説明

農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置

【課題】 組み替え遺伝子農作物の混入の可能性が高いエレベーターを推定する農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置を提供する。
【解決手段】 農作物流通管理装置1は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにて発行される証明書に関する情報を含む各種の情報をハードディスク13に設けられた各データベース13A乃至13Hに記憶しており、これらの各種の情報を用いて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性があるエレベーターを判別し、その中からその可能性が高いエレベーターを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物群がバルク輸送される場合における農作物の流通を管理する農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内で流通している遺伝子組み換え農作物(以下、「GM作物(Genetically
Modified Organism)」という)を用いた遺伝子組み換え食品は、食品衛生法による安全性審査を通過し、更にJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)による表示基準を満たさなければならない。この表示基準にしたがって非GM作物であることを表示するために必要となるのが、IPハンドリング(Identity Preserving Handling:分別精算流通管理)と呼ばれる手法である。このIPハンドリングとは、農作物群がバルク輸送される際に、フード・チェーンの各段階で証明書の発行及びその認証を繰り返すことによって、当該農作物群にGM作物が混入されていないことを証明するための管理方法である。
【0003】
非特許文献1に開示されているように、上記のIPハンドリングにおいては、農家から港湾サイロへ向かう間に、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経由する。このとき、各エレベーターにおいて証明書が発行され、この証明書によって当該各エレベーターにおいて適切な分別処理が実施されたことが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】財団法人食品産業センター、「アメリカ及びカナダ産のバルク輸送非遺伝子組換え原料(大豆、とうもろこし)確保のための流通マニュアル」、農林水産省総合食料局品質課、2001年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クリーニングが不十分な場合等、何らかの理由によって、証明書が発行されたものの、一定量以上のGM作物が輸送対象の農作物群に混入されてしまう場合がある。この場合に、どの段階でGM作物の混入がなされたのかが判明せず、混入の可能性の高い段階を特定することができないという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、IPハンドリングにしたがって農作物群がバルク輸送される場合において、どの段階で当該農作物群にGM作物が混入される可能性が高いのかを推定することができる農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物流通管理方法は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物群がバルク輸送される場合に、記憶部を具備するコンピュータを用いて当該農作物群の流通を管理する農作物流通管理方法であって、前記コンピュータが、カントリーエレベーターによって発行され、リバーエレベーターに対して送付された、当該カントリーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第1証明書に関する第1証明書情報を前記記憶部に記憶する第1証明書情報記憶工程と、リバーエレベーターによって発行され、エクスポートエレベーターに対して送付された、当該リバーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第2証明書に関する第2証明書情報を前記記憶部に記憶する第2証明書情報記憶工程と、エクスポートエレベーターによって発行され、港湾サイロに対して送付された、当該エクスポートエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第3証明書に関する第3証明書情報を前記記憶部に記憶する第3証明書情報記憶工程と、港湾サイロにおける農作物群の遺伝子検査の結果を示す検査結果情報を前記記憶部に記憶する検査結果情報記憶工程と、前記記憶部に記憶されている検査結果情報を参照し、遺伝子組み換え農作物が所定量以上含まれている農作物群を特定する農作物群特定工程と、前記記憶部に記憶されている第1証明書情報、第2証明書情報及び第3証明書情報に基づいて、前記農作物群特定工程により特定された農作物群が、何れのカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経たのかを特定するエレベーター特定工程と、前記エレベーター特定工程によって特定されたカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを、遺伝子組み換え農作物混入の可能性がある混入可能性エレベーターと判別し、当該カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターに関する混入可能性エレベーター情報を前記記憶部に記憶する混入可能性エレベーター情報記憶工程と、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する推定工程とを実行する。
【0008】
前記態様における前記推定工程において、前記コンピュータが、流通ルートの下流側に位置するエレベーターに対しては緩い判定基準を用い、上流側に位置するエレベーターに対しては厳しい判定基準を用いて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記コンピュータが、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおける遺伝子組み換え農作物の搬出履歴に関する搬出履歴情報を前記記憶部に記憶する搬出履歴情報記憶工程を更に実行し、前記推定工程において、前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報及び搬出履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記コンピュータが、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおけるクリーニングの実施履歴に関する実施履歴情報を前記記憶部に記憶する実施履歴情報記憶工程を更に実行し、前記推定工程において、前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報及び実施履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が低い流通ルートを特定する優良流通ルート特定工程を更に実行するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一の態様の農作物流通管理装置は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物群がバルク輸送される場合に、当該農作物群の流通を管理する農作物流通管理装置であって、カントリーエレベーターによって発行され、リバーエレベーターに対して送付された、当該カントリーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第1証明書に関する第1証明書情報を記憶する第1証明書情報記憶手段と、リバーエレベーターによって発行され、エクスポートエレベーターに対して送付された、当該リバーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第2証明書に関する第2証明書情報を記憶する第2証明書情報記憶手段と、エクスポートエレベーターによって発行され、港湾サイロに対して送付された、当該エクスポートエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第3証明書に関する第3証明書情報を記憶する第3証明書情報記憶手段と、港湾サイロにおける農作物群の遺伝子検査の結果を示す検査結果情報を記憶する検査結果情報記憶手段と、前記検査結果情報記憶手段によって記憶された検査結果情報を参照し、遺伝子組み換え農作物が所定量以上含まれている農作物群を特定する農作物群特定手段と、前記第1証明書情報記憶手段、前記第2証明書情報記憶手段及び前記第3証明書情報記憶手段によってそれぞれ記憶された第1証明書情報、第2証明書情報及び第3証明書情報に基づいて、前記農作物群特定手段により特定された農作物群が、何れのカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経たのかを特定するエレベーター特定手段と、前記エレベーター特定手段によって特定されたカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを、遺伝子組み換え農作物混入の可能性がある混入可能性エレベーターと判別し、当該カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターに関する混入可能性エレベーター情報を記憶する混入可能性エレベーター情報記憶手段と、前記混入可能性エレベーター情報記憶手段によって記憶された混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する推定手段とを備える。
