説明

農作物購入予約方法、農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置

【課題】 生育中である農作物の購入の予約を実現することができる農作物購入予約方法、農作物購入予約システム、及び農作物購入予約装置を提供する。
【解決手段】
農作物の購入の予約を行う予約サーバ1は、カメラ3により得られた生育中の農作物の画像データを記憶する画像情報DB12Dを備えており、画像情報DB12Dに記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定し、クライアント端末からの要求に応じて、その判定結果が付与された画像データを当該クライアント端末に対して送信する。また、予約サーバ1は、前記クライアント端末から、前記画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の農作物の購入を予約する農作物購入予約方法に関し、特に収穫前であって生育中の農作物の購入を予約する農作物購入予約方法、並びにその方法を実施するための農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが急速に普及していることに伴って、インターネットを利用した農作物の販売システムが種々提案されている。例えば、特許文献1には、商品情報、商品履歴情報及び生産環境情報を掲示することができる商品掲示サーバとクライアント端末とを備え、クライアント端末が商品掲示サーバにアクセスし、商品掲示サーバが掲示する商品情報、商品履歴情報及び生産環境情報に基づいて商品を選択して注文することができる販売システムが開示されている。この販売システムによれば、購入者は、商品情報に加えて、商品履歴情報及び生産環境情報をも参照することができるため、生産現場の臨場感を得ながら商品注文を行うことができる。
【0003】
また、特許文献2には、インターネットを介して、農作物の出荷状態を示す商品見本となる商品画像データと、農作物の播種日から出荷日までを表す生産計画データとを購入者に提供し、その購入者から注文を受け付ける販売システムが開示されている。この販売システムによれば、購入者の希望する量及び希望する日等の各種購入条件に対応した生産計画を立てることができるため、農作物の受注生産を実現することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−256679号公報
【特許文献2】特開2005−78238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来の販売システムによれば、インターネットを用いて農作物の注文を行うことができるため、購入者は販売地に出向くことなく農作物の購入を予約することができる。しかしながら、これらの販売システムにおいては、購入者は商品見本となる画像等を確認するのみであって、実際に購入する農作物を確認した上で購入の予約をすることはできない。そのため、後日購入者の下に届けられた農作物と購入者が予約の際に想像していた農作物とが大きく異なる場合がある等の不都合が生じるという問題があった。
【0006】
このような不都合を解消するために、購入者の下に実際に届けられる収穫後の農作物そのものを画像等で提示する販売システムも考えられるが、この場合では収穫から購入者に届けられるまでの期間が長くなってしまうため、新鮮な状態の農作物を提供することができないという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、インターネット等の通信技術を用いて、収穫前であって生育中の農作物の購入を予約することができる農作物購入予約方法、並びにその方法を実施するための農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物購入予約方法は、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の購入の予約を行う農作物購入予約方法において、前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、前記サーバが、前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する記憶工程と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定工程と、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定工程による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該クライアント端末に対して送信する画像データ送信工程とを実行し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された画像データを受信し、その受信した画像データを前記表示部に表示する表示工程と、前記表示部に表示された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付け、その受け付けた予約情報を前記サーバへ送信する予約情報送信工程とを実行する。
【0009】
前記態様の農作物購入予約方法の前記撮像工程において、前記撮像装置が、生育中の農作物を所定の時間間隔で繰り返し撮像し、前記予約可否判定工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている複数の画像データに基づいて農作物の生育状況を判断し、その判断した結果に応じて当該農作物の予約が可能か否かを判定するようにしてもよい。
【0010】
また、前記態様の農作物購入予約方法の前記予約可否判定工程において、同一の苗に複数の農作物が存在する場合、前記サーバが、当該複数の農作物について予約が可能か否かを各別に判定するようにしてもよい。
【0011】
また、前記態様の農作物購入予約方法の前記予約可否判定工程において、同一の苗に複数の農作物が存在する場合、前記サーバが、農作物について予約が可能か否かを苗毎に判定するようにしてもよい。
【0012】
また、前記態様の農作物購入予約方法の前記画像データ送信工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状況に関する生育状況情報を当該画像データに付与し、その生育状況情報が付与された画像データを送信するようにしてもよい。
【0013】
また、前記態様の農作物購入予約方法において、前記サーバが、前記生育状況情報に基づいて購入に適した農作物を特定する特定工程をさらに実行し、前記画像データ送信工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに前記特定工程による特定結果を付与し、その特定結果が付与された画像データを送信するようにしてもよい。
【0014】
