説明

農作物用包装袋

【課題】包装製品を食害してその商品価値を著しく損なう虫や鼠などの食害発生源を忌避し得る農作物用包装袋を提供する。
【解決手段】本発明の農作物用包装袋は、原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせて、農作物のための袋体が構成されており、前記原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせた部分に、前記農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含むとともに前記袋体の内部と外部との間で気体を通すことができる不織布が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米類、麦類、豆類等の穀類などの農作物を充填包装するための農作物用包装袋に関し、特に、包装された農作物を食害してその商品価値を著しく損なう、虫、鼠などの食害発生源を忌避し得る農作物用包装袋に関する。さらに該農作物用包装袋に農作物などの農作物を充填してなる包装製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米類、麦類、豆類等の穀物などの農作物を充填包装するために、農作物用包装袋が用いられている。このような農作物用包装袋は、該農作物用包装袋を複数個重ねて積み上げた際に、自重で余分な空気が自然に抜ける(すなわち、脱気する)ことが必要とされる。従って、脱気するためのすき間やエアー抜き通路などが設けられた構成を有する農作物用包装袋が提案されている。
【0003】
例えば、二枚のプラスチックフィルムを重ね合わせてその外周周辺縁部をヒートシールして外周シ−ル部を形成するとともに、その外周シ−ル部に、空気抜け穴、通気孔、脱気孔などのエアー抜き通路が形成された農作物用包装袋が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6等参照)。
【0004】
また、レーザーやパンチを用いて、外周シール部以外の部分に、内容物が飛び出さない程度の空気抜け穴、通気孔、脱気孔などのエアー抜き通路が形成された農作物用包装袋が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−65241号公報
【特許文献2】実開昭59−143936号公報
【特許文献3】実開昭63−114943号公報
【特許文献4】実開昭63−114944号公報
【特許文献5】特開2000−190992公報
【特許文献6】特開2001−31115公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような農作物用包装袋においては、空気抜け穴、通気孔、脱気孔などのエアー抜き通路から、内容物(米類、豆類等の穀類などの農作物)の臭いがもれてしまうため、その臭いを嗅ぎつけた農作物の食害発生源である虫や鼠などが、袋を食害するという問題が発生する場合があった。特に、ポリエチレン系樹脂を主体としたプラスチックフィルムは優れたヒートシール性を有するため農作物用包装袋に主に用いられるものであるが、軟質材料であることに起因して、虫や鼠などによる食害が多発し易いものである。そのため、いわゆる虫食い孔が多数形成されることとなり、その虫食い孔の部分から内容物が漏れ、包装袋としての機能を損なうばかりではなく、その包装製品としての商品価値を著しく喪失してしまうという問題があった。
【0007】
さらに、包装袋を構成するプラスチックフィルムに虫食い孔が形成されると、その孔から、さらに虫や鼠などの農作物の食害発生源が包装袋の内部へ進入し、内容物を食害するため、その品質を著しく損ねるという問題点も発生する。そのような状態になると、もはや、その商品価値は著しく低下し、商品として流通、販売することができず、その製造者および販売者等の信頼性を著しく損ねるものである。
【0008】
そこで本発明の目的は、これらの問題に鑑み、包装製品を食害してその商品価値を著しく損なう、虫や鼠などの食害発生源を忌避し得る農作物用包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含む不織布が配された農作物用包装袋は、前記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせて、農作物のための袋体が構成されており、前記原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせた部分に、前記農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含むとともに前記袋体の内部と外部との間で気体を通すことができる不織布が設けられていることを特徴とする農作物用包装袋。
(2)不織布の設置箇所が袋体の背貼りのつなぎ部分であることを特徴とする(1)の農作物用包装袋。
(3)農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤が、よもぎ、よもぎエキス、どくだみ、どくだみエキス、緑茶、緑茶エキス、月桃葉、月桃葉エキス、月桃地下茎、月桃地下茎エキスから選ばれた1種以上であることを特徴とする(1)または(2)の農作物用包装袋。
(4)(1)から(3)までのいずれかの農作物用包装袋に農作物が充填されたものであることを特徴とする農作物の包装製品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の農作物用包装袋は、虫や鼠などの農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含む不織布が設けられている。そのため、その保存、流通過程などにおいて、包装製品を食害してその商品価値を著しく損なう原因となる農作物の食害発生源を、効果的に忌避することができる。また、該忌避剤を天然植物エキスの抽出成分から得た場合は、人体に無害であるため、より好ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の農作物用包装袋の一態様を示す概略図と、該農作物用包装袋に農作物を充填してなる包装製品の概略断面図である。
