共開始剤を使用することができる。
【0040】
可視電磁スペクトル領域(すなわち400〜650nm)において吸収作用を有する増感剤を使用することもできる。このような増感剤の例は当業者によく知られており、米国特許第6,569,603号明細書(上記)の第17〜22欄に記載された化合物を含む。
【0041】
他の有用な可視及びUV感光性増感組成物は、シアニン色素、ジアリールヨードニウム塩、及び米国特許第5,368,990号明細書(Kawabata他)に記載されているような(上記のような)共開始剤を含む。
【0042】
より好ましい態様の場合、輻射線感光性組成物は、375〜450nmの「紫」線に対して増感される。このような組成物のための有用な増感剤は、特定のピリリウム及びチオピリリウム色素を含む。
【0043】
紫/可視線増感領域のための他の有用な増感剤は、国際公開第2004/074930号パンフレット(Baumann他)に記載された2,4,5-トリアリールオキサゾール誘導体である。これらの化合物は単独で、又は上記のような共開始剤、特に上記1,3,5-トリアジンとの組み合わせで使用することができる。有用な2,4,5-トリアリールオキサゾール誘導体は、構造G−(Ar1)3によって表すことができ、Ar1は、環内炭素原子数6〜12の同じか又は異なる、置換型又は無置換型の炭素環式アリール基であり、そしてGはフラン、オキサゾール、又はオキサジアゾール環である。Ar1基は、1つ又は2つ以上のハロ、置換型又は無置換型アルキル、置換型又は無置換型シクロアルキル、置換型又は無置換型アリール、アミノ(第一、第二、又は第三)、又は置換型又は無置換型アルコキシ又はアリールオキシ基で置換することができる。こうして、アリール基は、1つ又は2つ以上のR’1〜R’3基でそれぞれ置換することができ、R’1〜R’3基は独立して、水素、又は炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、エチル、イソ-プロピル、n-ヘキシル、ベンジル、及びメトキシメチル基)、環内炭素原子数6〜10の置換型又は無置換型炭素環式アリール基(例えばフェニル、ナフチル、4-メトキシフェニル、及び3-メチルフェニル基)、環内炭素原子数5〜10の置換型又は無置換型シクロアルキル基、−N(R’4)(R’5)基、又はOR’6基であり、R’4〜R’6は独立して、上で定義した置換型又は無置換型アルキル又はアリール基を表す。好ましくは、R’1〜R’3のうちの少なくとも1つは−N(R’4)(R’5)基であり、R’4及びR’5は同じか又は異なるアルキル基である。各Ar1基のための好ましい置換基は、同じか又は異なる第一、第二、又は第三アミンを含み、より好ましくは、これらは同じジアルキルアミンである。
【0044】
有用な紫/可視線増感剤のさらに別のクラスは、構造Ar1-G-Ar2によって表される化合物を含み、Ar1及びAr2は同じか又は異なる、置換型又は無置換型の環内炭素数6〜12のアリール基であり、又はAr2はアリーレン-G-Ar1又はアリーレン-G-Ar2基であってもよく、そしてGは、フラン、オキサゾール、又はオキサジアゾール環である。Ar1は上に定義したものと同じであり、そしてAr2はAr1と同じか又は異なるアリール基であることが可能である。「アリーレン」は、Ar1に対して定義されたアリール基のいずれかであることができるが、しかし、これらを性質上二価にするために、水素原子が除去される。
【0045】
追加の有用な紫−可視線増感剤は、国際公開第2004/074929号パンフレット(Baumann他)に記載されている化合物である。これらの化合物は、芳香族複素環式基に共役された少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むスペーサ部分と結合された同じか又は異なる芳香族複素環式基を含み、そしてこれらは上記刊行物の式(I)によってより詳細に表される。
【0046】
赤外線に対して感光性である本発明の態様の場合、輻射線感光性組成物はさらに、700〜1500nm、好ましくは750〜1200nmの輻射線を吸収する赤外線吸収化合物(「IR吸収化合物」)を含むことができる。このようなIR吸収化合物は、重合性成分の重合を増強し、そして耐久性のより高い印刷版を製造するために、オニウム塩との組み合わせで使用されることが特に有用である。
【0047】
好適なIR色素の一例としては、アゾ色素、スクアリリウム色素、クロコネート色素、トリアリールアミン色素、チオアゾリウム色素、インドリウム色素、オキソノール色素、オキサキソリウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、インドシアニン色素、インドトリカルボシアニン色素、オキサトリカルボシアニン色素、チオシアニン色素、チアトリカルボシアニン色素、メロシアニン色素、クリプトシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポリアニリン色素、ポリピロール色素、ポリチオフェン色素、カルコゲノピリロアリーリデン及びビ(カルコゲノピリロ)ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ピリリウム色素、ピラゾリンアゾ色素、オキサジン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、キノンイミン色素、メチン色素、アリールメチン色素、スクアリン色素、オキサゾール色素、クロコニン色素、ポルフィリン色素、及び前記色素クラスの任意の置換形態又はイオン形態が挙げられる。好適な色素は、例えば米国特許第6,569,630号明細書(上記、第22〜28欄)、及び同第5,208,135号明細書(Patel他)にも記載されている。
【0048】
アニオン性発色団を有するシアニン色素も本発明において有用である。例えば、シアニン色素は、2つの複素環式基を有する発色団を有することができる。別の態様の場合、シアニン色素は、少なくとも2つのスルホン酸基、より具体的には2つのスルホン酸基と2つのインドレニン基とを有することができる。このタイプの有用なIR感光性シアニン色素は、例えば米国特許出願公開第2005−0130059号明細書(Tao)に記載されている機上で現像可能な輻射線感光性組成物及び画像形成性要素にとって特に有用である。
【0049】
シアニン色素は、例えば米国特許第5,496,903号明細書(Watanabe他)に記載されているようなトリハロメチルトリアジン及び有機ホウ素塩との組み合わせにおいて有用であることがある。
【0050】
好適なシアニン色素の1つのクラスに関する一般的な説明は、国際公開第2004/101280号パンフレット(本明細書中に引用する)の第0026段落における式によって示され、有用なIR吸収化合物の2つの具体例が、IR吸収色素I及びIIとして例と共に下に特定されている。
【0051】
低分子量IR吸収色素に加えて、ポリマーに結合されたIR色素部分を使用することもできる。さらに、IR色素カチオンを使用することもでき、すなわち、このカチオンは、カルボキシ、スルホ、ホスホ、又はホスホノ基を側鎖中に含むポリマーとイオン相互作用する色素塩のIR吸収部分である。
【0052】
近赤外線吸収シアニン色素も有用であり、これらは例えば米国特許第6,309,792号明細書(Hauck他)、同第6,264,920号明細書(Achilefu他)、同第6,153,356号明細書(Urano他)、同第5,496,903号明細書(Watanate他)に記載されている。好適な色素は、コンベンショナルな方法及び出発材料を用いて形成することができ、或いは、American Dye Source(カナダ国ケベック州、Baie D'Urfe)及びFEW Chemicals(独国)を含む種々の商業的供給元から得ることができる。近赤外線ダイオード・レーザービームのための他の有用な色素が、例えば米国特許第4,973,572号明細書(DeBoer)に記載されている。
【0053】