本発明の一の態様の農作物購入予約システムは、撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の購入の予約を行う農作物購入予約システムにおいて、 前記サーバが、撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定手段による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該クライアント端末に対して送信する画像データ送信手段とを具備し、前記クライアント端末が、前記サーバから送信された画像データを受信し、その受信した画像データを表示する表示部と、前記表示部に表示された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付け、その受け付けた予約情報を前記サーバへ送信する予約情報送信手段とを具備する。
【0015】
また、本発明の一の態様の農作物購入予約装置は、撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定手段と、外部の装置からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定手段による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該外部の装置に対して送信する画像データ送信手段と、前記外部の装置から、前記画像データ送信手段によって送信された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付ける予約受付手段とを備える。
【0016】
前記態様の農作物購入予約装置において、前記記憶部が、前記撮像装置によって時間を隔てて繰り返し行われる撮像の結果得られた生育中の農作物の複数の画像データを記憶するように構成されており、前記予約可否判定手段が、前記記憶部に記憶されている複数の画像データに基づいて農作物の生育状況を判断し、その判断した結果に応じて当該農作物の予約が可能か否かを判定するように構成されていてもよい。
【0017】
また、前記態様の農作物購入予約装置において、前記予約可否判定手段が、同一の苗に複数の農作物が存在する場合に、当該複数の農作物について予約が可能か否かを各別に判定するように構成されていてもよい。
【0018】
また、前記態様の農作物購入予約装置において、前記予約可否判定手段が、同一の苗に複数の農作物が存在する場合に、農作物について予約が可能か否かを苗毎に判定するように構成されていてもよい。
【0019】
また、前記態様の農作物購入予約装置において、前記画像データ送信手段が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状況に関する生育状況情報を当該画像データに付与し、その生育状況情報が付与された画像データを送信するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る農作物購入予約方法、農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置によれば、生育中の農作物の購入を予約することができるため、購入者は新鮮な状態の農作物を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る農作物購入予約システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る予約サーバの構成を示すブロック図。
【図3】農作物を撮像するカメラの設置態様を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る予約サーバに設けられている会員情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る予約サーバに設けられている苗情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1に係る予約サーバに設けられている苗予約情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係る予約サーバに設けられている画像情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1に係る予約サーバが実行する苗情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態1に係る予約サーバが実行する予約可否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態1に係る予約サーバ及びクライアント端末が実行する予約受付処理の手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態1に係るクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の一例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態2に係る予約サーバの構成を示すブロック図。
【図13】本発明の実施の形態2に係る予約サーバに設けられている実情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図14】本発明の実施の形態2に係る予約サーバに設けられている実予約情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図15】本発明の実施の形態2に係る予約サーバに設けられている画像情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図16】本発明の実施の形態2に係る予約サーバが実行する実情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図17】本発明の実施の形態2に係る予約サーバが実行する予約可否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図18】本発明の実施の形態2に係る予約サーバ及びクライアント端末が実行する予約受付処理の手順を示すフローチャート。
【図19】本発明の実施の形態2に係るクライアント端末が具備する表示部に表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0023】
(実施の形態1)
[農作物購入予約システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る農作物購入予約システムの構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施の形態の農作物購入予約システムは、ユーザから農作物の購入の予約を受け付ける予約サーバ1と、ユーザが操作するパーソナルコンピュータおよび携帯型電話機などのクライアント端末2,2,…とを備えている。
【0024】
予約サーバ1は、インターネット100を介してクライアント端末2,2,…と通信可能に接続されており、クライアント端末2,2,…との間で様々なデータの送受信を行う。クライアント端末2,2,…には液晶ディスプレイなどの表示部が設けられており、予約サーバ1から受信した画像データなどの情報が当該表示部に表示される。また、予約サーバ1は、後述するように農園に設けられた複数のカメラ3,3,…と専用線等を介して通信可能に接続されており、複数のカメラ3,3,…から画像データを受信する。これらのカメラ3,3,…は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されている。