【図2】本発明の農作物用包装袋の他の態様を示す概略図と、該農作物用包装袋に農作物を充填してなる包装製品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の農作物用包装袋は、原反フィルムと、虫や鼠などの農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤(以下、単に「忌避剤」と称する場合がある)を含む不織布からなるものである。
【0013】
原反フィルムとしては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリエチレン系樹脂は、熱によって容易に溶融し、ヒートシール性(熱融着性)に優れるため、ヒートシールにより容易に袋体を構成することができるため好ましいものである。
【0014】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、ポリエチレン系樹脂としては、安価かつ入手が容易で物性のバランスがとれた直鎖状(線状)低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0015】
上記の原反フィルムは、単層であってもよいし、同一のまたは異なるフィルムを複数積層した多層構造であってもよい。本発明においては、ヒートシール性と、強度、耐突き刺し性、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、透明性などの他の物性とのバランスの観点から、ポリエチレン系樹脂を主体とするフィルムに、上記のほかの物性を有するフィルムを積層した多層構造である原反フィルムが好ましい。
【0016】
ポリエチレン系樹脂を主体とするフィルムに同一のまたは異なるフィルムを積層する場合において、ポリエチレン系樹脂を主体とするフィルムに積層される他のフィルムとしては、例えば、以下のようなものが挙げられる。すなわち、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂フィルム;酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、MXD6ナイロン樹脂等の樹脂フィルム;酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有する酸化硅素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を設けた樹脂のフィルム;酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するアルミニウム箔ないしアルミニウムの蒸着膜を有する樹脂フィルム;樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルム等が挙げられる。これらの材料は、一種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
その他にも、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−スなどの公知の樹脂からなるフィルム、合成紙などを用いることもできる。
【0018】
このような積層構造を有する原反フィルムを用いることにより、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれ、厳しい包装適性が要求される農作物用包装袋においても、ヒートシール性と、必要に応じて、強度、耐突き刺し性、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、透明性などの種々の物性を兼ね備えることができる。
【0019】
上記のポリエチレン系樹脂を主体とするフィルムや、該ポリエチレン系樹脂を主体とするフィルムに積層される他のフィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。
【0020】
原反フィルムの厚さは20〜500μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。原反フィルムの厚さが20μm未満である場合は、農作物用包装袋としての強度が足りず、切れ、穴開き等の問題が発生する場合がある。一方、500μmを越える場合は、過剰包装となるためコストアップに繋がり、更に、環境問題の減量化、省資源化等の観点から好ましくない。
【0021】
なお、原反フィルムが多層構造を有する場合には、各層の厚みの合計が、上記の範囲を満たすことが好ましい。また、各層の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、10〜100μmがより好ましく、12〜50μmがさらに好ましい。300μmを超えると、コストアップに繋がる場合があり、一方、5μm未満であると、強度、耐突き刺し性が低下する場合がある。
【0022】
原反フィルムの製造方法は、特に制限されないが、例えば、押出成形法、共押出形成法、押出ラミネ−ト法、インフレ−ション成形法、共インフレ−ション成形法、キャスト成形法などの成形法を挙げることができる。また、原反フィルムが積層構造を有する場合には、公知慣用の積層法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤ラミネ−ション法、溶融押出ラミネ−ション法、溶融共押出ラミネ−ション法など積層法を採用することができる。
【0023】
例えば、ラミネ−ト用接着剤から得られるラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層方式、または、アンカーコート剤等から得られる接着助剤層や溶融押出樹脂層等を介して、溶融押出積層する溶融押出積層方式により多層構造の原反フィルムを得ることができる。
【0024】
積層構造を有する原反フィルムを得る場合において、ドライラミネ−ト積層方式を行うときには、例えば、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤などをビヒクルの主成分とする溶剤型接着剤、水性型接着剤、エマルジョン型接着剤などのラミネ−ト用接着剤等を使用することができる。
