農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置
【課題】 生育中である農作物を販売する農作物販売方法、農作物販売システム、及び農作物販売装置を提供する。
【解決手段】
農作物の販売を行うための販売サーバ1は、カメラ3により得られた生育中の農作物の画像データを記憶する画像情報DB12Dを備えており、画像情報DB12Dに記憶されている画像データに含まれる購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する。そして、販売サーバ1は、そのようにして代替物として設定された農作物に関する代替農作物情報をクライアント端末に対して送信する。
【解決手段】
農作物の販売を行うための販売サーバ1は、カメラ3により得られた生育中の農作物の画像データを記憶する画像情報DB12Dを備えており、画像情報DB12Dに記憶されている画像データに含まれる購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する。そして、販売サーバ1は、そのようにして代替物として設定された農作物に関する代替農作物情報をクライアント端末に対して送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の農作物を販売する農作物販売方法に関し、特に購入予定者によって購入予約がなされた農作物の販売を行う農作物販売方法、並びにその方法を実施するための農作物販売システム及び農作物販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが急速に普及していることに伴って、インターネットを利用した農作物の販売システムが種々提案されている。例えば、特許文献1には、インターネットを介して、農作物の出荷状態を示す商品見本となる商品画像データと、農作物の播種日から出荷日までを表す生産計画データとを購入者に提供し、その購入者から注文を受け付け、さらにその購入者に対して商品の生産状況を示す画像データを提示する販売システムが開示されている。ここで、この画像データには、例えば商品の育成場所全体を映した全体画像及び商品の1つ(代表物)を写した拡大画像が含まれる。この販売システムによれば、購入者の希望する量及び希望する日等の各種購入条件に対応した生産計画を立てることができるため、農作物の受注生産を実現することが可能になるとともに、購入者はその生産状況を画像にて確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−78238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている販売システムにおいては、出荷計画に基づいて出荷日と出荷量が正確に特定できる完全管理栽培を行うことによって、生産計画に基づいた農作物の受注生産を実現している。そのため、そのような完全管理栽培が困難な環境には適用できず、農作物が想定していたとおりに生長しない等の事態が起き得る場合には対応することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、インターネット等の通信技術を用いて、購入予約がなされた生育中の農作物が想定していたとおりに生長しなかった場合にも対応することができる農作物販売方法、並びにその方法を実施するための農作物販売システム及び農作物販売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物販売方法は、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の販売を行う農作物販売方法において、前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、前記サーバが、前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する画像データ記憶工程と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定工程と、前記代替物設定工程により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信工程とを実行し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を前記表示部に表示する表示工程を実行する。
【0007】
前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記播種時期特定工程によって特定され各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0008】
また、前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記収穫予定時期特定工程によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様の農作物販売方法の前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて前記購入予約がなされた農作物の生育状態が不良であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様の農作物販売方法の前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定するようにしてもよい。
【0012】
また、前記態様の農作物販売方法の前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定するようにしてもよい。
【0013】
本発明の一の態様の農作物販売システムは、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の販売を行う農作物販売システムにおいて、前記サーバが、 撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信手段とを具備し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を表示する表示部を具備する。
【0014】
また、本発明の一の態様の農作物販売装置は、撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を外部の装置に対して送信する送信手段とを備える。
【0015】
前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記播種時期特定手段によって特定された各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記収穫予定時期特定手段によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【0017】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記生育状態判定手段により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置によれば、購入予約がなされた生育中の農作物が想定していたとおりに生長しなかった場合に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る販売サーバの構成を示すブロック図。
【図3】農作物を撮像するカメラの設置態様を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている会員情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている予約情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている農作物情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている画像情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替農作物設定処理の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替設定処理の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替農作物情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施の形態に係るクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の一例を示す図。
【図13】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【図14】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【図15】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0021】
[農作物販売システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施の形態の農作物販売システムは、購入予約がなされた農作物の販売を行うための販売サーバ1と、ユーザが操作するパーソナルコンピュータおよび携帯型電話機などのクライアント端末2,2,…とを備えている。
【0022】
販売サーバ1は、インターネット100を介してクライアント端末2,2,…と通信可能に接続されており、クライアント端末2,2,…との間で様々なデータの送受信を行う。クライアント端末2,2,…には液晶ディスプレイなどの表示部が設けられており、販売サーバ1から受信した画像データなどの情報が当該表示部に表示される。また、販売サーバ1は、後述するように農園に設けられた複数のカメラ3,3,…と専用線等を介して通信可能に接続されており、複数のカメラ3,3,…から画像データを受信する。これらのカメラ3,3,…は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されている。
【0023】
以下、上記の販売サーバ1の構成の詳細について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る販売サーバ1の構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、本実施の形態の販売サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御する制御部としてのCPU10と、そのCPU10に接続された主記憶装置11、補助記憶装置12、通信インタフェース(I/F)13及び入出力インタフェース(I/F)14とを備えている。なお、これらのCPU10、主記憶装置11、補助記憶装置12、通信I/F13及び入出力I/F14はバスによって接続されている。
【0024】
CPU10は、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。これにより、販売サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御しながら、後述する各種の処理を実行することが可能になる。
【0025】
主記憶装置11は、SRAMまたはDRAM等によって構成されており、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、主記憶装置11は、CPU10がコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0026】
補助記憶装置12は、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの不揮発性記憶装置によって構成されており、CPU10に実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等を記憶している。このデータには、購入予約がなされた農作物の代替物である代替農作物に関するデータである代替農作物リストLが含まれる。また、補助記憶装置12には、会員情報データベース(DB)12A、予約情報データベース(DB)12B、農作物情報データベース(DB)12C及び画像情報データベース(DB)12Dが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0027】