【0013】
前記態様において、前記推定手段が、流通ルートの下流側に位置するエレベーターに対しては緩い判定基準を用い、上流側に位置するエレベーターに対しては厳しい判定基準を用いて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されていてもよい。
【0014】
また、前記態様の農作物流通管理装置が、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおける遺伝子組み換え農作物の搬出履歴に関する搬出履歴情報を記憶する搬出履歴情報記憶手段を更に備え、前記推定手段が、前記記憶された混入可能性エレベーター情報及び前記搬出履歴情報記憶手段によって記憶された搬出履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記態様の農作物流通管理装置が、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおけるクリーニングの実施履歴に関する実施履歴情報を記憶する実施履歴情報記憶手段を更に備え、前記推定手段が、前記記憶された混入可能性エレベーター情報及び前記実施履歴情報記憶手段によって記憶された実施履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されていてもよい。
【0016】
さらに、前記態様の農作物流通管理装置が、前記記憶された混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が低い流通ルートを特定する優良流通ルート特定手段を更に備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置によれば、農作物群がバルク輸送される間に経由する各エレベーターのうち遺伝子組み換え農作物の混入が起こりやすいエレベーターを特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】IPハンドリングに基づいて農作物群がバルク輸送される場合の流通過程を示す説明図。
【図2】本発明の実施の形態の農作物流通管理システムの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているカントリーエレベーター情報マスターデータベースのレイアウトの一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているカントリーエレベーター情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているリバーエレベーター情報マスターデータベースのレイアウトの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているリバーエレベーター情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているエクスポートエレベーター情報マスターデータベースのレイアウトの一例を示す図。
【図9】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられているエクスポートエレベーター情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられている港湾サイロ情報マスターデータベースのレイアウトの一例を示す図。
【図11】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられている港湾サイロ情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置に設けられている流通ルート情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図13】カントリーエレベーター側で操作される端末装置の表示装置に表示される入力画面例を示す図。
【図14】リバーエレベーター側で操作される端末装置の表示装置に表示される入力画面例を示す図。
【図15】エクスポートエレベーター側で操作される端末装置の表示装置に表示される入力画面例を示す図。
【図16】港湾サイロ側で操作される端末装置の表示装置に表示される入力画面例を示す図。
【図17】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する流通ルート情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図18】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する農家良否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図19】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行するCE良否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図20】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行するRE良否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図21】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行するEE良否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図22】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する優良流通ルート探索処理の手順を示すフローチャート。
【図23】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する農家向けレポート情報生成処理の手順を示すフローチャート。
【図24】農家向けレポート情報の一例を示す図。
【図25】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する流通ルート情報更新処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【図26】本発明の実施の形態の農作物流通管理装置が実行する流通ルート情報更新処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0020】
図1は、IPハンドリングに基づいて農作物群がバルク輸送される場合の流通過程を示す説明図である。図1に示すとおり、この流通過程では、農作物の生産者である米国における複数の農家F1乃至F12,…と、これらの農家F1乃至F12,…の少なくとも何れかから農作物群の搬入を受けてこれを保管する複数のカントリーエレベーターC1乃至C4,…と、これらのカントリーエレベーターC1乃至C4,…の少なくとも何れかから農作物群の搬入を受けてこれを保管する複数のリバーエレベーターR1乃至R4,…と、これらのリバーエレベーターR1,R2,…の少なくとも何れかから農作物群の搬入を受けてこれを保管する複数のエクスポートエレベーターE1,E2,…と、これらの複数のエクスポートエレベーターE1,E2,…の少なくとも何れかから農作物群の搬入を受けてこれを保管する日本の港Pと、港Pを介して農作物群の搬入を受ける港湾サイロSとが登場する。これらの各流通段階において証明書が発行され、次の段階に農作物群が搬送される際に当該証明書が併せて送付される。後述するように、本実施の形態では、カントリーエレベーターC1乃至C4,…、リバーエレベーターR1,R2,…、及びエクスポートエレベーターE1,E2,…の各エレベーターにおいて発行される証明書に基づいて、農家F1乃至F12,…から港湾サイロSまでの流通ルートを特定する。
【0021】
なお、図1には、港湾サイロSまでの流通過程しか示されていないが、港湾サイロS以降、農作物群は、卸売業者倉庫又は中間加工製品製造業者を経て、食品製造業者製造工場に供給される。IPハンドリングに基づく場合、これらの卸売業者倉庫及び中間加工製品製造業者においても、証明書が発行され、食品製造業者製造工場に送付されることになる。
【0022】
[農作物流通管理システムの構成]
図2は、本発明の実施の形態の農作物流通管理システムの構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、本実施の形態の農作物流通管理システムは、農家F1乃至F12,…から港湾サイロSまでの農作物群の流通を管理する農作物流通管理装置1と、農家F1乃至F12,…側、カントリーエレベーターC1乃至C4,…、リバーエレベーターR1,R2,…、及びエクスポートエレベーターE1,E2,…の各エレベーター側、並びに港湾サイロS側で操作されるパーソナルコンピュータ及び携帯型電話機等の端末装置2,2,…とを備えている。これらの農作物流通管理装置1と端末装置2,2,…とは、インターネット等の通信ネットワークNTWを介して通信可能に接続される。
【0023】
[農作物流通管理装置の構成]
次に、上記の農作物流通管理装置1の構成の詳細について説明する。