有用なIR吸収化合物はまた、カーボンブラック、例えば当業者によく知られているような可溶化基で表面官能化されたカーボンブラックを含む。親水性、非イオン性ポリマーにグラフトされるカーボンブラック、例えばFX-GE-003(Nippon Shokubai製)、又はアニオン基で表面官能化されたカーボンブラック、例えばCAB-O-JET(登録商標)200又はCAB-O-JET(登録商標)300(Cabot Corporation製)も有用である。
【0054】
輻射線感光性組成物中の増感剤の量は、化合物のタイプ、露光波長、及び使用されるラジカル発生化合物に応じて変化することができる。一般に、増感剤の量は、総組成物固形分重量、又は増感剤が位置する画像形成性要素層の乾燥重量被覆率を基準として、1〜20%である。UV及び可視線増感剤の場合、好ましい量は1〜20%であってよく、またIR及び近IR増感剤の場合、被覆率は1〜20%であってよく、これらは両方とも総組成物固形分重量及び乾燥層重量を基準とする。
【0055】
本発明において有用な高分子バインダーは、ポリマー主鎖を含み、そしてこのポリマー主鎖に結合された、下記構造(I)によって表されるカルバゾール誘導体を有する:
【0056】
【化2】

【0057】
上記式中、Yは直接結合又は二価の連結基である。このような連結基は、例えば、炭素原子数1〜4の置換型又は無置換型アルキレン基、置換型又は無置換型フェニレン基、オキシ、チオ、−NR’−(R’は水素又はアルキル基である)、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)2−、又はこのような基のうちの2つ又は3つの組み合わせを含むことができる。
【0058】
1〜R8は独立して水素、又は炭素原子数1〜8の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、エチル、イソ−プロピル、n−ペンチル、ベンジル、及びイソ−オクチル基)、炭素原子数2〜4の置換型又は無置換型アルケニル基(例えばエテニル、アリル、又はプロペニル基)、芳香環内炭素原子数6〜10の置換型又は無置換型アリール基(例えばフェニル、4-メチルフェニル、及びナフチル)、ハロ基(例えばクロロ又はブロモ)、シアノ、炭素原子数1〜8の置換型又は無置換型アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2-プロポキシ、及びn-オクチルオキシ)、置換型又は無置換型アシル又はアシルオキシ基、又はカルボキシレート基である。或いは任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、置換型又は無置換型の炭素環式又は複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる。
【0059】
好ましくは、Yは直接結合であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、又はハロ基である。より好ましくはR1〜R8のそれぞれが水素である。
【0060】
高分子バインダーは一般に、酸価5〜400mg KOH/g(好ましくは10〜200、より好ましくは30〜150mg KOH/g)を有し、そして下記構造(II)によって表すこともできる:
【0061】
【化3】

【0062】
(上記式中、Aは、構造(I)によって表されるカルバゾール誘導体を含む反復単位を表し、Bは、カルバゾール誘導体を含まないエチレン系不飽和型重合性モノマーから誘導された反復単位を表し、総反復単位を基準として、xは0.1〜99.9mol%(好ましくは5〜50mol%)であり、そしてyは0.1〜99.9mol%(好ましくは50〜95mol%)である)。
【0063】
構造(II)において、Bは、ペンダント・カルバゾール基(又はその誘導体)を有さない1種又は2種以上のエチレン系不飽和型重合性モノマーから誘導された反復単位を表す。B反復単位を提供するために、スチレンモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、無水マレイン酸、N置換型マレイミド、又はこれらの混合物を含む種々のモノマーを使用することができる。しかしながら、より具体的に有用なモノマーは、下記構造(III)〜(VII)によって表される:
【0064】
【化4】

【0065】
上記式中、R9及びR10は独立して水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式及び複素環式基を含む)、ハロ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルコキシ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシルオキシ基であり、或いはR9とR10とは一緒になって、環状基、例えばシクロペンチル又はシクロヘキシル基を形成するか、又は下記二価基:
−NHC(O)CH2CH2CH2−、−NHC(O)CH2CH2−、−CH2C(O)OC(O)−、−(CH2)2C(O)OC(O)−、及びCH2C(O)OC(O)CH2−、のうちの1つを形成することができる。R9及びR10は好ましくは水素又はメチルである。
【0066】
11は水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式及び複素環式基を含む)、又はハロ基である。R11は好ましくは水素又はメチルである。
【0067】
12は水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式又は複素環式基の両方)、シアノ基、又はハロ基である。R12は好ましくは置換型又は無置換型フェニル基(すなわち、これによりスチレンモノマーを提供する)である。
【0068】
13は水素、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型シクロアルキル基、置換型又は無置換型シクロアルケニル基、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式及び複素環式基を含む)、又は炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルコキシアルキレン基である。R13は好ましくはメチル、エチル、又はヒドロキシエチルである。
【0069】
14及びR15は独立して水素、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜20の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型シクロアルキル基、置換型又は無置換型シクロアルケニル基、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式及び複素環式基を含む)、又は炭素原子数1〜12の置換型又は無置換型アルコキシアルキレン基である。R14及びR15は好ましくは独立して水素、又はメチルである。
【0070】
16及びR17は独立して水素、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルキル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルケニル基、置換型又は無置換型アリール基(炭素環式及び複素環式基を含む)、ハロ基、シアノ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アルコキシ基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシル基、炭素原子数1〜6の置換型又は無置換型アシルオキシ基である。R16及びR17は独立して好ましくは、水素、メチル、又はフェニルである。
【0071】
18は水素、又は炭素原子数1〜7の置換型又は無置換型アルキル基(ベンジル基を含む)、置換型又は無置換型アリール基(芳香族炭素環式及び複素環式基を含む)、又はヒドロキシ基である。R18は一般には水素、又は置換型又は無置換型フェニル基である。
【0072】
好ましくは、Bによって表される反復単位は、スチレン、N-フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、又はメチルメタクリレート、又はこれらのモノマーのうちの2種又は3種以上の混合物から誘導される。
