説明

輻輳エリアに在圏する無線端末からの接続性を高める発着信接続方法、無線端末及びプログラム

【課題】災害時のように通信事業者ネットワークが輻輳状態となった場合であっても、通信事業者ネットワークを介した無線端末間の接続性を高める発着信接続方法等を提供する。
【解決手段】第1の無線端末が、通信事業者ネットワークの輻輳時に、輻輳通知を受信する。第1の無線端末が、通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバに対して登録する。そして、第1の無線端末が、通信事業者ネットワークを経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信し、メッセージ交換サーバが、通信事業者ネットワークを経由して第2の無線端末へ、メッセージを転送する。これによって、第2の無線端末が、パケット交換網を経由してセッション制御サーバに対して登録する。その後、第1の無線端末が、セッション制御サーバへ、第2の無線端末への接続要求を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末間における発着信接続の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムとしては、1つの通信事業者によって運用管理される「通信事業者ネットワーク」と、多数の通信事業者の通信網によって相互接続される「公衆ネットワーク」とがある。通信事業者ネットワークとしては、一般的に、「回線交換網」及び「パケット交換網」と、基地局が接続された無線通信網とが相互接続されたものである。「回線交換網」は、物理的又は仮想的な1つの回線を1つのユーザが占有する交換方式を用いたネットワークである。「パケット交換網」は、データをパケットに分割して送信することによって、1つの回線を複数のユーザが共有する交換方式を用いたネットワークである。また、「公衆ネットワーク」としては、一般に、インターネットと、アクセスポイントが接続されたアクセスネットワークとが相互接続されたものである。
【0003】
従来、通話端末としての携帯電話機は、携帯電話網(3G)のような通信事業者ネットワークを介して呼接続されていた。これに対し、近年、スマートフォンのような高機能携帯端末が普及してきている。このような無線端末は、携帯電話網(3G)のような通信事業者ネットワークだけでなく、無線LAN(Local Area Network)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)を介してインターネットにも接続することができる。インターネットを経由して通話やメッセージングを実現するために、これら無線端末には、インターネット技術を用いた双方向通信アプリケーションがインストールされている(例えば非特許文献1〜3参照)。
【0004】
このアプリケーションは、少なくとも、アプリケーション毎に割り当てられたユーザ(又は無線端末)を識別可能なアプリケーション識別子と、端末のIPアドレスとを含む登録要求を、インターネットに配置された「セッション制御サーバ」へ送信する。アプリケーション識別子は、ネットワーク内で一意の識別子であって、ユーザ端末の電話番号に基づいて生成されたものであってもよい。具体的には、例えば、電話番号に特定の情報を付加したものであってもよいし、電話番号のハッシュ値を用いて生成したものであってもよい。
【0005】
セッション制御サーバは、無線端末の識別子毎に、アプリケーション識別子及びIPアドレスを位置登録する。発信側無線端末は、着信側無線端末のアプリケーション識別子を含む接続要求を、セッション制御サーバへ送信する。セッション制御サーバは、その接続要求の宛先となる着信側無線端末を検索し、その着信側無線端末へ接続要求を転送する。これによって、両無線端末間で、インターネットを介したセッションが確立される。
【0006】
ここで、災害や震災が広域で発生した場合を想定する。この場合、無線端末から通信事業者ネットワークへのアクセスが急増し、無線通信網の基地局と接続される回線交換網の交換局MSC(Mobile Switching Center)が、輻輳を生じやすくなる。
【0007】
これに対し、第1の対策としては、基地局へ発信可能な無線端末の数を制御する技術がある。現在の無線通信システムによれば、一般に、基地局に接続可能な無線端末の数は制限されている。一方で、災害発生時には、多くの無線端末が一度に接続することとなる。このような場合、通信事業者ネットワークは、輻輳状態となった交換局及び基地局がカバーするエリアに在圏する無線端末に対して、発信規制信号を送信する。これによって、無線端末からの発信を規制し、輻輳状態を回避しようとする。
【0008】
第2の対策としては、無線端末は通信事業者ネットワークで輻輳が発生した場合に、公衆ネットワークを用いて通信することができる。公衆ネットワークは、パケット交換方式であるので、回線を複数のユーザで共有することができ、回線交換網の通信事業者ネットワークと比較して、輻輳耐性が高い。
【0009】
尚、従来技術によれば、回線交換網の輻輳発生時に、無線端末は、基地局から受信した発信規制信号に基づいて、インターネットのセッション制御サーバへ登録する技術がある(例えば特許文献1参照)。また、発信規制信号を受信した無線端末が、通信時に、回線交換網からパケット交換網に切り替える技術もある(例えば特許文献2参照)。
【0010】
図1は、従来技術における無線端末の発着信接続のシーケンス図である。
【0011】
図1(a)は、正常状態にある回線交換網を介した発着信接続のシーケンスである。無線端末1は、基地局6との間で無線リンクを接続した状態にある。発信側無線端末から送信された接続要求は、通信事業者ネットワークの無線通信網及び回線交換網を介して、着信側無線端末まで転送される。
【0012】