図3は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、コンピュータ(農作物流通管理装置)1は、本体100と、キーボード及びマウスからなる入力部101と、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ102とを備えている。本体100は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、入出力インタフェース(I/F)14、画像出力インタフェース(I/F)15、通信インタフェース(I/F)16を備えており、これらのCPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、入出力I/F14、画像出力I/F15及び通信I/F16は、バス17によって接続されている。
【0024】
CPU10は、RAM12にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の農作物流通管理装置1として機能することになる。
【0025】
ROM11は、マスクROM、PROM、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU10にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0026】
RAM12は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM12は、ハードディスク13に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU10が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0027】
ハードディスク13には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU10に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク13には、カントリーエレベーター(CE)情報マスターデータベース(DB)13A、カントリーエレベーター(CE)情報データベース(DB)13B、リバーエレベーター(RE)情報マスターデータベース(DB)13C、リバーエレベーター(RE)情報データベース(DB)13D、エクスポートエレベーター(EE)情報マスターデータベース(DB)13E、エクスポートエレベーター(EE)情報データベース(DB)13F、港湾サイロ情報マスターデータベース(DB)13G、港湾サイロ情報データベース(DB)13H、及び流通ルート情報データベース(DB)12Iが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0028】
また、ハードディスク13には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0029】
入出力I/F14は、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェース等から構成されている。この入出力I/F14には、入力部101が接続されており、ユーザが当該入力部101を操作することにより、コンピュータ1にデータを入力することが可能になる。
【0030】
画像出力I/F15は、ディスプレイ102に接続されており、この画像出力I/F15を介してCPU10から画像データに応じた映像信号等がディスプレイ102に与えられる。ディスプレイ102は、CPU10より入力された映像信号等にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0031】
通信I/F16は、通信ネットワークNTWを介して農作物流通管理装置1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。農作物流通管理装置1は、この通信I/F16を介して、端末2,2,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0032】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベースの詳細について説明する。
(A)CE情報マスターDB13A
図4は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているCE情報マスターDB13Aのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すように、CE情報マスターDB13Aは、バルク輸送の対象である農作物群を識別するための第1ロット番号が格納される第1ロット番号フィールド101、搬送元のカントリーエレベーターの名称が格納されるCE名称フィールド102、搬送元から搬送先へ農作物群が搬送される予定日が格納される搬送予定日フィールド103、搬送先のリバーエレベーターの名称が格納されるRE名称フィールド104、カントリーエレベーターにおいて発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド105、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド106を有している。これらの各フィールド101乃至106に格納される情報は、バルク輸送される農作物群毎(ロット毎)に、各カントリーエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0033】
(B)CE情報DB13B
図5は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているCE情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すように、CE情報DB13Bは、第1ロット番号に枝番が付けられた第1ロットIDが格納される第1ロットIDフィールド111、農作物群の生産者である農家の名称が格納される農家名称フィールド112、農作物の名称が格納される農作物フィールド113、農作物群の生産量が格納される生産量フィールド114、農家において発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド115、呼び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド116を有している。なお、同じロットでバルク輸送される農作物群には、枝番のみが異なる第1ロットIDが設定される。これらの各フィールド111乃至116に格納される情報は、各農家から出荷される農作物群毎に、各カントリーエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0034】
(C)RE情報マスターDB13C
図6は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているRE情報マスターDB13Cのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、RE情報マスターDB13Cは、バルク輸送の対象である農作物群を識別するための第2ロット番号が格納される第2ロット番号フィールド201、搬送元のリバーエレベーターの名称が格納されるRE名称フィールド202、搬送元から搬送先へ農作物群が搬送される予定日が格納される搬送予定日フィールド203、搬送先のエクスポートエレベーターの名称が格納されるEE名称フィールド204、リバーエレベーターにおいて発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド205、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド206を有している。これらの各フィールド201乃至206に格納される情報は、バルク輸送される農作物群毎(ロット毎)に、各リバーエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0035】
(D)RE情報DB13D
図7は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているRE情報DB13Dのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、RE情報DB13Dは、第2ロット番号に枝番が付けられた第2ロットIDが格納される第2ロットIDフィールド211、搬送元であるカントリーエレベーターの名称が格納されるCE名称フィールド212、カントリーエレベーターの段階で設定された第1ロット番号が格納される第1ロット番号フィールド213、カントリーエレベーターで発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド214、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド215を有している。なお、同じロットでバルク輸送される農作物群には、枝番のみが異なる第2ロットIDが設定される。これらの各フィールド211乃至215に格納される情報は、カントリーエレベーターから搬送される農作物群毎に、各リバーエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0036】
(E)EE情報マスターDB13E
