説明

農作物品質測定装置

【課題】農作物が搬送部から落下した場合であっても、農作物が投光部又は受光部の上面で静止することを防止した農作物品質測定装置を提供する。
【解決手段】農作物品質測定装置1は、搬送ベルト31bと、投光部44と、受光部46と、光分析部48と、を備える。搬送ベルト31bは、農作物を搬送する。投光部44は、搬送ベルト31bにより搬送される農作物に光を照射する。受光部46は、投光部44による照射光が農作物を透過した透過光を受光する。光分析部48は、前記透過光を分析して、農作物の品質を測定する。投光部44は、搬送ベルト31bの下方に配置されるとともに、上面が傾斜した傾斜面44cとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の品質を測定する農作物品質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、果実や野菜を始めとした農作物に含まれる糖度等を非破壊で測定する装置が知られている。この種の装置は、農作物に赤外光等を照射し、その透過光を分析することによって、当該農作物に含まれる糖度等を測定することができる。特許文献1及び2は、この種の農作物非破壊品質判定装置を開示する。
【0003】
特許文献1が開示する農作物非破壊品質判定装置は、農作物を載せるためのパンと、パンを搬送するためのコンベアと、投光部と、受光部と、光分析部と、を備える。投光部は、コンベアの下方に配置されている。一方、受光部は、コンベアの上方であって、投光部と向かい合う位置に配置されている。また、コンベアと投光部との間には、水平な板状の部材が配置されている。この板状の部材には、投光部と受光部とが向かい合う位置において、切り欠きが形成されている。
【0004】
投光部から照射された光は、この切り欠きを通過して、コンベアに載って搬送されるパン及び農作物を透過する。農作物等を透過した透過光は、受光部に入射する。そして、受光部と光ファイバ等で接続された光分析部が、農作物を透過した光を分析することで、当該農作物の品質を測定することができる。
【0005】
特許文献2に開示される農作物非破壊品質判定装置は、特許文献1の構成に加え、箱状の部材である筐体を備えている。筐体は、上記投光部及び受光部等を覆うように配置される。投光部等を筐体で覆うことにより、外部からの光を遮断することができるので、測定精度を向上させることができる。また、筐体には、入口開口部と、出口開口部と、が形成されている。入口開口部は、農作物及びパンを筐体内へ移動させるための開口部である。出口開口部は、測定が終了した農作物及びパンを筐体から外へ移動させるための開口部である。なお、それぞれの開口部には、当該開口部から筐体内に光が侵入することを防止するためのカーテンが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−43315号公報
【特許文献2】特開2004−361347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の構成の農作物非破壊品質判定装置では、例えば他のコンベアから乗り移る際の衝撃等によって、農作物がパンから落下する(即ちコンベアから落下する)ことがある。また、特許文献2のように、筐体及びカーテンを備える構成では、カーテンを通過するときに農作物がカーテンに押され、農作物がパンから落下することがある。上述のとおり、コンベアの下方には水平な板状の部材が配置されているので、この板状の部材にパンからの農作物が落下することが考えられる。
【0008】
このようにして板状の部材上に落ちた農作物は、上流から流れてくるパンに押されて搬送方向に進み、上記の切り欠きから投光部に落下することがある。そして、落下した農作物が投光部の上面に載ったまま留まると、この投光部から投光される光が当該農作物によって遮られてしまい、正確な品質の測定ができなくなる。そのため、作業者は、投光部に農作物が載る度に、この農作物を取り除く必要があった。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、農作物が搬送部から落下した場合であっても、農作物が投光部又は受光部の上面で静止することを防止した農作物品質測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、以下の構成の農作物品質測定装置が提供される。即ち、この農作物品質測定装置は、搬送部と、投光部と、受光部と、測定部と、を備える。前記搬送部は、農作物を搬送する。前記投光部は、前記搬送部により搬送される農作物に光を照射する。前記受光部は、前記投光部による照射光が農作物を透過した透過光、又は前記照射光が農作物で反射した反射光を受光する。前記測定部は、前記透過光又は前記反射光を分析して、農作物の品質を測定する。前記投光部及び前記受光部のうち少なくとも一方は、前記搬送部の下方に配置されるとともに、上面が傾斜面となっている。