【0073】
高分子バインダーは、輻射線感光性組成物を水性現像剤中に可溶性又は分散性にするのに十分な量で、輻射線感光性組成物中に存在する。一般に、この量は、10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%、そしてより好ましくは30〜60重量%である。
【0074】
本発明において有用な高分子バインダーは固形であり、そして一般にはそのガラス転移(Tg)温度は、コンベンショナルな手順を用いて測定して、35〜220℃、好ましくは45〜180℃、そしてより好ましくは50〜130℃である。
【0075】
加えて、高分子バインダーの数平均分子量(Mn)は一般に、1,000〜1,000,000であり、好ましくは5,000〜100,000である。
【0076】
カルバゾール誘導体を含有する高分子バインダーは、コンベンショナルなラジカル重合条件、及び周知の出発材料を使用して調製することができる。このような重合法に関する詳細は、Belfield他(編)、Photoinitiated Polymerization. ASC Symposium Series 847, American Chemical Society, Washington D.C., 2003, pp. 219-230によって提供されている。代表的な重合法を例に先立って以下に示す。
【0077】
上記高分子バインダーに加えて、輻射線感光性組成物は、カルバゾール部分を含有しない1種又は2種以上の「共バインダー」を含んでもよい。しかしながら、このような共バインダーが存在するときには、これらは、総高分子バインダー重量を基準として、50%未満である。有用な共バインダーの一例としては、セルロースポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、(メタ)アクリル酸から誘導されたポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、メト(アクリレート)のポリマー、ポリエステル、ポリアセタール、及びこれらの混合物が挙げられる。このような共バインダーは、架橋可能な部位を提供することもできる。
【0078】
輻射線感光性組成物はさらに、分子量が200から4000まで(好ましくは500〜2000)のポリ(アルキレングリコール)又はそのエーテル又はエステルを含んでよい。この化合物は、組成物の総固形分、又は画像形成性層の総乾燥重量を基準として2〜50重量%(好ましくは5〜30%)の量で存在してよい。このタイプの特に有用な化合物の一例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコールモノメタクリレートのうちの1種又は2種以上が挙げられる。また、SR9036(エトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリレート)、CD9038(エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート)、及びSR494(エトキシル化(5)ペンタエリトリトールテトラアクリレート)、及び全てSartomer Company, Inc.から得ることができる同様の化合物も有用である。
【0079】
輻射線感光性組成物中に存在することができる他の材料は、スチレン−アクリロニトリル−ポリ(エチレンオキシド)グラフトコポリマー、着色剤、粘度形成剤、界面活性剤、分散剤、保湿剤、殺生物剤、可塑剤、pH調整剤、乾燥剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、現像助剤、レオロジー調整剤、又はこれらの組み合わせ、又は平版印刷分野において共通に使用される任意のその他の添加物を、コンベンショナルな量で含む。有用な粘度形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリ(ビニルピロリドン)を含む。
【0080】
輻射線感光性組成物は、メルカプタン誘導体、例えばメルカプトトリアゾール(例えば3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-メチル-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、5-メルカプト-1-フェニル-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール、及び5-(p-アミノフェニル)-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール)を含んでもよい。種々のメルカプトベンズイミダゾール、メルカプトベンズチアゾール、及びメルカプトベンゾオキサゾールが存在してもよい。
【0081】
画像形成性要素
画像形成性要素は、上記輻射線感光性組成物を好適な基板に好適に適用することによって形成される。この基板は通常、輻射線感光性組成物の適用前に、下記のような種々の方法で処理又は塗布される。好ましくは、本発明の輻射線感光性組成物を含む単一の画像形成性層だけが存在する。基板が、改善された付着性又は親水性のために「中間層」を提供するように処理されているならば、適用された輻射線感光性組成物は「トップ」層と考えられる。
【0082】
基板は一般に、親水性表面、又は少なくとも、画像形成側上の適用された画像形成用配合物よりも高親水性である表面を有している。基板は、画像形成性要素、例えば平版印刷版を調製するために従来より使用されている任意の材料から構成され得る支持体を含む。基板は通常、シート、フィルム、又はフォイルの形態を成しており、そして強固であり、安定であり、そして可撓性であり、また色記録がフルカラー画像を見当合わせするような使用条件下では耐寸法変化性である。典型的には、支持体は、高分子フィルム(例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースエステルポリマー、及びポリスチレンフィルム)、ガラス、セラミック、金属シート又はフォイル、又は剛性紙(樹脂塗布紙及び金属化紙を含む)、又はこれらの材料のうちのいずれかのラミネーション(例えばポリエステルフィルム上へのアルミニウムフォイルのラミネーション)を含むいかなる自立型材料であってもよい。金属支持体は、アルミニウム、銅、亜鉛、チタン及びこれらの合金のシート又はフォイルを含む。
【0083】
高分子フィルム支持体の一方又は両方の表面を、親水性を高めるために「下塗り」層で改質することができ、或いは、平坦性を高めるために、紙支持体を同様に塗布することができる。下塗り層材料の一例としては、アルコキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシジオキシプロピルトリエトキシシラン、及びエポキシ官能性ポリマー、並びに、ハロゲン化銀写真フィルム内に使用されるコンベンショナルな親水性下塗り材料(例えばゼラチン、及びその他の自然発生型及び合成型の親水性コロイド、並びに塩化ビニリデンコポリマーを含むビニルポリマー)が挙げられる。
【0084】
好ましい基板は、物理的グレイニング、電気化学的グレイニング、化学的グレイニング、及び陽極酸化を含む、当業者に知られた技術によって処理することができるアルミニウム支持体から構成される。好ましくは、アルミニウム・シートは、リン酸又は硫酸、及びコンベンショナルな手順を用いて陽極酸化される。
【0085】
例えばケイ酸塩、デキストリン、フッ化カルシウムジルコニウム、ヘキサフルオロケイ酸、リン酸塩/フッ化物、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、又はアクリル酸コポリマーでアルミニウム支持体を処理することにより、中間層を形成することができる。好ましくは、アルミニウム支持体は、表面親水性を改善するために周知の手順を用いてポリ(アクリル酸)で処理される。
【0086】
特に有用な画像形成性要素は、リン酸陽極酸化されたポリ(アクリル酸)処理アルミニウム基板、又は硫酸陽極酸化されたリン酸ナトリウム/フッ化ナトリウム処理アルミニウム基板である基板を有する。