図8は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているEE情報マスターDB13Eのレイアウトの一例を示す図である。図8に示すように、RE情報マスターDB13Eは、バルク輸送の対象である農作物群を識別するための第3ロット番号が格納される第3ロット番号フィールド301、搬送元のエクスポートエレベーターの名称が格納されるEE名称フィールド302、搬送元から搬送先へ農作物群が搬送される予定日が格納される搬送予定日フィールド303、搬送先の港湾サイロの名称が格納される港湾サイロ名称フィールド304、エクスポートエレベーターにおいて発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド305、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド306を有している。これらの各フィールド301乃至306に格納される情報は、バルク輸送される農作物群毎(ロット毎)に、各エクスポートエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0037】
(F)EE情報DB13F
図9は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられているEE情報DB13Fのレイアウトの一例を示す図である。図9に示すように、EE情報DB13Fは、第3ロット番号に枝番が付けられた第3ロットIDが格納される第3ロットIDフィールド311、搬送元であるリバーエレベーターの名称が格納されるRE名称フィールド312、リバーエレベーターの段階で設定された第2ロット番号が格納される第2ロット番号フィールド313、リバーエレベーターで発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド314、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド315を有している。なお、同じロットでバルク輸送される農作物群には、枝番のみが異なる第3ロットIDが設定される。これらの各フィールド311乃至315に格納される情報は、リバーエレベーターから搬送される農作物群毎に、各エクスポートエレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0038】
(G)港湾サイロ情報マスターDB13G
図10は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられている港湾サイロ情報マスターDB13Gのレイアウトの一例を示す図である。図10に示すように、港湾サイロ情報マスターDB13Gは、バルク輸送の対象である農作物群を識別するための第4ロット番号が格納される第4ロット番号フィールド401、搬送された農作物群を受けて保管する港湾サイロの名称が格納される港湾サイロ名称フィールド402、搬送元であるエクスポートエレベーターで発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド403、当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド404、港湾サイロにおいて実施された定量PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法による検査(以下、「定量PCR検査」という)により判明した農作物群におけるGM作物の混入率が格納される混入率フィールド405、及び当該混入率に基づいて判定された合否結果が格納される合否フィールド406を有している。これらの各フィールド401乃至406に格納される情報は、バルク輸送される農作物群毎(ロット毎)に、各港湾サイロ側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。なお、本実施の形態では、GM作物の混入率が5%以下である場合は合格とし、5%を超える場合は不合格とする。
【0039】
(H)港湾サイロ情報DB13H
図11は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられている港湾サイロ情報DB13Hのレイアウトの一例を示す図である。図11に示すように、港湾サイロ情報DB13Hは、第4ロット番号に枝番が付けられた第4ロットIDが格納される第4ロットIDフィールド411、搬送元であるエクスポートエレベーターの名称が格納されるEE名称フィールド412、エクスポートエレベーターの段階で設定された第3ロット番号が格納される第3ロット番号フィールド413、エクスポートエレベーターで発行された証明書の日付が格納される証明日付フィールド414、及び当該証明書を識別するための証明書番号が格納される証明書番号フィールド415を有している。なお、同じロットでバルク輸送される農作物群には、枝番のみが異なる第4ロットIDが設定される。これらの各フィールド411乃至415に格納される情報は、エクスポートエレベーターから搬送される農作物群毎に、各港湾サイロ側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から農作物流通管理装置1に対して送信される。
【0040】
(I)流通ルート情報DB13I
図12は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1に設けられている流通ルート情報DB13Iのレイアウトの一例を示す図である。図12に示すように、流通ルート情報DB13Iは、一の流通ルートに含まれる農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロのそれぞれの名称が格納される農家フィールド501、CEフィールド502、REフィールド503、EEフィールド504、及び港湾サイロフィールド505と、この流通ルートに対して後述するようにして算出された得点の合計値が格納される得点フィールド506とを有している。
【0041】
[端末装置の動作]
上述したように、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロ側で端末装置2が操作されて各種の情報が入力され、その入力を受け付けた端末装置2がその情報を農作物流通管理装置1に対して送信する。以下、この入力の際に端末装置2の表示画面上に表示される入力画面について説明する。
【0042】
図13は、カントリーエレベーター側で操作される端末装置2の表示装置に表示される入力画面例を示す図である。図13に示すように、この入力画面201には、搬送予定日、搬送先のリバーエレベーターの名称、カントリーエレベーターで発行された証明書の証明書番号、及び第1ロット番号を入力するための各入力欄と、この第1ロット番号で識別されるロットでバルク輸送される農作物群の内訳を表示する表示欄201Aとが設けられている。
【0043】
表示欄201Aには、図13に示すとおり、農家の名称、農作物の種別、農作物の生産量(出荷量)、並びに農家側で発行された証明書の証明日付及び証明書番号等が表示されている。この表示欄201Aに表示される各情報は、農家側から提供された証明書等に基づいて、別の入力画面を介してカントリーエレベーター側で入力されたものである。なお、この農家側から提供された証明書は、スキャナ装置等によって画像データに変換され、端末装置2が備える記憶装置に当該画像データが記憶される。図13に示す例では、証明書番号に下線が付されているが、これは当該証明書番号がクリックされた場合に証明書の画像データが表示されることを示している。
【0044】
カントリーエレベーター側のオペレータは、端末装置2を操作することによって入力画面201の各入力欄に対して各情報を入力し、その後、農作物流通管理装置1に対して送信する。農作物流通管理装置1は、カントリーエレベーター側の端末装置2から入力情報を受信した場合、受信した入力情報をCE情報マスターDB13A及びCE情報DB13Bに登録する。なお、このときに、表示欄201Aに表示されている各情報及び証明書の画像データも併せて端末装置2から農作物流通管理装置1へ送信され、農作物流通管理装置1にて、CE情報マスターDB13A及びCE情報DB13Bに各情報が登録される。
【0045】
図14は、リバーエレベーター側で操作される端末装置2の表示装置に表示される入力画面例を示す図である。図14に示すように、この入力画面202には、搬送予定日、搬送先のエクスポートエレベーターの名称、リバーエレベーターで発行された証明書の証明書番号、及び第2ロット番号を入力するための各入力欄と、この第2ロット番号で識別されるロットでバルク輸送される農作物群の内訳を表示する表示欄202Aとが設けられている。
【0046】
表示欄202Aには、図14に示すとおり、カントリーエレベーターの名称、第1ロット番号、並びにカントリーエレベーター側で発行された証明書の証明日付及び証明書番号等が表示されている。この表示欄202Aに表示される各情報は、カントリーエレベーター側から提供された証明書等に基づいて、別の入力画面を介してリバーエレベーター側で入力されたものである。なお、このカントリーエレベーター側から提供された証明書は、上記の場合と同様にして、スキャナ装置等によって画像データに変換され、端末装置2が備える記憶装置に当該画像データが記憶される。
【0047】
リバーエレベーター側のオペレータは、端末装置2を操作することによって入力画面202の各入力欄に対して各情報を入力し、その後、農作物流通管理装置1に対して送信する。農作物流通管理装置1は、リバーエレベーター側の端末装置2から入力情報を受信した場合、受信した入力情報をRE情報マスターDB13C及びRE情報DB13Dに登録する。なお、このときに、表示欄202Aに表示されている各情報及び証明書の画像データも併せて端末装置2から農作物流通管理装置1へ送信され、農作物流通管理装置1にて、RE情報マスターDB13C及びRE情報DB13Dに各情報が登録される。