【0025】
以下、上記の予約サーバ1の構成の詳細について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る予約サーバ1の構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、本実施の形態の予約サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御する制御部としてのCPU10と、そのCPU10に接続された主記憶装置11、補助記憶装置12、通信インタフェース(I/F)13及び入出力インタフェース(I/F)14とを備えている。なお、これらのCPU10、主記憶装置11、補助記憶装置12、通信I/F13及び入出力I/F14はバスによって接続されている。
【0026】
CPU10は、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。これにより、予約サーバ1は、各種のデバイスの動作を制御しながら、後述する各種の処理を実行することが可能になる。
【0027】
主記憶装置11は、SRAMまたはDRAM等によって構成されており、補助記憶装置12に記憶されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、主記憶装置11は、CPU10がコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0028】
補助記憶装置12は、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの不揮発性記憶装置によって構成されており、CPU10に実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等を記憶している。また、補助記憶装置12には、会員情報データベース(DB)12A、苗情報データベース(DB)12B、苗予約情報データベース(DB)12C及び画像情報データベース(DB)12Dが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0029】
通信I/F13は、通信ネットワークを介して予約サーバ1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。予約サーバ1は、この通信I/F13を介して、クライアント端末2,2,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0030】
入出力I/F14は、CPU10と各種の外部装置とを接続するためのインタフェース装置である。この入出力I/F14には、上述した複数のカメラ3,3,…が接続されている。予約サーバ1は、この入出力I/F14を介して、カメラ3,3,…から画像データを受信する。
【0031】
図3は、カメラ3,3,…の設置態様を示す斜視図である。図3において、符号Fは農園を示している。農園Fには、複数の畝H,H,…が並列状に形成されており、各畝Hの長手方向に沿ってキュウリの複数の苗4A,4A,…、トマトの複数の苗4B,4B,…、及びナスの複数の苗4C,4C,…等が整列して定植されている。このように、本実施の形態では複数の苗が土壌で形成された畝Hに定植されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば養液栽培用の栽培ベッド等に定植されていてもよい。また、本実施の形態では農園F内に複数種類の果菜類の苗が定植されているが、1種類であってもよい。
【0032】
図3に示すとおり、支柱3Aによって適宜の高さに固定された2台のカメラ3,3が畝Hの長手方向に沿って並設されており、また、同様にして固定された2台のカメラ3,3が畝H,H,…の並列方向に沿って並設されている。なお、これらのカメラ3,3,…は、その設置角度が調節可能なように支柱3Aに取り付けられており、この設置角度を調節することにより撮像範囲を適宜調整することができる。
【0033】
本実施の形態では4台のカメラ3,3,…が設けられているが、この数に限られるわけではないことは勿論である。また、カメラ3,3,…が設置される位置も図3に示すものに限定されるわけではなく、農園F内で生育中の農作物を撮像することができる位置に設けられていればよい。
【0034】
次に、上記の会員情報DB12A、苗情報DB12B、苗予約情報DB12C及び画像情報DB12Dについて説明する。
図4は、実施の形態1の予約サーバ1に設けられている会員情報DB12Aのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すように、会員情報DB12Aは、各会員を識別するための会員IDが格納される会員IDフィールド101、各会員の氏名が格納される氏名フィールド102、各会員の電子メールアドレスが格納される電子メールアドレスフィールド103、及び各会員の住所が格納される住所フィールド104を有している。
【0035】
上述した会員情報DB12Aに格納される情報は、本実施の形態の農作物購入予約システムを利用するための事前登録の際に各利用者から受け付けた内容に基づいて生成される。この事前登録を済ませた利用者は、本実施の形態の農作物購入予約システムを利用して農作物の購入の予約を行うことができる会員となる。
【0036】
図5は、実施の形態1の予約サーバ1に設けられている苗情報DB12Bのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すように、苗情報DB12Bは、各苗を識別するための苗IDが格納される苗IDフィールド111、各苗に係る農作物の名称が格納される農作物名フィールド112、各苗の播種日が格納される播種日フィールド113、各苗が結実しているか否かを示す情報が格納される結実フィールド114、各苗の生育状態を示す情報が格納される状態フィールド115、各苗の収穫適期が格納される収穫適期フィールド116、各苗の予約が可能か否かを示す情報が格納される予約可否フィールド117、各苗が予約されているか否かを示す情報が格納される予約状況フィールド118、及び購入の予約が推奨される苗であるか否かを示す情報が格納される推奨フィールド119を有している。
【0037】
なお、本実施の形態では、苗が結実していない場合には結実フィールド114に“0”が格納され、結実している場合にはその実の数を示す値が結実フィールド114に格納される。また、状態フィールド115には、苗の生育状態に応じて、“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報が格納される。さらに、推奨フィールド119には、推奨される場合に“○”が格納され、推奨されない場合に“×”が格納される。
【0038】
上述した苗情報DB12Bに格納される情報は、カメラ3,3,…により取得された画像データに基づいて適宜更新される。その処理の詳細については後述する。
【0039】