図1(b)は、輻輳状態にある回線交換網を介した発着信接続のシーケンスである。発信側無線端末1Aは、通信事業者ネットワークの基地局へ、接続要求を送信する。しかしながら、無線通信網の基地局又は回線交換網の交換局が輻輳を生じている場合、接続応答(NG)が発信側無線端末1Aへ返信される。また、輻輳状態は、必ずしも接続応答(NG)によって返信されることに限られず、基地局からの報知チャネルを用いて、発信規制信号を、在圏する無線端末へ同報的に送信するものであってもよい。
【0013】
尚、基地局は、回線交換網の輻輳状態を自律的に検出するものであってもよいし、回線交換網から基地局へ輻輳状態を通知するものであってもよい。また、基地局自身が、回線交換網の輻輳状態に応じて、発信規制の有無を判定するものであってもよいし、その規制率を決定するものであってもよい。
【0014】
このとき、通信事業者ネットワークが輻輳状態にあると認識した発信側無線端末1Aは、アクセスポイントとの間で無線リンクを確立し、公衆ネットワークに接続することができる。そして、発信側無線端末1Aは、公衆ネットワーク(インターネット)を経由して、着信側無線端末1Bへ接続要求を送信する。これによって、パケット交換網を経由して無線端末間でセッションを確立しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−295232号公報
【特許文献2】特開2010−141669号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Skype、[online]、[平成23年10月20日検索]、インターネット<URL:http://www.skype.com/intl/ja/home/>
【非特許文献2】FaceTime、[online]、[平成23年10月20日検索]、インターネット<URL:http://www.apple.com/jp/iphone/features/facetime.html>
【非特許文献3】Google Talk、[online]、[平成23年10月20日検索]、インターネット<URL:http://www.google.com/talk/intl/ja/>
【非特許文献4】ドコモビジネスオンライン、「SMSセンタープッシュとは」、[online]、[平成23年10月20日検索]、インターネット<URL:http://www.docomo.biz/html/service/smscenterpush/>
【非特許文献5】「GPS MAP」、[online]、[平成23年10月20日検索]、インターネット<URL:http://www.kddi.com/business/gps_map/kino.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、公衆ネットワークを経由して無線端末間でセッションを確立する場合、両方の無線端末が、双方向通信アプリケーションを予め起動し、セッション制御サーバに予め登録しておく必要がある。図1(b)によれば、発信側無線端末1Aが接続要求をセッション制御サーバへ送信した時点で、着信側無線端末1Bは、セッション制御サーバに位置登録されていない。この場合、セッション制御サーバは、発信側無線端末1Aへ接続応答(NG)を返信することとなる。結局、公衆ネットワークを経由しても、無線端末間でセッションを確立することができない。
【0018】
また、他の技術として、無線端末が輻輳エリアに在圏する場合、基地局から送信される発信規制信号をトリガとして、アプリケーションの起動やアプリケーションサーバへの位置登録をすることも想定できる。しかしながら、着信側無線端末が、非輻輳エリアに在圏する場合、そのようなトリガを得ることができない。発信側無線端末が輻輳エリアに在圏していても、着信側無線端末が非輻輳エリアに在圏する場合、結果的に、公衆ネットワークを経由して無線端末間でセッションを確立することができない。
【0019】
更なる課題としては、災害が広域で発生した場合、無線端末からみて、その近隣に無線LANのようなアクセスポイントにアクセスできなければならない。一般に、無線LANのような公衆ネットワークは、そのホットスポットの範囲が狭い。一方で、通信事業者ネットワークの場合、通信可能なエリアは極めて広域であって、回線を占有する回線交換網に輻輳が生じても、回線を共有するパケット交換網を経由することによって通信可能となる可能性が高い。
【0020】
そこで、本発明は、特に災害時のように通信事業者ネットワークが輻輳状態となった場合であっても、通信事業者ネットワークを介した無線端末間の接続性を高めることができる発着信接続方法、無線端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムにおける無線端末間の発着信接続方法であって、
第1の無線端末が、通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する第1のステップと、
第1の無線端末が、通信事業者ネットワークを経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信する第2のステップと、
メッセージ交換サーバが、通信事業者ネットワークを経由して第2の無線端末へ、メッセージを転送する第3のステップと、
第2の無線端末が、通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバに対して登録する第4のステップと、
第1の無線端末が、第2の無線端末への接続要求を、通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバへ送信する第5のステップと、
セッション制御サーバが、接続要求を、通信事業者ネットワークを経由して第2の無線端末へ転送する第6のステップと
を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、