通信I/F13は、通信ネットワークを介して販売サーバ1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。販売サーバ1は、この通信I/F13を介して、クライアント端末2,2,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0028】
入出力I/F14は、CPU10と各種の外部装置とを接続するためのインタフェース装置である。この入出力I/F14には、上述した複数のカメラ3,3,…が接続されている。販売サーバ1は、この入出力I/F14を介して、カメラ3,3,…から画像データを受信する。
【0029】
図3は、カメラ3,3,…の設置態様を示す斜視図である。図3において、符号Fは農園を示している。農園Fには、複数の畝H,H,…が並列状に形成されており、各畝Hの長手方向に沿ってキュウリの複数の苗4A,4A,…、トマトの複数の苗4B,4B,…、及びナスの複数の苗4C,4C,…等が整列して定植されている。このように、本実施の形態では複数の苗が土壌で形成された畝Hに定植されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば養液栽培用の栽培ベッド等に定植されていてもよい。また、本実施の形態では農園F内に複数種類の果菜類の苗が定植されているが、1種類であってもよい。
【0030】
図3に示すとおり、支柱3Aによって適宜の高さに固定された2台のカメラ3,3が畝Hの長手方向に沿って並設されており、また、同様にして固定された2台のカメラ3,3が畝H,H,…の並列方向に沿って並設されている。なお、これらのカメラ3,3,…は、その設置角度が調節可能なように支柱3Aに取り付けられており、この設置角度を調節することにより撮像範囲を適宜調整することができる。
【0031】
本実施の形態では4台のカメラ3,3,…が設けられているが、この数に限られるわけではないことは勿論である。また、カメラ3,3,…が設置される位置も図3に示すものに限定されるわけではなく、農園F内で生育中の農作物を撮像することができる位置に設けられていればよい。
【0032】
次に、上記の会員情報DB12A、予約情報DB12B、農作物情報DB12C及び画像情報DB12Dについて説明する。
図4は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている会員情報DB12Aのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すように、会員情報DB12Aは、各会員を識別するための会員IDが格納される会員IDフィールド101、各会員の氏名が格納される氏名フィールド102、各会員の電子メールアドレスが格納される電子メールアドレスフィールド103、及び各会員の住所が格納される住所フィールド104を有している。
【0033】
上述した会員情報DB12Aに格納される情報は、本実施の形態の農作物販売システムを利用するための事前登録の際に各利用者から受け付けた内容に基づいて生成される。この事前登録を済ませた利用者は、本実施の形態の農作物販売システムを利用して農作物の購入を行うことができる会員となる。
【0034】
図5は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている予約情報DB12Bのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すように、予約情報DB12Bは、会員によりなされた各予約を識別するための予約IDが格納される予約IDフィールド111、各予約がなされた日時が格納される予約日時フィールド112、各予約を行った会員の会員IDが格納される会員IDフィールド113、及び各予約がなされた農作物を識別するための農作物IDが格納される農作物IDフィールド114を有している。この予約情報DB12Bに格納される予約情報は、会員が予約をする都度更新される。
【0035】
図6は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている農作物情報DB12Cのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、農作物情報DB12Cは、各農作物の農作物IDが格納される農作物IDフィールド121、各農作物の名称が格納される農作物名フィールド122、各農作物の播種日が格納される播種日フィールド123、各農作物の寸法(サイズ)を示す情報が格納されるサイズフィールド124、各農作物の表面の色に関する情報が格納される彩度フィールド125、各農作物の生育状態を示す情報が格納される状態フィールド126、各農作物の収穫予定日が格納される収穫予定日フィールド127、各農作物が予約されているか否かを示す情報が格納される予約フィールド128、及び後述するようにして代替の農作物の設定に関する情報が格納される代替フィールド129を有している。
【0036】
なお、本実施の形態において、サイズフィールド124には、農作物のサイズに応じて、“L(大)”、“M(中)”及び“S(小)”の何れかの情報が格納され、彩度フィールド125には、特定の色(例えば、農作物がトマトの場合は赤、キュウリの場合は緑等)の彩度に応じて、“濃”及び“薄”の何れかの情報が格納される。また、状態フィールド126には、農作物の生育状態に応じて、“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報が格納される。
【0037】
代替フィールド129には、農作物IDによって識別される農作物に対して代替農作物の設定がなされた場合には“済”が、当該農作物自体が他の農作物の代替農作物として設定された場合は当該他の農作物の農作物IDがそれぞれ格納される。図6では、農作物IDが“X013”である農作物に対して、農作物IDが“X018”である農作物が代替農作物として設定されている例が示されている。
【0038】
上述した農作物情報DB12Cに格納される情報は、カメラ3,3,…により取得された画像データに基づいて適宜更新される。その処理の詳細については後述する。
【0039】
画像情報DB12Dには、カメラ3,3,…が農園F内を撮像することにより得られた農作物を含む画像データが格納される。カメラ3,3,…は、予め設定された時間間隔(例えば、3時間毎等)で繰り返し撮像処理を実行する。そして、その結果得られた複数の画像データが、撮像日時等の情報と共に、画像情報DB12Dに格納される。具体的には、図7に示すようにして格納されている。
【0040】
図7は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている画像情報DB12Dのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、画像情報DB12Dは、各画像データを識別するための画像IDが格納される画像IDフィールド131、各画像データの撮像日時が格納される撮像日時フィールド132、補助記憶装置12における画像データの記憶位置を示す情報が格納される画像データフィールド133、及び画像データに含まれている農作物の農作物IDが格納される農作物IDフィールド134を有している。なお、この図7に示す例では、農作物IDフィールド134に農作物IDが一つのみ格納されているが、撮像範囲に複数の農作物が含まれている場合には複数の農作物IDが格納されることになる。画像データと農作物IDとの対応付けは、画像データの内容をオペレータが確認する等しながら人手で行ってもよく、各カメラ3の撮像範囲等に基づいて予め定められていてもよい。また、所定の画像処理を実行することによって販売サーバ1が自動的に行ってもよい。
【0041】
[農作物販売システムの動作]
次に、上述したように構成された農作物販売システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の農作物販売システムが実行する主な処理には、(1)農作物情報の更新を行うための農作物情報更新処理、(2)予約された農作物の代替物である代替農作物の設定を行う代替農作物設定処理、及び(3)代替農作物に関する情報を会員に対して提供するための代替農作物情報提供処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0042】
(1)農作物情報更新処理
図8は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の農作物情報更新処理は、例えばカメラ3,3,…による撮像処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0043】
販売サーバ1はまず、農作物情報更新処理の対象となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、販売サーバ1は、画像情報DB12Dにアクセスし、処理対象とした農作物の農作物IDが含まれている画像情報を読み出す(S102)。これにより、例えば直近10回の撮像処理により得られた10個の画像データを取得する。なお、ここでの「10」は例示であり、その他の数であってもよいことは言うまでもない。ただし、後述するように画像データの比較処理を行うためには2個以上の画像データが必要になる。
【0044】
次に、販売サーバ1は、最も新しい画像データに対してエッジ抽出等の所定の画像処理を施すことによって農作物のサイズを特定する(S103)。例えば、農作物がトマトの場合、トマトの直径を算出し、その数値に応じて“L”、“M”及び“S”の3段階にランク付けする。
【0045】
また、販売サーバ1は、最も新しい画像データに対して所定の画像処理を施すことによって農作物の表面の色に関する色情報を取得し、その色情報の解析を行う(S104)。例えば、農作物がトマトの場合、赤色の彩度が所定値よりも高いか否か等によって、処理対象の農作物の表面の色が“濃”及び“薄”の何れであるのかの判定を行う。
【0046】
さらに、販売サーバ1は、取得した10個の画像データを比較する処理を実行する(S105)。これにより、処理対象の農作物の実の大きさ及びその実がなっている苗の大きさ等の時間変化を測定することができ、その時間変化に基づいて当該農作物の生長度合いを算出することができる。
【0047】
次に、販売サーバ1は、ステップS103により特定された農作物のサイズ、ステップS104の解析結果、及びステップS105の結果得られた農作物の生長度合い等に関する情報に基づいて、農作物の生育状態を3段階にランク付けすることにより、農作物の生育状態の判定を行う(S106)。この判定処理は、次のようにして与えられる得点に基づいて行うこと等が考えられる。サイズが“L”、“M”及び“S”の順に高い得点を与え、表面の色が“濃”と判定された場合に“薄”と判定された場合と比べて高い得点を与えるようにする。また、農作物の生長度合いの平均値を示す統計データを記憶しておき、その統計データと比較した結果、生長度合いが平均以上の場合に高い得点を与え、平均を下回る場合には低い得点を与えるようにする。そして、これらの得点の合計点が高い順に、“良好”、“普通”、“不良”とランク付けすることにより生育状態の判定を行う。
【0048】
次に、販売サーバ1は、ステップS106にて判定された生育状態に基づいて、処理対象の農作物の収穫日を推定する(S107)。具体的には、農作物の種類毎に農作物の収穫適期に関する収穫適期データ(例えば、播種日から3ヶ月後等)を記憶しておき、生育状態が“良好”の場合は収穫適期データよりも2週間早く収穫日を迎え、生育状態が“普通”の場合は収穫適期データのとおりに収穫日を迎え、生育状態が“不良”の場合は収穫適期データよりも2週間遅く収穫日を迎える等と判断することにより、処理対象の農作物の収穫日を推定する。
【0049】