【0012】
これにより、農作物が投光部(又は受光部)に落下した場合、投光部の上面が傾斜面となっているため、投光部に落下した農作物は自重により更に下方へ落下する。従って、農作物が投光部(又は受光部)上に残らないため、測定ミスの発生頻度を低下させることができる。更に、投光部(又は受光部)上に残った農作物を除去する手間を省くことができる。
【0013】
前記の農作物品質測定装置においては、前記傾斜面は、前記搬送部の搬送方向下流側に進むにつれて下方になるように傾斜していることが好ましい。
【0014】
これにより、搬送部の作用によって投光部上に落下した農作物が有する搬送方向下流側への勢いを利用して、当該農作物を傾斜面からスムーズに落下させることができる。従って、投光部(又は受光部)に落下した農作物を素早くかつ確実に下方へ落とすことができる。
【0015】
前記の農作物品質測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この農作物品質測定装置は、空気流を発生させる送風機を備える。前記送風機は、前記傾斜面上に空気流を発生させる。
【0016】
これにより、投光部(又は受光部)の傾斜面に埃等が堆積することを防止できる。従って、農作物品質測定装置の測定精度の低下を防止できる。
【0017】
前記の農作物品質測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この農作物品質測定装置は、前記傾斜面よりも上方であって搬送方向上流側に配置される当て部材を備える。前記当て部材は、農作物に当たることにより、当該農作物の前記傾斜面上への落下を防止する。
【0018】
これにより、農作物が投光部(又は受光部)に落下すること自体を防止できる。従って、測定ミスの発生頻度を一層低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る農作物品質測定装置の構成を示す斜視図。
【図2】農作物品質測定装置の側面断面図。
【図3】農作物品質測定装置の平面断面図。
【図4】農作物品質測定装置の正面断面図。
【図5】当て部材の形状を示す拡大斜視図。
【図6】板状部材に落下した農作物の挙動を示す拡大側面図。
【図7】投光部に落下した農作物の挙動を示す拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る農作物品質測定装置1の構成を示す斜視図である。図2は、農作物品質測定装置1の側面断面図(図3のA−A断面矢視図)である。図3は、農作物品質測定装置1の平面断面図(図2のB−B断面矢視図)である。
【0021】
農作物品質測定装置1は、農作物に赤外光を照射して得られた透過光を分析することで、この農作物の糖度等を非破壊で測定できる装置である。農作物とは、果実及び野菜等を示しており、例えば、イチゴ、りんご、トマト、及びナス等が農作物に含まれる。以下、農作物品質測定装置1の詳細な構成について説明する。
【0022】
農作物品質測定装置1は、図1に示すように、脚部11と、この脚部11によって支持される1対のフレーム12a,12bと、を備える。フレーム12aとフレーム12bとは、互いに向かい合うように配置されており、それぞれの下端部同士が板状部材13によって接続されている。フレーム12a,12bは、細長く形成されており、農作物品質測定装置1は、このフレーム12a,12bの長手方向の一側(上流側)から他側(下流側)へ農作物を搬送可能となっている。なお、以下の説明では、農作物の搬送方向上流側及び下流側を単に「上流側」「下流側」と称することがある。また、図2及び図3に示すように、板状部材13の長手方向中央部には、測定用孔13aが形成されている。
【0023】
農作物品質測定装置1は、農作物を搬送するための構成として、図1から図3までに示すように、搬送ベルト(搬送部)31a,31bと、ベルト駆動部32と、駆動軸33と、従動軸34〜37と、を備える。
【0024】