【0025】
溶融押出積層方式を行う際には、接着助剤として、イソシアネ−ト系接着助剤、ポリエチレンイミン系接着助剤などのアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
【0026】
本発明において、上記のような原反フィルムを構成する樹脂中には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、硬化剤、充填剤、滑剤、強化剤、補強剤、難燃剤、耐炎剤、防カビ剤、染料・顔料等の着色剤などの添加剤を添加することができる。
【0027】
原反フィルムが積層構造を有する場合には、各々の層を積層する際に、必要に応じて、例えば、その積層するフィルムの表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレ−ム処理等の表面処理を施すことができる。
【0028】
原反フィルムには必要に応じて、印刷層を設けることができる。印刷層は、原反フィルムの片面および/または両面に、あるいは原反フィルムが積層構造を有するものであればその層間などに設けられる。印刷層は、文字、図形、記号、絵柄などからなる所望の印刷模様を、前面にまたは部分的に印刷して得られるものである。また、印刷層を設ける場合には、公知慣用の印刷方法を用いることができる。
【0029】
印刷層は、通常、インキビヒクルを主成分とするものである。さらに、必要に応じて、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤を用いることができる。さらに、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練して印刷層を形成するインキ組成物を調製することができる。
【0030】
次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の公知慣用の印刷方法により、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷し、印刷層を形成することができる。
【0031】
上記において、インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルプチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明において用いられる不織布は、特に限定されないが、熱接着性を有する不織布が好ましい。熱接着性を有する不織布としては、芯部がポリエステル樹脂などの樹脂からなり、鞘部が低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はポリエチレンアイオノマーなどからなる、芯鞘構造を有する繊維からなる不織布であることが好ましい。このような芯鞘構造を有する繊維からなる不織布は、ヒートシール性に優れているため、原反フィルムと容易に熱融着するため好ましい。
【0033】
特に、強度、ヒートシール性の観点から、芯部がポリエステルで構成され、鞘部がメタロセン系重合触媒により得られたポリエチレンとチーグラーナッタ系重合触媒により得られた低密度ポリエチレンとの混合物であるポリエチレンで構成された芯鞘型複合繊維が用いられた不織布であることが好ましい。
【0034】
また、芯部の横断面形状は繊維軸方向において実質的に変化せず、鞘部の厚さは繊維軸方向及び繊維周方向において不均一で且つ無作為に変化している芯鞘複合繊維からなる不織布であることが好ましい。
【0035】
さらにまた、ヒートシール性の観点から、鞘部が5〜60g/10分のMFRを有するポリオレフィンから構成される芯鞘型複合繊維からなる不織布であることが好ましい。さらにまた、芯部が融点180〜300℃のポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから構成される芯鞘型複合繊維からなる不織布であることが好ましい。
【0036】
不織布を構成する芯鞘型複合繊維は、不織布導入部の膨らみや通気性の観点から、その繊維径が7〜50μmであることが好ましい。さらに、このような芯鞘型複合繊維は長繊維であることが好ましい。
【0037】
不織布の目付けとしては、特に限定されないが、機械的物性と通気性の観点から、15〜100g/mが好ましく、50〜90g/mがより好ましい。
【0038】
本発明において、忌避剤としては、特に限定されないが、例えば、人体に無害な天然植物の抽出成分が好ましい。具体的には、よもぎエキス、どくだみエキス、緑茶エキス、月桃葉エキス、月桃地下茎エキス、茎茶エキス、熊笹エキス、朝鮮人参葉エキス、山椒葉エキス、檜地下茎エキス、檜エキス、菖蒲葉エキス、びわ葉エキス、ニンニクエキス、唐辛子エキス、ワサビエキス、シソエキス、竹エキスなどが挙げられる。これらは、1種単独で、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、忌避効果の観点から、よもぎエキス、どくだみエキス、緑茶エキス、月桃葉エキス、月桃地下茎エキスが好ましい。また、上記の忌避剤は、マイクロカプセル化されて用いられてもよい。
【0039】
上記の忌避剤を不織布に含ませる方法は、特に制限されず、上記の忌避剤を適宜な濃度で含有した水溶液に、不織布を投入し、その後乾燥する方法(すなわち、含浸させる方法)や、複数の不織布の間に忌避剤からなる層を形成する方法などが挙げられる。
【0040】
次に、本発明の農作物用包装袋の袋体としての構成について説明する。
本発明の農作物用包装袋の構成は、原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせた部分に、虫や鼠などの前記農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含む不織布が設けられているものである。
【0041】
より、具体的には、忌避剤を含む不織布が農作物用包装袋の袋体の背貼りのつなぎ部分に設けられている構成を有するものである。
【0042】
上記の構成について、図1および図2を用いて以下に具体的に述べる。
【0043】