【0048】
図15は、エクスポートエレベーター側で操作される端末装置2の表示装置に表示される入力画面例を示す図である。図15に示すように、この入力画面203には、搬送予定日、搬送先の港湾サイロの名称、エクスポートエレベーターで発行された証明書の証明書番号、及び第3ロット番号を入力するための各入力欄と、この第3ロット番号で識別されるロットでバルク輸送される農作物群の内訳を表示する表示欄203Aとが設けられている。
【0049】
表示欄203Aには、図15に示すとおり、リバーエレベーターの名称、第2ロット番号、並びにリバーエレベーター側で発行された証明書の証明日付及び証明書番号等が表示されている。この表示欄203Aに表示される各情報は、リバーエレベーター側から提供された証明書等に基づいて、別の入力画面を介してエクスポートエレベーター側で入力されたものである。なお、このリバーエレベーター側から提供された証明書は、上記の場合と同様にして、スキャナ装置等によって画像データに変換され、端末装置2が備える記憶装置に当該画像データが記憶される。
【0050】
エクスポートエレベーター側のオペレータは、端末装置2を操作することによって入力画面203の各入力欄に対して各情報を入力し、その後、農作物流通管理装置1に対して送信する。農作物流通管理装置1は、エクスポートエレベーター側の端末装置2から入力情報を受信した場合、受信した入力情報をEE情報マスターDB13E及びEE情報DB13Fに登録する。なお、このときに、表示欄203Aに表示されている各情報及び証明書の画像データも併せて端末装置2から農作物流通管理装置1へ送信され、農作物流通管理装置1にて、EE情報マスターDB13E及びEE情報DB13Fに各情報が登録される。
【0051】
図16は、港湾サイロ側で操作される端末装置2の表示装置に表示される入力画面例を示す図である。図16に示すように、この入力画面204には、搬送予定日、港湾サイロで発行された証明書の証明書番号、及び第4ロット番号を入力するための各入力欄と、この第4ロット番号で識別されるロットでバルク輸送される農作物群の内訳を表示する表示欄204Aとが設けられている。
【0052】
表示欄204Aには、図16に示すとおり、エクスポートエレベーターの名称、第3ロット番号、並びにエクスポートエレベーター側で発行された証明書の証明日付及び証明書番号等が表示されている。この表示欄204Aに表示される各情報は、エクスポートエレベーター側から提供された証明書等に基づいて、別の入力画面を介して港湾サイロ側で入力されたものである。なお、このエクスポートエレベーター側から提供された証明書は、上記の場合と同様にして、スキャナ装置等によって画像データに変換され、端末装置2が備える記憶装置に当該画像データが記憶される。
【0053】
港湾サイロ側のオペレータは、端末装置2を操作することによって入力画面204の各入力欄に対して各情報を入力し、その後、農作物流通管理装置1に対して送信する。農作物流通管理装置1は、港湾サイロ側の端末装置2から入力情報を受信した場合、受信した入力情報を港湾サイロ情報マスターDB13G及び港湾サイロ情報DB13Hに登録する。なお、このときに、表示欄204Aに表示されている各情報及び証明書の画像データも併せて端末装置2から農作物流通管理装置1へ送信され、農作物流通管理装置1にて、港湾サイロ情報マスターDB13G及び港湾サイロ情報DB13Hに各情報が登録される。
【0054】
[農作物流通管理装置の動作]
次に、上述したように構成された農作物流通管理装置1の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の農作物流通管理装置1が実行する主な処理には、(1)流通ルート情報DB13Iを更新するための流通ルート情報更新処理、(2)農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの良否を判定するための良否判定処理、(3)優良な流通ルートを探すための優良流通ルート探索処理、及び(4)農家向けのレポート情報を生成するための農家向けレポート情報生成処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0055】
(1)流通ルート情報更新処理
図17は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行する流通ルート情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の流通ルート情報更新処理は、例えば港湾サイロにて定量PCR検査が実行された場合に港湾サイロ情報マスターDB13Gに混入率及び合否の情報が登録される都度等、所定のタイミングで実行される。
【0056】
農作物流通管理装置1はまず、港湾サイロ情報マスターDB13Gを参照し、合否判定の結果不合格となったケース、すなわちGM作物の混入率が5%を超えると判定されたケースを処理対象とし、その処理対象の第4ロット番号及び港湾サイロを特定する(S101)。例えば、図10に示す例の場合、合否判定の結果不合格となっているのは第4ロット番号が“159”となっているケースであるため、ステップS101では第4ロット番号として“159”が、港湾サイロとして“KKKサイロ”がそれぞれ特定されることになる。
【0057】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS101にて特定した第4ロット番号を含む第4ロットIDを有するケースを港湾サイロ情報DB13Hから検索し、そのケースの第3ロット番号及びエクスポートエレベーターを特定する(S102)。例えば、図11に示す例の場合、ステップS101にて特定された“159”を含む第4ロットIDを有するケースとして第4ロットIDが“159−01”であるケースが検索され、そのケースの第3ロット番号“2533”及びエクスポートエレベーター“GGGEE”がステップS102にて特定されることになる。
【0058】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS102の場合と同様にして、特定した第3ロット番号を含む第3ロットIDを有するケースをEE情報DB13Fから検索し、そのケースの第2ロット番号及びリバーエレベーターを特定する(S103)。さらに、農作物流通管理装置1は、特定した第2ロット番号を含む第2ロットIDを有するケースをRE情報DB13Dから検索し、そのケースの第1ロット番号及びカントリーエレベーターを特定する(S104)。例えば、図7及び図9に示す例の場合、ステップS103にて第2ロット番号“37995”及びリバーエレベーター“DDDRE”が特定され、ステップS104にて第1ロット番号“8250234”及びカントリーエレベーター“AAACE”が特定されることになる。
【0059】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS104にて特定した第1ロット番号を含む第1ロットIDを有するケースをCE情報DB13Bから検索し、そのケースの農家を特定する(S105)。例えば、図5に示す例の場合、第1ロットIDが“8250234−01”であるケースが検索され、そのケースの農家“○○○○○”がステップS105にて特定されることになる。
【0060】
なお、ステップS104にて特定した第1ロット番号を含む第1ロットIDが複数ある場合は、ステップS105が複数回繰り返されて、当該第1ロットIDを有するすべてのケースの農家が特定される。
【0061】
農作物流通管理装置1は、上述した各ステップにより特定された農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロを、同じく特定された第1乃至第4ロット番号に係る農作物群の流通ルートとして特定する(S106)。そして、農作物流通管理装置1は、特定した流通ルートに含まれる農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロを検索キーとして流通ルート情報DB13Iを検索し、検索された流通ルート情報の得点フィールド506の値に1ポイント加算することにより流通ルート情報DB13Iを更新する(S107)。これにより、定量PCR検査の結果不合格と判定された農作物群の流通ルートに対して得点(ペナルティ)が与えられることになる。
【0062】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS103にて特定した第2ロット番号を含む第2ロットIDを有するすべてのケースの第1ロット番号が特定されたか否かを判定する(S108)。ここで、まだ特定されていない第1ロット番号があると判定した場合(S108でNO)、ステップS104に戻り、ステップS103にて特定した第2ロット番号を含む他の第2ロットIDを有するケースをRE情報DB13Dから検索し、そのケースの第1ロット番号及びカントリーエレベーターを特定する(S104)。以降、ステップS105乃至S107が実行される。
【0063】
ステップS108において、すべての第1ロット番号が特定されたと判定した場合(S108でYES)、農作物流通管理装置1は、ステップS102にて特定した第3ロット番号を含む第3ロットIDを有するすべてのケースの第2ロット番号が特定されたか否かを判定する(S109)。ここで、まだ特定されていない第2ロット番号があると判定した場合(S109でNO)、ステップS103に戻り、ステップS102にて特定した第3ロット番号を含む他の第3ロットIDを有するケースをEE情報DB13Fから検索し、そのケースの第2ロット番号及びリバーエレベーターを特定する(S103)。以降、ステップS104乃至S108が実行される。
