説明

農薬組成物

【課題】優れた農薬活性効果を示す水性農薬組成物を提供すること。
【解決手段】農薬活性成分、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、界面活性剤及び水を含有し、該カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体および該界面活性剤の量が該農薬活性成分100重量部に対してそれぞれ、20〜100重量部、0.1〜50重量部である農薬組成物は、農薬活性効力が向上したものであり、有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬組成物に関する。より詳しくは、本発明は農薬活性成分が分散された水性農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに農薬活性成分を含有する種々の水性農薬組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−151334
【特許文献2】特開平9−143001
【特許文献3】特開平11−35408
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、農薬活性効力が向上した水性農薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は水性農薬組成物に関して鋭意検討した結果、界面活性剤および特定の共重合体を特定量含有する水性農薬組成物の農薬活性効力が向上することを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下ものである。
[1] 農薬活性成分、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、界面活性剤及び水を含有し、該カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体および該界面活性剤の量が該農薬活性成分100重量部に対してそれぞれ、20〜100重量部、0.1〜50重量部である農薬組成物(以下、本発明組成物と記す。)。
[2] 農薬活性成分を1〜50重量パーセント、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を0.2〜50重量パーセント、界面活性剤を0.1〜10重量パーセント、水を20〜80重量パーセント含有する、項[1]記載の農薬組成物。
[3] カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を5〜20重量パーセント含有する、項[2]記載の農薬組成物。
[4] 界面活性剤を4〜6重量パーセント含有する、項[2]又は[3]記載の農薬組成物。
[5] 界面活性剤が、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩及びリグニンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、項[1]〜[4]いずれか一項記載の農薬組成物。
[6] 農薬活性成分を15〜25重量パーセント含有する、項[1]〜[5]いずれか一項記載の農薬組成物。
[7] 農薬活性成分が、フェンピラザミン及び2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミドから選ばれる1種である、項[1]〜[6]いずれか一項記載の農薬組成物。
[8] カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体の平均粒径が0.1〜0.3μm、共重合体のゲル含有率が80重量%以上、共重合体のガラス転移温度が−10℃以下である、項[1]〜[7]いずれか一項記載の農薬組成物。
[9] 項[1]〜[8]いずれか一項記載の農薬組成物を水で希釈した水希釈液を植物に茎葉散布する、項[1]〜[8]いずれか一項記載の農薬組成物の施用方法。
[10] 農薬活性成分、界面活性剤及び水を含有する分散液を製造する工程、該分散液にカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を添加して均一に分散させる工程を有する、項[1]〜[8]いずれか一項記載の農薬組成物の製造方法。
[11] 農薬活性成分、界面活性剤及び水を含有する分散液を製造する工程、該分散液にカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体含有のラテックスを添加して該カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を均一に分散させる工程を有する、項[1]〜[8]いずれか一項記載の農薬組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明組成物は農薬活性効力が向上した水性農薬組成物であり、優れた農薬活性効力を有する。また、本発明組成物は、植物に施用した後、植物上の農薬活性成分が降雨や散水により流失しにくく、耐雨性を有するため、その効果は降雨や散水による影響を大きく受けることなく、その農薬活性能を十分に発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明組成物は1種以上の農薬活性成分を含有する。
本発明で用いられる農薬活性成分は常温(25℃)において固体でも液体でもよく、特に限定されないが、水に溶解せずに水中に分散し得るものが好ましい。農薬活性成分が固体の場合、農薬活性成分が液体の場合、農薬活性成分が固体および液体の場合、本発明組成物の形態はそれぞれ、水性懸濁状組成物、水性乳化(乳濁状)組成物、水性乳化懸濁状組成物である。
かかる農薬活性成分としては、殺虫活性成分、殺菌活性成分、除草活性成分等の化合物が挙げられ、例えば下記の化合物が挙げられる。
【0008】
殺虫活性成分:シペルメトリン、デルタメトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、アクリナトリン、ビフェントリン、レスメトリン、テトラメトリン、ペルメトリン、イソプロカルブ、キシリルカルブ、XMC、カルバリル、カルボフラン、フェノキシカルブ、アラニカルブ、フェノブカルブ、ベンダイオカルブ、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ホサロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、メチダチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、サリチオン、シアノホス、EPN、シアノフェンホス、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、スルフルラミド、ミルベメクチン、ピリダリル、ブプロフェジン、クロフェンテジン、フィプロニル、エチプロール、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド
【0009】
