説明

農作業機の操作装置

【課題】ポジションコントロールレバー又はドラフトコントロールレバー等の組立工数を大幅に削減できるようにした農作業機の操作装置の提供。
【解決手段】前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された走行機体に、リンク機構を介して農作業機を昇降可能に装着し、農作業機を昇降動する昇降動アクチュエータと、昇降動アクチュエータを作動させるポジションコントロールレバー63とを備えてなる農作業機の操作装置において、ポジションコントロールレバー63の操作力を調整する単一のポジション用フリクションボルト90と、ポジション用フリクションボルト90を固定する単一のポジション用ナット91を備え、ポジション用フリクションボルト90を締め込んでポジションコントロールレバー63の操作力を調整して、ポジション用ナット91によってポジション用フリクションボルト90を固着するように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタによって牽引するロータリ耕耘機等の農作業機の操作装置に係り、より詳しくは、昇降動アクチュエータを作動して農作業機を昇降動させる農作業機の操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前車輪及び後車輪を有する作業車両に、リンク機構を介して農作業機が昇降可能に装着されている。ポジションコントロールレバー又はドラフトコントロールレバー等の操作によって、作業車両にリンク機構を介して連結された農作業機を昇降動させ、農作業機の対地高さ(耕耘深さ)を調節する。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−28387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、皿バネ等の摩擦力を利用して、ポジションコントロールレバー又はドラフトコントロールレバー等を操作位置に支持させる場合、ポジションコントロールレバー仕様では、ポジションコントロールレバーの操作力の調整は、2本のフリクションボルトによってフリクションプレートを締め付けて、4個のナットによってフリクションプレートを固定していた。ドラフトコントロールレバー仕様では、2本のフリクションボルトと2個のフリクションナットによって操作力を調整して、4個のナットによってフリクションプレートを固定していた。即ち、レバー操作力の調整作業において、ボルトやナットの締付け操作個所が多く、組立作業が面倒である等の取扱い上の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ポジションコントロールレバー又はドラフトコントロールレバー等の組立工数を大幅に削減できるようにした農作業機の操作装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の農作業機の操作装置は、前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された走行機体に、リンク機構を介して農作業機を昇降可能に装着し、前記農作業機を昇降動する昇降動アクチュエータと、前記昇降動アクチュエータを作動させるポジションコントロールレバーとを備えてなる農作業機の操作装置において、前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整する単一のポジション用フリクションボルトと、前記ポジション用フリクションボルトを固定する単一のポジション用ナットを備え、前記ポジション用フリクションボルトを締め込んで前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整して、前記ポジション用ナットによって前記ポジション用フリクションボルトを固着するように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機の操作装置において、前記農作業機のドラフト動作を制御するドラフトコントロールレバーを備えた構造であって、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するドラフト用皿バネと、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整する単一のドラフト用ボルトと単一のドラフト用フリクションナットを備え、前記ドラフト用フリクションナットを締め込んで前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機の操作装置において、前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整するポジション用皿バネと、ポジション用フリクションプレートを支持するプレート支持ボルトを備えた構造であって、前記プレート支持ボルトにプレート支持カラーを被嵌させて、前記ポジションコントロールレバーの操作範囲を制限するためのレバーストッパをプレート支持カラーにて兼用するように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された走行機体に、リンク機構を介して農作業機を昇降可能に装着し、前記農作業機を昇降動する昇降動アクチュエータと、前記昇降動アクチュエータを作動させるポジションコントロールレバーとを備えてなる農作業機の操作装