説明

農園芸用殺菌剤組成物

【課題】農薬殺菌剤の農薬効果を安定化させる農園芸用殺菌剤組成物を課題とする。
【解決手段】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、
(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、
(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル、
であり、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤に、界面活性剤であるジアルキルスルホコハク酸塩及びポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを混合することにより、農園芸病原菌の防除効果を長期に亘り維持して安定化させることができる農園芸用殺菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸用殺菌剤は、実際の圃場散布施用において利便性が高く、且つその殺菌活性効果を十分に発揮できるよう、製剤物性上の様々な工夫がなされている。殺菌剤の製剤化において、殺菌剤の効力を増強または安定化させる農園芸用殺菌剤組成物が検討されている。これまでに、特定の殺菌有効成分を、特定の界面活性剤を含む農園芸用殺菌剤組成物とすることにより、殺菌効力増強または安定化作用が得られることが認められている。しかしながら、殺菌有効成分が特定のものであり、広範な薬剤への適用が不明であること、また施用濃度が比較的高いこと、特別な構造の界面活性剤を使用する必要がある、などの実用面において広く用いることにおいて課題があった。
特許文献1には、殺菌有効成分としてベンゾイルピリジン誘導体またはその塩に、エトキシル化脂肪族アミン、シリコン系界面活性剤、クエン酸エステル型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルスルホコハク酸塩及びアルキルポリグルコシドからなる群から選択される少なくとも1種とを含有する殺菌剤組成物が、防除効果を安定化できることで示されている。
また特許文献2には、特定の殺菌性化合物(KNF−1001またはKNF−1002)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、エトキシ化されたキャスタオイル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体及びこれらの混合物からなる群から選ばれる非イオン性界面活性剤、ソジウムジオクチルスルホサクシネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる陰イオン性界面活性剤、並びに脂肪酸アルキルエステルからなる群から選ばれる殺菌効果増進物質を、1:0.5〜1:20の重量比で含む殺菌剤組成物が、殺菌活性を増強させることを開示している
しかしながら、これらの先行技術文献は殺菌活性成分が限定されており、広範な殺菌活性成分に適用できる技術ではない。また使用している界面活性剤についても具体的な優れた組成が示されていない。
【0003】
特許文献3には、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤と、樹脂酸系界面活性剤又は第四級アンモニウム塩系界面活性剤を含有する、農薬用効力増強剤組成物が開示されている。該農薬用効力増強剤組成物は、殺虫剤、殺菌剤への適用できると記載され、具体的な殺菌剤としてロブラール水和剤[3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリン−1− カルボキサミド]への適用例を開示している。しかしながら、該効力増強剤組成物は、各種殺菌剤との混合で凝集が生じる場合が認められる。また、殺菌効力の面で、更なる効果増強作用が求められている。
一方、特許文献4に、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを、2つの界面活性剤の合計含有量が45〜85質量%、並びに流動点降下用成分を5〜40質量%で含有し、且つ該界面活性剤及び該流動点降下用成分の合計含量が50質量%以上含むアジュバント組成物が開示されている。該組成物は、各種農薬有効成分と共に用い、農薬有効成分を作物表面に均一に付着させることができるアジュバント組成物である。農薬有効成分として、各種殺菌剤の適用が可能であり、薬剤の均一付着性が達成されることが教示されている。しかしながら、殺菌剤を用いた病原菌防除効果に関する、具体的な試験データは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−31163号公報
【特許文献2】特表2007−520432号公報
【特許文献3】特開平8−151302号公報
【特許文献4】国際公開番号WO2008/111482号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農園芸用殺菌剤は、度重なる施用に伴いその殺菌防除効力が徐々に低下していく傾向がある。また、施用殺菌剤に対する感受性が低下した病原菌類が出現する場合がある。このため、農園芸用殺菌剤の病原菌防除効果を長期に亘り維持して安定化させることは、効率的な病原菌防除への貢献に重要である。このため、入手容易な界面活性剤を用いて、広範な農園芸用殺菌剤の防除効果を効率的に安定して引き出し、薬剤感受性の低下した病原菌類等へも防除効果が発揮できる農園芸用殺菌剤の効果維持剤、及びそれを用いた具体的な界面活性剤と農薬殺菌剤との農園芸用殺菌剤組成物が希求されている。
本発明は、入手容易な界面活性剤による、広範な農園芸用殺菌剤に適用することができる、殺菌防除効果が長期に亘り安定に維持され、薬剤感受性の低下した病原菌等にも、防除効果が維持された、殺菌剤と界面活性剤を含有する農園芸用殺菌剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく検討した結果、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、
(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、
(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル、
であり、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤組成物が、対象病原菌の防除効果を維持して安定化できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、
(1) (A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルであり、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤組成物、
(2) 前記ジアルキルスルホコハク酸塩がビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩である前記(1)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(3) 前記ベンゾイミダゾール系殺菌剤が、ジエトフェンカルブ(一般名、イソプロピル=3,4−ジエトキシカルバニラート) 、チオファネートメチル(一般名、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン)、ベノミル(一般名、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメイト)からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(4) 前記グアニジン系殺菌剤が、イミノクタジン酢酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリアセタート)、イミノクタジンアルベシル酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリス(アルキルベンゼンスルホナート))からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(5) 前記有機硫黄系殺菌剤が、チウラム(一般名、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド)、ポリカーバメート(一般名、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート)、マンゼブ(一般名、亜鉛イオウ配位マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)、マンネブ(一般名、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(6) 前記アニリノピリミジン系殺菌剤が、シプロジニル(一般名、4−シクロプロピル−6−メチル−N−フェニルピリジン−2−アミン)、メパニピリム(一般名、N−(4−メチル−6−プロパ−1−イニルピリミジン−2−イル)アニリン)からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(7) 前記トリアゾール系殺菌剤がジフェノコナゾール(一般名、cis − trans − 3−クロロ−4−[4−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]フェニル=4−クロロフェニル=エーテル)、シプロコナゾール(一般名、(2RS,3RS;2RS,3RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、テブコナゾール(一般名、(RS)−1−p−クロロフェニル−4,4―ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール)、ペンコナゾール(一般名、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)ペンチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(8) 前記有機塩素系殺菌剤がTPN(一般名、テトラクロロイソフタロニトリル)、キャプタン(一般名、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)からなる群から選択される1種以上である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(9) 前記有機銅系殺菌剤が8−ヒドロキシキノリン銅である前記(1)または前記(2)に記載の農園芸用殺菌剤組成物、