図6は、実施の形態1の予約サーバ1に設けられている苗予約情報DB12Cのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、苗予約情報DB12Cは、会員によりなされた各予約を識別するための予約IDが格納される予約IDフィールド121、各予約がなされた日時が格納される予約日時フィールド122、各予約を行った会員の会員IDが格納される会員IDフィールド123、各予約がなされた苗の苗IDが格納される苗IDフィールド124、及び各予約がなされた苗の収穫適期が格納される収穫適期フィールド125を有している。
【0040】
上述した苗予約情報DB12Cに格納される情報は、会員が予約をする都度更新される。その処理の詳細については後述する。
【0041】
画像情報DB12Dには、カメラ3,3,…が農園F内を撮像することにより得られた農作物を含む画像データが格納される。カメラ3,3,…は、予め設定された時間間隔(例えば、3時間毎等)で繰り返し撮像処理を実行する。そして、その結果得られた複数の画像データが、撮像日時及び撮像範囲に含まれている1又は複数の苗の苗ID等の情報と共に、画像情報DB12Dに格納される。具体的には、図7に示すようにして格納されている。
【0042】
図7は、実施の形態1の予約サーバ1に設けられている画像情報DB12Dのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、画像情報DB12Dは、各画像データを識別するための画像IDが格納される画像IDフィールド131、各画像データの撮像日時が格納される撮像日時フィールド132、補助記憶装置12における画像データの記憶位置を示す情報が格納される画像データフィールド133、及び画像データに含まれている苗の苗IDが格納される苗IDフィールド134を有している。なお、この図7に示す例では、苗IDフィールド134に苗IDが一つのみ格納されているが、撮像範囲に複数の苗が含まれている場合には複数の苗IDが格納されることになる。画像データと苗IDとの対応付けは、画像データの内容をオペレータが確認する等しながら人手で行ってもよく、各カメラ3の撮像範囲等に基づいて予め定められていてもよい。また、所定の画像処理を実行することによって予約サーバ1が自動的に行ってもよい。
【0043】
[農作物購入予約システムの動作]
次に、上述したように構成された農作物購入予約システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の農作物購入予約システムが実行する主な処理には、(1)苗情報の更新を行うための苗情報更新処理、(2)その苗情報更新処理の中で実行される予約可否判定処理、及び(3)農作物の購入の予約を受け付けるための予約受付処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0044】
(1)苗情報更新処理
図8は、実施の形態1の予約サーバ1が実行する苗情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の苗情報更新処理は、例えばカメラ3,3,…による撮像処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0045】
予約サーバ1はまず、苗情報更新処理の対象となる苗の苗IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、予約サーバ1は、画像情報DB12Dにアクセスし、処理対象とした苗の苗IDが含まれている画像情報を読み出す(S102)。これにより、例えば直近10回の撮像処理により得られた10個の画像データを取得する。なお、ここでの「10」は例示であり、その他の数であってもよいことは言うまでもない。ただし、後述するように画像データの比較処理を行うためには2個以上の画像データが必要になる。
【0046】
次に、予約サーバ1は、取得した10個の画像データを比較する処理を実行する(S103)。これにより、処理対象の苗及び当該苗になっている実の大きさの時間変化を測定することができ、その時間変化に基づいて当該苗及び実の生長度合いを算出することができる。
【0047】
さらに、予約サーバ1は、最も新しい画像データに対して所定の画像処理を施すことによって画像データの解析を行う(S104)。この画像データの解析によって、処理対象の苗が結実しているかどうか、結実している場合では実が何個存在するか、苗になっている実の色が異常ではないかどうか、苗の葉の色が異常ではないかどうか等を確認することができる。
【0048】
次に、予約サーバ1は、処理対象の苗の購入の予約が可能であるか否かを判定する予約可否判定処理を実行する(S105)。この予約判定処理の詳細については後述する。
【0049】
予約可否判定処理を終えた予約サーバ1は、上記のステップS103乃至S105により得られた情報に基づいて苗情報DB12Bを更新する(S106)。具体的には、ステップS103の結果得られた苗及び実の生長度合いに関する情報、並びにステップS104の結果確認することができた苗の実及び葉の色に関する情報等に基づいて、苗の生育状態を3段階にランク付けする。例えば、農作物の種類毎に苗及び実の生長度合い並びに実及び葉の色に関するデータを記憶しておき、そのデータと比較すること等によってランク付けを行う。ここで、ランクが高い順に“良好”、“普通”、“不良”と判定し、状態フィールド115にその情報を格納する。また、ステップS104の結果確認することができた苗の結実に関する情報を結実フィールド114に格納する。さらに、ステップS105において予約が可能であるか否かが判定された場合にそのことを示す情報を予約可否フィールド117に格納し、推奨される苗であるか否かが判定された場合にそのことを示す情報を推奨フィールド119に格納する。
【0050】
次に、予約サーバ1は、農園F内のすべての苗について苗情報更新処理を実行したか否かを判定する(S107)。ここで、まだ処理対象となっていない苗が存在すると判定した場合(S107でNO)、予約サーバ1はステップS101に戻り、それ以降のステップS102乃至S106を実行する。他方、すべての苗について苗情報更新処理が行われたと判定した場合(S107でYES)、予約サーバ1は処理を終了する。
【0051】
(2)予約可否判定処理
図9は、実施の形態1の予約サーバ1が実行する予約可否判定処理の手順を示すフローチャートである。予約サーバ1は、苗情報DB12Bの予約状況フィールド118に格納されている情報を参照し、処理対象の苗が予約済みではないか否かを判定する(S111)。ここで予約済みではないと判定した場合(S111でYES)、予約サーバ1は、苗情報更新処理のステップS104によって確認された処理対象の苗の結実に関する情報に基づいて、2以上の実がなっているか否かを判定する(S112)。ここで2以上の実がなっていると判定した場合(S112でYES)、予約サーバ1は、苗情報更新処理のステップS103及びS104によって確認された処理対象の苗の生育状態に関する情報に基づいて、生育状態が“不良”ではないかどうかを判定する(S113)。
【0052】