そして、販売サーバ1は、上記の各ステップにより得られた情報を農作物情報DB12Cの各フィールドに格納することによって、農作物情報DB12Cを更新する(S108)。具体的には、ステップS103により得られた“L”、“M”及び“S”の何れかの情報をサイズフィールド124に格納し、ステップS104により得られた“濃”及び“薄”の何れかの情報を彩度フィールド125に格納し、ステップS106により得られた“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報を状態フィールド126に格納し、ステップS107により推定された収穫日を収穫予定日フィールド127に格納することにより、農作物情報DB12Cの更新を行う。
【0050】
次に、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物について農作物情報更新処理を実行したか否かを判定する(S109)。ここで、まだ処理対象となっていない農作物が存在すると判定した場合(S109でNO)、販売サーバ1はステップS101に戻り、それ以降のステップS102乃至S108を実行する。他方、すべての農作物について農作物情報更新処理が行われたと判定した場合(S109でYES)、販売サーバ1は処理を終了する。
このようにして更新された農作物情報DB12Cの内容に基づいて、次の(2)代替農作物設定処理が実行される。
【0051】
(2)代替農作物設定処理
図9は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する代替農作物設定処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の代替農作物設定処理は、例えば上記の(1)農作物情報更新処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0052】
販売サーバ1はまず、代替農作物の設定が必要となるかどうかの検査対象となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの予約フィールド128に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物が予約済みであるか否かを判定する(S202)。ここで予約済みであると判定した場合(S202でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの状態フィールド126に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の生育状態が“不良”であるか否かを判定する(S203)。ここで生育状態が“不良”であると判定した場合(S203でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの代替フィールド129に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物に対して既に代替物が設定されていないかどうかを判定する(S204)。ここでまだ代替物の設定がされていないと判定した場合(S204でYES)、販売サーバ1は、検査対象の農作物に対して代替物を設定するための代替設定処理を実行する(S205)。
【0053】
図10は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する代替設定処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示すとおり、販売サーバ1は、代替設定処理によって代替物に設定される候補(以下、「代替候補」という)となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S211)。次に、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの予約フィールド128に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物が予約済みではないかどうかを判定する(S212)。ここで予約済みではないと判定した場合(S212でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの状態フィールド126に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物の生育状態が“不良”ではないかどうかを判定する(S213)。ここで生育状態が“不良”ではない(つまり“良好”又は“普通”である)と判定した場合(S213でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの代替フィールド129に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物が既に他の農作物の代替物として設定されていないかどうかを判定する(S214)。
【0054】
ステップS214において代替物として設定がなされていないと判定した場合(S214でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの播種日フィールド123に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の播種日と代替候補の農作物の播種日との差が10日以内であるか否かを判定する(S215)。ここで播種日の差が10日以内であると判定した場合(S215でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの収穫予定日フィールド127に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の収穫予定日と代替候補の農作物の収穫予定日との差が10日以内であるか否かを判定する(S216)。ここで収穫予定日の差が10日以内であると判定した場合(S216でYES)、販売サーバ1は、代替候補の農作物の農作物IDと検査対象の農作物の農作物IDとを対とした代替農作物設定情報を代替農作物リストLに登録する(S217)。これにより、代替候補の農作物が検査対象の農作物の代替農作物として設定される。
【0055】
他方、ステップS212で代替候補の農作物が予約済みであると判定した場合(S212でNO)、ステップS213で代替候補の農作物の生育状態が不良であると判定した場合(S213でNO)、ステップS214で代替候補の農作物が既に代替農作物として設定されていると判定した場合(S214でNO)、ステップS215で播種日の差が10日より大きいと判定した場合(S215でNO)、又はステップS216で収穫予定日の差が10日より大きいと判定した場合(S216でNO)、販売サーバ1は、代替候補の農作物を検査対象の農作物の代替農作物として設定することはできないと判断し、ステップS218に進む。
【0056】
ステップS218において、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物に対して代替設定処理が実行されたか否か(すなわち、すべての農作物が代替候補となったか否か)を判定する。ここで、まだ代替候補となっていない農作物が存在すると判定した場合(S218でNO)、販売サーバ1はステップS211に戻り、それ以降のステップS212乃至S217を実行する。他方、すべての農作物が代替候補となった判定した場合(S218でYES)、販売サーバ1は処理をリターンする。
【0057】
図9に戻り、ステップS202で検査対象の農作物が予約されていないと判定した場合(S202でNO)、ステップS203で検査対象の農作物の生育状態が不良ではないと判定した場合(S203でNO)、ステップS204で検査対象の農作物に対して既に代替農作物が設定されていると判定した場合(S204でNO)、又は代替設定処理(S205)が終了した場合、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物が検査対象となったか否かを判定する(S206)。ここで、まだ検査対象となっていない農作物が存在すると判定した場合(S206でNO)、販売サーバ1はステップS201に戻り、それ以降のステップS202乃至S205を実行する。他方、すべての農作物が検査対象になった判定した場合(S206でYES)、販売サーバ1は処理を終了する。
【0058】
上記の(2)代替農作物設定処理の結果、生育状態が不良である予約済みの農作物に対して、代替農作物が設定されることになる。本実施の形態の場合、代替農作物となり得るのは、生育状態が“良好”又は“普通”であって、播種日及び収穫予定日のそれぞれが当該予約済みの農作物の播種日及び収穫予定日の10日以内である農作物である。これにより、生育状態が不良ではなく、しかも播種日及び収穫予定日が予約済みの農作物と近い農作物を代替農作物として設定することができる。なお、これ以外にも、例えば生育状態が“良好”の農作物のみを代替農作物に設定できるようにしてもよく、播種日及び収穫予定日の何れか一方が当該予約済みの農作物の播種日及び収穫予定日の10日以内である農作物を代替農作物に設定できるようにしてもよい。また、「10日以内」は例示にすぎないため、「5日以内」又は「3日以内」等であってもよく、播種日及び/又は収穫予定日が予約済みの農作物と同日の農作物のみを代替農作物に設定できるようにしてもよい。
【0059】
上記の(1)農作物情報更新処理及び(2)代替農作物設定処理の結果、農作物情報DB12Cに最新の内容が反映されることになる。このようにして更新された農作物情報DB12Cの内容に基づいて、次の(3)代替農作物情報提供処理が実行される。
【0060】
(3)代替農作物情報提供処理
図11は、本実施の形態の販売サーバ1及びクライアント端末2が実行する代替農作物情報提供処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の代替農作物情報提供処理は、例えば代替農作物リストLに新たな登録がなされる都度等、所定のタイミングで実行される。
【0061】
図11に示すとおり、販売サーバ1はまず、代替農作物リストLを参照する(S301)。そして、販売サーバ1は、その代替農作物リストLにおいて予約済みの農作物(以下、「予約農作物」という)と対応付けられている代替農作物の農作物IDを検索キーとして画像情報DB12Dから当該代替農作物に係る画像情報を読み出し(S302)、さらに同じく農作物IDをキーとして農作物情報DB12Cから当該代替農作物に係る農作物情報を読み出す(S303)。なお、一の予約済みの農作物に対して複数の代替農作物が設定されている場合には、それら複数の代替農作物に係る画像情報及び農作物情報を読み出すことになる。
【0062】
次に、販売サーバ1は、上述したようにして読み出した画像情報及び農作物情報に基づいて、クライアント端末2にて表示される画面に関する画面情報を生成する(S304)。具体的には、ステップS302にて読み出した画像情報に含まれている画像データ、及びステップS303にて読み出した農作物情報に含まれている播種日・生育状態・サイズ・収穫予定日に関する生育状況情報を含む画面情報を生成する。
【0063】
次に、販売サーバ1は、予約農作物の農作物IDを検索キーとして予約情報DB12Bから当該予約農作物の予約情報を読み出す(S305)。そして、販売サーバ1は、その読み出した予約情報に含まれている会員IDを検索キーとして会員情報DB12Aから当該予約農作物の購入予約を行った会員の会員情報を読み出す(S306)。次に、販売サーバ1は、その読み出した会員情報に含まれている会員の電子メールアドレス宛に、予約農作物の生育状態が不良であるため代替農作物の設定がなされたこと及びその代替農作物を示す画像を表示するためのURL(Uniform Resource Locator)を含む電子メールを送信する(S307)。
【0064】
クライアント端末2は、販売サーバ1から送信された電子メールを受信した場合(S401)、その電子メールの内容を確認した会員からの指示にしたがって、電子メールに示されているURLにアクセスする(S402)。これにより、ステップS304において生成された画面情報の送信要求が、クライアント端末2から販売サーバ1に対して行われることになる。
【0065】
販売サーバ1は、クライアント端末2からのアクセスを受け付けた場合(S308)、ステップS304にて生成した画面情報をクライアント端末2に対して送信する(S309)。クライアント端末2が、このようにして販売サーバ1から送信された画面情報を受信した場合(S403)、その受信した画面情報を表示部に表示する(S404)。