【0087】
基板の厚さは多様であることが可能であるが、しかし、印刷から生じる摩耗に耐えるのに十分に厚く、しかも印刷版の周りに巻き付けるのに十分に薄くあるべきである。好ましい態様は、厚さ100μm〜600μmの処理されたアルミホイルを含む。
【0088】
基板の裏側(非画像形成側)には、画像形成性要素の取り扱い及び「感触」を改善するために、静電防止剤及び/又はスリップ層又は艶消し層を被覆することができる。
【0089】
基板は、種々の層組成物が塗布された円筒形表面であってもよく、ひいては印刷プレスの一体部分であってもよい。このような画像形成された胴の使用は、例えば米国特許第5,713,287号明細書(Gelbart)に記載されている。
【0090】
輻射線感光性組成物は、任意の好適な装置及び手順、例えばスピン塗布、ナイフ塗布、グラビア塗布、ダイ塗布、スロット塗布、バー塗布、ワイヤロッド塗布、ローラ塗布、又は押し出しホッパー塗布を用いて、塗布用液体中の溶液又は分散体として基板に適用することができる。組成物は、好適な支持体(例えば機上印刷シリンダ)上に噴霧することにより適用することもできる。
【0091】
このような方法の実例は、高分子バインダーと輻射線感光性組成物の他の成分とを、好適な有機溶剤[例えばメチルエチルケトン(2-ブタノン)、メタノール、エタノール、イソ−プロピルアルコール、アセトン、n-プロパノール、及び当業者に容易に明らかなその他のもの、並びにこれらの混合物]中で混合し、その結果生じた溶液を水性媒体中に分散し、結果として生じた分散体を基板上に適用し、そして好適な乾燥条件下で蒸発させることにより、溶剤を除去することである。適切な乾燥後、画像形成性層の塗膜重量は、概ね0.1〜5g/m2、好ましくは0.5〜3.5g/m2、そしてより好ましくは0.5〜1.5g/m2である。
【0092】
画像形成性要素はさらに、酸素不透過性化合物、すなわち、輻射線露光によって発生するラジカルの存続期間中に大気からの酸素が画像形成性層内に拡散するのを防止する化合物を含むことによって、酸素バリヤとして役立ち得る酸素不透過性上塗り層を含むこともできる。上塗り層は、湿分に対するバリヤとして役立つこともできる。上塗り層は画像形成性層上に配置され、そして現像剤に対して可溶性、分散性、又は少なくとも透過性であるべきである。上塗り層は、取り扱い、輸送、又は過剰露光から画像形成性要素の物理的又は化学的な損傷を防止するように構成することもできる。このような上塗り層の更なる詳細は、国際公開第99/06890号パンフレット(Pappas他)に記載されている。
【0093】
現像性を高めるために、又は断熱層として作用するために、画像形成性層の下側に下塗り層が存在することもできる。下塗り層は、現像剤中に可溶性又は少なくとも分散性であるべきであり、そして好ましくは比較的低い熱伝導率係数を有する。
【0094】
画像形成性要素は、例えば印刷版前駆体、印刷胴、印刷スリーブ、及び印刷テープ(可撓性印刷ウェブを含む)を含むいかなる有用な形態をも有することができる。好ましくは、画像形成性部材は、印刷版前駆体である。
【0095】
印刷版前駆体は、好適な基板上に配置された所要の画像形成層を有する、任意の有用なサイズ及び形状(例えば正方形又は長方形)から成ることができる。印刷胴及びスリーブは、円筒形態の基板と画像形成層とを有する回転印刷部材として知られる。印刷スリーブのための基板として、中空又は中実の金属コアを使用することができる。
【0096】
画像形成条件
使用中、画像形成性要素は、輻射線感光性組成物の感光性に応じて、波長150〜1500nmの輻射線、例えばUV、可視線、又は赤外線の好適な輻射線源に暴露される。上述のように、いくつかの態様の場合、画像形成は、波長700〜1200nmの赤外線レーザーを使用して行われ、そして他の態様の場合、画像形成は、150〜700nmのUV又は可視電磁スペクトル領域内で行われる。本発明の画像形成部材に露光を施すために使用されるレーザーは、ダイオード・レーザー・システムの信頼性及びメンテナンスの手間の少なさにより、好ましくはダイオード・レーザーであるが、しかし他のレーザー、例えば気体又は固体レーザーを使用することもできる。レーザー画像形成のための出力、強度、及び露光時間の組み合わせは、当業者には容易に明らかである。
【0097】
画像形成装置は、版セッターとしてだけ機能することができ、或いは、平版印刷機内にこれを直接的に内蔵することもできる。後者の場合、印刷は画像形成直後に開始することができ、これにより印刷プレス設定時間をかなり軽減することができる。画像形成装置は、画像形成性部材をドラムの内側又は外側の円筒面に装着した状態で、平床型記録器として、又はドラム型記録器として構成することができる。有用な画像形成装置は、波長約830nmの近赤外線を発光するレーザーダイオードを含有する、Eastman Kodak Companyの子会社であるCreo(カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在)から入手可能なCreo Trendsetter(登録商標)イメージセッターのモデルとして入手することができる。他の好適な輻射線源は、波長1064nmで作動するCrescent 42T Platesetter、及びScreen PlateRite 4300シリーズ又は8600シリーズの版セッター(イリノイ州Chicago在、Screenから入手可能)を含む。追加の有用な輻射線源は、要素が印刷版胴に取り付けられている間に要素に画像を形成するために使用することができるダイレクト画像形成プレスを含む。好適なダイレクト画像形成印刷プレスの例は、Heidelberg SM74-DIプレス(オハイオ州Dayton在、Heidelbergから入手可能)を含む。
【0098】
有用な「紫」レーザー画像形成装置は、Heidelberger Druckmaschinen(独国Heidelberg在)のProsetter版セッター、ECRM Imaging Systems(マサチューセッツ州Tewksbury在)のMako 8 CTP版セッター、Agfa Graphics(ベルギー国Mortsel在)のPolaris版セッター、Krause CTP LTD.(コネチカット州Milford在)のLaserStar Jet CTP版セッター、Screen Media Technology(イリノイ州Rolling Meadows在)のPlateRite 2044Vi版セッター、及びFuji Photo(ニューヨーク州Valhalla在)のSaber Luxel Vx-9600 CTP版セッターを含む。
【0099】
赤外線画像形成を用いる画像形成スピードは、20〜1500mJ/cm2、そしてより具体的には75〜400mJ/cm2であってよい。紫外線/可視線を使用する画像形成の場合、画像形成スピードは、10〜200μJ/cm2であってよい。
【0100】
本発明の実施においてはレーザー画像形成が好ましいが、熱エネルギーを像様に提供する任意の他の手段によって画像形成を行うこともできる。例えば米国特許第5,488,025号明細書(Martin他)に記載された「サーマル印刷」として知られているものにおいて熱抵抗ヘッド(サーマル印刷ヘッド)を使用して画像形成を達成することができる。サーマル印刷ヘッドは、例えばFujitsu Thermal Head FTP-040 MCS001、及びTDK Thermal Head F415 HH7-1089として、商業的に利用可能である。
【0101】
画像形成された要素は、コンベンショナルな処理条件、及びコンベンショナルな水性アルカリ性現像剤を使用して現像することができる。水性現像剤組成物は、高分子バインダーの性質に依存するが、しかし、共通の成分は、界面活性剤、キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸の塩)、有機溶剤(例えばベンジルアルコール)、及びアルカリ性成分(例えば無機メタケイ酸塩、有機メタケイ酸塩、水酸化物、及び重炭酸塩)を含む。水性現像剤のpHは好ましくは5〜14である。
【0102】