(10) 前記(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の農園芸用殺菌剤組成物に水を添加し、前記(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤が10〜3000ppm、前記(B)ジアルキルスルホコハク酸塩が10〜200ppm、前記(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルが10〜800ppmに希釈されて得られる農園芸用殺菌剤組成物の散布液、
(11) (A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤と混用して用いる農園芸用殺菌剤効果維持用組成物であって、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤効果維持用組成物、
(12) (A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有して用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法、
(13) (A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、に(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4で含有する混合界面活性剤組成物を添加し、前記(A):前記(B):前記(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法、
(14) (A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、に(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4で含有する混合界面活性剤組成物を添加し、前記(B)ジアルキルスルホコハク酸塩が10〜200ppm、前記(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルが10〜800ppmの濃度で用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、これを対象作物に散布することで、殺菌有効成分の殺菌効果を長期間維持することができる。このため、同一殺菌剤を長期に亘り施用し続けることができ、効率的な病原菌農薬防除に貢献する効果がある。または、施用に伴い殺菌剤の効力の低下が認められる感受性の低下した対象病原菌類に対し、本発明の農園芸用殺菌剤組成物とすることで、防除効力を回復させ、殺菌効力を維持させる効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の農園芸用殺虫剤組成物、当該農園芸用殺虫剤組成物を散布する方法、並びに殺菌防除効果を維持させる防除方法についてより詳しく説明する。
【0010】
本発明の農園芸用殺虫剤組成物は、(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、及び(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル、を(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物が含有する殺菌剤の効果を維持させるためには、前記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分をそれぞれ含有され、その含有量比率が(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の範囲である必要がある。本発明において、含有量とは、それぞれの成分の各質量を指し、質量含有比率を示す。換言すると、本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物は、前記の(A)成分が1〜70質量部、(B)成分が1質量部、(C)成分が1〜4質量部を含むものである。上記した含有量比率範囲内で(A)乃至(C)成分を混用した組成物として使用することにより、本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物は、殺菌活性物質の薬理活性作用が十分に引き出され、既存の殺菌剤製剤と比較して、顕著に殺菌効果が維持される。すなわち、前記の(B)成分及び(C)成分が、(A)成分として規定される農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持させる作用を有し、農園芸用殺菌剤効果維持用組成物である。したがって、前記(B)成分及び(C)成分が、前記(A)農園芸用殺菌剤成分に対する比率が少なくなると、これら界面活性剤成分により促進されると考えられる顕著な殺菌防除効果の維持は得られにくくなる。また、前記(B)成分及び(C)成分の比率が高すぎると、当該農園芸用殺菌剤の作物表面での流亡による殺菌効力低下や、葉焼け等の薬害を生じる恐れがあり、十分な防除効果や作物の健全な生育を妨げる可能性が高くなる。農園芸病原菌の防除効果を確実に達成するためには、前記各成分の含有量比率が(A):(B):(C)=1〜60:1:1.5〜3が好ましく、更に含有量比率が(A):(B):(C)=1〜60:1:1.8〜2.5がより好ましい。
【0012】
農薬殺菌剤を施用する際は、水により希釈して散布液として使用することが主である。同様に、本発明に係る前記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の範囲にある農園芸用殺菌剤組成物も、水を添加して希釈することで、農園芸用殺菌剤組成物の散布液を調製できる。当該農園芸用殺菌剤組成物の散布液における各々の成分(A)乃至(C)は、本発明の農園芸用殺菌剤組成物と同一物質を含有し、且つ各成分の含有量比率で規定範囲内において存在する。したがって、当該散布液も、本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の別態様であり、本発明の要旨に含まれる。
【0013】
本発明において、農園芸用殺菌剤成分(A)としてベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤が使用される。当該(A)成分は、該当系統に属する農園芸用殺菌活性を有する様々な化合物が含まれる。好ましくは、農園芸用殺菌剤として一般に使用されている、公知の殺菌剤有効成分化合物を適用する。本発明に適用するに当たり、該(A)成分は、殺菌剤有効成分の化合物の原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤を、その製剤型のまま適用して良い。本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、水にて希釈した散布液の態様で施用されることが望ましいことから、市販の農園芸用殺菌剤製剤を用いる場合は、水を用いて施用される製剤型が好ましい。本発明に適用できる特に好ましい製剤型は、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、乳剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。
【0014】
本発明の農園芸用殺菌剤成分(A)は、農園芸用殺菌剤として知られており、系統分類されて該当系統の範疇に属する殺菌剤を要旨とするものである。以下に、該(A)成分について、その具体例を示して説明する。しかしながら、これら具体例に限定されるものではない。
本発明におけるベンゾイミダゾール系殺菌剤(A1)の具体例としては、ジエトフェンカルブ(一般名、イソプロピル=3,4−ジエトキシカルバニラート) 、チオファネートメチル(一般名、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン)、ベノミル(一般名、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメイト)等が挙げられる。当該ベンゾイミダゾール系殺菌剤(A1)は、単独での使用または2種類以上を混合した形態で使用しても良い。当該殺菌剤を2種類以上適用する場合の具体例として、ジエトフェンカルブとチオファネートメチル、ジエトフェンカルブとベノミル、チオファネートメチルとベノミルなどが挙げられる。本発明の該(A1)成分として、特に好ましくは、ジエトフェンカルブ、またはチオファネートメチルである。若しくはジエトフェンカルブとチオファネートメチルの混合使用の形態が好ましい。当該ベンゾイミダゾール系殺菌剤(A1)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記ベンゾイミダソール系殺菌剤(A1)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、ベンゾイミダソール系殺菌剤(A1):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A1):(B):(C)=1〜40:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A1):(B):(C)=1〜30:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0015】