【0066】
図12は、クライアント端末2の表示部に表示される画面の一例を示す図である。なお、この図12には、二つの代替農作物が設定されている場合の例が示されている。
図12に示すとおり、この画面には、代替農作物として設定されている実を付けている苗が含まれる画像と、当該実に関する各種の情報とが表示されている。この実に関する各種の情報として、図12に示す画面例では、播種日、収穫予定日、生育状態、及びサイズに関する情報が表示されている。
【0067】
また、図12に示す画面例には、「予約する」という文字が付されたチェックボックスが代替農作物として設定されている実毎に設けられている。会員は、予約農作物の代わりに代替農作物の購入を希望する場合、クライアント端末2を用いてこのチェックボックスにチェックを入れた上で、画面下部に設けられている送信ボタンをクリックする。これにより農作物の購入予約の変更をするための予約変更情報の入力がなされたことになる。クライアント端末2は、会員から予約変更情報の入力を受け付けた場合(S405)、その予約変更情報を販売サーバ1に対して送信する(S310)。
【0068】
販売サーバ1は、クライアント端末2から送信された予約変更情報を受信した場合(S310)、その受信した予約変更情報の受信日時、その予約変更情報を送信した会員の会員ID、及び新たに購入予約がなされた代替農作物の農作物IDを用いて、予約情報DB12Bに新たなレコードを作成し、予約情報DB12Bを更新する(S311)。さらに、販売サーバ1は、予約農作物の農作物情報の代替フィールド129に“済”を格納すると共に、新たに購入予約がなされた代替農作物の農作物情報の代替フィールド129に予約農作物の農作物IDを格納することによって農作物情報DB12Cを更新する(S312)。その後、販売サーバ1は、予約の変更が完了したことを示す予約変更完了情報をクライアント端末2に対して送信する(S313)。
【0069】
クライアント端末2は、販売サーバ1から送信された予約変更完了情報を受信した場合(S407)、その受信した予約変更完了情報を表示部に表示する(S408)。会員は、このようにして表示されている予約変更完了情報により予約の変更が完了したことを確認することができる。
【0070】
以上の処理によって、会員は、購入を予定していた農作物の生育状態が良くない場合に、その代わりとなる農作物の購入予約を行うことが可能になる。なお、その後に予約された代替農作物が収穫予定日を迎えたとき等のタイミングでその代替農作物が収穫され、予約者である会員に対して届けられる。または、この代替農作物が収穫適期を迎えた頃等に予約者である会員が農園Fに出向き、当該代替農作物を会員自身が収穫するようにしてもよい。これにより、会員は新鮮な状態の農作物を得ることができる。
【0071】
予約された代替農作物が収穫適期を迎えた場合には会員に対して電子メールを用いてその旨が伝えられる。その際には会員情報DB12Aの電子メールアドレスフィールド103に格納されている電子メールアドレスが用いられる。また、予約者である会員に対して収穫された代替農作物を届ける際には、会員情報DB12Aの住所フィールド104に格納されている住所が用いられる。
【0072】
なお、図12に示した画面は一例であるため、その他にも様々な画面が考えられる。例えば、一つの予約農作物に対して代替農作物が複数設定されている場合に、各代替農作物を別々の画面で表示するようにしてもよい。また、そのように複数の代替農作物が設定されている場合に、販売サーバ1が、各代替農作物の生育状態等に基づいて最も推奨される代替農作物を選択し、その旨を示す情報を画面情報に含めるようにしてもよい。
【0073】
上記以外にも、次のような画面例が考えられる。図13及び図14は、本発明の実施の形態におけるクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図である。図13に示す例では、図12に示した表示内容に加えて、画面下部の左側に「現在の予約」との文字が付されたボタンが設けられている。ここで、会員がこの「現在の予約」ボタンをクリックすると、図14に示すように、予約農作物(現在予約中の農作物)に係る苗の画像、その苗になっている実(農作物)の拡大画像、及びその実に関する各種の情報とが対応付けられて表された画面が表示される。これにより、会員は代替農作物と予約農作物との差異を容易に確認することができる。
【0074】
また、上述した実施の形態における生育状態のランク付けは例示にすぎないため、他のランク付けも考えられ、さらに“不良”の場合にその理由を明確にする情報を付する等の態様も考えられる。例えば画像処理によって傷が付いていることが判明したり、形が不揃いであることが確認できたりした場合では、ランクを“不良(規格外)”等とすることも考えられる。このような「規格外」の場合、品質については問題がないことが多いため、代替農作物ではなく予約農作物を購入することもあり得る。そこで、そのような場合はまず、代替農作物の設定が必要かどうかを予約した会員に確認し、その結果代替農作物の設定が必要との回答を得た場合に当該設定を行うことが好ましい。具体的には、販売サーバ1が、生育状態が“不良(規格外)”と判定された予約農作物を予約した会員に対してその旨を通知する電子メールを送信し、その電子メールにて示されたURLに対してアクセスがあった場合に、図15に示すような画面を表示するための画面情報を生成してクライアント端末2宛に送信する等の処理を実行する。
【0075】
図15に示す例では、現在予約中の農作物(トマト)と、代替農作物になる可能性がある農作物(トマト)とが対比されて表示されており、それぞれの農作物について、苗の画像、その苗になっているトマトの拡大画像、及びそのトマトに関する各種の情報とが示されている。そして、画面下部には、「品質・栄養には問題ありません。お安くします。」等の文言が表示され、さらに、「代わりのトマトが必要ですか?」との文言と、それに対する回答を受け付けるためのYESボタン及びNOボタンとが表示されている。会員は、予約中のトマトの様子を確認した結果、そのトマトに対して代替のトマトが必要だと判断した場合、YESボタンをクリックする。この場合、クライアント端末2から販売サーバ1に対して代替農作物設定処理の開始指示がなされることになり、販売サーバ1によって上述した代替農作物設定処理が実行されることになる。他方、予約中のトマトを予約どおり購入する場合、会員はNOボタンをクリックする。これにより、クライアント端末2から販売サーバ1に対して代替農作物設定処理が不要である旨が通知される。この場合、販売サーバ1は、この予約農作物に対する代替農作物の設定は行わない。
【0076】
なお、上記の実施の形態の農作物販売システムは、農作物を屋外及び屋内の何れの環境で栽培する場合でも使用することが可能である。いわゆる植物工場においても使用することができ、その場合はカメラの設置及びメンテナンスが容易になる等の利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置は、インターネット等の通信技術を用いて野菜及び果物などの各種の農作物を販売するための農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置等として有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 販売サーバ
2 クライアント端末
3 カメラ
3A 支柱
4A,4B,4C 苗
5 販売サーバ
11 主記憶装置
12 補助記憶装置
12A 会員情報データベース
12B 予約情報データベース
12C 農作物情報データベース
12D 画像情報データベース
100 インターネット
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の農作物を販売する農作物販売方法に関し、特に購入予定者によって購入予約がなされた農作物の販売を行う農作物販売方法、並びにその方法を実施するための農作物販売システム及び農作物販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが急速に普及していることに伴って、インターネットを利用した農作物の販売システムが種々提案されている。例えば、特許文献1には、インターネットを介して、農作物の出荷状態を示す商品見本となる商品画像データと、農作物の播種日から出荷日までを表す生産計画データとを購入者に提供し、その購入者から注文を受け付け、さらにその購入者に対して商品の生産状況を示す画像データを提示する販売システムが開示されている。ここで、この画像データには、例えば商品の育成場所全体を映した全体画像及び商品の1つ(代表物)を写した拡大画像が含まれる。この販売システムによれば、購入者の希望する量及び希望する日等の各種購入条件に対応した生産計画を立てることができるため、農作物の受注生産を実現することが可能になるとともに、購入者はその生産状況を画像にて確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−78238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている販売システムにおいては、出荷計画に基づいて出荷日と出荷量が正確に特定できる完全管理栽培を行うことによって、生産計画に基づいた農作物の受注生産を実現している。そのため、そのような完全管理栽培が困難な環境には適用できず、農作物が想定していたとおりに生長しない等の事態が起き得る場合には対応することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、インターネット等の通信技術を用いて、購入予約がなされた生育中の農作物が想定していたとおりに生長しなかった場合にも対応することができる農作物販売方法、並びにその方法を実施するための農作物販売システム及び農作物販売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物販売方法は、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の販売を行う農作物販売方法において、前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、前記サーバが、前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する画像データ記憶工程と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定工程と、前記代替物設定工程により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信工程とを実行し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を前記表示部に表示する表示工程を実行する。
【0007】
前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記播種時期特定工程によって特定され各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0008】
また、前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記収穫予定時期特定工程によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0009】
また、前記態様の農作物販売方法において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定工程をさらに実行し、前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様の農作物販売方法の前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて前記購入予約がなされた農作物の生育状態が不良であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様の農作物販売方法の前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定するようにしてもよい。