搬送ベルト31a,31bは、フレーム12a,12bの長手方向に沿うように、2本並べて配置されている。この搬送ベルト31a,31bには、測定対象である農作物80がセットされたパン70を載せることができる。
【0025】
ベルト駆動部32は、図1及び図2に示すように、フレーム12a,12bの下流側の端部近傍であって、当該フレーム12a,12bの下部に取り付けられている。ベルト駆動部32は図略のモータを備えており、このモータの駆動力によって搬送ベルト31a,31bを動かすことができる。このモータが発生させた駆動力は、初めに駆動軸33に伝達される。また、図2に示すように、この駆動軸33の上流側の斜め上方であって、ベルト駆動部32の壁面には、従動軸37が回動可能に取り付けられている。
【0026】
1対のフレーム12a,12bの間であって、当該フレーム12a,12bの上流側の端部近傍には、従動軸35が回動可能に取り付けられている。一方、1対のフレーム12a,12bの間であって、当該フレーム12a,12bの下流側の端部近傍には、従動軸34が回動可能に取り付けられている。また、図2に示すように、1対のフレーム12a,12bの間であって、ベルト駆動部32のやや前方には、従動軸36が回動可能に取り付けられている。
【0027】
上記の駆動軸33及び従動軸34〜37には、搬送ベルト31a,31bが巻き掛けられる。そして、モータの駆動力によって駆動軸33を図2に示す方向に回転させることにより、パン70及び農作物80を上流側から下流側へ移動させる方向に搬送ベルト31a,31bを動かすことができる。
【0028】
次に、農作物品質測定装置1が備える筐体22及びその内部の構成について、図1から図4までを参照して説明する。図4は、農作物品質測定装置1の正面断面図(図2のC−C断面矢視図)である。なお、図4は、図を判り易くするために、図2等よりも縮尺を大きくして表示している。
【0029】
筐体22は、箱状の部材であり、図1に示すように、農作物品質測定装置1の搬送方向中央部を覆うように配置されている。この筐体22の内部には、農作物の品質の測定を行う光学機器(投光部44及び受光部46等)及びそれらを支持する部材等が配置されている。
【0030】
図1及び図2に示すように、筐体22の上流側の面には、上流側開口部22aが形成されている。また、下流側の面には、上流側開口部22aと対応する位置に下流側開口部22bが形成されている。フレーム12a,12b及び搬送ベルト31a,31b等は、この上流側開口部22a及び下流側開口部22bを通過するように配置される。また、上流側開口部22a及び下流側開口部22bには、遮光カーテン62がそれぞれ取り付けられている。遮光カーテン62は、可撓性を有する素材で構成されており、上下に複数の切り込みが入れられている。この構成により、パン70及び農作物80が開口部22a,22bを通過できるようにするとともに、筐体22の内部に光が侵入しにくくすることができる。
【0031】
また、筐体22の側面には、ファン(送風機)61が取り付けられている。このファン61は、投光部44の傾斜面44c(後述)に堆積した埃等を吹き飛ばすために用いられる。
【0032】
次に、筐体22の内部の構成について説明する。筐体22は、図2及び図3に示すように、当該筐体22の内部に形成された水平面22cから上方に向かって延びる1対の柱部24a,24bを備えている。この柱部24a,24bは、図2及び図4に示すように、板状部材13よりも下方において、投光部支持板25によって互いに接続されている。また、柱部24a,24bは、板状部材13よりも上方において、受光部支持板27によって互いに接続されている。
【0033】
投光部支持板25には、図2及び図4に示すように、投光部取付部材26が取り付けられている。投光部取付部材26は、1枚の平板を直角に折り曲げたL字状の部材である。投光部取付部材26は、前記L字の一辺側において、投光部支持板25に(詳細には、投光部支持板25の中央部から柱部24a側の端部近傍にかけて)取り付けられている。このL字状の一辺側及び他辺側には、投光部44等を取付可能となっている。
【0034】
一方、受光部支持板27には、図2及び図4に示すように、受光部取付部材28が取り付けられている。受光部取付部材28は、1枚の平板を直角に折り曲げたL字状の部材である。受光部取付部材28は、前記L字の一辺側において、受光部支持板27の中央部近傍に取り付けられている。一方、前記L字の他辺側は、受光部46を取付可能となっている。
【0035】