通信事業者ネットワークは、回線交換網及びパケット交換網と、基地局を配置した無線通信網とが相互接続されており、
セッション制御サーバは、パケット交換網に接続されており、
第1のステップについて、第1の無線端末は、回線交換網の輻輳時に、当該回線交換網から輻輳通知を受信し、
第4のステップについて、第2の無線端末は、パケット交換網を経由してセッション制御サーバに対して登録し、
第5のステップについて、第1の無線端末は、第2の無線端末への接続要求を、パケット交換網を経由してセッション制御サーバへ送信し、
第6のステップについて、セッション制御サーバは、接続要求を、パケット交換網を経由して第2の無線端末へ転送することも好ましい。
【0023】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、第2のステップについて、第1の無線端末は、パケット交換網を経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信することも好ましい。
【0024】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、第1のステップについて、第1の無線端末は、回線交換網の輻輳時に、当該回線交換網から輻輳通知を受信した際に、パケット交換網を経由してセッション制御サーバに対して登録することも好ましい。
【0025】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、
システムは、
無線端末毎に、当該無線端末が在圏する回線交換網内の交換局の識別子を蓄積した位置登録データベースと、
回線交換網内の交換局毎に、輻輳状態の有無を記録した運用管理サーバと
を更に有し、
第3のステップについて、メッセージ交換サーバは、
メッセージの送信側の第1の無線端末が在圏する交換局の識別子を位置登録データベースから取得し、
取得された交換局の識別子における輻輳状態の有無を運用管理サーバから取得し、
第1の無線端末が在圏する交換局が輻輳状態に有る場合にのみ、メッセージを、回線交換網を経由して基地局を介して、第2の無線端末へ転送することも好ましい。
【0026】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、第2のステップについて、
第1の無線端末が、セッション制御サーバへ、宛先の第2の無線端末への接続要求を送信し、
第1の無線端末が、宛先の第2の無線端末が未登録である旨の接続応答を、セッション制御サーバから受信した際に、メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信することも好ましい。
【0027】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、第4のステップについて、
第2の無線端末は、第1の無線端末への登録要求確認のメッセージを、メッセージ交換サーバへ送信し、
メッセージ交換サーバは、第1の無線端末に登録要求確認のメッセージを送信し、
第2の無線端末は、メッセージ交換サーバからメッセージの送信応答を受信できない場合にのみ、セッション制御サーバに対して登録することも好ましい。
【0028】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、
メッセージ交換サーバは、ショートメッセージ交換サーバであり、
メッセージは、ショートメッセージであることも好ましい。
【0029】
本発明の発着信接続方法における他の実施形態によれば、
セッション制御サーバは、複数のピア装置からなるP2P(Peer to Peer)ネットワークによって構成されたシステムであり、
第1の無線端末及び第2の無線端末と通信可能ないずれか1つのピア装置が、セッション制御サーバとして動作することも好ましい。
【0030】
本発明によれば、基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムに接続可能な無線端末であって、
通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する輻輳通知受信手段と、
通信事業者ネットワークを経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信し、第2の無線端末に対して通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバに対して登録させる登録指示手段と、
第2の無線端末がセッション制御サーバへ登録した後、第2の無線端末への接続要求を、通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバへ送信する第2の接続要求手段と
を有することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムに接続可能な無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する輻輳通知受信手段と、
通信事業者ネットワークを経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信し、第2の無線端末に対して通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバに対して登録させる登録指示手段と、
第2の無線端末がセッション制御サーバへ登録した後、第2の無線端末への接続要求を、通信事業者ネットワークを経由してセッション制御サーバへ送信する第2の接続要求手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の発着信接続方法、無線端末及びプログラムによれば、特に災害時のように通信事業者ネットワークが輻輳状態となった場合であっても、通信事業者ネットワークを介した無線端末間の接続性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術における無線端末の発着信接続のシーケンス図である。