【0012】
また、前記態様の農作物販売方法の前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定するようにしてもよい。
【0013】
本発明の一の態様の農作物販売システムは、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の販売を行う農作物販売システムにおいて、前記サーバが、 撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信手段とを具備し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を表示する表示部を具備する。
【0014】
また、本発明の一の態様の農作物販売装置は、撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を外部の装置に対して送信する送信手段とを備える。
【0015】
前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記播種時期特定手段によって特定された各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記収穫予定時期特定手段によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【0017】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定手段をさらに備え、前記代替物設定手段が、前記生育状態判定手段により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置によれば、購入予約がなされた生育中の農作物が想定していたとおりに生長しなかった場合に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る販売サーバの構成を示すブロック図。
【図3】農作物を撮像するカメラの設置態様を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている会員情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている予約情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている農作物情報DBのレイアウトの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態に係る販売サーバに設けられている画像情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替農作物設定処理の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替設定処理の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態の販売サーバが実行する代替農作物情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施の形態に係るクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の一例を示す図。
【図13】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【図14】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【図15】本発明の実施の形態のクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0021】
[農作物販売システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施の形態の農作物販売システムは、購入予約がなされた農作物の販売を行うための販売サーバ1と、ユーザが操作するパーソナルコンピュータおよび携帯型電話機などのクライアント端末2,2,…とを備えている。
【0022】
販売サーバ1は、インターネット100を介してクライアント端末2,2,…と通信可能に接続されており、クライアント端末2,2,…との間で様々なデータの送受信を行う。クライアント端末2,2,…には液晶ディスプレイなどの表示部が設けられており、販売サーバ1から受信した画像データなどの情報が当該表示部に表示される。また、販売サーバ1は、後述するように農園に設けられた複数のカメラ3,3,…と専用線等を介して通信可能に接続されており、複数のカメラ3,3,…から画像データを受信する。これらのカメラ3,3,…は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されている。
【0023】
以下、上記の販売サーバ1の構成の詳細について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る販売サーバ1の構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、本実施の形態の販売サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御する制御部としてのCPU10と、そのCPU10に接続された主記憶装置11、補助記憶装置12、通信インタフェース(I/F)13及び入出力インタフェース(I/F)14とを備えている。なお、これらのCPU10、主記憶装置11、補助記憶装置12、通信I/F13及び入出力I/F14はバスによって接続されている。
【0024】
CPU10は、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。これにより、販売サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御しながら、後述する各種の処理を実行することが可能になる。
【0025】
主記憶装置11は、SRAMまたはDRAM等によって構成されており、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、主記憶装置11は、CPU10がコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0026】
補助記憶装置12は、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの不揮発性記憶装置によって構成されており、CPU10に実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等を記憶している。このデータには、購入予約がなされた農作物の代替物である代替農作物に関するデータである代替農作物リストLが含まれる。また、補助記憶装置12には、会員情報データベース(DB)12A、予約情報データベース(DB)12B、農作物情報データベース(DB)12C及び画像情報データベース(DB)12Dが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0027】
通信I/F13は、通信ネットワークを介して販売サーバ1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。販売サーバ1は、この通信I/F13を介して、クライアント端末2,2,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0028】
入出力I/F14は、CPU10と各種の外部装置とを接続するためのインタフェース装置である。この入出力I/F14には、上述した複数のカメラ3,3,…が接続されている。販売サーバ1は、この入出力I/F14を介して、カメラ3,3,…から画像データを受信する。
【0029】
図3は、カメラ3,3,…の設置態様を示す斜視図である。図3において、符号Fは農園を示している。農園Fには、複数の畝H,H,…が並列状に形成されており、各畝Hの長手方向に沿ってキュウリの複数の苗4A,4A,…、トマトの複数の苗4B,4B,…、及びナスの複数の苗4C,4C,…等が整列して定植されている。このように、本実施の形態では複数の苗が土壌で形成された畝Hに定植されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば養液栽培用の栽培ベッド等に定植されていてもよい。また、本実施の形態では農園F内に複数種類の果菜類の苗が定植されているが、1種類であってもよい。
【0030】
図3に示すとおり、支柱3Aによって適宜の高さに固定された2台のカメラ3,3が畝Hの長手方向に沿って並設されており、また、同様にして固定された2台のカメラ3,3が畝H,H,…の並列方向に沿って並設されている。なお、これらのカメラ3,3,…は、その設置角度が調節可能なように支柱3Aに取り付けられており、この設置角度を調節することにより撮像範囲を適宜調整することができる。
【0031】
本実施の形態では4台のカメラ3,3,…が設けられているが、この数に限られるわけではないことは勿論である。また、カメラ3,3,…が設置される位置も図3に示すものに限定されるわけではなく、農園F内で生育中の農作物を撮像することができる位置に設けられていればよい。
【0032】
次に、上記の会員情報DB12A、予約情報DB12B、農作物情報DB12C及び画像情報DB12Dについて説明する。
図4は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている会員情報DB12Aのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すように、会員情報DB12Aは、各会員を識別するための会員IDが格納される会員IDフィールド101、各会員の氏名が格納される氏名フィールド102、各会員の電子メールアドレスが格納される電子メールアドレスフィールド103、及び各会員の住所が格納される住所フィールド104を有している。
【0033】
上述した会員情報DB12Aに格納される情報は、本実施の形態の農作物販売システムを利用するための事前登録の際に各利用者から受け付けた内容に基づいて生成される。この事前登録を済ませた利用者は、本実施の形態の農作物販売システムを利用して農作物の購入を行うことができる会員となる。
【0034】
図5は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている予約情報DB12Bのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すように、予約情報DB12Bは、会員によりなされた各予約を識別するための予約IDが格納される予約IDフィールド111、各予約がなされた日時が格納される予約日時フィールド112、各予約を行った会員の会員IDが格納される会員IDフィールド113、及び各予約がなされた農作物を識別するための農作物IDが格納される農作物IDフィールド114を有している。この予約情報DB12Bに格納される予約情報は、会員が予約をする都度更新される。
【0035】
図6は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている農作物情報DB12Cのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、農作物情報DB12Cは、各農作物の農作物IDが格納される農作物IDフィールド121、各農作物の名称が格納される農作物名フィールド122、各農作物の播種日が格納される播種日フィールド123、各農作物の寸法(サイズ)を示す情報が格納されるサイズフィールド124、各農作物の表面の色に関する情報が格納される彩度フィールド125、各農作物の生育状態を示す情報が格納される状態フィールド126、各農作物の収穫予定日が格納される収穫予定日フィールド127、各農作物が予約されているか否かを示す情報が格納される予約フィールド128、及び後述するようにして代替の農作物の設定に関する情報が格納される代替フィールド129を有している。
【0036】