ステップS113において生育状態が“不良”ではないと判定した場合(S113でYES)、予約サーバ1は、当該苗は購入の予約をすることが可能な苗であると判定する(S114)。他方、ステップS111で予約済みであると判定した場合(S111でNO)、ステップS112で2以上の実がなっていないと判定した場合(S112でNO)又はステップS113で生育状態が“不良”であると判定した場合(S113でNO)、予約サーバ1は、当該苗は購入の予約をすることができない苗であると判定し(S115)、処理をリターンする。
【0053】
ステップS114を実行した後、予約サーバ1は、苗情報更新処理のステップS103及びS104によって確認された処理対象の苗の生育状態に関する情報に基づいて、生育状態が“良好”であるか否かを判定する(S116)。ここで“良好”ではない(つまり“普通”である)と判定した場合(S116でNO)、予約サーバ1は処理をリターンする。これに対し、生育状態が“良好”であると判定した場合(S116でYES)、予約サーバ1は、当該苗を予約推奨の苗であると判定し(S117)、処理をリターンする。
【0054】
上記の(1)苗情報更新処理及び(2)予約可否判定処理の結果、苗情報DB12Bに最新の内容が反映されることになる。このようにして更新された苗情報DB12Bの内容に基づいて、次の(3)予約受付処理が実行される。
【0055】
(3)予約受付処理
図10は、実施の形態1の予約サーバ1及びクライアント端末2が実行する予約受付処理の手順を示すフローチャートである。なお、下記の予約受付処理を行うためには、会員登録を済ませている会員が、クライアント端末2を用いて予約サーバ1にアクセスして所定の会員認証処理による認証を受けなければならない。以下では、この会員認証処理が終了した後の処理を説明する。
【0056】
図10に示すとおり、クライアント端末2は、会員からの指示にしたがって、農園F内で生育中の苗が含まれている画像データの送信を要求するための画像送信要求を予約サーバ1に対して送信する(S121)。
【0057】
予約サーバ1は、クライアント端末2から送信された画像送信要求を受信した場合(S131)、画像情報DB12Dにアクセスし、直近の撮像処理により得られた画像データが含まれている画像情報を読み出す(S132)。また、予約サーバ1は、苗情報DB12Bにアクセスし、ステップS132にて読み出した画像情報に含まれている画像データ中の苗についての苗情報を読み出す(S133)。
【0058】
次に、予約サーバ1は、クライアント端末2にて表示される画面に関する画面情報を生成する。具体的には、ステップS132にて読み出した画像情報に含まれている画像データ、ステップS133にて読み出した苗情報に含まれている農作物名・播種日・生育状態・収穫適期・推奨に関する生育状況情報、及び同じく苗情報に含まれている予約可否に関する予約可否情報を含む画面情報を生成する(S134)。予約サーバ1は、このようにして生成された画面情報をクライアント端末2に対して送信する(S135)。
【0059】
クライアント端末2は、予約サーバ1から送信された画面情報を受信した場合(S122)、その受信した画面情報を表示部に表示する(S123)。
図11は、クライアント端末2の表示部に表示される画面の一例を示す図である。図11に示すとおり、この画面には、複数の苗が含まれる画像と、それらの画像中の苗と対応付けて表される当該苗に関する各種の情報とが表示されている。この苗に関する各種の情報として、図11に示す画面例では、農作物名、播種日、収穫適期、生育状態、予約の可否、予約済みであるか否か、及び推奨される苗であるか否かに関する情報が表示されている。
【0060】
図11に示す画面例には、「予約する」という文字が付されたチェックボックスが予約可能な苗毎に設けられている。会員が購入の予約を希望する場合は、クライアント端末2を用いてこのチェックボックスにチェックを入れた上で、画面下部に設けられている送信ボタンをクリックする。これにより苗の購入の予約をするための苗購入予約情報の入力がなされたことになる。クライアント端末2は、会員から苗購入予約情報の入力を受け付けた場合(S124)、その苗購入予約情報を予約サーバ1に対して送信する(S125)。
【0061】
予約サーバ1は、クライアント端末2から送信された苗購入予約情報を受信した場合(S136)、その受信した苗購入予約情報の受信日時、その苗購入予約情報を送信した会員の会員ID、及びその苗購入予約情報の内容に基づいて、苗予約情報DB12Cに新たなレコードを作成し、苗予約情報DB12Cを更新する(S137)。さらに、予約サーバ1は、苗購入予約情報で示されている苗についての苗情報の予約状況フィールド118に予約済みであることを示す情報を格納することによって苗情報DB12Bを更新する(S138)。その後、予約サーバ1は、苗の購入の予約が完了したことを示す苗予約完了情報をクライアント端末2に対して送信する(S139)。
【0062】
クライアント端末2は、予約サーバ1から送信された苗予約完了情報を受信した場合(S126)、その受信した苗予約完了情報を表示部に表示する(S127)。会員は、このようにして表示されている苗予約完了情報により予約が完了したことを確認することができる。
【0063】
以上の処理によって、会員は、実際に購入する農作物を画像にて確認した上で当該農作物の購入の予約を行うことが可能になる。その後、予約された苗が収穫適期を迎えたとき等のタイミングで予約された苗になっている実が収穫され、予約者である会員に対して届けられる。または、予約された苗が収穫適期を迎えた頃等に予約者である会員が農園Fに出向き、当該苗になっている実を会員自身が収穫するようにしてもよい。これにより、会員は新鮮な状態の農作物を得ることができる。
【0064】
なお、予約された苗が収穫適期を迎えた場合には会員に対して電子メールを用いてその旨が伝えられる。その際には会員情報DB12Aの電子メールアドレスフィールド103に格納されている電子メールアドレスが用いられる。また、予約者である会員に対して収穫された実を届ける際には、会員情報DB12Aの住所フィールド104に格納されている住所が用いられる。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態1の農作物購入予約システムでは苗単位で会員が購入の予約を行っている。これに対し、実施の形態2の農作物購入予約システムでは苗になっている実単位で購入の予約を行う。
【0066】
[農作物購入予約システムの構成]
本実施の形態の農作物購入予約システムも、実施の形態1の場合と同様に、インターネットを介して通信可能に接続される予約サーバ及びクライアント端末を備えている。また、予約サーバと複数のカメラとが専用線等を介して通信可能に接続されている点についても実施の形態1の場合と同様である。以下、実施の形態2における予約サーバの構成の詳細について説明する。
【0067】
図12は、本発明の実施の形態2に係る予約サーバ5の構成を示すブロック図である。図12に示すとおり、本実施の形態の予約サーバ5が備えている補助記憶装置12には、実施の形態1における苗情報DB12B及び苗予約情報DB12Cの代わりに、実情報データベース(DB)12E及び実予約情報データベース(DB)12Fが設けられている。また、実施の形態1における画像情報DB12Dとは異なるレイアウトの画像情報DB12Gが設けられている。なお、予約サーバ5のその他の構成については実施の形態1の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