殺菌活性成分:S−アリル 5−アミノ−2,3−ジヒドロ−2−イソプロピル−3−オキソ−4−(o−トリル)ピラゾール−1−カルボチオエート(フェンピラザミン)、2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ジエトフェンカルブ、プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン、ジニコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメホン、フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、トルクロホスメチル、ピラゾホス、ピリメタニル、メパニピリム、シプロジニル、フルジオキソニル、フェンピクロニル、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、プロベナゾール、ジメトモルフ、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、チウラム、テクロフタラム、カルプロパミド、ジクロシメット、トリシクラゾール、フサライド、トリフロキシストロビン、トリアジン、フルスルファミド、ジクロメジン、ヘキサコナゾール
【0010】
除草活性成分:フェノキサプロップ−p−エチル、シハロホップブチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、シクロスルファムロン、トリフルスルフロンメチル、イマザキン、フルメツラム、アトラジン、メトリブジン、フルオメツロン、イソプロチュロン、プロパニル、ブロモキシニル、アイオキシニル、ベンタゾン、フルミオキサジン、フルチアセットメチル、アザフェニジン、サルフェントラゾン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、イソキサフルトール、ペンディメサリン、トリフルラリン、メフェナセット、メコプロップ、フルロキシピル、シメトリン、ダイムロン、フェントラザミド、エトベンザニド、スエップ、オキサジクロメフォン、オキサジアゾロン、ピラゾレート、プロジアミン、カフェンストロール、ペントキサゾン、クロメプロップ、ピリフタリド、ベンゾビシクロン、ブロモブチド、ピラクロニル、イマゾスルフロン、スルホスルフロン、プロピリスルフロン
【0011】
本発明組成物は農薬活性成分を合計量で、通常1〜50重量パーセント、好ましくは15〜25重量パーセント含有する。
【0012】
本発明組成物は1種以上のカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を含有する。
かかるカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体は、カルボキシル基(−COOH)を含有するメタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体である。本発明組成物は、かかるカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体の微粒子を水中に分散させたラテックスの形態のものを使用して製造することもできる。かかるラテックスの中では、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体の微粒子の平均粒径が0.1〜0.3μm、ゲル含有率が80重量%以上、ガラス転移温度が−10℃以下のものが好ましい。ここで、平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定して求められる体積中位径のことである。また、ゲル含有率とは、トルエンやメチルエチルケトン等の溶媒に溶解しないポリマー(すなわち、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体)の重量分比率のことであり、数値が大きいほど該ポリマーの分子量が大きいことを示す。さらに、ガラス転移温度とは、DSC(示差走査熱量計)で測定して求められる、ポリマーがガラス状態からゴム状態へと移りはじめる温度のことである。かかるカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体は市販品として入手可能である。上記ラテックスの形態のものとしては例えば、ナルスターMR−174(日本エイアンドエル株式会社製商品名)が挙げられる。
【0013】
カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体の量は農薬活性成分100重量部に対して20〜100重量部である。また、本発明組成物はカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を通常0.2〜50重量パーセント、好ましくは5〜20重量パーセント含有する。
【0014】
本発明組成物は1種以上の界面活性剤を含有する。
本発明で用いられる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0015】
かかるアニオン性界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルリン酸エステル塩が挙げられ、その塩としては例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩が挙げられる。
【0016】
かかるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリアクリレートグラフトコポリマーが挙げられる。
【0017】
かかる界面活性剤の中では、リグニンスルホン酸ナトリウム塩等のリグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸アミン塩等のポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリアクリレートグラフトコポリマーが好ましい。
【0018】
かかる界面活性剤の合計量は農薬活性成分合計量100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは15〜30重量部である。また本発明組成物は界面活性剤を合計量で、通常0.1〜10重量パーセント、好ましくは4〜6重量パーセント含有する。
【0019】
本発明組成物は、水を含有する。
本発明組成物に用いられる水は特に制限されることがなく、例えば水道水、井水及びイオン交換水の通常の水性乳化農薬組成物や水性懸濁状農薬組成物に用いられる水を挙げることができる。
【0020】
本発明組成物は水を通常20〜80重量パーセント、好ましくは25〜55重量パーセント含有する。
【0021】
本発明組成物はさらに、増粘剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤等を含有していてもよい。
【0022】
かかる増粘剤としては、有機系増粘剤及び無機系増粘剤が挙げられ、例えば、キサンタンガム、グアガム、アラビアガム、カゼイン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその誘導体、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ等が挙げられる。これらの増粘剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明組成物が増粘剤を含有する場合、その合計含有量は通常0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.4〜0.8重量パーセントである。
【0023】
かかる消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤及び脂肪酸系消泡剤等が挙げられる。