【0064】
ステップS109において、すべての第2ロット番号が特定されたと判定した場合(S109でYES)、農作物流通管理装置1は、ステップS101にて特定した第4ロット番号を含む第4ロットIDを有するすべてのケースの第3ロット番号が特定されたか否かを判定する(S110)。ここで、まだ特定されていない第3ロット番号があると判定した場合(S110でNO)、ステップS102に戻り、ステップS101にて特定した第
4ロット番号を含む他の第4ロットIDを有するケースを港湾サイロ情報DB13Hから検索し、そのケースの第3ロット番号及びエクスポートエレベーターを特定する(S102)。以降、ステップS103乃至S109が実行される。
【0065】
ステップS110において、すべての第3ロット番号が特定されたと判定した場合(S110でYES)、農作物流通管理装置1は処理を終了する。その結果、ステップS101において処理対象として特定した第4ロット番号の農作物群に含まれるすべての農作物群の流通ルートが特定され、それらの流通ルートに対して得点が与えられることになる。
【0066】
(2)良否判定処理
本実施の形態では、農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターのそれぞれの良否の判定を行う農家良否判定処理、CE良否判定処理、RE良否判定処理及びEE良否判定処理を実行する。後述するように、これらの各良否判定処理の内容は同様であるが、各処理における閾値は異なっている。
【0067】
図18は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行する農家良否判定処理の手順を示すフローチャートである。図18に示すとおり、農作物流通管理装置1はまず、複数の農家の中から農家良否判定処理の対象となる農家を特定する(S201)。次に、農作物流通管理装置1は、その特定した農家を含む流通ルートに係る流通ルート情報を流通ルート情報DB13Iから抽出し、それらの流通ルート情報の得点フィールド506の値を足し合わせることによって当該農家のポイントを集計する(S202)。
【0068】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS202にて集計されたポイントが、農家良否判定のために予め設定された閾値(以下、「農家閾値」という)以上であるか否かを判定する(S203)。農作物流通管理装置1は、集計ポイントが農家閾値以上であると判定した場合(S203でYES)は処理対象の農家を、GM作物を混入した可能性が高い不良農家に設定し(S204)、また、集計ポイントが農家閾値未満であると判定した場合(S203でNO)は当該農家を優良農家に設定する(S205)。
【0069】
図19は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行するCE良否判定処理の手順を示すフローチャートである。図19に示すとおり、農作物流通管理装置1はまず、複数のカントリーエレベーター(CE)の中から農家良否判定処理の対象となるカントリーエレベーターを特定する(S301)。次に、農作物流通管理装置1は、その特定したカントリーエレベーターを含む流通ルートに係る流通ルート情報を流通ルート情報DB13Iから抽出し、それらの流通ルート情報の得点フィールド506の値を足し合わせることによって当該カントリーエレベーターのポイントを集計する(S302)。
【0070】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS302にて集計されたポイントが、CE良否判定のために予め設定された閾値(以下、「CE閾値」という)以上であるか否かを判定する(S303)。農作物流通管理装置1は、集計ポイントがCE閾値以上であると判定した場合(S303でYES)は処理対象のカントリーエレベーターを、GM作物を混入した可能性が高い不良CEに設定し(S304)、また、集計ポイントがCE閾値未満であると判定した場合(S303でNO)は当該カントリーエレベーターを優良CEに設定する(S305)。
【0071】
図20は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行するRE良否判定処理の手順を示すフローチャートである。図20に示すとおり、農作物流通管理装置1はまず、複数のリバーエレベーター(RE)の中から農家良否判定処理の対象となるリバーエレベーターを特定する(S401)。次に、農作物流通管理装置1は、その特定したリバーエレベーターを含む流通ルートに係る流通ルート情報を流通ルート情報DB13Iから抽出し、それらの流通ルート情報の得点フィールド506の値を足し合わせることによって当該リバーエレベーターのポイントを集計する(S402)。
【0072】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS402にて集計されたポイントが、RE良否判定のために予め設定された閾値(以下、「RE閾値」という)以上であるか否かを判定する(S403)。農作物流通管理装置1は、集計ポイントがRE閾値以上であると判定した場合(S403でYES)は処理対象のリバーエレベーターを、GM作物を混入した可能性が高い不良REに設定し(S404)、また、集計ポイントがRE閾値未満であると判定した場合(S403でNO)は当該リバーエレベーターを優良REに設定する(S405)。
【0073】
図21は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行するEE良否判定処理の手順を示すフローチャートである。図21に示すとおり、農作物流通管理装置1はまず、複数のエクスポートエレベーター(EE)の中から農家良否判定処理の対象となるエクスポートエレベーターを特定する(S501)。次に、農作物流通管理装置1は、その特定したエクスポートエレベーターを含む流通ルートに係る流通ルート情報を流通ルート情報DB13Iから抽出し、それらの流通ルート情報の得点フィールド506の値を足し合わせることによって当該エクスポートエレベーターのポイントを集計する(S502)。
【0074】
次に、農作物流通管理装置1は、ステップS502にて集計されたポイントが、EE良否判定のために予め設定された閾値(以下、「EE閾値」という)以上であるか否かを判定する(S503)。農作物流通管理装置1は、集計ポイントがEE閾値以上であると判定した場合(S503でYES)は処理対象のエクスポートエレベーターを、GM作物を混入した可能性が高い不良EEに設定し(S504)、また、集計ポイントがEE閾値未満であると判定した場合(S503でNO)は当該エクスポートエレベーターを優良EEに設定する(S505)。
【0075】
ところで、上述したとおり、上記の各良否判定処理における各閾値は異なる値が設定されており、具体的には、農家閾値<CE閾値<RE閾値<EE閾値の関係を有している。すなわち、例えば農家閾値=2、CE閾値=10、RE閾値=15、EE閾値=30等のように設定される。本実施の形態のように、流通ルートの下流側(港湾サイロ側)に位置するほどその数が少なくなる場合、下流側に位置するほど多くの流通ルートに含まれることになるので得点が高くなる傾向にある。そのため、各閾値を同一の値とすると、すなわち同一の判定基準で判定すると、下流側に位置するほど不良と判定され易くなるという不都合が生じ得る。したがって、下流側に位置するほど緩い判定基準で不良か否かを判定し、上流側に位置するほど厳しい判定基準で不良か否かを判定することが好ましい。本実施の形態では、農家閾値<CE閾値<RE閾値<EE閾値が成立するように各閾値を設定することによって、上流側は厳しい判定基準で、下流側は緩い判定基準で判定を行うようにしている。これにより、より一層適切な良否判定を実現することができる。
【0076】
なお、農作物流通管理装置1は、上述したようにして良否判定が行われた結果を示す情報を、各端末装置2,2,…に送信するようにしてもよい。これにより、各農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターは、自らがどのように評価されたのか、また、他の農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターがどのように評価されたのか等を確認することができる。
【0077】
(3)優良流通ルート探索処理
図22は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行する優良流通ルート探索処理の手順を示すフローチャートである。図22に示すように、農作物流通管理装置1は、流通ルート情報DB13Iを参照し、得点フィールド506の値が所定の閾値(例えば、“0”等)以下の流通ルートを抽出する(S601)。そして、農作物流通管理装置1は、その抽出した流通ルートを優良な流通ルートに設定し(S602)、その優良流通ルートを示す優良流通ルート情報を生成する(S603)。
【0078】
このようにして生成された優良流通ルート情報は、農作物流通管理装置1から各端末装置2,2,…へ送信される。これにより、各農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターは、優良な流通ルートを確認することができ、どの相手に対して搬送すべきか等の判断基準を得ることができる。
【0079】
(4)農家向けレポート情報生成処理