本発明におけるグアニジン系殺菌剤(A2)の具体例としては、イミノクタジン酢酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリアセタート)、イミノクタジンアルベシル酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリス(アルキルベンゼンスルホナート))等が挙げられる。当該グアニジン系殺菌剤(A2)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記グアニジン系殺菌剤(A2)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、グアニジン系殺菌剤(A2):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A2):(B):(C)=1〜20:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A2):(B):(C)=1〜10:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0016】
本発明における有機硫黄系殺菌剤(A3)の具体例としては、チウラム(一般名、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド)、ポリカーバメート(一般名、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート)、マンゼブ(一般名、亜鉛イオウ配位マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)、マンネブ(一般名、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)等が挙げられる。本発明の該(A3)成分として、特にマンゼブが好適に使用される。当該有機硫黄系殺菌剤(A3)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記有機硫黄系殺菌剤(A3)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、有機硫黄系殺菌剤(A3):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A3):(B):(C)=10〜70:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A3):(B):(C)=20〜70:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0017】
本発明におけるアニリノピリミジン系殺菌剤(A4)の具体例としては、シプロジニル(一般名、4−シクロプロピル−6−メチル−N−フェニルピリジン−2−アミン)、メパニピリム(一般名、N−(4−メチル−6−プロパ−1−イニルピリミジン−2−イル)アニリン)等が挙げられる。本発明の該(A4)成分として、特にメパニピリムの適用が好ましい。当該アニリノピリミジン系殺菌剤(A4)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記アニリノピリミジン系殺菌剤(A4)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、アニリノピリミジン系殺菌剤(A4):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A4):(B):(C)=1〜30:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A4):(B):(C)=1〜20:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0018】
本発明におけるトリアゾール系殺菌剤(A5)の具体例としては、ジフェノコナゾール(一般名、cis−trans−3−クロロ−4−[4−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]フェニル=4−クロロフェニル=エーテル)、シプロコナゾール(一般名、(2RS,3RS;2RS,3RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、テブコナゾール(一般名、(RS)−1−p−クロロフェニル−4,4―ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール)、ペンコナゾール(一般名、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)ペンチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)等が挙げられる。本発明の該(A5)成分として、特にテブコナゾールの適用が好ましい。当該トリアゾール系殺菌剤(A5)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記トリアゾール系殺菌剤(A5)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、トリアゾール系殺菌剤(A5):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A5):(B):(C)=1〜20:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A5):(B):(C)=1〜10:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0019】
本発明における有機塩素系殺菌剤(A6)の具体例としては、TPN(一般名、テトラクロロイソフタロニトリル)、キャプタン(一般名、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)等が挙げられる。本発明の該(A6)成分として、特にキャプタンの適用が好ましい。当該有機塩素系殺菌剤(A6)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記有機塩素系殺菌剤(A6)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、有機塩素系殺菌剤(A6):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A6):(B):(C)=1〜30:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A6):(B):(C)=5〜25:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0020】
本発明における有機銅系殺菌剤(A7)の具体例としては、8−ヒドロキシキノン銅等が挙げられる。当該有機銅系殺菌剤(A7)は、それぞれの殺菌活性成分の化合物原体を用いることができる。若しくは、市販品として入手可能な農園芸用殺菌剤製剤をそのまま使用して良い。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、前記有機銅系殺菌剤(A7)を用いる場合、当該組成物における含有量比率は、有機銅系殺菌剤(A7):ジアルキルスルホコハク酸塩(B):ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が(A7):(B):(C)=10〜40:1:1〜4の含有量比率であることが好ましい。更に好ましくは、(A7):(B):(C)=10〜30:1:1.5〜3の含有量比率である。
【0021】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、農園芸用殺菌剤成分(A)として前記有機塩素系殺菌剤(A6)は、前記有機銅系殺菌剤(A7)と混用して用いることが好ましい態様として挙げられる。具体例としては、キャプタンと8−ヒドロキシキノン銅の混用が挙げられる。
【0022】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、アニオン界面活性剤であるジアルキルスルホコハク酸塩(B)を含有する。ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基は、コハク酸のエステル基であり、疎水性官能基として機能するものであれば、特に限定されるものではない。当該アルキル基としては、C6〜C12の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が好ましい。例えばへキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基又は2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。当該アルキル基は、コハク酸エステルにおいて同一種類であっても、異種組み合せてあっても良い。またジアルキルスルホコハク酸塩の塩としては特に限定されるものではなく、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、等を使用することができる。好ましくは、アルカリ金属塩であり、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。該(B)成分として、湿潤性の高いジ(C8〜C12分岐アルキル)スルホコハク酸ナトリウムが好ましく、更にその中でもビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムが好ましい。使用するジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの不純物が多いものは、当該農園芸用殺菌剤組成物の殺菌効力向上または安定維持効果が劣ること、また、散布作物への薬害が懸念されることから、純度は高いものが好ましく、有効成分としては65%以上が好ましい。