なお、本実施の形態において、サイズフィールド124には、農作物のサイズに応じて、“L(大)”、“M(中)”及び“S(小)”の何れかの情報が格納され、彩度フィールド125には、特定の色(例えば、農作物がトマトの場合は赤、キュウリの場合は緑等)の彩度に応じて、“濃”及び“薄”の何れかの情報が格納される。また、状態フィールド126には、農作物の生育状態に応じて、“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報が格納される。
【0037】
代替フィールド129には、農作物IDによって識別される農作物に対して代替農作物の設定がなされた場合には“済”が、当該農作物自体が他の農作物の代替農作物として設定された場合は当該他の農作物の農作物IDがそれぞれ格納される。図6では、農作物IDが“X013”である農作物に対して、農作物IDが“X018”である農作物が代替農作物として設定されている例が示されている。
【0038】
上述した農作物情報DB12Cに格納される情報は、カメラ3,3,…により取得された画像データに基づいて適宜更新される。その処理の詳細については後述する。
【0039】
画像情報DB12Dには、カメラ3,3,…が農園F内を撮像することにより得られた農作物を含む画像データが格納される。カメラ3,3,…は、予め設定された時間間隔(例えば、3時間毎等)で繰り返し撮像処理を実行する。そして、その結果得られた複数の画像データが、撮像日時等の情報と共に、画像情報DB12Dに格納される。具体的には、図7に示すようにして格納されている。
【0040】
図7は、本実施の形態の販売サーバ1に設けられている画像情報DB12Dのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、画像情報DB12Dは、各画像データを識別するための画像IDが格納される画像IDフィールド131、各画像データの撮像日時が格納される撮像日時フィールド132、補助記憶装置12における画像データの記憶位置を示す情報が格納される画像データフィールド133、及び画像データに含まれている農作物の農作物IDが格納される農作物IDフィールド134を有している。なお、この図7に示す例では、農作物IDフィールド134に農作物IDが一つのみ格納されているが、撮像範囲に複数の農作物が含まれている場合には複数の農作物IDが格納されることになる。画像データと農作物IDとの対応付けは、画像データの内容をオペレータが確認する等しながら人手で行ってもよく、各カメラ3の撮像範囲等に基づいて予め定められていてもよい。また、所定の画像処理を実行することによって販売サーバ1が自動的に行ってもよい。
【0041】
[農作物販売システムの動作]
次に、上述したように構成された農作物販売システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の農作物販売システムが実行する主な処理には、(1)農作物情報の更新を行うための農作物情報更新処理、(2)予約された農作物の代替物である代替農作物の設定を行う代替農作物設定処理、及び(3)代替農作物に関する情報を会員に対して提供するための代替農作物情報提供処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0042】
(1)農作物情報更新処理
図8は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の農作物情報更新処理は、例えばカメラ3,3,…による撮像処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0043】
販売サーバ1はまず、農作物情報更新処理の対象となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、販売サーバ1は、画像情報DB12Dにアクセスし、処理対象とした農作物の農作物IDが含まれている画像情報を読み出す(S102)。これにより、例えば直近10回の撮像処理により得られた10個の画像データを取得する。なお、ここでの「10」は例示であり、その他の数であってもよいことは言うまでもない。ただし、後述するように画像データの比較処理を行うためには2個以上の画像データが必要になる。
【0044】
次に、販売サーバ1は、最も新しい画像データに対してエッジ抽出等の所定の画像処理を施すことによって農作物のサイズを特定する(S103)。例えば、農作物がトマトの場合、トマトの直径を算出し、その数値に応じて“L”、“M”及び“S”の3段階にランク付けする。
【0045】
また、販売サーバ1は、最も新しい画像データに対して所定の画像処理を施すことによって農作物の表面の色に関する色情報を取得し、その色情報の解析を行う(S104)。例えば、農作物がトマトの場合、赤色の彩度が所定値よりも高いか否か等によって、処理対象の農作物の表面の色が“濃”及び“薄”の何れであるのかの判定を行う。
【0046】
さらに、販売サーバ1は、取得した10個の画像データを比較する処理を実行する(S105)。これにより、処理対象の農作物の実の大きさ及びその実がなっている苗の大きさ等の時間変化を測定することができ、その時間変化に基づいて当該農作物の生長度合いを算出することができる。
【0047】
次に、販売サーバ1は、ステップS103により特定された農作物のサイズ、ステップS104の解析結果、及びステップS105の結果得られた農作物の生長度合い等に関する情報に基づいて、農作物の生育状態を3段階にランク付けすることにより、農作物の生育状態の判定を行う(S106)。この判定処理は、次のようにして与えられる得点に基づいて行うこと等が考えられる。サイズが“L”、“M”及び“S”の順に高い得点を与え、表面の色が“濃”と判定された場合に“薄”と判定された場合と比べて高い得点を与えるようにする。また、農作物の生長度合いの平均値を示す統計データを記憶しておき、その統計データと比較した結果、生長度合いが平均以上の場合に高い得点を与え、平均を下回る場合には低い得点を与えるようにする。そして、これらの得点の合計点が高い順に、“良好”、“普通”、“不良”とランク付けすることにより生育状態の判定を行う。
【0048】
次に、販売サーバ1は、ステップS106にて判定された生育状態に基づいて、処理対象の農作物の収穫日を推定する(S107)。具体的には、農作物の種類毎に農作物の収穫適期に関する収穫適期データ(例えば、播種日から3ヶ月後等)を記憶しておき、生育状態が“良好”の場合は収穫適期データよりも2週間早く収穫日を迎え、生育状態が“普通”の場合は収穫適期データのとおりに収穫日を迎え、生育状態が“不良”の場合は収穫適期データよりも2週間遅く収穫日を迎える等と判断することにより、処理対象の農作物の収穫日を推定する。
【0049】
そして、販売サーバ1は、上記の各ステップにより得られた情報を農作物情報DB12Cの各フィールドに格納することによって、農作物情報DB12Cを更新する(S108)。具体的には、ステップS103により得られた“L”、“M”及び“S”の何れかの情報をサイズフィールド124に格納し、ステップS104により得られた“濃”及び“薄”の何れかの情報を彩度フィールド125に格納し、ステップS106により得られた“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報を状態フィールド126に格納し、ステップS107により推定された収穫日を収穫予定日フィールド127に格納することにより、農作物情報DB12Cの更新を行う。
【0050】
次に、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物について農作物情報更新処理を実行したか否かを判定する(S109)。ここで、まだ処理対象となっていない農作物が存在すると判定した場合(S109でNO)、販売サーバ1はステップS101に戻り、それ以降のステップS102乃至S108を実行する。他方、すべての農作物について農作物情報更新処理が行われたと判定した場合(S109でYES)、販売サーバ1は処理を終了する。
このようにして更新された農作物情報DB12Cの内容に基づいて、次の(2)代替農作物設定処理が実行される。
【0051】
(2)代替農作物設定処理
図9は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する代替農作物設定処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の代替農作物設定処理は、例えば上記の(1)農作物情報更新処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0052】
販売サーバ1はまず、代替農作物の設定が必要となるかどうかの検査対象となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの予約フィールド128に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物が予約済みであるか否かを判定する(S202)。ここで予約済みであると判定した場合(S202でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの状態フィールド126に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の生育状態が“不良”であるか否かを判定する(S203)。ここで生育状態が“不良”であると判定した場合(S203でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの代替フィールド129に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物に対して既に代替物が設定されていないかどうかを判定する(S204)。ここでまだ代替物の設定がされていないと判定した場合(S204でYES)、販売サーバ1は、検査対象の農作物に対して代替物を設定するための代替設定処理を実行する(S205)。
【0053】
図10は、本実施の形態の販売サーバ1が実行する代替設定処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示すとおり、販売サーバ1は、代替設定処理によって代替物に設定される候補(以下、「代替候補」という)となる農作物の農作物IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S211)。次に、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの予約フィールド128に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物が予約済みではないかどうかを判定する(S212)。ここで予約済みではないと判定した場合(S212でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの状態フィールド126に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物の生育状態が“不良”ではないかどうかを判定する(S213)。ここで生育状態が“不良”ではない(つまり“良好”又は“普通”である)と判定した場合(S213でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの代替フィールド129に格納されている情報を参照し、代替候補の農作物が既に他の農作物の代替物として設定されていないかどうかを判定する(S214)。
【0054】
ステップS214において代替物として設定がなされていないと判定した場合(S214でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの播種日フィールド123に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の播種日と代替候補の農作物の播種日との差が10日以内であるか否かを判定する(S215)。ここで播種日の差が10日以内であると判定した場合(S215でYES)、販売サーバ1は、農作物情報DB12Cの収穫予定日フィールド127に格納されている情報を参照し、検査対象の農作物の収穫予定日と代替候補の農作物の収穫予定日との差が10日以内であるか否かを判定する(S216)。ここで収穫予定日の差が10日以内であると判定した場合(S216でYES)、販売サーバ1は、代替候補の農作物の農作物IDと検査対象の農作物の農作物IDとを対とした代替農作物設定情報を代替農作物リストLに登録する(S217)。これにより、代替候補の農作物が検査対象の農作物の代替農作物として設定される。