次に主に図2を参照して、筐体22の内部に配置される光学機器について説明する。農作物品質測定装置1は、図2に示すように、測定ケース41と、光源42と、光ファイバ43,47と、投光部44と、遮光部材45と、受光部46と、光分析部(測定部)48と、を備えている。
【0036】
測定ケース41は、筐体22の底面に設置されており、赤外光を出射可能な光源42と、農作物80を透過した光(透過光)を分析する光分析部48と、を備えた構成となっている。光源42には光ファイバ43が接続されており、この光ファイバ43は、光源42と、当該光源42よりも上方に位置する投光部44と、を接続している。
【0037】
投光部44は、下側投光部44aと、上側投光部44bと、から構成されている。下側投光部44aは、断面逆U字状の取付部材29を介して、投光部取付部材26の前記一辺側に取り付けられている。光源42からの光は、下側投光部44aから、上側投光部44bに向けて出射される。一方、上側投光部44bは、投光部取付部材26の前記他辺側に取り付けられている。下側投光部44aからの光は、上側投光部44bから、上側(受光部46側)へ向けて出射される。なお、投光部44(正確には上側投光部44b)の上面は、搬送方向下流側に進むにつれて下方になるように傾斜した傾斜面44cとなっている。前記ファン61は、この傾斜面44c上に風を吹き付けており、傾斜面44c上に埃等が堆積することを防止している。
【0038】
下側投光部44aと上側投光部44bとの間には、遮光部材45が配置されている。遮光部材45は、図略の取付部材を介して、投光部取付部材26に取り付けられている。遮光部材45は、下側投光部44aから出射された光が上側投光部44bに入射しないように当該光を遮る遮断位置と、下側投光部44aから出射された光が上側投光部44bに入射しないように遮断位置から退避した退避位置と、の間で位置を切替可能に構成される。
【0039】
この構成により、遮光部材45の位置を適切に切り替えることで、当該投光部44の上方を農作物80が通過するときにだけ、受光部46に向けて光を出射することができる。
【0040】
受光部46は、板状部材13等を挟んで投光部44と向かい合うように、前記受光部取付部材28の前記他辺側に取り付けられている。前述のように、板状部材13には、投光部44と受光部46とが向かい合う箇所において、測定用孔13aが形成されている。従って、受光部46は、農作物80を透過した透過光を受光することができる。また、受光部46は、光ファイバ47を介して、測定ケース41内の光分析部48に接続されている。
【0041】
光分析部48は、受光部46が受光した透過光を分析することにより、農作物の糖度を測定することができる。具体的には、赤外光のうち所定波長の光はショ糖の濃度に応じて吸収されるため、果実を透過する前後において、この所定波長の光がどの程度吸収されたかを測定することで、果実のショ糖濃度(糖度)を得ることができる。また、遮光部材45の影響により、光分析部48には、農作物80を透過した後の光(強度が弱い光)のみが入射する。従って、所定以上の強い光が光分析部48に入射しないので、光分析部48に掛かる負担を軽減することができる。
【0042】
次に、図5及び図6を参照して、測定用孔13aの周辺の構成について説明する。図5は、当て部材50の形状を示す拡大斜視図である。図6は、板状部材13に落下した農作物80の挙動を示す拡大側面図である。なお、図6及び後述の図7では、図を判り易くするために、柱部24b等を省略している。
【0043】
本実施形態の農作物品質測定装置1は、農作物80が投光部44へ落下することを防止するために、測定用孔13aの近傍に配置された当て部材50を備えている。この当て部材50は、図5等に示すように、1対の取付部50a,50bと、接続部50cと、突出部50dと、を備えている。
【0044】
取付部50a,50bの間隔は、フレーム12a,12bの配置間隔と等しくなるように形成されている。そして、取付部50aは、フレーム12aの下部に取り付けられており、取付部50bは、フレーム12bの下部に取り付けられている。取付部50aと取付部50bとは、取付部50a,50bの下部に形成された接続部50cによって互いに接続されている。
【0045】
また、接続部50cの中央部(即ち測定用孔13aの下方)には、上方に突出する突出部50dが形成されている。突出部50dは、測定用孔13aを下方から上方に通過している。突出部50dは、図2に示すように、投光部44よりも上流側に配置されている。
【0046】
