説明

農作物情報管理システム

【課題】農地の環境変化に拘わらず鮮明な農地の画像を取得する。
【解決手段】農地における農作物の情報を取得するデータ収集装置3と、当該データ収集装置3から農作物の情報が送信される情報処理装置2とを含む農作物情報管理システムにおいて、データ収集装置3が、1回の撮像動作により複数の画像を撮像する撮像手段50と、各画像のうち農作物画像を含む評価領域における合焦評価値を算出する画像評価手段71と、各画像の合焦評価値のうち最も高い合焦評価値が算出された画像を選択する画像選択手段72と、選択された画像を情報処理装置2に送信する送信手段73とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば農作物を作成する者のために農作物情報を管理する農作物情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作物の生産性,安全性,及び品質安定性を向上させるための技術として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、農家側コンピュータと、農作物を育成する農地に設けられて農地及び農地における農作物の情報を検出する検出装置と、検出装置が検出した情報を受信して農作業の実施タイミングを判定する解析サーバとを備える。解析サーバは、判定された実施タイミングの情報を農家側コンピュータに提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−212002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、農地における農作物情報を検出して解析サーバに送信したときに、当該送信された画像が鮮明でないと正確に情報処理を行うことができない。また、画像が鮮明でないと、農作物の状態がどのようになっているかを目視によっても判断できない。例えば、農地における風、雨、雪等により農地の画像は、乱れることが多い。この場合、従来の技術では、正確な農作物情報を送信できない問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、農地の環境変化に拘わらず鮮明な農地の画像を取得することができる農作物情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する第1の発明に係る農作物情報管理システムは、農地における農作物の情報を取得するデータ収集装置と、当該データ収集装置から農作物の情報が送信される情報処理装置とを含む農作物情報管理システムにおいて、前記データ収集装置が、農作物を含む領域が撮像領域とされ、1回の撮像動作により複数の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された各画像のうち農作物画像を含む評価領域における合焦評価値を算出する画像評価手段と、前記画像評価手段により算出された各画像の合焦評価値のうち、最も高い合焦評価値が算出された画像を選択する画像選択手段と、前記画像選択手段により選択された画像を前記情報処理装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明に係る農作物情報管理システムであって、第2の発明は、前記データ収集装置は、前記画像と共に当該画像の合焦評価値を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記合焦評価値が所定値よりも低い場合に、警報を報知する警報手段を有することを特徴とする。
【0009】
第1又は第2の発明に係る農作物情報管理システムであって、第3の発明は、前記データ収集装置は、所定時間毎に画像及び当該画像の合焦評価値を送信し、前記情報処理装置は、所定時間毎に受信した合焦評価値に応じた画像撮影枚数を設定し、前記情報処理装置は、前記情報処理装置により設定された画像撮影枚数を所定時間毎に前記データ収集装置に送信して、前記撮像手段の画像撮影枚数を増減することを特徴とする。
【0010】
第1乃至第3の発明の何れかに係る農作物情報管理システムであって、第4の発明は、前記情報処理装置が設定した画像撮影枚数を、前記データ収集装置付近の平均風量データの代用データとして用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1回の撮像動作により複数の画像を撮像して、当該複数の画像のうち最も高い合焦評価値及び画像を情報処理装置に送信できるので、風等の一時的に不鮮明な画像が撮影されてしまうような時であっても、農地の環境変化に拘わらず鮮明な農地の画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した農作物情報管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】データ収集装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【図3】データ収集装置の全体構成を機能的に示すブロック図である。