水性アルカリ性現像剤は一般に、少なくとも7のpH、そして好ましくは少なくとも11のpHを有する。現像剤のpHは高いほど、単層要素を処理するのに概ね最善である。有用なアルカリ性水性現像剤は、3000 Developer、9000 Developer、GOLDSTAR Developer、GREENSTAR Developer、ThermalPro Developer、PROTHERM Developer、MX1813 Developer、及びMX1710 Developer(全てEastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手可能)を含む。これらの組成物はまた一般に、界面活性剤、キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸の塩)、及びアルカリ成分(例えば無機メタケイ酸塩、有機メタケイ酸塩、水酸化物、及び重炭酸塩)を含む。
【0103】
溶剤系アルカリ性現像剤は一般に、水と混和可能な1種又は2種以上の有機溶剤の単一相溶液である。有用な有機溶剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとのフェノールの反応生成物[例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)]、ベンジルアルコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールの炭素原子数6以下の酸とのエステル、及び炭素原子数6以下のアルキル基を有する、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びプロピレングリコールのエーテル、例えば2-エチルエタノール、及び2-ブトキシエタノールを含む。有機溶剤は一般に、現像剤総重量を基準として0.5〜15%の量で存在する。
【0104】
代表的な溶剤系アルカリ性現像剤は、ND-1 Developer、955 Developer、Developer 980、及び956 Developer(Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手可能)を含む。
【0105】
現像剤T-190-4及びT-190-11が、「紫」線を使用して画像形成される輻射線感光性組成物にとって好ましい場合がある。これらの現像剤は、Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手することができる。
【0106】
一般に、アルカリ性現像剤は、現像剤を含有するアプリケータで外層を擦るか又は拭うことにより、画像形成された要素に適用される。或いは、画像形成された要素は、現像剤をブラシ塗布することもでき、又は露光された領域を除去するのに十分な力で外層に噴霧することにより、現像剤を適用することができる。この場合もやはり、現像剤中に画像形成された要素を浸漬することができる。全ての事例において、印刷室化学薬品に対して優れた耐性を有する平版印刷版において、現像された画像が生成される。
【0107】
現像に続いて、画像形成された要素は水で濯ぎ、そして好適な様式で乾燥させることができる。乾燥させた要素は、コンベンショナルなガミング溶液(好ましくはアラビアゴム)で処理することもできる。加えて、後ベーキング作業を実施することもできる。
【0108】
画像形成された要素の印刷面に平版印刷ンク及びファウンテン溶液を適用することにより、印刷を実施することができる。ファウンテン溶液は、画像形成・現像工程によって露出された親水性基板の表面上の非画像形成領域によって取り込まれ、そしてインクは、画像形成された層上の画像形成された(除去されない)領域によって取り込まれる。インクは次いで、その上に画像の所望の刷りを提供するために、好適な受容材料(例えば布地、紙、金属、ガラス、又はプラスチック)に転写される。所望の場合、画像形成された部材から受容材料へインクを転写するために、中間「ブランケット」ローラを使用することができる。画像形成された部材は、所望の場合には、コンベンショナルなクリーニング手段を使用して、刷りの間にクリーニングすることができる。
【0109】
下記例は、本発明の実施を例示するために提供されるものであって、本発明を限定しようと意図するものでは決してない。
【実施例】
【0110】
例及び分析法において使用された成分及び材料は下記の通りであった:
ポリマーHは、13mol%のメタクリル酸と87mol%のメチルメタクリレートとから誘導されたコポリマーである。
【0111】
オリゴマーAは、Desmodur(登録商標)N 100と、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレート(MEK中80重量%)とを反応させることにより調製されたウレタンアクリレートである。
【0112】
オリゴマーBは、2部のヘキサメチレンジイソシアネートと、2部のヒドロキシエチルメタクリレート及び1部の2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジンとを反応させることにより調製されたウレタンアクリレートである。
PMIは、N-フェニルマレイミドである。
【0113】
Kayamer PM-2は、リン酸と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのモノエステル及びジエステルの混合物であり、Nippon Kayaku(日本国東京在)から得られた。
【0114】
NK Ester BPE-500は、Shin-Nakamura Chemical Co. (日本国和歌山市在)から得られた2,2-ビス[4-(メタクリルオキシポリエトキシ)-フェニルプロパン]である。
【0115】
開始剤Aは、Ciba Specialty Chemicalsから得られた4-メチルフェニル-4'-イソブチルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレートである。
【0116】
o-Cl-HABIは、Hampford Research Inc.(コネチカット州Stratford在)から得られた2,2-ビス-(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-ビイミダゾールである。
IRTは、日本国東京在、Showa Denkoから入手可能なIR色素である。
【0117】
IR色素1は下記構造を有する:
【0118】
【化5】

【0119】
UV色素2は、Clariant(独国Frankfurt在)から得られ、そして下記構造を有する:
【0120】
【化6】

【0121】
顔料A(951)は、アセトアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアルコール、ブチルアルデヒド、及び4-ホルミル安息香酸から誘導されたポリビニルアセタール7.7部と、Irgalith Blue GLVO(銅−フタロシアニンC.I.ピグメントブルー15:4)と、Disperbyk(登録商標)167分散助剤(Byk Chemieから入手)15.4部との、1-メトキシ-2-プロパノール中の27%固形分分散体である。
【0122】
Byk(登録商標)307は、ポリエトキシル化ジメチルポリシロキサン・コポリマーの分散体(Byk Chemie、コネチカット州Wallingford在)である。
【0123】
956 Developerは、Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk在)から商業的に入手可能なアルカリ性現像剤である。
【0124】
ND-1現像剤は、Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphics(日本国在)から商業的に入手可能なアルカリ性現像剤である。
【0125】
T190-4現像剤は、Eastman Kodak Companyの子会社であるKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk在)から商業的に入手可能なアルカリ性現像剤である。