【図2】本発明におけるシステムの構成図である。
【図3】本発明における発信側無線端末の登録処理を表すシーケンス図である。
【図4】本発明における発着信処理を表すシーケンス図である。
【図5】図4のS414〜S421における異なる実施形態に基づくシーケンス図である。
【図6】本発明における無線端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
図2は、本発明におけるシステムの構成図である。
【0036】
図2によれば、「通信事業者ネットワーク」として、回線交換網及びパケット交換網と無線通信網とが相互接続されており、無線端末は、無線通信網に配置された基地局に接続することができる。また、通信事業者ネットワークは、携帯電話網(3G)や電話交換網に限られず、IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークにおけるトランスポートネットワーク及びコントロールネットワークによって構成されたものであってもよい。
【0037】
回線交換網及びパケット交換網は共に、同一の通信事業者によって運用管理されたものであることが好ましい。図2によれば、回線交換網及びパケット交換網には、メッセージ交換サーバ(具体的にはSMS(Short Message Service)サーバ)2と、位置登録データベース(具体的にはHLR(Home Location Register)データベース)3と、運用管理サーバ(具体的にはオペレーションセンタサーバ)4とが配置されている。
【0038】
メッセージ交換サーバ2は、送信元端末から送信されたショートメッセージを、宛先端末へプッシュ的に転送する。ショートメッセージは、送信元端末からショートメッセージ交換サーバまではパケット交換網を経由して転送され、ショートメッセージ交換サーバから宛先端末までは回線交換網を経由して転送される。従って、送信元端末からメッセージ交換サーバ2までのショートメッセージは、パケット交換網を経由して転送されるので、輻輳耐性が高い。一方で、メッセージ交換サーバ2から宛先端末までのショートメッセージは、回線交換網を経由して転送されるので、輻輳耐性が低い。
【0039】
位置登録データベース3は、無線端末の識別子(例えば電話番号や端末識別番号)毎に、当該無線端末が在圏する回線交換網内の交換局MSCの識別子を蓄積する。位置登録データベース3は、例えばHLR又はVLR(Visitor Location Register)に基づくものである。
【0040】
運用管理サーバ4は、回線交換網内の交換局MSC毎に、輻輳状態の有無を記録する。輻輳状態としては、例えば基地局及び交換局に障害(例えば災害)が発生した旨の有無であってもよい。また、当該基地局や交換局における許容通信量に対する現通信量を表す通信負荷率や、最大処理量に対する現処理量を表す処理負荷率が、所定閾値を超えたか否かであってもよい。更に、当該基地局から発信規制信号が送信されているか否か、又は、発信規制信号に含まれる発信規制率が所定閾値を超えたか否かであってもよい。
【0041】
また、図2によれば、パケット交換網に、セッション制御サーバ5が接続されている。セッション制御サーバ5は、通信事業者ネットワーク内に備えられたものであってもよいし、外部の事業者によって管理されるものであってもよい。図2によれば、セッション制御サーバ5は、外部のインターネットに接続されたものであって、他の事業者によって管理されたものである。セッション制御サーバ5は、パケット交換網(又はインターネット)における無線端末間のセッションの確立を制御する。そのために、セッション制御サーバ5は、無線端末毎に、アプリケーション識別子及びIPアドレスを位置登録する。尚、セッション制御サーバ5は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバであってもよいし、Webサーバであってもよい。
【0042】
また、セッション制御サーバ5は、その処理能力を高めるべく、複数のピア装置からなるP2P(Peer to Peer)ネットワークによって構成されたシステムであってもよい。発信側無線端末及び着信側無線端末と通信可能ないずれか1つのピア装置が、セッション制御サーバとして動作し、その登録情報を保持する。
【0043】
図2によれば、無線端末1は、スマートフォンのような高機能携帯端末であって、既存の双方向通信アプリケーションが予めインストールされたものであってもよい。双方向通信アプリケーションとしては、例えばSkype(登録商標)、Facetime(登録商標)、Google Talk(登録商標)がある(例えば非特許文献1〜3参照)。
【0044】
尚、本発明によれば、広域の多数の無線端末からの接続要求が増大することによって、通信事業者ネットワークの回線交換網の交換局MSCに発生する輻輳状態を想定しており、無線端末−基地局間の無線チャネルにおける輻輳状態までも想定したものではない。即ち、例えばイベント(展示会)などによって、単一の基地局に多数の無線端末から接続要求が発生する場合までも想定したものではない。
【0045】
図3は、本発明における発信側無線端末の登録処理を表すシーケンス図である。
【0046】
(S301)最初に、無線端末1Aは、基地局6Aに対して無線リンクを接続する。無線端末1Aは、接続認証シーケンスを実行した後、通信事業者ネットワークの基地局に接続する。
【0047】
(S302)ここで、無線端末1Aが在圏するエリアで、災害が発生したとする。このとき、多数の無線端末から多数の基地局に対する接続要求が集中し、基地局−交換局間で輻輳状態となる。基地局6Aは、回線交換網の交換局における輻輳状態を検出し、そのエリアに在圏する多数の無線端末へ、発信規制信号を同報的に送信する。無線端末1Aが、通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する。