本発明組成物が消泡剤を含有する場合、その含有量は通常0.01〜3重量パーセントである。
【0024】
かかる防腐剤としては、例えば、ブチルパラベン(n−ブチルパラヒドロキシベンゾエート)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMT)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、p−クロロ−m−キシレノ−ル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNP)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MT)等が挙げられる。
本発明組成物が防腐剤を含有する場合、その含有量は通常0.005〜1重量パーセントである。
【0025】
かかる凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
本発明組成物が凍結防止剤を含有する場合、その含有量は通常1〜20重量パーセントである。
【0026】
本発明組成物は、農薬活性成分、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、界面活性剤、水、さらに、必要に応じて増粘剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤等を用いて製造することができ、その製造方法は特に限定されない。
【0027】
本発明組成物の製造方法としては、例えば、農薬活性成分、界面活性剤及び水を含有する、農薬活性成分が乳化または懸濁された分散液を製造する工程(第一工程)、該分散液にカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を均一に分散させる工程(第二工程)を有する製造方法が挙げられる。
第一工程としては例えば、農薬活性成分、界面活性剤、さらに必要に応じて消泡剤、凍結防止剤を水に添加し、得られた混合物をディスパーミル等により分散させた後にビーズミル等で農薬活性成分の平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下となるように微粉砕及び分散させる工程が挙げられる。第二工程としては、第一工程で得られた分散液に、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、必要に応じて増粘剤、防腐剤等を加えて均一に混合する工程が挙げられる。尚、第二工程において、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体そのものではなく、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体含有のラテックスを使用することもできる。
【0028】
本発明組成物は、通常の水性乳化農薬組成物または水性懸濁状農薬組成物と同様の方法で、水田、畑地、果樹園、芝地、非農耕地等の場所に施用することができる。本発明組成物は所望により本発明組成物を水で希釈し、得られた水希釈液を上記場所に生育する植物や上記場所の土壌に散布する等の方法により施用することができる。該水希釈液の散布方法としては公知の散布機等を用いて該水希釈液の土壌表面散布、茎葉散布等が挙げられる。
また、該水希釈液は、種子処理、育苗箱処理等に使用することもできる。
【0029】
本発明組成物は水で希釈することなくそのまま施用することもできる。その施用方法としては、例えば本発明組成物を湛水下水田等の畦畔から畦畔に沿って散布する方法が挙げられる。散布する前には通常本発明組成物が入った容器を軽く振り、本発明組成物を混ぜる。
【実施例】
【0030】
次に、製造例および試験例を挙げて本願発明をさらに説明する。
【0031】
まず、製造例を示す。尚、製造例に記載された商品名は以下のものである。
ナルスター MR−174:
カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を50重量パーセント含有;ゲル含有率95重量%;ガラス転移温度−30℃ [日本エイアンドエル株式会社製]
Reax 83A:
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 [MeadWestvaco社製]
Reax 85A:
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 [MeadWestvaco社製]
Soprophor FLK:
ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム塩 [Rhodia社製]
Step−Flow 1500:
ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル [Stepan社製]
Dispersogen TP160T:
ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸アミン塩 [Clariant社製]
Dispersogen PSL100:
ポリアクリレートグラフトコポリマー [Clariant社製])
Kelzan S:
キサンタンガム [CP Kelco社製]
Veegum Granules:
ケイ酸アルミニウムマグネシウム [Vanderbilt社製])
クニピア−F:
含水ケイ酸アルミニウム [クニミネ工業株式会社製])
CE Antifoam Emulsion:
シリコーン系消泡剤 [Dow Corning社製])
Antifoam C Emulsion:
シリコーン系消泡剤 [Dow Corning社製]
KS−538
シリコーン系消泡剤 [信越化学工業株式会社製]
Proxel GXL:
防腐剤 [Arch Chemicals社製]
Proxel GXL(S):
防腐剤 [Arch Chemicals社製]
DYNO−MILL KDL:
横型ビーズミル [株式会社シンマルエンタープライゼス製]
【0032】
製造例1
フェンピラザミン 20重量部、Reax 85A 6重量部、クニピア−F 0.4重量部、Antifoam C Emulsion 0.1重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 28.3重量部を混合した。得られた混合物を、DYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。得られた懸濁液にProxel GXL 0.2重量部及びナルスター MR−174 40重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(1)を得た。
【0033】
製造例2
フェンピラザミン 20重量部、Reax 83A 6重量部、クニピア−F 0.4重量部、Antifoam C Emulsion 0.1重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 28.3重量部を混合した。得られた混合液をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。得られた懸濁液にProxel GXL 0.2重量部及びナルスター MR−174 40重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(2)を得た。
【0034】
製造例3