図23は、本発明の実施の形態の農作物流通管理装置1が実行する農家向けレポート情報生成処理の手順を示すフローチャートである。図23に示すように、農作物流通管理装置1はまず、複数の農家の中から農家向けレポート情報生成処理の対象となる農家を特定する(S701)。次に、農作物流通管理装置1は、その特定した農家を含む流通ルートに係る流通ルート情報を流通ルート情報DB13Iから抽出し、それらの流通ルート情報に含まれるカントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロを特定する(S702)。最後に、農作物流通管理装置1は、特定したカントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロに関する情報を、CE情報マスターDB13A、CE情報DB13B、RE情報マスターDB13C、RE情報DB13D、EE情報マスターDB13E、EE情報DB13F、港湾サイロ情報マスターDB13G、港湾サイロ情報DB13H、及び流通ルート情報DB13Iから抽出し、抽出した情報を用いて農家向けレポート情報を生成する(S703)。このようにして生成された農家向けレポート情報は、農作物流通管理装置1から当該農家側の端末装置2へ送信される。なお、農家向けレポート情報が紙媒体に印刷された後に当該農家宛に郵送等されるようにしてもよい。
【0080】
図24は、上記の農家向けレポート情報生成処理の結果生成された農家向けレポート情報の一例を示す図である。図24に示すとおり、この農家向けレポート情報には、当該情報が提供される農家の出荷年月日及び出荷量並びにその出荷に対して当該農家において発行された証明書の証明日付及び証明書番号と、その出荷分を取り扱ったカントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター並びに港湾サイロの名称、出荷年月日、出荷量、証明書の証明日付及び証明書番号と、定量PCR検査により得られたGM作物の混入率及び合否判定の結果とが含まれている。
【0081】
このように、輸入国の港湾サイロでの検証結果を含む各種の情報を輸出国の農家に提供することによって、当該農家は当該輸入国への輸出の是非を判断することが可能となる。
【0082】
なお、上述したように、本実施の形態では、流通ルート情報更新処理において不合格と判定された流通ルートに対して一律1ポイントの得点を与えているが、各種の情報に基づいて与えるポイントを適宜増減させることが考えられる。以下では、そのようにポイントを増減させる場合の2つの例について、図25及び図26のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図25及び図26において、ステップS101乃至S106及びステップS108乃至S110については図17を参照して上述した場合と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0083】
(1a)GM作物の搬出の履歴を用いる例
この例において、RE情報DB13Dには、カントリーエレベーターにて前回搬出した農作物群がGM作物、非GM作物及び肥料の何れであるのかを示す農作物区分がレコード毎に記憶されている。同様にして、EE情報DB13F及び港湾サイロ情報DB13Hにはそれぞれ、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにて前回搬出した農作物群の農作物区分がレコード毎に記憶されている。また、図12に示す流通ルート情報DB13Iは流通ルート毎に得点を記憶する構成であるが、この例においては、農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロ毎に得点が記憶できるようにそれぞれに対して得点フィールドが設けられているものとする。
【0084】
図25に示すように、農作物流通管理装置1は、ステップS106にて特定した流通ルートに含まれるカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの農作物区分を参照し(S801)、前回GM作物を搬出したエレベーターの有無を判定する(S802)。ここで、前回GM作物を搬出したエレベーターがあると判定した場合(S802でYES)、農作物流通管理装置1は、その前回GM作物を搬出したエレベーターの得点フィールドの値に1.5ポイントを加算し、当該流通ルートに含まれるその他のエレベーター並びに農家及び港湾サイロの得点フィールドの値に1ポイント加算する(S803)。他方、前回GM作物を搬出したエレベーターはないと判定した場合(S802でNO)、農作物流通管理装置1は、当該流通ルートに含まれる農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロのすべての得点フィールドの値に1ポイント加算する(S804)。
【0085】
前回の搬出においてGM作物を取り扱った場合、今回の搬出に係る農作物群にGM作物が混入する可能性が高いと考えられる。そのため、上述したようにGM作物を前回搬出したエレベーターに対しては他よりも高い得点を与えることにより、その後により適切な良否判定を行うことが可能になる。なお、ここでは、ステップS803において前回GM作物を搬出したエレベーター以外に対して1ポイントを与えているが、より低いポイント(例えば0.5ポイント)を与えるようにしてもよい。また、前回ではなく前々回の搬出においてGM作物を取り扱ったエレベーターに対しては1.3ポイント(前回及び前々回の搬出においてGM作物を取り扱っていないエレベーターに対して与えられるポイントよりは高く、前回の搬出においてGM作物を取り扱ったエレベーターに対して与えられるポイントよりは低いポイント)を与える等、GM作物の搬出履歴に応じて適宜ポイントを与えるようにしてもよい。
【0086】
(1b)クリーニング実施の履歴を用いる例
この例において、RE情報DB13Dには、カントリーエレベーターにて前回の搬出後にクリーニングが実施されたか否かを示すクリーニング情報がレコード毎に記憶されている。同様にして、EE情報DB13F及び港湾サイロ情報DB13Hにはそれぞれ、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターのクリーニング情報がレコード毎に記憶されている。また、図12に示す流通ルート情報DB13Iは流通ルート毎に得点を記憶する構成であるが、この例においても、農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロ毎に得点が記憶できるようにそれぞれに対して得点フィールドが設けられているものとする。
【0087】
図26に示すように、農作物流通管理装置1は、ステップS106にて特定した流通ルートに含まれるカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターのクリーニング情報を参照し(S901)、前回搬出後にクリーニングを実施したエレベーターの有無を判定する(S902)。ここで、当該クリーニングを実施したエレベーターがあると判定した場合(S902でYES)、農作物流通管理装置1は、そのクリーニングを実施したエレベーターの得点フィールドの値に0.5ポイントを加算し、当該流通ルートに含まれるその他のエレベーター並びに農家及び港湾サイロの得点フィールドの値に1ポイント加算する(S903)。他方、前回搬出後にクリーニングを実施したエレベーターはないと判定した場合(S902でNO)、農作物流通管理装置1は、当該流通ルートに含まれる農家、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、エクスポートエレベーター、及び港湾サイロのすべての得点フィールドの値に1ポイント加算する(S904)。
【0088】
前回の搬出後にクリーニングを実施した場合、今回の搬出に係る農作物群にGM作物が混入する可能性が低いと考えられる。そのため、上述したように前回搬出後にクリーニングを実施したエレベーターに対しては他よりも低い得点を与えることにより、その後により適切な良否判定を行うことが可能になる。なお、ここでは、ステップS903において前回搬出後にクリーニングを実施したエレベーター以外に対して1ポイントを与えているが、より高いポイント(例えば1.5ポイント)を与えるようにしてもよい。また、前回ではなく前々回の搬出後にクリーニングを実施したエレベーターに対しては0.8ポイント(前回及び前々回の搬出後にクリーニングを実施していないエレベーターに対して与えられるポイントよりは低く、前回の搬出後にクリーニングを実施したエレベーターに対して与えられるポイントよりは高いポイント)を与える等、クリーニングの実施履歴に応じて適宜ポイントを与えるようにしてもよい。
【0089】
(その他の実施の形態)
本実施の形態では、GM作物の混入率が5%を超えた場合にのみ得点を与えているが、例えば当該混入率が3%を超えた場合であって4%以下のときには0.5ポイントを、同じく4%を超えた場合であって5%以下のときには0.8ポイントをそれぞれ与える等、より細かな範囲で段階的に得点を与えるようにしてもよい。
【0090】
また、輸出国(本実施の形態の場合では米国)及び/又は輸入国(本実施の形態では日本)で認可されていないGM作物が港湾サイロにおいて検出された場合は、より高いポイントを与える等の処理を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置は、IPハンドリングに基づいて農作物の流通を管理するための農作物流通管理方法及び農作物流通管理装置等として有用である。
【符号の説明】
【0092】
1 農作物流通管理装置
2 端末装置
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 ハードディスク