【0023】
ジアルキルスルホコハク酸塩(B)は、市販品として入手することができ、これらをそのまま用いることができる。ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの代表的なものとしては、ラピゾールRTMA90(商品名、日本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム90%含有,メタノール3.7%含有)、エアロールRTMCT−1L(商品名、東邦化学株式会社製ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)、ニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製,ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)等が挙げられる。
【0024】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物は、ノニオン界面系活性剤であるポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)を含有する。当該(C)成分は、アルキル鎖がC11〜C15の範囲のものであれば使用でき、炭素数が1種類のものであっても、2種以上の混合物であっても良い。例えばC11〜C15のアルキル鎖をもつものの混合物、C12〜C14のアルキル鎖をもつものの混合物、若しくはC13のアルキル鎖をもつものの単独使用、等を具体例として挙げることができる。当該農園芸用殺菌剤組成物における顕著な殺菌防除効果を達成するためには、当該ノニオン系界面活性剤のアルキル鎖長が影響を与える。中でも、特にC12〜C14のアルキル鎖が好ましく、C12〜C14アルキル鎖による当該ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物が、殺菌作用を向上させるのに好ましい。またポリオキシエチレン鎖の重合度も界面活性剤の油−水の特性値を示すHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)への影響が大きく、重要な因子である。重合度は各種あり、2以上であれば何れも使用し得る。好ましくは重合度が3〜12である。より好ましくは重合度が7以上であり、重合度7〜12が好適である。
【0025】
ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)は市販品として入手可能であり、これらをそのまま使用することができる。代表的なものとしては、ペグノールRTMT−3(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレン重合度=3)、ペグノールRTMST−5(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレン重合度=5)、ペグノールRTMST−7(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレン重合度=7)、ペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレン重合度=9)、ペグノールRTMST−12(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレン重合度=12)等が挙げられる。この中でもポリオキシエチレンの重合度が7以上のペグノールRTMST−7、ペグノールRTMST−9、ペグノールRTMST−12が好ましい。尚、上記したペグノールRTMはポリオキシエチレンアルキル(C12〜C14の混合)エーテルである。
【0026】
本発明は、農園芸用殺菌剤の効果維持用組成物として、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)及び前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)の、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の、2種類の界面活性剤の混合物を使用することを特徴とする。農薬組成物において、界面活性剤を用いる有用性は知られている。しかしながら、農作物へ界面活性剤を使用した場合、該農作物表面のワックス層の剥離等に起因する薬害の発生が懸念される。したがって、低濃度の界面活性剤成分でも、その有用性が発揮できるようにする事が、農薬組成物の処方の課題であった。本発明は、2種類の界面活性剤を混合使用することで、界面活性剤成分が低濃度でも、広範な農園芸用殺菌剤に対して病原菌防除効果の維持作用が認められることを見出したことに基づく。本発明の農薬組成物は、散布施用濃度において、従来の農薬組成物における界面活性剤濃度と比較して低濃度で効果発現できるものであり、薬害発生の懸念を解消できる点で望ましい。したがって、当該(B)及び(C)成分を(B):(C)=1:1〜4の組成比で組み合せた界面活性剤混合物は、優れた農園芸用殺菌剤効果維持用組成物である。更に、これらの(B)及び(C)成分の界面活性剤は、それぞれが安価で入手し易いものであり、農園芸防除におけるコスト面で有利である。
これら界面活性剤成分である前記(B)及び(C)成分は、混合使用における含有量比において(B):(C)=1:1〜4の範囲で用いられる。すなわち前記(C)成分は、前記(B)成分に対し、少なくとも同量以上で使用することが好ましい。より好ましくは(B):(C)=1:1.5〜3であり、更に好ましくは(B):(C)=1:1.8〜2.5である。
ここで用いる(B)ジアルキルスルホコハク酸塩は、前述の農園芸用殺菌剤組成物に含まれるものと同様のものである。中でも、湿潤性の高いジ(C8〜C12分岐アルキル)スルホコハク酸ナトリウムが好ましく、更にその中でもビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムが好ましい。また、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルも、前述の農園芸用殺菌剤組成物に含まれるものと同義である。特にC12〜C14のアルキル鎖が好ましく、C12〜C14アルキル鎖による当該ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物が望ましい。ポリオキシエチレン重合度は、7以上のものが好ましく、さらに好ましくは7〜12のものが好適に使用される。
【0027】
本発明において、任意に、以下に示す他の界面活性剤も混合することができる。例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフエート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらのその他の界面活性剤は、通常0〜20質量%程度の範囲で使用するのが好ましい。本発明において、これらその他の界面活性剤の併用が好ましい場合もあり、その場合は通常、上記範囲内で添加すればよく、1〜10質量%の範囲において併用することがより好ましい。
【0028】
また、本発明の農園芸用殺菌剤組成物には、上記の他の界面活性剤以外にも、無機担体、有機溶剤、防腐剤、防黴剤、多糖類、水溶性高分子、等の農薬製剤に適用可能な任意成分を含んでいても良い。これらの任意成分は、本発明の農園芸用殺菌剤組成物の物性向上を目的として積極的に添加されるものを包含する。または、前記農園芸用殺菌剤(A)として、市販の農園芸用殺菌剤製剤を適用した場合に、その製剤に含まれている製剤基材や担体、及び添加物として含有されている界面活性剤、溶剤、水溶性高分子、等も含まれる。
【0029】
また、本発明の農園芸用殺菌剤組成物には、前記(A)成分に係る殺菌剤の防除効果の維持作用をを妨げることがなければ、以下の殺虫農薬有効成分を含有する製剤を混用して使用することができる。例えば「社団法人 日本植物防疫協会 農薬要覧2006 平成18年10月19日発行」に記載されているものが使用することができ、1種もしくは2種以上の組み合わせで、農薬登録の範疇での使用方法とともに使用することができる。
【0030】