【0048】
尚、無線端末1Aは、通信事業者ネットワークから発信規制信号を受信しない限り、自端末の在圏エリアは非輻輳エリアであると認識する。非輻輳エリアである場合、無線端末1Aは、前述した図1(a)と同様に、基地局6Aを介して通信事業者ネットワーク(回線交換網)へ向けて、接続要求を送信する。無線端末1Aは、接続応答(OK)を受信することによって、通信事業者ネットワーク(回線交換網)を経由した呼接続が完了する。一方で、無線端末1Aは、接続応答(NG)を受信することによって、双方向通信アプリケーションを起動し、前述した図1(b)と同様に、公衆ネットワーク(インターネット)へ向けて、接続要求を送信することもできる。
【0049】
(S303)また、回線交換網の中では、輻輳が発生した交換局の識別子が、運用管理サーバ4へ通知される。運用管理サーバ4は、交換局毎に、輻輳状態の有無の情報を管理する。
【0050】
(S304)そして、無線端末1Aは、パケット交換網用の双方向通信アプリケーションを起動する。勿論、双方向通信アプリケーションが常時起動している場合、この処理は必要ない。
【0051】
(S311)次に、無線端末1Aは、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバ5へ、「登録要求」を送信する。登録要求には、双方向通信アプリケーションに基づいて、少なくとも当該無線端末のアプリケーション識別子と、当該無線端末のIPアドレスとが含まれる。セッション制御サーバ5がSIPサーバである場合、無線端末1Aは、登録要求として、SIP Registerを送信する。
【0052】
(S312)セッション制御サーバ5は、登録要求に含まれるアプリケーション識別子及びIPアドレスを取得し、無線端末1Aについて位置登録処理を実行する。具体的には、セッション制御サーバ5の登録テーブルに、無線端末1Aの識別子に、アプリケーション識別子及びIPアドレスと、在圏エリアとを対応付けて登録する。
【0053】
(S313)セッション制御サーバ5は、登録応答を、パケット交換網を経由して基地局6Aを介して無線端末1Aへ返信する。これによって、無線端末1Aは、通信事業者ネットワークとパケット交換網との両方に対して、位置登録が完了する。
【0054】
図4は、本発明における発着信処理を表すシーケンス図である。
【0055】
(S401)無線端末1Aは、無線端末1Bへ発信する際に、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバ5へ、「接続要求」を送信する。セッション制御サーバ5がSIPサーバである場合、無線端末1Aは、接続要求として、SIP Inviteを送信する。このとき、宛先となる無線端末1Bは、セッション制御サーバ5に対して登録していないとする。携帯電話機やスマートフォンのような無線端末の場合、一般に、パケット交換網用の双方向通信アプリケーションは、ユーザ操作に応じて起動される。また、着信側無線端末は、非輻輳エリアに在圏しているために、発信規制信号を受信できるようなトリガも無く、双方向通信アプリケーションも起動しておらず、セッション制御サーバ5に位置登録もされていない。
【0056】
(S402)セッション制御サーバ5は、宛先の無線端末1Bが未登録であることを表す接続応答(Not Found)を、パケット交換網を経由して基地局6Aを介して無線端末1Aへ返信する。無線端末1Aは、無線端末1Bとの間で、パケット交換網を経由してセッションを確立できないことを認識する。
【0057】
(S411)次に、無線端末1Aは、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してメッセージ交換サーバ2へ、ショートメッセージを送信する。ショートメッセージは、宛先の無線端末1Bに対する登録指示(SMS Submit Message)を意味する。
【0058】
(S412)メッセージ交換サーバ2は、メッセージの送信元となる無線端末1Aが在圏する交換局の識別子を、位置登録データベースから取得する。
【0059】
(S413)次に、メッセージ交換サーバ2は、取得された交換局における輻輳状態の有無を、運用管理サーバから取得する。尚、S412及びS413はオプション的な処理であって、通信事業者ネットワーク側で回線交換網における輻輳状態を更に確認することができる。
【0060】
(S414)ここで、メッセージ交換サーバ2は、無線端末1Aが在圏する交換局が輻輳状態に有る場合にのみ、そのメッセージ(SMS Delivery Message)を、回線交換網を経由して基地局6Bを介して、宛先の無線端末1Bへ転送する。
【0061】
尚、メッセージ交換サーバ2は、無線端末1Aが輻輳エリアに在圏するか否かの情報を、一定時間、保持することも好ましい。メッセージ交換サーバ2が、再度、無線端末1Aからショートメッセージを受信した場合に、前述したS412及びS413を実行することなく、無線端末1Aは輻輳エリアに在圏していると判定することができる。
【0062】
ここで、「センタープッシュ」の技術を用いることもできる(例えば非特許文献4及び5参照)。この技術は、送信元端末が、SMSサーバへアクセスし、宛先ユーザ端末及びその制御内容を選択する。SMSサーバは、選択された宛先ユーザ端末へ、制御内容を含むショートメッセージを送信する。そのメッセージを受信した宛先ユーザ端末は、指定された制御内容の処理を実行する。その制御内容としては、例えば、特定のアプリケーションの起動やネットワークへの位置情報の通知、操作ロックの設定、保存データの削除などがある。
【0063】