【図4】情報処理装置及びデータ収集装置の特徴的な機能的構成を示すブロック図である。
【図5】データ収集装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図6】情報処理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態として示す農作物情報管理システム1は、例えば図1に示すように構成される。本実施形態にかかる農作物情報管理システム1は、農家の作業者側に設けられる農家側コンピュータとしての情報処理装置2と、農地に設けられるデータ収集装置(フィールドサーバ)3と、集計・解析者側に設けられるサーバ4とを含む。この農作物情報管理システム1において、情報処理装置2、データ収集装置3及びサーバ4は、インターネット等の電気通信回線を介して相互に情報通信可能に構成されている。
【0015】
情報処理装置2は、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の汎用の情報機器により構成されている。この情報処理装置2は、電気通信回線を介してデータ収集装置3又はサーバ4が保有する各種情報(具体的には、農地画像等の収集データ)を閲覧又はダウンロードできる。また、情報処理装置2は、電気通信回線を介してデータ収集装置3を遠隔操作したりすることができる。情報処理装置2が取得できる各種情報としては、具体的には、農地画像等の収集データが挙げられる。
【0016】
データ収集装置3は、農作物を育成する農地に設置されている。データ収集装置3は、農作及びこの農地における農作物に関する情報(データ)を収集する。なお、このデータ収集装置3の詳細については、後述する。このデータ収集装置3は、図示しないアクセスポイントとの間で無線通信を行うことにより、電気通信回線を介して情報処理装置2及び/又はサーバ4との間で情報通信を行うことができる。
【0017】
サーバ4は、ワークステーション等の汎用の情報処理装置により構成されている。このサーバ4は、データ収集装置3が検出した情報を受信したり、受信した情報を農家毎に所定の形式で集計したり、集計した情報を統計処理等の解析手法を利用して解析する。これにより、サーバ4は、例えば、農地及び農作物にとって最適な育成条件に関する情報を抽出したり、抽出された情報を情報処理装置2に送信する機能を実現したりすることができる。
【0018】
図2は、データ収集装置3の外観を模式的に示す斜視図である。データ収集装置3は、本体ユニット30を主体に構成されている。この本体ユニット30は、農地における複数箇所に設置されている。本体ユニット30は、全体的に長方形形状を有する本体ハウジング30aと、本体ハウジング30aの底部側と連結されて本体ハウジング30aを支持する脚部30bとを有している。また、支柱30cは、本体ユニット30から独立して固定的に設置されており、その上部には、後述する検出手段の一つであるカメラユニット50と温湿度センサ61とが取り付けられている。
【0019】
カメラユニット50は、農作物を含む領域が撮像領域とされた位置に取り付けられている。カメラユニット50は、1回の撮像動作により複数の画像(農作物画像データ)を撮像する。カメラユニット50が農作物画像データを撮像するために、カメラユニット50の撮像範囲は、例えば手動によって調整されている。これにより、カメラユニット50は、農作物を囲う領域を撮像できる。カメラユニット50により撮像された複数の農作物画像データは、本体ユニット30内部の情報処理回路に供給される。
【0020】
図3は、データ収集装置3の全体構成を機能的に示すブロック図である。データ収集装置3は、データ制御部31、データ収集部32、データ演算部33、データ記憶部34、データ表示部35、無線通信制御部36、無線通信部37、センサインターフェース(センサI/F)部38を含む。これら各部は、CPU、メモリ、各種IC等の情報処理回路により実現される。
【0021】
データ制御部31は、数値計算や情報処理、機器制御などを行い、データ収集装置3の動作を総合的に制御する機能を担っている。本実施形態との関係では、データ制御部31は、農作物画像データの処理、データ収集部32によって収集される情報をデータ記憶部34に記憶、データ表示部35にデータを表示させたりする。また、データ制御部31は、データ記憶部34に記憶されている情報を読み込み、これを無線通信制御部36に対して出力したりする。