それら農薬製剤の有効成分としては、殺虫剤では、アクリナトリン、アセキノシル、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アレスリン、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブMP、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチプロール、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エマメクチン安息香酸塩、塩酸レバミゾール、オキサミル、カズサホス、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノジド、クロルピリホス、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、シクロプロトリン、ジノテフラン、シフルトリン、ジメトエート、スピノサド、ダイアジノン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラムシュウ酸塩、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、トラロメトリン、トルフェンピラド、ノバルロン、ハルフェンプロックス、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、フィプロニル、フェニソブロモエート、フェノチオカルブ、フルアクリピリム、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、プロパホス、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンフラカルブ、ボーベリア・バシアーナ、ボーベリア・ブロンニアティ、ホサロン、マシン油、マラソン、メスルフェンホス、メソミル、メトキシフェノジド、ルフェヌロン、BPMC、BT(バチルス・チューリンゲンシス菌)、メチダチオン、フェニトロチオン、イソプロカルブ、フェンチオン、NAC等が挙げられ、作物や害虫に併せて適切に選択することができる。
【0031】
また、本発明の農園芸用殺菌剤組成物に、更に以下の系統の殺菌剤も、本発明の(A)成分に規定される殺菌剤の殺菌防除効果の維持を妨げないものであれば使用することができる。具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
無機化合物のボルドー液、石灰硫黄合剤等、有機リン系のEDDP、IBP等、メラニン生合成阻害系のトリシクラゾール、ピロキロン、フサライド等、ジカルボキシイミド系のイプロジオン、プロシミドン等、酸アミド系のオキサジキシル、フルトラニル、メタラキシル、メプロニル等、メトキシアクリレート系のアゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、ファモキサドン等、合成抗細菌剤のオキソニック酸、テクロフタラム等、抗生物質のカスガマイシン、バリダマイシン、ポリオキシン等、生物農薬のバチルス・ズブチリス、アグロバクテリウム・ラジオバクター、トリコデルマ・アトロビリデ、非病原性エルビニア・カロトボーラ等が挙げられる。
【0032】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、具体的に以下の製造方法により調製することができる。当然ながら、類似の機械や工程を適応することができ、これに限定されるものではない。
ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤(A)、ジアルキルスルホコハク酸塩(B)、ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)、及び任意の成分をそれぞれ秤量し、前記(A):前記(B):前記(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比の範囲において添加し、常温もしくは加温条件下にて混合することで、本発明の農園芸用殺菌剤組成物が得られる。農園芸用殺菌剤(A)は、殺菌活性成分の化合物原体をそのまま用いることができる。若しくは、当該農園芸用殺菌剤(A)を含有する農園芸用殺菌剤製剤形態、アルキルスルホコハク酸塩(B)、ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)、及び任意の成分をそれぞれ秤量し、前記(A):前記(B):前記(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比の範囲において添加し、常温もしくは加温条件下にて混合することで、本発明の農園芸用殺菌剤組成物を得ることが出来る。前記(A)成分として農園芸用殺菌剤製剤を適用する場合は、当該農園芸用殺菌剤の有効成分含有量から算出される含量を適用して、本発明の農園芸用殺菌剤組成物は調製される。前記(A)乃至(C)の各成分は同時に添加して良い。若しくは、アニオン界面活性剤であるアルキルスルホコハク酸塩(B)とノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)、及び任意の成分を混合して、予め殺菌効果維持用組成物である界面活性剤混合物を調製しておき、これに前記農園芸用殺菌剤(A)、及び任意の成分を添加して調製しても良い。
【0033】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、水により希釈液を調製して、農園芸用殺菌剤組成物の散布液として散布施用される。本発明の当該散布液の調製方法としては、前述した本発明の農園芸用殺菌剤組成物を、水を張ったタンクに投入し、常温もしくは加温し、混合することで所望の農園芸用殺菌剤組成物の散布液を得る。またはアニオン系界面活性剤であるアルキルスルホコハク酸塩(B)とノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)、及び任意の成分を予め混合して、殺菌効果維持用組成物である界面活性剤混合物を調製しておく。前記農園芸用殺菌剤(A)を、水を張ったタンクに投入しておき、その後、先に調製した(B)及び(C)成分を含有する混合物を、該タンクに添加して、常温もしくは加温し、混合することで所望の農園芸用殺菌剤組成物の散布液を調製しても良い。若しくは、水を張ったタンクに、前記(A)乃至(C)成分、及び任意の成分をそれぞれ、又は同時にタンクに入れ、常温もしくは加温し、混合することで所望の農園芸用殺菌剤組成物の散布液を調製しても良い。
【0034】
農園芸用殺菌剤組成物を水により希釈して散布液を調製する場合には、作物の種類、気候、土壌、作物の生育ステージ、対象菌類の発生状況等により、散布水量及び散布液の各成分濃度が決められる。本発明の農園芸用殺菌剤組成物の散布液の散布液量は、通常、散布圃場10a(1000m)当たり、3〜1000L/10a(1000m)である。
当該散布液における前記(A)乃至(C)成分の濃度は、任意の濃度で調整できる。特に農園芸用殺菌剤(A)は、農園芸病原菌防除に使用される農薬登録濃度に調整されるべきである。この場合、本発明に係るジアルキルスルホコハク酸塩(B)は10〜200ppm、ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)は10〜800ppmの濃度で用いられる。この処方により該農園芸用殺菌剤を散布することにより、該殺菌剤の殺菌効果を維持することができる。
殺菌防除効果の維持作用を安定化するためには、当該農園芸用殺菌剤組成物の散布液は、ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤(A)が10〜3000ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましく、これを散布施用して使用することが望ましい。より好ましくは、(A)成分が50〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A)成分が50〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0035】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)としてベンゾイミダゾール系殺菌剤(A1)を適用する場合、前記(A1)が50〜1000ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A1)が50〜1000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A1)成分が50〜1000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0036】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)としてグアニジン系殺菌剤(A2)を適用する場合、前記(A2)が50〜500ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A2)が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A2)成分が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0037】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)として有機硫黄系殺菌剤(A3)を適用する場合、前記(A3)が500〜3000ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A3)が800〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A3)成分が800〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0038】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)としてアニリノピリミジン系殺菌剤(A4)を適用する場合、前記(A4)が50〜500ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A4)が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A4)成分が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0039】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)としてトリアゾール系殺菌剤(A5)を適用する場合、前記(A5)が50〜500ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A5)が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A5)成分が100〜400ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0040】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)として有機塩素系殺菌剤(A6)を適用する場合、前記(A6)が100〜1000ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A6)が200〜800ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A6)成分が200〜800ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0041】