(S421)登録指示のメッセージを受信した無線端末1Bは、パケット交換網用の双方向通信アプリケーションを起動する。尚、アプリケーションの起動の前に、当該無線端末1Bを操作するユーザに対して、着信の有無を問い合わせることも好ましい。この場合、ユーザにおける着信了承の操作の後、アプリケーションが起動される。
【0064】
(S422)無線端末1Bは、双方向通信アプリケーションによって、基地局6Bを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバ5へ登録要求を送信し、登録シーケンスを実行する。登録要求には、無線端末1Bのアプリケーション識別子及びIPアドレスが含まれる。これによって、無線端末1Bが、セッション制御サーバ5に登録される。
【0065】
(S423)無線端末1Aは、S411でショートメッセージを送信した後、所定時間経過後に、再度、パケット交換網を経由した接続を試みる。無線端末1Aは、無線端末1Bへの接続要求を、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバ5へ送信する。接続要求は、発信側無線端末1Aのアプリケーション識別子及びIPアドレスと共に、着信側無線端末1Bのアプリケーション識別子を含む。
【0066】
(S424)セッション制御サーバ5は、無線端末1Bが既に登録済みであることを確認し、その接続要求を、パケット交換網を経由して基地局6Bを介して無線端末1Bへ転送する。無線端末1Bは、双方向通信アプリケーションによって、接続要求を受信する。
【0067】
(S425)これに対し、無線端末1Bは、双方向通信アプリケーションによって、無線端末1Aとの間のセッション確立を肯定する場合、接続応答(OK)を、基地局6Bを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバ5へ送信する。逆に、セッション確立を否定する場合、接続応答(NG)を、セッション制御サーバ5へ送信する。
【0068】
(S426)セッション制御サーバ5は、その接続応答(OK)を、パケット交換網を経由して基地局6Aを介して無線端末1Aへ転送する。無線端末1Aは、双方向通信アプリケーションによって、接続応答(OK)を受信する。
【0069】
(S427)これによって、無線端末1Aと無線端末1Bとの間で、パケット交換網を介して、セッションを確立することができる。
【0070】
図5は、図4のS414〜S421における異なる実施形態に基づくシーケンス図である。
【0071】
S414について、メッセージ交換サーバ2から送信された登録指示のショートメッセージには、受信した無線端末が、登録要求確認のショートメッセージを返信するように指定されている。
【0072】
(S415)着信側の無線端末1Bは、登録指示のショートメッセージ(SMS Delivery Message)を受信した際に、登録要求確認のショートメッセージ(SMS Delivery Message)を、基地局6Bを介してメッセージ交換サーバ2へ送信する。このとき、ショートメッセージの受信者が送信応答(SMS User Acknowledge Message)を送信するよう、ショットメッセージで指定する。これによって、無線端末1Bは、無線端末1Aとの間の回線交換網が輻輳状態にあることを更に確認することができる。
【0073】
(S416)回線交換網における輻輳の影響によって、ショートメッセージが発信側の無線端末1Aまで到達できない場合が生じる。ここで、無線端末1Bは、メッセージ交換サーバから、メッセージの送信応答(SMS User Acknowledge Message)を受信することができない。この場合、無線端末1Bは、メッセージの送信応答を一定時間だけ待ち、そのタイムアウトによって、S421によってパケット交換網用の双方向通信アプリケーションを起動する。尚、無線端末1Bが、メッセージの到達失敗通知を受信した場合、無線端末1Aが輻輳エリアに在圏すると判断し、双方向通信アプリケーションを起動する。
【0074】
尚、図5のシーケンスもオプション的な処理であって、着信側無線端末1B側で回線交換網における輻輳状態を確認することができる。
【0075】
図6は、本発明における無線端末の機能構成図である。
【0076】
無線端末1が接続すべきシステムは、基地局が接続された無線通信網を有する通信事業者ネットワークを有する。無線端末1は、無線通信部10と、輻輳通知受信部11と、アプリケーション起動部12と、登録処理部13と、第1の接続要求部14と、登録指示送信部15と、第2の接続要求部16と、登録指示受信部17と、データ通信部18とを有する。これら機能構成部は、無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0077】
無線通信部10は、通信事業者ネットワークに接続された基地局6Aとの間で、無線リンクを接続する。また、データ通信部18は、無線通信部10を介して、基地局6Aとの間でデータ通信をする。
【0078】
輻輳通知受信部11は、通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する(図3のS302と同様)。輻輳通知は、例えば発信規制信号であってもよい。輻輳通知を受信した旨のトリガは、アプリケーション起動部12へ出力される。
【0079】
アプリケーション起動部12は、輻輳通知受信部11及び登録指示受信部17からのトリガを入力した際に、パケット交換網用の双方向通信アプリケーションを起動する。
【0080】
双方向通信アプリケーションに基づく登録処理部13は、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバに対して位置登録する。登録完了のトリガは、第1の接続要求部14へ出力される。
【0081】