【0022】
データ収集部32は、センサI/F部38を介して、カメラユニット50からの画像データ及び各種センサ60〜67からのセンサデータを、予め設定された周期で自動的に収集する。データ収集部32によって収集されたデータは、データ演算部33に対して出力される。
【0023】
データ演算部33は、データ収集部32から出力される各種のセンサデータのそれぞれを対象として、センサ信号を、利用者が理解することができる所定の形式(例えば、温度)に変換することにより、データ(以下「収集データ」という)を生成する。データ演算部33において生成された収集データは、データ制御部31に対して出力される。特に、カメラユニット50により撮像された農作物画像データは、データ演算部33により所定の処理がされて、情報処理装置2に供給される。
【0024】
データ記憶部34は、収集データを記憶する機能を担っており、例えば、外部メモリによって構成されている。データ演算部33からデータ制御部31に収集データが出力されると、データ制御部31は、これをデータ記憶部34に記憶させる。データ記憶部34には、データ毎に、収集データとともに、例えば、データを取得した時間や日付が対応付けて記憶される。また、データ記憶部34には、カメラユニット50により撮影された複数の農作物画像データが記憶される。更に、データ記憶部34には、後述のデータ演算部33により演算された合焦評価値及び農作物画像データを記憶しておいても良い。
【0025】
データ表示部35は、データ制御部31に制御されて、データ演算部33から出力される収集データを表示する機能を担っている。データ表示部35としては、例えば、液晶ディスプレイを用いることができ、本体ユニット30の本体ハウジング30aに取り付けられている。このデータ表示部35により、農地において、収集データをリアルタイムで閲覧することができる。また、データ表示部35は、農作物の状態を確認するために、過去にデータ記憶部34に記憶した農作物画像を表示できる。
【0026】
無線通信制御部36は、所定時間毎に、データ制御部31に対してデータ記憶部34に記憶されている所定の量の収集データ(例えば、サーバ4に対して未送信分の収集データ)を要求する。無線通信制御部36は、データ制御部31から収集データを取得すると、無線通信部37を介して収集データを指定されたアクセスポイントへと送信することにより、電気通信回線を介してサーバ4及び情報処理装置2に収集データを送信する。これにより、無線通信制御部36は、カメラユニット50により撮像された農作物画像データを情報処理装置2に対して定期的に送信できる。
【0027】
また、無線通信制御部36は、無線通信部37を介して情報処理装置2から送信される、収集データの送信要求を受信することもできる。この場合は、無線通信制御部36は、送信要求において指定される所定期間分の収集データを、データ制御部31に対して要求する。無線通信制御部36は、データ制御部31から収集データを取得すると、無線通信部37を介して収集データを指定されたアクセスポイントへと送信することにより、電気通信回線を介して送信要求を送信した情報処理装置2に収集データを送信する。換言すれば、無線通信制御部36は、外部装置との間の通信を制御する機能を担っている。
【0028】
無線通信部37は、無線通信を行う機能を担っており、例えば、アンテナ(図示せず)によって構成されている。
【0029】
センサI/F部38は、カメラユニット50や各種センサ60〜67といった、農地及び農地における農作物に関する情報を検出するセンサ等が接続されるインターフェースである。
【0030】
このデータ収集装置3には、センサI/F部38を介して、カメラユニット50及び各種センサ60〜67が接続されている。本実施形態において、カメラユニット50は、農作物画像データを取得する撮像手段として機能する。各種センサ60〜67は、農地及びこの農地における農作物に関する情報を検出する検出手段として機能する。
【0031】
カメラユニット50は、カメラ51と、このカメラ51を駆動する電源部52とを主体に構成されており、これらの要素がハウジングの内部に収容されている。カメラユニット50は、本体ユニット30とは独立した支柱30cに取り付けられている。
【0032】
カメラ51は、イメージセンサ(例えば、CCD又はCMOSセンサ等)が内蔵されており、農地および農地における農作物を含む領域を撮像し、これを農作物画像データとして出力する。このカメラ51は、1回の撮影動作において複数の農作物画像データを取得するように設定されている。この農作物画像データの枚数は、後述の情報処理装置2により制御される。電源部52は、ソーラーパネル,12Vバッテリ等の電源から電力の供給を受けることにより、カメラユニット50を駆動する機能を担っている。