本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物の散布液において、当該殺菌剤(A)として有機銅系殺菌剤(A7)を適用する場合、前記(A7)が500〜3000ppm、前記ジアルキルスルホコハク酸塩(B)が10〜200ppm、前記ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル(C)が10〜800ppmの各成分の含有量範囲において調整することが好ましい。より好ましくは、前記(A7)が800〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が10〜400ppmの各成分の含有量範囲である。更に好ましくは、(A7)成分が50〜2000ppm、(B)成分が10〜100ppm、(C)成分が30〜300ppmの各成分の含有量範囲である。
【0042】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物散布液は、そのまま通常の散布機を用いる散布方法で散布することができる。散布方法としては動噴散布、ブームスプレーヤ散布、スピードスプレーヤ散布及び無人ヘリコプター散布が挙げられる。
本発明の農園芸用殺菌剤組成物、及びその農園芸用殺菌剤組成物の散布液は、用いた農園芸用殺菌剤が農薬登録を取得している作物へ適応することができる。例えば、稲、麦等の穀類、キャベツ、じゃがいも、大豆、キュウリ、ナス等の野菜類、茶、リンゴ、イチゴ、柑橘等の果樹類等に使用が可能である。
【実施例】
【0043】
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0044】
実施例1
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を10.7質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を16.7質量部、ゲッターRTM水和剤(商品名、日本曹達株式会社製、ジエトフェンカルブ 12.5% チオファネートメチル 52.5%)100質量部(ジエトフェンカルブ12.5質量部、チオファネートメチル52.5質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0045】
実施例2
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を3.2質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を5.0質量部、ゲッターRTM水和剤(商品名、日本曹達株式会社製、ジエトフェンカルブ 12.5% チオファネートメチル 52.5%)100質量部(ジエトフェンカルブ12.5質量部、チオファネートメチル52.5質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0046】
実施例3
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を10.7質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を16.7質量部、ベルクートRTM水和剤(商品名、三井化学アグロ株式会社製、イミノクタジンアルベシル酸塩40.0%)50質量部(イミノクタジンアルベシル酸塩20質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0047】
実施例4
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を3.2質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を5.0質量部、ベルクートRTM水和剤(商品名、三井化学アグロ株式会社製、イミノクタジンアルベシル酸塩40.0%)50質量部(イミノクタジンアルベシル酸塩20質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0048】
実施例5
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を10.7質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を16.7質量部、フルピカRTMフロアブル(商品名、日本曹達株式会社製、メパニピリム40.0%)67質量部(メパニピリム27質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0049】
実施例6
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を3.2質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を5.0質量部、フルピカRTMフロアブル(商品名、日本曹達株式会社製、メパニピリム40.0%)67質量部(メパニピリム27質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0050】
実施例7
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を3.2質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を5.0質量部、ジマンダイセンRTM水和剤(商品名、日本曹達株式会社製、マンゼブ75.0%)167質量部(マンゼブ125質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0051】
実施例8
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を10.7質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を16.7質量部、シルバキュアRTM水和剤(商品名、石原産業株式会社製、テブコナゾール40.0%)67質量部(テブコナゾール27質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0052】
実施例9
500mLビーカーにニューカルゲンEP−70G(商品名、竹本油脂株式会社製、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%含有)を3.2質量部及びペグノールRTMST−9(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル100%含有)を5.0質量部、オキシランRTM水和剤(商品名、日本農薬株式会社製、キャプタン20.0%、8−ヒドロキシキノリン銅30.0%)200質量部(キャプタン40質量部、8−ヒドロキシキノリン銅60質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0053】
比較例1
ゲッターRTM水和剤(商品名、日本曹達株式会社製、ジエトフェンカルブ 12.5% チオファネートメチル 52.5%)を用いた。
【0054】
比較例2
ベルクートRTM水和剤(商品名、三井化学アグロ株式会社製、イミノクタジンアルベシル酸塩40.0%)を用いた。
【0055】
比較例3
フルピカRTMフロアブル(商品名、日本曹達株式会社製、メパニピリム40.0%)を用いた。
【0056】
比較例4
ジマンダイセンRTM水和剤(商品名、日本曹達株式会社製、マンゼブ75.0%)を用いた。
【0057】
比較例5
500mLビーカーにグラミンSRTM(商品名、三井化学アグロ社製、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル5.0%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル15.0%、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム4.0%)33質量部、シルバキュアRTM水和剤(商品名、石原産業株式会社製、テブコナゾール40.0%)67質量部(テブコナゾール27質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0058】
比較例6
500mLビーカーにアビオンE(商品名、アビオンコーポレーション株式会社製、パラフィン24%含有)を100質量部、オキシランRTM水和剤(商品名、日本農薬株式会社製、キャプタン20.0%、8−ヒドロキシキノリン銅30.0%)200質量部(キャプタン40質量部、8−ヒドロキシキノリン銅60質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0059】
比較例7