【0126】
T190-11現像剤は、Kodak Polychrome Graphics, Inc.(コネチカット州Norwalk在)から商業的に入手可能なアルカリ性現像剤である。
【0127】
PGMEは、1-メトキシ-2-プロパノールである。
MEKは、メチルエチルケトンである。
BLOは、γ-ブチロラクトンである。
下記高分子バインダーを調製し、そして下記例において使用した:
【0128】
ポリマーA(発明)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、0.4g)、メチルメタクリレート(5g)、アクリロニトリル(9g)、N-ビニルカルバゾール(5g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、20%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、18.4gの白色固形物を提供した。
【0129】
ポリマーB(発明)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、メチルメタクリレート(4g)、アクリロニトリル(9g)、N-ビニルカルバゾール(5g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約20%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、18.0gの白色固形物を提供した。
【0130】
ポリマーC(発明)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、メチルメタクリレート(4g)、アクリロニトリル(9g)、PMI(5g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約18.6%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、15.5gの白色固形物を提供した。
【0131】
ポリマーD(比較)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、メチルメタクリレート(4g)、アクリロニトリル(9g)、スチレン(4g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約19.3%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、18.5gの白色固形物を提供した。
【0132】
ポリマーE(比較)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、メチルメタクリレート(9g)、アクリロニトリル(9g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約19.2%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、17.0gの白色固形物を提供した。
【0133】
ポリマーF(発明)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、メチルメタクリレート(2g)、N-ビニルカルバゾール(7g)、アクリロニトリル(9g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約20%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、19.0gの白色固形物を提供した。
【0134】
ポリマーG(発明)の合成:
磁気撹拌器、温度調節器、及びN2入口を備えた500−mlの3首フラスコ内に、AIBN(0.4g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2g)、アクリロニトリル(7g)、スチレン(4g)、N-ビニルカルバゾール(7g)、メタクリル酸(2g)、及びN,N-ジメチルアセトアミド(80g)を入れた。この混合物を60℃まで加熱し、そしてN2保護下で一晩(ほぼ16時間)にわたって撹拌することにより、約20%の固形物を提供した。次いで反応混合物を3リットルの氷水中に撹拌しながらゆっくりと滴下した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして250mlのn-プロパノールで洗浄し、そして3時間にわたって50℃の炉内で乾燥させることにより、17.7gの白色固形物を提供した。
【0135】
発明例1〜4及び比較例1〜3:
発明ポリマーA、B、F、及びG(それぞれ例1〜4に対応)又は比較ポリマーC、D、及びE(それぞれ比較例1〜3に対応)0.98g、オリゴマーA(0.91g)、開始剤A(0.22g)、IRT(0.09g)、3-メルカプトトリアゾール(0.05g)、顔料A(0.30g)、ポリエチレングリコールメチルエーテル(0.54g、MW=750、Aldrich)、及び10%Byk(登録商標)307(0.27g)を、PGME(25.8g)、MEK(16.2g)、及びBLO(4.7g)中に溶解することにより、IR感光性画像形成性層塗布用配合物を調製した。ポリ(アクリル酸)で後処理されている、機械的グレイニング処理及びリン酸陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、各塗布用配合物を塗布することにより、回転ドラム上で約2分間にわたって170°F(77℃)で適切に乾燥させたときに、画像形成性層における乾燥塗膜重量約1.3g/m2を提供した。
【0136】
発明例1〜4及び比較例1〜3の、結果として生じた画像形成性要素に、40〜210mJ/cm2の830nmのIRレーザーを使用して、CREO Trendsetter 3244xイメージセッター(Eastman Kodak Companyの子会社であるCreo、カナダ国ブリティッシュコロンビア州Burnaby在)上で、画像を形成した。次いで25℃のND−1現像剤を装入したAnitec Duplex 16処理装置を使用して、各画像形成された要素を現像することにより、画像形成された印刷版を提供した。
【0137】
結果として生じた画像の光学濃度を、露光エネルギーの関数として図1に示す。これらの結果は、例1〜4におけるカルバゾール含有ポリマーA、B、F、及びGを使用すると、比較例1〜3における比較ポリマーC、D、及びEを使用するよりも高い光学濃度が画像領域において提供されたことを示す。このことは、本発明によるカルバゾール含有ポリマーの使用によって、重合効率が改善されたことを示唆する。
【0138】
発明例5:
ポリマーA(2.5g)、オリゴマーA(2.34g)、開始剤A(0.57g)、IRT(0.21g)、3-メルカプトトリアゾール(0.13g)、顔料A(0.76g)、ポリエチレングリコールメチルエーテル(1.36g、MW=750、Aldrich)、及び10%Byk(登録商標)307(0.69g)を、PGME(45.9g)、MEK(40.9g)、及びBLO(4.7g)中に溶解することにより、IR感光性画像形成性層塗布用配合物を調製した。ポリ(アクリル酸)で後処理されている、機械的グレイニング処理及びリン酸陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、塗布用配合物を塗布することにより、回転ドラム上で約2分間にわたって170°F(77℃)で適切に乾燥させたときに、乾燥塗膜重量約1.3g/m2の画像形成性層を提供した。
【0139】
結果として生じた画像形成性要素を、CREO Trendsetter 3244xイメージセッター上に置き、そして約120mJ/cm2の830nmのIRレーザーに暴露した。次いで、25℃のND−1現像剤を装入したAnitec Duplex 16処理装置を使用して、画像形成された要素を現像した。結果として得られた画像形成された印刷版を、1.5%炭酸カルシウムを含有するインクを使用するMiehle枚葉紙供給式印刷機上に載置することにより、少なくとも10,000回の良好な刷りを産出した。