【0033】
温湿度センサ60〜62は、温度及び湿度を検出するセンサであり、白金測温抵抗体型(温度)及び静電容量式高分子ポリマー型(湿度)などを用いることができる。温湿度センサ60は、例えば、本体ユニット30のハウジング内部にレイアウトされており、ハウジング外部から内部へと取り込まれた空気の温度及び湿度を検出する。温湿度センサ61は、本体ユニット30の外部、例えば、上述したカメラユニット50が取り付けられる支柱30cに取り付けられており、農地における温度及び湿度を検出する。また、温湿度センサ62は、農地において温湿度センサ61とは異なる箇所に設置されており、農地における温度及び湿度を検出する。
【0034】
土壌温度センサ63は、農地における土壌温度を検出するセンサである。土壌水分センサ64は、農地における土壌水分を検出するセンサであり、例えば、電気抵抗型のセンサを用いることができる。土壌ECセンサ65は、電気伝導度を用いて、農地の土壌中に存在している肥料分の含有傾向を検出するセンサである。日射量センサ66は、地表面上の全天日射量を検出するセンサであり、熱電対型などを用いることができる。CO2センサ67は、CO2濃度を検出するセンサであり、個体高分子型などを用いることができる。
【0035】
つぎに、上述したような農作物情報管理システム1の機能的な構成において、当該農作物情報管理システム1の特徴的な構成及び動作について、図4乃至図6を参照して説明する。
【0036】
この農作物情報管理システム1において、データ収集装置3及び情報処理装置2は、特徴的な機能として、図4に示す各部を有している。
【0037】
データ収集装置3は、カメラユニット50に接続された画像評価部71、画像選択部72、送信制御部73、及びカメラ制御部74を有する。画像評価部71、画像選択部72及びカメラ制御部74は、上述したデータ制御部31及びデータ演算部33を含むCPU等により実現される。また、送信制御部73は、上述した無線通信制御部36及び無線通信部37により実現される。
【0038】
画像評価部71は、カメラユニット50に接続され、カメラユニット50により撮像された農作物画像データが供給される。ここで、カメラユニット50は、1回の撮影動作において複数の農作物画像データを取得する。具体的には、カメラユニット50は、10分ごとの所定間隔となった場合に(図5のステップS1)、1秒ごとに撮像した10枚の農作物画像データを取得する撮像動作を行い、画像評価部71に供給する(ステップS2)。これにより、画像評価部71は、10枚の農作物画像データを取得する。
【0039】
画像評価部71は、カメラユニット50により撮像された各農作物画像データのうち農作物画像を含む評価領域における合焦評価値を算出する(ステップS3)。合焦評価値は、カメラユニット50が撮像した農作物画像データのピントがあっているほど高い値となる。逆に、農作物画像データがぼけているほど、合焦評価値は、低い値となる。例えば風の影響により、カメラ51のシャッタースピードに対して、農作物の動きが大きい場合、農作物画像データは不鮮明となり、合焦評価値は低下する。
【0040】
画像評価部71は、例えば、農作物画像データの横軸方向の画素の輝度変化を調査する。画像評価部71は、調査した輝度変化がどの程度なだらかではないかに応じて、合焦評価値を決定する。画素の輝度変化がなだらかである場合には、農作物画像がぼけているので、合焦評価値は、低くなる。逆に、画素の輝度変化がなだらかでなく、画素間の輝度変化が高い(段階的である)場合には、合焦評価値は、高くなる。すなわち、農作物画像が鮮明であるほど、合焦評価値は、高くなる。
【0041】
画像評価部71は、カメラユニット50から取得した複数の農作物画像データの各農作物画像データについて合焦評価値を算出する。画像評価部71は、農作物画像データと合焦評価値との組を、画像選択部72に供給する。
【0042】
画像選択部72は、画像評価部71により算出された各農作物画像データの合焦評価値のうち、最も高い合焦評価値が算出された農作物画像データを選択する(ステップS4)。画像選択部72は、選択した合焦評価値及び農作物画像データを送信制御部73に供給する。
【0043】
送信制御部73は、画像選択部72により選択された合焦評価値及び農作物画像データを情報処理装置2に送信する(送信手段、ステップS5)。これにより、データ収集装置3は、最も高い合焦評価値及びその合焦評価値の農作物画像データを、情報処理装置2に供給できる。なお、この実施形態では、合焦評価値及び農作物画像データの組を画像選択部72により選択して、送信制御部73が送信する例を示しているが、農作物画像データのみを選択及び送信しても良い。
【0044】
情報処理装置2は、通信IC等を含むデータ受信部81、CPU等を含む枚数設定部82、及びスピーカや表示部を含む警報部83を含む。