図1の(a)は、上記の構成を有する農作物用包装袋1を示した図である。上記の構成は、一縁側に開口部5を有し、原反フィルム3の縁部と忌避剤を含む不織布4の縁部とがヒートシールされることにより、背貼りのつなぎ部分2に該不織布4が設けられている構成である。忌避剤を含む不織布4は、ヒートシール部6を除いて農作物用包装袋1の表面に露出している。該不織布4の厚み方向に気体が通過し、農作物用包装袋1の内部と外部との間で気体を通すことができ、すなわち脱気することができる。
【0044】
図1の(b)は、上記の構成を有する農作物用包装袋1に米類などの農作物7を充填し、開口部5をヒートシールなどの方法で密閉することにより得られた包装製品の断面図である。つなぎ部分2に設けられた忌避剤を含む不織布4により、水、ホコリ、虫や鼠などの侵入を防止するとともに、農作物用包装袋1の内外において脱気することができる。なお、図1においては、つなぎ部分2に設けられた忌避剤を含む不織布4は、農作物用包装袋1の内部に配されているが、農作物用包装袋1の表面側に配されていてもよい。
【0045】
上記の構成を有する農作物用包装袋としては、図1以外にも、図2に示されるような態様を採ることができる。図2の(a)は、図1で示されたものとは別の態様の上記構成を有する農作物用包装袋1を示す図である。一縁側に開口部5を有し、背貼りのつなぎ部分2において、原反フィルム3の縁部と忌避剤を含む不織布4の縁部とをヒートシールすることにより該不織布が設けられた構成である。この態様においては、図2の(b)にて示されたように、原反フィルム3の縁部が、つなぎ部分2を覆っている。この覆っている部分では、原反フィルム3の縁部はヒートシールされていない。このため、水、ホコリ、虫や鼠などの侵入をより効果的に防止することができるとともに、農作物用包装袋内1の内部と外部との間で気体を通すことができ、すなわち脱気することができる。
【0046】
なお、図1および図2は、本発明の農作物包装袋の一態様を例示するものであり、本発明はこれによって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0047】
次に、本発明の農作物用包装袋を製袋する方法について説明する。すなわち、1枚の原反フィルムを折りたたんで重ね合わせる。次に、農作物用包装袋の背貼りのつなぎ部分に、図1や図2のように内面において、忌避剤を含む不織布をあてがう。つまり、フィルムの背貼りのつなぎ部分を、不織布で内側から覆う。そして、原反フィルムの縁部と不織布の縁部どうしをヒートシールして不織布を固定し、筒状とする。さらに、下方の縁部をヒートシールし、上方の縁部をヒートシールしないことにより、一縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造することができる。なお、忌避剤を含む不織布を背貼りのつなぎ部分の外面(農作物用包装袋の表面)に設けてもよい。つまり、不織布でフィルムの背貼りのつなぎ部分を外側から覆ってもよい。
【0048】
本発明の農作物用包装袋を製袋する際には、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型などのヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態からなる農作物用包装袋を得てもよい。
【0049】
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。なお、ヒートシール条件(ヒートシール温度、ヒートシール時間など)は、特に限定されず、原反フィルムの厚みや材料などにより、適宜調整することができる。また、ヒートシール部の幅も、特に限定されない。
【0050】
上記のようにして得られた本発明の農作物用包装袋のサイズは、特に限定されないが、通常、10kg用の農作物用包装袋であれば570mm×340mm、5kg用の農作物用包装袋であれば470mm×300mm、2kg用の農作物用包装袋であれば340mm×220mm程度である。
【0051】
上記のようにして得られた本発明の農作物用包装袋は、その一縁側に開口部を有するものである。農作物用包装袋の開口部から、例えば、米類、麦類、豆類等の穀類などの農作物を充填し、その開口部の縁部をヒートシール等により密閉することによって、本発明にかかる農作物用包装袋を使用した包装製品を製造することができる。
【実施例】
【0052】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0053】
実施例1
厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学社製、商品名「FTMO−BT」)のコロナ処理された処理面に、カ−ボンブラックを顔料としたポリウレタン樹脂系墨インキ(ザ・インクテック社製、商品名「991墨」)を使用し、所望の文字を印刷した。その後、藍、紅、黄の顔料を使用したウレタン系樹脂色インキ(ザ・インクテック社製、商品名「639藍」「212紅」「423黄」)を使用し、グラビア印刷方式にて,文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を印刷した。次いで、上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、白ベタインキ層(大日精化社製、商品名「NT−ハイラミック」、乾燥後の膜厚:4μm)を印刷した。
【0054】
次に、上記で形成した白ベタインキ層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM329」および「CAT−8B」)を、グラビアロールコート法を用いて、厚さ4.0g/m(乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ50μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(直鎖状低密度ポリエチレン、フタムラ化学社製、商品名「LL−MTNR」)を、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、その後、その両者をドライラミネ−トにより積層構造を有する原反フィルムを製造した。
【0055】