置において、前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整する単一のポジション用フリクションボルトと、前記ポジション用フリクションボルトを固定する単一のポジション用ナットを備え、前記ポジション用フリクションボルトを締め込んで前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整して、前記ポジション用ナットによって前記ポジション用フリクションボルトを固着するように構成したものであるから、前記ポジションコントロールレバー等の組立工数を大幅に削減でき、前記ポジションコントロールレバー等の操作力の調整作業性を向上できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、前記農作業機のドラフト動作を制御するドラフトコントロールレバーを備えた構造であって、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するドラフト用皿バネと、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整する単一のドラフト用ボルトと単一のドラフト用フリクションナットを備え、前記ドラフト用フリクションナットを締め込んで前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するように構成したものであるから、前記ドラフトコントロールレバーや前記ドラフト用皿バネ及びドラフト用フリクションナット等の組立工数を大幅に削減でき、前記ドラフトコントロールレバー等の操作力の調整作業性を向上できる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整するポジション用皿バネと、ポジション用フリクションプレートを支持するプレート支持ボルトを備えた構造であって、前記プレート支持ボルトにプレート支持カラーを被嵌させて、前記ポジションコントロールレバーの操作範囲を制限するためのレバーストッパをプレート支持カラーにて兼用するように構成したものであるから、前記ポジションコントロールレバー等の組立工数を大幅に削減でき、前記ポジションコントロールレバー等の操作力の調整作業性を向上できる。また、レバーストッパを前記プレート支持カラーにて兼用するから、前記ポジションコントロールレバーの操作範囲を簡単に制限でき、構成部品数を削減して製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のトラクタの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】ポジションコントロールレバーとドラフトコントロールレバーを設けた作業機用昇降機構の側面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】ポジションコントロールレバーとドラフトコントロールレバーを設けた作業機用昇降機構の要部拡大断面図である。
【図8】ポジションコントロールレバーを設けた作業機用昇降機構の側面図である。
【図9】同部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、農作業機としてロータリ耕耘機を装着した農作業用トラクタに適用した場合の図面に基づいて説明する。図1はトラクタの側面図、図2は同平面図、図3は油圧式の作業機用昇降機構の側面図、図4は同平面図である。図1、図2に示す如く、トラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と左右一対の後車輪4とで支持する。走行機体2の前部に搭載したエンジン5によって後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、前後進走行させる。エンジン5はボンネット6によって覆われている。また、前記走行機体2の上面にはキャビン7が設置されている。該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3を左右に動かすようにした操縦ハンドル9が設置されている。キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。ステップ10よりも内側で且つキャビン7の底部よりも下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
【0014】
また、図1、図2に示す如く、前記走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成される。機体フレーム16の後部には、前記エンジン5の回転を適宜変速して後車輪4及び前車輪3に伝達するためのミッションケース17が連結されている。なお、後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース(図示省略)を介して、ミッションケース17に取付けられる。
【0015】