13A CE情報マスターデータベース
13B CE情報データベース
13C RE情報マスターデータベース
13D RE情報データベース
13E EE情報マスターデータベース
13F EE情報データベース
13G 港湾サイロ情報マスターデータベース
13H 港湾サイロ情報データベース
13I 流通ルート情報データベース
14 入出力インタフェース
15 画像出力インタフェース
16 通信インタフェース
17 バス
101 入力部
102 ディスプレイ
NTW 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物群がバルク輸送される場合に、記憶部を具備するコンピュータを用いて当該農作物群の流通を管理する農作物流通管理方法であって、
前記コンピュータが、
カントリーエレベーターによって発行され、リバーエレベーターに対して送付された、当該カントリーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第1証明書に関する第1証明書情報を前記記憶部に記憶する第1証明書情報記憶工程と、
リバーエレベーターによって発行され、エクスポートエレベーターに対して送付された、当該リバーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第2証明書に関する第2証明書情報を前記記憶部に記憶する第2証明書情報記憶工程と、
エクスポートエレベーターによって発行され、港湾サイロに対して送付された、当該エクスポートエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第3証明書に関する第3証明書情報を前記記憶部に記憶する第3証明書情報記憶工程と、
港湾サイロにおける農作物群の遺伝子検査の結果を示す検査結果情報を前記記憶部に記憶する検査結果情報記憶工程と、
前記記憶部に記憶されている検査結果情報を参照し、遺伝子組み換え農作物が所定量以上含まれている農作物群を特定する農作物群特定工程と、
前記記憶部に記憶されている第1証明書情報、第2証明書情報及び第3証明書情報に基づいて、前記農作物群特定工程により特定された農作物群が、何れのカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経たのかを特定するエレベーター特定工程と、
前記エレベーター特定工程によって特定されたカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを、遺伝子組み換え農作物混入の可能性がある混入可能性エレベーターと判別し、当該カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターに関する混入可能性エレベーター情報を前記記憶部に記憶する混入可能性エレベーター情報記憶工程と、
前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する推定工程と
を実行する、農作物流通管理方法。
【請求項2】
前記推定工程において、前記コンピュータが、流通ルートの下流側に位置するエレベーターに対しては緩い判定基準を用い、上流側に位置するエレベーターに対しては厳しい判定基準を用いて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する、請求項1に記載の農作物流通管理方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおける遺伝子組み換え農作物の搬出履歴に関する搬出履歴情報を前記記憶部に記憶する搬出履歴情報記憶工程を更に実行し、
前記推定工程において、前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報及び搬出履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する、請求項1又は2に記載の農作物流通管理方法。
【請求項4】
前記コンピュータが、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおけるクリーニングの実施履歴に関する実施履歴情報を前記記憶部に記憶する実施履歴情報記憶工程を更に実行し、
前記推定工程において、前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報及び実施履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する、請求項1又は2に記載の農作物流通管理方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、前記記憶部に記憶されている混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が低い流通ルートを特定する優良流通ルート特定工程を更に実行する、請求項1乃至4の何れかに記載の農作物流通管理方法。
【請求項6】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物群がバルク輸送される場合に、当該農作物群の流通を管理する農作物流通管理装置であって、
カントリーエレベーターによって発行され、リバーエレベーターに対して送付された、当該カントリーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第1証明書に関する第1証明書情報を記憶する第1証明書情報記憶手段と、
リバーエレベーターによって発行され、エクスポートエレベーターに対して送付された、当該リバーエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第2証明書に関する第2証明書情報を記憶する第2証明書情報記憶手段と、
エクスポートエレベーターによって発行され、港湾サイロに対して送付された、当該エクスポートエレベーターが農作物群の分別管理を行ったことを示す第3証明書に関する第3証明書情報を記憶する第3証明書情報記憶手段と、
港湾サイロにおける農作物群の遺伝子検査の結果を示す検査結果情報を記憶する検査結果情報記憶手段と、
前記検査結果情報記憶手段によって記憶された検査結果情報を参照し、遺伝子組み換え農作物が所定量以上含まれている農作物群を特定する農作物群特定手段と、
前記第1証明書情報記憶手段、前記第2証明書情報記憶手段及び前記第3証明書情報記憶手段によってそれぞれ記憶された第1証明書情報、第2証明書情報及び第3証明書情報に基づいて、前記農作物群特定手段により特定された農作物群が、何れのカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経たのかを特定するエレベーター特定手段と、
前記エレベーター特定手段によって特定されたカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを、遺伝子組み換え農作物混入の可能性がある混入可能性エレベーターと判別し、当該カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターに関する混入可能性エレベーター情報を記憶する混入可能性エレベーター情報記憶手段と、
前記混入可能性エレベーター情報記憶手段によって記憶された混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定する推定手段と
を備える、農作物流通管理装置。
【請求項7】
前記推定手段が、流通ルートの下流側に位置するエレベーターに対しては緩い判定基準を用い、上流側に位置するエレベーターに対しては厳しい判定基準を用いて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されている、請求項6に記載の農作物流通管理装置。
【請求項8】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおける遺伝子組み換え農作物の搬出履歴に関する搬出履歴情報を記憶する搬出履歴情報記憶手段を更に備え、
前記推定手段が、前記記憶された混入可能性エレベーター情報及び前記搬出履歴情報記憶手段によって記憶された搬出履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されている、請求項6又は7に記載の農作物流通管理装置。
【請求項9】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターにおけるクリーニングの実施履歴に関する実施履歴情報を記憶する実施履歴情報記憶手段を更に備え、
前記推定手段が、前記記憶された混入可能性エレベーター情報及び前記実施履歴情報記憶手段によって記憶された実施履歴情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が高いエレベーターを推定するように構成されている、請求項6又は7に記載の農作物流通管理装置。
【請求項10】
前記記憶された混入可能性エレベーター情報に基づいて、遺伝子組み換え農作物混入の可能性が低い流通ルートを特定する優良流通ルート特定手段を更に備える、請求項6乃至9の何れかに記載の農作物流通管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−103862(P2012−103862A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251227(P2010−251227)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)