次に、やまよもぎエキスを10〜15質量%含有した水溶液、どくだみエキスを6〜10質量%含有した水溶液、緑茶エキスを6〜16質量%含有した水溶液、月桃葉エキスを10〜15質量%含有した水溶液、月桃地下茎エキスを6〜10質量%含有した水溶液を混合した加工原液(アフティ社製)に加工原液の濃度が50質量%の濃度になるように水を加え、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」)(サイズ:20mm×20mm、目付け:70g/m)を投入した。該不織布を加工原液から引き上げた後に乾燥させて、忌避剤を含む不織布を製造した。
【0056】
次いで、上記で製造した原反フィルムのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム側の面を折りたたんで対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、虫や鼠を忌避する薬剤を含む不織布をあてがい、ヒートシール(135℃×1秒)(ヒートシール幅:5mm)して不織布を原反フィルムに固定し、筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部を上記と同じ条件でヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは、300mm×200mm、不織布の露出幅は10mmであった。
【0057】
次いで、上記で製造した農作物用包装袋内に、その開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意した。この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成するエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの表面に、食害による破れ、傷、食み跡は認められなかった。
【0058】
実施例2
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、商品名「エンブレム」)のコロナ処理された処理面に、カ−ボンブラックを顔料としたポリウレタン樹脂系墨インキ(ザ・インクテック社製、商品名「991墨」)を使用し、所望の文字を印刷した。次いで、藍、紅、黄の顔料を使用したウレタン系樹脂色インキ(ザ・インクテック社製、商品名「639藍」「212紅」「423黄」)を使用し、グラビア印刷方式にて,文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を印刷した。上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、白ベタインキ層(大日精化社製、商品名「NT−ハイラミック」、乾燥後の膜厚:4μm)を印刷した。
【0059】
次に、上記で形成した白ベタインキ層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM329」および「CAT−8B」)を、グラビアロールコート法を用いて厚さ4.0g/m(乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)(フタムラ化学社製、商品名「LL−MTNR」)を、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせた後、その両者をドライラミネートすることにより、積層構造を有する原反フィルムを製造した。
【0060】
次いで、実施例1にて用いられた加工原液を使用して、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」、サイズ:20mm×20mm)に忌避剤を含ませた。上記で製造した積層材のエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの面を折りたたんで対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、該忌避剤を含ませた不織布を、ヒートシール(135℃×1秒、ヒートシール幅:5mm)して不織布を袋に固定し筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部をヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは300mm×200mm、不織布の露出幅は10mmであった。
【0061】
次いで、上記で製造した農作物包装袋内に、その開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意した。この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成する二軸延伸ナイロン6フィルムの表面に、食害による破れ、傷、食み跡は認められなかった。
【0062】
実施例3
厚さ40μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(直鎖状低密度ポリエチレン、密度:0.928g/m、MFR:2.0g/10分)のコロナ処理された処理面に、カ−ボンブラックを顔料としたポリウレタン樹脂系墨インキ(ザ・インクテック社製、商品名「991墨」)を使用し、所望の文字を印刷し、次いで、藍、紅、黄の顔料を使用したウレタン系樹脂色インキ(ザ・インクテック社製、商品名「639藍」「212紅」「423黄」)を使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を印刷した。上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、白ベタインキ層(大日精化社製、商品名「NT−ハイラミック」、乾燥後の膜厚:4μm)を印刷した。
【0063】
次に、上記で形成した白ベタインキ層の面に、キャスト用Tダイから低密度ポリエチレンを厚さ20μmに溶融押出しながら、厚さ40μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(LLDPE、三井化学東セロ社製、商品名「TUX−FCD−NP」)を、その処理面を対向させて重ね合わせた後、その両者を溶融押出することにより積層構造を有する原反フィルムを製造した。