【0140】
発明例6:
ポリマーB(2.71g)、オリゴマーA(3.21g)、Sartomer 355(0.54g、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、Sartomer Co., Inc.)、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-2-トリアジン(0.32g)、N-フェニルイミノ二酢酸(0.17g)、IR色素1(0.11g)、クリスタル・バイオレット(0.08g)、及び10%Byk(登録商標)307(0.14g)を、PGME(50.4g)、MEK(36.7g)、及びBLO(4.7g)中に溶解することにより、IR感光性画像形成性層塗布用配合物(本発明の組成物)を調製した。リン酸ナトリウム/フッ化ナトリウムで後処理されている、電気化学的グレイニング処理及び陽極酸化を施されたアルミニウム基板に、塗布用配合物を塗布することにより、回転ドラム上で約2分間にわたって170°F(77℃)で適切に乾燥させたときに、乾燥塗膜重量約1.2g/m2の画像形成性層を提供した。
【0141】
9.7%のAirvol 203(67.9g、ポリビニルアルコール)、20%のポリ(ビニルイミダゾール)(5.83g)、2-プロパノール(20.7g)、及び脱イオン水(405.6g)を混合することにより、上塗り層配合物を調製した。画像形成性層上に上塗り層組成物を適用した後、要素を回転ドラム上で約1分間にわたって170°F(77℃)で乾燥させることにより、乾燥塗膜重量約0.5g/m2をもたらした。
【0142】
結果として生じた画像形成性要素を、CREO Trendsetter 3244xイメージセッター上に置き、そして20〜120mJ/cm2の830nmのIRレーザーに暴露した。次いで、画像形成された要素を、25℃の希釈956 Developerで手によって現像した。最大処理濃度を達成するための最小露光エネルギーは、約40mJ/cm2であった。この画像印刷版は、50℃における5日保持試験に合格したが、しかし38℃及び80%湿度における5日保持試験中には画像を失った。
【0143】
発明例7及び比較例4:
表Iに示す成分を用いて、UV感光性画像形成性層配合物を調製した:
【0144】
【表1】

【0145】
画像形成性層配合物を塗布して乾燥させることにより、電気化学的グレイニング処理及び陽極酸化を施されたアルミニウム基板上に画像形成性層被覆率1.6g/m2を提供した。発明例7のための基板は、リン酸ナトリウム/フッ化ナトリウムで後処理するのに対して、比較例4のための基板は、ポリ(ビニルホスホン酸)で後処理した。
【0146】
画像形成性層上にポリ(ビニルピロリドン)/ポリ(ビニルアルコール)の5%溶液を適用することにより、1.9g/m2の酸素バリヤ層を提供した。結果として生じた画像形成性要素に、コンベンショナルなLuxel Vx-9600紫版セッター上で一連の露光を施すことにより、画像を形成し、そしてこれらの画像形成性要素を、25℃のKodak Polychrome Graphics T190-11現像剤を装入されたGlunz & Jensen Raptor 85 Polymer処理装置を使用して、(入口ヒーターを迂回して)処理した。
【0147】
発明例7の要素に関しては、5〜160μJ/cm2の露光に対して均一な画像濃度が得られた。比較例4の要素の均一な画像濃度は、100μJ/cm2を上回る露光時にしか得られなかった。
【0148】
発明例8:
ポリマーAの量を2.14重量部まで増大させたことを除けば、発明例7で記載したように、UV感光性画像形成性層配合物(本発明の組成物)及び画像形成要素を調製した。画像形成性要素に、Luxel Vx-9600紫版セッターを使用して19μJ/cm2で画像を形成し、この画像形成性要素を、T190-4現像剤を使用して手によって処理した。画像形成された印刷版をKomori Sprint 26印刷機上に載置し、そしてこの印刷版を使用することにより、ベタ画像領域内に印刷濃度の損失を示すことなしに、1.5%炭酸カルシウムを含有する研磨性インクで10,000回の刷りを印刷した。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、下記例1〜4に記載した、光学濃度対露光エネルギー(mJ/cm2)のデータを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性成分、
画像形成用輻射線に暴露すると、前記ラジカル重合性成分の重合を開始するのに十分なラジカルを生成することができる開始剤組成物、
増感色素、及び
ポリマー主鎖を含み、そして該ポリマー主鎖に結合された、下記構造(I):
【化1】

(上記式中、Yは直接結合又は連結基であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、シアノ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、若しくはカルボキシレート基であるか、又は任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、炭素環式若しくは複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる)
によって表されるカルバゾール誘導体を有する高分子バインダー
を含んで成る輻射線感光性組成物。
【請求項2】
Yは直接結合であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、又はハロ基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1〜R8のそれぞれは水素である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記増感色素が650〜1500nmのλmaxを有している請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記増感色素が150〜650nmのλmaxを有している請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記増感色素が、構造G-(Ar1)3又はAr1-G-Ar2によって表され、Ar1及びAr2が同じか又は異なる、置換型又は無置換型の炭素環式アリール基であり、そしてGがフラン、オキサゾール、又はオキサジアゾール環であり、又はAr2もまたアリーレン-G-Ar1又はアリーレン-G-Ar2基となることができる請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記増感色素が、構造G-(Ar1)3を有しており、前記Ar1のそれぞれが、第一、第二、又は第三アミンで置換されている請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ラジカル重合性成分が、エチレン系不飽和型重合性基又は架橋可能なエチレン系不飽和基を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記開始剤組成物が、トリアジン化合物、過酸化物、2,4,5-トリアリールイミダゾリル二量体、オニウム塩、オキシムエーテル又はエステル、N-フェニルグリシン若しくはその誘導体、アニリノ二酢酸若しくはその誘導体、チオール化合物、又はこれらの化合物のうちの2種若しくは3種以上の組み合わせを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記開始剤組成物が、有機ホウ素塩、ヨードニウム、スルホニウム、s-トリアジン、又はこれらの化合物のうちの2種若しくは種以上の組み合わせを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記開始剤組成物が0.5〜30%の量で存在し、前記ラジカル重合性成分が10〜70%の量で存在し、前記増感剤が1〜20%の量で存在し、前記高分子バインダーが10〜90%の量で存在し、全てのパーセンテージは組成物総固形分を基準とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記高分子バインダーが、数平均分子量1,000〜1,000,000、及び酸価5〜400mg KOH/gを有し、そして下記構造(II):