図13は、実施の形態2の予約サーバ5に設けられている実情報DB12Eのレイアウトの一例を示す図である。図13に示すように、実情報DB12Eは、各苗になっている実を識別するための実IDが格納される実IDフィールド201、各実に係る苗を識別するための苗IDが格納される苗IDフィールド202、農作物の名称が格納される農作物名フィールド203、各苗の播種日が格納される播種日フィールド204、各実の生育状態を示す情報が格納される状態フィールド205、各実の収穫適期が格納される収穫適期フィールド206、各実の予約が可能か否かを示す情報が格納される予約可否フィールド207、各実が予約されているか否かを示す情報が格納される予約状況フィールド208、及び購入の予約が推奨される実であるか否かを示す情報が格納される推奨フィールド209を有している。
【0069】
なお、状態フィールド205には、実の生育状態に応じて、“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報が格納される。さらに、推奨フィールド209には、推奨される場合に“○”が格納され、推奨されない場合に“×”が格納される。
【0070】
上述した実情報DB12Eに格納される情報は、カメラ3,3,…により取得された画像データに基づいて適宜更新される。その処理の詳細については後述する。
【0071】
図14は、実施の形態2の予約サーバ5に設けられている実予約情報DB12Fのレイアウトの一例を示す図である。図14に示すように、実予約情報DB12Fは、会員によりなされた各予約を識別するための予約IDが格納される予約IDフィールド211、各予約がなされた日時が格納される予約日時フィールド212、各予約を行った会員の会員IDが格納される会員IDフィールド213、各予約がなされた実の実IDが格納される実IDフィールド214、及び各予約がなされた実の収穫適期が格納される収穫適期フィールド215を有している。
【0072】
上述した実予約情報DB12Fに格納される情報は、会員が予約をする都度更新される。その処理の詳細については後述する。
【0073】
図15は、実施の形態2の予約サーバ1に設けられている画像情報DB12Gのレイアウトの一例を示す図である。図15に示すように、画像情報DB12Gは、各画像データを識別するための画像IDが格納される画像IDフィールド221、各画像データの撮像日時が格納される撮像日時フィールド222、補助記憶装置12における画像データの記憶位置を示す情報が格納される画像データフィールド223、画像データに含まれている苗の苗IDが格納される苗IDフィールド224、及び画像データに含まれている実の実IDが格納される実IDフィールド225を有している。なお、この図15に示す例では、苗IDフィールド134及び実IDフィールド225のそれぞれに苗ID及び実IDが一つのみ格納されているが、撮像範囲に複数の苗及び実が含まれている場合には複数の苗ID及び実IDがそれぞれ格納されることになる。実施の形態1の場合と同様に、画像データと苗ID及び実IDとの対応付けは、人手で行ってもよく、予約サーバ1が自動的に行ってもよい。
【0074】
[農作物購入予約システムの動作]
次に、上述したように構成された農作物購入予約システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、実施の形態1の場合と同様に、本実施の形態の農作物購入予約システムでも、(1)実情報の更新を行うための実情報更新処理、(2)その実情報更新処理の中で実行される予約可否判定処理、及び(3)予約受付処理の3つの処理が行われる。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0075】
(1)実情報更新処理
図16は、実施の形態2の予約サーバ5が実行する実情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の実情報更新処理は、実施の形態1の苗情報更新処理の場合と同様に、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0076】
予約サーバ5はまず、実情報更新処理の対象となる実の実IDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S201)。次に、予約サーバ5は、画像情報DB12Dにアクセスし、処理対象とした実の実IDが含まれている画像情報を読み出す(S202)。これにより、例えば直近10回の撮像処理により得られた10個の画像データを取得する。
【0077】
次に、予約サーバ5は、取得した10個の画像データを比較する処理を実行する(S203)。これにより、処理対象の実及び当該実の大きさの時間変化を測定することができ、その時間変化に基づいて当該実の生長度合いを算出することができる。
【0078】
さらに、予約サーバ5は、最も新しい画像データに対して所定の画像処理を施すことによって画像データの解析を行う(S204)。この画像データの解析によって、処理対象の実の色が異常ではないかどうか、その実に係る苗の葉の色が異常ではないかどうか等を確認することができる。
【0079】
次に、予約サーバ5は、処理対象の実の購入の予約が可能であるか否かを判定する予約可否判定処理を実行する(S205)。この予約可否判定処理の詳細については後述する。
【0080】
予約可否判定処理を終えた予約サーバ5は、上記のステップS203乃至S205により得られた情報に基づいて実情報DB12Eを更新する(S206)。具体的には、ステップS203の結果得られた実の生長度合いに関する情報、及びステップS204の結果確認することができた実及び苗の色に関する情報等に基づいて、実の生育状態を3段階にランク付けする。ここで、実施の形態1の場合と同様に、ランクが高い順に“良好”、“普通”、“不良”と判定し、状態フィールド205にその情報を格納する。また、ステップS205において予約が可能であるか否かが判定された場合にそのことを示す情報を予約可否フィールド207に格納し、推奨される実であるか否かが判定された場合にそのことを示す情報を推奨フィールド209に格納する。
【0081】
次に、予約サーバ5は、農園F内のすべての苗のすべの実について実情報更新処理を実行したか否かを判定する(S207)。ここで、まだ処理対象となっていない実が存在すると判定した場合(S207でNO)、予約サーバ5はステップS201に戻り、それ以降のステップS202乃至S206を実行する。他方、すべての実について実情報更新処理が行われたと判定した場合(S207でYES)、予約サーバ5は処理を終了する。
【0082】
(2)予約可否判定処理
図17は、実施の形態2の予約サーバ5が実行する予約可否判定処理の手順を示すフローチャートである。予約サーバ5は、実情報DB12Eの予約状況フィールド208に格納されている情報を参照し、処理対象の実が予約済みではないか否かを判定する(S211)。ここで予約済みではないと判定した場合(S211でYES)、予約サーバ5は、実情報更新処理のステップS203及びS204によって確認された処理対象の実の生育状態に関する情報に基づいて、生育状態が“不良”ではないかどうかを判定する(S212)。
【0083】
