説明

農作業機

【課題】適切な耕耘整地作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、耕耘作業をする耕耘体11と、この耕耘体11の上方部を覆うカバー体16とを備える。農作業機1は、耕耘体11の後方で整地作業をする整地体21と、耕耘体11の前方で砕土作業をする砕土体31とを備える。砕土体31は、カバー体16の前端部に取り付ける。砕土体31は、耕耘体11の前方で砕土作業をする砕土棒状部43を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な耕耘整地作業ができる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタの後部に連結される機体と、機体に回転可能に設けられ回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の上方部を覆うカバー体と、カバー体の後端部に上下方向に回動可能に設けられ耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−128706号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば比較的大きな土塊を多く含む圃場においては、土塊の砕土が不十分となり、適切な耕耘整地作業が行われないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切な耕耘整地作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記カバー体の前端部に取り付けられた砕土体とを備え、前記砕土体は、前記耕耘体の前方で砕土作業をする砕土棒状部を有するものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、砕土体の砕土棒状部は、平面視で前後方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って位置する傾斜部分を有するものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、砕土体は、カバー体の前端部の左右方向全体にわたって複数取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、砕土体は、カバー体に対して上下位置調整可能となっているものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、複数の砕土体が取り付けられた取付体を備え、前記取付体は、カバー体の前端部に取り付けられているものである。
【0012】
請求項6記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、砕土体が取り付けられた左右方向の支軸体を備え、前記支軸体は、カバー体の前端部に取り付けられ、前記砕土体は、前記カバー体に対して前記支軸体を中心として回動調整可能となっているものである。
【0013】
請求項7記載の農作業機は、請求項6記載の農作業機において、支軸体は、カバー体に対して上下位置調整可能となっているものである。
【0014】
請求項8記載の農作業機は、請求項1ないし7のいずれか一記載の農作業機において、砕土体は、弾性変形可能な緩衝部を有するものである。
【0015】
請求項9記載の農作業機は、請求項1ないし8のいずれか一記載の農作業機において、砕土体の砕土棒状部は、前方に向かって凸の湾曲部分を前端部に有するものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、カバー体の前端部に取り付けられた砕土体は耕耘体の前方で砕土作業をする砕土棒状部を有するため、均平性の向上を図ることができ、適切な耕耘整地作業ができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、砕土体の砕土棒状部は平面視で前後方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って位置する傾斜部分を有するため、砕土した土を傾斜方向に向けて誘導できる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、砕土体はカバー体の前端部の左右方向全体にわたって複数取り付けられているため、均平性の向上をより一層図ることができ、より一層適切な耕耘整地作業ができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、砕土体はカバー体に対して上下位置調整可能となっているため、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、複数の砕土体が取り付けられた取付体をカバー体の前端部に取り付けることにより、複数の砕土体をカバー体の前端部に取付体を介してまとめて取り付けることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、砕土体はカバー体に対して支軸体を中心として回動調整可能となっているため、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0022】