図1乃至図5に示す如く、ミッションケース17の後部の上面には、農作業機としてのロータリ耕耘機24を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が取付けられている。ロータリ耕耘機24は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構23を介して連結される。左右ロワーリンク21の前端側を、ミッションケース17の後部の左右側面にロワーリンクピン(図示省略)を介して回動可能に連結する。トップリンク22の前端側は、作業機用昇降機構20の後部のトップリンクヒッチ26にトップリンクピン(図示省略)を介して連結する。さらに、ミッションケース17の後側面には、前記ロータリ耕耘機24にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後向きに突出させている。
【0016】
図1乃至図5に示す如く、油圧式の作業機用昇降機構20には、作業機用昇降機構20に内蔵された単動形の昇降制御油圧シリンダ(図示省略)にて回動させるための1対の左右リフトアーム29が設置されている。進行方向に向かって左側のロワーリンク21とリフトアーム29とが、左リフトロッド30を介して連結されている。進行方向に向かって右側のロワーリンク21とリフトアーム29とは、右リフトロッド31、及びそのロッド31の一部を形成する複動形の傾斜制御油圧シリンダ32を介して連結されている。
【0017】
図1に示す如く、ロータリ耕耘機24のメインビーム36に連結された左右の下リンクフレーム34の前端側に、下ヒッチピン34aを介して、左右一対のロワーリンク21の後端側が連結されている。メインビーム36に連結された上リンクフレーム35の前端側に、上ヒッチピン35aを介して、トップリンク22の後端側が連結されている。
【0018】
図1、図2に示す如く、ロータリ耕耘機24は、メインビーム36の左右側端部にそれぞれ上端側が連結されたチェンケース37及び軸受板38と、チェンケース37及び軸受板38の下端側に左右両端部が回転自在に軸支された耕耘爪軸39に放射状に取付く着脱可能な複数の耕耘爪40と、耕耘爪40の回転軌跡の上方を覆うように配置された耕耘上面カバー41と、耕耘爪40の回転軌跡の左右側方を覆うように配置された左右耕耘サイドカバー42と、耕耘爪40の回転軌跡の後方を覆うように配置された耕耘リヤカバー43と、メインビーム36に前端側が取付けられて後方に長く伸びる耕深調節フレーム44と、上リンクフレーム34の後端側と耕深調節フレーム44の前後方向の中間部とに連結された伸縮調節可能な耕深調節軸45等を有する。
【0019】
なお、耕深調節ハンドル45aの回転操作にて耕深調節軸45を伸縮させたときに、ロワーリンク21及びトップリンク22にて支持されるロータリ耕耘機24が前傾姿勢または後傾姿勢に変化して、耕耘爪40による耕耘深さが変更される。
【0020】
図1、図2に示す如く、メインビーム36の左右中央部には、PTO軸25からの駆動力を入力するためのギヤケース46が配置されている。PTO軸25に、ギヤケース46の前面側のPTO入力軸を連結する。PTO軸25からの動力が、ギヤケース46に内蔵したベベルギヤ(図示省略)等を介して耕耘爪40に伝えられ、耕耘爪40を図1において反時計方向に回転させる。
【0021】
次に、図1、図2を参照して、運転操作手段の配置を説明する。図1及び図2に示す如く、キャビン7(運転部)内の操縦座席8の前方の床板59上の操縦コラム60に操縦ハンドル9が配置されている。操縦コラム60の右側にスロットルレバー58と左右ブレーキペダル61が配置されている。また、操縦コラム60の左側にクラッチペダル62が配置されている。操縦座席8の右側コラム上には、ロータリ耕耘機24を昇降動させるポジションコントロールレバー63と、作業機昇降制御のオンオフ切換や制御感度設定を行うドラフトコントロールレバー64等が配置されている。操縦座席8の左側コラム上には、車速を変更する走行変速レバー65が配置されている。操縦座席8の左側コラムの前には、左右の後車輪4の差動駆動をオンオフするデフロックペダル66が配置されている。
【0022】
次に、図3乃至図7を参照して、作業機用昇降機構20及びポジションコントロールレバー63及びドラフトコントロールレバー64等の配置構造を説明する。図3乃至図6に示す如く、作業機用昇降機構20の油圧ハウジング70の右側に、ポジションコントロールレバー63及びドラフトコントロールレバー64を前後方向に回動可能に配置する。油圧ハウジング70の左側には、フィードバック操作軸71を突出させ、ポジションフィードバックリンク機構72と、ドラフトフィードバックリンク機構74を配置している。なお、油圧ハウジング70内には、リフトアーム29を回動させるための昇降用油圧シリンダ69と、前記昇降用油圧シリンダを作動させるための昇降用油圧切換バルブ(図示省略)が設けられている。
【0023】
リフトアーム29にポジションフィードバックリンク機構72を介してフィードバック操作軸71を連結している。ポジションコントロールレバー63の操作によってリフトアーム29が回動したときに、リフトアーム29の変位がフィードバック操作軸71にフィードバックされる。即ち、ポジションコントロールレバー63の操作量と操作方向に追従させてリフトアーム29を回動させ、ロータリ耕耘機24を昇降動させるように構成している。その結果、ポジションコントロールレバー63の操作によって、ロータリ耕耘機24が任意高さに支持される。
【0024】
また、トップリンクヒッチ26にトウションバー73を配置している。トウションバー73にドラフトフィードバックリンク機構74を介してフィードバック操作軸71を連結する。ロータリ耕耘機24を牽引する耕耘作業等において、トップリンク22を介してトップリンクヒッチ26が受ける荷重によってトウションバー73が歪んだときに、そのトウションバー73の変位(歪)がフィードバック操作軸71にフィードバックされるように構成している。