第1の接続要求部14は、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバへ、宛先の第2の無線端末への接続要求を送信する。そして、セッション制御サーバから接続応答を受信する。接続応答が、宛先の第2の無線端末が未登録である旨のものである場合、その旨のトリガを、登録指示送信部15へ出力する。
【0082】
登録指示送信部15は、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してメッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信する。このメッセージは、宛先の第2の無線端末に対して双方向通信アプリケーションを起動させ、且つ、パケット交換網を経由してセッション制御サーバに対して登録させることを指定したものある(例えば非特許文献4及び5参照)。
【0083】
第2の接続要求部16は、登録指示のメッセージが送信され、第2の無線端末がセッション制御サーバへ登録した後、宛先の無線端末への接続要求を、基地局6Aを介してパケット交換網を経由してセッション制御サーバへ送信する。
【0084】
宛先側の機能として登録指示受信部17は、登録指示のメッセージを受信した際に、登録指示を受信した旨のトリガを、アプリケーション起動部12へ出力する。
【0085】
以上、詳細に説明したように、本発明の発着信接続方法、無線端末及びプログラムによれば、特に災害時のように通信事業者ネットワークが輻輳状態となった場合であっても、通信事業者ネットワークを介した無線端末間の接続性を高めることができる。これによって、回線交換網が輻輳状態になった際に、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、無線端末間で、自動的にパケット交換網を介したセッションを確立させることができる。
【0086】
尚、本出願時の当業者の設計事項として、発信側無線端末から着信側無線端末へショートメッセージを送信することによって、着信側無線端末が、ショートメッセージの受信をトリガとして、双方向通信アプリケーションの起動やアプリケーションサーバへの登録のトリガとすることは想定できるかもしれない。しかしながら、任意の無線端末から他方の無線端末に対して、アプリケーションの起動や登録が自由に実行される恐れがある。勿論、無線端末毎に予め制御対象の無線端末をSMSサーバに登録することによって、任意の無線端末からの制御を防止することもできる。しかしながら、通信可能な全ての無線端末を事前にSMSサーバに登録することは非現実的である。
【0087】
本発明によれば、回線交換網の輻輳エリアに在圏する発信側無線端末から、非輻輳エリアに在圏する着信側無線端末と通信する際に、発信側無線端末から通信事業者ネットワークを介して着信側無線端末へショートメッセージを送信することによって、着信側無線端末に、双方向通信アプリケーションを起動させ、パケット交換網のセッション制御サーバに位置登録するべく指示する。特に、本発明によれば、発信側無線端末が接続する通信事業者ネットワークに輻輳が発生した場合にのみ実行される。従って、単に、ショートメッセージによってアプリケーションを起動する技術は、発明の本質的意義が全く異なるものである。
【0088】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0089】
1 無線端末
101 第1の無線通信部
102 第2の無線通信部
11 輻輳通知受信部
12 アプリケーション起動部
13 登録処理部
14 第1の接続要求部
15 登録指示送信部
16 第2の接続要求部
17 登録指示受信部
18 第1のデータ通信部
19 第2のデータ通信部
2 メッセージ交換サーバ
3 位置登録データベース
4 運用管理サーバ
5 セッション制御サーバ
6 基地局
7 アクセスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
前記通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムにおける無線端末間の発着信接続方法であって、
第1の無線端末が、前記通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する第1のステップと、
第1の無線端末が、前記通信事業者ネットワークを経由して前記メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信する第2のステップと、
前記メッセージ交換サーバが、前記通信事業者ネットワークを経由して第2の無線端末へ、前記メッセージを転送する第3のステップと、
第2の無線端末が、前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバに対して登録する第4のステップと、
第1の無線端末が、第2の無線端末への接続要求を、前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバへ送信する第5のステップと、
前記セッション制御サーバが、前記接続要求を、前記通信事業者ネットワークを経由して第2の無線端末へ転送する第6のステップと
を有することを特徴とする発着信接続方法。
【請求項2】
前記通信事業者ネットワークは、回線交換網及びパケット交換網と、基地局を配置した無線通信網とが相互接続されており、
前記セッション制御サーバは、前記パケット交換網に接続されており、
第1のステップについて、第1の無線端末は、前記回線交換網の輻輳時に、当該回線交換網から輻輳通知を受信し、
第4のステップについて、第2の無線端末は、前記パケット交換網を経由して前記セッション制御サーバに対して登録し、
第5のステップについて、第1の無線端末は、第2の無線端末への接続要求を、前記パケット交換網を経由して前記セッション制御サーバへ送信し、
第6のステップについて、前記セッション制御サーバは、前記接続要求を、前記パケット交換網を経由して第2の無線端末へ転送する