請求項7に係る発明よれば、支軸体はカバー体に対して上下位置調整可能となっているため、圃場の状態等により一層適切に対応できる。
【0023】
請求項8に係る発明よれば、砕土体は弾性変形可能な緩衝部を有するため、砕土棒状部が石等の障害物と衝突した際の衝撃を緩和でき、砕土体の破損を防止できる。
【0024】
請求項9に係る発明よれば、砕土体の砕土棒状部は、前方に向かって凸の湾曲部分を前端部に有するため、適切かつ効果的な耕耘整地作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図2】同上農作業機の部分側面図である。
【図3】同上農作業機の部分正面図である。
【図4】同上農作業機の砕土体の正面図である。
【図5】同上農作業機の砕土体の平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の部分正面図である。
【図8】同上農作業機の砕土体の正面図である。
【図9】同上農作業機の砕土体の平面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の部分正面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の砕土体および取付体の正面図である。
【図12】同上農作業機の砕土体および取付体の側面図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係る農作業機の砕土体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図5を参照して説明する。
【0027】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタTの後部に連結して使用する代掻き作業機(耕耘整地装置)である。そして、農作業機1は、トラクタTの後部に連結された状態で、圃場においてトラクタTの前進走行により進行方向である前方に向かって移動しながら、耕耘整地作業である代掻き作業を行う。
【0028】
なお、図1には、左右1対の作業機支持用のキャスタ付のスタンド3にて、農作業機1全体が支持された状態が示されている。作業時には、スタンド3を取り外すか、或いは、作業の妨げとならないように上下反転させる。
【0029】
農作業機1は、トラクタTの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体2を備えている。
【0030】
機体2は、トップマストおよびロワアーム等にて構成された3点連結部(図示せず)を有し、この3点連結部はトラクタTの3点リンク部に連結される。機体2は、左右方向中央部にギアケース部6を有し、このギアケース部6にて入力軸7が回転可能に支持されている。入力軸7は、トラクタTのPTO軸に動力伝達手段を介して接続される。
【0031】
機体2は、ギアケース部6に取り付けられた左右方向長手状の左右1対の主フレーム部であるフレームパイプ部8を有している。左側のフレームパイプ部8の一端部である左端部には、側板部であるチェーンケース部9の上端部が取り付けられている。右側のフレームパイプ部8の他端部である右端部には、側板部であるブラケット部(図示せず)の上端部が取り付けられている。
【0032】
そして、チェーンケース部9の下端部およびブラケット部の下端部には、入力軸7側からの動力で左右方向の回転中心軸線を中心として所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリー式の耕耘体11が回転可能に架設されている。つまり、機体2には、左右方向長手状の耕耘体11が左右方向の回転中心軸線を中心として回転可能に設けられている。
【0033】
耕耘体11は、軸方向一端部である左端部がチェーンケース部9にて回転可能に支持されかつ軸方向他端部である右端部がブラケット部にて回転可能に支持された左右方向長手状の回転軸である耕耘軸12と、この耕耘軸12のうちこの耕耘軸12の軸方向に所定間隔をおいた複数のフランジ部分に放射状に突設された複数の耕耘爪13とを有している。
【0034】
耕耘軸12は、チェーンケース部9内のチェーン、フレームパイプ部8内の伝動シャフトおよびギアケース部6内のギア等にて構成された動力伝達手段(図示せず)を介して入力軸7に接続されている。そして、入力軸7に動力が入力された場合に、耕耘体11の耕耘軸12が耕耘爪13とともに例えば図1の矢印方向へ駆動回転し、その耕耘爪13にて耕耘作業が行われる。
【0035】