【0025】
即ち、ロータリ耕耘機24の牽引荷重が、ドラフトコントロールレバー64によって設定された荷重(牽引荷重制御がオフ又はオン、鈍感乃至敏感の切換)になるように、ロータリ耕耘機24が昇降動されるように構成している。その結果、ドラフトコントロールレバー64によって設定された牽引荷重が維持された状態、換言すると、ドラフトコントロールレバー64によって設定された所定負荷で、ロータリ耕耘機24を牽引する耕耘作業等が実行される。
【0026】
図7に示す如く、ポジションコントロール軸77にドラフトコントロール軸78が回動可能に被嵌され、二重軸構造のポジションコントロール軸77とドラフトコントロール軸78が油圧ハウジング70に貫通されている。油圧ハウジング70内に突出させたポジションコントロール軸77の端部にポジションコントロールアーム79が固着されている。油圧ハウジング70内に突出させたドラフトコントロール軸78の端部にドラフトコントロールアーム80が固着されている。ポジションコントロールアーム79又はドラフトコントロールアーム80を介して昇降用油圧シリンダ69が制御される。
【0027】
図7に示す如く、一枚のポジション支持プレート81と、一枚のドラフト支持プレート82と、2本のプレート支持ボルト83と、2つのポジション支持カラー84と、2つのドラフト支持カラー85と、ドラフトコントロール軸78の軸芯線方向の移動を阻止する抜け止めプレート86を備える。ポジション支持プレート81とドラフト支持プレート82と抜け止めプレート86に、プレート支持ボルト83を貫通させる。ポジション支持プレート81とドラフト支持プレート82の間のプレート支持ボルト83にポジション支持カラー84を被嵌させる。ドラフト支持プレート82と抜け止めプレート86の間のプレート支持ボルト83にドラフト支持カラー85を被嵌させる。
【0028】
油圧ハウジング70にプレート支持ボルト83の先端側ネジを螺着させる。油圧ハウジング70の側面とプレート支持ボルト83の頭部の間に、ポジション支持プレート81とドラフト支持プレート82と抜け止めプレート86が略平行に固着される。油圧ハウジング70の外側方にポジションコントロール軸77を突出させ、ドラフト支持プレート82にポジションコントロール軸77を貫通させている。
【0029】
また、ポジション支持プレート81とドラフト支持プレート82の間のポジションコントロール軸77に、ポジションコントロールレバー63の基端ボス体87を固着する。ドラフト支持プレート82と基端ボス体87の間のポジションコントロール軸77に、二組4枚のポジション用皿バネ88を被嵌させる。ポジション支持プレート81と基端ボス体87の間のポジションコントロール軸77に、ポジション用フリクションプレート89を被嵌させる。
【0030】
図7を参照して、ポジション用皿バネ88のバネ力によって、ポジションコントロールレバー63を操作位置に支持する構造を説明する。ポジションコントロールレバー63の操作力(ブレーキ力)を調整する単一のポジション用フリクションボルト90と、ポジション用フリクションボルト90を固定する単一のポジション用ナット91を備えている。ポジション支持プレート81にポジション用フリクションボルト90を螺着させる。ポジション用フリクションボルト90を締め込むことによって、該ボルト90の先端側がポジション用フリクションプレート89に当接し、基端ボス体87を介してポジション用皿バネ88にポジション用フリクションプレート89が圧着される。
【0031】
即ち、ポジション用皿バネ88のバネ力の調節によって、ポジションコントロールレバー63の操作力(ポジションコントロールレバー63を操作位置に支持するブレーキ力)が調整される。また、ポジション用フリクションボルト90にポジション用ナット91を螺着させることによって、ポジション用ナット91によってポジション支持プレート81にポジション用フリクションボルト90が固着される。
【0032】
また、図7に示す如く、ポジションコントロールレバー63の基端部にレバーストッパ部63a,63bを一体的に形成し、ポジションコントロールレバー63を最上げ位置又は最下げ位置に操作したときに、ポジションコントロールレバー63のレバーストッパ部63a,63bがポジション支持カラー84に当接するように構成している。即ち、最上げ位置又は最下げ位置用のレバーストッパ部63a,63bとポジション支持カラー84の当接によって設定された最上げ位置又は最下げ位置の間でポジションコントロールレバー63が操作される。ポジションコントロールレバー63の操作範囲を制限するためのレバーストッパが、ポジション支持カラー84にて兼用されている。
【0033】
上記の構成により、ポジションコントロールレバー63の組立作業又はメンテナンス作業において、ポジション用ナット91を緩めた状態で、ポジション用フリクションボルト90を緩め操作又は締め込み操作して、ポジション用皿バネ88のバネ力を調節し、ポジションコントロールレバー63の操作力(ポジションコントロールレバー63を操作位置に支持するブレーキ力)を調整する。ポジションコントロールレバー63が操作位置に適正ブレーキ力にて支持された状態で、ポジション用ナット91を締め込んで、ポジション用フリクションボルト90を固着し、ポジション用皿バネ88を所定バネ力に維持する。
【0034】