【0064】
次いで、実施例1にて用いられた加工原液を使用して、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」、サイズ:20mm)に忌避剤を含ませた。上記で製造した積層材のエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの面を折りたたんで対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、該忌避剤を含ませた不織布を、ヒートシール(135℃×1秒、ヒートシール幅:5mm)して不織布を袋に固定し筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部をヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは300mm×200mm不織布の露出幅は10mmであった。
【0065】
次いで、上記で製造した農作物用包装袋内に、その開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意し、この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成するエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの表面に、食害による破れ、傷、食み跡は認められなかった。
【0066】
実施例4
厚さ80μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(三井化学東セロ社製、商品名「TUX−FCD−NP」)(直鎖状低密度ポリエチレン)のコロナ処理された処理面に、酸化チタンを顔料としたポリアミド硝化綿系樹脂白インキ(サカタインクス社製、商品名「XGS1909 110白」)を印刷し、次いで、黄、紅、藍、墨の顔料を使用したポリアミド硝化綿系樹脂色インキ(サカタインクス社製、商品名「XGS800藍」「XGS360紅」「XGS238黄」「XGS1000墨」)を使用し、グラビア印刷方式にて,文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を表印刷した後、上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、ポリアミド硝化綿系樹脂の透明インキ(東洋インキ製造社製「JS1261ノンスリップワニス」)を使用し、透明な表層(乾燥後の膜厚:1μm)を印刷した。
【0067】
次いで、実施例1にて用いられた加工原液を使用して、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」、サイズ:20mm×20mm)に忌避剤を含ませた。上記で文字印刷、絵柄印刷、透明な表層等を形成したエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムを使用し、その非印刷面を対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、該忌避剤を含む不織布を、ヒートシール(110℃×1秒、ヒートシール幅:5mm)して不織布を袋に固定し筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部をヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは300mm×200mm、不織布の露出幅は10mmであった。
【0068】
次いで、上記で製造した農作物用包装袋内の開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意した。この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成するエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの文字印刷、絵柄印刷、透明なインキ層等を形成した表面に、食害による破れ、傷、食み跡は認められなかった。
【0069】
実施例5
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、商品名「エンブレム」)のコロナ処理された処理面に、カ−ボンブラックを顔料としたポリウレタン樹脂系墨インキ(ザ・インクテック社製、商品名「991墨」)を使用し、所望の文字を印刷した。次いで、藍、紅、黄の顔料を使用したウレタン系樹脂色インキ(ザ・インクテック社製、商品名「639藍」「212紅」「423黄」)を使用し、グラビア印刷方式にて,文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を印刷した。上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、白ベタインキ層(大日精化社製、商品名「NT−ハイラミック」、乾燥後の膜厚:4μm)を印刷した。
【0070】
次に、上記で形成した白ベタインキ層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM329」および「CAT−8B」)を、グラビアロールコート法を用いて厚さ4.0g/m(乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)(フタムラ化学社製、商品名「LL−MTNR」)を、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせた後、その両者をドライラミネートすることにより、積層構造を有する原反フィルムを製造した。
【0071】