また、チェーンケース部9の上下方向中間部およびブラケット部の上下方向中間部には、土が上方へ飛散しないように耕耘体11の上方部全体を覆う略板状のカバー体(上カバー手段)16が架設されている。つまり、機体2には、耕耘体11にて耕耘された泥土等の土が上方へ飛散するのを防止する左右方向長手状のカバー体16が固設されている。
【0036】
カバー体16は、上方に向かって凸の略湾曲板状に形成された本体板部17と、この本体板部17の左右方向両端部に設けられた鉛直状の側板部18とを有している。左側の側板部18の外面にはチェーンケース部9が取り付けられ、このチェーンケース部9の前後には土が側方へ飛散しないように耕耘体11の側方部を覆う前カバー側板19および後カバー側板20が配設されている。右側の側板部18の外面にはブラケット部が取り付けられ、このブラケット部の前後には土が側方へ飛散しないように耕耘体11の側方部を覆う前カバー側板19および後カバー側板20が配設されている。なお、カバー体16の左右方向長さ寸法は、耕耘体11の左右方向長さ寸法と略同じである。
【0037】
さらに、カバー体16の後端部には、耕耘体11の後方部を覆った状態でこの耕耘体11の後方で整地作業をする左右方向長手状の整地体21が弾性板であるゴム板22を介して上下方向に回動可能に設けられている。
【0038】
整地体21は、上端部がカバー体16の本体板部17の後端部にゴム板22を介して取り付けられた略板状の第1整地板(均平板)23と、この第1整地板23の後端部に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地板(レーキ)24と、この第2整地板24の左右方向両端部に折畳および展開可能に取り付けられた略板状の延長整地板(延長レーキ)25とを有している。
【0039】
なお、整地体21と機体2とが整地体設定手段26にて連結されており、この整地体設定手段26の操作レバー27の操作によって整地体21が代掻き作業状態(機体2に対して上下回動可能なフリー状態)と土引き作業状態(機体2に対して固定されるロック状態)とに選択的に設定される。
【0040】
また一方、カバー体16の前端部には、耕耘体11の前方で砕土作業をする砕土体(補助砕土均平手段)31がそのカバー体16の前端部の左右方向全体にわたって複数取り付けられている。つまり、カバー体16の本体板部17の前端部に位置する鉛直状の前板部分17aには、その本体板部17の前板部分17aの下端から下方に向かって突出した状態で左右方向に間隔をおいて並ぶ複数の砕土体31が取付手段32にて脱着可能に直接的(他の部材を介して間接的でもよい)に取り付けられている。
【0041】
なお、取付手段32は、例えば本体板部17に形成された取付用孔に挿入するボルト33およびこのボルト33に螺合するナット34等にて構成されている。
【0042】
ここで、各砕土体31は、図2、図4および図5等に示されるように、例えば弾性変形する前の状態で所望形状をなすように折り曲げられた弾性変形可能な金属製の1本の棒状部材35にて構成されている。すなわち例えば各砕土体31は、複数箇所で適宜折り曲げられた断面円形状の1本の棒状部材35のみによって構成されている。なお、棒状部材35は、土圧で容易に弾性変形するものではなく、石等の障害物との衝突の際に破損しないよう弾性変形するものである。
【0043】
そして、各砕土体31は、取付手段32にてカバー体16の本体板部17の前板部分17aの前面に脱着可能に取り付けられた正面視で略U字状の取付棒状部41と、この取付棒状部41の2つの各上端部に中間棒状部42を介して一体に連結され前板部分17aの下端から下方に向かって突出する側面視で前方へ膨出した略く字状の砕土棒状部43を有している。
【0044】
つまり、各砕土体31は、少なくとも下部が圃場面下に挿入された状態で耕耘体11の前方でその耕耘体11による耕耘作業の前処理として砕土作業(例えば土塊等の固まった土を細かく砕く作業)をする左右1対の砕土棒状部43を有している。そして、この各砕土棒状部43は、前方に向かって凸の略円弧状の湾曲部分43aを前端部に有している。
【0045】
中間棒状部42は、取付棒状部41の上端部から外側方に向かって延びる水平棒状部分46と、この水平棒状部分46の外側端部から下方に向かって延びる鉛直棒状部分47と、この鉛直棒状部分47の下端部から下斜め内側方に向って延びる傾斜棒状部分48とにて構成されている。
【0046】
また、左右1対の両砕土棒状部43は、所定距離を介して左右方向に互いに離間対向して平行状に位置している。砕土棒状部43は、正面視で上下方向に沿って一直線状に位置し(図4参照)、平面視で前後方向に沿って一直線状に位置している(図5参照)。
【0047】
そして、砕土棒状部43は、中間棒状部42の傾斜棒状部分48の下端部から前斜め下方に向かって延び、前端側が湾曲状に形成された第1傾斜棒状部分49と、この第1傾斜棒状部分49の前端部から後斜め下方に向かって延び、前端側が湾曲状に形成された第2傾斜棒状部分50とにて構成されている。この第2傾斜棒状部分50の後端部が自由端部50aとなっており、この自由端部50aは、例えばカバー体16の前端よりも後方でかつ耕耘体11の耕耘軸12よりも下方に位置している(図2参照)。