図6を参照して、ドラフト用皿バネ95のバネ力によって、ドラフトコントロールレバー64を操作位置に支持する構造を説明する。図6に示す如く、ドラフト支持プレート82を挟む2枚のドラフト用フリクションプレート93と、ドラフトコントロールレバー64の基端部とドラフト支持プレート82とドラフト用フリクションプレート93に貫通させる単一のドラフト用ボルト94と、ドラフトコントロールレバーの操作力(ポジションコントロールレバー63を操作位置に支持するブレーキ力)を調整する二組4枚のドラフト用皿バネ95と、ドラフト用ボルト94に螺着させる単一のドラフト用フリクションナット96を備えている。
【0035】
また、ドラフト支持プレート82と抜け止めプレート86の間のドラフトコントロール軸78に、ドラフトコントロールレバー64の基端ボス体96が固着されている(図7参照)。図6に示す如く、ドラフトコントロール軸78の軸心を中心とする円周上に延長させる長穴97が、ドラフト支持プレート82に形成されている。長穴97にドラフト用ボルト94を貫通させて、ドラフトコントロール軸78回りにドラフトコントロールレバー64が回動するように構成している。
【0036】
図6に示す如く、ドラフトコントロールレバー64の基端部とドラフト用フリクションナット96の間に、ドラフト支持プレート82と、ドラフト用フリクションプレート93と、ドラフト用皿バネ95を挟持させている。ドラフト用フリクションナット96を締め込むことによって、該ナット96がドラフト用皿バネ95に当接し、ドラフト用皿バネ95の弾圧力によって、ドラフト用フリクションプレート93が、ドラフトコントロールレバー64とドラフト支持プレート82に圧着される。即ち、ドラフト用皿バネ95のバネ力の調節によって、ドラフトコントロールレバー64の操作力(ドラフトコントロールレバー64を操作位置に支持するブレーキ力)が調整される。
【0037】
上記の構成により、ドラフトコントロールレバー64の組立作業又はメンテナンス作業において、ポジション用ナット91を緩めた状態で、ドラフト用フリクションナット96を緩め操作又は締め込み操作して、ドラフト用皿バネ95のバネ力を調節し、ドラフトコントロールレバー64の操作力(ドラフトコントロールレバー64を操作位置に支持するブレーキ力)を調整する。
【0038】
図8、図9を参照して、上記実施形態に示したドラフトコントロールレバー64を省き、ポジションコントロールレバー63だけを設ける第2の実施形態を説明する。図8、図9に示す如く、ポジションコントロール軸77が油圧ハウジング70に貫通されている。油圧ハウジング70内に突出させたポジションコントロール軸77の端部にポジションコントロールアーム79が固着されている。ポジションコントロールアーム79を介して昇降用油圧シリンダ69が制御される。
【0039】
図9に示す如く、一枚のポジション支持プレート81と、2本のプレート支持ボルト83と、2つのポジション支持カラー84と、ドラフトコントロール軸78の軸芯線方向の移動を阻止する抜け止めプレート86を備える。ポジション支持プレート81と抜け止めプレート86に、プレート支持ボルト83を貫通させる。ポジション支持プレート81と抜け止めプレート86の間のプレート支持ボルト83にドラフト支持カラー84を被嵌させる。
【0040】
油圧ハウジング70にプレート支持ボルト83の先端側ネジを螺着させる。油圧ハウジング70の側面とプレート支持ボルト83の頭部の間に、ポジション支持プレート81と抜け止めプレート86が略平行に固着される。油圧ハウジング70の外側方にポジションコントロール軸77を突出させる。
【0041】
また、図9に示す如く、ポジション支持プレート81と抜け止めプレート86の間のポジションコントロール軸77に、ポジションコントロールレバー63の基端ボス体87を固着する。ポジション支持プレート81と基端ボス体87の間のポジションコントロール軸77に、座金98を介して二組4枚のポジション用皿バネ88を被嵌させる。抜け止めプレート86と基端ボス体87の間のポジションコントロール軸77に、ポジション用フリクションプレート89を被嵌させる。
【0042】
さらに、図9に示す如く、ポジションコントロールレバー63の操作力(ブレーキ力)を調整する単一のポジション用フリクションボルト90と、ポジション用フリクションボルト90を固定する単一のポジション用ナット91を備えている。ポジション支持プレート81にポジション用フリクションボルト90を螺着させる。ポジション用フリクションボルト90を締め込むことによって、該ボルト90の先端側がポジション用フリクションプレート89に当接し、ポジション用皿バネ88の弾圧力によって基端ボス体87がポジション用フリクションプレート89に圧着される。
【0043】
即ち、ポジション用皿バネ88のバネ力の調節によって、ポジションコントロールレバー63の操作力(ポジションコントロールレバー63を操作位置に支持するブレーキ力)が調整される。また、ポジション用フリクションボルト90にポジション用ナット91を螺着させることによって、ポジション用ナット91によってポジション支持プレート81にポジション用フリクションボルト90が固着され、ポジション用皿バネ88が所定バネ力に維持される。
【0044】