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 25重量部、Soprophor FLK 4重量部、Antifoam C Emulsion 0.25重量部、プロピレングリコール 6.25重量部及びイオン交換水 27.83重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.2重量部及びVeegum Granules 0.3重量部をイオン交換水 25.97重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 10重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(3)を得た。
【0035】
製造例4
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 20重量部、Soprophor FLK 2重量部、Step−Flow 1500 2重量部、Antifoam C Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 24.13重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.2重量部及びVeegum Granules 0.5重量部をイオン交換水 25.77重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 20重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(4)を得た。
【0036】
製造例5
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 25重量部、Soprophor FLK 2重量部、Step−Flow 1500 2重量部、Antifoam C Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 12.47重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.25重量部及びVeegum Granules 0.4重量部をイオン交換水 32.48重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 20重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(5)を得た。
【0037】
製造例6
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 15重量部、Soprophor FLK 4重量部、CE Antifoam Emulsion、Dow Corning社製 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 5.8重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.3重量部及びVeegum Granules 0.5重量部をイオン交換水 39重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 30重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(6)を得た。
【0038】
製造例7
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 25重量部、Dispersogen TP160T 4重量部、Dispersogen PSL100 1重量部、Antifoam C Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 32.13重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL 0.2重量部、Kelzan S 0.14重量部及びVeegum Granules 0.3重量部をイオン交換水 18.03重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 20重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(7)を得た。
【0039】
製造例8
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 25重量部、Dispersogen TP160T 4重量部、Dispersogen PSL100 1重量部、KS−538 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 28.47重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL 0.2重量部、Kelzan S 0.16重量部及びVeegum Granules 0.32重量部をイオン交換水 20.65重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 20重量部を添加して均一に分散させて本発明組成物(8)を得た。
【0040】
比較製造例1
フェンピラザミン 20重量部、Reax 85A 6重量部、Antifoam C Emulsion 0.1重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 55.57重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL 0.2重量部、Kelzan S 0.1重量部及びVeegum Granules 0.2重量部をイオン交換水 12.83重量部に加えて、2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合して比較組成物(1)を得た。
【0041】
比較製造例2
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 30重量部、Soprophor FLK 2重量部、Step−Flow 1500 2重量部、Antifoam C Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 34.13重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.2重量部及びVeegum Granules 0.4重量部をイオン交換水 25.87重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合して比較組成物(2)を得た。
比較製造例3
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 30重量部、Soprophor FLK 4重量部、CE Antifoam Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 34.13重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.2重量部及びVeegum Granules 0.4重量部をイオン交換水 25.87重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合して比較組成物(3)を得た。
比較製造例4