ステップS212において生育状態が“不良”ではないと判定した場合(S212でYES)、予約サーバ5は、当該実は購入の予約をすることが可能な実であると判定する(S213)。他方、ステップS211で予約済みであると判定した場合(S211でNO)、ステップS212で生育状態が“不良”であると判定した場合(S212でNO)、予約サーバ5は、当該実は購入の予約をすることができない実であると判定し(S214)、処理をリターンする。
【0084】
ステップS213を実行した後、予約サーバ5は、実情報更新処理のステップS203及びS204によって確認された処理対象の苗の生育状態に関する情報に基づいて、生育状態が“良好”であるか否かを判定する(S215)。ここで“良好”ではない(つまり“普通”である)と判定した場合(S215でNO)、予約サーバ5は処理をリターンする。これに対し、生育状態が“良好”であると判定した場合(S215でYES)、予約サーバ5は、当該実を予約推奨の実であると判定し(S216)、処理をリターンする。
【0085】
上記の(1)実情報更新処理及び(2)予約可否判定処理の結果、実情報DB12Eに最新の内容が反映されることになる。このようにして更新された実情報DB12Eの内容に基づいて、次の(3)予約受付処理が実行される。
【0086】
(3)予約受付処理
図18は、実施の形態2の予約サーバ5及びクライアント端末2が実行する予約受付処理の手順を示すフローチャートである。図18に示すとおり、クライアント端末2は、実施の形態1の場合と同様に画像送信要求を予約サーバ5に対して送信する(S221)。
【0087】
予約サーバ5は、クライアント端末2から送信された画像送信要求を受信した場合(S231)、実施の形態1の場合と同様に、画像情報DB12Dにアクセスして画像情報を読み出し(S232)、さらに実情報DB12Eにアクセスして実情報を読み出す(S233)。
【0088】
次に、予約サーバ5は、ステップS232にて読み出した画像情報に含まれている画像データ、ステップS233にて読み出した実情報に含まれている農作物名・播種日・生育状態・収穫適期・推奨に関する生育状況情報、及び同じく実情報に含まれている予約可否に関する予約可否情報を含む画面情報を生成し(S234)、その画面情報をクライアント端末2に対して送信する(S235)。
【0089】
クライアント端末2は、予約サーバ1から送信された画面情報を受信した場合(S222)、その受信した画面情報を表示部に表示する(S223)。
図19は、クライアント端末2の表示部に表示される画面の一例を示す図である。図19に示すとおり、この画面には、複数の実がなっている苗が含まれる画像と、その苗と対応付けて表される当該苗に関する各種の情報と、画像中の複数の実のそれぞれと対応付けて表される当該実に関する各種の情報とが表示されている。なお、図19に示す例では、画像中の一部の実についてのみ当該実に関する各種の情報が対応付けられて表示されているが、画像中のすべての実について同様に表示されていてもよい。
【0090】
図19に示す画面例では、上記の苗に関する各種の情報として、農作物名及び播種日に関する情報が表示されている。また、上記の実に関する各種の情報として、収穫適期、生育状態、予約の可否、予約済みであるか否か、及び推奨される実であるか否かに関する情報が表示されている。
【0091】
図19に示す画面例には、「予約する」という文字が付されたチェックボックスが予約可能な実毎に設けられている。実施の形態1の場合と同様、会員がクライアント端末2を用いてこのチェックボックスにチェックを入れた上で、画面下部に設けられている送信ボタンをクリックすることにより、実の購入の予約をするための実購入予約情報の入力がなされる。クライアント端末2は、会員から実購入予約情報の入力を受け付けた場合(S224)、その実購入予約情報を予約サーバ5に対して送信する(S225)。
【0092】
予約サーバ5は、クライアント端末2から送信された実購入予約情報を受信した場合(S236)、その受信した実購入予約情報の受信日時、その実購入予約情報を送信した会員の会員ID、及びその実購入予約情報の内容に基づいて、実予約情報DB12Fに新たなレコードを作成し、実予約情報DB12Fを更新する(S237)。さらに、予約サーバ5は、実購入予約情報で示されている実についての実情報の予約状況フィールド208に予約済みであることを示す情報を格納することによって実情報DB12Eを更新する(S238)。その後、予約サーバ5は、実の購入の予約が完了したことを示す実予約完了情報をクライアント端末2に対して送信する(S239)。
【0093】
クライアント端末2は、予約サーバ5から送信された実予約完了情報を受信した場合(S226)、その受信した実予約完了情報を表示部に表示する(S227)。これにより会員は予約が完了したことを確認することができる。
【0094】
以上の処理によって、会員は、実際に購入する農作物を画像にて確認した上で当該農作物の購入の予約を行うことが可能になる。その後、予約された実が収穫適期を迎えたとき等のタイミングで予約された実が収穫され、予約者である会員に対して届けられる。または、予約された実が収穫適期を迎えた頃等に予約者である会員が農園Fに出向き、当該実を会員自身が収穫するようにしてもよい。これにより、会員は新鮮な状態の農作物を得ることができる。
【0095】
このように、苗毎ではなく、苗になっている実毎に購入の予約が可能になることによって、少量の購入を希望する会員の要望に対応することが可能になる。また、同じ苗になっている実であっても、その生長度合い及び収穫適期等が異なる場合が多いため、購入に適した実とそうでない実とが混在することが普通であるが、本実施の形態では購入に適した実のみを予約することができるという利点がある。
【0096】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態1においては苗単位で購入の予約を行い、また実施の形態2では実単位で購入の予約を行っているが、本発明はこれらに限定されるわけではない。例えば、畝単位または農園単位等で購入の予約を行うことも可能である。
【0097】
図11及び図19に示した画面は一例であるため、その他にも様々な画面が考えられる。例えば、入力デバイスのポインタを画像中の苗または実の上に置いたときにのみ当該苗または実に関する各種の情報を表示させるようにしてもよい。
【0098】
上記の各実施の形態の農作物購入予約システムは、農作物を屋外及び屋内の何れの環境で栽培する場合でも使用することが可能である。いわゆる植物工場においても使用することができ、その場合はカメラの設置及びメンテナンスが容易になる等の利点がある。
【0099】
上述した各実施の形態は適宜組み合わせることが可能である。したがって、例えば、ある農作物については苗単位で購入の予約を行い、他の農作物については実単位で購入の予約を行うことができるような農作物購入予約システムを実現することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の農作物購入予約方法、農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置は、インターネット等の通信技術を用いて野菜及び果物などの各種の農作物の購入を予約するための農作物購入予約方法、農作物購入予約システム及び農作物購入予約装置等として有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 予約サーバ