図1、図3、図7、図9に示す如く、前車輪3及び後車輪4にて走行自在に支持された走行機体2に、リンク機構23を介して農作業機としてのロータリ耕耘機24を昇降可能に装着し、ロータリ耕耘機24を昇降動する昇降動アクチュエータ69としての昇降用油圧シリンダと、昇降用油圧シリンダ69を作動させるポジションコントロールレバー63とを備えてなる農作業機の操作装置において、ポジションコントロールレバー63の操作力を調整する単一のポジション用フリクションボルト90と、ポジション用フリクションボルト90を固定する単一のポジション用ナット91を備え、ポジション用フリクションボルト90を締め込んでポジションコントロールレバー63の操作力を調整して、ポジション用ナット91によってポジション用フリクションボルト90を固着するように構成している。したがって、ポジションコントロールレバー63等の組立工数を大幅に削減でき、ポジションコントロールレバー63等の操作力の調整作業性を向上できる。
【0045】
図3、図7に示す如く、ロータリ耕耘機24のドラフト動作を制御するドラフトコントロールレバー64を備えた構造であって、ドラフトコントロールレバー64の操作力を調整するドラフト用皿バネ95と、ドラフトコントロールレバー64の操作力を調整する単一のドラフト用ボルト94と単一のドラフト用フリクションナット96を備え、ドラフト用フリクションナット96を締め込んでドラフトコントロールレバー64の操作力を調整するように構成している。したがって、ドラフトコントロールレバー64やドラフト用皿バネ95及びドラフト用フリクションナット96等の組立工数を大幅に削減でき、ドラフトコントロールレバー64等の操作力の調整作業性を向上できる。
【0046】
図3、図7、図9に示す如く、ポジションコントロールレバー63の操作力を調整するポジション用皿バネ88と、ポジション用フリクションプレート89を支持するプレート支持ボルト83を備えた構造であって、プレート支持ボルト83にプレート支持カラーとしてのポジション支持カラー84を被嵌させて、ポジションコントロールレバー63の操作範囲を制限するためのレバーストッパをポジション支持カラー84にて兼用するように構成している。したがって、ポジションコントロールレバー63等の組立工数を大幅に削減でき、ポジションコントロールレバー63等の操作力の調整作業性を向上できる。また、レバーストッパをポジション支持カラー84にて兼用するから、ポジションコントロールレバー63の操作範囲を簡単に制限でき、構成部品数を削減して製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0047】
2 走行機体
3 前車輪
4 後車輪
23 リンク機構
24 ロータリ耕耘機(農作業機)
63 ポジションコントロールレバー
64 ドラフトコントロールレバー
69 昇降用油圧シリンダ(昇降動アクチュエータ)
83 プレート支持ボルト
84 ポジション支持カラー(プレート支持カラー)
88 ポジション用皿バネ
89 ポジション用フリクションプレート
90 ポジション用フリクションボルト
91 ポジション用ナット
94 ドラフト用ボルト
95 ドラフト用皿バネ
96 ドラフト用フリクションナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された走行機体に、リンク機構を介して農作業機を昇降可能に装着し、前記農作業機を昇降動する昇降動アクチュエータと、前記昇降動アクチュエータを作動させるポジションコントロールレバーとを備えてなる農作業機の操作装置において、
前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整する単一のポジション用フリクションボルトと、前記ポジション用フリクションボルトを固定する単一のポジション用ナットを備え、前記ポジション用フリクションボルトを締め込んで前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整して、前記ポジション用ナットによって前記ポジション用フリクションボルトを固着するように構成したことを特徴とする農作業機の操作装置。
【請求項2】
前記農作業機のドラフト動作を制御するドラフトコントロールレバーを備えた構造であって、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するドラフト用皿バネと、前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整する単一のドラフト用ボルトと単一のドラフト用フリクションナットを備え、前記ドラフト用フリクションナットを締め込んで前記ドラフトコントロールレバーの操作力を調整するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業機の操作装置。
【請求項3】
前記ポジションコントロールレバーの操作力を調整するポジション用皿バネと、ポジション用フリクションプレートを支持するプレート支持ボルトを備えた構造であって、前記プレート支持ボルトにプレート支持カラーを被嵌させて、前記ポジションコントロールレバーの操作範囲を制限するためのレバーストッパをプレート支持カラーにて兼用するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の農作業機の操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−30431(P2011−30431A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176751(P2009−176751)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】