2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド 25重量部、Soprophor FLK 2重量部、Step−Flow 1500 2重量部、Antifoam C Emulsion 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 19.55重量部を混合した。得られた混合物をDYNO−MILL KDLを用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。
別途、Proxel GXL(S) 0.2重量部、Kelzan S 0.3重量部及びVeegum Granules 0.3重量部をイオン交換水 39.2重量部に加え、得られた混合物を2時間撹拌して均一な分散液を得た。
該分散液と先に得られた懸濁液とを混合した。得られた混合物にナルスター MR−174 6.25重量部を添加して均一に分散させて比較組成物(4)を得た。
【0042】
次に、試験例を示す。
試験例1
プラスチックポットに土壌を詰め、そこに西洋ナタネ(Brassica napus)を播種し、温室内で生育させた。
本発明組成物(3)、(4)、(6)および比較組成物(3)をそれぞれ水で希釈した。得られた水希釈液を上記西洋ナタネ葉面に散布した(農薬活性成分散布量:200g/10000m2、水希釈液散布量:250L/10000m2)。その後、西洋ナタネの葉面を風乾した。
次に、人工降雨装置(Daiki社製)を用いて総雨量60mmとなるように西洋ナタネに降雨処理を行った。その後、西洋ナタネの葉面を風乾した。次に、ナタネ菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌糸含有PDA培地を該葉面上に接種した。その後、西洋ナタネを18℃、多湿下に4日間置いた後、西洋ナタネの葉面に形成された病斑直径を計測した。
その結果、本発明組成物(3)、(4)、(6)を散布した葉面に形成された病斑直径はそれぞれ、比較組成物(3)を散布した葉面に形成された病斑直径の32%、24%、24%であった。
【0043】
試験例2
屋外で栽培した西洋ナタネ(Brassica napus)に、本発明組成物(5)および比較組成物(2)、(4)をそれぞれ水で希釈した。得られた水希釈液を西洋ナタネに茎葉散布した(農薬活性成分散布量:200g/10000m2、水希釈液散布量:250L/10000m2)。散布7日後に処理葉を切除し、ナタネ菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌糸含有PDA培地を葉面上に接種した。その後20−25℃の室温、多湿下に3日間置いた後、葉面に形成された病斑直径を計測した。
その結果、本発明組成物(5)を散布した葉に形成された病斑直径は、比較組成物(2)を散布した葉面に形成された病斑直径の50%、比較組成物(4)を処理した葉面に形成された病斑直径の44%であった。
試験例3
プラスチックポットに土壌を詰め、そこに西洋ナタネ(Brassica napus)を播種し、温室内で生育させた。本発明組成物(1)、(2)および比較組成物(1)をそれぞれ水で希釈した。得られた水希釈液を上記西洋ナタネ葉面に茎葉散布した(農薬活性成分散布量:200g/10000m2、水希釈液散布量:250L/10000m2)。散布後の葉面を風乾した。
次に、人工降雨装置(Daiki社製)を用いて総雨量30mmとなるように西洋ナタネに降雨処理を行った。その後、西洋ナタネの葉面を風乾した。次に、ナタネ菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌糸含有PDA培地を該葉面上に接種した。その後、西洋ナタネを18℃、多湿下に3日間置いた後、西洋ナタネの葉面に形成された病斑直径を計測した。
その結果、本発明組成物(1)および(2)を散布した葉面に形成された病斑直径はそれぞれ、比較組成物(1)を散布した葉に形成された病斑直径の9%および7%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、界面活性剤及び水を含有し、該カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体および該界面活性剤の量が該農薬活性成分100重量部に対してそれぞれ、20〜100重量部、0.1〜50重量部である農薬組成物。
【請求項2】
農薬活性成分を1〜50重量パーセント、カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を0.2〜50重量パーセント、界面活性剤を0.1〜10重量パーセント、水を20〜80重量パーセント含有する、請求項1記載の農薬組成物。
【請求項3】
カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を5〜20重量パーセント含有する請求項2記載の農薬組成物。
【請求項4】
界面活性剤を4〜6重量パーセント含有する請求項2又は3記載の農薬組成物。
【請求項5】
界面活性剤が、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩及びリグニンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4いずれか一項記載の農薬組成物。
【請求項6】
農薬活性成分を15〜25重量パーセント含有する請求項1〜5いずれか一項記載の農薬組成物。
【請求項7】
農薬活性成分が、フェンピラザミン及び2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミドから選ばれる1種である請求項1〜6いずれか一項記載の農薬組成物。
【請求項8】
カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体の平均粒径が0.1〜0.3μm、共重合体のゲル含有率が80重量%以上、共重合体のガラス転移温度が−10℃以下である請求項1〜7いずれか一項記載の農薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一項記載の農薬組成物を水で希釈した水希釈液を植物に茎葉散布する請求項1〜8いずれか一項記載の農薬組成物の施用方法。
【請求項10】
農薬活性成分、界面活性剤及び水を含有する分散液を製造する工程、該分散液にカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を添加して均一に分散させる工程を有する、請求項1〜8いずれか一項記載の農薬組成物の製造方法。
【請求項11】
農薬活性成分、界面活性剤及び水を含有する分散液を製造する工程、該分散液にカルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体含有のラテックスを添加して該カルボキシ変性メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体を均一に分散させる工程を有する、請求項1〜8いずれか一項記載の農薬組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−184209(P2012−184209A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49968(P2011−49968)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】