次いで、実施例1にて用いられた加工原液に、その濃度が30質量%の濃度になるように水を加え、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」)(サイズ:20mm×20mm)に忌避剤を含ませた。上記で製造した積層材のエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの面を折りたたんで対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、該忌避剤を含ませた不織布を、ヒートシール(135℃×1秒、ヒートシール幅:5mm)して不織布を袋に固定し筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部をヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは300mm×200mm、不織布の露出幅は10mmであった。
【0072】
次いで、上記で製造した農作物包装袋内に、その開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意した。この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成する二軸延伸ナイロン6フィルムの表面に、食害による破れ、傷、食み跡は認められなかった。
【0073】
比較例1
厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学社製、商品名「FTMO−BT」)のコロナ処理面に、カ−ボンブラックを顔料としたポリウレタン樹脂系墨インキ(ザ・インクテック社製、商品名「991墨」)を使用し、所望の文字を印刷した。その後、藍、紅、黄の顔料を使用したウレタン系樹脂色インキ(ザ・インクテック社製、商品名「639藍」「212紅」「423黄」)を使用し、グラビア印刷方式にて,文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の絵柄印刷を印刷した。次いで、上記の文字印刷、絵柄印刷を含む全面に、白ベタインキ層(大日精化社製、商品名「NT−ハイラミック」、乾燥後の膜厚:4μm)を印刷した。
【0074】
次に、上記で形成した白ベタインキ層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM329」および「CAT−8B」)を、グラビアロールコート法を用いて、厚さ4.0g/m(乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)(フタムラ化学社製、商品名「LL−MTNR」)を、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、その後、その両者をドライラミネ−トにより積層構造を有する原反フィルムを製造した。
【0075】
上記で製造した原反フィルムのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの面を折りたたんで対向させて重ね合わせ、袋の背貼りのつなぎ部分の内面に、不織布(ユニチカ社製、商品名「エルベス」)(サイズ:20mm×20mm)を、ヒートシール(135℃×1秒、ヒートシール幅:5mm)して不織布を袋に固定し筒状とした。筒状とした原反フィルムの下方の縁部をヒートシールして、上方の縁部に開口部を有する農作物用包装袋を製造した。農作物用包装袋のサイズは300mm×200mm、不織布の露出幅は10mmであった。
【0076】
次いで、上記で製造した農作物用包装袋内に、その開口部から米1kgを充填包装した後、その開口部の縁部(幅:5mm)をヒートシール(140℃×1秒)して密閉し、包装製品を製造した。この包装製品を5袋段積みにしたものを1セットとし、これを2セット用意した。この2セットの包装製品を、鼠10匹と一緒に、暗く、湿気の多い条件が整った場所を選択して、30日間放置した。その結果、10袋体の農作物用包装袋を注視してみたところ、その農作物用包装袋を構成するエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムの表面に、食害による破れ、傷、食み跡が認められた。
なお、上記の実施例および比較例において、食害による破れ、傷、食み跡等は、目視により確認し、判断した。
【0077】
実施例1〜4で得られた農作物用包装袋は、虫や鼠などの農作物の食害発生源を効果的に忌避することができ、食害による破損が抑制されていた。
比較例1で得られた農作物用包装袋は、不織布に虫や鼠などの農作物の食害発生源を忌避する忌避剤がされていなかったため、食害による破損が見られた。
【符号の説明】
【0078】
1 農作物用包装袋
2 つなぎ部分
3 原反フィルム
4 忌避剤を含む不織布
5 開口部
6 ヒートシール部
7 農作物
8 脱気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせて、農作物のための袋体が構成されており、前記原反フィルムの縁部どうしをつなぎ合わせた部分に、前記農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤を含むとともに前記袋体の内部と外部との間で気体を通すことができる不織布が設けられていることを特徴とする農作物用包装袋。
【請求項2】
不織布の設置箇所が袋体の背貼りのつなぎ部分であることを特徴とする請求項1に記載の農作物用包装袋。
【請求項3】
農作物の食害発生源を忌避するための忌避剤が、よもぎ、よもぎエキス、どくだみ、どくだみエキス、緑茶、緑茶エキス、月桃葉、月桃葉エキス、月桃地下茎、月桃地下茎エキスから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の農作物用包装袋。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の農作物用包装袋に農作物が充填されたものであることを特徴とする農作物の包装製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−67394(P2013−67394A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205415(P2011−205415)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(597158735)株式会社千代田セールズ社 (1)
【Fターム(参考)】