次に、この当て部材50の効果について説明する。この当て部材50は、投光部44への農作物80の落下を未然に防ぐためのものである。
【0047】
以下、具体的に説明する。パン70に乗せられた農作物80は、上流側開口部22aを通過するときに遮光カーテン62と接触することで、パン70から板状部材13へ落下することがある。また、他の搬送ベルトから搬送ベルト31a,31bに乗り移るときに、農作物80が弾みでパン70から板状部材13へ落ちてしまうことも考えられる。農作物80が板状部材13に落下してしまった場合、その農作物80は、図6(a)に示すように、パン70によって押されて搬送方向下流側へ移動する。
【0048】
そのため、従来の構成(当て部材50を備えない構成)では、農作物が投光部へ落下することがあった。その結果、投光部上に農作物が残ってしまうと、この投光部から投光される光が当該農作物によって妨げられ、適切な測定を行うことができなくなる。そのため、作業者は、投光部に農作物が載る度に、この農作物を取り除く必要があった。
【0049】
この点、本実施形態では、農作物80が板状部材13に落下してパン70に押されたとしても、当該農作物80は、測定用孔13aから落下する前後において当て部材50と接触する。これにより、農作物80は、当て部材50の直下方に(又は、当て部材50に跳ね返されて、当て部材50よりも搬送方向手前側に)落下する(図6(b)を参照)。従って、本実施形態の農作物品質測定装置1では、農作物80が投光部44上に載ることが殆どない。従って、上記の測定ミスを防止できるとともに、作業者の手間を省くことができる。
【0050】
次に、農作物80が投光部44に落下した場合について、図7を参照して説明する。図7は、投光部44に落下した農作物80の挙動を示す拡大側面図である。
【0051】
上述のように、本実施形態の農作物品質測定装置1は当て部材50を備えているため、農作物80が投光部44に落下することを防止できるようになっている。しかし、例えば図7(a)に示すように、測定用孔13aの上方を通過中において農作物80がパン70から落下した場合等では、農作物80が投光部44に落下することが考えられる。
【0052】
本実施形態では、このような可能性も考慮して、投光部44の上面が傾斜面44cとなるように構成している。これにより、投光部44に落下した農作物80は、傾斜面44c上を自重で転がって投光部44から落下し易くなる。この結果、農作物80が投光部44上に留まることを防止できるので、上記の測定ミスを防止できるとともに、作業者の手間を省くことができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記傾斜面44cが、搬送ベルト31a,31bによる農作物80の搬送方向下流へ向かうに従って低くなるように形成されている。即ち、パン70によって押されて投光部44に落下する農作物80は、慣性により、搬送方向下流側へ向かう速度成分を有している場合が多い。このことから、投光部44の傾斜面44cでは、その勢いを殺さずに搬送方向下流側へ向けて落下させるように傾斜面44cの向きを設定することで、農作物80が投光部44上に残ることを確実に防止できる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の農作物品質測定装置1は、搬送ベルト31a,31bと、投光部44と、受光部46と、光分析部48と、を備える。搬送ベルト31a,31bは、農作物80を搬送する。投光部44は、搬送ベルト31a,31bにより搬送される農作物80に光を照射する。受光部46は、投光部44による照射光が農作物80を透過した透過光を受光する。光分析部48は、前記透過光を分析して、農作物80の品質を測定する。投光部44は、搬送ベルト31a,31bの下方に配置されるとともに、上面が傾斜した傾斜面44cとなっている。
【0055】
これにより、農作物80が投光部44に落下した場合、投光部44の上面が傾斜しているため、投光部44に落下した農作物80は自重により更に下方へ落下する。従って、農作物80が投光部44上に残らないため、測定ミスの発生頻度を低下させることができる。更に、投光部44上に残った農作物を除去する手間を省くことができる。
【0056】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1において、傾斜面44cは、搬送ベルト31a,31bの搬送方向下流側に進むにつれて下方になるように傾斜している。
【0057】