【0055】
他方、ステップS212で代替候補の農作物が予約済みであると判定した場合(S212でNO)、ステップS213で代替候補の農作物の生育状態が不良であると判定した場合(S213でNO)、ステップS214で代替候補の農作物が既に代替農作物として設定されていると判定した場合(S214でNO)、ステップS215で播種日の差が10日より大きいと判定した場合(S215でNO)、又はステップS216で収穫予定日の差が10日より大きいと判定した場合(S216でNO)、販売サーバ1は、代替候補の農作物を検査対象の農作物の代替農作物として設定することはできないと判断し、ステップS218に進む。
【0056】
ステップS218において、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物に対して代替設定処理が実行されたか否か(すなわち、すべての農作物が代替候補となったか否か)を判定する。ここで、まだ代替候補となっていない農作物が存在すると判定した場合(S218でNO)、販売サーバ1はステップS211に戻り、それ以降のステップS212乃至S217を実行する。他方、すべての農作物が代替候補となった判定した場合(S218でYES)、販売サーバ1は処理をリターンする。
【0057】
図9に戻り、ステップS202で検査対象の農作物が予約されていないと判定した場合(S202でNO)、ステップS203で検査対象の農作物の生育状態が不良ではないと判定した場合(S203でNO)、ステップS204で検査対象の農作物に対して既に代替農作物が設定されていると判定した場合(S204でNO)、又は代替設定処理(S205)が終了した場合、販売サーバ1は、農園F内のすべての農作物が検査対象となったか否かを判定する(S206)。ここで、まだ検査対象となっていない農作物が存在すると判定した場合(S206でNO)、販売サーバ1はステップS201に戻り、それ以降のステップS202乃至S205を実行する。他方、すべての農作物が検査対象になった判定した場合(S206でYES)、販売サーバ1は処理を終了する。
【0058】
上記の(2)代替農作物設定処理の結果、生育状態が不良である予約済みの農作物に対して、代替農作物が設定されることになる。本実施の形態の場合、代替農作物となり得るのは、生育状態が“良好”又は“普通”であって、播種日及び収穫予定日のそれぞれが当該予約済みの農作物の播種日及び収穫予定日の10日以内である農作物である。これにより、生育状態が不良ではなく、しかも播種日及び収穫予定日が予約済みの農作物と近い農作物を代替農作物として設定することができる。なお、これ以外にも、例えば生育状態が“良好”の農作物のみを代替農作物に設定できるようにしてもよく、播種日及び収穫予定日の何れか一方が当該予約済みの農作物の播種日及び収穫予定日の10日以内である農作物を代替農作物に設定できるようにしてもよい。また、「10日以内」は例示にすぎないため、「5日以内」又は「3日以内」等であってもよく、播種日及び/又は収穫予定日が予約済みの農作物と同日の農作物のみを代替農作物に設定できるようにしてもよい。
【0059】
上記の(1)農作物情報更新処理及び(2)代替農作物設定処理の結果、農作物情報DB12Cに最新の内容が反映されることになる。このようにして更新された農作物情報DB12Cの内容に基づいて、次の(3)代替農作物情報提供処理が実行される。
【0060】
(3)代替農作物情報提供処理
図11は、本実施の形態の販売サーバ1及びクライアント端末2が実行する代替農作物情報提供処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の代替農作物情報提供処理は、例えば代替農作物リストLに新たな登録がなされる都度等、所定のタイミングで実行される。
【0061】
図11に示すとおり、販売サーバ1はまず、代替農作物リストLを参照する(S301)。そして、販売サーバ1は、その代替農作物リストLにおいて予約済みの農作物(以下、「予約農作物」という)と対応付けられている代替農作物の農作物IDを検索キーとして画像情報DB12Dから当該代替農作物に係る画像情報を読み出し(S302)、さらに同じく農作物IDをキーとして農作物情報DB12Cから当該代替農作物に係る農作物情報を読み出す(S303)。なお、一の予約済みの農作物に対して複数の代替農作物が設定されている場合には、それら複数の代替農作物に係る画像情報及び農作物情報を読み出すことになる。
【0062】
次に、販売サーバ1は、上述したようにして読み出した画像情報及び農作物情報に基づいて、クライアント端末2にて表示される画面に関する画面情報を生成する(S304)。具体的には、ステップS302にて読み出した画像情報に含まれている画像データ、及びステップS303にて読み出した農作物情報に含まれている播種日・生育状態・サイズ・収穫予定日に関する生育状況情報を含む画面情報を生成する。
【0063】
次に、販売サーバ1は、予約農作物の農作物IDを検索キーとして予約情報DB12Bから当該予約農作物の予約情報を読み出す(S305)。そして、販売サーバ1は、その読み出した予約情報に含まれている会員IDを検索キーとして会員情報DB12Aから当該予約農作物の購入予約を行った会員の会員情報を読み出す(S306)。次に、販売サーバ1は、その読み出した会員情報に含まれている会員の電子メールアドレス宛に、予約農作物の生育状態が不良であるため代替農作物の設定がなされたこと及びその代替農作物を示す画像を表示するためのURL(Uniform Resource Locator)を含む電子メールを送信する(S307)。
【0064】
クライアント端末2は、販売サーバ1から送信された電子メールを受信した場合(S401)、その電子メールの内容を確認した会員からの指示にしたがって、電子メールに示されているURLにアクセスする(S402)。これにより、ステップS304において生成された画面情報の送信要求が、クライアント端末2から販売サーバ1に対して行われることになる。
【0065】
販売サーバ1は、クライアント端末2からのアクセスを受け付けた場合(S308)、ステップS304にて生成した画面情報をクライアント端末2に対して送信する(S309)。クライアント端末2が、このようにして販売サーバ1から送信された画面情報を受信した場合(S403)、その受信した画面情報を表示部に表示する(S404)。
【0066】
図12は、クライアント端末2の表示部に表示される画面の一例を示す図である。なお、この図12には、二つの代替農作物が設定されている場合の例が示されている。
図12に示すとおり、この画面には、代替農作物として設定されている実を付けている苗が含まれる画像と、当該実に関する各種の情報とが表示されている。この実に関する各種の情報として、図12に示す画面例では、播種日、収穫予定日、生育状態、及びサイズに関する情報が表示されている。
【0067】
また、図12に示す画面例には、「予約する」という文字が付されたチェックボックスが代替農作物として設定されている実毎に設けられている。会員は、予約農作物の代わりに代替農作物の購入を希望する場合、クライアント端末2を用いてこのチェックボックスにチェックを入れた上で、画面下部に設けられている送信ボタンをクリックする。これにより農作物の購入予約の変更をするための予約変更情報の入力がなされたことになる。クライアント端末2は、会員から予約変更情報の入力を受け付けた場合(S405)、その予約変更情報を販売サーバ1に対して送信する(S310)。
【0068】
販売サーバ1は、クライアント端末2から送信された予約変更情報を受信した場合(S310)、その受信した予約変更情報の受信日時、その予約変更情報を送信した会員の会員ID、及び新たに購入予約がなされた代替農作物の農作物IDを用いて、予約情報DB12Bに新たなレコードを作成し、予約情報DB12Bを更新する(S311)。さらに、販売サーバ1は、予約農作物の農作物情報の代替フィールド129に“済”を格納すると共に、新たに購入予約がなされた代替農作物の農作物情報の代替フィールド129に予約農作物の農作物IDを格納することによって農作物情報DB12Cを更新する(S312)。その後、販売サーバ1は、予約の変更が完了したことを示す予約変更完了情報をクライアント端末2に対して送信する(S313)。
【0069】
クライアント端末2は、販売サーバ1から送信された予約変更完了情報を受信した場合(S407)、その受信した予約変更完了情報を表示部に表示する(S408)。会員は、このようにして表示されている予約変更完了情報により予約の変更が完了したことを確認することができる。
【0070】
以上の処理によって、会員は、購入を予定していた農作物の生育状態が良くない場合に、その代わりとなる農作物の購入予約を行うことが可能になる。なお、その後に予約された代替農作物が収穫予定日を迎えたとき等のタイミングでその代替農作物が収穫され、予約者である会員に対して届けられる。または、この代替農作物が収穫適期を迎えた頃等に予約者である会員が農園Fに出向き、当該代替農作物を会員自身が収穫するようにしてもよい。これにより、会員は新鮮な状態の農作物を得ることができる。
【0071】
予約された代替農作物が収穫適期を迎えた場合には会員に対して電子メールを用いてその旨が伝えられる。その際には会員情報DB12Aの電子メールアドレスフィールド103に格納されている電子メールアドレスが用いられる。また、予約者である会員に対して収穫された代替農作物を届ける際には、会員情報DB12Aの住所フィールド104に格納されている住所が用いられる。
【0072】
なお、図12に示した画面は一例であるため、その他にも様々な画面が考えられる。例えば、一つの予約農作物に対して代替農作物が複数設定されている場合に、各代替農作物を別々の画面で表示するようにしてもよい。また、そのように複数の代替農作物が設定されている場合に、販売サーバ1が、各代替農作物の生育状態等に基づいて最も推奨される代替農作物を選択し、その旨を示す情報を画面情報に含めるようにしてもよい。
【0073】
上記以外にも、次のような画面例が考えられる。図13及び図14は、本発明の実施の形態におけるクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の他の例を示す図である。図13に示す例では、図12に示した表示内容に加えて、画面下部の左側に「現在の予約」との文字が付されたボタンが設けられている。ここで、会員がこの「現在の予約」ボタンをクリックすると、図14に示すように、予約農作物(現在予約中の農作物)に係る苗の画像、その苗になっている実(農作物)の拡大画像、及びその実に関する各種の情報とが対応付けられて表された画面が表示される。これにより、会員は代替農作物と予約農作物との差異を容易に確認することができる。
【0074】
また、上述した実施の形態における生育状態のランク付けは例示にすぎないため、他のランク付けも考えられ、さらに“不良”の場合にその理由を明確にする情報を付する等の態様も考えられる。例えば画像処理によって傷が付いていることが判明したり、形が不揃いであることが確認できたりした場合では、ランクを“不良(規格外)”等とすることも考えられる。このような「規格外」の場合、品質については問題がないことが多いため、代替農作物ではなく予約農作物を購入することもあり得る。そこで、そのような場合はまず、代替農作物の設定が必要かどうかを予約した会員に確認し、その結果代替農作物の設定が必要との回答を得た場合に当該設定を行うことが好ましい。具体的には、販売サーバ1が、生育状態が“不良(規格外)”と判定された予約農作物を予約した会員に対してその旨を通知する電子メールを送信し、その電子メールにて示されたURLに対してアクセスがあった場合に、図15に示すような画面を表示するための画面情報を生成してクライアント端末2宛に送信する等の処理を実行する。
【0075】