500mLビーカーにアビオンE(商品名、アビオンコーポレーション株式会社製、パラフィン24%含有)を50質量部、オキシランRTM水和剤(商品名、日本農薬株式会社製、キャプタン20.0%、8−ヒドロキシキノリン銅30.0%)200質量部(キャプタン40質量部、8−ヒドロキシキノリン銅60質量部)を加え混合し、農園芸用殺菌剤組成物を得た。
【0060】
比較例8
500mLビーカーにオキシランRTM水和剤(商品名、日本農薬株式会社製、キャプタン20.0%、8−ヒドロキシキノリン銅30.0%)を用いた。
【0061】
試験例1:大豆紫斑病の防除試験
上記の実施例1及び2ならびに比較例1で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にて大豆紫斑病の試験を実施した。結果を表1にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:大豆(播種後、70日後)
区制・面積:1区:10m、3反復
散布水量:200L/10a相当
散布方法:実施例1を127.4g,実施例2を108.2g、及び比較例1を100gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、背負い式動力噴霧器に入れ、散布した。
評価方法:落葉期30株ずつサンプリングを行い、自然乾燥後に脱穀し、成熟粒と紫斑病羅病粒数を調査した。尚防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の発病粒率)−(実施例もしくは比較例の発病粒率))/(無処理の発病粒率))×100
【0062】
表1 試験例1の結果
供試薬剤 区制 発病粒率% 防除価
実施例1 1区 6.3
2区 3.3
3区 2.8
平均 3.9 35
実施例2 1区 2.1
2区 4.5
3区 3.8
平均 3.5 42
比較例1 1区 6.9
2区 4.2
3区 5.5
平均 5.5 8
無処理 1区 7.3
2区 4.7
3区 6.5
平均 6.0 −
【0063】
表1より、実施例1及び2は比較例1に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。本試験結果において、一般的に用いられている比較例1による防除効果は低い結果であった。この結果は、本試験の薬剤散布が適切な散布時期を逸しており、殺菌剤効力が十分に発揮されにくい試験条件であったことに加え、対象病原菌類の該殺菌剤に対する感受性が低下していることが示唆される。このような試験背景において、実施例1及び2の農園芸用殺菌剤組成物は、効力低下が認められずに十分な防除効果を示し、ベンゾイミダゾール系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。
【0064】
試験例2:大豆紫斑病の防除試験
上記の実施例3及び4ならびに比較例2で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にて大豆紫斑病の試験を実施した。結果を表2にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:大豆(播種後、70日後)
区制・面積:1区:4m、3反復
散布水量:250L/10a相当
散布方法:実施例3を77.4g,実施例4を58.2g、及び比較例2を50gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、背負い式動力噴霧器に入れ、散布した。
評価方法:落葉期20株ずつサンプリングを行い、自然乾燥後に脱穀し、成熟粒と紫斑病羅病粒数を調査した。尚防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の発病粒率)−(実施例もしくは比較例の発病粒率))/(無処理の発病粒率))×100
【0065】
表2 試験例2の結果
供試薬剤 区制 発病粒率% 防除価
実施例3 1区 7.2
2区 23.4
3区 34.4
平均 18.6 40
実施例4 1区 10.4
2区 11.9
3区 22.0
平均 15.3 50
比較例2 1区 15.8
2区 27.8
3区 32.9
平均 26.1 15
無処理 1区 36.3
2区 27.4
3区 27.5
平均 30.8 −
【0066】
表2より、実施例3及び4は比較例2に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。本試験における紫斑病防除は、一般に適用されている比較例2の防除効果が低いことから、該殺菌剤の感受性が低下した病原菌であることが示唆される。このような試験状況において、実施例3及び4の農園芸用殺菌剤組成物では効力低下が認められずに、グアニジン系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。
【0067】
試験例3:イチゴ灰色かび病の防除試験
上記の実施例5及び6ならびに比較例3で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にてイチゴ灰色かび病の試験を実施した。結果を表3にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:イチゴ(定植後、5ヶ月後)
区制・面積:1区:3.9m、3反復
散布水量:260L/10a相当
散布方法:実施例5を94.4g,実施例6を75.2g、及び比較例3を67gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、バッテリー動力噴霧器で散布した。
評価方法:各区26株について、発病果実と収穫期に達した果実の数を調査した。
尚、防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の発病果率)−(実施例もしくは比較例の発病果率))/(無処理の発病果率))×100
【0068】
表3 試験例3の結果
供試薬剤 区制 発病果率% 防除価
実施例5 1区 1.6
2区 0.6
3区 0.9
平均 1.0 93
実施例6 1区 0.4
2区 1.0
3区 0.3
平均 0.6 96
比較例3 1区 1.7
2区 1.3
3区 2.4
平均 1.8 87
無処理 1区 13.2
2区 15.0
3区 12.0
平均 13.4 −
【0069】
表3より、実施例5及び6は比較例3に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。本試験での灰色かび病の病原菌は、供試した薬剤に対する薬剤感受性の著しい低下は認められなかった。しかしながら、汎用の比較例1は、防除価が90以下で防除面では十分ではなかった。一方、実施例5及び6の農園芸用殺菌剤組成物は、何れも90以上の防除価であり、アニリノピリミジン系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。
【0070】
試験例4:ばれいしょ疫病の防除試験
上記の実施例7ならびに比較例4で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にてばれいしょ疫病の試験を実施した。結果を表4にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:ばれいしょ(播種2ヶ月後)
区制・面積:1区:11.2m、2反復
散布水量:200L/10a相当
散布方法:実施例7を175.2g、及び比較例4を167gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、バッテリー動力噴霧器で散布した。
評価方法:各区20株について発病株数を調査した。尚、防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の発病度)−(実施例もしくは比較例の発病度))/(無処理の発病度))×100
【0071】
表4 試験例4の結果
供試薬剤 区制 発病度 防除価
実施例7 1区 1.7
2区 0.0
平均 0.9 98
比較例4 1区 3.3
2区 3.3
平均 3.3 94
無処理 1区 51.7
2区 50.0
平均 50.9 −
【0072】
表4より、実施例7は比較例4に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。実施例7の農園芸用殺菌剤組成物が、有機硫黄系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。
【0073】
試験例5:小麦赤かび病の防除試験
上記の実施例8ならびに比較例5で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にて小麦赤かび病の試験を実施した。結果を表5にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:小麦(開花時)
区制・面積:1区:13.5m、3反復
散布水量:100L/10a相当
散布方法:実施例8を94.4g、及び比較例5を100gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、バッテリー動力噴霧器で散布した。
評価方法:1区100穂について、発病小穂率および赤かび粒率を調査した。
尚、防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の赤かび粒率)−(実施例もしくは比較例の赤かび粒率))/(無処理の赤かび粒率))×100
【0074】
表5 試験例5の結果
供試薬剤 区制 発病小穂率% 赤かび粒率% 防除価
実施例8 1区 0.27 0.00
2区 0.27 0.10
3区 0.27 0.10
平均 0.27 0.07 86
比較例5 1区 0.20 0.10
2区 0.33 0.10
3区 0.47 0.30
平均 0.33 0.17 66
無処理 1区 1.40 0.50
2区 1.73 0.60
3区 1.67 0.40
平均 1.60 0.50 −