【0048】
なお、取付棒状部41は、上方に向かって開口する半円状の円弧棒状部分51と、この円弧棒状部分51の2つの各上端部から上斜め内側方に向かって延びる傾斜棒状部分52とにて構成されている。左右1対の両傾斜棒状部分52は、正面視で略ハ字状をなすもので、両傾斜棒状部分52の上端部間の隙間52aは例えばボルト33の軸部よりも小さくなっている。
【0049】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0050】
圃場、すなわち例えば水を溜めた水田において、トラクタTの前進走行により農作業機1を前方に移動させると、複数の砕土体31の砕土棒状部43にて砕土作業が行われ、これら複数の砕土体31の後方で耕耘体11の耕耘爪13にて耕耘作業が行われ、この耕耘体11の後方で整地体21にて整地作業が行われる。
【0051】
例えば、図2に示すように、圃場面下に比較的大きな土塊があった場合、それら土塊は、耕耘体11の耕耘爪13が作用する前段階で、砕土棒状部43との接触により細かく砕土され、均平効果が得られる。
【0052】
そして、このような農作業機1によれば、カバー体16の前端部に取り付けられた砕土体31は耕耘体11の前方で砕土作業をする砕土棒状部43を有するため、簡単な構成でもあるにも拘わらず、均平性の向上を図ることができ、適切な耕耘整地作業ができ、よって、作業効率を向上できる。
【0053】
また、砕土体31はカバー体16の前端部の左右方向全体にわたって左右方向に間隔をおいて並ぶように複数取り付けられているため、砕土作業の拡大により、均平性の向上をより一層図ることができ、より一層適切な耕耘整地作業ができる。
【0054】
なお、前記第1の実施の形態では、砕土体31をカバー体16に対して上下位置調整できない構成について説明したが、例えば図6に示す第2の実施の形態のように、砕土体31をカバー体16に対して上下位置調整できることが可能な構成でもよい。
【0055】
図6に示す砕土体31の取付棒状部41は、円弧棒状部分51と傾斜棒状部分52との間に上下方向に沿って位置する中間棒状部分53を有している。そして、中間棒状部分53をボルト33の軸部に対して上下にスライドさせることにより、砕土体31をカバー体16に対して上下位置調整できる。
【0056】
そして、この構成の場合、砕土体31はカバー体16に対して上下位置調整可能となっているため、土質や水量等の圃場の状態等に適切に対応できる。なお、例えばカバー体16の前端部に高さの異なる複数の取付用孔が形成され、この取付用孔の選択により砕土体31がカバー体16に対して上下位置調整可能となっている構成等でもよい。
【0057】
また、農作業機1は、例えば図7ないし図9に示す第3の実施の形態のように、砕土体31の砕土棒状部43が平面視で前後方向(進行方向)に対して傾斜角度αをもって傾斜する傾斜方向に沿って位置する傾斜部分61を有する構成でもよい。なお、傾斜角度αは、例えば5度〜30度で、好ましくは15度であり、また、例えば図示しないが傾斜部分61の傾斜角度αを調整できるようにしてもよい。
【0058】
図7ないし図9に示す砕土体31の砕土棒状部43では、第1傾斜棒状部分49と第2傾斜棒状部分50との連結部分(例えば略く字状の砕土棒状部43の前端部)が折れ曲がり、第2傾斜棒状部分50が平面視で前後方向に対して傾斜角度αをもって傾斜する傾斜方向に沿って位置している。つまり、この第2傾斜棒状部分50にて、左右いずれか一側方側に向って傾斜する傾斜状の傾斜部分61が構成されている。
【0059】
また、図7に示されるように、複数の砕土体31のうちカバー体16の左右方向中央よりも右側(進行方向に向かって右側)に位置する各砕土体31に関しては、その砕土棒状部43の第2傾斜棒状部分(傾斜部分61)50は、平面視で、後端部ほど左側(カバー体16の左右方向中央側である内側方側)に位置するように、前後方向に対して傾斜角度αをもって左側方側へ傾斜している。また、複数の砕土体31のうちカバー体16の左右方向中央よりも左側(進行方向に向かって左側)に位置する各砕土体31に関しては、その砕土棒状部43の第2傾斜棒状部分(傾斜部分61)50が、平面視で、後端部ほど右側(カバー体16の左右方向中央側である内側方側)に位置するように、前後方向に対して傾斜角度αをもって右側方側へ傾斜している。このため、これら複数の砕土体31にて砕土された土は、傾斜部分61にてこの傾斜部分61の傾斜方向に向かってつまり側方に向かって誘導案内される。
【0060】
そして、この構成の場合、砕土体31の砕土棒状部43は平面視で前後方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って位置する傾斜部分61を有するため、砕土した土を傾斜方向に向けて誘導でき、砕土した土が外側方へ排出されるのを防止でき、また、傾斜部分61は幅広く作用するので、砕土作業の効率化を図ることができる。