図15に示す例では、現在予約中の農作物(トマト)と、代替農作物になる可能性がある農作物(トマト)とが対比されて表示されており、それぞれの農作物について、苗の画像、その苗になっているトマトの拡大画像、及びそのトマトに関する各種の情報とが示されている。そして、画面下部には、「品質・栄養には問題ありません。お安くします。」等の文言が表示され、さらに、「代わりのトマトが必要ですか?」との文言と、それに対する回答を受け付けるためのYESボタン及びNOボタンとが表示されている。会員は、予約中のトマトの様子を確認した結果、そのトマトに対して代替のトマトが必要だと判断した場合、YESボタンをクリックする。この場合、クライアント端末2から販売サーバ1に対して代替農作物設定処理の開始指示がなされることになり、販売サーバ1によって上述した代替農作物設定処理が実行されることになる。他方、予約中のトマトを予約どおり購入する場合、会員はNOボタンをクリックする。これにより、クライアント端末2から販売サーバ1に対して代替農作物設定処理が不要である旨が通知される。この場合、販売サーバ1は、この予約農作物に対する代替農作物の設定は行わない。
【0076】
なお、上記の実施の形態の農作物販売システムは、農作物を屋外及び屋内の何れの環境で栽培する場合でも使用することが可能である。いわゆる植物工場においても使用することができ、その場合はカメラの設置及びメンテナンスが容易になる等の利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置は、インターネット等の通信技術を用いて野菜及び果物などの各種の農作物を販売するための農作物販売方法、農作物販売システム及び農作物販売装置等として有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 販売サーバ
2 クライアント端末
3 カメラ
3A 支柱
4A,4B,4C 苗
5 販売サーバ
11 主記憶装置
12 補助記憶装置
12A 会員情報データベース
12B 予約情報データベース
12C 農作物情報データベース
12D 画像情報データベース
100 インターネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の販売を行う農作物販売方法において、
前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、
前記サーバが、
前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する画像データ記憶工程と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定工程と、
前記代替物設定工程により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信工程とを実行し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を前記表示部に表示する表示工程を実行する
ことを特徴とする、農作物販売方法。
【請求項2】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記播種時期特定工程によって特定され各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行う、請求項1に記載の農作物販売方法。
【請求項3】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記収穫予定時期特定工程によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行う、請求項1又は2に記載の農作物販売方法。
【請求項4】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行う、請求項1乃至3の何れかに記載の農作物販売方法。
【請求項5】
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて前記購入予約がなされた農作物の生育状態が不良であるか否かを判定する、請求項4に記載の農作物販売方法。
【請求項6】
前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定する、請求項4又は5に記載の農作物販売方法。
【請求項7】
前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定する、請求項4乃至6の何れかに記載の農作物販売方法。
【請求項8】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の販売を行う農作物販売システムにおいて、
前記サーバが、
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、
前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信手段と
を具備し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を表示する表示部
を具備することを特徴とする、農作物販売システム。
【請求項9】
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、
前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を外部の装置に対して送信する送信手段と
を備える、農作物販売装置。
【請求項10】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記播種時期特定手段によって特定された各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9に記載の農作物販売装置。
【請求項11】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記収穫予定時期特定手段によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9又は10に記載の農作物販売装置。
【請求項12】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記生育状態判定手段により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9乃至11の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項1】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の販売を行う農作物販売方法において、
前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、
前記サーバが、
前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する画像データ記憶工程と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定工程と、
前記代替物設定工程により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信工程とを実行し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を前記表示部に表示する表示工程を実行する
ことを特徴とする、農作物販売方法。
【請求項2】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記播種時期特定工程によって特定され各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行う、請求項1に記載の農作物販売方法。
【請求項3】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記収穫予定時期特定工程によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行う、請求項1又は2に記載の農作物販売方法。
【請求項4】
前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定工程をさらに実行し、
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行う、請求項1乃至3の何れかに記載の農作物販売方法。
【請求項5】
前記代替物設定工程において、前記サーバが、前記生育状態判定工程により判定された各農作物の生育状態に基づいて前記購入予約がなされた農作物の生育状態が不良であるか否かを判定する、請求項4に記載の農作物販売方法。
【請求項6】
前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定する、請求項4又は5に記載の農作物販売方法。
【請求項7】
前記生育状態判定工程において、前記サーバが、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定する、請求項4乃至6の何れかに記載の農作物販売方法。
【請求項8】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の販売を行う農作物販売システムにおいて、
前記サーバが、
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、
前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を前記クライアント端末に対して送信する送信手段と
を具備し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された代替農作物情報を受信し、その受信した代替農作物情報を表示する表示部
を具備することを特徴とする、農作物販売システム。
【請求項9】
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物のうちの既に購入予約がなされた農作物の生育状態が不良な場合に、当該画像データに含まれる他の農作物を代替物として設定する代替物設定手段と、
前記代替物設定手段により代替物に設定された農作物に関する代替農作物情報を外部の装置に対して送信する送信手段と
を備える、農作物販売装置。
【請求項10】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の播種時期を特定する播種時期特定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記播種時期特定手段によって特定された各農作物の播種時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9に記載の農作物販売装置。
【請求項11】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の収穫予定時期を特定する収穫予定時期特定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記収穫予定時期特定手段によって特定された各農作物の収穫予定時期に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9又は10に記載の農作物販売装置。
【請求項12】
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状態を、当該農作物を含む前記画像データに基づいて判定する生育状態判定手段をさらに備え、
前記代替物設定手段が、前記生育状態判定手段により判定された各農作物の生育状態に基づいて代替物の設定を行うように構成されている、請求項9乃至11の何れかに記載の農作物販売装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−197832(P2011−197832A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61632(P2010−61632)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
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