2 クライアント端末
3 カメラ
3A 支柱
4A,4B,4C 苗
5 予約サーバ
11 主記憶装置
12 補助記憶装置
12A 会員情報データベース
12B 苗情報データベース
12C 苗予約情報データベース
12D 画像情報データベース
12E 実情報データベース
12F 実予約情報データベース
100 インターネット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続され、表示部を具備するクライアント端末とを用いて、農作物の購入の予約を行う農作物購入予約方法において、
前記撮像装置が、生育中の農作物を撮像する撮像工程を実行し、
前記サーバが、
前記撮像装置による撮像の結果得られた画像データを当該撮像装置から受け付け、その受け付けた画像データを前記記憶部に記憶する記憶工程と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定工程と、
前記クライアント端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定工程による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該クライアント端末に対して送信する画像データ送信工程とを実行し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された画像データを受信し、その受信した画像データを前記表示部に表示する表示工程と、
前記表示部に表示された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付け、その受け付けた予約情報を前記サーバへ送信する予約情報送信工程とを実行する
ことを特徴とする、農作物購入予約方法。
【請求項2】
前記撮像工程において、前記撮像装置が、生育中の農作物を、時間を隔てて繰り返し撮像し、
前記予約可否判定工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている複数の画像データに基づいて農作物の生育状態を判断し、その判断した結果に応じて当該農作物の予約が可能か否かを判定する、請求項1に記載の農作物購入予約方法。
【請求項3】
同一の苗に複数の農作物が存在する場合、前記予約可否判定工程において、前記サーバが、当該複数の農作物のそれぞれについて予約が可能か否かを各別に判定する、請求項1又は2に記載の農作物購入予約方法。
【請求項4】
同一の苗に複数の農作物が存在する場合、前記予約可否判定工程において、前記サーバが、農作物について予約が可能か否かを苗毎に判定する、請求項1又は2に記載の農作物購入予約方法。
【請求項5】
前記画像データ送信工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状況に関する生育状況情報を当該画像データに付与し、その生育状況情報が付与された画像データを送信する、請求項1乃至4の何れかに記載の農作物購入予約方法。
【請求項6】
前記サーバが、前記生育状況情報に基づいて購入に適した農作物を特定する特定工程をさらに実行し、
前記画像データ送信工程において、前記サーバが、前記記憶部に記憶されている画像データに前記特定工程による特定結果を付与し、その特定結果が付与された画像データを送信する、請求項5に記載の農作物購入予約方法。
【請求項7】
撮像装置による撮像により得られた画像データを記憶する記憶部を具備するサーバと、前記サーバと通信ネットワークを介して通信可能に接続されるクライアント端末とを備え、前記サーバと前記クライアント端末との間で通信を行うことにより農作物の購入の予約を行う農作物購入予約システムにおいて、
前記サーバが、
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定手段と、
前記クライアント端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定手段による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該クライアント端末に対して送信する画像データ送信手段と
を具備し、
前記クライアント端末が、
前記サーバから送信された画像データを受信し、その受信した画像データを表示する表示部と、
前記表示部に表示された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付け、その受け付けた予約情報を前記サーバへ送信する予約情報送信手段と
を具備することを特徴とする、農作物購入予約システム。
【請求項8】
撮像装置による撮像の結果得られた生育中の農作物の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物について予約が可能か否かを判定する予約可否判定手段と、
外部の装置からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている画像データに前記予約可否判定手段による判定結果を付与し、その判定結果が付与された画像データを当該外部の装置に対して送信する画像データ送信手段と、
前記外部の装置から、前記画像データ送信手段によって送信された画像データに含まれる農作物の購入の予約に関する予約情報を受け付ける予約受付手段と
を備える、農作物購入予約装置。
【請求項9】
前記記憶部が、前記撮像装置によって時間を隔てて繰り返し行われる撮像の結果得られた生育中の農作物の複数の画像データを記憶するように構成されており、
前記予約可否判定手段が、前記記憶部に記憶されている複数の画像データに基づいて農作物の生育状況を判断し、その判断した結果に応じて当該農作物の予約が可能か否かを判定するように構成されている、請求項8に記載の農作物購入予約装置。
【請求項10】
前記予約可否判定手段が、同一の苗に複数の農作物が存在する場合に、当該複数の農作物について予約が可能か否かを各別に判定するように構成されている、請求項8又は9に記載の農作物購入予約装置。
【請求項11】
前記予約可否判定手段が、同一の苗に複数の農作物が存在する場合に、農作物について予約が可能か否かを苗毎に判定するように構成されている、請求項8又は9に記載の農作物購入予約システム。
【請求項12】
前記画像データ送信手段が、前記記憶部に記憶されている画像データに含まれる農作物の生育状況に関する生育状況情報を当該画像データに付与し、その生育状況情報が付与された画像データを送信するように構成されている、請求項8乃至11の何れかに記載の農作物購入予約装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−191956(P2011−191956A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56774(P2010−56774)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】