【0075】
表5より、実施例8は比較例5に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。本試験において、汎用殺菌剤である比較例5の防除効果は十分ではなく、該殺菌剤に対する赤かび病病原菌が、薬剤感受性の低下傾向にあることが示唆される。このような試験状況において、実施例8の農園芸用殺菌剤組成物では、トリアゾール系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。
【0076】
試験例6:りんご斑点落葉病の防除試験
上記の実施例9ならびに比較例6,7,8で得られた農園芸用殺菌剤組成物について、以下の試験方法にてりんご斑点落葉病の試験を実施した。結果を表6にまとめた。
(1)供試作物と散布条件
作物:りんご(ふじ)
区制・面積:1区:1樹、1反復
散布水量:3L/樹
散布方法:実施例9を208.2g、並びに比較例6を300g,比較例7を250g,及び比較例8を200gを、それぞれ100Lのタンクに入れ、水を100Lの目盛りまで加え、十分に混合し、タンクから散布する量を取り出し、バッテリー動力噴霧器で散布した。
評価方法:1区20新梢の全葉について、発病調査を行い、約300−400葉あたりの病斑数を調査した。尚、防除価の算出方法は以下である。
防除価=(((無処理の発病葉率)−(実施例もしくは比較例の発病葉率))/(無処理の赤かび粒率))×100
【0077】
表6 試験例6の結果
供試薬剤 区制 発病葉率% 防除価
実施例9 1区 5.0 64.5
比較例6 1区 7.4 47.5
比較例7 1区 7.1 49.6
比較例8 1区 6.7 52.5
無処理 1区 14.1 −
【0078】
表6より、実施例9は比較例6〜8に比較し、防除価は高く、優れた紫斑病の抑制効果を示している。本試験における斑点落葉病での薬剤散布では、汎用殺菌剤の比較例8の防除効果が十分でなく、該殺菌剤に対する感受性の低下が示唆された。殺菌剤に混用する市販の展着剤を用いた比較例6,7でも、防除効果が不十分であった。このような試験条件において、実施例9の農園芸用殺菌剤組成物では、有機塩素系殺菌剤や有機銅系殺菌剤の防除効果を高く維持させていることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、
(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、
(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテル、
であり、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項2】
前記ジアルキルスルホコハク酸塩がビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩である請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項3】
前記ベンゾイミダゾール系殺菌剤が、ジエトフェンカルブ(一般名、イソプロピル=3,4−ジエトキシカルバニラート) 、チオファネートメチル(一般名、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン)、ベノミル(一般名、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメイト)からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項4】
前記グアニジン系殺菌剤が、イミノクタジン酢酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリアセタート)、イミノクタジンアルベシル酸塩(一般名、1,1−イミニオジ(オクタメチレン)ジグアニジウム=トリス(アルキルベンゼンスルホナート))からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項5】
前記有機硫黄系殺菌剤が、チウラム(一般名、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド)、ポリカーバメート(一般名、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート)、マンゼブ(一般名、亜鉛イオウ配位マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)、マンネブ(一般名、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート)からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項6】
前記アニリノピリミジン系殺菌剤が、シプロジニル(一般名、4−シクロプロピル−6−メチル−N−フェニルピリジン−2−アミン)、メパニピリム(一般名、N−(4−メチル−6−プロパ−1−イニルピリミジン−2−イル)アニリン)からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項7】
前記トリアゾール系殺菌剤がジフェノコナゾール(一般名、cis−trans−3−クロロ−4−[4−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]フェニル=4−クロロフェニル=エーテル)、シプロコナゾール(一般名、(2RS,3RS;2RS,3RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、テブコナゾール(一般名、(RS)−1−p−クロロフェニル−4,4―ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール)、ペンコナゾール(一般名、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)ペンチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項8】
前記有機塩素系殺菌剤がTPN(一般名、テトラクロロイソフタロニトリル)、キャプタン(一般名、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項9】
前記有機銅系殺菌剤が8-ヒドロキシキノリン銅である請求項1または2に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の農園芸用殺菌剤組成物に水を添加し、前記(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤より選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤が10〜3000ppm、前記(B)ジアルキルスルホコハク酸塩が10〜200ppm、前記(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルが10〜800ppmに希釈されて得られる農園芸用殺菌剤組成物の散布液。
【請求項11】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤と混用して用いる農園芸用殺菌剤効果維持用組成物であって、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4の含有量比率で含有する農園芸用殺菌剤効果維持用組成物。
【請求項12】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを、(A):(B):(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で含有して用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法。
【請求項13】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、に(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4で含有する混合界面活性剤組成物を添加し、前記(A):前記(B):前記(C)=1〜70:1:1〜4の含有量比率で用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法。
【請求項14】
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤よりなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法であって、
(A)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、有機硫黄系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、有機塩素系殺菌剤、有機銅系殺菌剤からなる群から選ばれる1種以上の農園芸用殺菌剤、に(B)ジアルキルスルホコハク酸塩、(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルを(B):(C)=1:1〜4で含有する混合界面活性剤組成物を添加し、前記(B)ジアルキルスルホコハク酸塩が10〜200ppm、前記(C)ポリオキシエチレンC11〜C15アルキルエーテルが10〜800ppmの濃度で用いる農園芸用殺菌剤の殺菌効果を維持する方法。

【公開番号】特開2012−193116(P2012−193116A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56100(P2011−56100)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】