【化2】

(上記式中、Aは、構造(I)によって表されるカルバゾール誘導体を含む反復単位を表し、Bは、カルバゾール誘導体を含まないエチレン系不飽和型重合性モノマーから誘導された反復単位を表し、総反復単位を基準として、xは0.1〜99.9mol%であり、そしてyは0.1〜99.9mol%である)
によって表される
請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
Bが、1種又は2種以上の(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、スチレンモノマー、N置換型マレイミド、ビニルアセテート、無水マレイン酸、又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートから誘導された反復単位を表し、xが、5〜50mol%であり、そしてyが、50〜95mol%であり、そして前記高分子バインダーが、数平均分子量5,000〜100,000及び酸価10〜200mg KOH/gを有する請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ラジカル重合性成分、
画像形成用輻射線に暴露すると、前記ラジカル重合性成分の重合を開始するのに十分なラジカルを生成することができる開始剤組成物、
増感色素、及び
ポリマー主鎖を含み、そして該ポリマー主鎖に結合された、下記構造(I):
【化3】

(上記式中、Yは直接結合又は連結基であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、シアノ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、若しくはカルボキシレート基であるか、又は任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、炭素環式若しくは複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる)
によって表されるカルバゾール誘導体を有する高分子バインダー
を含む画像形成性層を基板上に有して成るネガ型画像形成性要素。
【請求項15】
前記基板が、リン酸陽極酸化されたポリ(アクリル酸)処理アルミニウム基板、又は硫酸陽極酸化されたリン酸塩/フッ化物処理アルミニウム基板である請求項14に記載の要素。
【請求項16】
前記増感色素が、750〜1200nmのλmaxを有し、前記ラジカル重合性成分が、エチレン系不飽和型重合性基又は架橋可能なエチレン系不飽和基を含み、そして前記開始剤組成物が、ホウ酸ヨードニウム塩、スルホニウム、又はs-トリアジン、又はこれらの化合物のうちの2種又は3種以上の組み合わせを含む請求項14に記載の要素。
【請求項17】
前記増感色素が、150〜750nmのλmaxを有し、前記ラジカル重合性成分が、エチレン系不飽和型重合性基又は架橋可能なエチレン系不飽和基を含み、そして前記開始剤組成物がトリアジン化合物、過酸化物、2,4,5-トリアリールイミダゾリル二量体、オニウム塩、オキシムエーテル又はエステル、N-フェニルグリシン又はその誘導体、アニリノ二酢酸又はその誘導体、チオール化合物、又はこれらの化合物のうちの2種又は3種以上の組み合わせを含む請求項14に記載の要素。
【請求項18】
前記開始剤組成物が、0.5〜30%の量で存在し、前記ラジカル重合性成分が、10〜70%の量で存在し、前記増感剤が、1〜20%の量で存在し、前記高分子バインダーが、10〜90%の量で存在し、全てのパーセンテージは乾燥画像形成性層重量を基準とする請求項14に記載の要素。
【請求項19】
前記高分子バインダーが、数平均分子量1,000〜1,000,000、及び酸価5〜400mg KOH/gを有し、そして下記構造(II):
【化4】

(上記式中、Aは、構造(I)によって表されるカルバゾール誘導体を含む反復単位を表し、Bは、カルバゾール誘導体を含まないエチレン系不飽和型重合性モノマーから誘導された反復単位を表し、総反復単位を基準として、xは0.1〜99.9mol%であり、そしてyは0.1〜99.9mol%である)
によって表される
請求項14に記載の要素。
【請求項20】
Bが、1種又は2種以上の(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、スチレンモノマー、N置換型マレイミド、ビニルアセテート、無水マレイン酸、又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートから誘導された反復単位を表し、xが、5〜50mol%であり、そしてyが、50〜95mol%であり、そして前記高分子バインダーは数平均分子量5,000〜100,000及び酸価10〜200mg KOH/gを有する請求項19に記載の要素。
【請求項21】
前記開始剤組成物が、前記増感剤が750〜900nmのλmaxを有する場合には、ホウ酸ヨードニウム塩を含み、又は前記増感剤が150〜650nmのλmaxを有する場合には、ヘキサアリールビスイミダゾールを含み、前記ラジカル重合性成分が、多官能性イソシアネート化合物と、カルボキシ基を含む1種又は2種以上の尿素ウレタン又はウレタン(メタ)アクリレートとの反応から誘導されており、そして前記高分子バインダーが、N-ビニルカルバゾールから誘導された反復単位を含む請求項14に記載の要素。
【請求項22】
A) ラジカル重合性成分、
画像形成用輻射線に暴露すると、前記ラジカル重合性成分の重合を開始するのに十分なラジカルを生成することができる開始剤組成物、
増感色素、及び
ポリマー主鎖を含み、そして該ポリマー主鎖に結合された、下記構造(I):
【化5】

(上記式中、Yは直接結合又は連結基であり、そしてR1〜R8は独立して水素、又はアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、シアノ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、若しくはカルボキシレート基であるか、又は任意の隣接するR1〜R8基は一緒になって、炭素環式若しくは複素環式基又は縮合芳香環を形成することができる)
によって表されるカルバゾール誘導体を有する高分子バインダー
を含む画像形成性層を基板上に有して成る画像形成性要素を像様露光して
前記画像形成性層内に画像形成された領域と非画像形成領域との両方を形成すること、
B) 前記非画像形成領域だけを除去するために、前記像様露光された画像形成性層を現像すること、そして
C) 任意選択的に、工程A)後に前記像様露光された要素をベーキングすること
を含んで成るネガ型印刷版の製造方法。
【請求項23】
前記像様露光工程Aが、最大波長700〜1200nmの輻射線を使用して行われる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記像様露光工程Aが、最大波長150〜700nmの輻射線を使用して行われ、そして前記画像形成性要素が任意選択的に、前記画像形成性層上に配置された酸素不透過性上塗り層を含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法から得られた画像形成された要素。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−527023(P2009−527023A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555264(P2008−555264)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/003077
【国際公開番号】WO2007/097907
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】