ことを特徴とする請求項1に記載の発着信接続方法。
【請求項3】
第2のステップについて、第1の無線端末は、前記パケット交換網を経由して前記メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信することを特徴とする請求項2に記載の発着信接続方法。
【請求項4】
第1のステップについて、第1の無線端末は、前記回線交換網の輻輳時に、当該回線交換網から輻輳通知を受信した際に、前記パケット交換網を経由して前記セッション制御サーバに対して登録する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の発着信接続方法。
【請求項5】
前記システムは、
前記無線端末毎に、当該無線端末が在圏する前記回線交換網内の交換局の識別子を蓄積した位置登録データベースと、
前記回線交換網内の交換局毎に、輻輳状態の有無を記録した運用管理サーバと
を更に有し、
第3のステップについて、前記メッセージ交換サーバは、
前記メッセージの送信側の第1の無線端末が在圏する交換局の識別子を前記位置登録データベースから取得し、
取得された前記交換局の識別子における輻輳状態の有無を前記運用管理サーバから取得し、
第1の無線端末が在圏する前記交換局が輻輳状態に有る場合にのみ、前記メッセージを、前記回線交換網を経由して前記基地局を介して、第2の無線端末へ転送する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の発着信接続方法。
【請求項6】
第2のステップについて、
第1の無線端末が、前記セッション制御サーバへ、宛先の第2の無線端末への接続要求を送信し、
第1の無線端末が、宛先の第2の無線端末が未登録である旨の接続応答を、前記セッション制御サーバから受信した際に、前記メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発着信接続方法。
【請求項7】
第4のステップについて、
第2の無線端末は、第1の無線端末への登録要求確認のメッセージを、前記メッセージ交換サーバへ送信し、
前記メッセージ交換サーバは、第1の無線端末に登録要求確認のメッセージを送信し、
第2の無線端末は、前記メッセージ交換サーバから前記メッセージの送信応答を受信できない場合にのみ、前記セッション制御サーバに対して登録する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の発着信接続方法。
【請求項8】
前記メッセージ交換サーバは、ショートメッセージ交換サーバであり、
前記メッセージは、ショートメッセージである
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の発着信接続方法。
【請求項9】
前記セッション制御サーバは、複数のピア装置からなるP2P(Peer to Peer)ネットワークによって構成されたシステムであり、
第1の無線端末及び第2の無線端末と通信可能ないずれか1つのピア装置が、前記セッション制御サーバとして動作する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の発着信接続方法。
【請求項10】
基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
前記通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムに接続可能な無線端末であって、
前記通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する輻輳通知受信手段と、
前記通信事業者ネットワークを経由して前記メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信し、第2の無線端末に対して前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバに対して登録させる登録指示手段と、
第2の無線端末が前記セッション制御サーバへ登録した後、第2の無線端末への接続要求を、前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバへ送信する第2の接続要求手段と
を有することを特徴とする無線端末。
【請求項11】
基地局を配置した無線通信網と交換網とが相互接続され、メッセージ交換サーバを有する通信事業者ネットワークと、
前記通信事業者ネットワークに接続されたセッション制御サーバと
を有するシステムに接続可能な無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記通信事業者ネットワークの輻輳時に、当該通信事業者ネットワークから輻輳通知を受信する輻輳通知受信手段と、
前記通信事業者ネットワークを経由して前記メッセージ交換サーバへ、第2の無線端末に対する登録指示のメッセージを送信し、第2の無線端末に対して前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバに対して登録させる登録指示手段と、
第2の無線端末が前記セッション制御サーバへ登録した後、第2の無線端末への接続要求を、前記通信事業者ネットワークを経由して前記セッション制御サーバへ送信する第2の接続要求手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする無線端末用のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98673(P2013−98673A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238220(P2011−238220)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】