【0045】
データ受信部81は、情報処理装置2から送信された合焦評価値及び農作物画像データを電気通信回線を介して受信する(ステップS11)。受信した合焦評価値及び農作物画像データは、枚数設定部82に供給される。また、受信した農作物画像データは、後に管理者が農作物画像を確認できるように、図示しない記憶装置に保存される(ステップS12)。
【0046】
枚数設定部82は、合焦評価値と所定値とを比較する(ステップS13)。この所定値は、例えば、情報処理装置2の管理者が希望する農作物画像の鮮明度合いの1/2程度の鮮明度合いを設定しておく。
【0047】
枚数設定部82は、合焦評価値が所定値よりも低い場合には(ステップS13,YES)、その旨を警報部83に供給する。これにより、警報部83は、表示又は音声により、農作物画像データの合焦評価値が低いことを管理者に警報できる(ステップS15)。管理者は、合焦評価値が所定値よりも低くなっている要因などを調べることができる。例えば、合焦評価値が低くなった原因が、カメラユニット50自体の故障であるかを調べることができる。なお、風等による一時的な要因により各撮像画像の合焦評価値が低下することもあるが、カメラユニット50の撮影枚数を増やすようにしているので、情報処理装置2には、風によって合焦評価値が低下した画像が送信されることはない。従って、合焦評価値が低くなったときには、カメラユニット50におけるカメラレンズの汚れや、カメラユニット50自体の故障が生じた可能性があることを管理者に認識させることができる。
【0048】
これにより、カメラユニット50の故障等であることを早期に発見でき、カメラユニット50の故障により不鮮明な農作物画像を蓄積してしまうことを回避でき、データの損失を最小限に抑えることができる。逆に、合焦評価値が所定値よりも低くない場合には(ステップS13、NO)、警報はしない。
【0049】
枚数設定部82は、所定時間毎にデータ受信部81が受信した合焦評価値に応じた画像撮影枚数を設定する。そして、枚数設定部82は、設定した画像撮影枚数を所定時間毎にデータ収集装置3に送信する。これにより、データ収集装置3は、所定時間毎にカメラユニット50が撮像する農作物画像の枚数を増減する。
【0050】
合焦評価値が所定値よりも高い場合、枚数設定部82は、カメラユニット50により所定時間毎に撮像する画像撮影枚数を減少させることができる(ステップS14)。これにより、枚数設定部82は、合焦評価値が所定値よりも高く、画像撮影枚数を減少させても良いとされる特定値よりも高い場合に、画像撮影枚数を減少させることができる。この特定値は、上記の合焦評価値の所定値が管理者が希望する鮮明度合いの1/2である場合、例えば、管理者が希望する鮮明度合いの2/3とされる。これにより、合焦評価値が特定値よりも高く鮮明である場合には、カメラユニット50により多くの農作物画像を取得する必要がない。これに応じて、情報処理装置2は、データ収集装置3の動作負荷、消費電力を減らす。なお、画像撮影枚数は、最小値(例えば4枚)よりも少なくならないようにされる。
【0051】
合焦評価値が所定値よりも低い場合(ステップS13,YES)、枚数設定部82は、カメラユニット50の画像撮影枚数を増加させる(ステップS16)。このとき、枚数設定部82は、1枚だけ画像撮影枚数を増加させる。枚数設定部82は、所定時間毎に情報処理装置2から合焦評価値及び農作物画像データが供給されて、合焦評価値が所定値よりも低くなる度に画像撮影枚数を増加させる。これにより、データ収集装置3は、合焦評価値が低くなっている状況においては、より合焦評価値が高い農作物画像データを取得できるように、カメラユニット50に多くの枚数の農作物画像データを撮像させる。
【0052】
ステップS14又はステップS16により枚数設定部82が設定した画像撮影枚数は、情報処理装置2から、データ収集装置3のカメラ制御部74に対して、制御信号として送信される(ステップS17)。データ収集装置3は、カメラ制御部74により、情報処理装置2が設定した画像撮影枚数を、1回の撮影動作において農作物画像データを撮像する枚数に変更する。
【0053】
これにより、データ収集装置3は、合焦評価値に応じて、カメラユニット50の画像撮影枚数を制御でき、風等の影響により農作物画像が不鮮明となりやすい時には自動的に画像撮影枚数を増加でき、鮮明な農作物画像を取得できる可能性が高まる。逆に、鮮明な農作物画像が撮像できている場合には、画像撮影枚数を少なくして、カメラユニット50が必要以上に農作物画像を撮像することを抑制できる。
【0054】