これにより、(搬送ベルト31a,31bで搬送される)パン70に押されて投光部44上に落下した農作物80が有する搬送方向下流側への勢いを利用して、農作物80を傾斜面44cからスムーズに落下させることができる。従って、投光部44に落下した農作物80を素早くかつ確実に下方へ落とすことができる。
【0058】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1は、空気流を発生させるファン61を備える。ファン61は、傾斜面44c上に空気流を発生させる。
【0059】
これにより、投光部44の傾斜面44cに埃等が堆積することを防止できる。従って、農作物品質測定装置1の測定精度の低下を防止できる。
【0060】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1は、傾斜面44cよりも上方であって搬送方向上流側に配置される当て部材50を備える。当て部材50は、農作物80に当たることにより、当該農作物80の傾斜面44c上への落下を防止する。
【0061】
これにより、農作物80が投光部44に落下すること自体を防止できるので、測定ミスの発生頻度を一層低下させることができる。
【0062】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0063】
農作物80が投光部44に落ちないように当該農作物80に当たる構成であれば、当て部材50の形状は任意である。
【0064】
上記実施形態では、当て部材50を備えることと、投光部44の上面を傾斜させることと、により投光部44上に農作物80が残ることを防止しているが、例えば当て部材50を備えない構成であったとしても、本発明の効果を一定程度発揮させることができる。
【0065】
上記実施形態では、搬送ベルト31a,31bの下方に投光部44を備え、上方に受光部46を備える構成であるが、投光部44及び受光部46の配置を逆にしても良い。つまり、搬送ベルトの上方に配置された投光部から光が下方に出射され、この光を搬送ベルトの下方に配置された受光部が受光する構成である。
【0066】
上記実施形態では、透過型の農作物品質測定装置を用いたが、これに代えて、反射型の農作物品質測定装置にも本発明を適用することができる。
【0067】
ファン61は、傾斜面44c上の埃等を吹き飛ばすことができる限り、上記で示した配置に限られず、任意の位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 農作物品質測定装置
31a,31b 搬送ベルト(搬送部)
44 投光部
44c 傾斜面
47 受光部
48 光分析部(測定部)
50 当て部材
70 パン
80 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される農作物に光を照射する投光部と、
前記投光部による照射光が農作物を透過した透過光、又は前記照射光が農作物で反射した反射光を受光する受光部と、
前記透過光又は前記反射光を分析して、農作物の品質を測定する測定部と、
を備え、
前記投光部及び前記受光部のうち少なくとも一方は、前記搬送部の下方に配置されるとともに、上面が傾斜面となっていることを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の農作物品質測定装置であって、
前記傾斜面は、前記搬送部の搬送方向下流側に進むにつれて下方になるように傾斜していることを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の農作物品質測定装置であって、
空気流を発生させる送風機を備え、
前記送風機は、前記傾斜面上に空気流を発生させることを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の農作物品質測定装置であって、
前記傾斜面よりも上方であって搬送方向上流側に配置される当て部材を備え、
前記当て部材は、農作物に当たることにより、当該農作物の前記傾斜面上への落下を防止することを特徴とする農作物品質測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159388(P2012−159388A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19013(P2011−19013)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】