【0061】
また、農作業機1は、例えば図10に示す第4の実施の形態のように、砕土体31の砕土棒状部43の傾斜部分61の傾斜方向がトラクタTのタイヤT1の後方位置側(通過領域側)を向いた構成でもよい。
【0062】
そして、この構成の場合、タイヤT1の通過により圃場面に形成される土盛上り部aの土が、砕土体31の砕土棒状部43の傾斜部分61にて傾斜方向へ誘導されてタイヤ跡凹部b内に戻されるため、均平性のより一層の向上を図ることができる。
【0063】
また、農作業機1は、例えば図11および図12に示す第5の実施の形態のように、複数、例えば3つの砕土体31がまとめてカバー体16の前端部、すなわち例えば本体板部17の前板部分17aに板状の取付体66を介して間接的に取り付けられた構成でもよい。
【0064】
図11および図12に示す取付体66は、左右方向長手状のもので、取付手段32のボルト33の軸部が挿入される複数、例えば2つの取付用孔67を有している。取付体66は複数、例えば3つの略矩形状の開口部68を有し、この開口部68には砕土体31の取付棒状部41が嵌め込まれている。取付体66は複数、例えば6つの左右両端面開口状の筒状保持部69を有し、この筒状保持部69には砕土体31の中間棒状部42の一部である被保持部42aが嵌合挿通されている。こうして、複数、例えば3つの砕土体31が1つのセット品となっている。
【0065】
そして、この構成の場合、複数の砕土体31が予め取り付けられた1つの取付体66を、カバー体16の前端部に取り付けることにより、複数の砕土体31をカバー体16の前端部に取付体66を介してまとめて取り付けることができるため、カバー体16に対する複数の砕土体31の取付作業の容易化を図ることができる。
【0066】
なお、取付体66に予め取り付ける砕土体31は、図11に示す形状のものには限定されず、図4や図8等に示す形状のものでもよい。
【0067】
また、農作業機1は、例えば図13に示す第6の実施の形態のように、複数の砕土体31がまとめてカバー体16の前端部、すなわち例えば左右両側の側板部18の前端部に円筒状或いは円柱状等のパイプ部材からなる左右方向の支軸体71を介して間接的に取り付けられた構成でもよい。
【0068】
図13に示す支軸体71は、外周面が円筒面状に形成され、左右方向に軸方向を有するもので、この支軸体71の軸方向長さ寸法はカバー体16の左右方向長さ寸法と略同じである。支軸体71の軸方向両端部は、ボルト等の取付手段72にて、カバー体16の側板部18に形成された上下方向長手状の長孔部18aにこの長孔部18aに沿って上下方向に移動調整可能でかつ脱着可能に取り付けられている。このため、複数の砕土体31を支持した支軸体71は、カバー体16に対して上下位置調整可能となっている。つまり、複数の砕土体31は、カバー体16に対して上下位置調整可能である。
【0069】
また、図13に示す砕土体31の取付棒状部41は、側面視で略円環状のもので、支軸体71の外周面に、ボルト73、ナット74および取付板75,76にて構成された取付手段77にて支軸体71を中心として回動調整可能でかつ脱着可能に取り付けられている。つまり、砕土体31は、カバー体16に対して支軸体71、すなわちこの支軸体71の軸芯を通る左右方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動調整可能となっている。なお、図13に示す砕土体31の砕土棒状部43は、中間棒状部42を介さず、取付棒状部41の前端部に一体に連結されている。
【0070】
そして、この構成の場合、複数の砕土体31が予め取り付けられた1つの支軸体(取付体)71を、カバー体16の前端部に取り付けることにより、複数の砕土体31をカバー体16の前端部に支軸体71を介してまとめて取り付けることができるため、カバー体16に対する複数の砕土体31の取付作業の容易化を図ることができる。
【0071】
また、砕土体31はカバー体16に対して支軸体(回動中心軸線X)71を中心として回動調整可能となっておりかつ支軸体71はカバー体16に対して上下位置調整可能となっているため、圃場の状態等により一層適切に対応できる。
【0072】
なお、図13の2点鎖線で示すように、砕土体31が耕耘体11と接触することがないように、砕土体31の砕土棒状部43との当接により砕土体31の下方への回動を規制する下限規制部80をカバー体16に設けてもよい。
【0073】
また、農作業機1は、例えば図14に示す第7の実施の形態のように、砕土体31が側面視略円環状の弾性変形可能な緩衝部81を中間部に有する構成でもよい。
【0074】
図14に示す砕土体31の取付棒状部41は、カバー体16の本体板部17の上面に、ボルト(図示せず)、ナット82および取付板83にて構成された取付手段84にて脱着可能に取り付けられている。
【0075】