なお、情報処理装置2は、ステップS16の処理によりカメラユニット50の撮影枚数が例えば30枚といったように増え続けてしまうことがある。例えば、データ収集装置3が設置されている農地の地域が常に風が吹いている場合に、平均して合焦評価値が低くなってしまい、カメラユニット50の撮影枚数が増え続けることがある。このように、カメラユニット50の撮影枚数が増え続けた場合、情報処理装置2は、その旨のアラームを発する。これにより、管理者は、当該農地のデータ収集装置3のカメラユニット50を、シャッタースピードの速いものに替える必要があることを知って対策を採ることができる。
【0055】
また、ステップS16の処理によってカメラユニット50の撮影枚数が増え続ける場合、当該データ収集装置3が設置されている地域が、風が吹いていることが多いこととなる。したがって、ステップS16の処理によりカメラユニット50の撮影枚数が増え続けた結果を、データ収集装置3が設けられている農地の平均風量データの代用データとして用いることができる。例えば、カメラユニット50の撮影枚数が増えない場合には農地の風量が少ないので、花粉が飛ぶことによる受粉が少ないことを推定できる。また、カメラユニット50の撮影枚数が増え続けた場合には農地の風量が多いので、農薬散布には向かない状況であることを推定できる。このように、情報処理装置2は、カメラユニット50の撮影枚数の変化を、農作物の育成に役立てることができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 農作物情報管理システム
2 情報処理装置
3 データ収集装置
4 サーバ
30 本体ユニット
30a 本体ハウジング
30b 脚部
30c 支柱
31 データ制御部
32 データ収集部
33 データ演算部
34 データ記憶部
35 データ表示部
36 無線通信制御部
37 無線通信部
38 センサI/F部
50 カメラユニット
51 カメラ
52 電源部
60〜62 温湿度センサ
63 土壌温度センサ
64 土壌水分センサ
65 土壌ECセンサ
66 日射量センサ
67 CO2センサ
71 画像評価部
72 画像選択部
73 送信制御部
74 カメラ制御部
81 データ受信部
82 枚数設定部
83 警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農地における農作物の情報を取得するデータ収集装置と、当該データ収集装置から農作物の情報が送信される情報処理装置とを含む農作物情報管理システムにおいて、
前記データ収集装置が、
農作物を含む領域が撮像領域とされ、1回の撮像動作により複数の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された各画像のうち農作物画像を含む評価領域における合焦評価値を算出する画像評価手段と、
前記画像評価手段により算出された各画像の合焦評価値のうち、最も高い合焦評価値が算出された画像を選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段により選択された画像を前記情報処理装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする農作物情報管理システム。
【請求項2】
前記データ収集装置は、前記画像と共に当該画像の合焦評価値を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記合焦評価値が所定値よりも低い場合に、警報を報知する警報手段を有すること
を特徴とする請求項1に記載の農作物情報管理システム。
【請求項3】
前記データ収集装置は、所定時間毎に画像及び当該画像の合焦評価値を送信し、
前記情報処理装置は、所定時間毎に受信した合焦評価値に応じた画像撮影枚数を設定し、
前記情報処理装置は、前記情報処理装置により設定された画像撮影枚数を所定時間毎に前記データ収集装置に送信して、前記撮像手段の画像撮影枚数を増減すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農作物情報管理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置が設定した画像撮影枚数を、前記データ収集装置付近の平均風量データの代用データとして用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の農作物情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−193843(P2011−193843A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66435(P2010−66435)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】