また、砕土体31の緩衝部81は、棒状部材35の中間の一部が例えば1回(複数回でもよい)だけ巻かれることによって形成されている。つまり、取付棒状部41と砕土棒状部43とが、略円形状に曲げられた棒状の緩衝部81を介して一体に連結されている。このため、砕土棒状部43が受けた衝撃は、緩衝部81にて吸収され、取付棒状部41には伝わらない。
【0076】
そして、この構成の場合、複数の砕土体31は弾性変形可能な緩衝部81を有するため、砕土棒状部43が圃場の石等の障害物と衝突した際に、緩衝部81にて障害物から砕土棒状部43に作用する衝撃力を緩和でき、よって、砕土体31の破損を防止できる。
【0077】
なお、前記第1〜6の実施の形態に係る農作業機1の砕土体31が緩衝部81を有する構成でもよい。
【0078】
すなわち例えば図15に示す第8の実施の形態のように、支軸体71にて回動中心軸線Xを中心として回動調整可能に支持された砕土体31が、取付棒状部41と砕土棒状部43との間に緩衝部81を有する構成でも、石等の障害物との衝突に基づく砕土体31の破損を防止できる。この図15に示す支軸体71は、カバー体16の側板部18の前端部に溶接等にて固定的に取り付けられているが、上下位置調整可能に取り付けてもよい。
【0079】
また、砕土体31は、製造コスト削減のために、例えば図16に示す第9の実施の形態のように、上部に略コ字状のコ字状部91を有しかつ下部に2つの砕土棒状部43を有する棒状部材35と、この棒状部材35のコ字状部91の内側に固設され中央部にボルト挿入のための取付用孔93が形成された板状部材92とにて構成されたものでもよい。
【0080】
なお、農作業機1は、代掻き作業機には限定されず、例えば畑や、水を溜める前の水田等の圃場において耕耘整地作業をするロータリー作業機等でもよい。
【0081】
また、前記各実施の形態では、複数の砕土体31がカバー体16の前端部に左右方向全体にわたって直接的または間接的に取り付けられた構成について説明したが、例えば1つ或いは複数の砕土体31がカバー体16の前端部における1箇所或いは複数箇所に取り付けられた構成でもよい。
【0082】
さらに、砕土体31の砕土棒状部43が前方に向かって凸の湾曲部分43aを前端部に有する構成には限定されず、例えば砕土棒状部43が上下方向に沿った一直線状に形成された構成等でもよい。
【0083】
また、上述した前記記各実施の形態の構成等を適宜組み合わてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 農作業機
11 耕耘体
16 カバー体
21 整地体
31 砕土体
43 砕土棒状部
43a 湾曲部分
61 傾斜部分
66 取付体
71 支軸体
81 緩衝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記カバー体の前端部に取り付けられた砕土体とを備え、
前記砕土体は、前記耕耘体の前方で砕土作業をする砕土棒状部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
砕土体の砕土棒状部は、平面視で前後方向に対して傾斜する傾斜方向に沿って位置する傾斜部分を有する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
砕土体は、カバー体の前端部の左右方向全体にわたって複数取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
【請求項4】
砕土体は、カバー体に対して上下位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
複数の砕土体が取り付けられた取付体を備え、
前記取付体は、カバー体の前端部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
砕土体が取り付けられた左右方向の支軸体を備え、
前記支軸体は、カバー体の前端部に取り付けられ、
前記砕土体は、前記カバー体に対して前記支軸体を中心として回動調整可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項7】
支軸体は、カバー体に対して上下位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項6記載の農作業機。
【請求項8】
砕土体は、弾性変形可能な緩衝部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の農作業機。
【請求項9】
砕土体の砕土棒状部は、前方に向かって凸の湾曲部分を前端部に有する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−160748(P2011−160748A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28710(P2010−28710)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】